ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
―――【ガランド村】
翌日―――
太陽が登りきる一歩手前、村の中心たる村長宅にて。
「……ンにがー!!アー久しぶりによく飲んだぜ」
「うーあったま痛ぇ、今一体何時だ」
【村人】【農筋】
ゆっくりとゆっくりと、昨日の宴に潰れた酔っ払い共が床から身を起こす。
果実を潰して発酵させた田舎作りの質の悪い酒である。
酔わせ方も、質の悪いものとなるだろう。その死人が起き上がるような光景に。
パシン!!
「なーにがよく寝たよ、陽がこんな高くなる時間までネコけてこの酔っ払いども!」
「ほら水っ!、さっさと起きて働きなさい!!」
村の女衆たちは呆れたような声を漏らして、そのボケた頭を叩き飛ばした。
その手に強引に水を差しだすだろう。
「いっでっマジでいてーんだよ勘弁してくれよカーちゃん!!」
「何言ってんだい。酒に飲まれて昼まで潰れるなんて阿呆のやる事じゃないか。やることは山ほどあるんだからチャキッとしなさい!!」
そう強くきつく叱って、もう一度その頭を叩くだろう。
……と言っても、きつく頭を叩いた女も本気の本気で怒ってはいない。
村での宴などあって月に一度程度のものだ。
協力しなければ生きていけない田舎で、集団の団結を共有するために必要な行為でもあるのだから。
「たしかに、客人の歓迎とはいえ久しぶりにはしゃぎすぎたな」
【先導者の資質】【爺の黨訓】
"ヴィジ"こと村長、椅子に凭れ掛かって眠っていた彼も身を起こす。
明日の事を一番に考える立場にある。今日の予定に痛む身体と頭にいち早く動かして。
そして周りを見わたせば、件の客人の姿が、この場にない事に気が付くだろう。
「んそういえば、カイトさんはどこに」
「はい、村長さん村長さん!あの人なら急ぎの用があるからって、"書置き"を遺して朝方に出かけてしまいました。これです!」
ピョンピョンと小さな手に紙束を"エティ"と呼ばれた子供が存在を主張する。
一度、家に帰ったのにも関わらずいつのまにか何故かここいて、村長にまとわりついてる事にはもはやいつもの事だと誰も気にしない。
「おー、見送りもなしにそらすまないことしたな。とにかく偉いぞ"エティ"」
「えへへー♪」
少女は頭撫でられてご満悦にする。
ガさっ!
その傍らで、封をされたその紙束を開いて読んでみれば。
『―――村長さんへ、急ぎの用で帰りの挨拶もなしにごめんなさい。ただ帰り道が偶然被ったので"お狐様"についで会うと思います。これで多分、湖も退いてくれると思うので―――』
「「「は?」」」
現在進行形で『ガランド村』の頭を悩ませてる問題について。
さらっと、とんでもない事が書かれていた。
●●●
その一方で。
少し時間がさかのぼり、風が冷たく駆け抜ける朝焼けの治平。
―――【ガランド村:湖の畔】
そのほとりに流れる川の上流、その水の源たる湖のほとりの風景の事。
朝焼けの光景に世界は色を取り戻しつつ。
陰の気が流れ、陽の風情が朝焼けに世界に吹き込まれるだろう。
その中で、静かに息をひそめて歩く人影が一つあった。
さきの宴の後、村人たちが酒の余韻に豪快に眠るころ、やりたい事が出来て静かに抜け出した若葉の少年である。
これはただ勝手にやる事である。
だからきっと律儀であろう彼等には内緒で、彼は一人で抜け出してきていた。
「……ふぅ、意外と早かった。子供の頃はあんなに遠かったのに」
『隠密外套』【レンジャー】【野狩人Lv3/5】
魔物除けの、その外套のフードを外して感慨に息を吐く。
子供の頃、先ゆく
なお、アイツはお前に大池に映る朝焼けを魅せたかったと言ってたか、そういう奴だった。
『蟲タバコ』【精霊術Lv2/5】
煙が漂う。
土の匂いによく馴染む特殊な香草、その束に火のついたより気配を隠すだろう。
「成長したって事かな」
それがこんなに近く感じる事、奇妙な感慨に呟いた。
彼にとっては修練の苦痛と、修羅場の痛みの他に、久しぶりに感じる前進の感覚だった。
到着して周囲を見回す、風景は変わりない昔のまま。
そして見覚えのある、目的の影が見えた。
――― 一匹の狐がいた。
その金色の獣は湖の畔で身を休めている。
ただ普通と狐と違うのはその尾っぽは、参股に分かれてそれぞれに蕩やかに揺れるという事か。
何処か気品さえ纏ったその姿、何処か神秘性すら感じさせるだろう。
『―――シュン?』
【白亜の狐】
そして近づく部外者に気が付いたか、三尾の優雅に汰揺らし立ち上がる。
若葉の少年の故郷である"リウ村"、その裏の小山を縄張りとしている獣型のモンスターである。
なお、小さな山とはいえ、そこを主とするただ強靭な生き物だった。
小さな小さな世界に生態系の頂点に君臨して数十余年、それを締めてきた獣である。
「いくら紛れても鼻で気が付かれるか、やっぱりミストラルの補助がないと半端もいいところ」
己の術の未熟さにため息をつく。
彼等が徒党の得手の一つでである気配迷彩であるが、彼より卓越した精霊使いであり
「久しぶり、と言っても貴方にはわからないだろうけど」
若葉の少年はばれたならと、いっそその気配を隠す外套を脱ぎ捨てて歩を進めて近づく。
言葉なんて通じないとわかっていながらも、懐かしさについ声に出してしまう。
「ここらで狐獣、って言ったら貴方しかいないから。もしかしてと思った」
白亜の狐は近づくそれを認識して、
ゆっくり優雅にその尾を上げて、その目で近づく少年を不信に様子を伺うだろう。
その様子からわかる。それは今やまさに、今や一方的な親しみである。
うなり声が湖に響く。
穏やかだったその狐の口角が歪み、牙をのぞかせ吊り上がって。
『ギュウゥ、コーン!!』
【鬼火】【力宿りし三尾】
近づく若葉の少年に対して、白亜の三尾から人魂のような火が散りじりに、散弾の如く払い降られる。
これは狐獣にとっての威嚇行為である。
迫りくる、見た目通りの火の散弾である体系技術である、魔法で例えれば二章級のそれを。
バチッ!!
【魔法剣:炎舞の刃】
それをパチリと静電気を鳴らす様に、刃の一振りで払い除け道を作っただろう。
魔法剣による力の導線の誘導、それと体技のベクトルの同一、その程度もはや造作もない。
その勢いのままその足は、リズムを刻んで歩を進めて。
フッ
【ファストアクション】【舞武】【俊足】
それを振り払うままに一息に一気に、加速してその距離を詰める。
風を押し抜ける感覚、踏み込み大地を蹴るたびに、加速する身に任せるまま。
白亜の狐は、躊躇のないそれに面を喰らうようにしかし、野生の嗅覚に促されるまま。
【化生変化:たたきつける】
飛び上がり体重移動、獣として自身の特化部位である尾をより鋭利に叩きつけた。
交差する剣と、金尾が衝突し周囲に木霊する破砕音。
バキィ!!
鈍い鈍い、例えて俵を叩きつけたような音が響き渡り、反動に互いの距離を空けるだろう。
『グルルルル……?』
砂煙に紛れるまま、そのまま白亜の体毛を逆立てて、戦闘態勢に入るのである。
しかし、その双眼には何処か困惑が見える。
どこか懐かしいようなかつてあった時のような想起に、うなり声が次第に緩やかになっていく。
『シャー!』
「ン?覚えてるこのリズム、まぁ僕は"宮司"さんの予備だったからうろ覚えだけどさ」
【田舎育ち】【舞武】
それは過去に、この白亜の獣と隣り合って暮らしていた"リウ村"に継承された祭事の舞である。
役割を継いだ"宮司"はいたが、リウ村の子供達はそのリズムを童歌に聞いて育つ。
故に、ここで育ったみんな宮司の予備の様なものだった。
彼のそれは、もはや実戦に
「さて、お狐様、ぼくは正当な"宮司"じゃないけど、リウ村のカイト謹んで奉納たてまつろう」
あぁ、この狐は成り立ちの頃からリウ村の隣にあった。
始まりはわからない。闘争があったのかもしれないし、ただ興味本位に近いたのかもしれない。
そしてこの白亜の狐は賢かった。生きるために強いモノとの争いを避ける事を知る位には。
だからこそ大人たちが―――
残酷な世界に追い立てられ流れて"リウ村"を開拓した際に見出した付き合い方だ。
その疑心に応じるまま、確信に変えようと。
『―――シュゥゥゥ……!』
白亜の狐が四肢を振るわせて、優雅に大地を跳ねまわる。
揺蕩う3ツ又の尾から焔を振りまいて、燃え滾る禍つ魂が周囲を燃やし滞空する。
彼は勾玉のようなそれに包囲され、それぞれタイミングをずらして襲い掛かられる。
それに触れれば切り裂かれ、もちろん容赦なく焼かれるだろう。
跳ねれば跳ねるほど、その数は増してそれぞれに、周囲に切っ先ばかりが増えていく。
その包囲網を―――
たんずっ、たんと。
【舞武】
彼は普段とは違う歩調に、それぞれタイミングずらして避け流す。
迷いなく感じるままに、互いにリズムは知っている故に、これは戯れの様なものだ。
かつて、受け継がれていたもの、この懐かしき目の前の獣の性格は、よく知っているのだから。
その動き、その足取りから白亜の狐のとっても、その疑念は確信と変わるだろう。
随分と戦の匂いに塗れているが、懐かしいリズムの符牒だ。
気分のままに近くに出向けば、ちやほやして
『コーン!』
知古であるそれを認識してなお、その焔火をバラまいてその試すがごとく舞踏は続いていく。
そう、勘違いをするべくもない。
目の前の白亜の狐は、幾ら賢くとも獣の理屈で動く畜生に違いはない。
弱肉強食、まずはこちらが強いと、
"頑張ればお前を殺せる"と示さなければ、そもそも棲み分ける理すらないのだから。
舞々切り返す。若葉の双剣士は、交差する炎の勾玉を潜り抜けながら。
「丘の高台、太陽がよくあたるそこがお気に入りだった貴方が、なぜここに降りて居ついたかは知らない」
互いの距離に舞い続けながら、何処か余裕に言葉を投げつける。
勾玉の交差、確実に交わりながらも斬り流す、
そこに描かれるのは幾多もの焔の残像と、人の歩みに描かれる帯傀儡の如くである。
チィン!!
再度接近して、刃が奔る。それは三尾を掠めて白亜の毛が舞った。
そして、その中で一方的に主張を込めて刃に突き付けた。
「そこを退いてほしい。彼らには、きっと
『……コーン?』
あくまで獣は獣、人を真似る"精人"の様に言葉が通じるわけでもない。
力と悠久の時間を背景に暇を持て余し、人にちょっかいを出す変わり者の"大精霊"という訳でもない。
だから、獣の理屈に合わせて過去の符牒と力を背景に押し通すしかないのである。
一方、それは白亜の狐にとっては面白くない。それは
いつも通り、"奉納"を待っていればいつまでもヒトは来ない。
その群れの住処を、少し遠方から覗いてみたら、ヒトの群れは覚えのない匂い、変わってる。
不貞腐れて居心地もよくないのに、ヒトがよく来ていた湖に陣取ってたら、やっと来た懐かしい匂いのヒトは
『ココーンッ!!』
弱肉強食の獣の理に吠える。
主張をとうしたいなんらと、相応の力を示せと言わんばかりに吠えるだろう。
その力の源である"三尾"を眼前にねじれる様に束ねて、牙を剥いて眼前に力を集中する。
【化生変化】
それぞれの尾がせわしなく動き練り上げる、一極集中型の乱回転する大火球であり、
先とは違いヒトに向けた事にない、殺すための技である。
不意に始まったチャージのタイミングに身構えて。
「それは、初めて見るなァ!?」
彼は初めて見るそれに、焦りの叫びをあげる。
発生を潰す?
否、やり方を"奉納"に合わせ過ぎた。周囲の圧も併せてもはや間に合わないだろう。
双剣を
『絆の双刃』【腕輪の担い手:
ヒトは弱い。出力勝負では一分の理もない。だからどうにかして逸らす。
腕輪の担い手としてマナに展開した重なる装甲に、彼の感覚器の延長たる双剣を埋め込んで。
細工籠手から滲み、指先に滴る"呪印"の塗布を描くだろう。
もはやかつてと決定的に違えた戦の流儀、
集中、収束、回転、三本の尾が周囲のマナさえ収奪し完成する。
『グォオオオンン!!』
【賢狐】【精霊術】
そして放たれるブレスの如く地面を巻き込み抉りながら、乱回転の業火球が迫る。
対して彼は掬い上げる様に角度をつけ、呪印に沿って燃え盛るその腕輪の電子装甲に迎え撃つだろう。
ポーン♪―――バババババ……!
【腕輪の担い手:六華の花冠】
砲撃を受け止め、腕輪の担い手による投影装甲が、六華に花咲いて燃えて廻るだろう。
攻撃に対し導線を作り負荷を集中、花弁が廻り散ることでつながりの反発に衝撃を分散する。
設計者は儚紅の少女、"呪印"にて、周囲のマナにあるべき形を押し付ける。
マナにて形とられる腕輪の電子装甲帯があれば、空中すら自在に"呪印"による文様を描けるのである。
果たしてそれは正面からぶつかり合い。乱回転する火球に巻き込まれて花弁を引きちぎり散らして。
「だぁああああああああ!!」
大地を踏みしめ、腕を振るう。
花弁に埋め込んだ『絆の双刃』を振るう感覚に、角度に圧縮火球の砲撃の方向性を流し切った。
ドォオオン!!
背景で撃ち流された豪火球が爆発を起こす余波に肌が焼かれる。
「し、死ぬかと思った」
若葉の双剣士は冷や汗をかいて安堵のため息を漏らす。
動き出しが遅れた安易に躱そうとしても腕の一本は持ってかれただろうし、もちろん直撃したら、死んでいた。
これはある意味仕様通りの機能であり、それでいて勿論仕様外の運用だ。
そもそも今回に限ってはチャージ分の余裕があって成立した、まだ実戦に耐えない盾である。
果たしてそれはマナある限りの"無限装甲"として設定されたそれは、本来こんな小細工はいらない。
しかし、代替えである担い手には出力がまるで足りず、本来の性能に満たしていないのである。
『コォオオン』
【賢狐】
対して白亜の狐は。
改めて優雅に座して、目の前の人型の様子を伺うだろう。
一遇でもチャンスがあれば、己を殺しうる相手であると認めた故に。
そうでなければ、この賢き狐は弱き人の群れなどは、それこそ非常食として扱うのだから。
「……認めてくれた、って事でいいのかな?」
白亜の狐は、その匂いを覚えようと首筋に顔を寄せ近づけ、ふんふんと鼻を鳴らす。
それに応じても双剣を恭しく収めて、祭事の際に遠目に見たうろ覚えの儀礼に応えるだろう。
それは過去のかつてあっただろう光景だ。
これでヒトは山の愁いに村に、土を肥やして恵を生み出して、時折捧げるだろう。
対して、白亜の狐は何するわけでもない。山の丘にて見守るだけだ。
それでいても一帯の生態系の王だ。生きてるだけで他の地域からの自然に魔物の流入を抑えてくれる。
そうやってかつてこの賢き白亜の狐と、
"リウ村"の住人たちは、互いに生きる場所を住み分けて共存してきたのである。
なお、若葉の少年は知らない事になるが。
この白亜の狐はヒトでいうこの
故に"群れ"とならない孤独である。
生まれ落ちた獣の群れは明らかに育つにつれ、かけ離れていく異質な彼女を拒絶して追い出した。
賢さに排斥が、己が優れている事の証左と気が付いた事も悪かったのだろう。
鼻を鳴らして小馬鹿にして距離を取り、生まれついた強靭さにただ生きてきた、
そんなある日に山に迷い込んだヒトの子供を、気紛れに浚って住処に居させてやった。
―――そしたら文字通り、
ヒトの群れが子供を取り返さんと、目の色変えて手を尽くし必死に襲い掛かってきたのが始まりだろう。
あぁ、そこで彼女は群る事への強さと羨望を覚えただろう。
きっと戯れて孤独を誤魔化す悪癖である。
それゆえに発生したリウ村と、白亜の獣の奇妙な
●●●
そして時間は経ち。
―――【ガランド村】
『―――という訳で、"お狐様"はしばらく見守ってくれると思います。"奉納"のリズムと大事な転調は出掛ける時に子供たちに襲われ……、遊んだ時に"詩"にして伝えておきました』
そんな感じで、湖に居座り村人たちの頭を悩ませていた狐獣の事。
それと彼らが先人達がどう暮らしていたか、あくまで、軽い調子にすらすらと書き連ねられている。
「おい、そりゃほんとなのかっ村長さんよ」
「そりゃありがたい湖が使えりゃ、出来る事も増えるってもんだ」
「いやわからん。何人かやって遠目に見に行かせよう。近づきすぎるんじゃないぞ」
書かれていた事に村人たちは沸き立ち、その真偽を確認しようと動き出す。
基本的にこの世界においてモンスターは人類への敵対種であり、幾ら賢いと言われても容易には信じられないものだ。
しかし、その湖は魅力である。
大事な大事な水源であり、そして将来的に絹を織るときにも、水は必要になるものだ。
ドタバタと動き出す村人、その傍でまだ手紙は続いている。
『―――きっと"お狐様"はヒトの肉より根菜とかの油揚げが好きです。湖に捧げものしていれば割と手は出してこないはず』
文字から滲み出す親しみの念、しかし、そこに書かれていたことは良い事ばかりでない。
付き合いを間違えれば、余りに弱ければこの白亜の狐は―――きっとヒトをもしもの時の非常食扱いするだろうという事もである。
忘れるなかれと、あくまで相手はヒトの倫理などが通じないケモノであると。
それはともあれ。
『―――ただきっと僕達と貴方達の生き方は違うから、後の付き合い方はお任せします』
ただ、変化しないモノなんてありえない。
それはヒトも獣も同じ、近い未来がヒトが生存域を拡げて古い主を邪魔に思うかもしれない。
白亜の狐が飽きて気紛れに、村を襲って血みどろの生存競争が、始まるかもしれない。
きっと後の事は、そこに生きているものたちが決めるしかないのだから。
もはや若葉の少年はもはや生き方を違えた、ただの"部外者"でしかないのである。
『―――ただただ、貴方達が強くあれ、なによりも幸運あらんことを祈っています』
その手紙はそう締められる。
リウ村はもう滅んだのだから、だからその先も思い描けない。
そんな先人からの何よりも無責任な応援であった。
それを嚙み締めた村長のもとに。
「おーい!見に行ったが確かに、湖に居座っていた狐のモンスターがいなくなっているぜ!!」
「旅人さんの姿もない。でっけぇクレーターもあったんだがマジで何があったんだ?」
「そうかい、とにかく旅人さんが無事そうでよかったよ」
件の湖に、様子を見に行った大人たちがぞろぞろと帰ってきて声を上げた。
その報告を聞いた女衆が安堵のため息を漏らす。
確かに、そこには旅人の骸も、存在感を放っていた白亜の狐の姿はなかったとの事である。
察するに、おおよそこの手紙の通りの事をなして立ち去ったのだろう。
「―――でっかい借りと、山ほどやる事ができちまったなぁ」
【先導者の資質】【爺の黨訓】【責務を継ぐ者】
そう呟いて、村長こと"ヴィジ"はふうと頬に張り手を深呼吸に気合を入れる。
彼は親父の伝手やら、昔馴染みの行商人やら片っ端から土下座の勢いで頭を下げて、なんとか最初の基盤を整えた。
しかしそれは、あくまで借りであり、形を変えていつか返さねばならないものだと身に染みている。
「さてまずに皆、予定は早まったが湖畔に、水車を作ろうか人力以外で、粉を挽ければできる事はぐっと広がる。設計図はおれが引く!」
「「「うおー!」」」
そんなこんだで
かけ声に、一段となって彼等は彼等でこの厳しい世界を生きていくのだった。
設定してたカイト君が最初から持っている『舞武』の背景についてです。
村の伝統文化である舞が体技の根っことして存在しています。
それはいつか狐に攫われた子供が、
その住処に置かれて、少なからず暮らした際に覚えた狐のリズムと癖。
結局殴り合いの後、村に帰ってきたのでそれを、対話の手段として大人達が用いたものになります。
なお、結局の所リズムゲーに合わせた特化した舞でしかないので、アレンジしなければまったく実戦に耐えません。
正式な宮司さんの始まりはその攫われた子供で、そこまで強くないです。
書き初めに大精霊おこうと思ったけど、そんな所にいるわきゃねぇだろ!
というか、強すぎて共存する理由がない無理げーだと却下されました。
【もう出番ないお狐様背景】
・もともと"ロコン種"が変異した白磁の月の如く
・現在進化しているが三尾であり、"キュウコン"としても歪な存在となっている。
・特徴としては、同種の中でも知能が高く三尾によりマナを練り上げる能力に優れている。
・同族とかけ離れていく成長に、群れを追い出されたことは賢さから強さからくる排斥だと理解し、優越感を覚えていると同時にそこから一匹であり寂しさを覚えている。
・本当に戯れに山に迷い込んだ子供を拐かして、いつか食べようと世話していたら……。
・リウ村の祖父世代あたりが罠でも何でも手段を問わず、
弓も数揃えて取り返しに来た為交戦、群れる事の強さと羨望を知ることになる。
・素直に子供も帰した事で、その感謝とそれから奉納と言った形で示される。
・人が変わった物をよこし、時折大騒ぎする事は理解は及ばないが
ちやほやされるのが嫌いではなく、いい気分になっていた。
・なお、最近来ない事に、お狐様も不貞腐れ別に居心地もよくないのに湖に居座ってた。
・なお、
・仮にそれを認識しても、彼女はヒトの味方という訳でも断じてない。
弱肉強食の理だ。ただ跡地を見つめて寂しくコンと鳴いただろう。
・この後人とこの狐がどうなっていくか不明、いつかどちらかが邪魔になる未来が訪れるかもしれない。