The Rain Bringer Girl 作:うにうにうさぎ
一護とルキアは黒崎家の墓がある墓地に居た。日は大分傾いている。
木の上に腰掛けていたルキアは、ぴょんと降り立った。
「今日も現れないよ、一護。良かったではないか」
一護の腕を取った。
そのとき、空から押しつぶされるような黒い霊圧が2人を襲った。
「――ぐ!!」
2人は斬魄刀を解放する。
浦原によってルキアの霊圧制限は解除され、周囲はテッサイが結界を張っていた。
天が二つに割れ、赤黒い霊圧が吹き出した。
「来るぞ――一護!!」
「おう!」
茶色い獣の皮の下に黒い鎧が鈍く光った。
「会えて嬉しいぜ」
一護は右腕の斬月を突き上げた。
「――グランドフィッシャー!!」
――卍ッ解ッッ!!
一護の周囲に霊圧の竜巻が吹いた。
風が晴れると死霸装が黒い細身のロングコートに変化していた。
『イタム…イタム……キズが……ウズク……死神の……餓鬼……オノレ……』
「その死神の餓鬼が目の前にいるっつーの。このアタマの色も忘れたか」
一護は眩しいオレンジ色の頭を掻いた
グランドフィッシャーは獣のような雄叫びを上げた。
空気がミシミシと軋み、一護たちの頬をビリリと震わせる。
「年寄りでも労れねぇぜ」
一護は霊子の足場を蹴った。
スピードに乗って、グランドフィッシャーに斬りかかった。
ガンッッ!
分厚い鉄板を叩いたような感覚が骨に響く。
「――ッ! やっぱ頑丈だな」
一護は素早く下がり、間合いを取った。
『初めの舞――月白』
グランドフィッシャーの足元が白く光り、一瞬で氷柱に捕らわれる。
地上で待機したルキアが隙を窺いながら新たな草むらに隠れた。
氷柱の中心に黒い亀裂が走った。グランドフィッシャーは唸りながら脱出した。
グランドフィッシャーの背がむくむくと膨れ、茶色い体毛が針と化して一護に襲いかかる。一護は斬月を振るい、剣圧で打ち落とすも、幾つか肩と脚に突き刺さった。
「ぐぅ……!」
一護は痛みに耐えて針を抜いた。
針は細かい返しが付いていて、引き抜くたびに一護の身体をえぐり傷付けた。
地表に赤い血が落ちていく。
一護は呼吸を整えた。
今まで鎧の虚と戦って学んだ攻略法はひとつ。
虚の懐に潜り込み、一護の霊圧で鎧を覆う霊圧を中和しながらゼロ距離で月牙を二回当てること。
一度目で鎧を破壊。
二度目で本体を倒す。
鎧に一度傷を入れなければ始まらない。
だがグランドフィッシャーは接近すると、敵にとって最も攻撃出来ない対象の形を取る。
一護はルキアに協力を頼むことを選んだ。
二度の敗北は許されない母の仇。
一護にとって最大のトラウマ。
一人で倒したかった。
だが、一人では倒せない。
どうしても、他人の助力が必要な時、誰に声を掛けるか。
仇を共有する父親。
中学から背中を預け戦ってくれたチャド。
死神と対立する滅却師でありながら、一護の危機には必ず駆けつけ、支えてくれる石田。
拒絶の盾を張る織姫。
候補は何人もいた。
皆、一護が頼めば喜んで命を預けてくれるだろう。
だが一護には、一人の死神以外有り得なかった。
ルキア。
己の無力という闇に囚われた一護を導く白い光。
共に過ごした時間は、皆の中で一番少ないのに、初めて会った時から命を預けられると信頼出来た。
現世・尸魂界。人間・死神。男・女。
何もかも正反対なのに、心が、魂が繋がっていた。
To be Continued