アナスタシアさんが来てから約1週間。彼女の生活能力が段々と分かってきた。
まず真っ先にわかったのは料理の腕。これに関しては、「任せよう」という結論に至った。
ぶっちゃけ普通に美味しい。星のつく料理店とまでは行かないだろうが普通に食べてて美味しいし、義姉さんも
「私的にはこっちの方が好き」
との事で料理は任せることに。
次に判明したのは整理整頓。つまりは自己管理能力である。これが酷かった。本人曰く
「私がやらなくても良くない?」
的なことを言っていたので今後要改善だ。あと自分に関する事が死ぬほどできないこともわかった。料理はなぜできるのか聞いたところ
「ほかの人が喜ぶから」
とはっきりと答えてくれた。尽くすタイプ(?)なのか。
という訳で
「アナスタシアちゃんには厨房に入ってもらいたい!!」
「アッハイ…」
「まー、異論は無いけど本人の意思は?」
「大丈夫で・・・す?」
「疑問形・・・」
「大丈夫です!?」
「義姉さんはなぜ驚きながら言ったし」
料理の腕を是非とも我が店に役立ててもらおうと珍しくいいことを言い出した義姉さんは早速本人の同意を得るために部屋に押しかけていた。ノックはしたが間髪入れずに開けていたのでアナスタシアさんもビビっていた。これに関しては慣れてもらうしか無いってのが悲しいよな・・・
「とまぁ、姫様といえど郷に入っては郷に従え。という事で」
「ん・・・」
戸惑いながらではあるが了承してくれた。
それから店のレシピ開発が始まった。こちらの世界に詳しい、というか住んでた人ならではの料理のレシピが出てきて義姉さん曰く
「UMAだよ!新発見だよ!」
と言っていたが、UMAは違う気がする。
そんなこんなで新メニューが次々と考案され店は繁盛。3人では回らなくなるレベルの人がやって来ていた。
「すいませーん」
「はい!ただいまー!!」
「注文いいですか?」
「少々お待ちください!」
最初はちょっとした喫茶店位の混み具合しか想像してなかったのでまさかここまで繁盛するとは。恐るべし姫様料理。
ここに来ている人の7割ほどは男性客だ。なぜそんなに多いかと言うと
「美少女姫様が料理を振舞っている」
という噂を流したどっかのアホ義姉のせいだ。これが事実だから困る。この客全員に対応するのは3人じゃ足らんぞ・・・
なんとかお客全員をさばき切ることが出来、つかの休憩。
「流石に疲れたし、夕方からまた回せると思わないし今日は一旦閉めよう。」
「そうだね。アナスタシアちゃんが可愛そうだし」
厨房でせっせかと調理していたアナスタシアさんは放心状態だった。あれだけ混めばそうなってしまうのも仕方ない。
「アナスタシアさんお疲れ様」
「お疲れ様です・・・・・・」
「大丈夫?」
「大丈夫・・・じゃないですね、疲れました・・・」
「お疲れ様。こんなに混むとは思っていなくて」
「いえ、楽しかったのでいいですよ。初めての経験でワクワクしましたし」
「そう言って貰えるとありがたいです」
ニコっと笑うと力尽きたかのように机に突っ伏してしまった。こらこらお姫様や。
「ここで寝ると風邪ひきますよ」
「じゃあケイくんが運んであげなよー」
は?
「文字通りのお姫様抱っこ!」
はい?
「お願いします・・・」
えぇ・・・まさかの本人乗り気なの・・・まぁ頑張ってくれたし・・・
「お姫様抱っこってされてみたかったんですよ。前から
少し気になっていて・・・」
「・・・分かりました」
非力な俺に持てるかどうか怪しいぞ。
「よっと」
「はわわ・・・」
軽い。軽すぎるくらいだった。
「ちゃんと食べてますか?」
「し、失礼ですよぅ」
「ケイくんセクハラ?」
「義姉さんも持ってみればわかるって」
「ワタシヒリキダシナー」
「え?」
俺よりも力強いのに何を言ってるんだか・・・
「ん?なにか?」
「ごめんなさいなんでもないです」
「あ、あの!!」
恥ずかしくなったのかアナスタシアさんが「私を忘れないで」と言わんばかりに声を出した。
「すみません。今行きますね」
「よ、よろしくオネガイシマス」
後半片言になっていたのは気のせいだろうか?
アナスタシアさんを部屋に運んでる最中に、ふとアナスタシアさんを見るとすやすやと寝息を立てていた。本当に疲れていたんだな。
部屋に無断で入るのは少し気が引けたがしょうがない。と割り切りベッドにアナスタシアさんを寝かせて、義姉さんと店の片付けをして、俺も早めに布団に入ることにした。
その後1ヶ月ほどは店の回転率があまり良くなかったが、1ヶ月もすると慣れてきたのか何となく周り出すようになり段々と3人でも何とかなるようになってきた。
アナスタシアさんも調理に慣れてきて、料理を出すスピードもだんだんと早くなっていた。
「海へ行こうか!!」
「「はい?」」
また突然の義姉さんの発作が始まった。アナスタシアさんはこの1ヶ月で段々と慣れてきたのか初めほど驚かなくなってきた。
「夏っぽいこと、まだしてないじゃん!!」
「店が忙しかったし、仕方ないでしょ」
「すみません・・・」
「いえ、アナスタシアさんは悪くないですよ」
「そう!アナスタシアちゃんは悪くない!問題はこの辺に海がないことだよ!!!」
「まぁ内陸国だし」
「移動手段を用意したんだよ!!」
いつの間に。全く気が付かなかったぞ。
「ふっふっふ。私は行動派だからね!」
「おおっ」
そこ。素直に感心するんじゃない。
「じゃーん!!」
「海だーー!!!!」
俺は両手両足を縛られていた。
話はまとまっているので書き起こすだけなんですが、時間が本当にないのでどうかお慈悲を・・・