アルカディア・プロジェクト   作:ムササ

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まだ章タイトルのかけらも無い……
というか、そろそろ後書きをクララ一人に任せるのが辛い……早く新しいAI出さないと……


#5 妹=天使の法則

「それで、結局1時間での戦果がそれか」

 

 あれから俺は1時間ほど森の中でモンスターを狩り続けた。結局最初に会って以来キラーモンキーには遭遇(エンカウント)しなかった。色々なモンスターと戦ったがキラーモンキーだけずば抜けて強かったしレアエンカウントエネミーらしい。他に戦ったのはゴブリン、ホーンラビットに加えてハニーホーネットという大型の蜂。このハニーホーネットが面倒で一匹一匹は弱いのだが大量に現れる。しかもその蜂は子供くらいの大きさなのである。正直気持ち悪い。

 

「にしても良くその装備でキラーモンキー倒せたな。あいつ初心者殺しで有名なモンスターなんだが」

 

「確かにあいつだけずば抜けて強かったな。投げてくる実を弾くなり避けるなりしてたら地面に降りてきたから近づいてきた所をカウンターだったわ」

 

「それが最適解だな。まあ初心者だとその実を避けるところからして難しいし、まだゲームに慣れてないと殺意剥き出しで襲ってくる武器持った猿なんか怖くてまともに動けないからな。近づかれたら終わりだ」

 

「確かに、あんまりリアルになりすぎるのも困りものだな」

 

「んで?そんな中普通に相手出来たお前はどう考えてるんだ?」

 

「普通も何も、これが初めてのゲームって訳じゃ無いし、人相手でも無いんだ。まあちょっとこのリアリティで対人戦はまだ早いかなって思うけど」

 

 流石に人間とモンスターを殺すのは同列に語れない。いくら殺しても生き返るプレイヤーだって殺されるのは怖いし死ぬのを見るのは恐ろしい。実際戦闘中に親しい仲間が殺されてパニックになって戦線崩壊とかよくある光景だ。

 それに多分このゲームをやる限り俺はNPC(クォーレ)を1と0で出来たプログラムとしては見れない。少なくとも俺はクララを見た時も、初めて話したあの女の子を見た時も、受付嬢を見た時も違和感は感じなかった。多分他のプレイヤーにも多いだろう。俺は彼女たちは人間としてしか認識できない(・・・・・・・・・・・・・)

 勿論プログラムとして割り切れる人もいるだろう、それはそれで否定しないし恐らくそっちの方が正しいのだろう。ただ俺は思ってしまうのだ。これだけ高度な自由意志と個性を持っていたらそれはもう人間なのでは無いのか、と。

 

「そういやキラーモンキーとかゴブリンとかから結構な量の武器がドロップしたんだけどこれ使い道って有る?」

 

 キラーモンキーからドロップした[欠けた長剣]を筆頭に[粗末なナイフ][粗末な手斧][粗末な槍][粗末な小剣]がゴブリンからドロップしている。つーかこいつら地味に鉄製の武器で武装してるんだよな。やっぱプレイヤーからの追い剥ぎ品なのかね?

 

「あー、この[欠けた長剣]はまだしも他のゴブリンからドロップしたであろう[粗末な〜]シリーズはクォーレの商人に売るかプレイヤーの商人に売るかあとは鋳つぶすくらいしか無いな」

 

「鋳つぶす事も出来るのか」

 

「出来る。インゴットにすれば後々役に立つ時が来るかもしれないし、その場で新しい武器なり防具なりにしてもらう事も出来る」

 

「やっぱサブウェポンは持ってた方が良いのか」

 

「そりゃあな。固有武器は絶対に壊れないがある程度進化を重ねないと数打ち品と変わらないし形状は1つだ。進化の仕方によっては戦闘中に形状が変化するような固有武器もあるらしいが今からそんなことを考えても仕方がない。そもそもそいつの固有武器は色んな武器をサブウェポンで使ってた奴のらしいからな」

 

「成る程。ちなみにマン・ゴーシュとか有る?」

 

「おう、有るぞ。騎士系のプレイヤーがたまに持ってるな盾の代わりに。流石に固有武器がマン・ゴーシュの奴は見た事ないが」

 

「それは俺も嫌だな。固有武器はダメージリソースの要だし。ちなみに鋳つぶしてその鉄でマン・ゴーシュ作るのとこれ全部売ってマン・ゴーシュ買うのどっちの方が安い?」

 

「前者の方が圧倒的に安いし得だ。アルプロは人との繋がりをかなり重視してるからな繋がりは多ければ多いほど良い」

 

「了解っと。じゃあ俺は鍛冶屋に行ってくるけど、クリップはどうする?」

 

「あー、すまん俺はパス。そろそろ連続ログイン制限がキツイしちょうど良いから一旦止めるわ」

 

 クリップの言う連続ログイン制限とは書いた字の通り連続でログインできる時間制限である。VRゲームはそのシステム上、脳に結構な疲労が蓄積する。その為1時間に5分ほどの休憩を取るのが望ましいとされている。そしてその休憩を強制的に取らされるのが連続ログイン制限である。これはどのゲームでも一律で3時間につき15分の休憩が義務付けられている。

 時間が迫ると警告メッセージが視界にポップしてそれでも無視すると視界いっぱいにカウントダウンが始まり、それが終わると強制ログアウトとなる。

 

「オッケー了解。じゃあ俺はもうちょっとアルプロの中を楽しんでるわ」

 

「そうしろそうしろ。エターリアの中を見て回るだけでも1日潰せるからな。あと夜にメッセ送るわ、ネオンとトト姉も夜にはメッセ出来るって言ってたし」

 

「わかった。んじゃまた夜に」

 

「おう」

 

 そう言ってクリップは何やらウィンドウを操作して、数秒立ち止まる。次の瞬間には僅かなエフェクトを残して消えてしまった。あれがアルプロ内でのログアウトなのだろう。

 

「じゃあそろそろ俺も動きますかね」

 

 目指すはエターリアの中の鍛冶屋である。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「や、やっと着いた」

 

 正直舐めてた。広いとは言っても所詮は一つの都市、マップがあれば余裕だろとか思ってた。まさか人混みがあんなに障害になるとは。大通りは通行止めかと思うくらいの人でだったら裏路地から行こうと思って行ってみるとなんかイベントに巻き込まれそうな感じの匂いが凄いするし、面倒だから迂回すれば迷路みたいな入り組んだ道だしでなかなかに時間が取られた。

 そんな思いをしてようやく着いたのがこの鍛冶屋である。何でもクリップもトト姉もネオンも最初にお世話になった鍛冶屋兼装備屋で気のいいおじさんが店主らしい。

 店の前で突っ立ってるのも邪魔だろうしさっさと扉を開ける。

 

「いらっしゃい!何か入用かい?おや、初めて見る顔だね」

 

 出てきたのは3人の前評判通り人の良さそうなおっちゃんである。

 ガタイがとても良く正直ゴブリンくらいなら殴って勝てそうだ。そのせいで何割か損していると思う。

 

「あー、クリップって奴からの紹介で来たんですけど」

 

「えっとちょっと待ってくれ……クリップ、クリップっと……ああ!居た居た、魔法使いの小僧だな。了解、紹介で来てくれたならサービスしないとな」

 

「ありがとうございます。それで注文なんですけどこれ、鋳つぶして貰えますか?」

 

 そう言って[粗末な〜]と[欠けた長剣]をカウンターに置く。

 

「ん?こりゃあ、数打ち品、しかもボロボロだな。この長剣ならちっとばかし修理すれば使えそうだが、これも良いのか?」

 

「はい、大丈夫です。出来れば新しくマン・ゴーシュを打って欲しいんですが」

 

「マン・ゴーシュか。なかなか渋い武器だな。見た感じお前さんも探求者(クアエシトール)だろう。服装的に軽戦士ってとこか。マン・ゴーシュってことはサブウェポン、良いだろう。これだけ有れば鋳つぶした金属だけで打てる」

 

「ありがとうございます!大体おいくらで?」

 

「いや、金は良い。マン・ゴーシュ一本打つのにこれだけ貰ったら過剰だし、紹介で来てくれてるしな。初回サービスって奴だ」

 

「本当ですか!?じゃあ悪いんで何か買って行きます。手頃なナイフとか欲しいんですけど」

 

 流石にタダでやって貰う訳にはいかないし、もし本当にアルプロがそんな一昔前のギャルゲーみたいな機能を搭載しているのならこの店主とは縁を結んでおいて損はない。

 

「あんた律儀だな、そこまでせんでもいいのに。まあ買ってくれるってんなら嬉しいが。そうだな、ナイフってのは投擲用か?」

 

「はい、投擲用です」

 

「じゃあここら辺だな、1ダース1000レリだ」

 

 店主が指差したのは最初にクリップから貰った[投げナイフ]レリというのはアルプロ内での通貨単位で最初にクララから貰った初期資金10000レリに加え先程までのドロップ品を売った合計が約5000レリ。1レリ1円と考えてもまだ余裕はある。

 ちなみに最初にクリップから貰った消耗品で唯一使ったのが[投げナイフ]である。どちらにせよ補充はしないといけなかったから良かった。

 

「じゃあ1ダース下さい」

 

「はいよ、毎度あり。んじゃあ適当に日にちが経ったらまた来てくれ。あと良かったらウィンドウ登録してくれればこっちから終わったら連絡するが」

 

 ウィンドウ登録というのはクォーレとのフレンド登録の事である。

 これは、積極的にして行くべきかな。

 

「じゃあお願いします」

 

「よし!これで終了だ。じゃあ終わったら連絡を入れるそれまで待ってろ」

 

「はい、ありがとうございました」

 

 再度会釈をしてから俺は店を出た。

 そういえば名前を聞くのを忘れて居たな。今度マン・ゴーシュを取りに来るときにでも教えてもらおう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あー、歩き疲れたー」

 

 あれから少しエターリアの中をぶらぶらと散歩していい時間になったのでログアウトをした。

 時計を見ると午後5時半、約2時間半程アルカディア・プロジェクトの中にいた事になる。すなわち体感的には7時間半だな。

 

「ただいまー」

 

 すると丁度いいタイミングで玄関から人の声。

 

「お帰り、花蓮」

 

「あ、お兄ただいま。大学入試どうだった?」

 

「ん、合格だった。そんで今までちょっとアルプロしてた」

 

「おおー、おめでとう。そっか美夜ちゃんも響子さんも心配してたもんね」

 

 美夜ちゃんと響子さんというのはネオンとトト姉の本名である。俺と親しいゲーム友達、しかも女性というのに興味を持ったらしく一度会って以来仲良くしている。

 

 しかしそれよりも、説明せねばなるまい。この俺の前に立つ世界で一番可愛い天使と見間違うような少女こそ俺の妹、九条 花蓮(くじょう かれん)である。

 溢れる天使感、くりんとした目、抜群のスタイル、丁度良い身長、溢れる天使感、すらっとした手足、パーフェクトな顔、溢れる天使感、長い黒髪、溢れる天使感、溢れる天使感etc……

 つまりは九条花蓮こそが世界で最高の妹である。実妹じゃなかったら手を出していなかったことがあるだろうか、いや、無い。

 

「いやー、今日も花蓮は可愛いな」

 

「うっさいお兄。面倒だからやめて」

 

 こんなツンデレな所も最高だ。

 ちなみに花蓮は今高校1年なのでネオンこと、葛城 美夜(かつらぎ みや)の一つ下に当たる。俺の二つ下だな。

 トト姉こと南 響子(みなみ きょうこ)が現在大学2年、クリップこと榎本 和樹(えのもと かずき)が大学1年だ。

 

「バッグ持とうか?」

 

「いや、良いよ。これくらい平気だし。それよりお母さんもお父さんも今日早いらしいからさっさと夕飯作っとこうよ」

 

「マジか、わかった。今日の献立って何だっけ?」

 

「ハンバーグ」

 

「了解。じゃあ先に支度しとくわ」

 

「わかった。私も荷物置いて着替えたらすぐ行く」

 

 何故こんな当たり前のように俺と花蓮が夕飯を作っているのかというと答えは簡単。幼い頃から両親とも共働きでちょくちょく夕飯なり昼飯なりを作っていたからだ。最近になってお母さんからもお墨付きを貰い、一人暮らしでもこれならやっていけるという合格を戴いた所だ。

 

「さて、これならもう一品くらい作れそうだな」

 

 冷蔵庫の中を調べると簡単なサラダくらいなら作れるだろう。

 さあ、花蓮が降りて来る前にパパッと準備だけでも済ませておきますか。




クララ「今回は時間の流れについてです」

クララ「本文中ではさらっと流されましたがアルカディア・プロジェクトの中と現実では時間の流れがある異なります」

クララ「具体的な数字を言うと3倍アルカディア・プロジェクトの中の方が早いです。アルカディア・プロジェクト内での3時間は現実での1時間という訳ですね」

クララ「これに関わって来るのが連続ログイン制限とデスペナルティです。連続ログイン制限は現実での3時間、つまりアルカディア・プロジェクト内での9時間を過ぎるとアラートが鳴ります。探求者はその時間を調節しながら進めていかないと大変な事になる訳です」

クララ「もう一つのデスペナルティですが、後ほど本文中で詳しく説明しますが、アルカディア・プロジェクトのデスペナルティは現実時間での24時間のログイン禁止と固有〜と現在装備中の装備と重要アイテム以外の中からランダムなアイテムのロストです」

クララ「24時間ログイン禁止はあるコンテンツの不正利用防止の為ですね。まあ例によってこれを管理しているのも私ではないのですが」

クララ「それでは今回はこの辺で失礼致します」
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