そこは人類の歴史そのもの。都市全体を
アルカディア ガイドブックより抜粋
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「うおっ、と」
視界が光りに包まれたと思ったら、数瞬の浮遊感の後固い感触の地面。目を開ければ…
「うわ、すげえ」
軽快な音楽を鳴らしながら何かのパフォーマンスらしきものをしている人。大声で客引きをしている声。晴れの日を楽しそうに満喫する親子連れ。何より目に入るのが、物々しく武装した多くの人々。
俺は、アルカディアの地に降り立ったのだ。
「これが、異世界を謳う程のVR。すげえとしか言いようがないな」
辺りを見回すとここはどうやら広場らしい。えっと、こう言う時はマップだな。
ウィンドウを操作してマップを引っ張り出す、どうやら確かにストルタスの王都で間違いないようだ。なら確かここで待ってれば迎えをよこすとか言ってたよな。
そう思いながらウィンドウを閉じて目を開ける。と、なにやら視線が。えっ、何?
「おにーちゃんも、だいどーげーにんの人?」
トテテテという擬音が聞こえそうな感じでひとりの女の子が走り寄ってくる。は?だいどーげーにん?大道芸人か?俺が?見渡せば何やら俺は色んな人からも好奇の視線を向けられていた。明らかに日本人っぽいプレイヤーの人からもだ。
「えっと、残念だけど俺は大道芸人じゃないんだ。ごめんね」
そこまで言うと女の子は不思議そうな顔をする。やっぱ凄いなアルカディア・プロジェクト。マジで人間にしか見えないぞ。
「そっかー。じゃあなんでおにーちゃんは変なお面してるのー?」
「へ?ーーあ」
あーーー!このカボチャのせいか!
どうやらいつのまにか装備されていたようだ。どうりでちょっと視野が狭いし頭が重いわけだ。いや、気づけよって話だがVRに慣れないうちはそういうこともあるって言う話聞くし、そんなもんかーで済ませてたわ。
「あっと、これは」
俺が答えに窮していると女の子の母親らしき人が慌てた感じでこっちに来た。
「もう!勝手に走っちゃいけませんって何回も言ってるでしょ!ごめんなさいね、何か変なこと言いませんでした?」
「ああ、いえ大丈夫です」
「すみませんね。さあ、行くわよ」
「うん、じゃあねーカボチャのおにーちゃん!」
「ははは」
手を引かれながら歩いて行く女の子に手を振り返しながら思わず引きつった笑い声を出してしまう。外見では分からないだろうがカボチャの被り物の中の表情はおそらく相当引きつっているだろう。そんな確信がある。
クララには今度会ったら文句言っておこうと思いました。
取り敢えずはサッサとこの装備を外そう。目立ってしかたない。多分1000万人目のログインのメモリアル装備なんて誰も気がつかないだろう。プレイヤーズメイドのネタ装備だと思ってくれるさ。
「過ぎた事を悔やんでも仕方なし、そんな事よりそろそろ約束の時間なんだがっ、と。あれかな?」
目の前の大通りらしき所から歩いてくるひとりの青年アバターに俺は見覚えがあった。正確に言うとその顔にと言うところか。
声をかけようか迷ったが、どうやらあちらも気が付いたようだ。
「おっと、そこにいるのはロータス、蓮也で良いかな?」
「ああ、久しぶりだな。クリップ」
腹が立つ程のイケメンフェイス。いや、そもそもゲームの中なんだから男女問わずアイドル並みのルックスしか居ないのだが、こいつの場合はリアルとそんなに顔を弄っていないから腹が立つ。
こいつの名前はプレイヤーネームはクリップ。リアルの本名は榎本 和樹。俺の一歳上で俺が春から通う大学の先輩である。まあ付き合いがもう五年くらいになるので先輩という感覚は全く無い。
「ようやく受験終わったのか、めっちゃ待ったぞおい」
「ああ、ごめんごめん。でもクリップだって去年受験したんだろ?」
「いや、俺推薦だし」
「あっそ」
ちなみにこいつ、頭も結構いい。勝ち組ってやつだ。友達じゃなかったら殴ってる。
「まあ、それはともかくとしてだ。凄えだろ、アルカディア・プロジェクト」
「ああ、そうだな。さっきから凄えしか言ってないよ」
「だろ?どうやってこんなゲーム作ったんだろうな。時代の先取りなんてもんじゃないぜこれ」
「まあ事故があったって話も聞かないし楽しめれば良いんじゃないか?」
「まあ、そうだな。取り敢えずここで立ち話もなんだし組合行こうか」
「組合?」
まあ何となく響きで分かるが一応聞いておこう。
「いわゆる冒険者ギルドだな。アルカディア・プロジェクトでは冒険者じゃなくて探求者だが。基本的に俺たちプレイヤーはNPCからは
「
「このアルカディア・プロジェクトの名称はラテン語に寄ってるからな。そこからだろう。ちなみにこの探求者組合に入らないと相当なペナルティらしいな。検証した奴がいるが途中で諦めざるを得なかったらしい」
「へー。NPCに探求者は居ないのか?」
「いや、結構いる。つーか俺たちより強いNPC探求者なんてごろごろいるぞ。トッププレイヤーでも勝てない奴もまだまだ多いしな。ああ、あとこれは絶対守った方がいい暗黙のルールなんだが、NPCって呼ばない方が良い。プレイヤーの中でも意見が分かれるくらいここのAIは凄いし、NPCって呼ぶと何かしらのカウンターが溜まってヘイトが集まるって話だ」
「まじかよ。じゃあここのN…あー、AIはなんて呼べば良いんだ?」
「基本的にはその人の人名で。プレイヤーと分けて言う場合はクォーレって呼んでるな。意味は知らん聞くな」
「クォーレね。了解」
中々に重要な情報だ。
「んじゃあそろそろ行くか。今日はどれくらいログインしてられんの?」
「あー。取り敢えず夜までは。確かアルカディア・プロジェクトは3倍だったよな?」
「おう、3倍だ。だからざっとゲーム内時間で今日一日は平気だな。戦闘まで行けるだろ。そういや武器は何にしたんだ?」
「小太刀だな。片手で使えて、今までのゲームで馴染みがあって、一番使いやすいし」
「やっぱな。大体お前こういう系のゲームやるときはそういう武器選ぶよな」
「まあ、現実で何かやってるわけでもなし、それならゲームとはいえ使い慣れたのがいいだろ」
「まあ、そうだな。俺も相変わらず魔法職だし」
そう言うクリップの格好は普通の市民って感じだ。とても探求者には見えない。
「装備とかどうしてんの?まさかそのまま闘う訳じゃないだろ?」
「俺は全部まとめてマジックバッグに突っ込んでる。戦闘の時に一括で取り出す感じだな。普段から付けてたいって奴も居るけど」
「へえ。そういやネオンとトト姉は?」
「ああ、あいつらは今日はログイン出来ないってよ。合流は明日からだな。ちなみにネオンがヒーラー兼バッファー。トト姉がタンク兼物理アタッカー。いつもの構成だな」
「で俺が遊撃でクリップが魔法アタッカーね。ほんと役回りでもめなくて楽だよな」
「まあだからこそ5年も俺らの仲は続いてるんだろうよ」
「違いない」
そんな事を話しているうちに俺らは王都のほぼ中心に位置する大きな建物についていた。ここが探求者組合だろう。
「ここがストルタスの探求者組合本部だ。基本的にここで通常クエストを受けたり、換金したりする訳だな。最初のうちはここを中心に回ることになる」
「成る程。で俺は登録をする訳だな」
「そ。じゃあ俺はここで待ってるから」
そう言って近くの椅子に腰掛けて何やら飲み物を注文し始めた。こういうもののお約束、酒場か?いや、ただの軽食スペースっぽいな。
まあ取り敢えずさっさと登録を済ませよう。無職からジョブチェンジだ。
「えっとすみません。探求者組合に登録したいんですが」
意外にもカウンターは混んでおらずすぐに対応された。うむ、美人受付嬢は定番だな。
「はい、かしこまりました。プレイヤーの方ですね。ではステータスウィンドウを見せてもらってもかまわないですか?」
「了解です」
俺がステータスウィンドウを表示すると、受付嬢さんが何やら手元から白紙を取り出してかざすとみるみるうちに文字列がコピーされていった。おお、凄いな。
「はい終わりましたありがとうございます。では探求者としての
そういうと、受付嬢さんは何やらウィンドウを表示する。そこに書かれていたのは。
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ジョブチェンジ候補
戦士 軽戦士 重戦士 魔法使い 治療師…………エトセトラエトセトラ。
現在の
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多いよ!つーか小太刀選んどいて魔法使いとか選べんの!?めちゃめちゃ自由度高いなおい!まあ、ここは無難にいくけどさ。例えば長剣持った治療師とか杖持った重戦士とかいるのかな?
「軽戦士でお願いします」
「はい、かしこまりました。次回以降のジョブチェンジ、及びクラスチェンジは個人のステータスウィンドウから可能です。続いてクエストの説明に入らせていただきます」
そういうとまた受付嬢さんはウィンドウを表示する。
「ここ、探求者組合では探求者の皆様にクエストを発行しております。基本的に私から見て左手側にクエストを張り出しております。クエスト用紙を我々まで持ってきて頂ければ探求者の方々のウィンドウに細かい要項を添えて送付致しますのでそれでクエスト受注完了となります。クエストを完了して頂きますと我々に報告して頂ければ報酬をお支払い致します。続行不可と判断した場合、もしくはクエスト中に死亡された場合は報酬受け取り不可、更に罰金が科されますのでご注意を。大まかな流れは以上となります。細かい要項は後ほどウィンドウまで送付いたしますが何か質問等はございますか?」
「いや、無いです」
まあ良くあるパターンだな。何か独特なルールとかあったら後でクリップに聞いてみよう。
「では以上で説明を終了致します。何か全体の質問はございますか?」
「じゃあ1つだけ。探求者組合を通さないでクエストを受けるのはやっぱりマズイですか?」
「いえ、特には。むしろ積極的に受けて頂きたいですね。勿論非合法なのはご法度ですが。見つかった場合は組合からの追放に国からの指名手配です。くれぐれもご注意を」
「分かりました。ありがとうございます」
「はい、では改めて我々探求者組合は新たなメンバーの誕生を心から歓迎致します。
うお、やっぱ凄えな。ゲームの中と分かっていてもマジで惚れ込みそうな笑顔だよ、本当。
クララ「今回は探求者についてです」
クララ「私はプレイヤーナビゲーターであって探求者組合については担当外なのですが取り敢えず概要だけ。探求者は基本的に人々の害となるモンスターを倒したり、未知のダンジョンに潜り財宝を獲得する職業と考えて結構です」
クララ「人々からの知名度も高く、社会的信用も得ています。ストルタスではありませんが人口の95%以上が組合に所属している。そんな国も存在しています」
クララ「また、高名な探求者になれば王家に重用される事などもあり、平民にとっては成り上がりを目指す者の代名詞とも言われています」
クララ「大きな声では言えませんが戦争に駆り出される事もしばしばあり、傭兵的な仕事をする事も多いです」
クララ「そんな探求者のトップに君臨するのは未だクォーレです。プレイヤーの方々にはもっと頑張って貰いたいものですね」
クララ「では今回はこの辺で失礼致します」