Spirit   作:藺草影志(OVERBLOOD)

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目次

luterlude 1.「秘密のラビットハウス」

luterlude 2.「一緒に読書」

Intermediate 1.「rain days」

luterlude 3.「一緒にサイクリング」

luterlude 4.「イチャイチャ」

Intermediate 2.「妹でいられる場所」

luterlude 5.「ハッピーエンド」

luterlude 6.「後日談」


side films
under film 1「結」


luterlude 1.「秘密のラビットハウス」

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

リゼ(……ココアと恋人同士になってからというもの、ラビットハウスでの仕事がなかなか思うようにいかずに困っている。というのも――色んな意味で毎日が命懸けだからだ)

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

ココア「今日も平和だね~」ポケー

 

 

チノ「だからってサボらないでください」

 

 

リゼ「」フキフキ

 

 

ココア「…………」

 

 

リゼ「……よし」

 

 

 

リゼ「ふぅ…………」

 

 

リゼ(――んっ……?)チラッ

 

 

ココア「あ………えへへ…//」ニコッ

 

 

リゼ「!…………っ//」

 

 

リゼ(…いかん、仕事仕事……)

 

 

ココア「リ~ゼちゃん♪」――ギュッ

 

 

リゼ「!?」

 

 

ココア「わたしも一緒に手伝うよ~」

 

 

リゼ「いや、大丈夫だ、もう終わったし……//」

 

 

リゼ「おまえはチノの横で洗い終わったお皿でも磨いといてくれ」グイッ

 

 

ココア「あっ…………」

 

 

ココア「…………」シュン

 

 

リゼ(……ん、砂糖が切れてる)

 

 

リゼ(倉庫まで行かなくても厨房にあったっけ……)タッタッタ

 

 

ココア「……………………」

 

 

 

――厨房――

 

 

リゼ「」ガソゴソ

 

 

リゼ(……おっ、あったあった)

 

 

ガチャッ バタン

 

 

リゼ「ん?」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「ココア……どうしたんだ?」

 

 

ココア「リゼちゃん……」

 

 

タタタ ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「えへへ……リゼちゃん」ニヘラ

 

 

リゼ「お、おい……//」

 

 

ココア「リゼちゃんの匂い……♪」スリスリ

 

 

リゼ「こ、ココア、今はダメだ……//」

 

 

ココア「誤魔化されないよ~もふもふ♪」

 

 

リゼ「っ…………//」

 

 

グイッ

 

 

ココア「あ……」

 

 

リゼ「こほん……この前も言っただろう、仕事中はあんまり抱きついてくるな」

 

 

ココア「……ごめんなさい」

 

 

リゼ「分かってくれればいい」ポンポン

 

 

ココア「…………」シュン

 

 

リゼ「………………」

 

 

――ギュッ

 

 

ココア「え…………」

 

 

リゼ「そんな顔するなよ……」スッ

 

 

チュッ

 

 

ココア「……!」

 

 

リゼ「何度も抱きつかれると、こういう衝動が抑えきれなくなるんだ……」

 

 

ココア「ぁぅ………//」

 

 

リゼ「いい加減分かってくれ……なっ?」

 

 

ココア「……ごめんなさい//」プシュー

 

 

リゼ「そんなに照れるなよ……こっちが恥ずかしいだろ//」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「ほら、わかったのなら早くカウンターに戻れ」

 

 

ココア「……うん」

 

 

ココア「でも、その前に――」ポフッ

 

 

リゼ「おっと……」

 

 

ココア「もうちょっとだけ、リゼちゃん補充……♪」ギュッ

 

 

リゼ「…………っ!//」

 

 

リゼ(なんだこの可愛い生き物は)

 

 

ココア「安心した……」スリスリ

 

 

リゼ「……?」

 

 

ココア「リゼちゃんに嫌がられてるのかと思って不安になっちゃって……もしそうなら、辛いけど我慢しようって……」

 

 

ココア「でも、そうじゃなかったから……」ニコッ

 

 

リゼ「……嫌なわけ無いだろ」ナデナデ

 

 

ココア「んっ……」

 

 

リゼ「好きな子に抱き付かれるのが嫌な人間なんてこの世にいるか」

 

 

ココア「えへへ……リゼちゃん大好き……♪」

 

 

ココア「ずっとこのままでいたいね……」

 

 

リゼ「っ……こ、これ以上はダメだ、ココア……チノに見つかったりしたら……//」

 

 

ココア「そうだね……たぶん、怒られちゃう……」

 

 

ココア「だからこのことは、二人だけの秘密……わたしと、リゼちゃんと……」

 

 

リゼ「……悪魔の誘惑だな」

 

 

ココア「……ダメ?」

 

 

リゼ「……いいや」

 

 

リゼ「そんな甘い誘惑に勝てるほど、わたしは強くない」

 

 

リゼ「……少しだけ、あと少しだけ、このままで………」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――深夜 リゼの部屋――

 

 

リゼ『そうか、チノと買い物に』tell

 

 

ココア『うん……ごめんね?』

 

 

リゼ『気にするな。チノのこと、たくさん笑顔にしてあげてくれ』

 

 

ココア『もちろん!お姉ちゃんに任せなさい!』

 

 

ココア『あっ、でも今度はリゼちゃんの笑顔も見たいな』

 

 

ココア『来週は――――』

 

 

リゼ「……………………」

 

 

――

 

―――――

 

―――――――

 

 

ココア『じゃあね、おやすみなさい!』

 

 

リゼ『ああ、おやすみ』

 

 

ポチッ

 

 

リゼ「…………ふぅ」ゴロン

 

 

リゼ「チノとデパートに買い物……デートか……」

 

 

リゼ「……恋人同士、だもんな」

 

 

リゼ(チノとココアが恋人同士、これは周知の事実だ)

 

 

リゼ(わたしがココアのことが好きであることも、みんなには素直に打ち明けた)

 

 

リゼ(……ただ、それだけだ)

 

 

リゼ(わたしとココアは恋人同士ではない)

 

 

リゼ(ポジションとしては親友以上、恋人未満といったところだ)

 

 

リゼ(お互いの気持ちを打ち明けたあの夜、確かに私たちは恋人同士になるつもりだった)

 

 

リゼ(だが……その翌日の夜、突然チノが私に気持ちを打ち明けてきた)

 

 

リゼ(ココアのことが好きだ、と)

 

 

リゼ(……わたしはあえて自分から身を引いた)

 

 

リゼ(ココアには悪いが、別にそれほど葛藤は無かった)

 

 

リゼ(チノがココアのことを好きなのは薄々分かっていたし、正直私もココアと『付き合あう』なんてつもりは無かった)

 

 

リゼ(ただ、恋人同士という名目さえもらえれば……あわよくば、ココアと相思相愛だという証がもらえれば、それで……)

 

 

リゼ(ココアはずっと私に罪悪感を感じているようだが、あいつを責めるつもりなんて毛頭無い)

 

 

リゼ(むしろ、私とチノの両方を悲しませたくないあいつの優しさには感謝したいくらいだ)

 

 

リゼ(チノにはココアが必要だ……それを年上のわたしが横取りしていいはず無い)

 

 

リゼ(わたしがわがままを言えば、ココアを困らせてしまうだろうし……)

 

 

リゼ「…………はぁ」

 

 

リゼ「我ながら、自分の欲には臆病過ぎるよな……」

 

 

リゼ(チノとココアがデートだと聞いて、胸の奥が痛んでいるくせに……)

 

 

リゼ(そういえば最近、千夜とシャロも付き合い始めたと言ってたっけ……)

 

 

リゼ(……私だけ、見事に取り残されたな)

 

 

リゼ(……………………)

 

 

リゼ(……それでも)

 

 

リゼ「誰かが悲しむよりはずっといいよな……なぁ、ワイルドギース」ニコッ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ(そう、わたしとココアは恋人同士じゃない)

 

 

リゼ(でもだからこそ、たくさん秘密を共有できる)

 

 

リゼ(ほんとは相思相愛なことも、ラビットハウスでの出来事も……)

 

 

リゼ(今日も、また――)

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

トントン

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「リゼちゃん、お待たせ」ガチャッ

 

 

リゼ「ココア……」

 

 

ココア「…………」

 

 

リゼ「……おかえり♪」

 

 

ココア「!……えへへ…//」

 

 

ココア「ただいま……♪」ギュッ

 

 

リゼ「……今夜だけは、欲望に素直になってもいいよな?」スッ

 

 

ココア「!」

 

 

リゼ「……触るぞ」

 

 

ココア「……うん//」

 

 

リゼ「…………//」

 

 

ココア「…リゼちゃんのご注文は、ココアですか?//」ニコッ

 

 

リゼ「ああ……これからもずっとな……//」

 

 

リゼ「ココア……大好きだ♪」

----------------------

 

luterlude 2.「一緒に読書」

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ(………………)ソワソワ

 

 

リゼ「」チラッ PM12:02

 

 

リゼ(………………)

 

 

リゼ(……おかしい、おかしいぞ)

 

 

リゼ(今日はラビットハウスは休日、それに日曜日だというのに……)

 

 

リゼ(ココアから呼び出しが来ない!)

 

 

リゼ(せっかく今日に備えて昨日のうちに課題を終わらせたというのに……このままでは何もしないまま一日が無駄に終わってしまう!)

 

 

リゼ「ワイルドギース、これは緊急事態だ!」クルッ

 

 

 

ワイルドギース

 

 

リゼ「…………………………」

 

 

リゼ「なるほど、自分から出向いていけ……か」

 

 

ワイルドギース

 

 

リゼ「確かに、友達ってそういうもんだよな」

 

 

ワイルドギース

 

 

リゼ「お前がそこまで言うのなら仕方ない」

 

 

ワイルドギース

 

 

リゼ「……行って来る!」ダダダ

 

 

ワイルドギース ………………

 

 

ポツーン

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

リゼ「そう、これは仕方なくだ……」

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ(もしチノとココアがいなかったらどうしよう……)

 

 

リゼ(千夜もシャロもいなかったりしたら、最悪わたしだけ仲間はずれという可能性も……)

 

 

リゼ「…………」シュン

 

 

リゼ(……いや、あいつらはそんな奴等じゃないはずだ)ブンブン

 

 

リゼ(例えば大掃除とか……それならわたしの出番だ!)

 

 

リゼ「待っていろ、ココア、チノ!」ダッシュ

 

 

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「はぁ……はぁ……着いた……!」ゼェゼェ

 

 

リゼ(よく考えたらわざわざ走らなくても自転車に乗ってくればよかったんじゃあ……)

 

 

リゼ(……いや、ここはダイエットになったと考えておこう。何事もポジティブシンキングだ)

 

 

リゼ(……二人とも、いるかな)

 

 

リゼ「………………」ゴクリ

 

 

リゼ「お、おじゃましまーす」ガチャッ

 

 

タカヒロ「んっ……?」サッサッ

 

 

リゼ「こんにちは」

 

 

タカヒロ「やぁリゼくん、いらっしゃい」

 

 

リゼ「どうも……えっと、ココアやチノは?」

 

 

タカヒロ「あいにくチノは遊びに行って留守だが、ココアくんなら部屋にいるよ」

 

 

リゼ「えっ……ココアが?」キョトン

 

 

 

――ココアの部屋――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

トントン

 

 

ココア「はーい」

 

 

リゼ「わたしだ、入っていいか?」

 

 

ココア「あっ、リゼちゃん!いいよー!」

 

 

ガチャッ

 

 

リゼ「お邪魔します」

 

 

ココア「おはよう、今日もいい朝だね♪」

 

 

リゼ「朝って……もうお昼だぞ?」

 

 

ココア「えっ、もうそんな時間!?」

 

 

リゼ「そろそろ12時半だ」

 

 

ココア「うぅ……さっき食べたのってお昼ご飯だったんだ」

 

 

リゼ「今日は家にずっとこもりっきりか?なんだかお前らしくないな」

 

 

ココア「えっ~わたしだってたまには家でゴロゴロしたいよ?」

 

 

リゼ「ふむ…………」キョロキョロ

 

 

ココア「どうしたの?」

 

 

リゼ「いや、意外と片付いてるんだなって」

 

 

ココア「片付けるよ~!ちゃんと毎日掃除もしてるよ」

 

 

リゼ(この辺はモカさんの教育かな。なんにせよ、綺麗なのはいいことだ)

 

 

リゼ「漫画でも読んでたのか?」

 

 

ココア「ううん、ちがうよ。これ」

 

 

リゼ「ツクヨミウサギ……?小説か?」

 

 

ココア「うん、青山さんの新刊だよ」

 

 

リゼ(あの人何でも書いてるんだな)

 

 

リゼ「ココアが休日に読書か……雨でも降るんじゃないか?」

 

 

ココア「わたしだって本くらい読むよ!六法全書も読んだことあるもん!」

 

 

リゼ「六法全書!?そんなの読んでわかるのか……?」

 

 

ココア「他にも青山さんのは全部読んでるよ」

 

 

リゼ「そういえばこの前も……意外と読書家なんだな」

 

 

ココア「むぅ…………」プクー

 

 

ココア「リゼちゃんさっきから驚いてばっかり……わたしがインドアだとそんなに意外かな?」

 

 

リゼ「いつものイメージがあったからな……すまない、決め付けはよくなかったな」ポン ナデナデ

 

 

ココア「んっ…………」

 

 

リゼ「今日は私も一緒に読書してもいいか?」ナデナデ

 

 

ココア「うん……♪」ニコニコ

 

 

リゼ(可愛い……)

 

 

 

リゼ(恋愛小説、ライトノベル、ミステリー……なるほど、色々あるな)

 

 

リゼ(隠れ読書家は伊達じゃないみたいだ……)

 

 

リゼ(……よし、これにするか)スッ

 

 

リゼ「」ストン

 

 

リゼ「…………」パラッ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「って、また青山さんの本か」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「」チラッ

 

 

ココア「…………」モクモク

 

 

リゼ(もう集中してる……ほんとに本が好きなんだな)

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「………………」モクモク

 

 

リゼ(可愛い顔立ちと思っていたが……こうしてみると美人にも見えるな)

 

 

ココア「…………」モクモク

 

 

リゼ(ココアの横顔……綺麗だ)

 

 

ココア「…………」モクモク

 

 

リゼ(真剣な面持ちのココアは見たこと無かったが、こんなにも雰囲気が違うとは……)

 

 

リゼ(……………………)

 

 

ココア「…………」モクモク

 

 

リゼ「」スッ

 

 

――ピトッ

 

 

ココア「ひゃ!」ビクッ

 

 

リゼ「はっ……!す、すまない」アセアセ

 

 

ココア「リゼちゃん、どうしたの?」

 

 

リゼ「お前の横顔があまりに綺麗でつい……あっ!」クチオサエ

 

 

ココア「えっ…………//」

 

 

リゼ「ち、ちがっ!いや、違わないんだが、なんというか……//」

 

 

ココア「………………っ//」カアァ

 

 

リゼ「~~~っ!//」

 

 

リゼ「……いつもと雰囲気が違うお前を見てたら、どういうわけか触れたくなって……その……つい……//」

 

 

ココア「…………ぁぅ//」モジモジ

 

 

リゼ「っ…………すまん//」プシュ~

 

 

ココア「う、ううん!気にしないで、あはは……//」

 

 

ココリゼ「……………//」

 

 

リゼ(やってしまった……まずい、気まずいぞ…………)

 

 

ココア「…………えへへ//」ニヘラ

 

 

リゼ「な、なんだ……?」

 

 

ココア「リゼちゃんに綺麗って言われたのが嬉しくて……//」テレテレ

 

 

リゼ「掘り返すな!こっちが恥ずかしい!//」

 

 

ココア「ちゃんと読書に集中しないとダメだよ?」

 

 

リゼ「うっ……そうだな」

 

 

ココア「うーん…………あっ!」ピコーン

 

 

ココア「いいこと思いついた♪」

 

 

リゼ「?」

 

 

ココア「――えいっ♪」トサッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「こうやって、二人で読めば気が散らないよ」ニコッ

 

 

リゼ(ココアが膝の上に……!?)

 

 

ココア「ふふ~リーゼちゃん」ピタッ

 

 

リゼ「お、おい、これはちょっと……//」

 

 

ココア「え……あっ、もしかして重い?」

 

 

リゼ「いや、そういうわけじゃないんだが……//」

 

 

ココア「……嫌、とか?」シュン

 

 

リゼ「そんなことない!むしろウェルカムだ」

 

 

ココア「ほんと?じゃあ一緒に読もう♪」

 

 

リゼ「っ……!わ、わかった、わかったからほら、前向け!//」クイッ

 

 

ココア「はーい、じゃあまた最初から」パラパラ

 

 

ココア「ここからだよ」

 

 

リゼ「ここか…………ふむ」

 

 

ココア「リゼちゃん、早く読んで読んで」

 

 

リゼ「えっ、声に出すのか?」

 

 

ココア「そうじゃないとわたしがわからないよ」

 

 

リゼ「二人で読むってそういうことか……まぁいい」

 

 

リゼ「ほら、いくぞ」

 

 

ココア「わーい」

 

 

リゼ「ところでこの世界の様式美は――――」

 

 

リゼ「見識を改め、この待遇で与えられるのは―――――――」

 

 

リゼ(……ココアの髪、近くで見るとさらさらだ)

 

 

リゼ(それにいい匂いがする……)スンスン

 

 

リゼ「………………//」

 

 

ココア「リゼちゃん?続きは?」

 

 

リゼ「あ、ああ、えっと――」

 

 

リゼ(…触れてみたいけど……また変な空気になりそうだし、我慢しよう)

 

 

リゼ(今は、ココアとの読書を楽しまないとな……♪)

 

 

リゼ「続きいくぞ。ポジジョンなのが定石ではなかろうか――――」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

リゼ「――あろうことか、俺がこの手で終わらせる?そんなの――――んっ?」

 

 

ココア「すぅ………すぅ…………」Zzz

 

 

リゼ(寝てたのか……通りでさっきから静かだと思った)

 

 

チラッ

 

 

リゼ「……まだ2時、か」

 

 

リゼ「まったく、しょうがないやつだ」ナデナデ

 

 

ココア「ん…………」Zzz

 

 

リゼ「……綺麗な髪だ」サラサラ

 

 

リゼ(とりあえずベッドにうつすか)

 

 

リゼ「よっと……」

 

 

ココア「すぅ…………」Zzz

 

 

リゼ(おっ、意外と軽い……って、こんなこと言ったらまた怒られるな)

 

 

リゼ(布団をかけて、と……よし)

 

 

リゼ(寝過ぎたら夜が眠れないだろうし、4時になったら起こしてやるか)

 

 

ココア「…………ん」パチッ

 

 

リゼ「おっ、もう起きたか」

 

 

ココア「あれ……わたし、リゼちゃんのお膝で……」ポワーン

 

 

リゼ「寝落ちしたからベッドに移したんだ」

 

 

ココア「そっか……ごめんねリゼちゃん…………ふぁぁ……」

 

 

リゼ「ほら、まだ眠たいだろ。気にせず寝てろよ」ポン ナデナデ

 

 

ココア「ん………ねぇ、リゼちゃん?」

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

――テ ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「…起きるまで待ってて……いなくなったりしたらダメだよ……?」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

リゼ「ちゃんと待ってる……だから安心しろ」ナデナデ

 

 

リゼ「おやすみ、ココア」

 

 

ココア「よかった………おやすみなさい……♪」

 

 

ココア「…………すぅ……」Zzz

 

 

リゼ(…もう少し撫でたら、本でも読むか)

 

 

リゼ(確か青山さんの本は全部読んでるって言ってたな……)

 

 

リゼ(……どれが一番話が盛り上がるだろう)

 

 

ココア「えへへぇ…………♪」Zzz

 

 

リゼ「やれやれ……世話の焼ける妹だ」クスッ

----------------------

 

Intermediate 1.「rain days」

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「……………………」チラッ

 

 

ザー ザー

 

 

リゼ「……暇だな」

 

 

リゼ(雨だとさすがにお客さんも来ないか)

 

 

リゼ(この梅雨が明けたらすぐに夏が来るな……)

 

 

リゼ(――今年は、みんなとどこへ行こう)

 

 

リゼ「……えへへ」ニヘラ

 

 

リゼ(はっ……!いかんいかん、つい……)ブルブル

 

 

リゼ(……雨、やまないな)

 

 

リゼ(……早く夏にならないかな)

 

 

リゼ「しかし、こうも静かだと眠たくなってくるな。なぁココア」

 

 

シーン

 

 

リゼ「んっ?ココア――って……」

 

 

ココア「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

 

リゼ(寝てる……どうりで静かだと思ったら)

 

 

リゼ(ついさっきまでクーラーの前ではしゃいでたのに、次はお昼寝か)

 

 

リゼ「まるで犬か猫だな」クスッ

 

 

 

リゼ「お前はどこでもすぐに眠れて羨ましいよ」ツンッ

 

 

ココア「んぅ…………」Zzz

 

 

リゼ「あっ、よく見たらそれわたしの制服じゃないか。こら、しわになるから枕にするな」グイッ

 

 

ココア「むにゃ……えへへ……」Zzz

 

 

リゼ「……!」

 

 

ココア「にぅ………ふふ……」Zzz

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「……仕方ないから貸しておいてやる」

 

 

リゼ「よだれたらすなよ」ナデナデ

 

 

ココア「ぇへへ…………」Zzz

 

 

リゼ(やれやれ、いつもこれくらい静かだとやりやすいんだけどな)

 

 

リゼ(……いや、それだとさすがにココアらしくないか)

 

 

ココア「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

 

リゼ(それにしても、幸せそうな寝顔だ)

 

 

リゼ(なにか夢でも見てるのか)ナデナデ

 

 

ココア「んん……♪」

 

 

リゼ(髪の毛サラサラだ……ちゃんとお手入れしてるんだな)

 

 

リゼ(チノと同じトリートメントかな?今度聞いてみよう)

 

 

リゼ「このままだと風邪ひくよな……タオルケットでもかけておいてやるか、確かこの辺に……」ガサゴソ

 

 

リゼ「よっと」ファサ

 

 

ココア「ふぉぇ……?」

 

 

リゼ「っとすまない、起きたか?」

 

 

ココア「リゼちゃん……?」ポワポワ

 

 

リゼ「どうせお客さんも来ないし、まだ寝てていいぞ」ポンッ

 

 

ココア「ん……おやすみなさい……」

 

 

リゼ「ああ」ナデナデ

 

 

ココア「」Zzz

 

 

リゼ(チノが帰ってくるまであと1時間……このままココアでも撫でて時間を潰すか)

 

 

リゼ「……雨、止まないな」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――1時間後――

 

 

タカヒロ「失礼するよ」ガチャッ

 

 

リゼ「あっ、どうも」

 

 

タカヒロ「おや……リゼくんだけかい?」

 

 

リゼ「いえ、ココアは……」チラッ

 

 

ココア「」Zzz

 

 

タカヒロ「気持ちよさそうに寝ているね」

 

 

リゼ「すいません、起きたら注意しておきますんで」

 

 

タカヒロ「気にしなくていいよ」キラッ

 

 

タカヒロ「しかしこれだとさすがに起こすのは酷かな」

 

 

リゼ「どうかしたんですか?」

 

 

タカヒロ「どうやらチノが傘を忘れてしまったようでね、ティッピーは昨夜の飲みすぎでグロッキーだし、わたしは用事があるから手の空いているココア君に届けてもらえないかと思って」

 

 

リゼ「なるほど、それならわたしが行ってきます」

 

 

タカヒロ「ほんとかい?すまないねリゼくん、助かるよ」

 

 

リゼ「あっ、でもラビットハウスの店番は……」

 

 

タカヒロ「今日はお客さんも来ないだろうし、早めに片付けるとするよ」

 

 

リゼ「そうですか、では行ってきます」

 

 

タカヒロ「ああ、いってらっしゃい」キラッ

 

 

リゼ「――と、その前にやることがあった」

 

 

タカヒロ「?」

 

 

リゼ「ココア、起きろ」ペシッ

 

 

ココア「むにゃ……」

 

 

リゼ「じっとしてろよ。よっと……」ヒョイ

 

 

タカヒロ「!」

 

 

リゼ「こいつを部屋まで運んだらすぐに行きますので」

 

 

リゼ「ほらココア、部屋に戻るぞ」

 

 

ココア「んっ……リゼちゃん……?」

 

 

リゼ「まだ眠たそうだな、どうせ昨日も夜更かししてたんだろう」

 

 

ココア「あれ……これってお姫様抱っこ……?」

 

 

リゼ「しょうがないから部屋まで送り届けてやるよ」

 

 

ココア「えへへ、ありがとうリゼちゃん……」ニコッ

 

 

ココア「……ん」Zzz

 

 

リゼ(思っていたより軽いな……)

 

 

 

タカヒロ(ふっ……リゼくんがいる限り、ココアくんたちのことは心配しなくてよさそうだね)

 

 

タカヒロ「ラビットハウス三姉妹で、これからもずっと仲良くしてくれると嬉しいな……なぁ、親父」

 

 

ティッピー「頭が痛い……うぅ……」ズキズキ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

――校庭――

 

 

ザー ザー

 

 

チノ(相変わらず降ってますね……)

 

 

チノ(やはりマヤさんかメグさんの傘に入れてもらった方が良かったでしょうか)

 

 

チノ(でも家の方向が逆だから迷惑かけちゃうし……)

 

 

リゼ「おーい、チノ」

 

 

チノ「!」

 

 

リゼ「待たせたな、ほら傘だ」

 

 

チノ「ありがとうございます……でもどうしてリゼさんが?」

 

 

リゼ「んっ、ああ、まぁ色々あってな」

 

 

チノ「?」

 

 

リゼ「ははっ、歩きながら話すよ」

 

 

 

チノ「熟睡ですか、しょうがないココアさんです」

 

 

リゼ「親父さんも今日は片づけるって言ってたから、チノも帰ったらゆっくりしろよ」

 

 

チノ「そうさせてもらいます。リゼさんはどうされますか?」

 

 

リゼ「わたしは……そうだな、帰りに千夜のところにでも行くよ」

 

 

チノ「甘兎庵ですか?」

 

 

リゼ「ああ、なんだか急に行きたくなった」

 

 

チノ「でしたらココアさんも誘ってみんなで行きますか?」

 

 

リゼ「いや、起こすのも気が引けるし今度でいいよ」

 

 

リゼ「また晴れの日にみんなで行こう」

 

 

チノ「わかりました」

 

 

リゼ「…………」

 

 

チノ「……雨、止みませんね」

 

 

リゼ「そうだな……でも、悪くない」

 

 

チノ「?」

 

 

ザー ザー

 

 

 

――甘兎庵――

 

 

千夜「はいリゼちゃん、お疲れ様」コトッ

 

 

リゼ「おっ、ありがとう」

 

 

千夜「暇だったからリゼちゃんが来てくれて嬉しいわ」

 

 

リゼ「この雨じゃさすがに誰も来ないよな」

 

 

千夜「そうね、さっき青山さんが来ていたくらいかしら」

 

 

リゼ(あの人この大雨の中でもぶらついてるのか……)

 

 

千夜「せっかくリゼちゃんが来てくれたんだし、ウチももう片付けちゃうわね」

 

リゼ「おいおい、そんな軽いノリで休業していいのか?」

 

 

千夜「どうせお客さんも来ないんだもの、それに――」スッ

 

 

千夜「久しぶりにリゼちゃんと二人でお話したいから」ニコッ

 

 

リゼ「そ、そうか……//」

 

 

千夜「なんだか静かでいいわね」

 

 

リゼ「そういえばシャロは?」

 

 

千夜「シャロちゃんならフルールドラパンで今日もアルバイトみたい、雨の日は客足が少ないって喜んでたわ」

 

 

リゼ「なるほど、いつもはどの店も忙しいからな」

 

 

千夜「たまにはこんな日があってもいいわよね」

 

 

リゼ「個人経営店は商売あがったりだけどな」

 

 

千夜「……雨、明日は止むかしら?」

 

 

リゼ「どうだろう……」

 

 

リゼ「……でもその……なんだ」

 

 

千夜「?」

 

 

リゼ「雨は嫌いだけど、こんな日なら悪くない」

 

 

千夜「こんな日?」

 

 

リゼ「……みんながいてくれれば、それなりに楽しいし」

 

 

千夜「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「なんてな、ははっ……//」

 

 

千夜「ふふっ……リゼちゃんたらもう」ギュッ

 

 

リゼ「お、おい……//」

 

 

千夜「わたしもよ、みんながいるから毎日しあわせ」

 

 

リゼ「……一緒だな」

 

 

千夜「ええ、きっとココアちゃんもチノちゃんも、シャロちゃんもね」

 

 

ザー ザー

 

 

リゼ「……明日も、雨かな」

 

 

千夜「どっちでもいいわ、明日もきっと楽しいはずだもの」

 

 

リゼ(……前言撤回だな、こりゃ)

 

 

リゼ(夏にならなくても……梅雨が続いても)

 

 

リゼ(――みんながいれば、毎日たのしい)ニヘラ

 

 

――おしまい

 

 

――おまけ――

 

 

ココア「ふあ~良く寝た……」ポワポワ

 

 

ココア「今何時だろう――って、もう5時!?」ガーン

 

 

ココア(良く見たらここ自室……そうだ、お昼寝してたらリゼちゃんが連れて行ってくれて……)

 

 

ココア(うぅ……明日謝らなきゃ)

 

 

トントン

 

 

ココア「あ……リゼちゃん?」

 

 

チノ「ココアさん、わたしです」

 

 

ココア「チノちゃんもう帰ってたんだ。入っていいよー」

 

 

チノ「失礼します。ココアさん、今日の晩御飯ですが――ぷっ!?」

 

 

ココア「!」

 

 

チノ「こ、ココアさん……その顔……ふふっ、くく……」クスッ

 

 

ココア「ふえ……?」

 

 

ココア「鏡……あった!」

 

 

ココア+(落書き)猫ひげ+バツマーク+マルほっぺ

 

 

ココア「ヴェアアアァアアア!!」

 

 

チノ「ど、どうしたんですか一体……くくっくすっ……」

 

 

ココア「もうリゼちゃんのばかー!ひどいよー!」

 

 

 

タカヒロ(さすがはリゼくん、ちゃっかりしているね)キラッ

----------------------

 

luterlude 3.「一緒にサイクリング」

 

――リゼ宅 玄関前――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

チラッ AM10:14

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(ココアのやつまだかな……)ソワソワ

 

 

 

――昨日――

 

 

ココア「リゼちゃん、明日空いてる?」

 

 

リゼ「明日?ああ、特に予定も無いが……」

 

 

ココア「じゃあ一緒にサイクリングに行こうよ!」

 

 

 

リゼ「サイクリング?」

 

 

ココア「リゼちゃんのおかげでわたしももう自転車に乗れるようになったし、一度やってみたかったんだ」(コミック版参照)

 

 

ココア「風の向くまま気の向くままに、ペダルを漕いでいくという終わりのないゴールに対する挑戦……」ポワーン

 

 

リゼ「そんな大げさなもんじゃないだろ……」

 

 

ココア「リゼちゃんお願い、一緒に付いてきて?」

 

 

リゼ「私は別に構わないが、チノはどうするんだ?確かまだ自転車に乗れないんだろ?」

 

 

リゼ(置いて行くとまた何を言われるか分からん)

 

 

ココア「大丈夫、チノちゃんは今日の夜からマヤちゃん家にお泊りだから」

 

 

ココア「チノちゃんには悪いけど、明日は内緒で出発だよ」シー

 

 

リゼ「なるほどな……よし、それじゃあ二人で行くか」

 

 

ココア「ありがとう!明日の10時に、わたしがマイティッピー(自転車の)でリゼちゃん家まで迎えにいくね」

 

 

リゼ「ああ、寝坊するなよ」

 

 

ココア「もう、わかってるよ~リゼちゃんたら心配性だなぁ」

 

 

 

リゼ(二人きりか……)

 

 

リゼ(最近は深夜徘徊にお泊り会、ココアとの距離が徐々に縮まりつつある……)

 

 

リゼ(あいつにとって私はもう『友達』から『親友』くらいにはなれたのかな……♪)

 

 

ココア「おーいリゼちゃーん!」

 

 

リゼ「ココア、やっときたか」

 

 

ココア「えへへ、お待たせ」

 

 

リゼ「20分も遅刻だぞ、案の定寝坊したな」

 

 

ココア「うぅ、ごめんなさい……」

 

 

リゼ「まぁいい、じゃあ早速出発するか」

 

 

ココア「どんな冒険になるのか楽しみだね!」

 

 

リゼ「ただ景色が変わっていくだけだと思うが」

 

 

リゼ(ココアも普通のシティサイクルだし、わたしも普通のでいいか)

 

 

リゼ「待っててくれ、すぐそこの物置に――」

 

 

ココア「リゼちゃん、早く後ろに乗って」

 

 

リゼ「……えっ?」

 

 

ココア「もう出発するんでしょ?乗ってくれないと進めないよ」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「どうしたの?」キョトン

 

 

リゼ「……いや、私も自転車持ってるぞ?」

 

 

ココア「えっ、そうなんだ、今度見せて♪」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「んっ、リゼちゃん?」

 

 

リゼ「……これ、サイクリングだよな?」

 

 

ココア「そうだよー」

 

 

リゼ「……まさか、二人乗りでか?」

 

 

ココア「あはは、リゼちゃん今更何言ってるの。そのためのマイティッピーでしょ」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「さぁお嬢さん、後ろに乗って」キラッ

 

 

リゼ(なぜにタカヒロさん風……)

 

 

リゼ「……はぁ、わかった。お前のことだ、どうせ何言っても聞かないだろうし」

 

 

リゼ「その代わり、一つだけ条件がある」

 

 

ココア「ほぇ?」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

リゼ「いい風だな」

 

 

ココア「……リゼちゃんの背中のせいで分からない」

 

 

リゼ「あれは、横断歩道か。見てみろココア、どうやら私たちの町から出たみたいだぞ」

 

 

ココア「ぶぅ…………」プクー

 

 

リゼ「おいおい……まだむくれてるのか」

 

 

ココア「……わたしのほうがお姉ちゃんなのに……」

 

 

リゼ「年齢も身長もわたしのほうが上だろ……いいから機嫌直せよ」

 

 

ココア「最近のリゼちゃん、すぐに私のこと子供扱いするから嫌い……かっこいいけど……」ボソッ

 

 

リゼ「……なるべくお前に負担をかけたくないんだ、わかってくれ」

 

 

ココア「知らない……リゼちゃんなんて、知らないもん……」ポスッ

 

 

リゼ(強引な形でココアを後ろに座らせたが……やはりまずかったか、すっかり拗ねてしまった)

 

 

リゼ(たぶん運転してお姉さんぶりたかったんだろうな……)

 

 

リゼ(まったく……手のかかる妹だ)

 

 

リゼ(なんとか機嫌をなおしてやらないと……)

 

 

リゼ「……おっ、いいものがあった」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

リゼ「ほら、イチゴと生クリームでよかったか」スッ

 

 

ココア「うん……いくらだった?」

 

 

リゼ「私のおごりだ、気にしなくていい。ほら、食べろよ」

 

 

ココア「……ありがとう」

 

 

ココア「……ん、おいしい」モグモグ

 

 

リゼ「ここのクレープもなかなかだな」

 

 

ココア「……あの、リゼちゃん?」

 

 

リゼ「んっ、どうした?」

 

 

ココア「……その…………ふてくされて、ごめんね……」

 

 

ココア「せっかく付いてきてくれたのに、あんな態度取っちゃって……」シュン

 

 

リゼ「……………」

 

 

ポンッ

 

 

ココア「あ……」

 

 

リゼ「わたしのほうこそ悪かった、お前の気持ちも考えないで」ナデナデ

 

 

ココア「んっ…………」

 

 

リゼ「帰りは、ちゃんと代わるからな」

 

 

ココア「……ううん、いい」

 

 

リゼ「えっ」

 

 

ココア「えっと……なんだかクレープ食べたら動きたく無くなっちゃった」アハハ

 

 

ココア「だから、帰りもリゼちゃんの後ろに乗せてもらってのんびりしたいかも……」

 

 

ココア「……いいかな?」

 

 

リゼ「ああ……もちろんだ、帰りも乗せていってやる」

 

 

ココア「えへへ、ありがと。リゼちゃん大好きっ」ギュッ

 

 

リゼ「おいおい、クレープが背中に付くぞ」クスッ

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――夕方――

 

 

ココア「今日は楽しかったね」

 

 

リゼ「ああ、公園に商店街にデパート、色々行ったな」

 

 

ココア「……もうちょっとで私たちの町だね」

 

 

リゼ「ああ、なんだかんだいってもやはりあそこが一番だ」

 

 

リゼ「まぁ、ココアは実家が一番落ち着くだろうが」

 

 

ココア「………………」

 

 

――ポスッ

 

 

リゼ「っと……ココア……?」

 

 

ココア「……なんだか思い出すなぁ」

 

 

ココア「小さい頃、後ろに乗ったらいつもこうしてお姉ちゃんの背中にもたれ掛かってたっけ」

 

 

ココア「それで気持ちよくなってウトウトしちゃったり……」

 

 

ココア「……リゼちゃんの背中、あったかい……お姉ちゃんにそっくり」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「この背中の温もりとそろそろお別れかと思うと、ちょっと寂しいかも……」

 

 

リゼ「……いつでも連れて行ってやるさ、どこにでも……なんならお前の実家にでもな」

 

 

ココア「……よかった、それなら卒業してあの町を離れても安心だね」

 

 

ココア「リゼちゃんが、いつでも迎えに来てくれるから」ギュッ

 

 

リゼ「ああ……」

 

 

ココア「……なんだか湿っぽい話になっちゃった、ごめんね?」

 

 

リゼ「……また二人でサイクリング、行こうな」

 

 

ココア「うん……♪」

 

 

 

――リゼ宅 玄関前――

 

 

リゼ「到着だ」

 

 

ココア「ここからは選手交代だね」

 

 

リゼ「ラビットハウスまで行って私が歩いて帰ってきても良かったのに、すまないな」

 

 

ココア「ううん、今日はずっとリゼちゃんに甘えてばっかりだったから、最後くらいはね」

 

 

ココア「リゼちゃん、今日はありがとう……」ギュッ

 

 

リゼ「こ、ココア……汗臭いと思うし、あまり抱き着かないでくれ……//」

 

 

ココア「ううん、そんなことない、リゼちゃんのいい匂いがするよ」

 

 

ココア「リゼちゃん…………♪」スリスリ

 

 

リゼ「………………っ//」

 

 

ココア「……ふぅ、よし、もう大丈夫だよ」

 

 

ココア「リゼちゃん成分たっぷり充電完了」フンス

 

 

リゼ「っ……ほ、ほら、早く帰らないとタカヒロさんが心配するぞ//」

 

 

ココア「うん、じゃあねリゼちゃん、また明日」ブンブン

 

 

リゼ「ああ」フリフリ

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「ふぅ…………」ポスッ

 

 

リゼ「あれで無自覚だからな……ほんと、あいつといると調子が狂う……」

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「……よし、まずはお風呂に入るか」

 

 

リゼ「モヤモヤした気分は、お風呂に入ってきれいさっぱり忘れるのが一番だ」

 

 

リゼ「♪~♪♪」

 

 

 

――部屋の外――

 

 

リゼ父「………………」

 

 

リゼ父「」ガクガク

 

 

――おしまい♪

 

 

 

――番外編 ラビットハウス――

 

 

リゼ父「タカヒロ、俺はもう駄目だ……」グダー

 

 

タカヒロ「今度はどうした?」フキフキ

 

 

リゼ父「聞いてくれ!またいつもの女に娘がたぶらかされたらしい!

 

 

タカヒロ(いつもの女……ああ、ココア君のことか)

 

 

タカヒロ「……いいんじゃないか、男よりはましだとお前も言ってただろう」

 

 

リゼ父「問題はそれじゃない!どうやらその女、何の気なしに娘にアプローチをかけてるらしい!」

 

 

リゼ父「娘をつまみ食い扱いで捨ててみろ、女といえども俺が直々にこの手で……!」

 

 

タカヒロ「……………………」

 

 

ココア(タカヒロさん、今日のことはチノちゃんに内緒にしててくださいね)シー

 

 

ココア(チノちゃん早く帰ってこないかなぁ)

 

 

タカヒロ「……………………」

 

 

タカヒロ(ココア君、私は三人が幸せならどんな形でもいいと思うよ)キラッ

----------------------

 

luterlude 4.「イチャイチャ」

 

『冬の恒例』

 

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「おはよう」ガチャッ

 

 

ココア「リゼちゃんおはよう」

 

 

チノ「おはようございます」

 

 

ココア「外寒かったでしょ?リゼちゃんも一緒にチノちゃんモフモフしよっ♪」スリスリ

 

 

チノ「わたしをカイロ代わりにしないでください」オシノケ

 

 

リゼ「はは、相変わらずだな」

 

 

ココア「さぁリゼちゃん、三人で一緒に!」

 

 

 

リゼ「いや、わたしは遠慮しておくよ。チノも迷惑だろうしな」

 

 

チノ「ココアさん、いい加減離れてください」グイグイッ

 

 

ココア「うーん……あっ、それなら――」

 

 

タッタッタ

 

 

リゼ「?」

 

 

ココア「えいっ」ギュッ

 

 

リゼ「っと……」

 

 

ココア「わたしがリゼちゃんのことあっためてあげるね」ニコッ

 

 

ココア「もふもふ、もふもふ♪」スリスリ

 

 

リゼ「お前の体が冷えるぞ。ほら、じゃれあうなら着替えた後でな」ポンポン

 

 

ココア「リゼちゃんのコートの中突入~」モゾモゾ

 

 

リゼ「こら、くすぐったいだろ……!」

 

 

ココア「えへへ、中はぽかぽかだね♪」

 

 

リゼ「」リョウテ ピタッ

 

 

ココア「ヴぇあああぁ!?」

 

 

リゼ「いうことを聞かない奴はこうだ」ピタッ

 

 

ココア「冷たいよぉ!うぅ~えいっ!」

 

 

リゼ「あっ、こら、どこに手を入れて――ひゃん!//」ビクッ

 

 

ココア「お返しだよ、このままモフモフしちゃうから」

 

 

リゼ「や、やめないか!このっ!//」ピタッ

 

 

ココア「ひゃあ!リゼちゃん、さすがに服の中はダメだよ!//」

 

 

リゼ「お前だってしただろう、こいつめ!//」

 

 

キャキャッ ワイワイ

 

 

チノ「おじいちゃん、いつかラビットハウスが勘違いされそうです」

 

 

ティッピー「ふむ、フルールドラパンよりも危険かもしれん」

 

 

リゼ「このっ!このっ!//」

 

 

ココア「ヴぇえぇぇごめんなさい!やめてぇー!//」

 

 

リゼ(可愛い……)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

『耳かき』

 

 

――ココアの部屋――

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「ほぇ……♪」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「♪~♪♪」

 

 

リゼ「ふむ……こっちは綺麗なもんだ」

 

 

ココア「ふぉぇ……もうおしまい?」

 

 

リゼ「ああ、次は反対側だな」

 

 

リゼ「」フゥ!

 

 

ココア「ひゃあ!?」

 

 

リゼ「!す、すまん、最後はこうするものだと思って」アセアセ

 

 

ココア「……………//」

 

 

リゼ「ココア……おい、大丈夫か?」ツンツン

 

 

ココア「リゼちゃん……今の、もう一回やって?//」

 

 

リゼ「えっ……もう一回?」

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「」フゥ!

 

 

ココア「~~~~っ!!//」プルプル

 

 

リゼ「ど、どうしたんだ?」

 

 

ココア(なんだろうこの変な感じ……//)

 

 

ココア「リゼちゃん……あと一回、あと一回だけ//」

 

 

リゼ「よ、よくわからないが……キリがないからこれで最後だぞ?」

 

 

リゼ「…………」スゥ

 

 

リゼ「」フゥ!

 

 

ココア「ひゃん……ぁっ……!//」プルプル

 

 

リゼ「………………//」

 

 

リゼ(いかん、なんだか変な気分になってきた)

 

 

リゼ「っ……ほ、ほら、反対側するぞ//」グイッ

 

 

ココア「あっ………」

 

 

リゼ「ん~……こっちも綺麗だな」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「………」ビクッ

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「いっ………」ビクッ

 

 

リゼ「こら、動くとやりにくいだろ」

 

 

ココア「だ、だって……反対側の耳ってなんだか恐いんだもん」

 

 

リゼ「まぁ確かに……あれって不思議だよな」

 

 

ココア「り、リゼちゃん……あんまり奥までしないでね?」

 

 

リゼ「ああ、わかってる。いいからわたしに任せろ」グイッ

 

 

ココア「わっ……」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「…………」ウズウズ

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「……うん、何もないな」

 

 

リゼ「……さてと」

 

 

リゼ「ココア、終わったぞ?」

 

 

ココア「…リゼちゃん、最後に、あれ……//」

 

 

リゼ「あれ?………ああ…」

 

 

リゼ「」フゥ!

 

 

ココア「あうぅぅ……っ!//」プルプル

 

 

リゼ「……ココア、どうしたんださっきから?」

 

 

ココア「ふぇへへ……わたし、モフモフと同じくらい好きになりそうだよこれ……//」ニヘラ

 

 

リゼ(ココアの中で変な扉がひらきかけてる!?)

 

 

リゼ「だ、ダメだぞ、こんなアブノーマルなこと……いますぐ忘れろ//」

 

 

ココア「えっ~だってすごいんだよ?そうだ、リゼちゃんにもしてあげる」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

ココア「ほら、横になってみて?」

 

 

リゼ「……こうか」ポスッ

 

 

ココア「いくよ……?」

 

 

ココア「」フゥ!

 

 

リゼ「…………!!?//」ゾクゾク

 

 

ココア「……どう?」

 

 

リゼ「…………ココア」

 

 

リゼ「…もう一度、頼む……//」

 

 

ココア「えへへ、リゼちゃんも仲間だね♪」

 

 

ココア「」フゥ!

 

 

リゼ「ひぃぅ………!!//」ピクピク

 

 

 

ヘヤノソト

 

 

タカヒロ「……………………」

 

 

タカヒロ「」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

『頬を引っ張ってみる』

 

 

――公園――

 

 

ココア「それでね、チノちゃんの頬っぺたってすべすべでモチモチで……」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「あっ、でもシャロちゃんのモフモフ加減も負けてな―――」

 

 

リゼ「」ホッペムニュー

 

 

ココア「ふぇ!リゼちゃん、いきなりどうしひゃの……?」

 

 

リゼ「いや、お前の頬も負けず劣らず柔らかそうだと思ってな」

 

 

リゼ「よっと……」ムニー

 

 

ココア「あんまいひっぱるとかほがよほに伸びちゃうよ」

 

 

リゼ(可愛い……)

 

 

リゼ「この前チノがウーパールーパーだって言ってたな、こうすればもっとそっくりだ」クスッ

 

 

ココア「リゼひゃんまれ!?みんなしてひどいよー!」

 

 

リゼ「ごめん冗談だよ、ほら、悪かったな」ポンポン

 

 

ココア「うぅ……冗談でも結構傷ついたかも」ガクッ

 

 

リゼ(ココアって意外とメンタル弱いよな)

 

 

リゼ「お詫びにクレープ奢ってやるから機嫌直せよ」

 

 

ココア「ほんと?やったっ♪」

 

 

リゼ「…………♪」ナデナデ

 

 

ココア「リゼちゃんって、意外と気遣い屋さんだよね」クスッ

 

 

リゼ「一言余計だ」ギュー

 

 

ココア「いたたたっ!ほんとに伸びちゃうー!」

 

 

キャキャッ ワイワイ

 

 

クレープヤ

 

 

シャロ(目の前でイチャイチャされてるわたしはどうしたら……!)アワワ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

『根本的なずれ』

 

 

――甘兎庵――

 

 

リゼ「ココア、これはなんだ?」

 

 

ココア「それはぼたもちかな」

 

 

リゼ「これは?」

 

 

ココア「それは八つ橋だよ」

 

 

リゼ「おしるこはどれなんだ?」

 

 

ココア「えっと、これだよ」

 

 

リゼ「じゃあこれだ」

 

 

ココア「わたしはういろうにしよっと」

 

 

リゼ「千夜、『おしるこ』と『ういろう』をひとつ頼む」

 

 

千夜「はーい、すぐに持ってくるわね」

 

 

リゼ「やれやれ、ここのメニューは相変わらずだな」

 

 

ココア「ラビットハウスも負けてられないね」フンス

 

 

リゼ「対抗しなくていい、急に変えたらお客さんがパニックになるだろ」

 

 

ココア「だからウチも指南書を作ろう」

 

 

リゼ「甘兎庵に買収されたと勘違いされるぞ……」

 

 

千夜「お待たせしました」

 

 

リゼ「おっ、ずいぶん早いな」

 

 

千夜「ココアちゃんとリゼちゃんだもの、優先しておもてなししないとね」

 

 

リゼ(そんな露骨に公私混同していいのか!?)

 

 

千夜「それではごゆっくりー」

 

 

ココア「いただきまーす♪」パクッ

 

 

リゼ「ふぅ……温まるな」

 

 

ココア「はいリゼちゃん、あーん」

 

 

リゼ「!い、いや、別にいいぞ?」

 

 

ココア「いいからいいから、その代わりわたしもおしるこ一口ちょうだい?」

 

 

リゼ「わかった、それなら……」

 

 

リゼ「」スッ パクッ

 

 

ココア「あっ……」

 

 

リゼ「うん、おいしい。ほら、好きなだけ飲んでいいぞ」

 

 

ココア「うぅ……あーんしたかったのに」

 

 

リゼ「さすがに恥ずかしいだろ、ほかにお客さんもいるし//」

 

 

ココア「いいもん、リゼちゃんのおしるこ全部飲んじゃうから」

 

 

リゼ「あっ、こら、全部はダメだぞ!」

 

 

ココア「なんて、冗談だよ。あったかくておいしい」

 

 

リゼ「おいおい、口の周りに付いてるぞ」フキフキ

 

 

ココア「んっ……」

 

 

リゼ「まったく、しょうがない奴だ」

 

 

ココア「えへへ♪」

 

 

イチャイチャ

 

 

ザワザワ ガヤガヤ……

 

 

千夜(あーんはダメでも間接キスとお口拭きはオッケーなのね……リゼちゃん、ちょっとずれてるわ)

 

 

リゼ「いい加減一人でもしっかりしてくれよ、ココア」

 

 

ココア「うん、でもリゼちゃんがいるから大丈夫だよ」

 

 

リゼ「そういう問題じゃあ………まぁ、それでいいか」

 

 

千夜(リゼちゃんも甘いわね……ココリゼほほえまぁ……♪)

----------------------

 

Intermediate 2.「妹でいられる場所」

 

――夕方 公園――

 

 

リゼ「♪~♪♪」

 

 

リゼ「んっ……あれは――」

 

 

ココア「……………………」

 

 

リゼ(ココア……一人なんて珍しいな)

 

 

リゼ「ココア、こんなところで何してるんだ」

 

 

ココア「!……リゼちゃん」

 

 

リゼ「今日は休日だからチノと遊んでるのかと思ってたよ」

 

 

 

ココア「チノちゃんはメグちゃんとマヤちゃんと三人で遊びに行っちゃった」

 

 

リゼ「お前らしくないな、一緒に付いて行けば良かったのに」

 

 

ココア「えへへ……なんだか今日はちょっと……ね」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ(なんだかいつものココアと様子が違うな……)

 

 

リゼ「…………隣、いいか?」

 

 

ココア「うん」ススッ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「リゼちゃんは学校帰り?」

 

 

リゼ「ああ、部活の助っ人に駆り出されてバイト休日はいつもこの様だ」

 

 

ココア「たまには断ればいいのに~」

 

 

リゼ「せっかく私を頼ってくれているのに、なんだか申し訳ないような気がしてな」

 

 

ココア「大変だね」

 

 

リゼ「ああ、でも悪い気はしない」

 

 

リゼ「…………………………」

 

 

リゼ「ココアはどうしてここにいるんだ?」

 

 

ココア「うーん、どうしてかな?色々考えてたらなぜかここに来ちゃった」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ポンッ ナデナデ

 

 

ココア「ひゃっ……り、リゼちゃん?」

 

 

リゼ「隠し事なんて水臭いぞ、なにかあるならちゃんと言え」

 

 

ココア「で、でも、ほんとに悩みなんて」

 

 

リゼ「悩みが無い人間がこの世にいてたまるか」デコピン

 

 

ココア「あぅ!」

 

 

リゼ「お前が嘘つけないことくらい私も知ってる」

 

 

ココア「うぅ……リゼちゃんには敵わないなぁ……」

 

 

リゼ「ゆっくりでもいい、話せることなら話してみろ」

 

 

ココア「……聞いて、くれるの?」

 

 

リゼ「というより聞くまで帰らん」

 

 

ココア「…………ごめんね、ありがとう」

 

 

ココア「…………………………」

 

 

ココア「……学校とかプライベートでも、毎日を過ごしてたら嫌なことってたくさんあるよね」

 

 

リゼ「生きているからな」

 

 

ココア「……わたし、末っ子だったからさ……そんな時はいつもお兄ちゃんやお姉ちゃんたちに愚痴ったり、泣き付いたりしてたんだ」

 

 

ココア「そしたら気持ちが落ち着いて……明日からまた頑張ろう、明日こそは良いことあるかもって思えて……」

 

 

リゼ「…………………………」

 

 

ココア「もちろんこっちに来てからは毎日が楽しいよ。チノちゃんやシャロちゃん、千夜ちゃん……リゼちゃんみんなが側にいてくれて」

 

 

ココア「……………………でも」

 

 

ココア「……お姉ちゃんって、こんなに大変だったんだね」ホロリ

 

 

リゼ「………………ココア」

 

 

ココア「だ、ダメだよね、こんなんじゃ!立派なお姉ちゃんになるためにも、こんなことで泣いてちゃ――――」

 

 

ナデナデ

 

 

ココア「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「いいんじゃないか、泣いても」

 

 

ココア「えっ…………」

 

 

リゼ「お姉ちゃんとか妹だとか関係なしに、お前は一人の人間だろ」

 

 

リゼ「辛い事や悲しいことがあれば、誰だって泣くさ。お前だけじゃない、私も、千夜も……もちろんモカさんもな」

 

 

ココア「お姉ちゃんも…………」

 

 

リゼ「みんな本当は心の拠り所が欲しくて右往左往してるんだ……何かにすがりたいのは、別に恥ずかしいことなんかじゃないぞ」

 

 

リゼ「それに――」

 

 

ギュッ

 

 

ココア「…………!」

 

 

リゼ「頼る人がいないなんて、悲しいこと言うなよ」

 

 

リゼ「私はこう見えてもお前より年上だぞ、お前よりもお姉さんだ」

 

 

リゼ「好きなだけ頼ればいい……泣き付いてこればいいだろ?」

 

 

ココア「……でも、それじゃあリゼちゃんが――」

 

 

リゼ「なぁに、わたしには親父が、家族が……ちゃんと他に頼れる人がたくさんいる」

 

 

リゼ「自分を押し殺してまで、人のことばかり考えなくていい……たまには泣いていいんだぞ、ココア」

 

 

ココア「………………リゼちゃんは――」ギュッ

 

 

ココア「明るくないわたしでも、嫌いにならない……?」グスッ

 

 

リゼ「ああ……」

 

 

ココア「泣き虫な私でも、ずっと側にいてくれる……?」ジワッ

 

 

リゼ「ああ……」

 

 

ココア「――!……ひっく……うぅ……リゼ、ちゃん……っ!」ポロポロ

 

 

リゼ「よしよし……ストレスのはけ口が無くなって、今までずっと我慢してきたんだな……辛かったな」ナデナデ

 

 

ココア「ううっ、うえぇぇ……っ!」

 

 

リゼ「好きなだけ泣くといい……そしたらまた、いつものお前に戻れるさ」

 

 

 

私はその時、初めてココアが咽び泣くのを見た。

 

その姿はか弱く、今にも崩れてしまいそうで……いつも見ていた明るいココアの面影は、どこにもなかった。

 

ただ……わたしに分かったのは、そのどちらも正真正銘ほんとうのココアだということ。

 

末っ子のココアも、お姉ちゃんのココアも、あいつであることに変わりはない……だから、これからはどちらの形でも――――

 

 

精一杯、受け止めてやろう。

 

 

 

リゼ「…………もう、大丈夫か?」

 

 

ココア「ううん……まだ。もうちょっと……あともうちょっとだけ、このままで……」

 

 

リゼ「ああ、わかった……」ナデナデ

 

 

 

――翌日 ラビットハウス――

 

 

ココア「ヴェェ!遅刻だよぉ!」タッタッタ

 

 

ココア「チノちゃんリゼちゃん、おっはよー!」

 

 

チノ「おはようございますココアさん、もうお昼前ですよ」

 

 

リゼ「おはようココア、今日も元気だな」

 

 

ココア「今日も一日がんばろうね!朝の景気づけに~チノちゃんもふもふ~♪」

 

 

チノ「や、やめてください……//」

 

 

リゼ「はは、相変わらずだな」

 

 

ココア「!」

 

 

タッタッタ

 

 

ココア「……リゼちゃん?」

 

 

リゼ「んっ?」

 

 

ココア「昨日のことは誰にも内緒にしててね?//」

 

 

リゼ「分かってるよ」

 

 

ココア「ありがとう……わたし、もう大丈夫だよ!」

 

 

リゼ(やっぱりココアは、笑顔が一番似合ってるな……)

 

 

ココア「…………でも」

 

 

ココア「……また、時々妹でいさせてね?//」モジモジ

 

 

リゼ「!//」

 

 

リゼ「ああ……いつでもいいぞ//」

 

 

ココア「ほんと!えへへ……ありがとう、リゼお姉ちゃん♪//」ニコッ

 

 

リゼ「!//」ズキューン

 

 

リゼ「…………コ……ココアぁ!!」ギュッ

 

 

ココア「ひゃあっ!?」

 

 

チノ「もふもふ病がリゼさんにまで!?」

 

 

リゼ「もふもふ、もふもふ♪」

 

 

ココア「うぇーん!リゼちゃんが妹になったよー!」

----------------------

 

luterlude 5.「ハッピーエンド」

 

――ラビットハウス――

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「ありがとうございました」ペコリ

 

 

リゼ「………………」

 

 

ココア「……あっ、このテーブル汚れてる」フキフキ

 

 

リゼ「…………なぁチノ?」

 

 

リゼ「……最近のココア、なんだか様子が変じゃないか?」

 

 

チノ「リゼさんもそう思いますか……実は、3日前からずっとあの調子なんです」

 

 

チノ「食事の量も日に日に減っていて……ダイエットでもしてるんでしょうか」

 

 

 

リゼ「ダイエットか、それなら別にいいんだが……」

 

 

ガシャーン!

 

 

チノリゼ「!」

 

 

ココア「あ……やっちゃった……」

 

 

ココア「ごめんね二人とも……すぐに片付けるから」

 

 

チノ「……ココアさん」

 

 

リゼ「お客様すいません、大変失礼いたしました」

 

 

リゼ「すまないチノ、注文のサンドイッチのほう任せていいか?」

 

 

チノ「わかりました。これ、チリトリです」

 

 

リゼ(あの様子……ダイエットとかじゃ無さそうだな……)

 

 

 

リゼ「ほらココア、手で拾ったら危ないぞ」サッサッ

 

 

ココア「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「怪我してないか?手、見せてみろ」

 

 

ココア「ううん、大丈夫だよ……ありがとう」

 

 

ココア「……ごめんね、いつも」

 

 

リゼ「気にするな、別にいつもって訳じゃないだろ」

 

 

ココア「…………うん」

 

 

リゼ(やはり顔色が悪いな……チノと喧嘩したわけでもないみたいだし……)

 

 

リゼ(先週サイクリングに行ったときは元気だったし、やはりこの3日間でなにかが……)

 

 

リゼ(……まさか、学校か……?)

 

 

リゼ「……なぁ、ココア」

 

 

ココア「それ、片付けてくるね!あっ、コーヒー豆も補充しないと!」タタタ

 

 

リゼ「あっ、おい…………」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――深夜 リゼ宅――

 

 

リゼ「ふぅ…………」ポスッ

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「…………」チラッ

 

 

PM10:17

 

 

リゼ「………………」

 

 

スッ ケイタイ

 

 

Prrrrrrrrr―――

 

 

リゼ「……もしもし、千夜か。夜遅くにすまないな」

 

 

リゼ「ああ……ココアのことなんだが……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――深夜 公園――

 

 

リゼ「………………」キョロキョロ

 

 

リゼ「……あれは――」

 

 

 

リゼ「…………ココア」ポンッ

 

 

ココア「ひゃっ!」

 

 

リゼ「こんなところで何してるんだ」

 

 

ココア「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「深夜徘徊するときはちゃんとわたしを呼べと言っておいただろう」

 

 

ココア「……ごめんなさい」

 

 

リゼ「……まぁ、たまには一人でいたいときもあるよな」

 

 

ココア「………………」

 

 

ココア「……リゼちゃん、こっちに来て」

 

 

リゼ「……?」

 

 

 

――ギュッ

 

 

 

リゼ「……!」

 

 

リゼ「……ココア?」

 

 

ココア「…違うの……」

 

 

ココア「ほんとは一人じゃなくて……できればリゼちゃんと一緒にいたかった……」

 

 

ココア「でも……わたし、いつもリゼちゃんに迷惑かけてばかりだから……」

 

 

ココア「だから……今回は自分で解決しなきゃって……」ジワッ

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「でもごめんね……リゼちゃんに会ったら、もう……押さえ切れなくなって……」ポロポロ

 

 

ココア「わたし、やっぱり末っ子のままだ……リゼちゃん、ごめんね……ごめんなさい……」ポロポロ

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「……今から、わたしの家に来い」ナデナデ

 

 

リゼ「断っても、無理やり連れて行くけどな」

 

 

ココア「えっ……あ…」

 

 

リゼ「ほら、手離すなよ……」ギュッ

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「遅くなったな――――って、そんな隅っこに座るなよ」

 

 

ココア「……………」

 

 

リゼ「ほら、ホットミルクだ」

 

 

リゼ「明日は休日だし、ゆっくりしていけよ」

 

 

ココア「……ごめんね」

 

 

リゼ「そこはありがとうのほうが嬉しいんだけどな」

 

 

ココア「うん……ありがとう」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「…………」ウツムキ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「……言いにくいか?」

 

 

ココア「………………」コクリ

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「……ずっと仲良しだと思ってた子から、影で悪口言われてたんだって?」

 

 

ココア「!」

 

 

リゼ「ごめんな……おせっかいだとは思ったが、千夜から聞いたよ」

 

 

ココア「………………」

 

 

リゼ「ショックだったよな……」

 

 

ココア「……1年生の頃から、ずっと仲良しだったの……」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「学校では千夜ちゃんと同じくらい大切な友達で………2年生になっても、ずっと友達だと思ってて……」

 

 

ココア「でも……向こうは違ったみたい……」グスッ

 

 

ココア「ほんとは、わたしのことなんか大嫌いで……うっとおしいって……」ジワッ

 

 

ココア「…っく……ひぐ……」ポロポロ

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

ココア「わたし、自分が好意を寄せれば、相手もそれに応えてくれるって思ってた……」

 

 

ココア「でも……間違ってたんだね……」

 

 

ココア「出会って3秒で友達なんて言ってた自分がバカみたい……勝手に馴れ馴れしくして……」

 

 

リゼ「…………っ」

 

 

ココア「もう、自分のことが好きになれないよ……」

 

 

 

リゼ「……そんなこと、言うなよ……」

 

 

 

ココア「え……」

 

 

リゼ「お前は間違ったことなんかしてない!」

 

 

ココア「!」

 

 

リゼ「……お前がこの町に来るまで、私は友達といえるほど親しい人間がいなかった」

 

 

リゼ「いつも一人で……寄せられるのは好意じゃなく尊敬とかそういった眼差しばっかりで……」

 

 

リゼ「バイト仲間のチノともろくに親しくなれず、不器用で孤独で……」

 

 

リゼ「そんな私を変えてくれたのはお前だった」

 

 

リゼ「少なくともわたしは、お前のそういうまっすぐなところに救われた……今では千夜やシャロ、チマメ隊、たくさん友達も出来た」

 

 

ココア「……」

 

 

リゼ「人がなんと言おうが関係ない、たとえお前自身が自分のことを嫌っていたとしても、わたしは――」

 

 

 

リゼ「お前のことが……明るいココアのことが好きだ」

 

 

 

ココア「……好き…………」

 

 

リゼ「――!」ハッ

 

 

リゼ(し、しまった……勢いに任せてつい本音を……)

 

 

リゼ「~~~~~!//」カァァ

 

 

ココア「……リゼちゃん」

 

 

リゼ「!」ビクッ

 

 

ココア「……ありがとう」ニコッ

 

 

リゼ「……!」

 

 

ココア「……もう一回、自分を信じてみるね」

 

 

ココア「このままで……あの子に嫌われちゃった私のまま、生きてみようと思う」

 

 

リゼ「……そうか」

 

 

ココア「だって、リゼちゃんが好きって言ってくれたんだもん。これ以上に確実な保障なんて無いよ」ニコッ

 

 

リゼ「……ココア」

 

 

ココア「みんなに好かれることなんて無理だよね……そんなこと分かってたのに」

 

 

ココア「いざ自分が仲良しと思ってた子から嫌われると、受け入れられなかった……」

 

 

ココア「あはは……人間関係って、思ってたより難しいね」

 

 

リゼ「……そうだな。でもその気持ちはおかしいことなんてないぞ」

 

 

リゼ「誰だって、人に嫌われるよりは好かれていたいもんだ」

 

 

リゼ「確かに、お前の優しさを理解できない人間もいる」

 

 

リゼ「でも、ちゃんと理解してくれる人間もいる」

 

 

ココア「リゼちゃんや、みんなみたいに……」

 

 

リゼ「ああ、嫌なことっていうのは、何も無くすことばかりじゃないさ」

 

 

ココア「……えへへ、リゼちゃんかっこいい」ギュッ

 

 

リゼ「おっ……やっといつものお前に戻ったか」ポンポン

 

 

ココア「んっ……リゼちゃんの匂い……」スリスリ

 

 

リゼ「甘えん坊な妹だな、まったく……」ナデナデ

 

 

ココア「……ううん、もう妹じゃないよ」

 

 

リゼ「?」

 

 

ココア「だって……私もリゼちゃんのこと、大好きだもん」

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「リゼちゃん……好き、大好き」

 

 

ココア「これで相思相愛だね……もう絶対離さないよ」ギュッ

 

 

リゼ「…………!」

 

 

リゼ(……いつからだったんだろう。わたしがココアに惹かれ始めたのは。初めて会った時から?夜の散歩でばったり会ったとき?ココアが泊まりにきたときから?サイクリングでココアの幼い一面を見たとき?……いや、そんなことはもう、どうでもいい)

 

 

リゼ「……ココア」ギュッ

 

 

リゼ(今わたしの腕の中にいるのは、わたしが大好きなココアなんだから……)

 

 

リゼ「……ココア、好きだ。お前のこと、友達としてじゃなく……恋人として」

 

 

ココア「うん……わたしも」

 

 

ココア「わたしもリゼちゃんのこと、大好き……」

 

 

リゼ「んっ……」

 

 

チュッ

 

 

ココア「ん……ぷはぁ………えへへ…………//」ニコッ

 

 

リゼ「……っ//」

 

 

ココア「きゃっ……!リゼちゃんちょっと待って……んっ……//」

 

 

チュッ

 

 

リゼ「お前が可愛いのはいけないんだ……//」

 

 

ココア「……ねぇ、リゼちゃん?」

 

 

リゼ「?」

 

 

ココア「……あのね、チノちゃんのことなんだけど……」

 

 

リゼ「……ああ、分かってるよ」

 

 

リゼ「チノを泣かせたくないんだろ?……お前がもしそうしたいのなら受け入れてやるさ」

 

 

リゼ「お前が一番幸せだと思うカタチを、わたしは守るだけだ」ホッペ チュ

 

 

ココア「……えへへ、リゼちゃんやっぱり優しい」

 

 

ココア「……みんながみんな、幸せだと良いね」

 

 

リゼ「ああ、そうだな」

 

 

リゼ「お前のことを心配してくれたチノは……お前が責任を持って幸せにしないとな」

 

 

ココア「うん……♪」

 

 

 

――部屋の外――

 

 

リゼ父「………………」

 

 

リゼ父「」

 

 

――おしまい

 

 

 

――番外編 ラビットハウス――

 

 

リゼ父「タカヒロ、大変だ!」ガチャッ

 

 

タカヒロ「どうしたんだ?」フキフキ

 

 

リゼ父「例の女、どうやら俺の娘だけでは飽きたらずお前の娘にまでちょっかいをかけていたらしい!」

 

 

リゼ父「俺の娘とお前の娘、どちらも手篭めにするつもりだぞ!」

 

 

タカヒロ「……そうか」

 

 

タカヒロ「それなら、ハッピーエンドだ」キラッ

 

 

リゼ父「なっ……お前まさか、あの女が二股かけていたことを知っていたのか!」

 

 

タカヒロ「知っていたも何も……あの子はうちの居候だ」

 

 

リゼ父「なに!?……まさか、お前の差し金だったのか!?」

 

 

タカヒロ「それは違う。……なぁ、落ち着いてよく考えてみろ」

 

 

リゼ父「……?」

 

 

タカヒロ「娘たちが他の男に取られないんだぞ?その上ココアくんはうちの居候、このまま住みこんでもらえば俺たちは娘と離れることなく――」

 

 

リゼ父「――!一生一緒に暮らせる……?」

 

 

タカヒロ「」コクリ

 

 

リゼ父「……ふっふっふ、タカヒロ……」

 

 

タカヒロ「…………」

 

 

リゼ父「お前は天才だ!」

 

 

リゼ父「今日は一番高い酒を飲むぞ!どんどん持ってきてくれ!」

 

 

タカヒロ「ふっ、お前なら分かってくれると思ってたよ」トクトク

 

 

リゼ父&タカヒロ「――乾杯!」

 

----------------------

 

luterlude 6.「後日談」

 

――リゼの部屋――

 

 

リゼ「すぅ…………すぅ…………」Zzz

 

 

トントン

 

 

リゼ「…………」Zzz

 

 

トントン

 

 

リゼ「…………」Zzz

 

 

ガチャッ

 

 

リゼ「…………」Zzz

 

 

スッ――ポスッ

 

 

 

リゼ「んっ……………」

 

 

リゼ(なんだ……急にお腹辺りが苦しくなった……)

 

 

リゼ「ふぁあぁ…………ん?」

 

 

ココア「リ~ゼちゃん、おはよ♪」

 

 

リゼ「…ココア……」パチクリ

 

 

リゼ「…………」ポワン

 

 

リゼ「…………――はっ!」

 

 

リゼ「なっ!こ、ココア!?どうしてお前がここに!?」

 

 

リゼ(なんだこの状況!?朝起きたらわたしの部屋で馬乗りになったココアが目の前に!?)

 

 

ココア「どうしてって、ねぼすけさんのリゼちゃんを起こしに来たんだよ」

 

 

ココア「あわよくばその寝顔も堪能しようかなぁって」

 

 

リゼ「今日はチノと二人でデパートに行くんじゃなかったのか?」

 

 

ココア「そうだよ~でもほら、せっかくの休日なのに一度もリゼちゃんに会えないのは寂しいから……」

 

 

ココア「だからこうして朝這いしにきたの、えへへ」ニコッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「眠たいのに起こしてごめんね。……迷惑だった?」

 

 

リゼ「……――すぎか」ボソッ

 

 

ココア「ふぇ?」

 

 

リゼ「可愛すぎかっ!//」バッ

 

 

ココア「わぁ!?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――公園――

 

 

ココア「リゼちゃん、こっちこっち」

 

 

リゼ「こらこら、ちゃんと前向いて歩かないと危ないぞ」

 

 

ココア「おっと、もう~リゼちゃん早く」

 

 

リゼ「寝起きの人間をそうせかさないでくれよ」ファァ

 

 

ココア「むぅ……しかたないなぁ、もう」ウデ ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「早く行かないと魔法の時間が過ぎちゃうよ?」

 

 

リゼ「魔法の時間?」

 

 

ココア「ほら、早朝と深夜はこの町ってあんまり人がいないよね」

 

 

ココア「今もこの公園に、わたしたち以外誰もいない……」

 

 

ココア「なんだかまるで、世界で二人きりになったみたいでしょ?」

 

 

リゼ「ココアと世界で二人きり……か」

 

 

ココア「リゼちゃんと二人きり……今ならいくら甘えたって誰にも咎められること無いもん」

 

 

ココア「だからね、わたしにとってはリゼちゃんを独り占めできる魔法の時間なんだ♪」スリスリ

 

 

リゼ「ぐはっ!//」グサッ

 

 

ココア「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「ごほん!いや、なんでもない……何でも……//」

 

 

リゼ(可愛い!ココア可愛い!わたしの恋人かわい過ぎるぞっ!//)

 

 

ココア「あっ、着いたよ」

 

 

リゼ「ここって……」

 

 

ココア「まさか……忘れちゃった?」シュン

 

 

リゼ「……忘れるわけないだろ」

 

 

リゼ「どこに向いて歩いてるかと思えば……なるほど」

 

 

ココア「このベンチ……わたしとリゼちゃんが初めて深夜徘徊で出会った場所だよ」

 

 

ココア「今にして思えば、これが最初のきっかけだったのかも」

 

 

リゼ「?」

 

 

ココア「わたしが、リゼちゃんのことを好きになっていったのって」ニコッ

 

 

リゼ「なっ……!ば、ばか、そういうことは本人を目の前にして言うことじゃない//」ポカッ

 

 

ココア「えっ~じゃあいつ言えばいいの?」

 

 

リゼ「……言わなくいいんだ」スッ

 

 

――チュッ

 

 

ココア「あっ……//」

 

 

リゼ「わたしも同じなんだから、それくらい分かってる……♪」

 

 

ココア「リゼちゃん……えへへ、リゼちゃん大好き♪//」ギュッ

 

 

リゼ「ああ、わたしもだ」ギュッ ナデナデ

 

 

ココア「ん…………」

 

 

 

ココア「甘兎庵もあと10分くらいで開店準備かな」

 

 

リゼ「そういえばその……なんだ……//」

 

 

ココア「?」

 

 

リゼ「ち、千夜やシャロには話したのか?わたしやココア……それにチノのことも//」

 

 

ココア「もちろん、リゼちゃんに告白された日にすぐ千夜ちゃんに報告したよ」フンス

 

 

リゼ「はやっ!?まったく……聞いてるこっちが恥ずかしい……//」

 

 

ココア「千夜ちゃんからは、わたしに『おめでとう』と」

 

 

ココア「よく分からないけどリゼちゃんに、チノちゃんに刺されないように気をつけてって伝えておいて欲しいって」

 

 

リゼ(千夜……ありがとう、肝に命じておくよ)

 

 

リゼ(でも、恐らく大丈夫だ)

 

 

リゼ(わたしは自分の気持ちに嘘を付き、あえて三角関係を選んだ……)

 

 

リゼ(板ばさみでココアを悩ませたくないというのが実際の所だが、チノに泣いてほしくないのも紛れもない本音だ)

 

 

リゼ(チノにはココアが必要だ、年上であるわたしが独り占めしてはいけない)

 

 

リゼ(でも……今日ココアがチノとデートだと考えると、胸の奥がズキンと痛いのは、頭ではわかっていてもまだ割り切れていないせいだろうな)

 

 

リゼ(どうやらわたしは、聖者にはなりきれないみたいだ。たぶんこれからも)

 

 

ココア「シャロちゃんの家もまだ電気が付いてないね」

 

 

ココア「あっ、そういえばシャロちゃんに私たちのことを伝えると、号泣して喜んでくれたよ」

 

 

ココア「リゼちゃんに、お幸せにって伝えておいてほしいって」

 

 

リゼ(学校で会ってもシャロが妙によそよそしかったのはそのせいか……)

 

 

リゼ(それにしてもあいつ、泣くほど喜んでくれてたなんて……今度お礼を言わないとな)

 

 

ココア「いっそのこと、千夜ちゃんとシャロちゃんが上手くいくといいのにね」

 

 

リゼ「ああ、そうしたら3対2の関係だな」

 

 

ココア「……………………」

 

 

リゼ「……?どうしたんだココア?」

 

 

ココア「…リゼちゃん、ごめんね……わたしが優柔不断なせいで……」

 

 

リゼ「……?」

 

 

ココア「わたしのやってることって、どう考えたってチノちゃんとリゼちゃんへの二股だよね…………わたし……」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ポン――ナデナデ

 

 

ココア「あ…………」

 

 

リゼ「気にするな、お前のせいじゃないさ」

 

 

リゼ「お前が優しいのは知ってる……わたしとチノ、どっちも不幸にしたくなかったんだろ」

 

 

ココア「っ……でも」

 

 

リゼ「ココアは一人しかいないんだ、贅沢言わないさ」

 

 

リゼ「お前がこうして笑いかけてくれるだけで、少なくともわたしは満足だ……充分しあわせだよ」

 

 

リゼ「ココア……この町に来てくれて、ありがとう」ギュッ

 

 

ココア「…………!」

 

 

ココア「……ぐすっ、ううっ、うえぇえ………」ポロポロ

 

 

リゼ「お、おい、どうしたんだ?気にするなって言っただろう」

 

 

ココア「違うよ……嬉しくて……しあわせ過ぎて、なんだか涙が出てきて……」

 

 

ココア「わたし、この町に来てよかった……リゼちゃんと、みんなと出会えて良かった……」

 

 

ココア「これからも、ずっと一緒だよ……たとえこの町を離れても、わたし、リゼちゃんのこと絶対離さないから……」

 

 

ココア「だからお願い……リゼちゃんも、わたしのこと離さないで……」ギュッ

 

 

リゼ「…ああ、絶対離さない……」

 

 

リゼ「妹だし――恋人だからな」

 

 

 

ココア「もうお別れなの……?」

 

 

リゼ「日が昇ってきた……魔法のタイムリミットもここまでだ」

 

 

ココア「……魔法なんて、あっという間だね」

 

 

リゼ「だからこそ大切で、楽しいんじゃないか」

 

 

ココア「……うん、そっか、そうだよね」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

ココア「……………………」

 

 

リゼ「…………」

 

 

ココア「…………」

 

 

リゼ「……早く行けよ」

 

 

ココア「あっ……ごめん……」

 

 

リゼ「これ以上いると、もう魔法を解きたく無くなってしまう……現実を潰してでも……」

 

 

ココア「…リゼちゃん…………」

 

 

リゼ「そんな顔お前らしくないぞ、いつもの笑顔に戻ってくれ」

 

 

ココア「……うん」

 

 

リゼ「ほら、チノが帰りを待ってるぞ」

 

 

ココア「うん……♪」

 

 

ココア「じゃあリゼちゃん、またね」

 

 

ココア「また……明日」ニコッ

 

 

リゼ「ああ、ラビットハウスでな」

 

 

ココア「」ブンブン

 

 

リゼ「………………」フリフリ

 

 

ココア「――リゼちゃん!」

 

 

リゼ「!」

 

 

ココア「今度は二人きりで、絶対どこか行こうね!約束だよ!」

 

 

リゼ「……♪」ニコッ

 

 

リゼ「………………ふぅ」

 

 

リゼ「……さぁて、帰るか。いつもの日常に」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――6日後 ラビットハウス――

 

 

リゼ「いらっしゃいませー」

 

 

ココア「チノちゃーん、オリジナルブレンドとミックスサンド!」

 

 

チノ「わかりました」

 

 

ガチャッ

 

 

千夜「こんにちは」

 

 

シャロ「せ、先輩、どうも」

 

 

リゼ「千夜、シャロ、遊びに来たのか」

 

 

千夜「うん、それと報告も兼ねてね」

 

 

リゼ「報告?」

 

 

シャロ「…はうぅ……//」

 

 

リゼ「……そうか、なるほどな」クスッ

 

 

ココア「チノちゃーん、このアメリカンてどのテーブルのお客様?」

 

 

チノ「オーダー取ってきたのココアさんじゃないですか。ちなみにそれはブルーマウンテンです」

 

 

リゼ「悪いな、もう少ししたら店が落ち着くからそこで待っててくれ」

 

 

千夜「はーい」

 

 

シャロ「うぅ……恥ずかしい、帰りたい//」

 

 

ココア「えっと、あっちのお客様がオリジナルで、こっちがモカだから――」アセアセ

 

 

リゼ「こっちだ」

 

 

ココア「あっ……リゼちゃん♪」

 

 

リゼ「……今日のこと、どうなった?」ボソッ

 

 

ココア「うん、チノちゃんは今夜から明日までマヤちゃん家に遊びに行くみたい」ヒソヒソ

 

 

ココア「だから、会いに行くね」

 

 

リゼ「そうか……絶対だぞ、待ってるからな//」

 

 

ココア「えへへ……♪//」

 

 

 

ココア「リゼちゃんのご注文は、ココアですか?//」ニコッ

----------------------

 

end.

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