あと、遅くなりまして、申し訳ない。
エージェント・オブ・シールドを第三シーズンまで見返していたもので。
ランサーらしき女性のサーヴァントを倒し、周囲の安全を確認すると、所長を隠したビルの影に移動する。
「ピィッ!!あ、貴方は、序列7位のカドック・バートンじゃない!?」
『所長、落ち着いて下さい』
自分の姿を見た瞬間ガタガタ震えて、まともな意志疎通が難しそうな所長のIDをどうしようか悩んでいると、何もない空間に映像が投影されて、そこにはサボりの常習犯たるロマニ・アーキマンの顔があった。
「おう、出たなサボり魔。ジャーヴィスはそっちにいるか?」
『ジャーヴィスって?それよr』
『カドック様、ご無事で何よりです。あの爆破の後、当初の予定通り特異点Fへとレイシフトを実行されました。本来はコフィンを介さずにレイシフトは成功率が低いのですが』
「師匠達も言っていたが、0%でなければ成功したのも同じさ」
『納得致しました。無事に特異点Fにレイシフトできたことから、そちらでその特異点発生の元凶を絶てば特異点は崩壊。カルデアに帰還できるかと』
「アベンジャーズ、もしくはフューリーさん達と連絡は?」
『申し訳ありません。今のところ、外部との通信は一切できておりません』
「そうか。仕方ない。これより、ホークアイは非常事態と判断し、アベンジャーズの理念に基づきミッションを開始する」
『承りました、カドック様。彼女達の出動は?』
「既にコードネーム、パライソに出動してもらっている。インフェルノやKENGOU達には、しばらくそちらの防衛を任せる。こちらが必要と判断したら、出動させる」
『流石、仕事が早いですね。では、私は……』
『ちょぉおおっと、待った!!』
「どうした、Mr.アーキマン?」
ジャーヴィスとのやり取りが終わろうとした頃、フリーズしていた医療部門のトップであるロマニ・アーキマンが通信に割り込んできた。
『取り敢えず、カドック君が無事で良かったよ!でも、アベンジャーズってあのアベンジャーズのことかい!?』
「その通り。コードネームはホークアイだ。以後、お見知り置きを」
『うわー!まさか、こんな極地までスーパーヒーローが来てくれるなんて!後でサイン貰っても?』
「事務所を通して、お願いします。同僚を失って失意のところだろうが、ジャーヴィスの補佐を頼む。カルデアに来たのは、人類を救うためだろう?亡くなった人達の分まで、その想いを無駄にしないためにやり遂げるぞ!!」
『はい!!』
ふむ。この反応を見る限り、カルデア側の生存者に爆破の犯人はいない感じか。
ちなみに所長は、アベンジャーズって何よ?ニューヨーク決戦?ソコヴィア協定?何よそれ?的な発言をして、Mr.アーキマンに絞られている。
ここでもアベンジャーズのファンがいたのは、ちょっと驚いたな。
〈…聞こえますか?…聞こえますか?今、主殿、貴方の心に直接語りかけています〉
〈こいつ、脳内に直接!?で、どうしたインフェルノ?問題発生か?〉
〈いえ。こちらでは再びテロが起きる可能性は低いかと。ジャーヴィス殿達の協力の元、職員の生存者を調べましたが全員シロと考えてよろしいかと〉
〈そうか。となると、やはり犯人は死亡者の中か〉
〈その可能性が高いかと。現在、メカクノイチと共に死体、あるいは体の一部が見つかっていない職員を識別中です。生存者よ比べ、死亡者の方が多いので少々お時間を頂きます〉
〈頼む。損な役割にして申し訳ない〉
〈お気になさらず。私達はチームで、仲間で、家族です。お互いに頼り頼られるものですよ〉
こちらの念話が終わったのと良いタイミングで向こうも終わったらしく、所長が若干涙目になりながらもこちらをキッと睨んでくる。
「アベンジャーズがどんな集団か、よく分かりました。非常に不本意ですが、今回は非常事態につき特別に自警団の活動で慣れているだろう貴方に、指揮権を譲渡します!ありがたく思いなさい!!」
おう、このお嬢さん、どんだけ世間知らずなんだか。
まあ、カマータージやサンクタムを知らない典型的な魔術師だな。
「承知しました。このホークアイ、謹んでお受けさせていただきます」
「フン!分かればいいのよ、分かれば」
そっぽを向く所長だが、さっきから僕の家族達から殺気を送られているのは気付いているのだろうか。
世の中、知らない方が幸せなこともあるから黙っておくか。今の所長の、状態についてもね。
「主。ご報告が」
「ピィッ!!だ、誰よコイツ!?」
「仲間ですよ。コードネームは、パライソだ」
「真名を、望月千代女と申しまする。主にお仕えする、しがない忍びでござる」
突如、姿を現したパライソことチヨメに対して、再び所長が驚いて頭のネジが外れたのか元のポンコツに戻ってしまった。
「で、報告は?」
「ハッ。どうやら、この地に於いても聖杯戦争が行われていたようでござる。そして、いつの間にかマスターだけでなく一般人も姿が消え、サーヴァントだけが残った状態になったようでござる」
「その通りだ。それで、生き残ったサーヴァント達は再び聖杯戦争を始めたんだ。んで、俺はキャスター。真名はクー・フーリン。手を貸すぜ?」
パライソの背後から出てきたのは、杖を持った蒼髪の男性であった。
先程、相対したランサーとは違い邪な魔力は感じない。
「彼は?」
信用出来るのか、とパライソに目で問う。
〈少なくとも、嘘は言ってないでござる。拙者がアーチャーと思わしきサーヴァントと交戦している時も、実力を測るかのように観察していたので、今のところ敵ではないかと〉
パライソの念話と、今の様子から確かに敵ではなさそうだ。
「分かった。こちらと手を組んで欲しい。僕はカドック・バートン。アベンジャーズだ」
「了解。よろしく、マスター」
キャスターから差し出された手を握り、魔力のパスが通ったことを確認する。
まずは情報の共有。その後は、反撃と行こうか。
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