俺は今凄い所にいます。
どんな風に凄いかって?とにかく凄いんですよ(語彙力不足)
小説とかアニメで見た事がある、いわゆる『異世界転生』って呼ばれているものに俺は巻き込まれたみたいです。
そう、巻き込まれたんです。まぁ原因は俺自身なわけなんだけど、それでもここに来たのは俺の意思じゃない。
「何ぼさっとしてるの?」
隣にいる幼馴染兼姉の「遠藤寛菜(えんどうかんな)」は俺を見下ろしながら、早く行こうと急かしてくる。だが待ってほしい。俺はまずここがどこだか知りたい。情報処理が追いつかなさすぎる。
「ちょ、ちょっと待って。ここどこ?」
「え?異世界?」
なぜに疑問形
「だって、私も来るのは初めてだもん」
「は?」
この人は何言ってるんだ?来るのは初めて?え?マジ?
「お義父さんから話聞いて、楽しそうだなーって来たの」
ああ。なるほど、そういう事か。
この幼馴染兼姉は好奇心の塊なのだ。いや、奴隷か。
なんせ「楽しそうじゃん?」で色々とやってしまう人なのだ。
こうなってしまっては俺には止める術はない。ええい、ままよ。
「楽しそう、ってのは分かったんだけど、ここどんな世界かだけは教えて?」
「ここは剣と魔法の世界アリア。大陸の形とかは私たちの知ってる地球と大差ないってさー」
「じゃあ今いるここは地球で言うところのどこに当たるの?」
「ここは私が間違ってなければ日本よ」
ということはここは北海道か。気温はそこそこ暖かいし季節は春先ってところかな?
「ケイくん難しい顔してるー」
「誰のせいだと」
「ケイくん?」
「・・・間違ってないのがなぁ」
ケイくん、とは俺のことで、本名は「高木慶成(たかぎよしなり)」。高校2年で超絶平均的な男子高校生です。って誰に説明してんだ。
「剣と魔法ってことは武器とかあるの?」
「んーっとね」
バカが辺りを見渡すと、いかにも武器屋のような店があった。とりあえずどんなものが売ってるか見てみたい。同じ事を思ったのかバカは「行こ?」と言って先に行ってしまった。とりあえず俺も行こう。
中には色々な剣と装備、杖やよくわかんない本が置いてあり嫌でも異世界に来たことを実感させられた。
剣かぁ・・・ゲームとかでもそうなんだけど近距離武器好きじゃないんだよな。遠距離で支援するのが俺のプレイスタイルだし。
ちなみにバカは全く逆。近距離で相手と殴り会うプレイスタイルだ。だからゲームをやる時は大体俺が後衛、バカが前衛でやっていた。
「私これにしようかな」
バカは日本刀の様な剣を持っていた。バカらしいといえばらしい武器だ。というか
「それ買うだけのお金あるの?」
なんせつい何分か前までは今いる世界では無い世界にいたのだ。こっちの通貨など持ってるわけないのだ。
「円で買えるみたいだよ」
マジですか。値札を見てみると確かに円で表示されていた。ただ物価がえぐい事になっていた。
恐らく初心者用の武器と思われるもの。モンス〇ーハン〇ーの片手剣の見た目のもので値段が3銭。
銭って確か円の100分の1だよな?日本刀で確か1本ウン百万だったはず。仮に百万だとしても俺の知ってる世界の物価の1億分の1くらいか・・・??
慌てて財布を取り出してみると中には3500円。この世界での俺の資金は3500億円って事になる。国動かせるぞこれ。
「万札見せたらなんか最高級の奴ですってくれた」
「くれた」
「うん」
物価云々気にしてないバカは国家予算レベルの金をチラつかせて半ば脅すように武器を買った(奪った)事になる。
多分この店の武器全部買っても500円しないだろうしそりゃ急に万札見せられたら怖いよな・・・
「ケイくんはなににするの?やっぱ魔法?」
「うーん、それなんだけど」
実際魔法系で行こうと思うのだが、なんとなく違うのもいいなぁと思ってもいる。
そうして色々と物色していると店の片隅に「ソレ」はあった。
「お?」
それは弓だった。俺にとっては馴染みのある物で、平凡すぎる俺が唯一誇れるものだ。値段はーっと・・・ん?書いてない?そんなはずはと探してみるもやはり見つからない。こういう時は聞くに限る。
「すいません。あそこの弓っぽいのっていくらですか?」
「ヒッ」
あ、そうか。どこかの誰かさんが万札で脅したから店員が恐怖でビビっちゃってるのか。
「あーっと・・・あの人の連れですけどあの人とは違って常識はありますから怖がらないでください」
後ろから「馬鹿じゃないよー!」と聞こえる気がするが無視だ無視。だいたい誰のせいでこうなってると思ってるんだ。
そうしていると店員さんは何かを察したのか「可哀想に」的な目線で俺を見てきた。同情するなよ、悲しくなる。
「あ、あれでしたらお好きな値段で」
「なぜ?」
「あれはこの世界では役に立ちませんから」
あー。そういえばここは『剣と魔法の世界』だったな。近距離なんだか遠距離なんだか分からん武器は廃れるって訳か。
「しかも1発打つのに魔力がシャレにならないレベルで消費するから使いにくいったらありゃしない」
色々と話を聞くとこの世界での魔力とは24時間で回復するもので、道具を使わない限りは有限だそうだ。魔力がゼロになると回復するまで気絶するらしい。スタミナみたいなものか。
「しかも威力が自分の魔力の最大値と同じになるから大概の奴は威力が低い」
「その魔力の最大値ってどこで分かりますか?」
「協会とか行けば一発なんだか、まぁここでもある程度なら分かるぜ」
「ならお願いしてもいいですか?」
「こっちだ」
義姉さんは「ちょっと店の中もう少し見るね!」と言ってついてこなかった。1人にするのは怖いがまぁ流石に街中で、しかも店の中で乱闘なんてことはしないだろ。
「さっきも言った通り魔力の最大値と武器の威力が同じなわけだから、威力が分かれば魔力の最大値がわかるって理由」
なるほど、確かに大雑把でいいなら的さえあればここでもいいわけだ。
「んじゃあの的に当ててみてくれ、まぁ当てるのも厳しいだろうが」
「アレでいいんですか?」
「あ?」
5mくらい先に直径1m位の的があった。いくらなんでもあれを外すのは無いだろ・・・
とりあえず弓を持ってみる。すると背中と腰と右手に違和感が来た。見ると「かけ」と矢筒がありなかには何本かの矢があった。
「矢は取る度に自動で補充される、だから残り何本とか気にする必要はないぞ。ま、気にする前に魔力切れになるだろうがな」
じゃあ遠慮なく射るとするか。これでも弓道部だしっかりと構えて・・・
「変な撃ち方だな」
うるさい。これが本当は正しいんだよ。
会に入り的に狙いを合わせる。そして離れ。もちろん的には当たる。が、予想外のことが起こる。
「は?」
「え?」
2人とも( ゚Д゚)←みたいな顔して的を見ていた。
矢が的を貫通したのである。おいおいおい!!
「こ、こりゃすげぇな」
店員さんもこれにはニッコリ()
「HAHAHAHAHA」
俺は乾いた笑いしか出来なかった。
「あんた何者だ?」
「ただの高校生ですよ。ほんと」
「コウコウセイ?」
なんやかんや(掃除が殆どだった)あって弓は最初に見つけたものを買うことにした。店員さんには「弓の代金はいらないから的の代金払ってくれ」と言われ、いくらかお金をチップ的なものも含め払い義姉さんと合流する。
ここから新しい世界での生活が始まる!と意気込んで店を出たものの肝心なことを忘れていた。
そう衣食住が揃ってないのである!なぜ揃ってないのか?そう!誰も!探そうと!しなかったのである!!
時間はもう深夜と呼んでもいいであろう時間。いや、宿は探そうとしたんだよ?でも「あれ見て!あ!あれも!」と好奇心の奴隷となった義姉さんに引きずられるように街中を巡っていたらこうなっていた。
「何か言うことは?」
「寝たい」
「本能に素直でびっくりだよ・・・」
少しは自重して欲しいものだ。とにかく宿を探さねば。
するとそれらしい店があった。が
「あーれは不味いよな」
「なになにー?・・・・・・うん、あれはね」
俺らはちょっと青少年によろしくない場所に来てしまっていたようだ。すぐ引き返すに限る。一体何が始まるんです?始まらねぇし始めさせねぇよ。
「と、とにかく来た道を戻ろう」
「そ、そうだね」
そうやってもう2時間くらいかけようやく見つけた宿に1週間分の代金を払い2部屋借りてその日は疲れもありすぐ寝た。
これから何をしていくか、何をするのか、どうしたら元の世界に帰れるか、問題は山積みだがとりあえず寝よう。人のこと言えないな。そう思い眠りについた。
次回は1週間後を目処に投稿する予定です。