ヨークシンシティでオークションすっぞ!   作:KTケイティ

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今日で最後となります。
本日投稿⑥本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


【96】桃白白とイルミ

~ヨークシン セメタリービル地下~

 

「さて、どう戦うかな」

 

男の目の前には、老人と壮年の男

 

「お前さん、クロロじゃろ」

 

老人がそう声をかける

 

「なんでわかるかな」

 

「後ろ手に持っとる本、その能力は忘れんよ」

 

やりにくいなぁ、と後頭部をかきながら本をしまう

 

ボンッ

 

頬に十字傷のあった男から、幻影旅団の団長クロロに戻る

 

「なんでそんな格好しとったんじゃ?」

 

「元フロアマスターらしくてね。監視のきついこの中心街に入るのに便利だったんで」

 

「じゃぁ、早速はじめるかの」

 

ゴオッ!!!

 

老人、ゼノ

 

壮年の男、シルバ

 

ゾルディック家の2人がオーラを爆発させる

 

「やっぱり凄いな…」

 

ゴオッ!!!

 

クロロもオーラを爆発させる

 

「シルバ、ちと厄介かもしれんの。ワシもろともで良い。やれ」

 

「わかった」

 

そして息の吐く暇もない戦いが始まる

 

 

 

(流石クロロ◆『1313』、そしてあのじぃさんもやるね…『1287』)

 

そしてヒソカはシルバにも目をやる

 

(ゾルディックの現当主、か…)

 

スカウターに映る『1988』の数字に笑みが溢れる

 

(ウボォーよりも少ないけど…動きが段違い◆戦ったら確実にこの男の方が勝つね)

 

そんな2人の攻撃を捌くクロロ

 

(あぁ、やっぱりいいよ…クロロ◆)

 

悦に入ったヒソカはしばしその戦いを見守り、そして別のあるホテルへと向かった

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ中心 あるホテルのフロア~

 

「来たようですな」

 

十老頭のいる部屋で待機していた桃白白が立ち上がる

 

「そ、それは本当ですか先生!」

 

「ふむ、この気配からいって楽しめそうな相手ですな。1人は完全に気配を消してますが…まぁ何かする気は無さそうなのでいいでしょう」

 

スタスタと歩いて扉を開く桃白白

 

そこには長髪で、服に針を刺した男が立っていた

 

「なんだ、見つかちゃってたのか」

 

猫目のような顔をしたその男

 

「邪魔なんだよね。急ぎの仕事ってクロロから言われてるのに」

 

スッと針を取り出す

 

「ほぅ、私を桃白白とわかっても、やるつもりかね?」

 

構える桃白白

 

「あー、あの有名な。うちのじぃさんがよく笑い話で出してたよ」

 

「ぐぐぐっ…あのジジイめ。なら貴様はゾルディック家の者ということだな」

 

「まぁ全員殺すからバラしてもいっか。そ、ボクはゾルディック家の長男、イルミ」

 

その瞬間

 

シュッ!!

 

挨拶をして気が緩んだ隙をついたように針を投げるイルミ

 

「で、挨拶は終わりかな?」

 

イルミの投げた針を全て掴んでいた桃白白

 

「…じぃさんの話と違うな」

 

ズオッ!!

 

オーラを爆発させるイルミ

 

「あのジジイが使う念、というやつか」

 

桃白白も気を上げる

 

 

 

(あのイルミで『1179』、そしてあの変なじぃさんがあの有名な桃白白…)

 

スカウターの数値は『634』

 

(そんなに高くはない。けどこの感じ…)

 

念とは違うようなこのオーラ

 

つい昨日も感じたもの

 

クラピカが使ったそれだ

 

(数値だけではわからない、か)

 

動き出した2人の動きに、ヒソカは静かに見守った

 

 

 

シュシュシュシュ!

 

全方位から針が飛んで桃白白を襲う

 

キキキキキンッ

 

弾き落とすものもあれば、当たって弾かれるものもある

 

「どんな体してるのか」

 

イルミのその呟きに答えるように、桃白白は上着を脱ぐ

 

そこに見えたのは鋼の体

 

「そんな技術見たこともないんだけど」

 

「貴様らにはわかるまい」

 

ヒョォ!

 

息を吸い込む桃白白

 

はっ!

 

発声と共に繰り出される拳

 

メキョッ!!!

 

避ける間もなくイルミの顔面を凹ませて吹き飛ばす

 

(…!?見えなかった!?)

 

吹き飛ばされた先で混乱するイルミ

 

「ただ拳を速く動かしただけにすぎん」

 

脱いだ服をパタパタとはたいて、机の上に畳んで置く

 

(依頼の失敗はあり得ない)

 

イルミは起き上がって桃白白に攻撃を仕掛ける

 

(オーラの量はこっちが上のはずなのに!)

 

全てを捌かれていなして返される

 

「まだまだ、甘い」

 

下蹴りを繰り出すイルミを、イルミの頭を掴んでジャンプで避ける桃白白

 

そのままキュッ、と手首を動かしてイルミの首を曲げる

 

「あ…が…が………」

 

倒れ込んだイルミが針を投げる

 

キキン

 

弾いた針と、散らばった針がイルミに刺さる

 

「苦しまずに済むように、どどんぱで止めをさしてあげましょう」

 

ぽろっ、と手首を取る

 

そして気を高める

 

(桃白白の戦闘力が上がっていく…!『933』ここまで一瞬で戦闘力を変えられるのか…素晴らしい◆)

 

桃白白が腕をイルミに向けた瞬間

 

最後の力を絞ってイルミが特大の針を投げる

 

カンッ、と桃白白に弾かれたそれは、イルミの首に刺さり、今度こそ完全に沈黙する

 

気を静めて手首を付ける桃白白

 

「ふむ…さて、終わりましたぞ」

 

部屋で縮こまっていた十老頭に声をかける

 

「さ…さすが先生!!!」

 

わぁっ、と歓声が上がる

 

「前金で5000万ゼニー頂いておりましたので、残りの5000万ゼニーの振り込みをお願いしますよ」

 

そう言われて慌ててパソコンを操作する十老頭の1人

 

「では、私の任務はこれで終わりで。最後にそこの者を火葬してあげましょうかね。一応知り合いの孫のようですので」

 

そう言ってイルミに近寄ると

 

「待て、その者は晒し首にする」

 

十老頭の1人がそう告げる

 

「…昔の私だったらどうしようが何も言いませんでしたが、今の私はそういうことには賛同できないのですがね」

 

だが、それでも十老頭は首を縦には振らなかった

 

面子というものがあるのだろう

 

「ならば私はもう関与しないことにしましょう」

 

それだけ言うと桃白白はテラスに出る

 

そして柱の前に立ち、上と下を小突いて柱を取る

 

「聖地カリンは…この方角か」

 

ぶんっ!!!

 

シュッ!!

 

そして投げた柱に乗って桃白白は消えていった

 

「所詮は表の殺し屋か。殺した相手をどうしようと構わないのがマフィアのやり方」

 

どんな晒し首にしようか、と十老頭がイルミの死体に振り向いたとき

 

「だ、誰だお前は!」

 

小さな子供がイルミの死体の横にいた

 

着物姿の子供

 

その子供がイルミの首から針を抜く

 

そして━━━

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン セメタリービル地下~

 

ズズズズン

 

地響きと共に鳴り響いたのは機械音

 

ピピピピピ

 

その音は暗殺完了の合図

 

「何を遊んでおったんじゃイルミ」

 

『ごめんごめん、ちょっとやられちゃってて』

 

ゼノに電話をしてきたのは、死んだはずのイルミ

 

「まさか桃白白のやつじゃなかろうな」

 

『そ、知り合いなんだよね?教えてもらってたよりだいぶ強かったよ。今はカルトに起こしてもらってなんとか、って感じ』

 

「そうか、奴も鍛え上げておったようじゃの。この連絡をしてきたということは十老頭は始末できたのじゃな?」

 

『全く勝てる気しなかったよ。十老頭の方は抜かりなく。それよりボクの依頼者はまだ生きてる?』

 

そのとき、ガラガラ、と瓦礫を押し退けて立ち上がる者が1人

 

幻影旅団、団長クロロ

 

「ふん、ピンピンしとるわい」

 

苦々しげに言うと、ゼノはシルバを連れて帰っていった

 

「ふひぃー、しんど。あれは盗めねぇわ」

 

それだけ言うとクロロはバタリとその場に倒れ込んだ

 

 


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