「…三大勢力の会談を視察しろ?」
先日のコカビエルと聖剣事件から翌日。俺は久しぶりにジャンヌとヘラクレスを誘って三人で遊び程度の戦闘をしようかと考えていた時、リーダーの曹操が俺に命を出した。
「ああ、明日の午前0時に三大勢力のトップが同盟する為に駒王学園に来るそうだ。そこで君とヴァーリに堕天使側の護衛を頼みたい」
「先日行ったばかりなのにまた俺が行くのか?他の奴の方が効率的に良いと思うが…というかヴァーリが良く他に護衛を許したな、お互い不干渉なのだろう?」
「君が行った方が俺たちの存在が気付かれにくいからさ、そう考えると今回だけ特別に干渉する事にした。でもまあ、あの堕天使の総督、アザゼルには必要なさそうだけどね。確かヴァーリが君の本来の名を口にしたらアザゼルに血眼で迫られたらしい。どうやら君を長年探していたようだ。ヴァーリはアザゼルの元で暮らしていた事があるし、君はアザゼルと面識があるのだろう?」
「…まあ、な」
アザゼル…さんとは姫島家にお世話になっていた時に何度か会っている。ワイルドな顔立ちながらも面倒臭いと言いながらもよく遊びに連れて行ってもらった。……でも、そんな人達を俺は裏切ろうとしている。朱璃さんに言った事も、恐らく裏切りの言葉になるだろう。
「…わかった、俺が行こう。ついでだし正体も明かすか」
「今まで隠してきたのに簡単に晒して良いのかい?」
「いずれバレるんだ。なら早い内に明かしておくさ」
「まあ、君の判断に任せるよ」
「リリン君、おかえりなさい」
「おかえりなさい!パパ!」
「ああ、ただいま。ジャンヌ、レイ」
曹操と別れて自室に戻り、迎えてくれたのは金髪の剣士、聖女ジャンヌ・ダルク、そしてクローン人間のレイ。レイは英雄派が所有している施設で俺の細胞を元に造られた子供の人造人間……簡単に言えば俺の失敗作クローン。元々は俺の中にいる奴等の力を持ったクローンを造りだそうとしていたが失敗に終わり、レイが誕生した。力を持っていなかったレイを研究者達は処分しようと考えていたが俺がそこに待ったをかけ、自分の子供として引き取った。……そして。
「ん…」
「んむ…」
俺とジャンヌは恋人だ。その……一線も越えている。告白はジャンヌから…最初は断わったさ。だがその度に何回もしてくるんで等々、俺は折れた。今は幸せだけどな。ただ、本物のジャンヌ・ダルクではなく魂を引き継いだ人間だ。堂々と化け物が平然と人間と一緒に暮らせる訳無いだろう?まぁ、『元』家族は堕天使を含んでいるけど…。それに今さら普通の生活に戻れる訳ではない。ならここで自分なりの幸せを見つけようとして今の状況になったって訳だ。……実のところ、レイは俺とジャンヌ以外の生き物には無関心なのだ。俺といる時は表情豊かだが、他の奴等だと無表情を貫いている。
……何故か、俺をパパ、ジャンヌをママと呼ぶけど、悪い気はしないさ。
「随分遅かったわね。また仕事?」
「ああ、三大勢力の同盟を邪魔してこいだとよ」
「あー、やっぱり?」
「?知っていたのか?」
「ええ、ヤケにヘラクレスのテンションが高かったわ。やっと待ち望んでいた時が来た!みたいな?」
アイツは根っからの戦闘バカだからな…あ、ヴァーリもそうか。
「パパ、また行っちゃうの?」
うるうると上目遣いで見てくるレイ。…やめて、罪悪感が半端ない…。
「こーらレイ、パパはお仕事なんだから困らせたらダメよ?」
「むぅー!」
ジャンヌが宥めるも頬を膨らませて不機嫌アピールするレイ。しょうがないな。
「レイ」
「む?」
「パパが帰って来たら何処かに遊びに行こうな?それまでいい子で待っていてくれ」
「!うん!レイいい子で待ってるから」
嬉しそうにするレイの頭を優しく撫でる。これが父親なのかな。
「じゃあ行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」
「早く帰ってきてね!」
「ああ!」
レイからのお願いで元気になる。やはり子供は可愛いな……ヤバイ、親バカになりつつある。
午前0時、再び俺は駒王学園に着た。勿論、仮面装着済みである。
「さあ、行こうか」
…なんだ、これ?(呆気)