ヨークシンシティでオークションすっぞ!   作:KTケイティ

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【80】心のすれ違い

~ヨークシン郊外 道路~

 

ドォオオオオオオオオン

 

凄まじい衝撃がカストロと幻影旅団の間に起こる

 

全員その場から吹き飛ぶ

 

「な、何が起こった、あるカ」

 

頭を抑えながらふらつくフェイタン

 

「ぐっ…。わかり、ません」ガハッ

 

血を吐いて腹部を押さえる

 

爆心地に近かったシャルナークはまともに衝撃を受けた様子

 

「内臓、やられた、あるカ」

 

周りを見渡すフェイタン

 

「マチ、シズク、…は完全に、意識ない、あるネ」

 

1人、ノブナガだけは刀を杖代わりにして立っている

 

「ちっくしょ…、なんだ、あの光の玉…」

 

「光の玉…、言われて、みれば、見えた、気がする…あるネ」

 

衝撃が起こる一瞬前、カストロと自分達の間に光る玉が見えたような気がしていた

 

「ヤツの、技、あるカ…?」

 

「わからねぇ…。だが、フランクリンの、やつみたいな放出能力、だった」

 

「威力が、桁違い、あるヨ」

 

そして相手、カストロを探し始めた

 

カストロも同じく、衝撃により吹き飛んでいた

 

幻影旅団たちとは反対方向の崖側

 

(何が起こった…?いや、私は見たはずだ!あれは師の繰気弾…!私を助けてくれたのか!)

 

膝付き状態から立ち上がる

 

爆心地が幻影旅団寄りだったこともあり、幸いダメージは大きくない

 

「師匠!どこです!?」

 

声を張り上げて師、ヤムチャを探す

 

だが反応はない

 

「なぜ答えてくれないのですか!?」

 

神経を研ぎ澄ませてみても、師を見つけることができない

 

(助けたられたのに…お礼も言わせてくれないなんて…。でもなぜ姿を現してくれないのか…?それに師なら私にダメージを与えることなく敵を倒せたはず…なぜ…?)

 

わからないことだらけで困惑するカストロ

 

そこに

 

ブワッ

 

煙を掻き分けるように敵が現れる

 

「ここに、いたネ!」

 

ガギィンッ

 

フェイタンの剣をカストロの手が抑え込む

 

(なぜ敵がまだ生きている!?)

 

「ワタシの、剣、止められるの、ムカつくあるネ」

 

虎咬拳を極めたカストロには刃は通らない

 

(な、ぜ…敵…が?)

 

「どこ見てる、あるカ」

 

ガギィンッ キンッ キンッ

 

猛烈なフェイタンの剣捌き

 

一瞬でも手に集めたオーラを緩めればあっという間に切られる

 

だが、カストロの頭は疑問と疑念でいっぱいだった

 

スウゥ

 

その意識がオーラを緩める

 

シュッ!

 

フェイタンの剣がカストロを両断するように振り下ろされる

 

剣が眼前に迫ったその瞬間

 

キイィン

 

もうひとつの刃がカストロの顔前に差し出されてフェイタンの剣を止める

 

「なんの、つもり、あるカ?」

 

剣を止めたのはノブナガの刀

 

「殺すな。何でもいい。ウボォーに、繋がるかもしれねぇんだ」

 

だいぶ息が整ってきたフェイタンとノブナガ

 

「無理ネ。こいつ、かなり強いあるヨ。生け捕りできるような、ヤツじゃないあるネ」

 

「強さなんて、どうだっていいんだよ。ウボォーのこと知らなかったとしても、もしかしたら取引材料になるかもしれねぇ」

 

目の前で睨み合う幻影旅団の2人

 

(…いまは師のことより梟を連れ帰ることが優先!)

 

カストロは右手にオーラを集める

 

「━━━繰気弾!」

 

ブゥウウウウン

 

手のひらに現れる光の玉

 

フェイタンとノブナガは一瞬で距離を取る

 

「ヤツの技だったあるカ。非常に厄介あるネ」

 

珍しく顔を曇らせるフェイタン

 

「あぁ、こいつはやべぇな…。あんな技を何発も出せるたぁな…」

 

ノブナガも握る刀に汗が滲む

 

「はっ!」

 

ヒュヒュン

 

カストロは繰気弾を動かして幻影旅団の2人を狙う

 

フェイタンとノブナガは先ほどの爆発の威力を警戒して大きく避けるしかなく、隙が出てくる

 

カストロはジリジリと下がりながら操作する

 

「このままだと逃げられるあるヨ」

 

「と言っても、こいつがある限り追えねぇ、だろ!おっと」

 

ヒュン

 

ノブナガの鼻先を掠める光の玉

 

そして━━━

 

「もう、無理あるネ」

 

カストロの姿が見えなくなった

 

「ちっ、くそっ!」

 

それと共に光の玉も消えていく

 

カストロはヨークシンの中心へ向けて走っていた

 

陰獣の梟(ふくろう)の保護と、十老頭への陰獣全滅、そして敵が幻影旅団であることの報告をする為に

 

だが、心はそこになかった

 

(なぜ師は敵を助けた…。なぜ私を助けに出て来てくれなかった。師は…変わってしまったのか…。幻影旅団に味方した師を…私は…)

 

ぐっ、と拳を握り締める

 

「師が悪の道に落ちたのなら…私が倒さねば!」

 

決意をもって顔を上げたカストロ

 

そこには1人の男として立った厳しい顔があった

 

 

 




皆さん高評価ありがとうございます!
頑張って投稿続けます!
「そういや評価してなかったなー」という方、ぜひぜひよろしくお願いします!

<次回>
何の偶然か、カストロを救った光の玉
だがそれは逆にカストロに疑念を抱かせた
このさざ波は次第に大きくなっていくのだろうか
次回『気づかぬは1人だけ』をお楽しみに!

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