『エヴァシステム、起動』
トーンの低い発声と共に髪が黄、赤、紫、桃、そして群青色に分かれ変化する。
瞳も赤から碧へと変わった。その際にすこしばかりの頭痛が起きる。
『ウグッ!』
「カヲル君!」
『来るなッ!』
「!」
『来るな、来ないでくれ…俺みたいな怪物に近寄るな……』
そうだ、俺は…リリン、リリン・エヴァンゲリオン。人間の渚カヲルは既に死に、今ここに立っているのは人間を捨てた醜い怪物。俺はただ今ある大切な人のために戦う。そう、たとえ道を間違えたとしても。
視線を変えるとヴァーリのは既に赤龍帝と交戦していた。どうやら両親を殺して本気を出させるという判断らしかった。だが実力は圧倒的にヴァーリが上だ。
しかし兵藤一誠の両親を殺す宣言がきっかけか。全く、まだ自重しろと言ってあまり経ってないぞ…。だが兵藤一誠には報告ではミカエルから龍殺しの聖剣アスカロンを受け取ったとあった筈。いかにヴァーリが強くとも喰らったらひとたまりもないな……当たればの話だけどな。結局、バトルマニアは我慢が苦手なのだろう。俺も顔につけていた仮面が邪魔なので投げ捨てた。
『さて……俺の相手は」
「「「!!」」」
リリンの視線はゼノヴィアと紫藤イリナ、そして聖魔剣使いとなった木場を捉える。どうやら魔術師達はカテレアが消されたのと共に三人と…ほとんどがヴァーリに撃退されたようだ。。
「俺の相手はお前達だ!カシウス!」
「くっ!デュランダル!」
「魔剣創造(ソード・バース)!」
「ハアッ!」
カシウスとゼノヴィアのデュランダル、木場の聖魔の双覇剣、そしてイリナの擬態の聖剣が交わった。
だがその差は……。
「フン!」
ガキン!
「「「くうっ!?」」」
リリンが圧倒的に上だ。
「むぅ、結構期待してたんだけど…特にゼノヴィア、デュランダルを所持していてクラスは騎士なんでしょ?君?…正直、めっちゃ弱っちいね君」
「舐めるな!」
ゼノヴィアがデュランダルを構えて再び迫ってくる。
「はあっ!」
「よっと」
デュランダルが振り降ろされるもカシウスで難なくカシウスで受け止める。素手で受け止めても良かったのだがデュランダルは何でも斬るという暴君じみた聖剣、流石に無理だと感じた。
「隙あり!」
ゼノヴィアが俺を抑えている内に木場が俺の懐に入った。これで決まった−−ら良かったな。
「聖剣創造ッ!」
ガキンッ!
「!?」
「君が魔剣を創るなら、俺は聖剣を創りだす。魔剣創造があるのなら聖剣創造がおかしく無いだろう?」
何も掴んでいなかった手中に聖剣を発現させる。
ちなみに聖剣創造は俺の所有物ではない。ここに来る前にジャンヌから所持権を譲渡してもらった……すごく嬉々とした表情で。にしても破壊の聖剣で知られるデュランダルを片手で受け止めていられるのはこの身体のお蔭か。褒めていいのか微妙なところだ。
「たあっ!」
イリナが俺の頭上から攻撃してくる両手は塞がり完全な無防備−ーの筈だった。
「フン!」
ガキン!
「嘘!?」
−ー歯で受け止めるという奇想天外な事をしなければ。
「ほーらほっほ!(そーらよっと!)」
「きゃあ!」
聖剣を口に加えたままイリナを振り飛ばす。
「こちらさん達も、な!」
抑えていた二人を押し返す。
「くっ、三人がかりでも駄目なのか!」
「いくら悪魔に転生したとはいえ、覚醒して間もない聖魔剣と使い手が未熟なデュランダル、レプリカの聖剣には引けを取らないさ……じゃあ、俺も見せてやるよ、エヴァシステムの一部を!」
俺は息を思い切り吸い込み、叫ぶ!
「シンクロシステム!起動!」
『エヴァシステム、シンクロスタート』
叫んだと同時に胸から物凄い熱気が発生する。俺の身体中の血が熱く湧き上がっていくのがはっきりと感じられた。
「アッ!ガァァァァ!!??」
「!!ヤベェ!テメェら!今すぐそいつから離れろ!」
「「「!」」」
「ハァハァ、…へへっ、やっぱアザゼルは知っていたか、そうだエヴァシステムは単なるシステムじゃない。ある意味、神を超えるためにつくられたものだ」
勿論俺もただではすまない、人間体に戻ったら、使った反動でしばらく動けなくなる。だが知ったこっちゃない。コイツらには、特に朱乃ちゃ…朱乃には知っていて欲しかった。……俺はもう君とはいけない存在だからだと。
「ウゥ!ガァ!?アァァァ!!!!!!!」
『!』
「フシュゥゥゥゥゥ…」
身体の変化が治まったので手をグッパする。……良し、正常に動く。タイムリミットは三十分。それまでにコイツらに見せしめる!
「さぁ、やろうぜ。三大勢力の者共」
「!来るぞ!持ちこたえろよお前ら!」
『了解!』
「発進(レディ・ゴー)!」
そして怪物(エヴァンゲリオン)は……走り出した。