というわけでその日の魔族捜索にはネプギアもついてきた。
といってもあくまで捜索、出てきたら討伐するわけだが気配は全く感じられないのだから、問題ないだろう。
強いていうなら捜索時間が今までより短めになるという事だ。
朝早くから夜遅くまでこの事をしていたのが、晩飯の方も作らなければいけないので、そんな事をしている暇が無くなってしまった。
正直なところ元の世界へ帰ることもできない現状のためどうでもいいのだが。
「あの、ウィルクムさん?」
ネプギアが呼ぶ。
「なんだ?」
「少し訊きたい事があるので聞いてもいいですか?」
「いいけど」
「ウィルクムさんって実は会社員ですか?」
・・・・・・・は?
カイシャイン?なんだそれ?
「とういうことだ、それ?」
「いえ、だからその・・・・服装的にそうかと」
服?
俺の普段着と言えば、白のYシャツに黒のズボン、それにベルトを着けている。
黒色の上着も持っているが、あちらの世界にいたとき暑かったので、置いてきた。
服装的にと言う事はこれがその者の服装だろう。
『カイシャイン』というのはおそらく職業とみていいのだろうか?
「これがゲイムギョウカイでいう『カイシャイン』の服装なのか?」
ネプギアは「はい」と返事する。
「こっちの世界では、こいつは兵士の制服だ。もっとも他にいろいろ種類があるんだけどな。」
そいえばいろんな服あったな・・・・・
性能が一番よかったのが、これ。
人気ないらしいが戦闘を行うなら十分なものだ。
動きやすいし、大型魔族戦に使った魔族耐性の金属使っているらしい、文句なんて付けようのないのだが。
―――――――そこ、普通の服に金属ってどうとか行ってはいけない。
「とりあえずそれは私服ではないのですね?」
「え?私服とかないから、これが私服になっているけど。」
兵士が好きな服を買っていけないという事はない。
しかし服を買う事態金の無駄だし、これ3着あれば十分大丈夫だから、これ使っているけど、問題ない。
ただしエプロンなどの調理用具は別だ。
「・・・・・・・異世界の男の人はきっとそんな感じなんだよね、うん。」
「いや、みんな私服持っていたぞ。」
「・・・・え」
ネプギアが驚いている。というか顔が固まっている。
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。実際固まっているし。
まあ、やっぱそんな反応になるよな・・・・・・
というか俺は私服で行動することは、よくて釣りだから問題ない。
釣りしている間も魔族は襲ってくるし、着ておいて損はない。
「俺としてはその服装も十分不思議だが?」
「え?これですか?」
ネプギアの服装がエレメンの持っていた学園漫画の女キャラの制服に似ている。
・・・・・・・流石にこの世界にその漫画があるとは思わないが。
「なんだっけ?えーと学制服?」
「これ学制服なのかな・・・・・とりあえず貴方の世界でこの服は、学生服って呼ばれているんですね?」
「そうなるな」
そういうとネプギアはなんかどんよりしていた。
へこんでいるのか?
「別にこの世界ではおかしくもない私服なんだろ?」
「来ている人は見たことないけど、問題ないと思いますよ・・・・・多分」
ネプギアもファッションセンスはないのかもしれない。
俺はふと気になった事を試してみる事にする。
「それにしてもだいぶ歩いたな。」
「そういえばそうですね。」
ネプギアもそう思っているようだ。
「じゃ休もうぜ。」
というわけで4人ぐらい座れそうなサイズのベンチに座る。
「水、飲むか?」
「あ、いただきます。」
俺は水を渡す。
教会で水筒に汲んでおいたのだ。
食事の時も思ったのだが、美味そうに飲むものである。
まあ、体に疲れがあるのだろう。
口には出していなかったが、何となくわかる。
「なあ、一ついいか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
本人も許可をくれたので、俺は話す。
「別にさ、敬語使わなくいい。外見的には歳が近いし、お前普段はため口だろ?」
「え!?でも・・・・」
「まあ、使いたきゃ使えばいいけどさ、俺に使うのはもったいないだろ。」
幼いころから敬語を使う相手は目上の者、偉い者に使うと習ってきた俺。
単なる兵士と次期守護女神、明らかさまに俺の方が敬語を使わなくてはいけない。
しかしこの姉妹にはなんか使う気がしないのだ。
改めて考えるとどうしてだろうか?
「えっと・・・・これでいい?」
「ん、なんかわるいな、無理にって感じになってしまって。」
「ううん、私もこっちの方が話しやすいから。改めてよろしくね。」
手を差し出される。
握手という奴か・・・・・・
「そこか!」
その時魔族特有の殺気を感じ取った俺は、感じた方に短剣を投げる。
そこから鳥が飛びだす。
すかさず『名無し』剣を取り出し、斬り伏せる。
「ネプギア!!魔族だ!囲まれている!!」
「え!?うん!」
ネプギアもビームソードを出して警戒しだす。
魔族が何体いるか確認する。
「!!おいおい・・・・ウソだろ・・・・」
「え!?どうしたの?」
「俺は魔族を探知できるのだが、周りにいる魔族の数・・・・少なくとも15体はいる。」
「!!」
ネプギアは驚いている。
俺もかなり驚いている。
同時におかしいくも思う。
俺は半径50m内の魔族に探知できる。
それを普段から、ずっと行っているのだ。
どれだけ油断していても、ここまで気づかない事はありえない。
そういえば、この世界で最初に魔族を戦闘した時もそうだった。
明らかに50m内のはずだ。
一体どういう事だ・・・・?
ただし倒すことに関しては全くと言っていいほど問題ない。
これでも魔族討伐のプロだ。
犬型10対と鳥型5大、あの戦闘と比べれば、ありと象の差だ。
ようするに雑魚は雑魚なわけだ。
「とりあえずそんなに強くないし、全員倒す!」
俺は右手に『名無し』、短剣を5本左手に持つと思いっきり飛びあがる。
同時に鳥型が3羽こちらに来たので、一羽斬り伏せる。
後ろからつつかれるが、何一つ傷つかない。先ほどもいったが、この服には魔族耐性が施されているので、この程度なら目でもない。
残りの二羽もさっさと倒す。
俺は下に向けて短剣を3本、残りを鳥型に投げる。
下に投げた短剣は犬型3体に当たる。鳥型も倒した。
「ネプギア!」
「うん!スラッシュウェーブ!」
剣から繰り出される衝撃波が地上にいた魔物に襲う。
「もうちょい倒し甲斐のある奴出せ。」
俺はそのまま近くの草むらに行く。
そして適当に探り、髪の毛を見つけると、思いっきり引っ張る。
「こんなところに隠れているのかよ。バレバレだ。」
「ひい!お、お助けください!妻も息子も娘もで生きているのですから。」
中からは30代程の男性がいる。
結構老けてるな・・・・・
「ウィルクム君、流石に殺すのは・・・」
ネプギアが頼んでくる。
怯える男に哀れみの目で見ながら、俺はため息をつく。
「誰が殺すと言った?正直殺したいが、こいつはまだ生かしておく必要性がある。まあ殺してもいいけど・・・・・・・・はあ、安心しろ。一回目は見逃してやる。ただしいくつか条件がある。それを約束できないのなら、ここで殺す。」
「は、はいぃ!」
「じゃあおっさん、まずあんたの名前を教えてくれ。」
「ふ、フール・コーリンです。」
「言い名前しているな・・・・・コーリンさん、あんたは誰に雇われたか言ってくれ。」
こいつはこの世界の一般人だ。理由はまず先ほどの魔族は召喚したと思うのが無難とみている。
召喚魔法は俺らの世界でも存在しているし、ゲイムギョウカイにも存在するのだろう。しかし魔族が関わっているのならば、他に誰かが教えた可能性が高い。
となると雇った奴だろう。違ってもそいつは必ず関連している。
そしてこの人からは俺らの世界特有の気配がしない。
この世界に来てから、感じる気配だ。
「・・・・・・・・・・・ブラック・ハート様です。」
「え?ノワールさんが?
」
ネプギアが驚いている。
「ブラック・ハートってラステイションの守護女神だったか?ネプギア・・・・帰るぞ、まずはこの事を教祖達に伝える。」
「え!?あ、はい分かりました。」
俺たちは来た道を戻り始める。
「コーリンさん、そのブラック・ハート様にこう伝えておけ。『お前を倒す』とな。」
「は、はいぃ!」
俺は振り返ると、一言言う。
「後もう一つ、家族のことしっかり守ってやれよ。」
「え・・・・はい。」
帰り道俺は今回の一件についてまとめていた。
先ほどもいったとおり魔族召喚自体は可能だが、
こちらの世界でも王ぐらいしか知ることのできないほど、厳重に保管されている。
といってもこれを信用するには足らない。
なぜならその情報が証拠としてはっきりされていないからだ。
故にこの事は誰かが情報を漏らしたと考えるのが、今の最善だろう。
だとしたら・・・・・・・
「ねえ、ウィルクムくん!ウィルクムくん!」
「・・・え?」
隣からの問いかけに俺は返事をする。
「さっきからずっと話しかけているのに・・・無視って・・・・・」
「あ、ごめん。ちょい考え事していたらつい。以後気をつける。」
「まあ、いいけど・・・・・・・これからはやめてね・・・・ものすごく悲しくなるから。」
ものすごくどんよりしているネプギア。
というか泣いている?
そんなに無視していたのか・・・・・・
それ以外もありえるが・・・・まだ様子見でいいか。
「で何の用事だよ?」
「あ、そうでした。その・・・・・ノワールさんは・・・・」
「その事は戻ってから話す。これ以上その話を話すな。」
俺はそう言い放つと、再び前を向いて歩きだした。
めずらしく2000字を超えました。
その分話も進みます。
投稿スピードをもっと上げられないだろうか、そう思う日々です。
これでもリアルは学生(しかも受験生)という忙しい立場なので。
*余談ですが、自分もファッションセンスはありません。
というか基本おさがりが多いので。