~ベーチタクルホテル フロント~
「おっ、悟空たちもいま帰りか?」
ホテルのドアをくぐったところでレオリオに声をかけられる
「あぁ、オークションで目当てのものも買えたしな」
「グリードアイランドをか!?」
悟空が返事をしていると、悟天が目を醒ます
「ん…」
「なんだ悟天、いま頃起きたんか」
「…あれ?オークションは?」
キョロキョロと辺りを見回す悟天
悟天の声に反応してトランクスも起きる
「パパ、オークションは?」
「もう終わって帰ってきたぞ、ったく」
ベジータはトランクスを降ろす
そこにゴンとキルアも帰ってくる
「あ、悟空たちだ」
「で、オークションどうだった?」
キルアの問いかけに同じように悟空が返す
「おう、ちゃんと買えたぞ」
「え?グリードアイランド買えたの!?」
ゴンとキルアが驚く
「ふん、当然だ」
「えぇー、オークション見逃しちゃったの!?」
トランクスと悟天は違う意味で驚くが、ゴンとキルアは構わず続ける
「ベジータさんどこにあるの!?」
「悟空が持ってるのか!?」
勢いよく話す2人に、とりあえずは部屋で、とレオリオが促した
~ベーチタクルホテル 8003号室~
「なんだよ、2日後かぁ」
オークションの商品受け渡しが2日後と知って落胆するゴンとキルア
「オークションやってみたかったのになぁ」
「つまんない…」
悟天とトランクスも不満気味
そこにレオリオが口を挟む
「で?悟空はそれまでどうするつもりなんだ?」
「んー、修行でもすっかなぁ」
呟きながら修行のメニューを考えていると、ベジータが悟空に提案する
「貴様も念とやらを知ったらどうだ?」
「そういや”ネン”がどうとかって言ってたな」
昨日、ベジータがキルアたちに教えてもらえ、と言っていたのを思いだし、キルアの方を向く
「悟空たちならいいぜ。気のことを教えてもらったお礼もあるし」
「うん、日中じゃなければ別にいいよね」
キルアと見合うゴン
「ねぇねぇ、ネンってなぁに?」
「ボクも気になる」
目がすっかり醒めたトランクスと悟天
じゃぁ、とキルアとゴンが練をしてオーラを作ってみせ始めた
~オークション会場~
淡々とオークションが進み、今日の最後の商品が運ばれてくる
”緋の目”
そしてそれが舞台の中央に運ばれてきたとき
顔に縫い跡のある大男が観客席を向く
「そんじゃまぁ、くたばるといいね」
折れた指先からマシンガンのような銃弾が飛び交い、観客を蹂躙する
十秒もかからないうちに会場は静まり返る
そして掃除機のようなものを持った女が死体や椅子など全てを吸い込む
客席から何もかもが消えるまで数十秒もかからない
そう、彼らは幻影旅団だった
~ベーチタクルホテル 8003号室~
「これが念の力だぜ」
バリバリバリバリ
オーラを電気に変えて放電して見せるキルア
ゴンも指先に貯めて尖らせたオーラで缶を切り裂く
「おおー。キルアのは超能力みてぇだな」
興味深そうに見る悟空
「わぁ!すごいすごい!」
「ボクにも教えて!」
トランクスと悟天が飛び跳ねる
「オラもそんなことできるようになるんか?」
そんな悟空の質問にキルアが放電をやめて答える
「それはわかんねぇ。それぞれ得意な系統があるみたいでさ」
「けいとう?」
いまいちよくわからない、と眉をひそめる悟空
だよな、と一息吐くとキルアは念について説明し始める
そして━━━
念を間近で見ていた悟空たちは、オークション会場での出来事に気づくことはなかった