luterlude 1.「ヤンデレココアと向き合う気持ち」
luterlude 2.「ヤンデレココアと重い日常」
luterlude 3.「大好きなリゼちゃん」
luterlude 4.「私だけを見て...」
luterlude 5.「ずっと一緒ですよ」
secret luterlude.「Late night wandering」
今回の回で枠をなくます、物語が終わる際、枠はそれにつけます。
luterlude 1.「ヤンデレココアと向き合う気持ち」
――ラビットハウス――
リゼ「遅くなってすまない」ガチャッ
ココア「リゼちゃん、おかえりなさい」
リゼ「言われた通り、今日もお昼ご飯は食べてこなかったが……ほんとにいいのか?」
ココア「帰りが早いテスト期間中だけだから……それに――」
――ギュッ
リゼ「!」
ココア「リゼちゃんにわたしが作ったご飯、食べてほしいもん」ニコッ
リゼ「ココア……ああ、それじゃあお言葉に甘えるよ」ナデナデ
ココア「えへへ……♪」
リゼ「さて、今日もチノが帰ってくるまで二人で頑張るか」
ココア「うん!」
ココア「――あれ………?」
ココア「」クンクン スンスン
リゼ「……?ココア、どうしたんだ?」
ココア「……………………」
ココア「……ねぇ、リゼちゃん」
ココア「……今日、誰かに抱き着かれたりした?」
リゼ「えっ……」
ココア「こうしてギュッて………ねぇ?」ズイッ
リゼ「えっと…………」
ココア「それとも……リゼちゃんが抱きしめたのかな?」
リゼ「いや、身に覚えが……――あっ、そういえば」
ココア「」ピクッ
リゼ「帰り際に偶然会った後輩の子に抱きつかれたっけ」ハハハ
ココア「」
リゼ「大人しい子で最初はなかなか打ち解けてくれなかったんだが……最近では自分から声をかけてくれたり、部活の助っ人の応援に来てくれたり、前より仲良くなれたような気がするよ」
ココア「……………………」
リゼ「この前も一緒にお弁当を食べたりして――」ペラペラ
ココア「へぇ……」ニコニコ
リゼ「今日なんて帰り道に手を繋ぎたいと、大人しかった子がすごい進歩だろ?」
ココア「うんうん……」ニコニコ
リゼ「」ペラペラ
ココア「」ニコニコ
ココア「………………」
ココア「」
リゼ「っと……すまない、少し話し込んでしまったな」
ココア「………………」
リゼ「お腹もすいたし昼食にしよう、もうココアが作ってくれてるのか?」
ココア「うん……カレーだけど」
リゼ「おっ、いいな。ココアのカレーは食べるの初めてだな」
ココア「……用意するから、待ってて」
リゼ「いや、わたしも手伝うぞ?」
ココア「温めるだけだから大丈夫だよ、リゼちゃんはここで待ってて」ニコッ
リゼ(……?なんだろう、この違和感……)
リゼ「……わかった、それなら」
ココア「すぐにできるからね……ふふっ」クスッ
リゼ「……?」
ココア「お待たせ……」コトッ
リゼ「ありがとう」
リゼ(見事にニンジンが入ってないな……というか野菜が少ない)
リゼ「いただきます」
パクッ
リゼ「…………」モグモグ
ココア「どうかな?」
リゼ「うん、うまいぞ。ダシは貝でとったのか」
リゼ「ジャガイモもちゃんと火が通ってる、上出来だよ」
ココア「ふふ、よかった……」
リゼ「チノはパンしか作れないと言ってたけど、シチューやカレー、味噌汁も作れるんだな」
ココア「リゼちゃんのために、練習したから……」ボソッ
リゼ「ん?」
ココア「ううん、なんでもないよ」ニコッ
リゼ「……あれ、ココア?」
リゼ「その指……ケガしたのか?」
ココア「ああ……うん、ちょっと」バンソウコ
リゼ(温めるだけなのに……刃物か何か使ったんだろうか?)
ココア「温める前に、すこし隠し味を入れたんだ」
ココア「私だけの秘密の隠し味を……リゼちゃんのためだけに」
リゼ「隠し味か……なるほど」
リゼ「でもこれからは気を付けるんだぞ、指を怪我したらラビットハウスの仕事にも支障をきたす」
ココア「うん、心配かけてごめんね」
リゼ「でもその隠し味のおかげかな、ほんとにおいしいぞ」
ココア「えへへ、ほんと?よかった……」
リゼ「♪」モグモグ
ココア「」ニコニコ
――更衣室――
リゼ「」テキパキ
ココア「お待たせ……」ガチャッ
リゼ「そんなに急がなくても大丈夫だぞ、まだ30分前だし」
ココア「うん……」
バタン
ココア「………………」
リゼ「」ヌギヌギ
ココア「ねぇ……リゼちゃん?」
リゼ「んっ、どうした?」
ドン!
リゼ「!?」
リゼ「あぅ……!」ソファ ボスッ
リゼ「ココア、なにす――――!?」
ココア「」スッ ウマノリ
リゼ「…ココア………?」
ココア「ふふっ……リーゼちゃん♪」スリスリ
リゼ「…………!」
リゼ(この違和感……さっきと同じ……)
リゼ「ま、待て……じゃれあうならせめて服を着てからに……」
ココア「ううん、このほうがいいの……リゼちゃんのぬくもりを直接感じられるから……」
リゼ「っ……でも、さすがにこれは……//」
ココア「……ねぇ、リゼちゃん?」
ココア「さっきのカレー、おいしかった?」
リゼ「……?」
リゼ(どうして突然カレーの話に……?)
リゼ「ああ、すごくおいしかったが……」
ココア「そっか……♪」
ココア「あのカレーに入れた隠し味はね、リゼちゃん専用なんだ」
ココア「リゼちゃんにだけの、特別な隠し味……」
リゼ「そうなのか……?」
ココア「うん……――知りたい?」
リゼ「あ、ああ、気にはなるが」
ココア「ふふ……そうだよね」
ココア「……これが、答えだよ」ベリッ
ポタ……ポタ……
リゼ(これが答え……絆創膏をはがしたせいで血が……)
リゼ(……――――っ!?)
リゼ「まさか……!」
ココア「隠し味は――わたしの血液だよ」
リゼ「……!」
ココア「リゼちゃんがわたしの血をおいしいって言ってくれた……うれしいなぁ♪」
リゼ「……ココア……どうしてそんなこと」
ココア「どうして?……そんなの、決まってるよ」
ココア「リゼちゃんの心を、その泥棒猫から奪い返さないと」
リゼ「!」
ココア「これでもう、わたしとリゼちゃんは血でつながってるよ、えへへ」ニコッ
ココア「――あとは」スッ
リゼ(私の手を口元に……?)
ココア「この汚れちゃった手を綺麗にすれば、わたしだけのリゼちゃんだね」
ココア「リゼちゃん、ちょっとくすぐったいけど、ジッとしててね……」
リゼ「……やめろココア、こんなことをしても、わたしは誰のものにもならない」
ココア「例えそうでも、その子に汚されたリゼちゃんの手は元に戻るよ」
リゼ「汚れてなんてない!頼むココア、いつもの明るいお前に戻ってくれ!」
ココア「リゼちゃん、動いちゃダメ」
リゼ「お前はそんなことを言うやつじゃないだろ!ココア――!」
ビュッ グサッ!!!!
リゼ「!!」
シュ~…… ホウチョウ
リゼ「あ……ぁ…………」ガクガク
ココア「大好きなリゼちゃんを傷つけたくないの、お願いだからジッとしてて」
ココア「んんっ……リゼちゃん……」ペロッ
ココア「リゼちゃんの手……あったかいね……」チュパ
ココア「あぁ……りれひゃん……」レロッ
――
――――
――――――
リゼ(そのあとどうなったのかは覚えていない……気が付けば、わたしに馬乗りになっていたココアはいつもの明るいココアに戻っていた)
リゼ(その後、テスト期間終了日まで私はココアと昼食を共にしたが、あの狂気じみたココアに再び襲われることはなかった)
リゼ(今では、あの時のことが夢のように感じる……)
リゼ(……いや、違う)
リゼ(きっとあのココアは、些細なきっかけでまたわたしの前にいつでも現れる)
リゼ(そう、わたしが他の子に抱きつかれたり、ココアの気持ちを拒絶したりすれば、また――)
リゼ(……正直、最初は戸惑った)
リゼ(……でも)
リゼ(あの優しくて可愛い、いつものココアといられるのであれば――)
リゼ(その程度のこと、なんの問題でもない……あとは――)
――休日 リゼの部屋――
in ベッド
ココア「リゼちゃん、今日も楽しかったね」
リゼ「ああ、そうだな」
ココア「えへへ……明日も二人でたくさん楽しもうね」
リゼ「明日?もう予定が決まってるのか?」
ココア「……?リゼちゃんどうしたの?リゼちゃんが書いてくれたんだよ、ほら」
ニッキチョウ
リゼ「………ああ、そうか……そうだったな」
ココア「もう、リゼちゃんたらうっかりさんだね」
リゼ(ココアの字だけで埋められた『明日』のことまで書かれた日記帳……きっとわたしが書いた覚えがないと言ったら、ココアは……)
リゼ「………………」
ポンッ ナデナデ
ココア「ふぇ……リゼちゃん?」
リゼ「大丈夫だ、わたしは絶対お前のことを見捨てたりしない」
リゼ「だから安心しろ……」ギュッ
ココア「……うん」ギュッ
ココア「なんだか恋人同士みたいだね//」ニコッ
リゼ「……冗談言ってないで、早く寝ろ」
ココア「はーい、それじゃあリゼちゃん、おやすみなさい」
リゼ「ああ、おやすみ」
カチッ
――
――――
――――――
ココア「………………」Zzz
リゼ(寝顔だけ見ていれば、無邪気なもんだ……)
ココア「………………」Zzz
リゼ「ごめんな、ココア……」ナデナデ
リゼ(お前が私のこと、好きでいてくれるのはうれしい……だから、わたしもお前を元に戻す)
リゼ(依存しなくても束縛しなくても、わたしはお前のそばを離れない……それが証明できたら、その時は――)
リゼ「――わたしも、素直に気持ちを伝えるよ」
リゼ(ココア……もとに戻れるまで、二人で頑張ろうな)ナデナデ
ココア「んっ…………♪」
リゼ「…………」ニコッ
----------------------
luterlude 2.「ヤンデレココアと重い日常」
リゼ(ココアのヤンデレを治すため、休日含め毎日ココアと会うことになったものの、最近は胃が痛い)
リゼ(というのも――)
――リゼの部屋――
リゼ「…………」カキカキ
トントン
リゼ「んっ……?」
ココア「リゼちゃん、わたしだよ」
リゼ「ココアか、入っていいぞ」
ガチャッ
ココア「リゼちゃん……やっと会えたね」ニコッ
リゼ「おいおい、毎日会ってるじゃないか」
ココア「この前会ったのって15時間も前だよ?あと9時間会えなかったらわたしもうおかしくなってたかも」
リゼ「…………」
ココア「ところでリゼちゃん、なにしてるの?」
リゼ「あっ……ああ、これは学校の課題だ。もう少しで終わるからその辺でゆっくりしててくれ」
ココア「分かった、待ってるね」
リゼ「………………」カキカキ
ココア「…………」
リゼ「………………」カキカキ
リゼ(ココアの視線が背中に……)
ココア「……ふふっ」
リゼ「!」ビクッ
ココア「リゼちゃん、どうかした?」
リゼ「い、いや、なんでも……」
リゼ(宿題やってる姿を見て何が楽しいんだ?)
ココア「…………」ニコニコ
リゼ「……よし、終わったぞ」
リゼ「ココア、待たせたな」
ココア「ううん、全然。あと2時間でも平気だよ」
リゼ「………………」
リゼ「……とりあえず、何かゲームでもするか」
ココア「ううん、その前に――――えいっ」ギュッ
リゼ「!」
ココア「リゼちゃんもふもふ、えへへ♪」
リゼ「おいおい、まだ制服だから着替えてから――」
ココア「…………」クンクン
リゼ「ん、そんなに臭うか?すまない、今日は少し暑かったからな」
ココア「……他の女の匂い」ボソッ
リゼ「……!」
リゼ(しまった、マズい!)
ココア「……どうして」ハイライトオフ
リゼ「ココア、違うんだ、これは後輩の子が突然抱き付いてきて……」
ココア「どうしてみんなわたしとリゼちゃんを引き裂こうとするの……ねぇ、どうして」フラッ
リゼ「っ……ココア!」ギュッ
ココア「……?リゼちゃん……?」
リゼ「ごめんな、これからは気を付けるから……!」
ココア「どうしてリゼちゃんが謝るの……?悪いのはその泥棒猫なのに」
ココア「リゼちゃんモテるから……早く始末しないと……」
リゼ「安心しろ、わたしはお前を捨てたりしない、ずっと一緒にいる」
ココア「ほんと……?誰にも、目移りしたりしない?」
リゼ「ああ、約束する。だから大丈夫だ」ギュッ
ココア「……うん、分かった……えへへ、リゼちゃん、あったかい」ハイライトオン
リゼ(よし、なんとか戻ったか)
ココア「……あれ?」ポケット スッ
リゼ「!?」
ココア「可愛いハンカチ……リゼちゃん、これ誰の?」
リゼ「それは手を洗った時に後輩の子が貸してくれて返し損ねてだな!」アセアセ
ココア「プレゼント……?」ハイライトオフ
リゼ「わああぁぁ!!」
――
――――
――――――
――休日 早朝 甘兎庵――
リゼ「はぁ……」ゲッソリ
千夜「はいリゼちゃん、お疲れ様」スッ
リゼ「ああ、ありがとう」
千夜「ココアちゃん、まだまだかかりそうね」
リゼ「学校ではどうなんだ?」
千夜「普段と変わらないわよ、暇があれば待ち受けのリゼちゃんを見つめてるくらいかしら」
リゼ「そうか……って、結構重症じゃないか……」
千夜「不謹慎だけど、あんなに愛されてリゼちゃんが少し羨ましいわ」
リゼ「…………」
千夜「リゼちゃんだって、悪い気はしないでしょう?」
リゼ「そりゃあ、まぁ……でも、わたしが好きなのはあのココアじゃないから」
リゼ「あいつがもとに戻るまで、自分の気持ちを伝えるのは我慢しようって決めたんだ」
千夜「……そう」
リゼ「おっと……そろそろ戻らないとまずいな」
千夜「ココアちゃんと約束?」
リゼ「ああ、遅れたりしたらまた――――うぅ、胃薬胃薬」
千夜「あらあら……ふふっ、リゼちゃんも大変ね」
リゼ「お代ここに置いておくぞ。いつも愚痴を聞いてもらってすまないな、千夜」
千夜「ううん、いいのよ。またいつでも来て」フリフリ
―――――――――――――――――――――――
――ココアの部屋――
リゼ(5分遅れたか……マズいな)
リゼ「…………」
トントン
リゼ「わたしだ、入っていいか?」
シーン
リゼ「…………」
ガチャッ
ココア「あ、リゼちゃん♪」
リゼ「ココア……すまない、遅くなったな」
ココア「ううん、そんなことない、時間ピッタリだよ」
リゼ「………………」
ココア「リゼちゃん、どうしたの?」
リゼ「……また時計、壊しちゃったのか」
ココア「うん、この時計針が狂ってたから」
リゼ「……ごめんな、わたしが遅刻したばっかりに」ナデナデ
ココア「……?ううん、リゼちゃんは時間ピッタリだよ?この時計がおかしいんだよ」
ココア「だって昨日リゼちゃんと約束したもん、今日の朝10時に遊びに来てくれるって」
ココア「それなのに、この時計リゼちゃんがまだ来てないのに10時を指したんだ」
ココア「針が狂ってたから……わたしに嘘をつくから、壊したの」
ココア「だって、リゼちゃんがわたしに嘘つくはずないもん……」ニコッ
リゼ「……そうだな、ごめん。本当にごめん。また新しい時計、買いに行こうな」
ココア「えへへ、デートのお誘いだね」
リゼ「ほら、手見せてみろ」
ココア「んっ?」
リゼ「こんなに血が出て……痛かっただろう」
ココア「ううん、平気だよ。リゼちゃんのためならどんな怪我でも」
リゼ「わたしはココアにケガしてほしくないんだ……だからあんまり危ないことしないでくれ、なっ?」
ココア「……うん……分かった」
リゼ「そうか、良い子だな」ナデナデ
ココア「リゼちゃん……んっ♪」ニコッ
リゼ「…………」ナデナデ
―――――――――――――――――――――
リゼ「……うん、うまい」
ココア「ほんと?良かったぁ」
リゼ「ハンバーグも作れるようになったのか、頑張ったな」
ココア「リゼちゃんのためだったらどんなことでもできる気がするよ」
リゼ「ははっ……危ないことはダメだぞ?」
ココア「うん」ニコニコ
リゼ「ところで、ココア?」
ココア「んっ?」
リゼ「指……また切ったのか?」
ココア「うん、隠し味に絶対必要だから」
リゼ「……そうか」
リゼ「……気持ちだけじゃあ、ダメなのか?」
ココア「このほうがおいしくなるから……ふふっ」ニコッ
リゼ「……まだ、かかりそうだな」
ココア「?」
リゼ「いや、なんでもない……」
ココア「変なリゼちゃん♪」
――
――――
――――――
――深夜 リゼの部屋 inベッド――
ココア「んっ……リゼちゃん」スリスリ
リゼ「…………」
ココア「明日はどこにいこっか?」
リゼ「そうだな……ココアの好きなところでいいぞ」
ココア「ほんと?それじゃあ明日は二人でずっとこうしていよ」
リゼ「明日もずっとこのままか?」
ココア「だって……こうしていれば、誰にもリゼちゃんを取られない……リゼちゃんを、ずっと独り占めできるから」
ココア「えへへ……リゼちゃん」ギュッ
リゼ「……いいのか?」
リゼ「――縛られたままじゃあ、わたしは何もしてあげられないぞ」
ココア「……うん」
ココア「何もしなくていいの……こうしてリゼちゃんとくっついていられれば、わたしは幸せだから」
リゼ「…………」
ココア「リゼちゃんを独占できて、こんなにもリゼちゃんが近くにいる……ふふっ、ずっと一緒……」
リゼ「……ココア」
ココア「んっ……?」
リゼ「……ごめんな」
ココア「……?」
リゼ「優しかったお前をこんな風にしてしまって……」
リゼ「こんなになるまで思い悩んでいたお前に気づいてあげられなかった……ごめん……ごめんな……」ポロポロ
ココア「リゼちゃん……どうしたの、泣かないで?」
ココア「涙なんて、流さないで……んっ」ペロッ
リゼ「ああ、大丈夫だ……」グスッ
リゼ「わたしも、意外と諦めが悪くてな……」
リゼ「……また明日も頑張ろうな、ココア」ニコッ
ココア「……?うん」ニコッ
----------------------
luterlude 3.「大好きなリゼちゃん」
――お昼休み――
千夜「」ニコニコ
ココア「千夜ちゃん、なんだか最近楽しそうだね?」
千夜「えっ?そ、そうかしら」
ココア「何かいいことあった?」
千夜「ううん、ただ毎日幸せなだけよ」
千夜「ココアちゃんがいて、チノちゃんがいて、シャロちゃんがいて」
ココア「そっかぁ!わたしと一緒だね♪」
千夜「リゼちゃんが、いてくれるから……」
ココア「ふっふっふ……千夜ちゃんの卵焼き、スキあり!」バッ
千夜「ふふっ♪」ヒョイ
ココア「!」
千夜(ついニヤけちゃってたみたいね、気を付けないと)
千夜「でもリゼちゃんがいきなりあんなこと言うから……」ニヘラ
ココア「っ……ミートボール!」バッ
千夜(おかげでまだ3週間も先なのに、こんなに待ち遠しいわ♪)ヒョイ
ココア「!」
千夜「お返しは何がいいかしら、ねぇココアちゃん?」ニコッ
ココア「参りました……わたしのアジフライをどうぞ」
千夜「アジフライ?」キョトン
――――――――――――――――――――――
――1週間前――
千夜「はいリゼちゃん、おまちどうさま」コトッ
リゼ「ありがとう」
千夜「最近はよく来てくれてうれしいわ」
リゼ「いつも閉店間際にすまないな」
千夜「閉店間際だからたくさんお話しできるもの」ポスッ
リゼ「ん……このおしるこおいしい」
千夜「ふふっ、リゼちゃんも甘兎庵の虜になっちゃった?」
リゼ「今日はもうおしまいか?」
千夜「ええ、リゼちゃんが最後のお客さんよ」
リゼ「……そうか」
千夜「?」
リゼ「なぁ、千夜?これ……」スッ
千夜「これは……映画のチケット?」
リゼ「使用人からもらってな、2枚あるんだ」
千夜「まぁ、それならだれか誘えるわね」
リゼ「ああ、良かったら一緒に行かないか?」
千夜「えっ?」
リゼ「せめて5枚あれば良かったんだけど、2枚だけだとどうしてな」
千夜「わたしが?リゼちゃんと二人で映画に?」
リゼ「あっ、いやならいいんだぞ?すまないな、急に」
千夜「………………」
リゼ「千夜……?」
千夜「……♪」クスッ
千夜「もしかしてリゼちゃん、最近来てくれてたのはこのため?」
リゼ「っ!」ギクッ
千夜「なんだかずっとソワソワしてたから」
リゼ「鋭いな……上手く切り出すタイミングがなかなか無くて」
千夜「こんなに嬉しいお誘い、もっと早く聞きたかったわ」
リゼ「!それじゃあ……」
千夜「リゼちゃんさえよければ、連れて行って」
リゼ「そうか!良かった……」ホッ
千夜「メールか電話で誘ってくれればいいのに」
リゼ「いや、それだと千夜が断りづらいと思って」
千夜「リゼちゃんに誘われて断る人なんていないと思うけど」
リゼ「どういうことだ?」
千夜「ううん、気にしないで」
リゼ「?」
千夜「上映はいつ?」
リゼ「ちょうど1か月後だから、11月11日だな」
千夜「わかったわ、楽しみにしてる」
リゼ「くれぐれもみんなには内緒でな」
千夜「♪」ニコッ
――甘兎庵 夜――
千夜「ふふっ、アンコ?リゼちゃんからデートに誘われちゃったわ」ヒョイ
アンコ「」
千夜「二人きりで映画を見に行くの、楽しみ♪」
アンコ「」
千夜「……リゼちゃん、きっと他に選択肢が無かったのね」
アンコ「」
千夜「なーんて、それでも嬉しいわ」ギュッ
千夜(学校の後輩や友達より、わたしを優先してくれたんだものね)
千夜「ねぇ、アンコ」スリスリ
アンコ「」コクコク
………………。
…………。
……。
――狂気の始まりは、いつも正気から。
―――――――――――――――――――――
――夕方 帰り道――
千夜「」ニコニコ
シャロ「千夜、最近なにかあったの?」
千夜「へっ?ううん、なにも」
シャロ「ふぅん?なんだかよくニヤけてるから」
千夜(また無意識に……気を付けないと)サッ
シャロ「あの辺の土手もだいぶ茂ってきたわね」
千夜「いつ頃くらいに綺麗にしちゃうのかしら?」
シャロ「確か来月の頭くらいだったはずよ、スーパーに張り紙がしてあったわ」
千夜「あんなに綺麗に咲いてるお花も一緒に?」
シャロ「可哀そうだけど、たぶん雑草と一緒に刈られるわね」
千夜「そう……」
シャロ「あの長いの菊の花かしら?もう秋なのにすごい生命力ね」
千夜「そうだわ。ねぇシャロちゃん、二人で今のうちに植え替えしてあげない?」
シャロ「はぁ?なんでそんなこと……」
千夜「お花がかわいそうなの……ダメかしら?」
シャロ「うっ……」
シャロ「……わかったわよ、しょうがないわね」
千夜「ありがとう」ニコッ
―――――――――――――――――
千夜「最後はあの長い菊ね」
シャロ「あれも掘り返すの?」
千夜「頑張りましょう、もう少しよ」
シャロ「今日はせっかくのバイトオフだったのに……はぁ」
千夜「これね、間近で見ると大きいわ」
シャロ「いや、普通にわたしたちより高いんだけど」
千夜「誰もお世話していないのにこんなに立派に咲いて、すごいわね」スッ
シャロ「――!千夜、ダメっ!」ガシッ
千夜「きゃっ!?」
シャロ「良く見て、この花」
千夜「!……棘だらけね」
シャロ「茎だけじゃなく葉にまで棘があるわよ」
千夜「どうしよう、これだと触れないわ。手袋でもたぶん……」
シャロ「ここまで大きいと根も相当深いわね……この花だけは無理よ」
千夜「…………」シュン
シャロ「千夜……種子があるからこれを植えましょう?」
千夜「うん……」
―――――――――――――――――――――――
千夜「ふぅ……」ガチャッ
リゼ「千夜、おかえり」
千夜「リゼちゃん……!」
リゼ「居残りか?ずいぶん遅かったな」
千夜「ううん、ちょっと……リゼちゃんの方こそ、今日は用事があるってシャロちゃんから聞いてたけど」
リゼ「ああ、だからずっと待ってたんだ」
千夜「えっ?」
リゼ「映画のパンフレット、千夜と一緒に見たいと思って」
千夜「!……用事って、もしかして」
リゼ「昨日千夜がメールでどんな映画か気になるって言ってたからな」
千夜「ごめんなさいリゼちゃん……4時半頃からずっと待ってて……」
リゼ「気にするな、何も言わずに勝手に来たのが悪い」
千夜「っ……ごめんね」
リゼ「わたしのほうこそ、羊羹ひとつで長く居座ってしまってすまないな」
千夜「リゼちゃん、もう帰っちゃうの……?」
リゼ「ああ、そろそろ閉店時間だしな」
リゼ「今度からはちゃんと連絡するよ。ほら、映画のパンフレット」
千夜「…………」スッ
リゼ「またメールでも電話でも感想聞かせてくれ、じゃあな千夜」
千夜「うん、またね」フリフリ
リゼ「」ニコッ
ガチャッ バタン
千夜「………………」
千夜「……っ」
――甘兎庵 夜――
千夜「アンコ……?今日ね、大失敗しちゃった」
アンコ「」
千夜「せっかくリゼちゃんが、わたしのためだけに来てくれたのに」
アンコ「」
千夜「せっかく、本当に特別扱いしてもらえたのにね……」ヒョイ
アンコ「」
千夜「どうして言ってくれなかったのかしら……教えてくれれば、すぐに帰るのに……」
千夜「どうしていつも閉店時間に帰っちゃうのかしら……もっといてほしいのに……」
千夜「………………」スッ
千夜「パンフレット、一緒に見たかったな……」
千夜「……ふふっ」ニコ
千夜「意地悪ね、リゼちゃんて……ねぇアンコ?」
アンコ「」フルフル
千夜「違う?……そうよね、分かってるわ」
千夜「リゼちゃんは……ただ優しいだけ」
千夜「優しいから何も言わないし、何でも一人で行動しちゃう」
千夜「わたしに気遣って……」
アンコ「」コクコク
千夜「……くすっ、やっぱり意地悪ね」
アンコ「」
千夜「あとで感想、電話しましょう」
アンコ「」
千夜「大丈夫よ、何も言わないわ」ニコッ
アンコ「」コクコク
………………。
…………。
……。
――優しさと意地悪、対義は常に紙一重。
――――――――――――――――――――
――金曜日 深夜 千夜の部屋――
千夜(あと2週間、もうちょっとね)
Prrrrrrrrrrrr――
千夜「?」
千夜(リゼちゃんから……)
千夜「はい、もしもし」
リゼ『千夜、こんなに夜遅くすまないな』
千夜「ううん、どうしたの?」
リゼ『明日なんだけど……なにか予定あるか?』
千夜「特に何も、甘兎庵もおばあちゃんがいるし」
リゼ『そうか、なら一緒にお昼ごはんでもどうだ?』
千夜「!」
リゼ『最近公園横の飲食街に洋食店ができたみたいでな、そこのパスタがすごくおいしいらしい』
千夜「雑貨屋さんの横に新しく開店したお店ね」
リゼ『ああ、良かったら行ってみないか?』
千夜「もちろんよ。行きましょう」
リゼ『なら、明日の12時にお店の前で待ち合わせだ」
千夜「12時ね、わかったわ」
リゼ「千夜は大丈夫だと思うけど、休日だからってくれぐれも寝坊するなよ」
千夜「ええ」クスッ
千夜(リゼちゃんとお昼ごはん、二人きりなんて初めてね)
千夜「……ふふっ♪」ニコッ
千夜(この前パンフレットで損ねた分まで楽しみましょう)
千夜「ねぇアンコ?明日はこの服とこの服、どっちがいいかしら?」
アンコ「」ジー
千夜「帰りにアンコにもなにかお土産買ってくるわね」
アンコ「」フムフム
――――――――――――――――――
――翌日 9時――
千夜「♪~♪♪」
千夜「」チラッ
千夜(あと3時間、待ち遠しいわ)
千夜「」ニコニコ
Prrrrrrrrrrrrr――
千夜「!」
千夜(……リゼちゃんから?)
千夜「もしもし」
リゼ「千夜か、朝早くにすまない」
千夜「ううん、今日は早くから目が覚めてたから」
リゼ「いきなりでごめん、今日のランチのことなんだが……」
千夜「?」
リゼ「――すまない!明日でもいいか?」
千夜「!」
リゼ「部活の練習試合で、どうしてもメンバーがたりないみたいなんだ。わたしが行かないと中止になってしまうらしくて」
千夜「…………」
リゼ「断ればよかったんだけど……ごめんな、千夜。明日に回してもらっていいか?」
千夜「オッケーよ」ニコッ
リゼ「千夜……ありがとう。お詫びに明日はソフトドリンクとサラダくらいならごちそうしよう」
千夜「リゼちゃん、明日はあのお店定休日よ」
リゼ「えっ、そうなのか!?」
千夜「行くなら、また来週ね」
リゼ「……ごめん千夜……本当にすまん」
千夜「だから、その代わりリゼちゃんにお願いがあるの」
リゼ「なんだ?わたしにできることなら――」
千夜「部活が終わったら今晩、遊びに来てくれない?」
リゼ「えっ?」
千夜「晩御飯ごちそうするわ、最近手料理に凝ってるの」
リゼ「千夜の手料理か……いいな」
千夜「来てくれる?」
リゼ「ああ、ごちそうになるよ。6時ごろでいいか?」
千夜「ええ、作って待ってるわ」
リゼ「ありがとう、ドタキャンしたのになんだか悪いな」
千夜「ううん、部活頑張ってねリゼちゃん。応援してるわ」
リゼ「任せろ――あっ、そういえば千夜、ココアたちには……」
プチッ ツー
リゼ「って……切れてしまった」
千夜(中止になったのは残念だけど……おかげで今夜はリゼちゃんと思う存分お話できるわ♪)
千夜(映画のこととか、二人でたくさん……)ニヘラ
………………。
…………。
……。
幸福への期待は、豹変の兆し。
――――――――――――――――――
――甘兎庵 夜――
千夜「――できたわ」
千夜(まろやかさ、酸味、甘味……完璧ね)
千夜「……♪」ニコッ
千夜(リゼちゃん、喜んでくれるかしら)
ガチャッ
千夜「!」
千夜「はーい」タタタ
千夜「リゼちゃん、おかえりなさ――」
ココア「千夜ちゃんこんばんは!」
千夜「……え」
チノ「遅くなってすいません」
千夜「チノちゃん、ココアちゃん……?」
ココア「シャロちゃんはお家にいなかったから、たぶんまだバイトじゃないかな」
チノ「リゼさんは……」
ガチャッ
リゼ「遅れてすまない」
千夜「!」
ココア「おおっ、リゼちゃんグッドタイミングだね」
チノ「わたしとココアさんも今来たところです」
リゼ「偶然だな、後はシャロだけか」
リゼ「千夜、待たせたな」
千夜「リゼちゃん、これは……」
リゼ「みんな朝から、パスタの代わりに千夜の手料理が食べられるって楽しみにしてたんだぞ」
千夜「!」
ココア「わたしなんて昼食抜いてきたよ」フンス
チノ「そのぶんおやつを間食してましたけど」
リゼ「わたしのせいで中止になって、みんなほんとに悪かったな」
千夜「――!」
ココア「いいよ~そのおかげで千夜ちゃんの手料理が食べられるんだもん」
チノ「この匂い、ハヤシライスでしょうか」
リゼ「ココアはトマトが苦手じゃなかったっけ?」
ココア「ふふん、ハヤシライスは別だよ」ドヤッ
リゼ「なんだそれ」クスッ
ガヤガヤ ワイワイ
千夜「……………………」
シャロ「遅くなってごめんなさ――……?千夜?」
千夜「……シャロちゃん、おかえりなさい」ニコ
シャロ「う、うん、ただいま……?」
千夜「お腹すいたでしょ?みんなでごはんにしましょう」
シャロ「ありがとう……」
シャロ(……千夜?)
千夜「……………………」
………………。
…………。
……。
好意の中に潜む、恐るべき残酷。
―――――――――――――――――――
――深夜 千夜の部屋――
千夜「………………」
アンコ「」トコトコ
千夜「アンコ……?」
アンコ「」
千夜「わたし、バカみたいね……」
千夜「二人きりだと思って……特別なんだと思ってひとりではしゃいで……ふふっ」
千夜「挙句の果てにみんなが来たら、あんな気持ちになっちゃった……」ジワッ
アンコ「…………」
千夜「……醜いわ、ほんとに」グスッ
千夜「チノちゃんとココアちゃんとシャロちゃんも、大切なお友達なのに……」ポロポロ
千夜「みんなのこと、だいすきなのに……」ブルブル
千夜「もう自分が嫌……消えちゃいたい……」ウツムキ
アンコ「」フルフル
千夜「………………」
千夜「」フラッ……
―――――――――――――――――
――早朝――
シャロ「……千夜?」
千夜「ん……シャロちゃん、おはよう」ニコッ
シャロ「最近、またなにかあった?」
千夜「ううん、なにも」
シャロ「ならどうしてそんな顔してるのよ、2週間前まではあんなに楽しそうだったのに」
千夜「シャロちゃんの気のせいよ、わたしは何も変わってないわ」ニコ
シャロ「幼馴染なんだから見間違えるはずないでしょ。千夜は作り笑顔が昔から下手だもの」
千夜「………………」
シャロ「ココアもチノちゃんも、リゼ先輩も心配してるわ……みんなで晩御飯食べた日から千夜の様子がおかしいって」
千夜「……そう、みんな優しいのね」
シャロ「千夜、正直に言って!いったい何があったの?」
千夜「本当に何もないの」
千夜「ただ――みんなに合わせる顔が無いのよ」ボソッ
千夜「またねシャロちゃん、今日もアルバイト頑張って」
シャロ「千夜!」ガシッ
千夜「っ……!」ズキッ
シャロ「!ご、ごめん……大丈夫?」
千夜「…………」
シャロ「千夜……?」
千夜「シャロちゃん、ごめんね……ごめんなさい……」
シャロ「……………………」
シャロ「千夜……今日帰ってきたら一度病院に行って」
シャロ「絶対よ、おばあちゃんに言っておくから」
千夜「………………」
………………。
…………。
……。
――自己嫌悪は、やがて行動に。
――――――――――――――――――
――夕方 土手――
千夜「……………………」
??「――千夜」
千夜「?」
リゼ「こんなところにいたのか」
千夜「……リゼちゃん」
リゼ「シャロから連絡があって探してたんだ、ほら帰るぞ」
千夜「…………」フルフル
リゼ「千夜……」
千夜「大丈夫なの……わたしは病気じゃないわ」
リゼ「…………」
リゼ「病気じゃなくても、怪我してるだろう」
千夜「……?」
リゼ「腕、見せてみろ」
千夜「!」
リゼ「わたしの目は誤魔化せない」グイッ
千夜「きゃっ……」
リゼ「……!」
……アザダラケ ノ ウデ
千夜「…………」
リゼ「誰にやられたんだ?」
千夜「…………」
リゼ「クラスメイトか?いじめか?」
千夜「……違う」
千夜「自分で、やったの」
リゼ「――!」
千夜「………………」
リゼ「……千夜」
千夜「わたし、最低なのよ」
千夜「ココアちゃんやチノちゃん、シャロちゃん。みんなのことを一瞬疎ましいって思っちゃったの」
千夜「リゼちゃんのこと、一瞬恨んじゃったの……」
千夜「だからお仕置きしてるの……大嫌いな自分に」
リゼ「……やめてくれ」
リゼ「そんなことされたら例え千夜は良くても、わたしが辛い……」ギリッ
千夜「これ、返すわ……」スッ チケット
リゼ「!」
千夜「代わりにココアちゃんかチノちゃん、シャロちゃん、誰か誘ってあげて」
リゼ「……どうして」
千夜「わたしは、リゼちゃんと映画なんて見に行けない」
リゼ「…………」
千夜「リゼちゃんだって、そうでしょう」
リゼ「……?」
千夜「ココアちゃんとチノちゃん、どっちを誘っても贔屓になる」
千夜「でも、シャロちゃんはアルバイトで忙しいかもしれない」
千夜「……わたししか、いなかったんでしょう」
リゼ「!」
千夜「わたし『だから』じゃなくて、わたし『しかいなかった』から……リゼちゃんは映画になんて誘ってくれたんでしょう?」
リゼ「……違う」
千夜「別に、わたしじゃなくても良かったんでしょう?」ニコッ
リゼ「千夜っ!!」
千夜「……」ビクッ
リゼ「いい加減にしないと本気で怒るぞ」
千夜「…………」ウツムキ
リゼ「ココアもチノもシャロも関係ない」
リゼ「千夜と行きたいから、誘ったんだ」
千夜「…………」
リゼ「だから、千夜に断られたらココアとチノにあげるつもりだった」
リゼ「嘘じゃないぞ。千夜以外の他の誰かなんて考えてもなかった」
千夜「…………」
リゼ「千夜だから、誘ったんだ」
千夜「………………」
リゼ「ごめん……人に気持ちを伝えるのが苦手だから、お前の目にはそんな風に映っていたのかもしれない」
リゼ「でも、これだけは信じてくれ」
リゼ「わたしは、千夜のこと大切だから」
千夜「……どれくらい?」
千夜「わたしが、リゼちゃんのことを想っているのと同じくらい?」
リゼ「それよりも、ずっとだ」
千夜「…………」
千夜「……わたしは、リゼちゃんのためなら友達の頼みなんて――」
リゼ「そんなことない、千夜は断れないはずだ」
千夜「……リゼちゃんと二人でいたいから、他の人なんて――」
リゼ「そんな奴が、自己嫌悪で自傷行為なんてしない」
千夜「………………」
リゼ「千夜のこと、信頼してたんだ……だから甘えてた、ごめん」
千夜「……リゼちゃんの嘘つき」
千夜「さっき自分で言ってたわ、シャロちゃんに頼まれて探しに来たって」
千夜「頼まれなかったら――」
リゼ「シャロから連絡が来る前から探していたよ、お前のこと」
リゼ「ほんとだぞ、そのためにラビットハウスも休んでたのに」
千夜「………………」
リゼ「千夜、信じてくれ。頼む……」
千夜「…………」
リゼ「また笑ってくれよ、この間までみたいに……」
リゼ「もう、自分を痛めつけるようなことしないでくれ……」
千夜「………………」
千夜「……あのお花、なんて言う名前なのかしら」
リゼ「……?」
千夜「明日のお昼には刈り取られちゃうの」
千夜「あんなに立派に咲いてるのに……」
リゼ「アザミだな、あれは。確かスコットランドの花だ」
千夜「……リゼちゃんにそっくりなの、あのお花」
リゼ「え……」
千夜「綺麗で、強くて……触れようとしたら、すぐに拒絶されて……」
リゼ「…………」
千夜「リゼちゃんなの、あのお花……だから、助けてあげなきゃ……」ハイライトオフ
リゼ「……千夜、もう帰ろう」
千夜「…………」
リゼ「明日病院に行こう。腕、痣になったら大変だ」
千夜「…………」
リゼ「今日はずっと一緒にいるから……なっ?」
千夜「…………」
………………。
…………。
……。
――狂気の行動原理は、正気な愛憎から。
―――――――――――――――――――――――――
――深夜 千夜の部屋 IN布団――
リゼ「千夜、少し痩せたか?」
千夜「体重、しばらく測ってないから」
リゼ「痩せてるよ、腕もこんなに……」
千夜「…………」
リゼ「……っ」ウルッ
リゼ「千夜……」ギュッ
千夜「リゼちゃん……あったかいわね」
リゼ「…………」ジワッ
千夜「……」ニコッ
リゼ「……」Zzz
千夜「リゼちゃん、だいすき」
千夜「このまま、一生こうしていたいくらい、好きよ」
千夜「……だから、ね」
千夜「助けてあげなくちゃいけないの」
千夜「わたし、リゼちゃんが好きだから」
千夜「…………」ニコッ
――
――――
――――――
――――――――――――――――――
リゼ「……!」バッ
リゼ「千夜……千夜……?」
リゼ「千夜、トイレか!?」
リゼ「……いない」
リゼ「……!」
リゼ(靴が無い……外に行ったのか……)
リゼ「くっ……」ダダッ
リゼ「シャロ!すまない、起きてくれ!」ドンドン
ガチャッ
シャロ「リゼ先輩……?」
リゼ「千夜が……千夜がいなくなった!!」
シャロ「……!」
リゼ「こんな時間にどこへ……!」
シャロ「……まさか千夜……」ブルブル
リゼ「違う!千夜はそんなことしない、絶対に!」
シャロ「でも……」ジワッ
リゼ「……――!」
『……助けてあげなきゃ』
リゼ「……シャロ、2週間前土手の花を植え替えたって言ってたよな?」
シャロ「ひっぐ……は、はい……」ポロポロ
リゼ「どこに植え替えたんだ!?」
シャロ「た、確か……公園裏辺りです」
リゼ「あとから来てくれ!先に行く!」
シャロ「あっ……リゼ先輩!?」
―――――――――――――――――
リゼ「千夜……!」ハァハァ
リゼ(頼む、いてくれ……!)
リゼ「……!」
リゼ「――千夜っ!!」
千夜「……?」
――ポタポタ ポタポタ
千夜「リゼちゃん……目、覚めたのね」ニコッ
リゼ「……!」
千夜「リゼちゃんのお花、ちゃんとここに植え替えたの」ポタポタ
千夜「これで大好きなリゼちゃんが、傷つかずに済んだわ」ポタポタ
千夜「わたしにとってリゼちゃんは、大切だから……」ポタポタ
リゼ「――っ!!」ダキッ
千夜「リゼちゃん……?」
リゼ「……千夜、頼む」ジワッ
リゼ「もうこれ以上、自分を傷つけないでくれ……」ポロポロ
千夜「リゼちゃん、怪我したの?血が付いてるわ……」
リゼ「千夜……っ!」ギュッ
リゼ「ごめん、ごめんな……っ!」
リゼ「お前のことをちゃんと好きだって言えば……ちゃんと行動で示していれば……!」ポロポロ
千夜「……?」
リゼ「痛いよな……痛かったよな……」ポロポロ
千夜「リゼちゃんどこか痛いの……大丈夫?」
リゼ「ああ……大丈夫だ」グスッ
リゼ「千夜、ずっとそばにいるから……大丈夫だから……」
リゼ「だからもう、何も我慢することないんだ……自分を押し殺す必要もない」
リゼ「千夜……してほしいことがあるなら、これからは素直に言ってくれ」
千夜「ほんとう……?」
リゼ「……」コクリ
千夜「それじゃあリゼちゃん……疲れちゃったから、お姫様抱っこしてほしい」
リゼ「お安い御用だ……」スッ
――ヒョイ
千夜「……ふふっ//」
リゼ「軽いな……まるで千夜じゃないみたいだ」
千夜「……リゼちゃん?」
リゼ「んっ……?」
千夜「寝ても、いいかしら……?」
リゼ「……ああ、こうしてるよ」
千夜「リゼちゃん………リゼちゃん……リゼちゃん」ピトッ
リゼ「…………」ジワッ
千夜「リゼちゃん………好き……」
リゼ「…………」ポロポロ
シャロ「リゼ先輩!千夜!」
リゼ「シャロ……」
シャロ「っ!!?リゼ先輩その血!?千夜は……!?」ブルブル
リゼ「大丈夫だ……とりあえず、救急車を呼ぼう」
シャロ「千夜、死んじゃダメ!千夜ぁ!!」ガシッ
リゼ「シャロ、落ち着け。寝てるだけだよ」
リゼ「たくさん考えて、我慢して、思い詰めて……疲れてたんだよな……なぁ、千夜?」
千夜「…………」Zzz
リゼ「……映画、一緒に見に行こうな」
千夜「んっ…………」
………………。
…………。
……。
――愛情と本心の証明に、最低限必要だった鮮血。
―――――――――――――――――
――
――――
――――――
――1週間後――
リゼ「どうだった?」
千夜「いい映画だったわ、姉妹の絆を感じさせられる素敵な作品ね」
リゼ「そうだな、ココアがいたら号泣してたかもな」
千夜「連れてきてくれてありがとうリゼちゃん。お礼にお昼ごはんごちそうするわ」
千夜「この前みんなで行きそびれた洋食屋さんに行きましょう」
リゼ「……いいのか?」
千夜「もちろん♪」
リゼ「――わたしは右腕が、千夜は左腕が使えないんだぞ?」ジャラ
千夜「……そういえばそうね」
リゼ「せめて食事の時だけでも、これ外してもらえないか?」
千夜「でも手錠の鍵、もう捨てちゃったから」
リゼ「……そうか、また帰って合鍵で開けないとな」
千夜「そうだわ、わたしがリゼちゃんに食べさせてあげればいいのね」
リゼ「いや、いい。……左手で食べてみるよ」
リゼ「これからも千夜といる時は、ずっとこのままだからな」
千夜「そうね。それじゃあ行きましょうか」
リゼ「ああ」
千夜「この公園のお花、綺麗でしょう?3週間前くらいにシャロちゃんと植えたのよ」
リゼ「土手から引っ越しさせたのか、優しいな千夜は」
千夜「でもひとつ不思議なの……このお花は諦めたはずなのに」
リゼ「……アザミだな」
千夜「棘だらけだから植え代えられなかったんだけど……いったい誰が植えてくれたのかしら」
リゼ「……………………」
千夜「そういえばこのお花、どことなくリゼちゃんに似てるわ」
リゼ「……気のせいだよ」
千夜「ふふっ……」ウデ ギュッ
リゼ「おっと」
千夜「リゼちゃん、好き……だいすき。これからもずっと、一緒にいてね?」
リゼ「ああ、もちろんだ」
リゼ「……約束したからな」
千夜「?」
リゼ「なんでもないよ、ただの悪い夢だったんだ」ポンッ
千夜「おかしなリゼちゃん」クスッ
リゼ「千夜……早く元に戻ってくれよ」ギュッ
千夜「んっ……♪」
リゼ「ずっと、一緒にいるからな」ナデナデ
千夜「ふふ……//」ニヘラ
………………。
…………。
……。
――人によって成りえた狂気は、人によってやがては正気へ。
----------------------
luterlude 4.「私だけを見て...」
――ラビットハウス――
ココア「リゼちゃんもふもふ♪」
リゼ「こ、ココア……まだ着替え終わってないから//」
ココア「お互い肌同士の方が暖かいからいいよ」
リゼ「いや、そういう問題じゃあ………//」
ココア「ふふ、リゼちゃん……♪」スリスリ
リゼ「…………//」
リゼ(最近のココアは妙に甘えんぼうだ……この前まではよくお姉ちゃんぶっていたのに)
リゼ(それに以前にも増してスキンシップが激しい……別に悪い気はしないが、チノに勘違いされたりしたら大ごとだ)
リゼ「っ……そろそろ行くぞ//」グイッ
ココア「あっ…………」
リゼ「ほら、お前も早く着替えろ」バサッ
ココア「……うん」
ココア「…………………」シュン
リゼ「……よし」ファサ
リゼ「ココア、着替え終わったか?」
ココア「………………」
リゼ「って、おいおい、上着裏返しじゃないか」
ココア「あっ……ごめんね」
リゼ「まだ眠たいのか?しっかりしろ」ナデナデ
ココア「!」
リゼ「ちゃんとリボンも結んで……」スッ
ココア「あ………」
リゼ「これでよし……苦しくないか?」
ココア「……うん」ニコッ
ココア「えへへ、リゼちゃんありがとう」
リゼ「そろそろ一人でもしっかりしてくれよ」ポンポン
ココア「…………♪」
リゼ「お待たせ――おや?」
マヤ「リゼ、ココア、おはよう!」
メグ「お邪魔してまーす」
リゼ「二人とも朝からなんて珍しいな」
マヤ「今日は休日だしラビットハウスのお手伝いでもしようと思って」
メグ「ややこしいといけないからちゃんと緑と黄色の服も持ってきたんだ」
チノ「色で判断しているわけでは……」
マヤ&メグ「えっ、そうなの?」
チノ「」
ココア「ということは、今日はわたしがマヤちゃんとメグちゃんの先輩だね」フンス
マヤ「ええっ~わたし教官はリゼのほうがいい、おもしろいし」
メグ「それじゃあわたしはココアちゃんで」
チノ「どっちでもいいので開店準備してください」
キャッキャッ ワイワイ
マヤ「おっ、リゼも付けてくれてるんだ、これ」ヘアアクセ
リゼ「ああ、けっこう気に入ってるからな」
ココア「なになに、何の話?」
リゼ「このヘアアクセのことだ、この前マヤと二人でお揃いのものを買ったんだ」
ココア「!」
マヤ「どう?こうしてたら姉妹に見えるでしょう」ギュッ
ココア「!」
リゼ「はは、さすがにそれは無いだろう」
ココア「……………………」
リゼ「んっ……ココア?」
ココア「……ふふ、そっか、そうなんだ」ニコッ
ココア「リゼちゃんとマヤちゃんは、すごく仲良しなんだね」ニコニコ
リゼ「まぁ、お互い家系が似ているからな」
マヤ「ふぇ?」
ココア「………………」ニコニコ
ココア「」
――――――――――――――――――――――――――――
マヤ「またねー!」
メグ「今日は楽しかったー」
チノ「マヤさんメグさん、ありがとうございました」
リゼ「また来てくれ」
ココア「」ニコニコ
リゼ「さてと、わたしたちも着替えるとするか」
チノ「あっ、わたしはコーヒー豆の在庫を確認したいので、二人ともお先に」
ココア「そっか、じゃあ着替え終わったら晩御飯作っておくね」ニコニコ
リゼ「先に行ってるぞ」
ココア「………………」ニコニコ
ガチャッ バタン
リゼ「ふぅ……えっと、洗濯籠は……」
ココア「……………………」
リゼ「♪~♪♪……んっ?」
ココア「……………………」
リゼ「どうしたんだココア、早く着替えたほうがいいぞ」
ココア「……ねぇ、リゼちゃん?」
ココア「そのヘアアクセ、マヤちゃんと一緒に買ったんだよね?二人でお揃いのものを……」
リゼ「?ああ、そうだが」
ココア「ふふ、そっかぁ……」ニコッ
ココア「マヤちゃん、きっとリゼちゃんのことが好きなんだよ」
リゼ「そうなのかな?だとしたら変わったやつだ」クスッ
ココア「……リゼちゃんは、マヤちゃんのことが好きなの?」
リゼ「それはもちろん。というか、ココアもマヤのこと好きだろ?」
ココア「…………」ピクッ
ココア「…………わたしが好きなのは、リゼちゃんだけだよ…」ボソッ
リゼ「んっ?いまなんて……」
ココア「――――ねぇ、リゼちゃん?」ジッ
リゼ「……!」
ココア「あのね、聞きたいことがあるの……」ジー
リゼ「…………」ゾクッ
リゼ(なんだろうこの違和感……ココアの様子が……雰囲気が変わった……?)
ココア「もし言いたくないならいいけど……できれば正直に答えてほしいなぁ」
リゼ「な、なんだ……というか、ココア、少し近くないか……?」
ココア「んっ~……そんなことないよ」
リゼ(やはりいつもと違う……目のハイライトが消えてるような……)
ココア「……リゼちゃんは、わたしのことどう思ってるの?」
リゼ「どう思ってるって……さ、さっきの話とどういう関係が……」
ココア「いいから答えて…………好き…それとも嫌い……?」ジー
リゼ「も、もちろん好きだぞ、当然じゃないか」
ココア「………マヤちゃんよりも?」
リゼ「えっ……」
ココア「チノちゃんよりも?千夜ちゃんよりも?シャロちゃんよりも?メグちゃんよりも?……ねぇ?」
リゼ「ココア、落ち着け……今日のお前、なんだかおかしいぞ?」
ココア「わたしはいつも通りだよ……それよりリゼちゃん、早く答えて」
リゼ「答えてって言われても……みんな大事な友達だし……ほら、ココアだって友達や家族に優劣なんて付けないだろう?」
リゼ「ココアのことも好きだし、チノたちのこともみんな……」
ココア「……………………」
ココア「……そっか、そうなんだ」
ココア「やっぱりわたしはリゼちゃんにとってその程度なんだ……」
ココア「…………」ウツムキ
リゼ「ココア……?」
ココア「ねぇリゼちゃん、どうやったらわたしを見てくれるの……わたしだけを……」
リゼ「お、おい……ココア!」
ココア「……そうだ」
ココア「リゼちゃんの制服……」ガサゴソ
リゼ「……?」
ココア「……あ、やっぱりあった」スッ ナイフ
リゼ「……?そんなもの、何に使うんだ?」
ココア「……こうするの…♪」
サクッ ツー
リゼ「!?」
ウデ ポタポタ……
ココア「ふふ……」
リゼ「なっ……ココア、お前何やってるんだ!」
ココア「あっ……」
リゼ「っ!」パシン!
ココア「あぅ!」
リゼ「はっ……す、すまない、つい……」
リゼ「とりあえず止血しないと……えっと、止血剤が確かカバンの中に」ガサゴソ
リゼ「ほら、ちょっと痛いけど我慢しろ」
ココア「……えへへ」ニコッ
リゼ「……?なにを笑ってるんだ、どうしてこんなこと……!」
ココア「……リゼちゃんが、必死になってくれてる」
リゼ「……え」
ココア「リゼちゃんがわたしだけのことを考えてくれてる……心配してくれてる……」
ココア「今だけ、わたしはリゼちゃんの特別……」
リゼ「……ココア…………」
ココア「リゼちゃんが叩いてくれたのも、むしろ嬉しいよ……」ニコッ
リゼ「………………っ」
リゼ「……今日、家に来い。断っても連れていくぞ」
――
――――
――――――
――深夜 リゼの部屋――
IN ベッド
リゼ「なぁ、ココア?」ナデナデ
ココア「んっ……?」ギュッ
リゼ「何を心配しているのか知らないが、私はお前のこと好きだぞ?」
ココア「……!」
ココア「リゼちゃん……わたしの気持ち、わかってくれたの?」
リゼ「ああ、もちろんだ」ニコッ
ココア「!……じゃあ、わたしとリゼちゃんは両想――――」
リゼ「わたしが友達でなくなる夢でも見たんだろ?だから不安になってたんだよな」
ココア「――えっ」
リゼ「そういうことってあるよな、夢なのに現実になりそうというか、妙にリアルな夢を見ちゃった時とかに」ハハハ
ココア「……………………」
リゼ「ココア、心配するな……わたしはずっとお前の友達だ」
リゼ「こうして二人で寝れば、恐怖も取れて元のお前に戻れるさ」
ココア「……………………」
リゼ「さて、そろそろ消すぞ」
リゼ「今日は安心して寝ろよ」ポンッ ナデナデ
ココア「………………」
ココア「………………」
ココア「」
―――――――――――――――――――――――――
リゼ(……苦しい)
リゼ(なんだ……体が縛られてるような……)
リゼ「…………?」パチッ
ココア「リゼちゃん、おはよう」ニコッ
リゼ「……?ふぉふぉ……――!?」
リゼ(口に何か巻いてある……!)
ココア「あっ、悲鳴あげられるといけないから……ごめんね、少しだけ我慢して」
リゼ(どうしてこんなこと……!)モゴモゴ
ココア「……リゼちゃんが悪いんだよ」
ココア「リゼちゃんがわたしの気持ちに気付いてくれないから」
ココア「リゼちゃん……ふふ……」スリスリ
リゼ「んっ……」ビクッ
ココア「可愛いよ……リゼちゃん、大好き……」ギュッ
リゼ「……!?」
ココア「びっくりしてるの……?ほんとにリゼちゃんは鈍感すぎるよ」
ココア「わたし……リゼちゃんのことが好きなの」
リゼ「!」
ココア「誰にも取られたくない、誰にも触れてほしくない」
ココア「わたしだけを見てほしい……わたしだけのリゼちゃんでいてほしいの」
リゼ(……だからあんな風に……くっ、我ながら確かに鈍感すぎるぞ!)
ココア「でも、リゼちゃんがわかってくれないんだもん……仕方ないよね」
ココア「だから行動で示すことにしたの……あはは、リゼちゃん……」スッ
リゼ「!?」
リゼ(ココアの手が、首に……!)
ココア「どうしてわかってくれないの……わたしはこんなに、リゼちゃんのことを想ってるのに……」グググッ
リゼ「うぅ……!」
ココア「苦しい?わたしはもっと苦しかったよ……?リゼちゃんがみんなと仲良くするたび、胸が張り裂けそうだったよ」
リゼ「ぅぁ……っく……!」
ココア「でも今は違う……今この時だけは、リゼちゃんはわたしだけのもの……」
ココア「こうすればもう、誰にも取られない……ずっとずっと、わたしだけのリゼちゃん……」
リゼ(どうにかこのぐつわを取らないと……このままじゃあ……!)
ココア「リゼちゃん……わたしのこと、好きだって言って?でないとわたし、リゼちゃんのこと、このまま……」グググッ
リゼ(そうか……何も気持ちを伝えるのは、言葉だけじゃない)
リゼ「……ふぉふぉあ」
ココア「……?」ピタッ
リゼ「………………」ジッ
ココア「リゼ……ちゃん?」
リゼ「………………」
ココア「どうしてそんな目で見るの……どうして?」
リゼ「………………」
ココア「……リゼちゃん」
リゼ「」クイックイッ
ココア「……ぐつわ、取るの?」
リゼ「」コクリ
ココア「……大声、出さない?」
リゼ「」コクリ
ココア「……ほんと?」
リゼ「うふぉはふかん」モゴモゴ
ココア「…………うん」
シュル
リゼ「ぷはぁ!はぁ……はぁ…………」
ココア「……リゼちゃん、その………」
リゼ「この拘束具をほどいてくれ」
ココア「……!」ビクビク
リゼ「聞こえないのか?解いてくれ」
ココア「…………」スルスル
リゼ「ふぅ……やっと自由に動ける」
リゼ「……さて」
ココア「!」ビクッ
リゼ「……ココア」
ココア「!…………」ブルブル
リゼ「…………」
ココア「いや……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」ブルブル
リゼ「…………」
ココア「わたし、リゼちゃんのことが好きで、振り向いてほしくて……あ…ああっ……」ポロポロ
リゼ「…………」
ココア「なのに、どうしてこんなこと………ごめんなさい……」ポロポロ
リゼ「…………」
ココア「」ガクガク
リゼ「…………」スッ
ココア「ひっ……!」ビクッ
――ポンッ ナデナデ
ココア「…………え」
リゼ「まったく……ほんとにお前は」
リゼ「ヒヤヒヤさせるな、危うく三途の川を渡りそうだったぞ?」
ココア「リゼちゃん……?どうして……えっ……」
リゼ「別に怒ってない……その、鈍感だったわたしにも、一応非があるしな」
リゼ「お前の言う通り、正直言ってお前の気持ちになんてまったく気づいてなかったよ……ごめんな」
ココア「どうしてリゼちゃんがあやまるの……?悪いにはわたしなのに……」
リゼ「……いや、悪いのはわたしのほうだ」
リゼ「先輩としても、想いを寄せられている側にしても……お前が思い詰めていたこと、まったく気づいてやれなかった……だから、ごめん」
ココア「……リゼちゃん」
リゼ「……なぁ、ココア?」
リゼ「わたしはこんなやつだぞ?細かいことに気配りはできないし、その……恋愛沙汰にも疎いし」
リゼ「……でも」
リゼ「もしそれでもいいなら……こんなわたしでいいなら、ぜひお前の恋人にしてくれ//」
ココア「!」
リゼ「き、気が変わったなら無理しなくていいぞ、ただ、これはさっき言ってたお前の気持ちに対するわたしなりの返事だ//」
ココア「………………」
リゼ「……ココア?」
ココア「……リゼちゃん、ほんと?」
リゼ「……?」
ココア「無理してない……嘘じゃない?」
リゼ「…………」クスッ
リゼ「さっきも言っただろう、わたしは嘘なんかつかない」
ココア「あ………!」
ココア「――リゼちゃんっ!」ダキッ
リゼ「おっと……」
ココア「えへへ……リゼちゃんと恋人同士……♪」ポロポロ
リゼ「おいおい、もう泣くなよ」
ココア「あれ、嬉しいのに涙が……あはは、変だよね」
リゼ「……全然変じゃない」ギュッ
リゼ「ココア……好きだ」
ココア「うん……!わたしもリゼちゃんのこと好き……大好き……!」
ココア「もう、ずっとずっと一緒だよ……!」スリスリ
リゼ(以前よりさらに甘えんぼうになってしまった……まぁ、可愛いからいいか)
リゼ「……ココア」
ココア「……うん//」
チュッ
----------------------
luterlude 5.「ずっと一緒ですよ」
チノ「ココアさん……好きです」
ココア「チノちゃん……わたしもだよ」
チノ「ん………//」
ココア「チノちゃん、これからもずっと一緒だよ//」ニコッ
チノ「……はい//」ニコッ
チノ「ずっとわたしだけのココアさんでいてくださいね……ずっと……♪//」ギュッ
――
――――
――――――
ココア(お互いに本当の気持ちを伝え合い、チノちゃんと恋人同士になってから1週間……なんだかまだ夢みたいな気がするよ)
ココア(……今は半分夢の中だけど)
ココア「ふぁあ…………」プワプワ
ココア「今日は土曜日だからもうちょっとだけ……」ゴロン
ココア「……………………」Zzz
ガチャッ
チノ「失礼します」
ココア「むにゃ………………」Zzz
チノ「……ふふ」
チノ「ココアさんの寝顔、可愛いですね……」
チノ「ずっと堪能していたいですけど……時間は残酷なものです」
チノ「……ココアお姉ちゃん、起きてください」ボソッ
ココア「!」バッ!
チノ「ココアさんおはようございます」
ココア「あっ、チノちゃんおはよう……」プワプワ
チノ「早く起きてください、お姉ちゃん」
ココア「お姉ちゃん……えへへ……//」テレテレ
ココア「チノちゃん、今日も一日頑張ろうね」
チノ「はい♪」ニコッ
ココア「今日の朝ごはんは最高だったね」
チノ「いまわしい野菜がキャベツだけというのは清々しいものです」
ココア「ふぁあぁ……おなかいっぱいになったらまた眠たくなってきちゃった」
チノ「昨日も夜更かしですか?また生活バランスが崩れますよ」
ココア「あはは、リゼちゃんとお話ししてたらつい」
チノ「!」ピクッ
チノ「…………リゼさんと?」
ココア「うん。リゼちゃん最近なかなか寝付けないみたいだから、眠たくなるまで二人でお話してるんだ」
ココア「新しいゲーム買ったから、今度二人で協力プレイしようって誘われちゃった」エヘヘ
チノ「二人…………」
ココア「次のお給料が出たらパーティーゲームでも買ってみんなでやりたいって―――あれ、チノちゃん……?」
チノ「……………………」
チノ「……ココアさん」
ココア「?」
チノ「……携帯貸してください」
ココア「携帯?えっと……はい」スッ
チノ「」simカード スッ
ココア「!?」
チノ「これは預かっておきます」
チノ「はい、あとはお返ししますね」
ココア「チノちゃんひどい!これじゃあ使えないよ!」
チノ「何か用があるなら言ってください。わたしの携帯をお貸ししますので」
ココア「でも、みんなからの連絡とかもあるから――」
チノ「」ジー
ココア「……!」
チノ「ココアさんはわたしと友達……どっちが大切なんですか?」
チノ「わたしはココアさんのことをこんなに想ってるのに……」
ココア「わたしもチノちゃんのこと大切だし大好きだよ!でも、それとこれとは――」
チノ「……リゼさん、ですね」
ココア「えっ?」
チノ「ココアさんはリゼさんと浮気してるんですね……」フラッ
ココア「ち、チノちゃん……?」
チノ「わたしからココアさんを奪おうとするなんて……」
チノ「ココアさんは誰にも渡しません……!」ホウチョウ シャキン
ココア「ひっ!」
チノ「じっとしててください……痛いのは一瞬だけですから……」
ココア(チノちゃんの目……まさか本気で……!)ガクガク
ココア「ち、チノちゃんごめん!お姉ちゃんが間違ってたよ!」
チノ「…………?」
ココア「これから連絡取りたいときはチノちゃんにお願いするね!それとリゼちゃんのお誘いも断るから!」
チノ「……本当ですか?」
ココア「うん、その代わり二人で遊びにいこう!わたしチノちゃんとデートしたいな!」
チノ「デート……ココアさんと……//」
チノ「……わかりました」
チノ「すいませんココアさん……こんなもの持ち出してしまって」スッ
ココア「ううん……」ホッ
チノ「ココアさん……//」ギュッ
ココア「!」
チノ「デート、楽しみにしてますから……//」ニヘラ
ココア(デレデレチノちゃん可愛い……//)
ココア(……さっきのは、なんだったんだろう)
チノ「ココアさん……わたしのお姉ちゃん……//」スリスリ
――――――――――――――――――――――――――――
――数日後――
リゼ「ココア、まだ連絡取れないのか?」ヒソヒソ
ココア「うん、チノちゃんがSimカード返してくれなくて……」
リゼ「あれが無かったらただの箱だもんな、特にガラケーは」
ココア「ごめんねリゼちゃん、もう少し待ってて」
リゼ「わたしはいつでもいいが……あんまり無理するなよ」ポンッ
リゼ「なにかあったらいつでも相談して来い」ナデナデ
ココア「うん」ニコッ
ココア(チノちゃんの束縛は厳しいけど、それだけ私のことを好きでいてくれてるってことだよね……♪)
チノ「……………………」
―――――――――――――――――――――
――お風呂場――
チャポン
ココア「ふぅ…………」
ココア(みんなでお泊り会だったらチノちゃんも許してくれるかな……)
ココア(今度お願いしてみよっと)
ガチャッ
ココア「!」
チノ「………………」
ココア「チノちゃん……あっ、わかった、お姉ちゃんと一緒にお風呂だね!」
ココア「チノちゃんおいで♪」ヒョイヒョイ
チノ「………………」
チャポン
ココア「今日も疲れたねー」
チノ「……ココアさん」
ココア「んっ、どうしたの?」
チノ「今日のお昼、リゼさんと喋っていましたよね」
ココア「……!う、うん………」
チノ「何を話していたんですか?」
ココア「っ……そ、それは……」アセアセ
チノ「……なんですか?」グイッ
ココア「ち、チノちゃん、顔が近いような……」
チノ「なにを、話していたんですか?」ジー
ココア「!」
ココア(まずい、またこのチノちゃんだ……!)
チノ「正直に言ってください!」カタ ガシッ
ココア「きゃっ……!」
チノ「またリゼさんと二人で浮気の計画を立ててるんですね……!」グググ
ココア「チノちゃんやめて……いたいよ……!」
チノ「ココアさんもココアさんです、いつもリゼさんにたぶらかされて……!」
ココア「チノちゃん待って!話を聞いて――――ごぼっ!」ジャボン
チノ「ココアさん、目を覚ましてください……」ググッ
ココア「ごぼごぼ――――ぷはぁ!げほっごほっ……」
チノ「ココアさんの恋人は誰ですか?」
ココア「はぁ……はぁ………チノちゃんです……」
チノ「……三度目は無いですよ」ニコッ
ココア「……!」ブルブル
チノ「ココアさんはわたしだけのものです……誰にも渡しません……」ギュッ
ココア「……チノちゃん」
ココア「……うん、勘違いさせてごめんね」ギュッ
ココア(良かった……いつものチノちゃんだ……)
チノ「えへへ……ココアさん……//」ニコッ
――――――――――――――――――――――――
――数日後――
チノ「リゼさんは今日部活の助っ人でお休みのようです」
ココア「そっか、ならリゼちゃんの分まで頑張らないとね」フンス
チノ「とは言っても、この有り様ですが……」ガラーン
――ギュッ
チノ「!」
ココア「ということは、お客様が来るまでチノちゃんのことモフモフし放題だね」スリスリ
チノ「こ、ココアさん、仕事中ですから……//」
ココア「モフモフ、モフモフ♪」
チノ「……………♪//」
チノ(今日はもう閉店にしたいです)
ガチャッ
マヤ「やっほー♪」
メグ「こんにちは~」
ココア「あっ!マヤちゃんメグちゃん!」バッ
チノ「あ…………」
マヤ「あれ、ココアとチノだけ?」
メグ「リゼさんは?」
ココア「今日はリゼちゃんはお休みだよ」
ココア「だから二人のこともモフモフし放題♪」ダキッ
メグ「きゃっ!」
マヤ「苦しい~!」
ココア「わたしの可愛い妹たち!もふもふ~!」ギュッ
ワイワイ キャッキャッ
チノ「……………………」
チノ「」
――――――――――――――――――――――
――深夜――
ココア(今日はチノちゃんにお風呂も添い寝も断られちゃった……)シュン
ココア(でも夕食の時も元気なかったし、もしかしたら体調悪いのかも……)
ココア「……大丈夫かな」
ココア「ふぁぁ…………」プワプワ
――
――――
――――――
ココア「すぅ………すぅ………」Zzz
ガチャッ バタン
ココア「………………」Zzz
ガサゴソ
――――――――――――――――――――――
チノ「……ココアお姉ちゃん、起きてください」
ココア「んっ…………」
ココア(いまお姉ちゃんって誰かが…………?)パチッ
チノ「お姉ちゃん、おはようございます」ニコッ
ココア「……チノちゃん?」
チノ「目が覚めませんか?ならこれでも飲んでください」スッ
ココア(チノちゃんの指が口に――)
ココア「ん……――!えほっげほっ!…なに…これ……」
チノ「おいしいですか?……わたしの血ですよ」
ココア「!」
ポタ……ポタ……
ココア「なんで……どうしてこんなこと……」ブルブル
チノ「わたしの血を飲ませれば、ココアさんと本当の姉妹になれるはずです……」
チノ「これでココアさんの本当の妹はわたしだけですね……」
ココア「チノ…ちゃん…………」
チノ「ココアさんの恋人も妹も、わたしです……リゼさんにもマヤさんにもメグさんにも、誰にも譲りません……」
チノ「ココアさん…ココアお姉ちゃん……今夜はそれを分からせてあげます」ニコッ
チノ「もう二度と、他に目移りしないように……」スッ
チノ「ココアさん……ずっと一緒ですよ……」
ココア「……………………」
ココア(…………そっか)
ココア(……やっとわかった)
ココア(チノちゃんがわたしを束縛するのは、きっと怖いからなんだ)
ココア(お母さんを無くして、おじいちゃんを無くして……心の拠り所になる人に離れられるのが、もう……)
ココア(……お姉ちゃんになるって、こういうことだったんだね)
ココア(チノちゃんが望むように……気の済むまで、甘やかしてあげる……)
ココア「……チノちゃん」
ココア「お姉ちゃんが、全部受け止めてあげる……」
ココア「おいで……」ニコッ
チノ「…………!」
チノ「……はい」ポロポロ
――ギュッ
チノ「ん…………」
ココア「よしよし……」ナデナデ
チノ「ココアさん……ココアお姉ちゃん……♪」
チノ「……やっと手に入れました」
チノ「大好きで、温かい……」
チノ「――心の拠り所」
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secret luterlude.「Late night wandering」
――天々座家――
リゼ「……………………」
リゼ「…………」ゴロ
リゼ「……………………」
リゼ「……眠れない」
リゼ(参ったな、明日はみんなで映画を見に行くのに……)
リゼ(……こういうときは無理に寝ようとすると余計に眠れないんだっけ)
リゼ(とはいっても、ゲームはあらかたやりつくしてしまったし)
リゼ(……仕方ない、外にでも出るか)
――――――――――――――――――――――――――
リゼ「まだ10時か、とおりで人が多いわけだ」
リゼ(……公園にでも行けば静かかな)
リゼ「…………」テクテク
リゼ(深夜徘徊なんて初めてだ……なんだか不思議とワクワクするな)
リゼ「♪~♪♪」ルンルン
――公園――
リゼ「……静かだな」
リゼ(さっきまでの人混みが嘘みたいだ……)
リゼ(ふぅ…………)ベンチ スッ
リゼ(明日は雨かな、今日は妙にむしむしする……)パタパタ
リゼ「……んっ?」
リゼ(あそこで座っているのは……ココアか?)
リゼ(……………………)テクテク
リゼ「――ココア」
ココア「?」
ココア「リゼちゃん!」
リゼ「どうしたんだ、こんな時間に」
ココア「あはは……コーヒー飲み過ぎたせいか、全然眠れなくて」
リゼ「またバリスタ修行か、コーヒーの味も分からないココアにチノもよく付き合うな」
ココア「あれ、なんだかすごくディスされてるような……」
リゼ「まぁ理由はどうあれ、こんな夜中にひと気のない公園なんて危ないぞ」
ココア「それを言うならリゼちゃんもだよ」
リゼ「わたしはいざとなったら返り討ちにできる、お前はそうはいかないだろ」コツン
ココア「あぅ…………はい、気をつけます」
リゼ「心配なんだよ、特にお前はいつも危なっかしいから」ナデナデ
ココア「んっ……」
リゼ「……隣、いいか?」
ココア「えへへ、どうぞ♪」
リゼ「」スッ
ココア「そういえば、リゼちゃんはこんな時間に何してたの?」
リゼ「わたしもお前と一緒だよ、眠れないから徘徊してただけだ」
ココア「そっかぁ、てっきり裏のお仕事だと思ったよ」
リゼ「お前はわたしのことを何だと思ってるんだ……」
ココア「……ねぇリゼちゃん、もう眠たい?」
リゼ「いいや、まったく」
ココア「……少し、二人で歩かない?」
―――――――――――――――――――――――――
リゼ「……なぁココア」
ココア「ん~?」
リゼ「別に手を繋がなくてもいいんじゃないか?」
ココア「せっかくの深夜徘徊だもん、誰も見てないし大丈夫だよ」
リゼ「そういう問題なのか……」
ココア「……リゼちゃんはわたしと手を繋ぐの、嫌?」シュン
リゼ「嫌とかそういうわけじゃあ……ただ、ちょっと照れくさいというか……//」
ココア「それじゃあいいよね、ぎゅー!」ギュッ
リゼ「こら、腕に抱きつくな、歩きにくいだろう//」
リゼ(ココアの意外とふくよかな胸が腕に……//)
ココア「……こうして歩いてたら、なんだか恋人同士みたいだね」
リゼ「恋人……//」
ココア「昼間だったらカップルと間違われてたかな?」
リゼ「……どうかな、同性だし、せいぜい仲の良い友達くらいじゃないか?」
ココア「やっぱりそうかな、ならお昼でもノープロブレムだね」
リゼ「いや、問題大ありだ」
リゼ(こんなところ、チノや千夜に見つかったらどうなることやら)
ココア「あっ、甘兎庵発見!」
リゼ「さすがに千夜もシャロも寝てるだろうな」
ココア「ふふん、悪い子はわたしたちだけだね」
リゼ「いや、威張ることじゃないぞ……」
ココア「チノちゃんも今頃良い夢見てる頃かな」
リゼ「たぶんな、同年代より大人びてるとはいえまだ中学生だからな」
ココア「お姉ちゃんであるわたしがしっかり支えてあげないとね」フンス
リゼ(逆に支えられているように見えるのは気のせいだろうか)
ココア「リゼちゃんも、何かあったらすぐわたしに相談してね?」
リゼ「わたしまで妹扱いするな、一応お前より年上だ」
ココア「もう~素直じゃないなぁ」
リゼ「ほら、もう11時だ。チノのお父さんが心配するからそろそろ帰れ」
ココア「ええっ~まだ全然眠たくないよ?」
リゼ「明日も学校だろ、あまり遅くなると映画まで持たないぞ。送っていってやるから」
ココア「うぅ……眠れるかなぁ……」
――――――――――――――――――――――――――
リゼ「ラビットハウスは……今はバーになって営業中か」
リゼ(思っていたより賑わってる……けっこう人気なんだな)
ココア「リゼちゃん、今日はありがとう。すっごく楽しかったよ」
リゼ「ああ、わたしもだ。でもこれからは深夜徘徊はなるべく控えるようにな」
ココア「うん、徘徊したいときはリゼちゃんに連絡するね」
リゼ「そう意味じゃなくて…………まぁ、それでもいいか」
ココア「おやすみなさい、リゼちゃん。明日の映画も楽しもうね」ブンブン
リゼ「ああ、おやすみ」
ココア「」ニコッ
――――――――――――――――――――――――
リゼ「ふぅ……疲れたな、シャワーでも浴びて寝るか」
リゼ(これからも時々、ココアとこうして二人きりで会うのも悪くないな……♪)
リゼ「ふふ、どうだワイルドギース、わたしは今日大人の階段をひとつ登ったぞ」
リゼ「♪~♪♪」
ドア スキマ
リゼ父「」ガクガク
―――――――――――――――――――――――――
リゼ父「タカヒロ、俺はもうだめだ……」ガクッ
タカヒロ「どうしたんだ?」フキフキ
リゼ父「俺の娘が……今日、深夜徘徊をしていたんだ!」
タカヒロ「………………」
タカヒロ(なるほどな)クスッ
タカヒロ「いいんじゃないか、思春期なら一度は通る道だ」
リゼ父「それだけじゃない!帰ってきたらなんて言ってたと思う?」
タカヒロ「?」
リゼ父「シャワーを浴びて……大人の階段を登ったと言ってたんだ!」
タカヒロ「」ガシャン
リゼ父「!?どうした?」
タカヒロ「……………………」
ココア『ただいま~タカヒロさん、遅くなってごめんなさい。お風呂借りまーす』
リゼ父「相手は一体どんな男だ!俺が直々にこの手で……!」
タカヒロ「……………………」
タカヒロ「」
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