「さて、私の生徒たちはいい仕事をしましたかねぇ」
ようやく退院した松方老人はまだ杖をつきながら、殺せんせーの言葉に鼻で笑い皮肉をいった
「何十人いようが烏合の衆では話にならん。せいぜい木造の平屋が潰れてなければいいが・・・ん?」
角を曲がって、わかばパークに辿り着いた松方老人は
「なんということでしょう!」
と某テレビ番組のおなじみのフレーズを思わず叫んでいた。木造平屋が2週間のうちにふたまわりは大きい木造のロッジのような2階建てになっていれば誰だって驚く
《E組の裏山から間伐した木と廃材を集めて作られた木造住宅。窮屈で貧弱だった保育施設は広くて頑丈な多目的空間に‼︎私の計算で強度もカンペキ‼︎千葉君と烏間先生の部下である鵜飼さんを中心に、崩れそうな母屋ごと新しい柱で補給しました》
「な、なんと・・・」
律の説明に松方は唖然としていたら、施設員が苦笑いしながら当時の説明をしていた
「凄かったですよ?鷲職人みたいなに動いてましたよ」
「それじゃ次は二階を案内しますね」
磯貝の誘導で松方は階段を上ると、二階の部屋は二部屋に分かれていた。
「こっちは図書館か。本の数がだいぶ増えた気がするが・・」
「近所を回って読まなくなった子ども向けの本をもらってきたんです」
矢田が本を見せながらそう言うと、松方はこの部屋で勉強や読書をする子ども達の姿を思い浮かべ思わず笑みを浮かべた
「何笑ってんだよじーさん?」
「フン、なんでもないわい。それでもう一部屋は?」
松方はもう片方の部屋に目を向けると中は室内遊技場となっており、子ども達が元気よく遊んでいた。
《ネットやマットを入念に敷き安全性を確保。雨に濡れない室内なので腐食や錆で道具が脆くなることもありません》
この二週間でここまでのことを成し遂げたのに心のそこから驚いていた
「最後に職員室兼ガレージへ案内します」
「?ガレージじゃと?」
「そう、このリフォームの目玉です」
そう言って一階のとある一室に目を向けると、そこにはあの日壊れた松方の自転車がイトナと吉田の手によって改良され三輪自転車となってそこにあった
「転ばねーように安全性高めといてやったぜ」
「ついでに大積載量の電動アシストもつけといた。こんなことバカな寺坂以外なら誰にでもできるがな」
「おい!?」
吉田とイトナの解説に耳を傾けると、カルマが松方に言った
「ところで、二階にあった回転遊具覚えてる?」
「あ、ああ。それがどうした?」
《上の部屋の回転遊具が三輪自転車の充電器と繋がっています。走行分の大半は遊具をこげばまかなえる計算です。ちなみ先ほどのナレーションも私がしていました♪》
「その子の言う通り、つまり子ども達たちがたくさん遊ぶほど園長先生が助かる仕組みってわけ」
あまりの出来栄えに松方はスマホの画面から解説にする律に突っ込むのを忘れ、再び驚愕し叫んだ
「う、上手く行きすぎとる!!?ん?」
自転車のハンドル部分でキラリと光るものが目に入り何がついているのかとじっと見た
「な、なんじゃこれは!?」
「あ〜それは園長先生の思い出のこもってるであろう古い入れ歯を使った自転車のベルです」
「そんな匠の気遣いいらんのじゃ!!!!第一ここで最も重要な労働は建築じゃ無い、子ども達と心を通わせることだ。いくらモノを充実させてもおまえ達が子ども達の心に寄り添えていなかったのなら・・この2週間働いたとは認めんぞ」
そう言って松方が自転車の入れ歯ベルを鳴らし、生徒達は気まずそうな表情を浮かべると
「園長先生、少しお時間よろしいですか?」
「ん?優人か?」
後ろから声かけたのは優人だった。その持ち手には抹茶を持ってきた
「少し味見してほしいのですが、よろしいですか?」
「ん、わかった・・・・!?」
「どうですか?」
松方が優人の持ってきた抹茶を飲むと驚いていた
「なんじゃぁ!?この手作りの抹茶は!?」
「お兄さんが教えてくれました」
「なんじゃぁ!?その手際いい教えは?!」
「お味はどうですか?」
「ぬぅ・・・文句なしの最高じゃ。お兄さんとやらも教えがうまいの」
「「「「「「「そのお兄さんとやらも教えがうまいな!?」」」」」」」
みんなが驚いてると・・・
さくらがテスト用紙を片手に笑みを浮かべ渚の元へ駆け寄ってきた
「渚ー‼︎見てよこれなんとクラス2番‼︎」
「おーすごい頑張ったねさくらちゃん‼︎」
「渚の言うとおりやったよ。算数テストの時間だけ出席して解き終わったら速攻で帰った」
楽しそうに話す2人の様子を、松方は信じられんと言わんばかりの表情を浮かべながら見ていた
「いじめっ子もテストの最中じゃ手の出しようがなかったでしょ?」
「うん、先生以外誰にも行くこと言ってないしね。むしろあいつら今回の点数悪かったみたい」
「さくらちゃんが急に学校に来た集中力を削がれたのかもしれないね」
渚はそう言うとさくらに目線を合わせ、まるで殺せんせーが生徒達に教えるように言った
「自分の一番得意な攻撃を相手の体制が整う前に叩き込む、これが僕らの戦い方だよさくらちゃん。今回は算数しか教えられなかったけど、少しずつ学校で戦える武器を増やしていこう」
「だ、だったらこれからもたまには教えろよな」
さくらが少し頬を染めながらそう言うと渚は始めきょとんとしていたが、「もちろん」と笑みを浮かべ答える。そしてそれを見たさくらも嬉しそうな笑顔を浮かべた
その光景を影から見ていた土見はと言うと・・・
「天然だな。しかも乙女心を見事につかみやがった・・」
渚の天然に驚いていた。尚、彼は二週間E組とは話していなかった。彼は施設の人と料理をしたり、時には優人の対戦相手にもなってあげたりしていた
クソガキ共がまったく…文句のひとつも出てこんわ」
松方は悔しそうにそう言うと、駆け寄ってきたさくらの頭を撫で生徒達に言った。
「もとよりおまえ等の秘密なんぞ興味は無い、ワシの頭は自分の仕事で一杯だから。おまえ等もさっさと学校に戻らんか、大事な仕事があるんだろ?」
「「「「「はい!!」」」」」
こうして生徒達は起こした事故の賠償責任をなんとか果たし、2週間の特別授業は幕を下ろした
土見side
俺の中間試験の結果だが・・・まぁ、また総合一位はとれなかったか。しかし、浅野以外の5英傑にかったから良しとするか
すると・・・
「拍子抜けだったなァ」
「やっぱり前回のはマグレだったようだね〜」
「棒倒しで潰すまでもなかったな」
E組があの五英傑に絡まれていた。とは言うても浅野は無言だった
「言葉も出ないねぇか。まぁ当然だけどな!ギシシシシ」
「この学校では成績が全て下の者は上に対して発言権は無いからね」
ふん・・・そうかい
「「なら、じゃあんた等(お前ら)は俺らに何も言えないわけだな」」
俺とどこにいたのかカルマが前でて言うと五英傑は悔しそうな顔をしていた
因みにカルマは492点で3位俺は495点2位
「お前らは性懲りもなく・・・俺に勝ってからそういう偉そうな発言しろ」
「「「「ぐっ」」」」
「気づいてないみたいだけど、今回本気でやったの俺らだけだよ?いつも負けてるお前らの為にみんな手加減してあげたんだ」
カルマは立ち止まり、浅野達の方へ振り返ると挑発的でありながらも強い闘志を秘めた表情を浮かべる
「でも次は手加減なんかせずみんな本気で行くよ?三学期になれば内部進学のお前等と高校受験の俺らじゃ授業が変わる。同じ条件のテストを受ける2ヶ月後の二学期期末、そこで全ての決着をつけようよ」
「「「上等だ・・・・・!」」」
さて・・・もういいだろう。俺はあいつらともしゃべるつもりもなく、さっさと一人で帰った。言いたいこともいったしな
さて・・・放課後烏間先生にたいして謝罪あるから付き合うか・・
ここまで読んでいただきありがとうございます!次回も宜しくお願いします!