武装神姫BATTLE MASTERS Mk.2-お嫁さんを買いました-   作:belgdol

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マスター、雑貨をかうの巻き

 武装の陳列された棚は裏表両面にずらりと並べられたものが三対と一つあったが、武装の選定そのものはさっさと終わってしまった。

それというのもレイットからライドバトルに使うかも知れないものなのでコストに収まるようにレベル1のカテゴリから選んでくださいと条件をだしたら、一気に売り場の七分の一まで絞り込まれたからだ。

その上マスターのお好みの武器をと言われれば、更に個人的な趣味で選ばれる品物は絞られる。

結局マスターがレイットに初めてプレゼントした攻撃的な武装はトンファー、そのお値段339sptというものだった。

そうして店員が離れた後で最低限の武装は揃ったね、と話しながら歩いていると、神姫用雑貨コーナーというのがマスターの眼に留まった。

 

「レイット、神姫用の雑貨ってなに?」

「えっと、たしか神姫用の日用品。それこそ神姫サイズのスリッパだとか、マスターのお家で話した神姫用のエアクリーナーなんかもこの雑貨に入るはずです」

「ふむ。エアクリーナーか。買っておくかな」

「いえ!マスター、エアクリーナーは小さなシャワー室みたいなつくりになっててですね、場所を取るんです」

「ん?場所を取るのか。うーん。俺の家であんまり場所を取るのは避けたいな」

「ですよね!ですから、その、マスターのお手を煩わせることになってしまいますけれど、埃取り用のブラシを買っていただければ……嬉しいです」

「ブラシでいいのかい」

「その、髪と背中以外は自分でブラシ掛けをしますからっ。マスターには髪と背中だけお願いしたいです」

「他の部分は自分でするのかな」

「む、胸とかお尻とかは自分でやりますから!」

「そこまで俺に任せるのは恥ずかしいと」

「ぅー……恥ずかしいですよ。これでも私女の子なんですからね」

「そうだね。悪い悪い。じゃあヘアブラシと、ボディー用のブラシってあるのかな。それとついでにヂェリカンをいくつか買っておこうか、毎度レイットに食事を見てるだけの味気ない思いをさせるのもなんだしね」

「あ、ボディー用のブラシは神姫サイズと人間サイズがあると思いますけど、今回は……」

「うんうん。レイットが自分からお願いしてくるまで待つよ。それじゃあ早速良さそうなのを捜そうか」

「もうっ、マスターったら」

 

 抗議の意思を込めているだろう軽い、それこそ言葉で表すならぽすんというほかないレイットの地団駄がマスターの肩を襲う。

だがやはり物理的に軽いそれはマスターに彼女への親愛しか感じさせないのか。

軽く笑いながら品物を選ぶマスターの顔を緩める効果しかもたなかった。

そんな中、マスターがある品物に気づく、それは埃防護スプレーと名付けられた缶で、どうやら神姫を外に連れ出す神姫マスター向けの一本らしい。

こんな物もあるかとしみじみするマスターの肩をそっとレイットが揺らす。

すると「あの」と前置きしてからマスターに訴えかけた。

 

「防護スプレーは万能じゃないですから。ブラシは買わないとダメですよ?」

 

 そんな風に訴えられると無視するわけにもいかず「解っているよ」と返してからスプレーを陳列棚に戻してから少し歩いて、マスターはスプレーを再び手に持った。

その後で、改めて見つけ出したそれを手に取る。

小脇に抱えられる程度のサイズの箱に書かれた品名は神姫お料理セットである。

神姫は複数いればマスターの料理を用意する事も出来る、結構万能なパートナーである。

マスターはそれに惹かれたのだろう、内容物は神姫でも使える包丁、神姫でも目玉焼きが作れる超軽量合金製フライパン、神姫でも盛り付けられる食器数点と、オマケで神姫用マグカップ(ピンク)と言う内容で、レイットは自分が何を期待されているのか察した。

 

「マスター。お料理は冷蔵庫が届いてからですからね」

「解ってる。今買っても余らせた上に腐らせるだけだからね」

「調理アプリ、ダウンロードしていきますか?」

「んー。レイットがアプリが必要なほど凝った料理作りたいなら」

「どうしましょうか……そういう料理になるとちょっとこのセットじゃ足りないと思うんですよね」

「そうだね。これはあくまで軽い朝食を神姫に作ってもらいたい人向けっていうコンセプトなのかな」

「後は、軽いおかずですね。どうしますかマスター」

「うーん。三食レイットに頼るのは悪いからこれでいいかな」

「解りました。冷蔵庫が届いたら二人でスーパーにお買い物に行きましょうね」

「そうだね。さて、後はヂェリカンかな」

「ヂェリカンは買いだめできますから。ある程度一気に買ってしまいましょうマスター」

「んー、中のオイルが古くなったりはないかな」

「何年も放置すればあるかもしれませんけど、毎日マスターにご相伴する為のものをそんなに放置したりはしないと思いますけど」

「よーし、じゃあうまし棒を買い揃える感じで色々買おうか」

「はい。マスター」

「はははは、凄いなヂェリカンの種類って。なんか今月の当店オリジナルおでんの卵の黄身味とかあるよ」

「わ、私そんなの飲みません!」

「そうだねそうだね、こういうのは色んな味に慣れて、いつもと違う味を探求したくなった時でいいよ。とりあえず果物系から順に行こうか」

「果物……マスターは何の果物が好きですか?」

「俺は桃かなぁ。冷やして食うと溢れる甘い汁が好きでね」

「じゃ、じゃあそれを多めにお願いします!」

「了解。レイットも桃を好きになってくれると嬉しいな」

「そ、そうですか?でもなんで……」

「好きなものがお揃いになるじゃないか。なんていうのを男が言うのは気持ち悪いかな」

「はえっ、そんなこと無いです!マスターと好きなものが一緒なの、とっても素敵です!」

「良い良し、レイットは良い子だなぁ。しかし神姫SHOPっていうのはこういう嗜好品まで支払いはsptなんだね」

「あっ、えっとそれはライドバトルで勝つとsptが貰えますよね」

「そうなの?」

「そうなんです。で、神姫を製造するメーカーは長くライドバトルをユーザーの皆さんに楽しんでいただく付加価値として、武装だけでなくこういった雑貨品もsptで買えるように取り計らっている、と言うことらしいです」

「なるほど、一回のライドバトルでどの程度ポイントがもらえるのかは解らないけど、こういう神姫との込みニュケーションアイテムもsptで買えることで初期投資を抑えて楽しむことが出来るんだね」

「まぁ、ライドバトルのポイントだけで神姫との生活全てをまわせるような方はそれこそ公式大会の上位者だけという話ですけれどね」

「それはそうだろうね。そうでもないと儲けが出ないだろうし」

「マスターには先に言わせていただきますけど、ライドバトルでsptがもらえるのは勝利者だけです。だから、皆必死なんですよ」

「なるほど。色々あるんだね」

「そうです。色々あるんです」

「ま、それも今のところは俺達には関係ないよ。それよりまだ欲しいものはない?エプロンとか」

「エプロンですか?神姫用の武装じゃない衣装ってオーダーメイドになりますから、このお店じゃ取り扱ってないと思いますよ」

「ありゃ、雑貨コーナーがこれだけ充実してるんだからそういうのもあるかと思ったんだけど」

「えーとですね。神姫用の服って、企業より非公式の、古くから居たドール愛好家の皆さんとかの勢力が強いんです。私の製造元であるフロントライン社は企業のお客様に神姫を提供する時にサービスで制服を作ることはあるようですけれど、一般には出回りませんね。あくまで私達神姫は『武装して戦う玩具』なんです」

「そうかー。それはちょっと残念だね」

「残念、ですか?」

「だって、こんな可愛いのにお洒落をメーカーが主導してないなんてさ」

「え、えと、お洒落さならAVANT PHYSIQUEのシャラタンやベイビーラズが楽器を扱うイメージで作成されているので……」

「そういうんじゃないよ。可愛い服、着たいでしょ」

「ぁぅ……」

「こらこら、困らない困らない。まぁ服もその内買おうね」

「わ、私はこのデフォルトのスーツのペイントが服みたいなものですから!」

「俺が見たいの。これはマスターとしての俺の決定です」

「はぅぅ。じゃ、じゃあそんなマスターに報告です」

「ん?なにかな」

「神姫用衣装は武装として認識される物を装備すると、素体をナノ・コーティングして衣装に見合った状態にしてくれます。だからその、肌面積が増えたりしますけど」

「うん。それで」

「エ、エッチなのはだめですからね」

「ははは、了解」

 

 マスターの肩で赤くなって(神姫は約15cmというサイズの中に多彩な表情や、こういった感情をあらわにする表現機能が搭載されている。凄いね、2040年)なぜだか頬を膨らませている。

マスターは荷物が大量で、レイットを肩に乗せているため、ちらっとレイットを見ても綺麗なつむじしか見えなかったが、まぁ心中察したのだろう。

後は黙って会計を済ませるのであった。

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