Spirit   作:藺草影志(OVERBLOOD)

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目次

luterlude 1.「afternoon」

luterlude 2.「evening」

luterlude 3.「alpha」




under film 2「幼」

luterlude 1.「afternoon」

 

――天々座家 AM10時――

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜「…………」ゴクリ

 

 

シャロ「……あの」

 

 

使用人「しっ……お静かに」

 

 

リゼ父「……さて」

 

 

リゼ父「いきなりの招集すまない。今日みんなに集まってもらったのは他でもない」

 

 

リゼ父「――あのことについての作戦会議だ」

 

 

リゼ「千夜もシャロもわかっているだろう」

 

 

シャロ「ええっと……」

 

 

千夜「ええ、まぁ……」

 

 

リゼ父「……そう」カッ

 

 

リゼ「世界で一番!」カッ

 

 

リゼ父&リゼ「大切な日だ!」

 

 

リゼ「親父」グッ

 

 

リゼ父「リゼ」グッ

 

 

シャロ「あの、早く始めませんか……?」

 

 

使用人「お気持ちは分かります、ですがもう少しお付き合いください……」

 

 

 

千夜(だんだんとリゼちゃんが崩壊してきてる)

 

 

リゼ父「みんなには、この候補の中からどれが良いかを一緒に選んでほしい」

 

 

使用人「ずいぶん色々ありますね」

 

 

リゼ「わたしは一番上のやつがいいと思う、使用人やメイドを全員使って街でここあパレード」

 

 

シャロ「街ぐるみ!?一番ダメなやつですそれっ!」

 

 

リゼ父「俺はゲバルト学生と機動隊に分かれてのコスプレサバゲーが良いと思うぞ、あの子を最上階に幽閉していち早く辿り着いたほうの勝ちだ」

 

 

使用人「また屋敷内で撃ち合いするつもりですか!?」

 

 

リゼ「そうだ親父、そんなのダメに決まってるだろう」

 

 

リゼ父「むっ……」

 

 

千夜「リゼちゃん……そうよね、さすがにお祝いでサバゲーは――」

 

 

リゼ「ここあが寂しい思いをするじゃないか!というよりわたしが寂しい」

 

 

千夜「そこなの!?」

 

 

リゼ父「なるほど、確かにな……」

 

 

使用人「納得しないでください!?」

 

 

シャロ(これわたしたち招集されて正解だったわね……)

 

 

リゼ父「ふむ、どうしたものか……」

 

 

リゼ「サバゲーもパレードもダメとなるとな……」

 

 

シャロ「あの、みんなで普通にお祝いしませんか?」

 

 

使用人「その方があの子も喜ぶかと思いますが……」

 

 

千夜「一番下の、サプライズパーティーが一番良いと思いますよ」

 

 

リゼ父「パーティーか……仕方ない、少しつまらないがこれにするか」

 

 

リゼ「ならパーティー中いきなり停電になって赤マントが現れるとかどうだ、親父?」

 

 

リゼ父「面白いな、ワイヤーアクションで華麗に空中から登場させて――」

 

 

シャロ&使用人「普通にしてくださいっ!!」

 

 

リゼ&リゼ父「!?」

 

 

千夜(ここあちゃんのこと大好きで仕方ないのよね)ニコニコ

 

 

リゼ父「そうと決まればさっそく準備だ、まずはタカヒロを呼ぼう」ピッ

 

 

使用人「我々やメイドたちは?」

 

 

リゼ父「お前を含め、料理ができるやつは厨房に集合させろ。他はパーティー会場の大広間を掃除だ」

 

 

使用人「へい、ようがす」

 

 

リゼ父「おっ、もしもし、タカヒロか?」

 

 

リゼ父「ケーキ作るぞケーキ、早くウチに来い、いまから10分以内だ」

 

 

リゼ父「――ビュッシュ・ド・ノエル、現役時代クリスマスによく作っただろう」

 

 

リゼ父「人手が足りないんだ。俺の大事な娘のためだ、来なかったら絶交だぞ」

 

 

リゼ父「よし」ピッ

 

 

シャロ「わたしたちはどうしましょう……?」

 

 

リゼ父「料理は?できるのか?」

 

 

シャロ「お菓子はクッキーくらいでしたら」

 

 

千夜も「専門は和菓子ですけど、ベース作りくらいなら手伝えます」

 

 

リゼ父「そうか、頼もしいな」

 

 

リゼ父「まずは材料を揃える、それまではゆっくりしててくれ」

 

 

千夜「準備が出来たらお手伝いしましょうか」

 

 

リゼ「そういえば、ここあとチノは?」

 

 

シャロ「お二人でしたらさっき――」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

チノ「がおー、ここあさん、たべちゃいますよー」

 

 

ここあ「わぁ!」タタタ

 

 

チノ「まてー、がおーん」

 

 

ここあ「にっげろ~!」

 

 

チノ「ここあさん、あんまり走っちゃダメです。転んでしまいますから」

 

 

ここあ「あっ……」ピタッ

 

 

チノ「――捕まえました」ギュッ

 

 

ここあ「ちのちゃんずるーい!」

 

 

チノ「捕まったここあさんにはもふもふ攻撃ですよ」

 

 

チノ「もふもふっ、もふもふっ」スリスリ

 

 

ここあ「ぁ…えへへ♪」

 

 

ここあ「こっちももふもふかえしだよ」ギュッ

 

 

チノ「わたしも更にもふもふ返しです」

 

 

ここあ「♪」キャッキャッ

 

 

チノ「ふふっ」ニコッ

 

 

 

 

千夜(ほほえま~)ポワーン

 

 

シャロ(可愛い……)

 

 

リゼ(混ざりたい……)ウズウズ

 

 

シャロ「チノちゃんに任せて正解だったわね」

 

 

千夜「ええ、今日一日ここあちゃんのことちゃんと面倒見てくれそう」

 

 

ここあ「あ――リゼちゃん!」

 

 

リゼ「ただいま、ここあ」

 

 

ここあ「りーぜちゃん♪」ギュッ

 

 

リゼ「チノと遊んでたのか」ナデナデ

 

 

ここあ「うん、おにごっこしてたの」ニヘラ

 

 

リゼ「そうか、転ばないように気を付けてな」

 

 

ここあ「うん!りぜちゃんもいっしょにあそぼっ」

 

 

リゼ「そうしたいんだけど、ごめんな。今日は用事があるんだ」

 

 

ここあ「ようじ?ちやちゃんも、しゃろちゃんも?」

 

 

リゼ「しばらくチノと二人で遊んでてくれるか?」

 

 

ここあ「わかった、ようじがおわったらみんなであそぼうね」

 

 

リゼ「ああ、約束だ」ヒョイ

 

 

ここあ「わわっ……」

 

 

リゼ「待っていろよ、きっと驚くぞ」スリスリ

 

 

ここあ「ふぇ?」

 

 

リゼ「用事まであと少しあるんだ、それまでみんなで遊ぼうか」

 

 

ここあ「ほんと!じゃあね、おそとであそびたい!」

 

 

リゼ「いいぞ、おにごっこか?」

 

 

ここあ「ううん、じてんしゃのれんしゅうするの」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

チノ「自転車……?」

 

 

千夜シャロ「?」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――裏庭 物置――

 

 

ここあ「このまえおるすばんしているときに、ゆうしゃさんとみつけたんだよ」

 

 

リゼ「小さい頃わたしが乗っていた自転車、まだ捨ててなかったのか」

 

 

ここあ「これにのれるようになりたい」

 

 

千夜「でもこの自転車、補助輪が付いてないわね」

 

 

シャロ「初めてでいきなり難しくない?せめてコマ付きとか三輪車とか」

 

 

チノ「ここあさんにとっては少し大きいようですし……」

 

 

リゼ「サドルを目一杯下げればなんとかならないか?」

 

 

千夜「少し錆びてるわ……んっ」クルクル

 

 

シャロ「これでもやっぱり高いですね」

 

 

チノ「足がつきにくいとなると、余計難しいでしょうし……」

 

 

ここあ「だめ?」

 

 

リゼ「ここあ、今度新しく小さいのを買ってあげるから、それじゃあ嫌か?」

 

 

ここあ「……ううん」

 

 

ここあ「…………」シュン

 

 

千夜「ここあちゃん……」

 

 

シャロ「……ここあ?」スッ

 

 

ここあ「しゃろちゃん……?」

 

 

シャロ「素直に言っていいのよ?ねっ?」ナデナデ

 

 

ここあ「……でも」

 

 

チノ「大丈夫です、怒ったりしませんから」

 

 

ここあ「…………」

 

 

ここあ「……これが、いい」

 

 

ここあ「りぜちゃんのじてんしゃに、のりたい……」

 

 

リゼ「ここあ……」

 

 

ここあ「とちゅうでやめたりしないから、いっぱいがんばるから、だめ……?」

 

 

シャロ「……ううん。そんなことないわ」

 

 

チノ「ここあさんなら必ず乗れるようになります」

 

 

千夜「一緒に頑張りましょう」ニコッ

 

 

ここあ「……りぜちゃん?」

 

 

リゼ「………………」

 

 

シャロ「リゼ先輩……」

 

 

リゼ「わたしは、できればここあに、危険な目にあってほしくない」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「……でも、ここあが頑張りたいのなら、応援する」

 

 

ここあ「!」

 

 

リゼ「チノ、わたしたちは途中で抜けなきゃいけないが、ここあのことよろしく頼む」

 

 

チノ「は、はい、わたしも乗れないのであまり役に立てませんが……」

 

 

リゼ「ここあ、無理して大怪我しないようにな?約束だぞ?」ナデナデ

 

 

ここあ「うん!」

 

 

千夜(ここあちゃんの本音が聞けて嬉しかったのよね、リゼちゃん)

 

 

 

 

チノ「ここあさん、準備はいいですか?」

 

 

ここあ「んっ!いいよ」

 

 

チノ「まずは地面を蹴って進んでみてください」

 

 

ここあ「こう?」

 

 

チノ「いいですよ、目線は前を見たままです」

 

 

ここあ「えいっ、ふっ……」

 

 

千夜「出だし好調ね」

 

 

シャロ「まずはバランス感覚から身に付けないと」

 

 

リゼ「うぅ……大丈夫かな……」ハラハラ

 

 

ここあ「ちのちゃんみてー!」

 

 

チノ「ここあさん、前を見ないと危ないです。身体でバランスを取って」

 

 

ここあ「うん――わっ…!あ――」グラッ

 

 

チノ「!?」

 

 

ここあ「ひゃうっ!」ガシャッ

 

 

千夜「ここあちゃん!」

 

 

シャロ「大丈夫!?」

 

 

ここあ「んっ、へいきだよ……」ニコッ

 

 

チノ「やはり足がつきにくいから……」

 

 

 

リゼ「ここあぁっ!!」

 

 

 

千夜「!?」ビクッ

 

 

リゼ「っ!」ガシッ

 

 

ここあ「きゃっ……」

 

 

リゼ「大丈夫か!?怪我してないか!?ああ…わたしのここあが!誰か救急箱を!確か玄関の戸棚辺りに!」

 

 

シャロ「リゼ先輩落ち着いてください!」アセアセ

 

 

千夜「まずは深呼吸しましょう、ねっ?」

 

 

リゼ「スー……ハー……」

 

 

リゼ「……ふぅ……すまない、取り乱した」

 

 

千夜「ホッ……」

 

 

チノ「ここあさん、どこも怪我してませんか?」

 

 

ここあ「ごめんなさいちのちゃん、こんどはよそみしないね」

 

 

チノ「いえ、ここあさんが無事なら別に……」

 

 

リゼ「まだやるのか?また転んだら危ないしもう辞めないか?」

 

 

ここあ「ううん、のれるようになるまでがんばる!」

 

 

シャロ「偉いわここあ、その意気よ。まずは自転車起こしましょう」

 

 

千夜「みんなで応援するって約束したでしょ?リゼちゃん」ヒソッ

 

 

リゼ「うっ……それは……でも……」

 

 

リゼ「あぁ……ここあ……」オロオロ

 

 

 

 

チノ「そのまま少しペダルを漕いで、転ぶ前に足をついてください」

 

 

ここあ「こ、こう?」

 

 

チノ「足を離してすぐにペダルを漕ぐ感覚です」

 

 

ここあ「んっしょ……」フラフラ

 

 

チノ「あっ、無理しないでゆっくり――」

 

 

ここあ「きゃっ!」ガシャッ

 

 

チノ「!?」

 

 

ここあ「いつっ…ぅ……」

 

 

チノ「ここあさん……!」

 

 

リゼ「ここあっ!?ダメだ!やっぱり自転車の練習なんてまだ早い!」

 

 

千夜「リゼちゃん落ち着いて、大丈夫だから」ガシッ

 

 

リゼ「千夜、離せ!これ以上ここあが苦しむくらいなら、わたしは約束なんて破棄してでも――!」

 

 

シャロ「転ぶごとにリゼ先輩がこの調子だと、練習が進まないわ……」

 

 

リゼ「ここあ、もう自転車なんて辞めよう、頼むから危ない真似しないでくれ」

 

 

ここあ「りぜちゃん……でも、わたし……」

 

 

使用人「お待たせしました、用意ができましたので集合してください」

 

 

千夜「ほらリゼちゃん、わたしたちは準備に取り掛かりましょう」ズルズル

 

 

シャロ「チノちゃん、あとはここあのことお願いね。リゼ先輩行きましょう」ズルズル

 

 

ハナセ~!ココアー! マタドウサレタンデス オジョウハ……

 

 

 

チノ「連行されてしまいましたね、リゼさん……」

 

 

ここあ「………………」シュン

 

 

チノ「ここあさん……」

 

 

チノ「…………」グッ

 

 

チノ「……ここあさん?」スッ

 

 

ここあ「ちのちゃん……」

 

 

チノ「自転車、乗れるようになりたいですか?」

 

 

ここあ「……うん」コクリ

 

 

チノ「そうですか……なら、まだ二人で頑張りましょう」

 

 

ここあ「でも、さっきりぜちゃんが……」

 

 

チノ「大丈夫です、きっとリゼさんだって、本当はここあさんに乗れるようになってもらいたいはずです」

 

 

チノ「二人でこっそり練習して、サプライズしましょう」シーッ

 

 

ここあ「!」

 

 

ここあ「……りぜちゃん、よろこんでくれるかな?」

 

 

チノ「もちろんです、リゼさんも千夜さんもシャロさんも、みんな笑顔になってくれますよ」

 

 

ここあ「……!」

 

 

ここあ「がんばるっ!ちのちゃん、もういっかいおしえて?」

 

 

チノ「いいですよ。ここあさんが乗れるようになるまで、何度でも」クスッ

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――厨房――

 

 

シャロ「ベースのスポンジ、できました!」

 

 

リゼ父「いい焼き上がりだ、なかなか使えるな」

 

 

シャロ「あ、ありがとうございます」

 

 

リゼ父「タカヒロ、クリームはできたか?」

 

 

タカヒロ「ああ、今回は隠し味にレモン果汁を入れてみた」

 

 

リゼ父「バタークリームは?」

 

 

タカヒロ「使っていない、日持ちさせる必要も無いから味が優先だ」

 

 

リゼ父「どれ……」パクッ

 

 

リゼ父「……なるほど、甘さも控えめでちょうどいいな」

 

 

リゼ父「デコレーションの際に形が崩れやすいから気を付けろ」

 

 

タカヒロ「任せろ、そんなミスはしない」

 

 

リゼ父「おいメイド、デコレーションのメッセージチョコを作っておけ。テンパリングは丁寧にゆっくりだ」

 

 

千夜「リゼちゃんのお父さん、料理もできるのね」ヒソッ

 

 

リゼ「ああ、今でも誕生日は手作りケーキを作ってくれたりするしな」

 

 

千夜「優しいし楽しいし、料理もできて良いお父さんね」ニコッ

 

 

リゼ「……まぁな//」プイッ

 

 

千夜「ふふっ……あっ、使用人さん、卵は一気に投入しちゃダメです」

 

 

使用人「へっ?あっ、す、すいません」

 

 

千夜「万が一イタんでいたりすると全部ダメになってしまいますから。こうしてお椀に入れて、一つ一つ確認して」

 

 

使用人「なるほど……勉強になります」

 

 

千夜「あと、ホイップもこうして少し斜めに傾けて、丁寧に素早く」

 

 

使用人「こうですか?」シャカシャカ

 

 

千夜「もう少し、こうです」ギュッ

 

 

使用人「……!//」

 

 

千夜「これでかき混ぜてみてください?」

 

 

使用人「……」シャカシャカ

 

 

千夜「とっても良くなりましたよ」ニコッ

 

 

使用人「あ、ありがとうごぜぇます……//」

 

 

リゼ「……ここあよりも千夜か?」

 

 

使用人「っ!?いえ、そんなつもりは……!」

 

 

千夜「意外と甘えたがりやさんですか?」クスッ

 

 

使用人「……っ//」シャカシャカ

 

 

シャロ「チョコスポンジ、焼きあがりました」

 

 

リゼ父「いま手が離せないな。カット、任せていいか?」

 

 

シャロ「はい、横3等分ですね」

 

 

マヤ「リゼー?これもっとかき混ぜる?」

 

 

メグ「あわあわになっちゃったよぉ」

 

 

リゼ「かき混ぜすぎだ!?もういい、お前たちは盛り付けのほうをしてくれ」

 

 

メグ「マヤちゃん、盛り付けだって」

 

 

マヤ「この丸太みたいなヘンテコなケーキなに?」

 

 

リゼ「ビュッシュ・ド・ノエルだ。本来はクリスマスケーキなんだがな」

 

 

メグ「変な名前だねぇ」

 

 

マヤ「名前はともかく味はいけるよ!」モグモグ

 

 

リゼ「食べるな!?」

 

 

千夜「使用人さん、ハチミツありますか?」

 

 

使用人「確かお砂糖の隣に――」

 

 

シャロ「イチゴをスライスしてから生クリームを塗って……」

 

 

 

ガヤガヤ ワイワイ

 

 

タカヒロ「…………」

 

 

リゼ父「んっ、タカヒロ、どうした?」

 

 

タカヒロ「いや……」

 

 

リゼ父「……?」

 

 

タカヒロ「……楽しいな」

 

 

リゼ父「!」

 

 

リゼ父「……ああ」

 

 

タカヒロ「これが終わったら、夕食作りか」

 

 

リゼ父「最後まで手伝ってもらうぞ?」

 

 

タカヒロ「当然だ、ここあくんのためだからな」

 

 

リゼ父「楽しいからじゃないのか?」

 

 

タカヒロ「……」フッ

 

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「リゼちゃん、どうしたの?」

 

 

リゼ「……ここあ、大丈夫かな」

 

 

千夜「ええ、チノちゃんが付いてるから」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

ここあ「……!」

 

 

チノ(まだ重心がフラフラしてる……)

 

 

チノ(これでもう7回目……さっき腕も擦りむいたようだし……)

 

 

チノ(やっぱり……自転車に乗れないわたしでは上手く教えることなんて――)

 

 

ここあ「ひゃ……!」グラッ

 

 

――ガシャッ!

 

 

チノ「っ!?ここあさん……!」

 

 

ここあ「うっ……いつ……っ」

 

 

チノ「大丈夫ですか……!」

 

 

ここあ「…………」ウルッ

 

 

チノ「あ……」

 

 

ここあ「っく……うっ……」グスグス

 

 

チノ「ここあさん……」

 

 

ここあ「ぐすっ……ぅぐ……」ジワッ

 

 

チノ(今度は膝から血が出てる……いますぐに止めさせないと……でも)

 

 

チノ「………………」

 

 

 

『二人でこっそり練習して、サプライズしましょう』シーッ

 

 

 

チノ「っ……」

 

 

チノ(……ココアさん……わたし、お姉ちゃんとして、どうしてあげたら良いですか……?)

 

 

チノ(ココアさんなら………)

 

 

チノ「………………」

 

 

チノ「…………」

 

 

チノ「……っ」グッ

 

 

ここあ「うぇ……」ポロポロ

 

 

チノ「……ここあさん」スッ

 

 

チノ「痛かったですね……よしよし」ナデナデ

 

 

ここあ「ちのちゃん……」グスッ

 

 

チノ「消毒と絆創膏だけでも貼っておきましょう」

 

 

ここあ「……ごめんね」

 

 

ここあ「わたし……ぜんぜんできなくて……」ジワッ

 

 

ここあ「せっかく、ちのちゃんがおしえてくれてるのに……」ポロポロ

 

 

チノ「いいんですよ、そんなの……」ギュッ

 

 

チノ「だって、わたしも本当は――」

 

 

 

シャロ「――チノちゃん?ここあ?」

 

 

 

チノ「シャロさん……」

 

 

シャロ「どう、練習の方は?」

 

 

チノ「シャロさん、ここあさんのことお願いします」

 

 

シャロ「えっ?」

 

 

チノ「少し待っててください、すぐに戻りますから」タタタ

 

 

ここあ「ちのちゃん……?」

 

 

 

 

チノ「お待たせしました……」ハァハァ

 

 

シャロ「それ……チノちゃんの自転車……?」

 

 

チノ「ここあさん……見ていてください」スッ

 

 

チノ「ふっ……」フラフラ

 

 

グラッ……――ガシャン!

 

 

ここあ「!?」

 

 

シャロ「チノちゃんっ!」

 

 

チノ「うぅ……」

 

 

シャロ「大丈夫!?」

 

 

ここあ「ちのちゃん……!」タタタ

 

 

チノ「……ここあさん」

 

 

チノ「実はわたしも……自転車乗れないんです」

 

 

ここあ「……!」

 

 

チノ「隠しててごめんなさい、ここあさんに知られるのが嫌で、黙ってました」

 

 

チノ「……わたしも、ここあさんと同じなんです」

 

 

チノ「何度練習しても、全然上手く乗れなくて……」

 

 

ここあ「ちのちゃんも……?」

 

 

チノ「はい、でもわたしは諦めません」

 

 

チノ「何度転んでも、乗れるようになるまで」

 

 

チノ「痛くても、辛くても、みんなでサイクリングに行こうって――お姉ちゃんと、約束したから」

 

 

ここあ「……!」

 

 

チノ「わたしもがんばります。でも、一人だと……」

 

 

チノ「だから……ここあさん。わたしと一緒に、練習してくれませんか?」スッ

 

 

シャロ「チノちゃん……」

 

 

ここあ「…………」

 

 

チノ「…………」

 

 

ここあ「……っ」

 

 

――ギュッ

 

 

チノ「……!」

 

 

ここあ「うん……」

 

 

ここあ「ちのちゃん……いっしょにがんばろう」ニコッ

 

 

チノ「――はい」ニコッ

 

 

シャロ「…………」クスッ

 

 

チノ「シャロさん、お願いします」

 

 

シャロ「ええ、二人が乗れるようになるまで、ずっと見守るわ」

 

 

チノ「ここあさん、どっちが先に乗れるようになるか競争です」

 

 

ここあ「まけないよ!」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

千夜「…………」マドノソト チラッ

 

 

リゼ「シャロ、戻ってこないな。何かあったのか……」

 

 

千夜「ううん……きっと大丈夫よ」

 

 

千夜「みんな頑張ってるわ、わたしたちも頑張りましょう」

 

 

タカヒロ「ローストビーフが焼けた。リゼくん、あとは任せていいかい?」

 

 

リゼ「スライスですね、刃物の扱いなら」シャキン

 

 

マヤ「鬼軍曹、これはどこに?」

 

 

リゼ父「レタスのひいてあるプレートに乗せてくれ」

 

 

メグ「これは~?」

 

 

使用人「それはキウイですのでこっちのお皿ですね」

 

 

タカヒロ「次は揚げ物……これで最後かな」

 

 

千夜「お疲れ様です、チノちゃんのお父さん」

 

 

タカヒロ「千夜くん、キッチンペーパーを頼むよ」キラン

 

 

千夜「はい」ニコッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

シャロ「ここあ、その調子よ!」

 

 

ここあ「んっ……!」

 

 

シャロ「ハンドルは真っ直ぐに、止まる時はゆっくりとバランスを崩さないように!」

 

 

ここあ「こう……!」キュ

 

 

シャロ「上手いわ、乗れるようになったわね」

 

 

ここあ「ほんと!やったぁ!」

 

 

チノ「ここあさん……!」

 

 

ここあ「ちのちゃんみて!もうころばないよ!」

 

 

ここあ「えいっ」キュ

 

 

チノ「頑張りましたね、ちゃんと乗れていますよ」ギュッ

 

 

ここあ「ちのちゃんとしゃろちゃんのおかげだよ」

 

 

チノ「ここあさんが最後まであきらめずにがんばったからです」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……♪」

 

 

ここあ「ちのちゃんは?のれるようになった?」

 

 

チノ「いえ、わたしはまだ……もう少し練習しないとダメみたいです」

 

 

ここあ「そっか……」シュン

 

 

チノ「今度練習するときは、ここあさんがわたしに教えてください」

 

 

ここあ「いいよ、いっしょにがんばろう♪」

 

 

シャロ「二人とも傷だらけね、とりあえず先に手当てしましょう」

 

 

チノ「シャロさん、ありがとうございます。おかげさまで助かりました」

 

 

シャロ「わたしはなにも。チノちゃんこそ、こんなに擦りむいて」

 

 

チノ「……もしココアさんだったら……わたしが転んで泣いていたら、こうしてくれる気がして」

 

 

シャロ「……そう」

 

 

シャロ「チノちゃんはもう、立派なここあのお姉ちゃんね」

 

 

チノ「いえ、まだです。わたしの目標は……もっと」

 

 

シャロ「………………」

 

 

チノ「自転車……結局ここあさんにも越されてしまいましたね」

 

 

シャロ「大丈夫、今度の練習も付き合うわ。みんなで頑張りましょう」

 

 

チノ「はい」クスッ

 

 

ここあ「りぜちゃん……ほめてくれるかな」

 

 

千夜「チノちゃん、ここあちゃん、シャロちゃん」スッ

 

 

シャロ「千夜?」

 

 

千夜「準備できたわ、ご飯にしましょう」

 

 

ここあ「千夜ちゃん!」タタタ

 

 

千夜「ここあちゃん、お疲れ様。お腹すいたでしょ?」

 

 

ここあ「あのね、じてんしゃ、のれるようになったよ!」

 

 

千夜「ほんと!すごいわ、よくがんばったわね」ナデナデ

 

 

ここあ「えへへ……//」

 

 

シャロ「ここあ、先に手当てしないと。千夜、袖巻くって」

 

 

千夜「こんなにいっぱい……たくさん頑張った証ね」

 

 

千夜「チノちゃんも、お疲れ様」

 

 

チノ「あの……」

 

 

千夜「みんな用意して待ってるわ。シャロちゃんと二人で先に行ってるから、チノちゃんはここあちゃんと後でゆっくりきて?」コソッ

 

 

チノ「わかりました」

 

 

シャロ「ここあ、喜んでくれるといいわね」ヒソヒソ

 

 

千夜「きっと笑顔になってくれるわ」ヒソヒソ

 

 

 

チノ「さて……ここあさん、行きましょうか」

 

 

ここあ「りぜちゃん、まってくれてる?」

 

 

チノ「はい。リゼさんも、父も、リゼさんのお父さんも、使用人さんも、マヤさんもメグさんも」

 

 

チノ「――みんな、ここあさんのことを待ってます」ニコッ

----------------------

 

luterlude 2.「evening」

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「ここあさん、こっちです」

 

 

ここあ「ふぉぇ?しょくどうは2かいだよ?」

 

 

チノ「今夜は人数が多いから大広間で食べるそうです」

 

 

ここあ「おおひろま?」

 

 

チノ「こっちです」

 

 

ここあ「みんないる?りぜちゃんも?」

 

 

チノ「みんないますよ」クスッ

 

 

 

 

チノ「到着です」

 

 

ここあ「ここ?」

 

 

チノ「開けてみてください」

 

 

ここあ「んっしょ……」ギギィ

 

 

ここあ「わっ……まっくらだよ」

 

 

チノ「おかしいですね、どうして……」

 

 

カチャッ! パッ!

 

 

 

ここあ「!」

 

 

シャロ「ようこそ宴へ~!!//」

 

 

ここあ「あっ、しゃろちゃんだ!」

 

 

チノ「ハイテンション状態です……」

 

 

――ポンッ

 

 

ここあ&チノ「っ!?」ビクッ

 

 

キグルミ「」

 

 

チノ「誰!?」

 

 

キグルミ「…………」グッ

 

 

ここあ「おとうさん?」

 

 

リゼ父「いや、俺はここだ」キグルミ

 

 

チノ「!?」

 

 

タカヒロ「悪いね、ここあくん、チノ」キグルミ

 

 

チノ「父まで!?どうしてみんな着ぐるみなんですか!」

 

 

タカヒロ「われわれの秘密を知られたから……ここで消えてもらおう」ジャキッ

 

 

ここあ「ふぉーます?」

 

 

チノ「サバゲーはボツだって言ったじゃないですか!それとリゼさんここあさんに銃の種類なんて教えちゃダメです!」

 

 

リゼ父「言い残すことはそれだけか?」ジャキッ

 

 

チノ「話を聞いてください!」

 

 

キグルミ「ふっふっふ……そうはいかないわ」

 

 

チノ「!?」

 

 

ここあ「ちやちゃん?」

 

 

千夜「その通り!」バッ

 

 

マヤ「チノとここあは!」サッ

 

 

メグ「わたしたち千マメ隊が!」サッ

 

 

千マメ隊「守るわ!!」

 

 

リゼ父「千マメ隊……やはり現れたか」

 

 

ここあ「まやちゃんとめぐちゃんだ!」

 

 

チノ「お二人まで!?」

 

 

マヤ「チノ、ここあ、下がってなよ」

 

 

メグ「ここはわたしたち千マメ隊に任せて~」

 

 

タカヒロ「無駄な抵抗を……これでフィナーレだよ」ジャキッ

 

 

千夜「そうはいかない!」サッ

 

 

マヤ「発砲許可!うてぇ!」

 

 

メグ「うて~♪」

 

 

リゼ父「がは……っ!!」

 

 

タカヒロ「うっ……」バタリ

 

 

千夜「やったわ!」

 

 

ここあ「おとうさん、だいじょうぶ?」

 

 

リゼ父「お、お前……敵役である俺のことを……」グスッ

 

 

タカヒロ「セリフに無いことを言うな」

 

 

リゼ父「おっと……くっ……」バタリ

 

 

ここあ「おとうさん!」

 

 

チノ「心配無用ですここあさん、ただの茶番ですから……」

 

 

タカヒロ「……なんてな」

 

 

リゼ父「隙アリだ」

 

 

ドガドガドガッ!

 

 

千夜「きゃっ!」

 

 

マヤ「うわっ!」

 

 

メグ「ひぅ!」

 

 

千夜「うっ……やられたわ」バタリ

 

 

チノ「味方側がやられないでください!?ここあさんに見せる劇なのに黒すぎます!」

 

 

ドガッ! ドガッ!

 

 

リゼ父「がっ……!」

 

 

タカヒロ「っ……!?」

 

 

使用人「ちいせぇお嬢!ご無事ですか!?」

 

 

ここあ「ゆうしゃさん!」

 

 

チノ「今回だけは本物のゆうしゃみたいです……」

 

 

使用人「ここは危険です、すぐ逃げましょう!」

 

 

タカヒロ「俺一人で……死ぬと思うか……」

 

 

ドガッ!

 

 

使用人「ぐはぁ!」

 

 

ここあ「!?」

 

 

チノ「これ以上犠牲者を増やさないでください!登場キャラ全滅じゃないですか!」

 

 

使用人「ごほっ……ちいせぇお嬢、逃げてください……!」

 

 

ここあ「いやだよ!ゆうしゃさんしんじゃだめ……っ!」ギュッ

 

 

タカヒロ「お前たちも一緒につれていく……」ジャキッ

 

 

チノ「ここあさん……!」

 

 

――ドガッ!

 

 

??「――ふっ!」ビュッ

 

 

ここあ「!」

 

 

タカヒロ「ここまでか……ふっ……」バタリ

 

 

??「……間に合ったな」

 

 

チノ「……!」

 

 

ここあ「りぜちゃん!」

 

 

リゼ「ここあ、無事か?」

 

 

ここあ「うん、でもちやちゃんが!めぐちゃんもまやちゃんもゆうしゃさんも!」

 

 

リゼ「大丈夫だ、あれはお芝居だからな」

 

 

ここあ「えっ?」

 

 

千夜「ふぅ~楽しかったわ」

 

 

マヤ「ちぇ~やられるヒーロー役なんてかっこわるい」

 

 

メグ「今度は3人で敵役やりたいね」

 

 

リゼ父「なかなか迫真の演技だったぞ、タカヒロ」

 

 

タカヒロ「お前の用意した血のりのせいでここあくんが本気にしてしまった」

 

 

使用人「ご安心ください。みんな無傷ですよ、ほら」

 

 

ここあ「よかったぁ……」ホッ

 

 

リゼ「少し派手にやり過ぎたな、ごめんなここあ」

 

 

ここあ「ううん、へいきだよ」

 

 

 

シャロ「劇は終わりましたかぁ?ではこれより、ここあ誕生パーティーをはじめま~すっ!!//」

 

 

 

ここあ「たんじょう……ぱーてぃー?」

 

 

リゼ「ああ、今日はここあの誕生日だぞ」

 

 

ここあ「たんじょうび……?わたしの?」

 

 

リゼ「お祝いするためにみんな集まってくれたんだ。ごちそうも、ほら」

 

 

ここあ「わぁ……!」キラキラ

 

 

千夜「ここあちゃん、お誕生日おめでとう」

 

 

チノ「おめでとうございます、ここあさん」

 

 

ここあ「ちのちゃん、ちやちゃん……」

 

 

リゼ「どうだ、ここあ?サプライズ成功か?」

 

 

ここあ「うん……//」ギュッ

 

 

ここあ「リゼちゃん、みんな、ありがとう。――だいすき//」ニコッ

 

 

リゼ「……!ここあ、ここあ~っ!」スリスリ

 

 

ここあ「りぜちゃんだめぇ」キャッキャッ

 

 

リゼ「今日一日我慢した分たくさんもふもふするぞ!」

 

 

使用人「お嬢、それはパーティーが終わった後にでも」ガシッ

 

 

マヤ「早く食べよう、お腹すいた!」

 

 

メグ「マヤちゃんたくさんつまみ食いしてたのに変だね」

 

 

チノ「千夜さん、こんな仕掛けがあるなら事前に教えてください」アセアセ

 

 

千夜「ごめんなさい、チノちゃんにもサプライズしたくて」クスッ

 

 

ガヤガヤ ワイワイ

 

 

タカヒロ「みんなの時間に水をさすのも野暮だ、俺たちは別室にいこうか」

 

 

リゼ父「ああ、ローストビーフでも皿に盛って俺の部屋で酒でも――」

 

 

タカヒロ「んっ……?」

 

 

リゼ父「殺気……?」

 

 

 

シャロ「みんなでサバゲーしてたの!?わたしもするーっ!!//」ジャキッ

 

 

 

チノ「」

 

 

使用人「あれはドラムマガジン式の機関銃、ストーナー63……」

 

 

千夜「マズいわ、ハイテンションシャロちゃんと取扱注意品のブレンドは危険よ……!」

 

 

リゼ「ここあ、とりあえず逃げるぞ!退却っ!!」

 

 

ここあ「わわっ」

 

 

 

シャロ「まてまて~!」ガロロロロロ!

 

 

 

タカヒロ「地獄絵図だな……」

 

 

リゼ父「ローストビーフは確保したし、逃げるか」

 

 

 

マヤ「シャロが敵をかく乱しているうちに!」モグモグ

 

 

メグ「争奪戦のビッフェみたいだね」モグモグ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

チノ「これがチーズタッカルビですか……」

 

 

メグ「チーズがよく伸びるね~キリが無いよ」

 

 

マヤ「トングで切ったほうが早くね?」

 

 

 

シャロ「ち、千夜、これなにかしら?」

 

 

千夜「これはキャビアね、確か10グラムで1万円近く――」

 

 

シャロ「この量で!?人間の食べるものじゃないわ!」

 

 

千夜「こんな機会でもないと食べられないし、遠慮なく頂きましょう」パクッ

 

 

シャロ「バチが当たるわ、絶対……」ガクガク

 

 

 

使用人(床に付いた血のり、なかなか取れないな……)ゴシゴシ

 

 

リゼ「――ほら」スッ

 

 

使用人「!……お嬢」

 

 

リゼ「先に食べよう、後片付けはみんなですればいい」

 

 

使用人「いや、でもあっしは……」

 

 

ここあ「ゆうしゃさん、このえびふらいおいしいよ、あーん」

 

 

使用人「えっ!あの……えと」

 

 

リゼ「今回だけは許してやる……」

 

 

使用人(ありがとう、なのか……?)

 

 

使用人「で、では……あーん……」

 

 

ここあ「どう?おいしい?」

 

 

使用人「……はい、とても」モグモグ

 

 

ここあ「よかったぁ♪あっちでいっしょにたべよっ」グイッ

 

 

使用人「あっ、待ってください……!」

 

 

リゼ「…………」クスッ

 

 

千夜「リゼちゃん?」

 

 

リゼ「ん?千夜……」

 

 

千夜「サプライズ、大成功ね」

 

 

リゼ「ああ、みんなのおかげだ」

 

 

千夜「ここあちゃんもチノちゃんも頑張ってたわ、あとでお話聞いてあげて」

 

 

リゼ「きっとここあが話してくれるさ、チノにもお礼を言わないとな」

 

 

 

 

ここあ「リゼちゃん、あのじゅーすとってー?」

 

 

リゼ「これはスムージーだぞ、ほら」

 

 

ここあ「んっ……おいしい」ニコッ

 

 

リゼ「お腹いっぱい食べるんだぞ」ナデナデ

 

 

ここあ「そうだ!リゼちゃん、わたしじてんしゃのれるようになったよ!」

 

 

リゼ「本当か!やったな!」

 

 

ここあ「ちのちゃんといっしょにたくさんれんしゅうしたんだよ、しゃろちゃんもてつだってくれたの」

 

 

リゼ「ちゃんと最後まで頑張ったんだな、偉いぞ」

 

 

ここあ「りぜちゃんうれしい?よろこんでくれた?」

 

 

リゼ「ああ」ヒョイ

 

 

リゼ「今日でまたひとつ、お姉ちゃんになったな」ギュッ

 

 

ここあ「んっ……♪」

 

 

リゼ「もうこうして抱っこするのはやめたほうがいいか?」

 

 

ここあ「ううん……だめ」ギュッ

 

 

ここあ「りぜちゃんにだっこされるの、すきだから……」スリスリ

 

 

リゼ「…………」

 

 

ここあ「これからも、たくさんだっこしてくれる?」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

リゼ「ここあに嫌だって言われる時まで、ずっと……ずっと」ギュッ

 

 

ここあ「えへへ、りぜちゃん……//」ギュッ

 

 

リゼ「ここあ……」

 

 

リゼ「――お誕生日、おめでとう」

 

 

 

チノ「………………」

 

 

マヤ「チノー?どうした?」

 

 

チノ「あ……いえ」

 

 

チノ「わたしも、ここあさんのこと……ああして……」

 

 

メグ「それなら、まずは筋トレだね」ヒソッ

 

 

チノ「メグさん……」

 

 

メグ「抱っこって意外と大変らしいよ」

 

 

チノ「……分かりました、明日から毎日ダンベルです」フンス

 

 

マヤ「でもチノがムキムキになったら絵面的にヤバくない?」

 

 

メグ「あっ……」

 

 

マヤ&メグ「………………」

 

 

チノ「帰ったらさっそく物置を探しましょう」

 

 

マヤ「チノ、ストップ!」

 

 

メグ「チノちゃんは今のままでいいから~!」

 

 

 

シャロ「このスープなら問題ないわね……」ズズッ

 

 

千夜「シャロちゃん、それフカヒレスープよ」

 

 

シャロ「!?」ブフッ!

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――おまけ――

 

 

リゼ父「今日は、ご苦労だったな」トクトク

 

 

タカヒロ「ここあくんやみんなのためだ、なんてことないさ」トクトク

 

 

リゼ父&タカヒロ「――乾杯」

 

 

リゼ父「……ふぅ」

 

 

タカヒロ「いいワインだな」

 

 

リゼ父「20年もののヴィンテージだ」

 

 

タカヒロ「ほう……」

 

 

リゼ父「……しかし、タカヒロ」

 

 

タカヒロ「ん?」

 

 

リゼ父「お前の料理の味は、相変わらず最高だな」

 

 

タカヒロ「ふっ……褒めても何も出ないぞ」

 

 

リゼ父「ウチに来ないか?戦友よしみですぐに料理長にしてやるぞ」

 

 

タカヒロ「お断りしよう、俺にはラビットハウスがある」

 

 

リゼ父「……そうだろうな」

 

 

タカヒロ「………………」

 

 

タカヒロ「食べたくなったら、ウチに来い」

 

 

リゼ父「いいのか?」

 

 

タカヒロ「戦友よしみだ、暇ならバーで作ってやる」

 

 

リゼ父「………………」

 

 

リゼ父「確か87年のラトュールがあったな」

 

 

タカヒロ「いいのか、そんな高い酒」

 

 

リゼ父「今日のお礼と貸しだ」ドンッ

 

 

タカヒロ「……」キュポッ

 

 

リゼ父「また、娘を連れていつでも来てくれ」トクトク

 

 

タカヒロ「……ああ」トクトク

 

 

リゼ父&タカヒロ「……乾杯」カンッ!

----------------------

 

luterlude 3.「alpha」

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

――PM10:00 リゼの部屋――

 

 

リゼ「――ああ、乗れるようになったって喜んでたよ、チノのおかげだ」

 

 

リゼ「怪我の方大丈夫か?シャロがずいぶん転んでたって言ってたけど……」

 

 

リゼ「――そうか、明日は無理しなくていいぞ。わたしとここあに任せろ」

 

 

リゼ「プレゼントもありがとう、喜んでたぞ」

 

 

リゼ「――わたしも楽しかった、また来年もできるといいな」

 

 

リゼ「そろそろ寝るか?」

 

 

リゼ「――おやすみ、チノ。明日もよろしくな」

 

 

プチッ

 

 

リゼ「ふぅ……」

 

 

ここあ「りぜちゃん、ちのちゃんなんていってた?」

 

 

リゼ「んっ?ここあのこと、たくさん褒めてたぞ」

 

 

ここあ「ほんと?でも、いちどだけ ないちゃった……」シュン

 

 

 

リゼ「仕方ないよ、転んで痛かったもんな」

 

 

リゼ「よっと」ヒョイ

 

 

ここあ「わわっ……」

 

 

リゼ「少しじっとしてろよ」

 

 

ここあ「?」

 

 

リゼ「浴室でも見たけど……やっぱり青くなってるな」

 

 

リゼ「ここも痣になってるし」

 

 

ここあ「いっぱいころんじゃったから」

 

 

リゼ「痛くないか?」

 

 

ここあ「うん、もうへいき!」

 

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

 

ここあ「りぜちゃん?だいじょうぶだよ?」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

リゼ「頑張ったんだな……本当に」

 

 

ここあ「だからのれるようになったよ」エッヘン

 

 

リゼ「そんなに乗りたかったのか?自転車に?」

 

 

ここあ「うん!だってじてんしゃにのれるようになったらね、りぜちゃんのことがっこうまでむかえにいけるから」

 

 

リゼ「!」

 

 

ここあ「とおいばしょにふたりであそびにいったり、わすれものをもっていったり、りぜちゃんがいっぱいえがおになってくれるとおもって」

 

 

リゼ「……ここあ」

 

 

ここあ「これからはがっこうまでむかえにいくね。わたしにまかせなさーい」ニヘラ

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「……そうか」

 

 

リゼ「ここあは、わたしのために一生懸命頑張ってくれたんだな……傷だらけになって……」

 

 

ここあ「りぜちゃん……?」

 

 

リゼ「ありがとう……うれしいぞ」ギュッ

 

 

リゼ「でも、迎えに来るのはダメだ」

 

 

ここあ「ふぇ?」

 

 

リゼ「ここあが事故に遭ったり、何かに巻き込まれないとも限らない……だから、これからもここで待っててくれないか?」

 

 

リゼ「家に帰ったらお前が迎えてくれる……それだけで充分幸せなんだ、わたしは」

 

 

ここあ「……うん、わかった」

 

 

ここあ「りぜちゃんのこと、おうちでまってるね」ニコッ

 

 

リゼ「言うこと聞いてくれてありがとう、おりこうだな」スリスリ

 

 

ここあ「りぜちゃんもふもふっ」ギュッ

 

 

リゼ「もう10時か……今日は疲れたし、そろそろ寝るか」

 

 

ここあ「ふぁぁ……」ポワポワ

 

 

リゼ「ははっ、ここあもおねむか?」

 

 

ここあ「うん、すこしだけ」

 

 

リゼ「歯磨きして、いっしょに寝よう」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「電気消すぞ?」

 

 

ここあ「あっ、まって」

 

 

ここあ「わいるどぎーす、おいで」ヒョイ

 

 

ここあ「えいっ」ポスッ

 

 

ここあ「いいよ~」

 

 

リゼ「消灯だ」カチッ

 

 

リゼ「……」ポスッ

 

 

ここあ「まっくらだね」

 

 

リゼ「すぐに目が慣れるよ」

 

 

ここあ「りぜちゃんのおかおはみえるのに」

 

 

リゼ「二人で同じ枕だもんな……いい加減ここあの枕を買わないとな」

 

 

ここあ「ううん、いい」

 

 

ここあ「……はんぶんこのほうが、りぜちゃんとくっつけるもん//」

 

 

リゼ「ここあ……」

 

 

ここあ「りぜちゃん……んっ――」

 

 

――ホッペ チュッ

 

 

リゼ「――!」

 

 

リゼ「え……あ……」

 

 

リゼ「な……なっ……!//」カアァ

 

 

ここあ「りぜちゃんに、さぷらいずのおかえしだよ//」

 

 

リゼ「……!」

 

 

ここあ「おどろいた?あした、ちのちゃんやちやちゃん、しゃろちゃんにもするの//」

 

 

リゼ「えっ……」

 

 

ここあ「きすさぷらいず、りぜちゃんにはせいこうだね//」ニコッ

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「……みんなにも、するのか」

 

 

リゼ「わたし以外にも……」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

リゼ「なら、これだと嫌だな……わたしは、ここあの特別でありたい」

 

 

リゼ「……」グイッ

 

 

ここあ「きゃっ……」

 

 

 

――ウマノリ

 

 

 

ここあ「りぜ…ちゃん……?」

 

 

リゼ「ここあ……キスしてもいいか?」

 

 

ここあ「え……//」

 

 

リゼ「ほっぺじゃなくて、口にだ……」

 

 

ここあ「ほんとうの、きす……?//」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

ここあ「……うん//」

 

 

ここあ「いいよ……?//」

 

 

リゼ「……んっ――」

 

 

――チュッ

 

 

ここあ「!」

 

 

ここあ「ん……//」

 

 

リゼ「ちゅ……はぁ……//」

 

 

ここあ「っ……//」

 

 

リゼ「……ここあ」

 

 

ここあ「えへへ……りぜちゃんとほんとうの『きす』するの、ひさしぶりだね//」ニコッ

 

 

リゼ「……!」

 

 

ここあ「りぜちゃんとおわかれしそうになったとき、ふたりでしたよね//」

 

 

リゼ「おぼえてたのか?」

 

 

ここあ「わすれるわけないよ……りぜちゃんとした、はじめての『きす』だもん//」

 

 

リゼ「……ほっぺはたくさんあるけど、口はこれで2回目だな」

 

 

ここあ「……もういっかい、する?//」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ここあ「りぜちゃん……?」

 

 

リゼ「ここあ……実はな……」

 

 

リゼ「口にするキスよりも、もっと深いキスがあるんだ」

 

 

ここあ「もっと……?」

 

 

リゼ「ああ……ここあとしてみたい……いいか?」

 

 

ここあ「……いたいの?」

 

 

リゼ「痛くないよ、全然……ただ」

 

 

ここあ「?」

 

 

リゼ「お互い、変な気持ちになるかも、しれない……」

 

 

ここあ「…………」

 

 

リゼ「ここあが嫌なら、しない……」

 

 

ここあ「……ううん」

 

 

ここあ「――りぜちゃんがしたいなら、いいよ……?//」

 

 

リゼ「……そうか」

 

 

リゼ「なら……しよう」ガシッ

 

 

ここあ「あっ……//」

 

 

リゼ「ここあ……口を開けてくれ」

 

 

ここあ「んっ……こう?//」

 

 

リゼ「もっと……あーんだ」

 

 

ここあ「あーん……//」

 

 

リゼ「……っ」バクバク

 

 

リゼ(わたしは、なにをやろうとしてるんだ……)

 

 

リゼ(こんなに小さくて幼いここあに……なにを……)

 

 

リゼ(踏み越えてしまったらきっと……もう歯止めなんて聞かない)

 

 

リゼ(なのに……)

 

 

リゼ「…………」スッ

 

 

リゼ「ここあ……――」

 

 

Prrrrrrrrrrrrrrr!!

 

 

リゼ「!?」

 

 

ここあ「でんわ……?」

 

 

リゼ「……千夜からだ」

 

 

ここあ「でんきつけるね」カチッ

 

 

リゼ「もしもし」スッ

 

 

千夜「もしもしリゼちゃん?ごめんなさい、こんなに遅くに」

 

 

リゼ「いいぞ別に、どうしたんだ?」

 

 

千夜「いま確認したらね、明日わたしの学校創立記念日でおやすみみたいなの」

 

 

千夜「明日はリゼちゃん、通常授業よね?良かったらここあちゃん預かってもいいかしら?」

 

 

リゼ「千夜は休みか……助かる、ここあも喜ぶよ」

 

 

千夜「学校の行きしなに連れてきてもらっていい?」

 

 

リゼ「ああ、帰りに迎えに行く」

 

 

千夜「良かったわ、リゼちゃん寝てたらどうしようかと思って」

 

 

リゼ「ははっ……。――千夜」

 

 

リゼ「ありがとう――助かったよ」

 

 

千夜「えっ?」

 

 

リゼ「今日は疲れただろう、ゆっくり寝てくれ。おやすみ」

 

 

千夜「あ、リゼちゃ――」プチッ

 

 

リゼ「………………」

 

 

ここあ「ちやちゃん、どうしたの?」

 

 

リゼ「明日、お休みだからここあと遊びたいって」

 

 

ここあ「あまうさあん……!?」キラキラ

 

 

リゼ「ああ、学校帰りに迎えに行くから、わがまま言わないで良い子にしてるんだぞ」

 

 

ここあ「うん!おりこうにしてるね」

 

 

リゼ「明日は早いから、もう寝よう」ヒョイ

 

 

ここあ「りぜちゃん……?きすは?」

 

 

リゼ「……また、今度にしよう」

 

 

リゼ「いまはまだ、これでいい……」スリスリ

 

 

ここあ「……?」

 

 

リゼ「そばにいてくれるだけで、充分幸せだから……」ギュッ

 

 

ここあ「ん……♪」

 

 

リゼ「ここあ――可愛いな、お前は」ニコッ

 

 

 

――おまけ PM4:10――

 

 

 

千夜「生クリーム塗り終わったわ」

 

 

リゼ「イチゴを乗せて……あとはメッセージプレートだ」

 

 

使用人「お嬢……あの」

 

 

リゼ「んっ、どうした?」

 

 

使用人「ロウソクの数なんですが……」

 

 

全「?」

 

 

使用人「……あの子、いったい次はいくつになるんでしょう?」

 

 

リゼ「………………」

 

 

全「……………………」

 

 

使用人「………………」

 

 

シーン……

 

 

リゼ父「――8本だ!」クワッ

----------------------

end.

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