東方雰囲気録   作:島夢

115 / 122

感想ありがとうございました!


ゆっくりしていってね!


114話 「甘い幻想を見せてあげよう…」

―――私は…君を守れなかった…―――

 

 

―――あきらめは重要です…危険なことを避けるために…―――

 

 

―――それでも…私は…自分がどうなろうと君を…―――

 

 

―――それは駄目…私が悲しいのです…。幻想の妖怪さん…―――

 

 

―――…私も人間でありたかった…そうだったなら…こんなことには…―――

 

 

―――そうですね…人間は素晴らしい…―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――でも…あなたは…少し…自分を…過小評価…し過ぎている…―――

 

 

 

―――そして……………―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――なぁ…目を…開けてくれないか…? 私は…ずっと君と一緒にいたかったよ…―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ…!」

 

 

 なん…だ?今のは…。いきなり頭の中に…ぼやっとしたイメージと言葉が…。

 誰かに記憶だろうか…? 雰囲気が頭の中に入ってきて今のを見せてくる感じだった…。

 

 『幻想の妖怪さん』…?

 

 なんだろう? 今にもなくなってしまいそうな女性と彼女に話しかける妖怪…か?それくらいしか理解できなかった…。

  

 女性は息絶える直前、何かを言おうとした…だけど言えなかったみたいだ…。『あなたは少し自分を過小評価し過ぎている』、俺には聞こえたが、恐らく言われた妖怪の方は聞こえていなかった。

 

 ちょっと待て…『私も人間でありたかった』? もしかして…今のイメージは…

 

 

見 之改(見たのかい)?」

 

「!?」

 

 

 後ろから声がして、俺はびっくりして後ろを振り向く。

 岩に腰かけ、雨合羽の奥で口を横一文字に閉じた…悲しそうな雰囲気を出した。あいつがいた。

 

 

君ㇵ不思議那力ヲ持ッ手居ㇽ用種(君は不思議な力を持っているようだね)…」

 

 

 俺はスペカを用意しながら少しずつ後ろに下がる…。距離をあけておいて損はないからな…。

 

 普通の奴らなら雰囲気でなんとなくだが、次はどんな動きをするかわかる…こういう戦闘態勢のとき限定の力だが、ほぼ完ぺきに当たる。

 

 だけど…こいつからは変な雰囲気しか感じ取れない…どこかで壊れているみたいに…敵意も殺気も狂気も感じない。

 壊れているみたいではなく、壊れているのだろう…。

 

 

「霊符『夢想封印 集』!」

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

 

 俺を見ていた雨合羽を真上から飛んできた霊力によってできた大玉と魔力によってできたビームが包み込む。雨合羽は俺を見つめたまま微動だにせずにその光の激流に飲まれる。

 

 煙で雨合羽が見えなくなった。今のスぺカは…あいつらだな…。上を見ると白黒魔法使いと紅白巫女がいた。

 

 

「ずいぶんとまぁ、好き勝手やってくれちゃったみたいねぇ…」

 

「まさか紫があそこまでやられるとは思ってなかったけどな」

 

 

 煙がもうもうと立ち込める中から声がきこえた…。あいつの…雨合羽の声だ。

 

 

踏無、井伊攻撃惰(ふむ、良い攻撃だ)…。」

 

 

 手を広げ、天を仰ぎ…ごく自然な歩みで煙の中から出てくる…。

 

 

「やはり人間はいいな…妖怪よりもはるかに強い精神を持ち、そして妖怪に匹敵する力を持つこともできる…。」

 

 

 『無傷』…妖力が動いた感覚はなかった。何もせずにただ自然体でマスタースパークと夢想封印 集を受けて…無傷か。

 

 

「そうだね、折角だ。感じ(漢字)などでは誤魔化さず、本心で話すとしようか」

 

「無傷…」

 

「しかも随分と余裕ね」

 

 

 魔理沙と霊夢も驚いている…。空中にいれば障害物がないため、ただの的になってしまうと考えたのか、二人はゆっくり俺の隣に降りてくる…。

 魔理沙と霊夢は雨合羽を睨み付けているが雨合羽は意に介した様子はなく、淡々と言葉を発する…聞きにくい、誤魔化したような声ではなく、普通に話すような声だ。

 

 

「あんた…本当に何者だよ…?」

 

 

 魔理沙が思わず…といった感じで出した呟きを、雨合羽はこう答える

 

 

「ただの妖怪さ…惨めで弱い妖怪だ」

 

 

 本気でそう思ってるんだろうな…そんな雰囲気だ、悲しくて、寂しそうで、自己嫌悪が激しくて…。

 だけど…俺は一つこいつにききたいことがある。

 

 

「一つ聞くけどな…。行方不明になった子供はどうした?」

 

「あの少女か…。私が幻想郷に来たことによって、妖怪が活性化してしまってな…。そして私の妖力に当てられた子供たちがかごめかごめをした。」

 

 

 ?答えになってない…。というより、幻想郷に来ただけで妖怪が活性化した?妖力に当てられてかごめかごめをした…だと?

 

 どういうことだよ…本当に…。

 

 

「元々、かごめかごめは私が数百年前に気まぐれで何度かしただけだというのに、なぜだかわからないが、私はかごめかごめの妖怪になってしまった。

 本当は全然違う妖怪だがね」

 

「答えに…なってねぇぞ?」

 

「ん?ああ、すまない、無駄話が過ぎた…。人間と話していると嬉しくてね…。あの少女のことだね?元々神隠ししたかったわけではないんだ…。もう家に帰したよ…今の私に力なぞいらないからね」

 

 

 妖怪が力をいらない…か。そう思う妖怪もいるだろうけど、こいつはなんか違う…。生きる意味なんてない…そんな雰囲気が伝わってくる。

 諦めてしまった雰囲気…。

 

 

「さてと、君が心配していた少女のことは話した…では」

 

 

 いきなり…雨合羽は消えた…目は離していないあそこまでの存在感を放つ奴から目を背けられるはずがない。

 どこにいった!?

 わからない、いきなり奴は幻想の様に掻き消えた。

 

 

「君たちの力…見せてもらおうか」

 

 

 ゾクッ…

 

 と背筋にいやな寒さが走る。後ろからささやかれるように言われたその言葉は、まるで突然、自分の幻想を打ち消されたかのような感覚を覚えた。

 反射的に振り向きながらスペルカード宣言をする。

 

 

「高速『疾風迅雷』ッ!!」

 

「ふむ、いい攻撃だが…殺す気で撃って欲しいかな」

 

 

 俺の弾幕は直撃したはずなのにまったく効いていない…。冗談だろ?

 雨合羽の出現に驚いて一度距離を取った霊夢と魔理沙が雨合羽の左右両方から押しつぶすようにスペルをぶつける。

 

 

「宝符『陰陽宝玉』ッ!」

 

「恋符『ノンディレクショナルレーザー』!!」

 

 

 その攻撃を雨合羽はノーモーションで挟まれるように直撃する。

 俺は違うスぺカを出しつつ距離を取り、宣言する。

 

 

「絶技『百花繚乱』!!」

 

 

 霊力で形成された様々な種類の花が周囲を覆い尽くし、その花から弾幕が放たれる。

 まだ雨合羽は見えていないが夢想封印とマスタースパークを受けて無傷だったのだ、やりすぎることはないだろう…。

 

 駄目押しとばかりにまだはれぬ煙の中を弾幕が貫いていく。

 

 

「いいぞ…もっとだ。もっと君たち人間の力を見せてくれ…。そして私を殺してくれ」

 

 

 あくまで平坦に、だが少しの感情を込めて雨合羽は俺たちにそういう。 

 

 効いてない…まったく? 傷一つついていない…。しかも、あいつは力なんて必要ないといった。

 大体の雰囲気でわかるがこいつは古代から存在している大妖怪だ。だがずっと昔に恐怖を喰らうことを放棄しているのに…。

 妖怪の強さは思いに比例する。もし本当に雨合羽が力なんて必要ないと思っているのなら…著しい弱体化をしているはずだ。

 

 なのにこの強さ?冗談じゃねぇ…。

 

 最全盛期はどんな強さだったんだ…雰囲気で予想するとすればもしかすると晴夢さんと戦えるかもしれないかもしれない…。

 全盛期はそれほどの強さ…いくら弱ったといっても、そのレベルの強さの奴の弱体化だ、俺たちから見ればどこまで弱体化しても強すぎるくらいだ。

 

 

「こいつは強すぎるぜ…」

 

「冗談みたいな硬さね…」

 

 

 そういいながら霊夢と魔理沙は次のスぺカを用意する。俺もそれを見ながらスぺカの用意をする…。

 雨合羽はまだ一度も攻撃していない。いや…攻撃するつもりがないのだろう…。

 

 とにかく、俺と魔理沙と霊夢…全力を出し切って、自分を殺すことはできないと判断したら攻撃してくるのではないかと考える。

 それがわかっても、攻撃しないわけにもいかない。

 

 

「絶技『紫電一閃』!」

 

「霊符『夢想封印 集』!」

 

「魔砲『ファイナルスパーク』!!」

 

 

 三つの閃光は森の木々もろとも雨合羽を飲み込んでいく…。かなりの大火力…。

 だが奴は立っていた…なんのモーションもせずにただ立っていた。笑ったまま、こちらを見て立っていた。

 

 

「ふむ…全力で来てくれないか?どうせ眼前の敵は私一人…ここで倒れてもいいだろう?」

 

「言ってくれるわね…つまり効いてないってことかしら? 馬鹿にしてるの?」

 

 

 霊夢は目を鋭くさせ、キレ気味の声でそういう。

 雨合羽はとんでもないとばかりに首を振って言う。

 

 

「私は人間を尊敬している、つまり、君たちを馬鹿にすることなどありえない」

 

 

 まっすぐに霊夢を見つめてそういう…。本気だと言うように…。

 魔理沙がスぺカを用意している…。霊夢も同様に用意する。

 

 

「だが…」

 

 

 雨合羽がそう言った瞬間、魔理沙はスペル宣言をする。

 

 

「彗星『ブレイジングスター』!!」

 

 

 一瞬で閃光となり、突っ込む魔理沙…。霊夢はそれの援護をするようにスペル宣言する。

 

 

「霊符『夢想封印 散』!」

 

 

 魔理沙に当たらないように、別れた霊力の大玉が雨合羽へ向かう…。

 霊力の大玉より先に魔理沙が雨合羽に当たる…。雨合羽は魔理沙の箒を掴み、止める。

 

 

「なっ…!」

 

「君たちに私を殺すことはできないようだ」

 

 

 そのまま魔理沙の乗った箒を盾に使い、霊夢の夢想封印を防ぐ…夢想封印は魔理沙に直撃し、魔理沙は意識を失ったみたいだ…。

 

 やばい!そう思い、霊夢の方を見たら、霊夢はもうすでに地に伏せる瞬間だった。何が起こった?

 

 

「楽しかったよ、人間…。やはり博麗大結界を使うしかないようだ」

 

 

 すぐ後ろでそんな声が聞こえた…。

 一切反応のできないまま、俺は意識を刈り取られた。

 

 

「甘い幻想を見せてあげよう…。代償は、博麗大結界の崩壊でどうかな?」

 

 

 

 薄れゆく意識の中でそんな声が聞こえた…。

 

 博麗大結界の崩壊…つまり、幻想郷の壊滅…。

 妖怪はいずれ消え、人間も適応できずに死に絶える…。最悪、妖怪の存在が知られ…幻想郷の住民は妖怪と共存していたとして、全員抹殺されるか迫害される。

 

 紫が昔、境界を操って博麗大結界の崩壊の仮定を見たときの予言のようなもの…。

 

 もし本当に博麗大結界が完璧に破壊された場合、絶対にこうなると紫は言っていた…。

 

 冗談じゃない…ここは…………俺の…帰る場所なのに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










 大夢くんが見た雨合羽の記憶の中の女性…誰かわかりますかね?原作キャラです…
 まあ、雨合羽にも色々あったのです…。

 あの記憶は数千年、もしかすると数万年前の記憶です。

 博麗大結界が壊れる…大夢くんたち異変解決組は負けました…さて、どうなるのでしょうか…?
 

 感想待ってます

次回も頑張って編みます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。