東方雰囲気録   作:島夢

117 / 122
感想、ありがとうございました

ゆっくりしていってね!






116話 雰囲気と幻想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高速『疾風迅雷』!!」

 

 

 俺は霊力強化をしたあと、走って雨合羽の妖力のあるところに急いでいき、見つけた瞬間、スぺカ宣言をする。

 雨合羽はこちらに気づき、首を掴み、拘束していた藍さんを投げた後、俺の霊力弾を素手で引き裂く。

 

 俺を見ながら、首をかしげながら、心底嬉しそうに笑っている。

 

 

「あの幻想から出られたのかい?『現実のために幻想を捨てた』のかい?」

 

「ちげぇよ、『幻想のために幻想を捨てた』んだ」

 

「素晴らしい、私もそうでありたかった…」

 

 

 楽しそうに嬉しそうに、尊敬と羨望のまなざしで俺を見る。

 紫が腹から血をだして倒れている。

 それを永琳が急いで治療している。

 

 俺は雨合羽から目を離さずに、永琳に話しかける。

 

 

「永琳…紫は大丈夫か?」

 

「ええ、これくらいなら…大丈夫よ。妖怪は人間より丈夫だから」

 

 

 永琳は薬で出血を抑え、紫を抱える。

 

 

「クッククク…人間より丈夫…か、笑わせる」

 

 

 諦めにも似た感情が押し出されるような表情で雨合羽は呟くように言った。

 

 

「ふっ!」

 

 

 俺は即座に雨合羽に駆け寄り、強化した足でのけりで吹っ飛ばす。

 それを何もせずに蹴られたからすごい勢いで飛んでいく。

 

 

「友符『駆け抜ける雰囲気』!!」

 

 

 吹っ飛んでいく雨合羽に追いつくような速さで走る。

 そして、追いつき、もう一度けりをしようとした瞬間。

 

 

「私の世界へようこそ」

 

 

 周りの景色が丸ごと変わっていた。

 とりあえずそのまま右足で思いっきり蹴り飛ばす。

 

 落ち葉の様に吹っ飛んだ雨合羽は何度かバウンドし、動かなくなったと思った瞬間立ち上がる…。

 

 

「まあ、この世界はただの幻想だがね」

 

 

 むくりと起き上った雨合羽は笑っている…。

 不気味で不思議な笑みで…。

 

 迷うように、許しを請うように揺れる瞳で俺を見つめながら…。

 

 

「さてと…そろそろ私も疲れた…。少しだけ、教えてやろう…私の生を終わらせるには」

 

 

 眼を離していないのに視界から消えた。

 

 またか!?そう思いながら後ろに回し蹴りをするが、そこにはいない。

 後ろじゃない?どこにいるんだ!?

 

 

「君の霊力では足りない」

 

「ガっ!?」

 

 

 いきなりなんの力かわからない力で全身に万遍なく打ち付けられ、吹っ飛ばされる。

 かなりくるな…。内蔵も脳も筋肉も足も手も関係なく、すべてを同時に同じ威力の攻撃で吹っ飛ばされた。

 

 まるで冗談のような勢いで俺は吹っ飛び、地面に叩きつけられ転がる。

 

 

「ぐっ…ぁ!」

 

 

 今の一撃で体が自由に動かないくらいのダメージは負った。

 正直、勝てる気はしない…けどな、やるべきことはわかってるんだよ。

 

 

「おおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 即座に立ち上がり、『友符』で強化された脚力で距離を詰め、蹴るが簡単に受け止められる、左手でごくあっさりと…。

 

 そして右手で握りこぶしを作る、その拳は俺の腹部を貫く勢いで振るわれる。

 

 吹っ飛ばされる直前に霊力弾を雨合羽の顔面にぶち込むが腹部を殴られ吹っ飛ばされた。

 

 

「ガっ!?」

 

 

 内臓がひっくり返るかと思うような衝撃を腹部に与えられ、胃液が逆流してくるが、なんとか抑える。

 吹っ飛びながら霊力弾を大量に構成し、雨合羽に放つ。

 

 

「ふっ!!」

 

 

 すべて無視し、突っ込んでくる、当たってはいるが効いていないようだ。

 チッ!勝ち目薄いな畜生!

 

 全然効いてねぇ!

 

 

「絶技『百花繚乱』!!」

 

 

 自分の周りから相手の周りまでたくさんの様々な種類の霊力で出来た花が展開されていく…そのすべての花から弾幕が放たれるが…。

 

 雨合羽が「パチンッ!」と指を鳴らすとすべて消えていった。

 

 そんなこともできるのか!?

 

 

「効かんよ少年!」

 

 

 鋭い蹴りが放たれる、霊力で強化された腕でその蹴りを受けるが腕に鋭い痛みが走り、そ瞬間吹っ飛ばされた。

 

 ガードしても吹っ飛ばされる…意味がないねぇ…畜生。

 

 

「絶技『紫電一閃』!!」

 

 

 巨大な霊力の弾が俺の前に出現し、霊力をため始める…。

 そして、俺はその霊力の弾を相手に向かってビーム状に放つ!

 

 

「ふんっ!」

 

 

 右手で紫電一閃を薙いだ瞬間、紫電一閃はまるで幻想だったようにあっさりと横にそれて飛んでいった。

 

 俺はそれを確認したときにはもうすでに次のスぺカを出し、宣言する。

 

 

「代償『諸刃之剣』!!」

 

 

 右手に蒼い霊力で出来たでかい剣が展開される。

 その大剣を持ち、一瞬で距離を詰め、大きく振るう。

 

 振るえばそこからは弾幕が出て、すべて雨合羽に向かう。

 

 だが、弾幕を浴びても攻撃をダメージがないようで、無意味だ。

 

 

「駄目だよ大夢くん…君では圧倒的に火力が足りない」

 

 

 その言葉が耳に届いた瞬間、俺の体はどうしょうもなくあっさりと飛ばされる。

 何かの力に振り回されるように。

 

 

「君が羨ましくてしょうがないよ、大夢くん」

 

「ぐぁっ…ああああああああ!!」

 

 

 俺は立ち上がり、右手に持った諸刃之剣を振るう、簡単に右手で弾かれ、そのまま訳の分からない力で飛ばされる。

 

 空中で建て直し、すぐに距離を詰め、剣を振るう。

 

 

「君はどうしようもなく人で、どうしようもなく………人間だ。

 人間ほど弱さを知り、人間ほど強さを持ち、人間ほど求める欲を持つものはない。

 人間の生はこの世でもっとも幻想的だ」

 

「あんたは人間を過大評価し過ぎだ!」

 

「それは君の幻想だ、私の人間に対する評価も所詮幻想だがね…」

 

 

 剣を振るい、弾かれる。

 諦めずに再度剣を振るう。懐に潜られ、あっさりと掌底を叩き込まれ、吹っ飛ばばされる。

 

 

「あんたは妖怪を過小評価し過ぎなんだよ!!」

 

「それも君の幻想だよ、同じく、私の評価もね」

 

 

 空中で剣を振るい、弾幕をだし、突きを放ちレーザーを飛ばすがすべて弾かれる。

 堂々と、幻想のように曖昧に立つ雨合羽はどうしようもなく恐ろしい…。

 

 妖怪は本来そういうものだ、恐ろしい…。その恐怖で妖怪は成り立っているのだから…。

 

 人間に畏怖される妖怪、あいつはそういう存在だ。どうしようもなく強く、どうしようもなく人間の天敵で、どうしようもなく曖昧な存在。

 

 

「妖怪には…人間にはない強さと人間にはない心がある…!」

 

「それも幻想だ。妖怪は幻想で、人は存在している。何か()依存しなければ(恐怖させなければ)生きていけぬ存在なぞ、幻想ですらない」

 

 

 冷たく、平坦に奴はそう告げる。

 この問答に意味はないし、そもそも会話にすらなっていない、お互いの感情をぶつけあっているだけのものだ。

 

 俺は何度も何度も吹っ飛ばされながらも立ち上がり、立ち向かう…。

 

 

 何度も何度も何度も……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づけば、俺は倒れていた、血まみれで、全身が赤く染まり、視界がぼやけ…。

 死ぬかもしれない…。血を多く失いすぎた…。

 

 痛覚も麻痺してきた…。

 

 雨合羽は俺の方へ歩いて来ながら、まるで劇でも演じているかのように、だが確かに願い、望む声で言う。

 

 

「君は私が憧れた人間そのものだ。

 幻想を信じ、幻想を壊し、幻想を守り、幻想を求め、幻想を拒絶し、幻想を保持し、幻想を断絶し、幻想を抱き、幻想を放し、幻想を握り、幻想を捨て、幻想を拾い、幻想を愛する。

 だが決して幻想を疑わない。私の憧れた人間そのものだ」

 

「…お…おぉぉぉおお!!」

 

 

 全身のダメージのせいで脳が体に動くなと命令を送るように動かないが、そんなものはどうでもいい…!

 言っておかなきゃならないことがある…!

 

 これだけは絶対に勘違いしてほしくねぇのさ…! 

 力を振り絞り、動かなくなった神経を無理やりつなぎ、立ち上がろうとする。

 

 

「…黙って聞いていれば勝手なことをべらべらと…」

 

 

 そして、確かに二本の足で立ち上がり、睨み付ける。

 

 雨合羽は驚きと歓喜とそしてやはり、羨望の混じった瞳で俺を見る。

 

 

「俺が愛してるのは幻想なんかじゃねぇ…!俺が信じているのは幻想なんかじゃねぇ…!俺が疑わないのは幻想なんてものじゃ、断じて無い!!」

 

 

 俺の後ろに霊力弾が大量に展開される。

 俺の後ろは霊力の青色によって覆いつくされ、見ることができないほどだ。

 

 勘違いされた憤りで痛覚を感じなくなっていき、そして俺は心の底から叫ぶ。

 

 

「俺が愛して、俺が信じて、俺が疑わないのは…雪那だけだ!

 それだけは何があっても変わらねぇ!

 何があっても勘違いなんぞされてたまるか!!」

 

 

 大量の霊力弾が一気に雨合羽に牙を剥き襲い掛かる。

 自分でも信じられない霊力量だ。

 

 自分の体の内からあふれ出るように蒼い霊力が俺の周りを舞うように揺らいでいる。

 そして、いつの間にか消えていたスぺカを発動させる。

 

 

「友符『駆け抜ける雰囲気』」

 

 

 足に霊力が集まるのを感じて考える。

 この場面で使うのがこのスぺカか…と。

 無意識のうちに宣言していたが、どうやら、俺は駆真のこともかなり信頼しているらしい…。

 

 

「そうだ…これを待っていた…!」

 

 

 雨合羽はまるで待ち望んでいた想い人にやっと会えるかのような顔をしている。

 

 

「行くぜ」

 

 

 地面を蹴る、その瞬間、冗談みたいな勢いで自分の体が加速し、雨合羽の目の前まで距離を詰める。

 そして…その加速力のまま、貫くように蹴る。

 

 雨合羽はそれを見て、何もせず、ただ、その槍のような蹴りを受けた…。

 

 地面に足をつけたまま地面を削りながら後ろへ引き摺られるように蹴りの威力に押されて行く。

 

 心底嬉しそうに、楽しそうに…そんな穏やかな笑顔を見せる雨合羽…。

 口から血を流し、立ったまま体を動かそうとしない…。

 

 

「やはり人間は素晴らしい…数えきれないほど人間を羨み、考えられないほど人に憧れた…。私は間違っていなかった。

 彼女の大好きだった人間は、やはり…がふっ」

 

 

 おびただしい量の血を吐きながらも彼は笑う。

 なぜかその姿は幻想的で…どこまでも曖昧で…どこまでも幻で…どこまでも想で…どこまでも幻想だった。

 

 

「ありがとう、これでやっと逝ける………さようなら、私の命を奪ってくれた恩人…」

 

「妖怪は…何年たっても変わらない…確かに儚い命も美しいけど、変わらない命も美しいぜ?だから、あんたは妖怪としての誇りを持つべきだ」

 

「色は匂へど散りぬるを…我が世誰ぞ常ならむ…というが…。

 だが、そうだな…君がそういう幻想を持ったのなら…そうだな、私も少しだけ…妖怪としての誇りを持ってみようか…」

 

 

 そう穏やかな声で言い…風に吹かれて消える小さな火のようにごくあっさりと、その『幻想』は消え去った。

 

 

 

『短き命よ…儚く強くあれ…『幻想』のように、消えてしまわぬように…』

 

 

 

 

 俺は気づけば、元の森の中にいた…。

 

 血まみれの体で、視界が揺らぐ…けれども進む。

 家に帰るために、自分の幻想に会うために…。

 

 自分の夢に会うために…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて…帰ろうか…そういう雰囲気だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 雨合羽さん、やっと死ねたようです。

 大夢くんの急激なパワーアップの原因は、無意識のうちに操っていた雰囲気に従った博麗大結界と周囲のすべての霊力が大夢くんのものになったせいです。

 博麗大結界は壊れはしなかったものの、一時的に弱体化、さらに大夢くんのパワーアップしていた間だけ、完璧に大夢くんのものになっていました。

 感想待ってます!

 次回も頑張って編みます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。