~ヨークシン外 荒野~
そこまでのやり取りを見ていた崖の上のヒソカ
「ふーん、何かおかしいね」
陽気な雰囲気は消え、少しばかり目が細まる
幻影旅団と共に行動していたヒソカ
もちろん、ウボォーギンという男のその強さも知っている
ピピピッ
『2213…1564…774…221』
(2213から221まで下がった…?)
鎖を巻き付けられたウボォーの戦闘力が激減したのをスカウターが拾う
(この状況下で彼がオーラを消すはずはない…。ならクラピカの鎖に秘密があるのかな◆)
ゾクゾクッ、と何かが込み上げてくる
(強制的にオーラを絞り取っている、といった辺りかな◆)
だが、それよりもヒソカには気になっていたことがあった
(それでも…、彼の攻撃にクラピカが耐えられていることがおかしい)
そう、スカウターにはクラピカの戦闘力も表示されている
『817』
(最初は47、そしてオーラを高めて384、それが急にまた上昇して817。けれどそれでも差がありすぎる…)
ヒソカは冷静に分析する
ウボォーの戦闘力”2213”が本物なのは、その戦いぶりから知っている
(比較するならベジータ辺りかな。彼は1000程度だったけど、念の質が違うのか…強さとしては2倍くらい、2000程度の戦闘力があると感じた━━━)
そんな力を受けて800程度のクラピカが平然としていられるわけがない、と
「ちょっと、気になるんだよね…◆」
そう小さく呟くと、ヒソカは更に目を細めてクラピカたちの戦いに注目し始めた
そしてクラピカとウボォー
「お前が普段も鎖を具現化してたのは…”本物の鎖”に見せかけるためか!」
そう推察したウボォーに回答を述べる
「その通りだ。”実在する鎖”を操る操作系能力者を装っておけば、敵は見える鎖にだけ注意を払うだろう?」
そして続ける
「まさに今それが証明された。お前がくだらん強がりを言いかけた時、既に鎖はお前の体を覆ってたんだよ」
そして完全に念を込め終わる
ビシイッ
ちょうどヒソカがスカウターで数値を拾ったタイミングだった
「捕獲、完了」
クラピカはそう静かに呟いた
「なるほど◆…”絶”、か」
クラピカの能力を見抜いたヒソカ
(厄介な能力、そしてあまりにも強力すぎる…制約か。その内容によっては諸刃の剣◆)
ククク
「さて、…ボクはどうしようかな?」
そう呟きながらも、ヒソカはスカウターに集中していた
ウボォーはギリギリと力を込めて鎖を外すことを試みる
それを見てクラピカは言い放つ
「無駄だ」
「━━━いいぜ、オレの力とお前の鎖、どちらが強いか勝負だ!」
「貴様ごときにその鎖は外せん」
うぉらぁ!
「ぐっ、グギギギギ!!」
だが、鎖は全く外れる気配もない
「無駄だと言っただろう。束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)は捕らえた旅団を強制的に”絶”の状態にする!その上で身体の自由を奪う!」
(くっ、それでか。さっきから全然オーラが出せねぇのは!)
「ぬぅぅ!」
ギリギリ
それでも力を込めるウボォー
「オーラが全く出ない状態”絶”。つまりこの鎖に捕らえられた者は、肉体の力のみで鎖を絶ち切らねばならない」
そう、クラピカは順当に選んでいた
幻影旅団の中で一番の力を持つ者、ウボォーギン
ウボォーがこの鎖をほどけなければ、旅団全員が捕獲可能ということになる
また、念の系統としても強化系のウボォーはクラピカにとって相性が良い
そして、まだ抵抗を試みるウボォーにクラピカは畳み掛ける
「捕らえておくだけではない」
ジャラ、と親指の鎖を具現化する
”癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)”
クラピカの折れた右腕に鎖が巻き付き、一瞬で完治させる
(━━━バカな!これ程の鎖を作り出せるのは、奴が間違いなく具現化系であることの証!強化系能力者のような強力な自己治癒力が出せるはずがない!)
「くそぉおお!てめぇ…一体!?」
「緋の目になったいま、私の系統は特質系」
そして━━━
「特質系の私の能力『どの系統の能力も100%引き出せる』そして”気”すらも使える!」
”絶対時間(エンペラータイム)!!”
「さて、では答えてもらおう」
左こぶしに気を溜めるクラピカ
「幻影旅団のアジトはどこだ!」
「知らねぇな」
「仲間の能力は!」
「へっ、知らねぇ」
「答えろぉ!!!」
ドゴオッ!!!!
メキメキボギッ!!
クラピカの拳がウボォーの腹部にめり込む
(━━━!ま、ずい…内臓に…肋骨…背骨まで…折れ━━━)
あまりにも強烈な気の拳で、一撃で沈むウボォー
「まだだっ!」
クラピカは倒れようとするウボォーの顎を掴み、ガッ!と揺さぶる
「━━━ぐっ……」
かろうじて左目だけをうっすらと開けるウボォー
「最後の、チャンスだ!ぐっ…」
なぜか辛そうにする
「こた、え…ろ━━━…や、はり…気は、難し、かった…か━━━」
フッ、とクラピカのオーラが消える
そして意識を失ってゆらりと倒れる
ウボォーも既に意識は途絶え、無くなった鎖から解放され、その場に倒れ込んだ
「うーん、意外な結末◆」
スウッ、と立ち上がるヒソカ
(ウボォーの”絶”状態の戦闘力は221、クラピカの戦闘力は817。…3.6倍にしては威力が桁違い。まるでベジータのパンチを見ているようだった)
そう思案しながら崖を降りる
そしてクラピカとウボォーの元へ
(…完全に2人共意識を失っているようだね)
「━━━さて、どう使おうか◆」
薄気味悪い笑みを浮かべ、クラピカとウボォーを担いだヒソカは闇夜へと消えていった
~ヨークシン郊外 旅団アジト~
「まだウボォーが戻ってないんだよね」
シャルナークが団員たちの前で説明をする
「鎖野郎を追いかけて行ったはいいけど、あれからもう3時間経ってる」
「まさか、やられるわけないよ」
マチがウボォーの戦いを思い出しながら言う
「当たりめぇだ」
同調するように言うノブナガ
だが、団長クロロは言う
「いや、その鎖野郎の能力次第だな」
「鎖を使うなら操作系か具現化系じゃないかな?」
そう言うシャルに頷きながらクロロは推論を述べる
「十中八九、具現化系だな。強化系一途のウボォーには一番やりにくい相手だ。具現化した鎖に麻痺の能力を付けたりしていればウボォーでもやられる可能性はある」
「どうすんのさ」
そう言うマチに
「━━━明日まで待ってみよう。もし帰ってこなかったら…作戦変更だ」
そう言って団員全員を見渡す
その視線を受けて、1人縮こまっていたウーロンは更に身を強張らせる
そして━━━
長かった9月2日が終わりを迎えた
クラピカとウボォーのバトルは、なんと共倒れ
終始攻めたクラピカ
”気”まで使いこなし、ウボォーを一撃で沈めたが…
無理をし過ぎたせいで倒れてしまう
そしてその2人を連れ去るヒソカ
幻影旅団たちは帰らないウボォーに焦りを見せはじめる
団長が出した決断とは一体
残されたウーロンは
次回、夜が明けた9月3日のヨークシンシティの動きをお楽しみに!