俺は・・・いや、俺達は今『わかばパーク』という学童・保育園で子供らの前に立っていて紹介されていた
「みんな聞いて。園長先生がおケガしちゃって、しばらくお仕事ができなくなったの」
「えー、園長先生、かわいそうー」
「いつ帰ってくるのー?」
わかばパークの施設員は子供たちに園長先生が二週間入院することと、以下のことを告げた。
「代わりにね、このお兄ちゃんたちやお姉ちゃんたちが二週間、なんでもしてくれる、って!」
はぁ・・・本当にあいつらはめんどくせぇことしてくれたな・・・と思いながらも仕事を全うしょうと思い動いた
俺は他の面子とは、話すのも気まずいから距離をとっていると・・・
「あれ?お兄さん?」
「あれ?優人」
夏休みのお祭りで会った優人とのまさかの再会にお互いに固まっていた
「いえ、お兄さんはなぜここにいるのですか?」
「まぁ、園長先生の代わりと言えばわかるか?」
「あぁ、察しました。お兄さんもあれから色々と苦労してるようで・・」
「まぁな・・・ってまて?お前、たしか何歳だ!?その聞き方はその見た目の年齢ではないぞ!?」
「5歳です」
「・・・本当は?」
「5歳11ヶ月です」
「やはりお前だな。その返事の仕方といい、答え方がまさに夏祭りであったお前だな。・・・優人」
「ご無沙汰しています。お兄さん」
少年ーー優人は屈託のない笑顔で俺に向かって挨拶したのだ。
本当に礼儀正しいな・・・
「ってか、お兄さんは今暇ですか?」
「ん?まぁ暇と言えば暇だが」
「僕と将棋してくれませんか?いつもなら園長先生が相手になってくれるのですがいないので」
「・・・普通の年相応の子供なら、外遊ぶなり、何なりととするはずだが・・・?お前何歳だ?」
「5歳です」
「本当は?」
「5歳11ヶ月です。さぁやりましょう!」
優人は目を輝きながら俺の方に、手を掴んで将棋する場所に歩いた
「というか、お前はお友達と居らなくっていいのか?」
「お友達と言うか・・・気になる人はいますね。あまりにもほっておけない人が」
「なんだ?そいつは無茶する子なのか?」
「いえ、正確に言うならいじめにあってる子ですね」
「・・・」
「以前、力になろうと思いましたがアッサリとフラれました」
「そうか」
俺らは将棋のある場所につくとお互いに座った
「本気できてくださいよ?お兄さん」
「わかった。負けても泣くなよ?」
「お兄さんこそ、僕に負けて凹まないでくださいよ?」
「「・・・お願いします」」
お互いに軽く言い合いながら一礼をして将棋を始めたのだ。なん負けたくないなと思いながら始めた・・・
そんな俺とはよそに他の連中はというと・・・
渚side
「まったく・・・なんで私ら無関係の生徒まで連帯責任なわけ?」
子供たちにしょっぱなから「まじょだ~」「まじょ~」と呼ばれている狭間さんが寺坂君を冷ややかに見やった
「・・面目ねぇ。あとすっげぇ噛みつかれてる・・・」
寺坂くんは体に登られたり、腕を引っ張られたり、そのあげくに首筋に噛みつかれている。痛そうだな・・・
「私たちももっちりとビンタされたよ。全員平等に扱わないと不公平だから、って」
原さんが言うには、街中でのフリーランニングに参加しなかった全員も並べられて「許してつかあさい」と殺せんせーに言われながら、ぺと、ぺと、ぺと、と順番に触手でビンタらしきものをされたという
「ごめんよ・・・」
発案者である岡島君は原さん達にも頭を下げた。すぐ顔に出る岡島君は、心底反省しているのも丸わかりだった
「気にしないで。他人にケガとか、予測できなかった私たちも悪いし」
神崎は小さいとはいえ男の子たちから大人気で、にやけた顔の子供に抱きつかれたりしている
「そーね。私にも監督責任あるかもね。こいつらおもしろサーカス団の調教師として」
「「あァ!?」」
狭間さんの言いぐさに凄む、おもしろサーカス団…もとい、寺坂グループの吉田君と村松君だったが子供たちに背中や膝にしっかり乗られており、保育士さん状態では迫力もなにもあったものではない
「ま.勉強なんて家でこっそりやればいい。E組の秘密を守るための二週間労働か。賞金に対する必要経費と思えば安いものさ」
「竹林・・・」
三村君が納得の面持ちと、何か言いたそうな顔という、複雑な表情で竹林君に呼びかける
「パンツ一丁でなきゃ、良いこと言ってくれてるんだが」
「なかなかやんちゃな子が多いみたいね」
前原君と岡野さんが言うように、竹林君は子供にズボンをずり下ろされていた。だが、竹林君は動じずにいつものようにメガネを右手の人差し指で押さえている
「で、何やってくれるわけ、おたくら?大挙して押しかけてくれちゃって・・・減った酸素分の仕事くらいはできるんでしょーね」
と、こちらをあからさまに見下している。この子が最年長なのかな?
でも・・・
「「「(なかなかとんがった子もいらっしゃる!)」」」
その様子を見ていた男の子ふたりがなぜか切迫した表情で語り始めた。
「やべぇ、さくら姐さんがご機嫌ななめだ」
「ああ、殺されるぞこの兄さんたち」
「入所5年の最年長者!」
「学校の支配を拒み続けること実に2年!」
「「そう・・エリートニートのさくら姐さんに!!」」
「お前ら急にスイッチ入ったな!?」
「カッコよく言ってるけど不登校だろ要するに!!」
吉田君と村松君のツッコミが入っている間に、さくら姐さんと呼ばれている彼女は手近にあった箒を手に取るや・・
「まずは働く根性あんのかどうか、試してやろーじゃないの!えェ?」
「え?」
と僕に向かって振り上げたのだが、彼女はそのまま床に穴を空けてそこに嵌り込んでしまった
「「「「・・・」」」
えーと・・これはどうすれば・・・?
「あーあ、そこの床傷んでるって言ってたのに」
「悲しきかな。暴力では真の勝利はつかめない」
またしても解説を始めたふたりに、「おまえらのキャラの方がつかめねーぞ」と吉田君が突っ込んだ。
本当に独特なキャラだなーと思っていると、そんな床や天井を見ていた磯貝が、施設員に問いかけた
「修繕はしないんですか?その・・・この建物、老朽化がかなり・・」
「そうしたいのはやまやまなんだけど、お金がないのよ。うちの園長、待機児童や不登校児がいれば片っ端から格安で預かってくるから。職員すら満足に雇えず本人が一番働いてるわ」
「園長先生、いっつも走り回ってるよね~」
・・・・僕らはその言葉を聞いて、改めて僕らのしてしまったことの重大さと土見君のあの時の怒りが分かった・・・
「なぁ、29人で2週間なら色々なことできるんじゃねぇ?」
「・・・いや、28人だ」
え・・・?何でと思いながら黙って聞くと理由を説明してくれた
「お前らは知らないと思うけど、海斗は頑固なんだ。この間のキレてるのを見たら、暫くは許してくれないと思う」
「でも謝れば許して」
「それはない」
磯貝くんがきっぱりと否定していた
「それに、元々俺たちの不手際で巻き添えになったし、あいつの怒りようをみていたら、俺らがやらないとダメだ」
「なら、あいつはどうするんだよ?」
「海斗は海斗で行動してもらう。あいつは冷静に周りを見ることも出来るからな」
確かに・・・
「よし、みんな、手分けしてあの人の代役を務めよう。まずは作戦会議だ」
「おう、あのじーさんの骨の倍額仕事してやる!そして、土見の野郎に俺たちの事を見直してもらおうぜ!」
うん!そう思ったら、僕らもやることを頑張らないと!!
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