嫌われの贋作天使(エヴァンゲリオン)   作:カフェ・オーレ

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 大変お待たせしました!


戻れぬ過去の因果

 

「雷光よッ!」

 

 朱乃は掌に迸る雷光を生み出し、リリンへと放つ。放たれた雷光は激流の如くリリンに襲いかかるも、リリンの槍による一振りでかき消される。

 

「悪くない攻撃だね。これが敵同士じゃなかったら素直に褒めたんだけど……」

 

「今の貴方に言われると、喜んでいいのか微妙ね」

 

 再び雷光を放つも、リリンは難なく旋回して避ける。

 

「でも誇っていいさ。どうせならATフィールドを張っても良かったんだけど、それだと呆気ないからね。とりあえず君の力を見てみたかったところだったんだ」

 

「まるで私が貴方より弱いって言ってますか?」

 

「『まるで』じゃなくて『その通り』なんだけど?」

 

 その言葉にピクリと反応し、身体中に魔力を巡らせたらしく、朱乃の周りに金色のオーラが表面に現れる。どうやら彼女の何かを刺激してしまったらしい。しかしその様子に、リリンはニコリと笑顔で動揺した様子は全くない。

 

「怒りによる魔力増大とオーラの出現を確認。悪魔の駒により女王の特性と堕天使の光。そして、雷の魔力。恐れ入る能力だけど、やはり足りない。今の俺には届かない」

 

 それにしても、とリリンは顎に手を当てて朱乃の姿をまじまじと観察する。

 

「あの家で朱璃さんが見せてくれた巫女装束。懐かしいな、キミとバラキエルさん、朱璃さんと暮らしていた本当に幸せだった日々。……正直、今でも心の何処かであの頃に戻りたいと思っている自分がいるよ……」

 

「戻れるわ!貴方が助けてと望んでくれれば、私は貴方を…!」

 

 朱乃は、必死に手を伸ばしリリンへ語りかける。まだ戻ってこられると、今度こそ貴方との約束を守ると。しかし、リリンの表情は段々と悲しげになっていく。

 

「……でも、それは既に無くした日々、過去なんだ。もう戻れないんだよッ…。俺はな、この組織で大切なモノを、愛してしまった人を、子を……守るモノを持ったんだ。もう引き返せないんだよ……」

 

「その組織が世界を混沌へと誘っていると知っていてッ!貴方は組織を離れないと言うの?いい加減、目を覚まして!貴方は利用されているだけ!」

 

「だからどうした?君が学校生活を送っていた時、俺は何していたと思う?」

 

「……」

 

「戦いに明け暮れる毎日だったよ。刺しては殺し、奪って、強くなる。そうしているうちにこれが今の自分だと理解したよ。エヴァシステムを取り込んだ俺は、最早人間と言えない。謂わば修羅と言うところかな。だが、それがどうした?そんなことは、もうどうでも良いんだ。今、俺が守りたいモノはこの禍の団にあるのだからね。大切なモノを守るなら俺は修羅でも怪物でも構わない。だから、俺の邪魔をしないでくれ。もう、諦めるんだ」

 

 感情が抜け落ち、無表情となったリリンは一瞬で朱乃との距離を詰め、彼女の横腹に力を込めた蹴りを入れる。急に距離を詰められた朱乃は驚愕で魔法陣を展開する暇もなく、重い一撃をモロに食らい、肺の酸素を吐き出しグラウンドへと叩きつけられる。

 

「ケホッ……!これ、くらい……ッ!?痛ぅ……!」

 

 フラフラになりながらも朱乃は必死に立ち上がろうとするが、脇腹を押さえて地面に膝をつく。先程の一撃のダメージが相当大きかったようだ。しかし、その目には諦めの感情はない。

 

「……膝をついても尚、諦めてくれないのか。ねぇ、どうしたらキミは俺を手放してくれる?そうだよ、何だったら良い人を探そ―」

 

「結構よ。私は昔から貴方一筋なんだから。今さら他の相手を探す予定はこれっぽっちもない。なら私は一生独身でも構わない」

 

 リリンの言葉を、朱乃は遮り即答する。当然だ、やっと見つけた大切な人、何年も諦めなかったからまた再会することが出来たのだ。――敵としてだが。

 

「……もう無理なんだよ、いい加減にしてくれ。俺と君はとっくに道を違えたんだ。今さら関係を戻して何になる?俺はエヴァシステムを埋め込まれた時点で、キミと共存なんて出来なくなった」

 

「そんなこと……」

 

「やってみなきゃわからないって?いいや、判る。判るんだ。俺の中のヤツらは今も尚、三大勢力を根強く恨んでいる。使徒の殲滅も、そして三大勢力に復讐しようとしていることも」

 

「ッ…」

 

「復讐っていうのは自分勝手な行動さ。だが、俺は施設で願っていたのは、生だ。まだ生きたいという思い。それをエヴァシステムが汲み取り、エヴァシステムの復讐を手伝い、俺はエヴァシステムを受け入れ再び命の息吹を吹き返した。互いに利用するという結論に至った。かの結論に悔いはない。ただ、やはり家族を裏切るというのは流石に堪える」

 

 朱乃の意識も朦朧としてきた。それでも、リリンへと必死に手を伸ばす。

 

「待っ…て、私を、置いて…か、ない…で……」

 

「……ッ」

 

 掠れ声ながらも引き止める朱乃に、リリンは一旦足を止めるが、振り向かずま背を向け羽を広げる。

 

 その時、薄れゆく意識の中で朱乃は聞いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たとえ敵になっても、絶対に死なせないから」

 

 

 

 

 それはまるで、誓いをたてる戦士の姿を。

 

 

 そして、彼女は意識を失った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





微妙ですかね……。
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