誤字脱字報告もありがとうございます!
~ヨークシンシティ中心街 カクテルバー~
「いやー、こんな綺麗な人と飲めるなんてボクはついてるなー、なんて」あはは
「ほんとお世辞がお上手ね」
テーブルの上には空のシャンパンが何本も並んでいた
男はだいぶ酔っているようで、顔も赤く上機嫌
女はグラスに口をつけるが、一向に減っていなかった
「そうそう、綺麗と言えばオークションの最終日には花火が上がるそうよ」
「花火なんかより貴女の方が何倍も綺麗ですよ」うへへ
「あ、ありがとう。でも花火は綺麗よ。見たいわぁ」
そう言いながら女は男のグラスになみなみと注ぐ
話題を作りながらとにかく飲ませ続けていた
「花火ならボクも打ち上げられますよ」ニヤッ
女性の頭に?が浮かぶ
「お仕事は花火師か何かだったかしら…?」
「いえいえ、ただの武道家なんですけど。よっ」
ぽんっ
男の手のひらから光輝くものが出て浮かぶ
「━━━!なにこれ!?」
色っぽい余裕なイメージが消え去り、驚く女性
そのまま男は上に投げる動きをする
それにつられて上空に飛んで行った光の玉
そして男が手のひらをぎゅっと閉じて握りこぶしにした瞬間
パァン
上空で光の玉が弾けて消える
「…綺麗」
「と、まぁこんな感じで」へらっ
赤らんだ顔でにんまり笑う男
「凄い!どうやったの!?」
男の腕を胸に引き寄せて喜ぶ女性
「普通の人には無理なんだけどね、ボクには簡単かなーなんて」あはははは
見せて見せてとせがむ女性
「んじゃもういっちょいきますか」でへへ
手のひらから5つの光の玉を作り出す
くるくると体の周囲を回ると、そのまま螺旋を描きながら上空へ上がる
「すごーい!文字とかも書けるの!?」
「も、…もちろん!」
男は酔った頭で一生懸命操作する
光の玉を高速移動させて、その残像で文字を空中に描く
頭にアルコールが登ってふらつくが、女性の胸が体を支えていて心地良い
(むふふっ)
気が抜けた顔をしながら、4つのハートを描く
そして最後に同じく弾けて消える
女の喜ぶ顔を見ながら、注がれるシャンパンに酔いしれる男
一瞬で感動の感情を抑え込んで男の懐に手を伸ばす女
どちらも、出した光の玉が5つ、弾けた光の玉が4つだとは気づいていなかった
~ヨークシン郊外 道路~
「じゃぁ改めて話を整理しよう」
幻影旅団の優男はそう言って指を2つ立てた
「ボクらが知りたいのは、拐われた仲間の行方。そして隠された競売品、お宝の在りか。この2つなんだよね。できれば両方知りたいんだけど」
「君たちの仲間のことは本当に知らない。競売品のことについては盗賊には教えられない」
またチラリと糸使いの女を見る優男
「うーん、本当に嘘じゃないみたいなんだよね」
「ねぇ、あたし思うんだけどさ。拐った奴は陰獣とは関係ない気がするんだよね」
「うん、その可能性は大いにあると思ってるよ」
糸使いの女の言葉に頷き、推論を続けて述べる優男
「陰獣は10人。あっちの荒野で4人、ここで5人潰して、目の前にいる男に担がれてるのが1人。これで10人。なら連れ去ったのは違う組織かもしれない」
「まぁとりあえず半殺しにしてお宝の場所吐かせればいいネ」
結論は変わらなかった
(もうここまでか…。だがただではやられはせん!)
オーラを練り込むカストロ
それに反応して動く幻影旅団
その瞬間
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<次回>
バーで飲む男は一体誰なのか
そして追い詰められたカストロはどうなるのか
次回『心のすれ違い』をお楽しみに!