ヨークシンシティでオークションすっぞ!   作:KTケイティ

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【79】光の玉

~ヨークシンシティ中心街 カクテルバー~

 

「いやー、こんな綺麗な人と飲めるなんてボクはついてるなー、なんて」あはは

 

「ほんとお世辞がお上手ね」

 

テーブルの上には空のシャンパンが何本も並んでいた

 

男はだいぶ酔っているようで、顔も赤く上機嫌

 

女はグラスに口をつけるが、一向に減っていなかった

 

「そうそう、綺麗と言えばオークションの最終日には花火が上がるそうよ」

 

「花火なんかより貴女の方が何倍も綺麗ですよ」うへへ

 

「あ、ありがとう。でも花火は綺麗よ。見たいわぁ」

 

そう言いながら女は男のグラスになみなみと注ぐ

 

話題を作りながらとにかく飲ませ続けていた

 

「花火ならボクも打ち上げられますよ」ニヤッ

 

女性の頭に?が浮かぶ

 

「お仕事は花火師か何かだったかしら…?」

 

「いえいえ、ただの武道家なんですけど。よっ」

 

ぽんっ

 

男の手のひらから光輝くものが出て浮かぶ

 

「━━━!なにこれ!?」

 

色っぽい余裕なイメージが消え去り、驚く女性

 

そのまま男は上に投げる動きをする

 

それにつられて上空に飛んで行った光の玉

 

そして男が手のひらをぎゅっと閉じて握りこぶしにした瞬間

 

パァン

 

上空で光の玉が弾けて消える

 

「…綺麗」

 

「と、まぁこんな感じで」へらっ

 

赤らんだ顔でにんまり笑う男

 

「凄い!どうやったの!?」

 

男の腕を胸に引き寄せて喜ぶ女性

 

「普通の人には無理なんだけどね、ボクには簡単かなーなんて」あはははは

 

見せて見せてとせがむ女性

 

「んじゃもういっちょいきますか」でへへ

 

手のひらから5つの光の玉を作り出す

 

くるくると体の周囲を回ると、そのまま螺旋を描きながら上空へ上がる

 

「すごーい!文字とかも書けるの!?」

 

「も、…もちろん!」

 

男は酔った頭で一生懸命操作する

 

光の玉を高速移動させて、その残像で文字を空中に描く

 

頭にアルコールが登ってふらつくが、女性の胸が体を支えていて心地良い

 

(むふふっ)

 

気が抜けた顔をしながら、4つのハートを描く

 

そして最後に同じく弾けて消える

 

女の喜ぶ顔を見ながら、注がれるシャンパンに酔いしれる男

 

一瞬で感動の感情を抑え込んで男の懐に手を伸ばす女

 

どちらも、出した光の玉が5つ、弾けた光の玉が4つだとは気づいていなかった

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 道路~

 

「じゃぁ改めて話を整理しよう」

 

幻影旅団の優男はそう言って指を2つ立てた

 

「ボクらが知りたいのは、拐われた仲間の行方。そして隠された競売品、お宝の在りか。この2つなんだよね。できれば両方知りたいんだけど」

 

「君たちの仲間のことは本当に知らない。競売品のことについては盗賊には教えられない」

 

またチラリと糸使いの女を見る優男

 

「うーん、本当に嘘じゃないみたいなんだよね」

 

「ねぇ、あたし思うんだけどさ。拐った奴は陰獣とは関係ない気がするんだよね」

 

「うん、その可能性は大いにあると思ってるよ」

 

糸使いの女の言葉に頷き、推論を続けて述べる優男

 

「陰獣は10人。あっちの荒野で4人、ここで5人潰して、目の前にいる男に担がれてるのが1人。これで10人。なら連れ去ったのは違う組織かもしれない」

 

「まぁとりあえず半殺しにしてお宝の場所吐かせればいいネ」

 

結論は変わらなかった

 

(もうここまでか…。だがただではやられはせん!)

 

オーラを練り込むカストロ

 

それに反応して動く幻影旅団

 

その瞬間

 

 

 




皆さん高評価ありがとうございます!
頑張って投稿続けます!
「そういや評価してなかったなー」という方、ぜひぜひよろしくお願いします!

<次回>
バーで飲む男は一体誰なのか
そして追い詰められたカストロはどうなるのか
次回『心のすれ違い』をお楽しみに!

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