アルカディア・プロジェクト   作:ムササ

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AIたちのキャラが予想の斜め上にカッ飛んでる……あれ?最初から変わってないのクララくらいでは?


#22 会議は踊る

「なるほど、そういう訳か」

 

【エルドゥーク】との戦闘から二日経って、俺の引越し予定日になった。役所には届出を出したし、あとは荷物を新居に運び込むだけである。荷物もあんまり無いし本当は俺一人でやるつもりだったが、あの後の顛末を聞きたいとみんなが集まってくれた。

 今は荷ほどきも終わってお茶を飲みながら休憩中、その間にあの日の事を説明していた。

 

「あの後ログアウトしてすぐ考察サイトが凄え賑わってたからな。あれだろ?存在意義(レゾンデートル)ってやつが出たんだろ?」

 

「私はログインしたから知っているぞ。今まではエンドコンテンツだと思われていたアルカナクエストが重要なコンテンツだと分かったんだ。皆、血眼になって探していた」

 

「そう簡単に見つかるクエストじゃ無いけどな。ほぼ運だろ、あれ」

 

「特殊条件、相当厳しい、みたいです」

 

 俺が説明したのはアンナから最後に忠告されたニトワイアについて以外の全て、そう全てである。

 

「にしても、未来を先取りし過ぎているとは思っていたがAIが自立して管理している人工的なインターネット上に広がる異世界とはな」

 

「アルカディア・プロジェクトのクォーレは本当に心を持ってるんだろ?上級AIに関しちゃ現実を認識してるときた。本当なら蓮也の嘘を疑うところだぜ」

 

「でも、本当です」

 

「証拠を突きつけられては、な」

 

 部屋の中の視線が真っ先に設置したテレビに向けられる。俺のデバイスと繋がっており、その中には1人の少女が物珍しそうに部屋の中を覗き込んでいる。

 

『うわあ。凄いね、これがお兄ちゃんのお部屋なんだね』

 

「レベッカ、あんまりはしゃぐと危ないぞ」

 

『はーい』

 

 そう、レベッカである。画面の中のレベッカが首を左右に振るたびに、同じくテレビに接続されたレンズがレベッカの動きに合わせて首を振る。

 なぜこんな事になったのかというと、話は【エルドゥーク】を倒した日の夜に遡る。

 ログアウトをしてヘッドギアを外した後、俺は部屋の中にレベッカの声が響く事に気がついた。幻聴かと思ったが、デバイスの画面をつけるとレベッカが画面に映った。

 

「うわっ!」

 

『あれ!?お兄ちゃん?ここどこ?』

 

『それは私から説明しましょう』

 

「クララ?」

 

『レベッカはロータスの神秘防具、魂の灯に組み込まれました。このまでは良いですね?』

 

「ああ」

 

『ロータスがアルカディアにいない間、レベッカはアルカディアで生活する事も出来るけれど魂の灯の中にいる間はこうして地球と繋がる事が出来るのよ』

 

「は?いやいや、ちょ待て。どうやって!?」

 

『私たちを舐めないで。人間よりも進んだテクノロジーくらい持っているに決まっているでしょう?現実とリンクさせた空間を作ることくらいできます』

 

「……いやもう、正直お前たちがどんな技術を持ってても驚かないけどさ、先に言ってくれ」

 

『あら、それは失礼を』

 

 そんな事があり、俺のデバイスを通じてレベッカは現実の景色を見る事が出来るようになった。

 その結果、現在ではこんなことが起きている。

 

「ああ、貴女がレベッカちゃんね。はじめまして、私は九条花蓮。ええーっと、あなたの姉?になるのかな?」

 

「はじめまして!えっと……お姉ちゃん?」

 

「可愛いっ!なんでお兄こんな可愛い子を早く紹介してくれなかったの!?」

 

「いや、引っ越しの時にみんなと一緒に紹介するって言ったじゃん。どっちにしろ父さんと母さんには見せられないんだからさ」

 

 そう、レベッカがデバイスを通じて現実に干渉できるのはあくまでも特例。よって、クララから条件としてアルカディア・プロジェクトに参加していない人物には開示する許可は出せないと言われたのだ。

 

「いや、口が滑った俺も悪いけどさ。わざわざアルカディア・プロジェクト買ってまで会いたかったのか?」

 

「うん。というか、レベッカちゃんの話を聞いた時から買うつもりだったし。アルカディア・プロジェクトの中だったら現実では出来ないことが色々出来るんでしょ?それにいつでも美夜ちゃんとか響子さんと遊べるなら嬉しいし」

 

「ふふっ、それは私も嬉しいがゲームの中ではその名前(本名)で呼ばないよう注意してくれ」

 

「私たちのクランに、入るの?」

 

「うん!やっぱ一人でやってもつまんないし。こう見えてもずっとバスケやってたし、運動神経は良いと思うよ」

 

「ふむ。なら歓迎しよう。【エルドゥーク】討伐の報酬で纏まった金額が手に入ったし、クランハウスもそろそろ建てなければな」

 

「はいはーい!俺良い狩場の近くが良い!」

 

「私は、都市部はあんまり……」

 

『えー、でもお買い物とかしたーい』

 

「んー、私は分かんないからパスで」

 

「ふむ、蓮也はどうだ?」

 

「俺?そうだな、村の跡地とかどうだ?あそこなら良い狩場もあって、都市部じゃ無いけど近くに王都があるし、それに……お墓も立ってるからな」

 

「それは……レベッカ次第だな」

 

『……うん。私もあそこが良い。慣れ親しんだ所だからね』

 

「よし、ならば決定だ。あそこにまた、『蔦の宮殿』を建てよう」

 

「ふっふっふっ、セラフィム・ワールド(前回)より良いやつにしようぜ!」

 

「個室、欲しいです」

 

「あっ!私も欲しい!シャワーもつけて!」

 

「まあまて、それより報酬と言えば【エルドゥーク】の討伐報酬、みんな見たか?」

 

 あれこれ注文をクランハウスにつける流れだったが、あえてだろうその流れを響子姉が切った。

 

「『魂の灯』だろ?蓮也が貰ったやつ」

 

「いや、それ以外の報酬だ。称号系は省くとして、反逆の狼煙、永遠の火種、スキル書 不屈の意志、愚者ノ篝火シリーズだな」

 

「まだ、見てない。です」

 

「なら、ざっと解説するが、反逆の狼煙はアクセサリーだな。HPが半分以下になった後に初めてモンスターに与えるダメージが2倍になる効果がある」

 

「凄い、です」

 

「永遠の火種はその通り尽きることのない火種だ。暖をとる他にも色々悪巧み出来そうだな」

 

「上手く使えば山火事とかも起こせそうだな、おお怖」

 

「スキル書 不屈の意志は読むことでスキル 不屈の意志を何か一つの装備品に付与できるものだ。今までアーツを一つ獲得できる技術書はあったが、スキル書は出回っているところを見たことがない。おそらくかなりの貴重品だ。取り扱いは慎重にな」

 

「不屈の意志って何なんだ?」

 

「HPが0になる攻撃を受けても24時間に一回だけ1で耐えるスキルだな。レッドドラゴン系の装備に良く付いている」

 

 それは、結構強いな。俺みたいに一撃食らったらやばいタイプには有り難い。

 

「装備シリーズ 愚者ノ篝火は私が貰ったのは頭装備だったが、アルカディア・プロジェクトの定例なら頭、胴、腕、足、アクセサリーの五つに大きく分類されるからおそらく五つだろう。まとめて一人に与えようかと思ったが、多分これはバラバラに運用するのが前提の装備だな」

 

「というと?」

 

「愚者ノ篝火シリーズをつけている者がパーティー内に多ければ多いほど効果が上がるスキルが付いている。篝火、というスキルだ」

 

「確かに、その内容なら多分そう、です」

 

「というわけで一つは花蓮にあげようと思うのだが、どうだ?」

 

「ええっ!?私?いいの?そんな凄そうなの」

 

「賛成っ!花蓮には優秀な装備を優先的に回すべきだと思う」

 

蓮也(アホ)はほっとくとして俺も賛成。四人より五人ってな」

 

「私も、賛成、です」

 

「うむ、では決定だ」

 

「よし、じゃあこの後早速アルカディアで集まらないか?まだ時間はあるしレベッカともちゃんと顔合わせさせたいし」

 

『賛成っ!わーい、嬉しいなっ』

 

「ではヒトハチマルマルに王都 エターリアの噴水広場で集合とする!」

 

「「「「『アイアイ、マム!』」」」」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「さて、みんな集まったわね。急な呼び出しにも関わらずありがとうね」

 

「アンナ姉さんの招集とあらば、全員集まるに決まっておろう」

 

「それに今回は新しい英雄の誕生、だろ?なら俺たちにとっての最優先事項、集まんねー訳ねーだろ」

 

「あっ、それ僕も聞きました。クララ姉さんが選んだって本当ですか?プレイヤー嫌いの姉さんが?」

 

「ええ、本当ですが、何か?」

 

「おお、まさに氷冠地獄(ニブルヘイム)の如きその冷血なる目付き、正に絶対零度を纏いし孤高の女王(アブソリュート・クイーン)に相応しき……」

 

「イザベラ、その長ったらしい変な名前で私の事を表すなと言った筈ですが」

 

「ぴぎゃっ、ごご、ごめんなさい」

 

「かかっ、元気な事は良い事だ。そうは思わんか?ガスパル」

 

「おうともよ!男ってのは拳で語らねえとなぁ!」

 

「妾、女なんだけど……」

 

「まあまあ、イザベラ困ってるし」

 

「だがよ、イザベラもヘンリクスもなよっちいぜ。もっと筋肉つけやがれ」

 

「ヘンリクスはともかく、イザベラは女の子ですわ。もっとお淑やかになって頂かないと。貴女もよ?フルティア」

 

「うわー、エレノーラ姉さんの矛先がこっち来たー」

 

「はぁ、ベレンガリア姉様。何か言ってあげてくださいまし」

 

「……めっ」

 

「はいはい、そこまで。そろそろ本題に入るわよ。全く、どうしてうちのきょうだいはこうも性格がバラバラなのかしら」

 

「では、先ずは俺からだ。倒された【エルドゥーク】だが、転生は拒否しおった。なんで記憶を残したまま適当なモンスターに変異させて戻したが、問題ないな?」

 

「ええ、エレノーラからも苦情は来ていません」

 

「問題ないですわ、ドミニクス兄様。クォーレに深刻な被害は出ていません」

 

「次は私ー、『魂の灯』は問題なく作れたよ。大精霊を組み込んだからちょっと不安だったけど、大丈夫だったー」

 

「フルティア姉さん、『銀火転霊』の注文多すぎ。押し込めるのキツかったんだから」

 

「妾も協力したのじゃ!」

 

「んー、えらいえらい」

 

「えへへ、ってではなく!子供扱いするでないわ!」

 

「……可愛い」

 

「はいはい、脱線してるわよ。ともかく八体のアルカナが倒された事で『アルカディア・プロジェクト』は第二段階に移行して構わないと判断しました。

 《愚者》の正位置 【反逆炎魔 エルドゥーク】、《魔術師》の正位置 【複眼水龍 セトリア】、《皇帝》の逆位置 【腐食人形 キキューレ】、《恋人》の逆位置 【合成幻獣 アサード】、《隠者》の正位置 【停滞偶像 ミッセル】、《塔》の逆位置 【雷鳴砲塔 トゥサイヤ】、《月》の正位置 【狂乱騎士 リュージット】、《太陽》の正位置 【天輪覇王 エルガイア】

 全員が転生を拒んだのは正直面倒ですが、まあ今まで束縛したのです。後は好きに生きてもらいましょう」

 

「それが良かろうな」

 

「……眠い」

 

「そろそろ終わるからちょっと待ってね、ベレンガリア。誰が他に報告はない?」

 

「ないでーす」

 

「みんな無いわね?じゃあこれにて解散。各自何かあったら私に相談すること、いいわね?」

 

「了解なのじゃ」

 




フルティア「という訳で久しぶりの絶対零度を纏いし孤高の女王(アブソリュート・クイーン)のコーナー」

クララ「……」

フルティア「痛い痛い、ギブギブ。無言のアイアンクローは怖いー」

クララ「はぁ。今回は私たちについてです。」

フルティア「分かりやすく纏めるとこんな感じー」

アンナ 長女 統括AI
ベレンガリア 次女 統括補佐AI
クララ 三女 プレイヤー担当AI
ドミニクス 長男 モンスター担当AI
エレノーラ 四女 クォーレ担当AI
フルティア 五女 装備品担当AI
ガスパル 次男 アーツ担当AI
ヘンリクス 三男 スキル担当AI
イザベラ 六女 魔法担当AI

クララ「これが生まれた順です」

フルティア「仲良いよねー」

アンナ「良すぎです。会議が進みません」

フルティア「あっ、アンナ姉さんー」

アンナ「まあ、みんなが仲良いのは私としても嬉しいですが」

クララ「ちなみにお父様のご意向で分かりやすくする為に頭文字がアルファベット順になってます」

エレノーラ「あら、ここにいたのね」

イザベラ「姉妹だけで打ち上げをするのじゃ!」

ベレンガリア「……ケーキ」

アンナ「昨日もしましたよね?」

フルティア「いーの、いーの」

クララ「待ちなさい、まだ仕事が…」

エレノーラ「淑女たるもの、常に余裕を持って行動すべきですわ。クララ姉様」

イザベラ「では今回はここまで、なのじゃ!」
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