皆さんよかったらお気に入りや評価を是非是非お願いします
~ベーチタクルホテル 8003号室~
「━━━って感じで、六系統あって、この水見式でわかるってこと」
あらかた説明を終えたキルアは、水見式を悟空たちに試してもらう
「おっし、んじゃやってみっか」
悟空がグラスの前に立つ
気を手のひらからグラスに向けて出しながら添える
スゥッ パッ
中の水が赤になった瞬間、消えてなくなる
残された葉はゆらりとグラスの中に落ちる
「えっ!?」
「どういうこと!?」
キルアとゴンが飛び付くようにグラスに駆け寄る
「水が消えちまったけどどういうことだ?」
当然、悟空はわからない
「水が消える…?そんなことウイングさんは何も言ってなかったな…」
考え込むキルア
「その前に真っ赤にならなかった?」
ほら、とゴンがグラスについた水滴を指す
「おいおい、どういうことだ?オレが調べた限りでは2系統の反応が出るなんて載ってなかったぜ!?」
自力で念を覚えたレオリオも、その現象がわからないと言う
ただし、水が消えたことには心当たりがあった
「水が消えるのは━━━」
レオリオがそう言いかけたとき
「特質系、というやつじゃないのか?」
しばらく黙っていたベジータが口を開く
「とくしつけい?」
頭にはてなを浮かべる悟空
「こいつはオレたちと違って特殊な技を使いやがる。お前たちも見ただろう”瞬間移動”をな」
あ!と気付くキルア
「そういうことか!悟空のあの能力!考えてみたら特質系くらいじゃなきゃできない!」
「水が赤くなったのは…じゃぁベジータさんと同じく2系統示したのは、どっちかが放出系だから?」
ゴンの言葉にキルアが頷く
「ベジータさんは水が増えて青になった…念が強化系で気が放出系。なら悟空は念が特質系で、気が放出系ってことになる」
キルアの解説を聞きながら、悟空は首をかしげたまま
「わからんようだが、貴様には細かい説明など不要だ。自分が念を使うのではなく、念を使うやつがどんな攻撃をしてくるか、それを学べばいいだけだ」
ふんっ、とベジータはそこまで言うと腕を組む
「よくわかんねぇけど…なんかいろんなことができるみてぇだな」
ふむふむ、と頷く悟空
そこで、何か気づいたようにキルアがレオリオの方を向く
「そういやさ、レオリオも悟空の念に気づいたみたいだけど…なんでだ?」
いや、まぁ…、と頭をかきながらレオリオは答える
「実はオレも悟空の真似して、あの能力を使えるようにしようと思ったんだよ…」
「へー、確かに便利だもんな」
「便利なんてもんじゃねぇ!あれが使えたら世界中のどこにでも病人の元へ一瞬で駆けつけられるんだぞ!!」
熱くなるレオリオ
「…簡単に言って悪かった」
珍しく小さく呟くように謝るキルア
「オレの方こそ熱くなってすまん。で、だ。あの能力をやろうと思ったんだが、放出系のオレじゃ無理だったんだよ」
「あれ?レオリオ放出系なの?強化系かと思ってた」
ゴンがレオリオの系統を聞いて驚いたように口を挟む
「あぁ、心源流のさっきの水見式試したから間違いないな。で、どの念の系統だったらできるか調べたんだが、どの能力もできねぇんだ」
「なんで?」
そのまま素直に尋ねるゴン
「悟空がやってるのは、念を補助する神字も何も使わず、体そのものを瞬間的に移動させること。放出系や具現化系では、神字の補助を使って体の一部、もしくは体に似せた形のものを移動させることしかできない」
すげぇんだな、とそれを聞いて頷くキルア
「何人か集まればできるのかもしれねぇが、まず一人じゃ無理だった」
うん、と頷くゴン
「わかるよ。レオリオがさっき熱くなったことからも、本気で調べたってことがね」
「ありがとよ。で、せっかくだからオレの能力も見せるぜ」
そう言うと、レオリオは針と糸を取り出す
「手術用?」
しげしげと見るゴン
「いいか…」
ヒュッ
手首をぶれるくらいの速度で動かしたレオリオ
全員が見守る
「…何が起こんだよ?」
何もないじゃん、とキルアがレオリオに言う
「いや、終わったぜ」
そう言うと、レオリオは悟空が水見式をしたグラスを指す
「何かしたの?」
そう言って確認しに行くゴン
そして
「━━!この葉っぱ、縫われてる!!」
ゴンはグラスの底にある葉を持ち上げる
「なっ!レオリオどうやったんだよ!?」
キルアも驚いてレオリオを振り返る
「わー、ボクにも見せて見せて」
悟天とトランクスも葉っぱを手に持って楽しそうに見る
「レオリオ!すごいや!こんなに離れてるのに本当にどうやったの!?」
レオリオとグラスは3mは離れていた
そしてグラスの上ではなく、底に落ちていた葉
どうあっても届かない
レオリオはくいっとサングラスを持ち上げて言う
「”空間移動”それがオレの能力さ」