ヨークシンシティでオークションすっぞ!   作:KTケイティ

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わざわざ低評価や設定やについて感想欄で言ってくる人はどういう意図でやってるんですかね…


【81】気づかぬは1人だけ

~ヨークシンシティ中心街 カクテルバー~

 

ゆさゆさ ゆさゆさ

 

「ちょっとお客さん。起きてくださいよ」

 

ゆすり起こされて目を擦る男

 

「…ふぁぁぁ。あれ?マスター…?」

 

「もう閉店時間ですよ」

 

マスターは時計を指しながら男に閉店を告げる

 

「あー、寝ちゃってた…?」

 

「あんなに飲むから…。お会計して早くホテルに戻って下さいよ」

 

そう言いながら水を差し出すマスター

 

受け取って口を付ける

 

「あれ…?女性は…?」

 

キョロキョロと辺りを見回す男

 

「もう2時間以上前に帰ってますよ」

 

はぁ、とため息をつくマスター

 

「お会計、53万ジェニーですよ」

 

「………。53万ゼニー!?」

 

目が醒める男

 

「そりゃ…あれだけ高いシャンパン飲まれたら…」

 

そう言われてテーブルを見る男

 

空き瓶が8本転がっている

 

どれも良い値段のする銘柄だ

 

「あちゃー…。あるかな…」

 

ガサゴソとお尻の方から財布を取り出す

 

「…………。ない」

 

現金が1枚も入っていない

 

小銭すら入っていない

 

「う…そ…だろ…?」

 

「お客さん、やられたみたいですなぁ」

 

憐れみの目で見るマスター

 

その慰めの視線で気づく

 

「あの………女!」

 

ガタン、と立ち上がった男だったが、マスターが腕を掴む

 

「どこに行くんですかねぇ」

 

「いや、あの、女を捕まえようかと…」

 

「お勘定済ませてからでお願いします」

 

丁寧だが有無を言わせない態度のマスター

 

「でも…」

 

と、言いかけた時

 

相棒の言葉が脳裏をかすめる

 

『いいですか?何かあったときの為にこの靴底にクレジットカード入れておきますからね!でも、そんなことがないようにしてくださいね!』

 

はっ!として靴を脱ぐ男

 

右の靴…にはない

 

左の靴を確かめる

 

「━━━あった!カード!クレジットカードだっ!」

 

小躍りしながらマスターに渡す男

 

マスターは受け取ってレジへ行く

 

━━━だが

 

「このカード、限度額いくらですかね?決済通らないのですが」

 

ジトりとした目で見るマスター

 

「…50万ゼニーだったような………」

 

「3万ジェニー足らないですよお客さん」

 

上げて落とされた感じである

 

いや、まだある!と懐を探る男

 

懐を探る男

 

懐を………

 

………

 

(ない!!!ダイヤがない!!!)

 

現金だけでなくダイヤも持っていかれていた

 

「あ、あはは。50万ゼニーになったり…しませんかね?」

 

「無理だね。カードで50万ジェニー切るから残りの3万ジェニーはここで掃除でもして返してもらおうかね」

 

「そ、そんな…」

 

そして男は雑巾を渡された

 

 

その頃、男の相棒は

 

「遅いなぁ…大丈夫かな…」

 

窓を開けてヨークシンの街を見下ろし、主人の心配をして待ち続けていた

 


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