さーて、この状態になったからには短時間でケリを着けなければならない。それはエヴァシステムが30分しかなっていられないからだ。まずは使徒に握られているカシウスを返してもらおうか。
『ガァ!』
ドガッ!
「!」
カシウスが握られていた手を蹴り飛ばし、手から離させ、使徒の腕に噛みつく。離されたカシウスはグサッと地に刺さった。結構強めに噛みついたのだが使徒には痛覚は無い。しかし状況は把握できるので、俺を離そうとしてブンブンと腕をやたらめったらに振り回す。
(そうはさせるかってーの!)
俺は噛む力を強くする。
ガブッ!ブチブチッ!
「!?」
一々腕を伸ばされるのが面倒なので鋭くなった歯をさらに深く腕に咥えて噛み千切った。これには流石の使徒も慌てている。
…さて、使った後の反動が怖いからとっとと『完全に消し飛ばしてやるか』
『戻れカシウス、来たれロンギヌス』
そう言うとカシウスがフッと消えて、代わりにロンギヌスが手中に握られる。……正直、コイツを出すのは予定外だが、出し惜しみはできない。何せ使徒は自分に危機が訪れたら自然に相手を道連れに自爆する。そしたら町は吹き飛ばなくてもここら一帯は消し飛ぶだろう。流石に悪魔共も防御できまい。
『一撃だ』
ロンギヌスに集中し、相手の核だけを穿てる様に構える。これで止めッ!?
ピキピキッ!パリンッ!
ロンギヌスを穿とうとした時、上から強力な魔力を感知したので咄嗟に緊急回避した!すると回避したのと同時に結界が砕かれ、白い閃光が使徒の核に拳を入れた。
バキッ!
「ッ!?」
「アザゼルからの報告で来てみたが…フン、天界の生物兵器とやらの力を見てみたかったのだが…どうやら俺の感じた力は勘違いだったようだ」
『Divide!』
翼からの発声と共に使徒の動きが鈍くなった。…ん?そういや使徒ってどんな力使ってるんだっけ?魔力?神力?妖力………は違うな。妖怪じゃねぇし。だとすると天界が創ったんだから神力が妥当かな?
そう考えていると白い閃光、『白龍皇』が核に段々とヒビをいれていた。
「ッ!」
「遅い」
『Divide!』
また発声と共に使徒の動きが鈍る。白龍皇の神器(セイクリッド・ギア)『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』は相手の力を半減させ、自分の糧とする。魔力持ちには厄介な代物だ。……俺には効かない…筈だ。だってエヴァシステムはどちらかといえば神力に近い物だからな。
次々と核を的確に攻撃し、そして使徒の核は……
ピキピキッ……パリンッ!
「!…−−−」
破壊され、機能を停止した。
「期待外れもいい所だったよ。……それで?いつまでそこに隠れているんだい?グレモリー眷属達?」
『!』
白龍皇の発言で校舎裏から出てくるリアス・グレモリーとその眷属、そしてゼノヴィア。
「貴方が噂に聞く白龍皇ね?一応助けてもらった礼を言うわ、ありがとう。それで一体何しにここへ?」
「ある奴からの命でな、コカビエルを回収しにきた…見る形も無いがね。おっと、はぐれ神父もだったかな?…それにしてもエヴァンゲリオン、君が殺し損ねるなんて珍しいじゃないか」
『まさか使徒の核を持っていたとは予想外でな。ま、お前が核を破壊したおかげで終わった訳だ。そらよ、原型は留めていないがコカビエルだ』
使徒によって握りつぶされたコカビエルを投げ渡す。もう顔以外はほとんど原型を留めていない。
「あれほど戦争バカだった奴もこうあっさり逝くとは哀れだな」
『ま、力と欲望に溺れた最後だ。別に珍しくもないだろうよ』
「……そうだな。では俺も戻るとしよう」
『ああ、じゃあな』
「ではな」
そして白龍皇が背を向けて帰ろうとした時、茶髪の男子から…正しくは左手の赤い篭手から声が発せられた。
『無視か、白いの』
『起きていたの、赤いの』
篭手からの声に白龍皇の光翼が応える様に光る。…なるほど、ということはあの赤い篭手が白龍皇の光翼と対になるセイクリッド・ギア、『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』か。こりゃ貴重な場面に出会えたな。
ブーステッド・ギアとディバイン・ディバインディングはセイクリッド・ギアの上位、十三種ある『神滅具(ロンギヌス)』の内に入る代物だ。だが赤い龍、赤き龍(ウェルシュ・ドラゴン)ドライグと白き龍(バニシング・ドラゴン)アルビオンは三大勢力によって神器として魂を器に刻み込み、神器として封印された。なんとも皮肉なものだよ。
『せっかく出会ったのにこの状況ではな』
『いいさ、いずれ戦う運命だ。こういう事もある』
『しかし、白いの。以前のような敵意が伝わってこないが?』
『赤いの、そちらも敵意が段違いに低いじゃないか』
『お互い、戦い以外の興味対象があるということか』
『そういうことだ。こちらはしばらく独自に楽しませてもらうよ。たまには悪くないだろう?また会おう、ドライグ』
『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン』
ふーん、聞くからに戦闘狂って訳か。ま、ドラゴンなんてそんなものか。けど茶髪君は納得いかない顔だ。
「おい!どういう事だ!?お前らは何者で、何をやってんだよ!?てか、お前らのせいで俺は部長のお乳を吸えなくなっちまったんだぞ!」
えぇ…何?あの茶髪君はリアス・グレモリーとコカビエルを倒したら乳を吸う約束でもしていたのか?…なんかドライグが不憫に思えてきたぞ。
「すべてを理解するには力が必要だ。強くなれよ、いずれ戦う俺の宿敵くん」
一言告げて来た時と同様なスピードで飛び去っていった。さてと、俺も用が済んだし帰るか。……あ、そうだ。
『そこの金髪君、…木場君だったかな?』
「!ええ、そうですが」
『……悪魔になっていたのは驚いたが…生きてくれていて嬉しいよ』
「…どういう意味ですか?」
『ふむ、君と同じ実験の被験者…といえばわかるか?』
「ッ!僕の他にも生きていたのですか!?」
『ああ、それだけを伝えたかった……リアス・グレモリー』
「何かしら?」
『コイツを、木場を頼むぞ。格好いい癖して臆病だからな』
……どうやらコイツに俺は必要無さそうだ。これで安心して行動できる。改めて帰ろうとしたら次は黒髪のポニーテールの女子が声をかけてきた。
「少しよろしいですか?」
『…なんだ?』
「いえ……その…『渚カヲル』という名前の男の子をご存知でしょうか?」
『!?』
その名前に俺は動揺した。渚カヲルという名前は今の俺、リリンの名が付けられる前の名だからだ。
『……ああ、知っている』
「ッ!彼は一体何処にいるか知っていますか!?」
『…場所は知らない、だがこれは断言して言える。…彼は生きているよ』
「…そうですかっ」
ポニーテールの女子は両手で顔を覆った。……そうか思い出した。俺が狂信者に誘拐される前にある神社の女の子と遊んでいた事。…そうか、綺麗になったな。
『ではな』
俺は奇妙な光の翼を広げ、空へと昇っていった…。
すぐにまた会えるよ………『朱乃ちゃん』
口調がバラバラで申し訳無い…人格が混じっているとお考えください。