ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
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―――炎上の『覇濤首国:セレクティブ』
その一幕、暴力に流れた半端な傭兵たち、反転して畏れた羊の狩場。
若葉の少年が、瞳を見開いてこの状況で無法を貪ろうとした連中を目で射殺すだろう。
たいして惨状に腰が引けながらも、尚狩られる側と認めたくない羊共が足掻き続けて。
すでに幾多モノ人型が燃え上がり、または燻り異臭を放ちながら、転がっているだろう。
大雑把に振るわれた暴力の荒廃が土煙、属性石も混ざ合い。まさに戦場の匂いである。
先には平和を謳歌していた変哲もない公園は、悍ましい光景と変わり果てていた。
「これで―――」
『ネイキッドソード:怨嗟骨髄』【鮮血感応】
ベキッ!
腕が折れる鈍い音がする、いやへし折った。
それは
これを作用点にして『手甲』の魔具使いの腕を関節の継ぎ目からへし折ったのだ。
「5つめ」
ダンッ!
【腕輪の担い手】【精霊術:
首巻回し、崩れた膝から敵の丹田に向け
同じように『魔具』が
また一つ、燃え上がる。つんざく悲鳴が響く、頭を揺らす、きっと妖刀が喜んでいる。
”ざまぁみろと” 、”もっともっとくるしみを”、"ぜんぶぜんぶおなじになってしまえと"。
(……っ…"妖刀"って、こういう、ものか)
若葉の少年が怨嗟が伝わる、引っ張られる、感化させられる。
獣狩りの彼には、どれだけ人を斬れば、こんな悍ましい卵殻が出来上がるか見当もつかない。
次を次をと、"生贄"を求め沁み込んだ"
(きもちが、わるい。ニンゲンってなんて柔らかい。いっぱいいっぱい、声がする)
若葉の少年は務めて息を吐いて、空を見上げて正気を保とうとする。
―――噂に聞いたことはある。意思を持つ武具に憑りつかれて凶行に走る冒険者の話。
総じて、”悪魔憑き”といったか、それらには優れた戦士と契約し疑似的咀嚼・消化器官(生贄)として
首を絞めるようにリードを強く締め、身体の
ヴィン―――!
「くそがっ、この動くな近づくな来るんじゃねぇ!」
「!」
光の鱗粉が舞う。周囲に熱があふれる。
それが隙に、周囲の建物に、多数の
背後より声、どうやら仲間を囮に食われているうちに、逃げた振りで準備を整えたらしい。
魔法陣の遠隔投影と操作、蜘蛛の糸を張り巡らせる如く、それは魔具に登録された
『上位魔具:
「死ね死ね死ね死ね、死んじまえ!!お前さえいなけりゃァ今頃は!このバケモン―――?!」
【魔法剣Lv2/5:火炎独楽】【舞武】
グルん、バッ!!
しかし、本来高度なものであるそれが完成されるより早く、手首の回転と供に妖刀に手放し、
その回転と加速を伴った火炎独楽は、『光槍』の魔具使いの顎をぶち抜いただろう。
その体技は、まるでヒトリオオカミが曲芸の如く、刃の翻しである。
「—――っ」
ぱしっ!
若葉の少年はそして手元に繋がった解けた帆布を巻き戻して、妖刀を手元に取る。
意識がぶれる。少し鞘の封を緩めただけでこれだ。
悟る、きっとおそらくこの帆布の封を解いて刃をもって直接人を斬る。
きっと、それで戻れなくなるだろう。彼は”肉”を持つとはいえ、たかが一つの声だ。
だから刃に布巻きを”呪印”をもって封じている。鞘をした刃など鈍器でしかないが構わない。
きっと、この先はまっとうには、進むべきではないのだろう。
ドクン。
わかっている。しかし、だが身に刻まれた"疵"の痛み。
呼吸法に加速した心音に染みる痛みを伴うほどに熱くなる。それで一気に引き込まれてしまう。
「タリナイ」
『怨霊巫器:
若葉の少年は息を吐いて犬歯を剥き……。
更に焦点の合わなくなった瞳を、弱ったエモノに見開いて呟いた。
―――この世界に、都合のいい覚醒など、ない。
だから、故に、あのヒトリオオカミに刃を突き立てるには、奪わなければならない。
己が足りない"時間"を 、
この世界の最前線の光景、天秤に乗らぬほどの己の
半ば、朦朧とする意識の中、餓鬼のように、歩みを進める。
「……!……く、来るなぁ!糞がっあグ?!」
ふらつく『光の槍』の魔具使い。最後の"エモノ"が喉に、剣柄突き立て壁に叩きつける。
そしてほかの連中と同じように手印をもって
勝つ為、魔導文明由来の魔具を
その、生きるための循環を吹き込むマナを、すべてを燃やして、奪いつくすだろう。
しかしまさしく足掻き、最後の力を振り絞って炭化しつつある腕が迫る。
「お、おおおおお、のおおれぇぇえクソガキがぁああ、なんで俺がこんなっ!こんな目にお前もお前がァッァァァ!!」
ギュウ!!
そう燃えながらもただ恨みを、死力を振り絞って”声”を上げる。
「いたい」
首を、絞められた。
筋は割れ目は蒸発し碌に力が入ってない。燃え続けているのだ、当然だろう。
ただ強い強い、恨みと怒りと無念の感情とともに、成せた執念という奴である。
今の若葉の少年は、それ自体に感化してしまう。なぜか、その手に抵抗する気が起きない。
「怖い?憎い??それともただ痛い???」
ぎゅううううう……っ!
締め上げる音と共に、触れられる。
目の前の"エモノ"の底力とともに"痛み"を尽きない感じる、そうだ"痛み"だ。
その足搔きは、どうも彼の暗中模索の頃より身についた悪癖に結びついてしまった。
"痛み"は、居場所を、教えてくれる。
"痛み"は、前進を錯覚させてくれる。
"痛み"は、応報を実感させてくれる。
何より"痛み"は、己が業に対する免罪符となりうる。
「そうだ。おんなじ、いたくて痛くてこわいのはいや」
目の前のエモノでなく、妖刀への問いかけ、まるで今や妖刀に憑かれた”狐憑き”のようだ。
「ぼくもあんたもだれもおなじなら」
精霊術師の落とし穴、呪いといえど多数の声に、共感して酔うは容易く踏み外しやすい。
己が血にて孕んだものなら尚更、幾多の声が、刀とエモノすべてがエコーする。
反響する。
「こわいもの、全部全部全部、燃やして―――」
【正道の歩み→
若葉の少年の貌が犬歯がのぞく程歪む。妖刀が釣られて笑うように供に震える。
それが行き着くのは若葉の少年が、応じて容易く身を削る故に、辿り着いてならない発想。―――"強い感情を呼び水とする"。
『精霊』の類には生存本能に髄した"痛み"が、"通貨"になりうるという発想である。
それは間違っていない。確固たる自分を持たない"胞子"の如く生まれ消える小精霊は、そういう
きっと、我流の精霊使いなら道筋にだれでも辿り着く発想だった。
だがそれは今や廃れた。ただただ効率が悪い。修験者の如く古い、間違ったやり方である。
それが
風が吹いた。
―――そんな深み、声が反響する淀み
見憶えある形の影と、熱を伴った一陣の風が肌に駆け抜けた。
きっと若葉の少年はその影の形に見覚えがある。
「…?」
たったそれだけの事、彼は彼の
なぜか惹かれて、その方向を釣られて見れば、そこで盛大に戦っていた。
『空戦機巧:ガーリオン』【
「—――あ、飛べたんだ。
それは穿光を投げつけ合う、蹈鞴踏むような軌跡でわかる。
戦っている。その軌跡は、きっと恩人のそれで、再会した忘郷の戦友のそれだ。
この広い大空の中で、雲を切り裂いて、辺りを満たす雑音など知らぬとばかりに鋭く高く。
ぽかんと口を開いて、それを少しだけ眺めて。
「ふぅ」
首を絞めた手を払い。
空を見上げて深呼吸、息を吸って、吐いた。
「うん、おめでとう」
この場の匂いにある種に場違いな、彼の彼としての自然が零す。
夢の話が好きだった。それは田舎村に暮らしていた頃からだ。
貧しさに生きる為にするべきことが一杯あって、その合間に誰かの話を聞くが好きだった。
戦う事よりもずっと、本能染みた狂羅の輪廻に落ちても、
それを軸に、多数の声に揺れていた意識の軸が定まるだろう。
ギュっ……!
再び妖刀を握りしめ、帆布を強く封の締め付け従えと首輪を引っ張った。
もう揺れない。
となれば、まずは状況把握だろう。
敵が多すぎても、襲撃からの事態の急変に、わからない事だらけでも、己は冒険者だ。
変わらずこの港に冒険者としての依頼がある、仲間がいる、友がいる。
そこから自然と目的が線引きされる。
欲張っても、己が分はそこまでで、死力尽くすのは変わらずとも、刃の行先は決まっている。
それ以上の事は船娘や
「ミズキ君、いる?」
若葉の少年は体制側への心当たりに、虚空に問いかける。
すると、その声に応じて、公園の一角から輪郭をもって浮き上がるだろう。
若葉の少年は、浮き上がる思いの外近かった距離に目を丸くする。
「びっくりした。色迷彩を見抜くなんて、どうやったのかな」
【覇濤の幽水母】【潜伏者】【カモフラージュ:解除】
ハスキーな声、透き通る色彩を纏って現れるのは、
命の恩人、覇濤支配者である魔王が『眷属』を名乗った、先の茶会で会った水母の如く少年であった。
与えられた使命の為、まるでカメレオンのように環境に溶けて隠れていたのだろう。
「良かった、本当にいた。こんなに近くに、全然気が付かなかった。凄い」
「え、
「うん。監視対象って言ってたから、近くに居たら都合いいなぁってさ」
それを聞いて水母の少年は、失敗してしまったと、恥ずかしそうに傘をさして顔を隠す。
間を取って反応を見ずに、こんな簡単なカマかけに引っかかってしまう。
思ったより彼は単純なのかもしれない。
「手を貸してほしい。お茶会で言った通りぼくは冒険者として動く。この状況で、優先事項は僕の監視?それともこの馬鹿騒ぎの対処?」
「……わからない。海魔柱『ダゴン様』から、不穏分子の冒険者カイトに対する指示がないんだ」
「そう。なら、
「う、うーん。どうしよう」
【上級眷属】【水母の化身】【月衣:鏡花水月】
若葉の少年は、上級魔人の
ただ彼の手が欲しい。彼の視点で見えるだけでも特に
一つは
一つはヒトリオオカミ。ラップランドと名乗った、己が遥か彼方の
ただ一人でも遥か格上、彼らの
(足は一つしかないけど、何一つ思い通りにさせるもんか、吠え面かかせてやる)
だからこそ、
危険と知りながら、”妖刀”が声に耳を貸し
友人にこの港に根付いた夢の話を聞いた。火くべる、それがきっと正しいと信じて。
たいして、水母の少年はあの狩りを見てなお、ただ悪人を排除しただけと極端に思う。
己が使命とうんうんと悩んで……。
「いいよ、そこまでしなくて大丈夫。悪い人がこんなに増えちゃった。おにーさんは"悪い人"じゃないと思うから」
「ありがと、助かる」
【善悪二元論】
皆を困らす悪人を消しただけ、その生まれと特異性、純粋さ故に、極端な判断する。
本来なら少なくとも余所者、不確定人材である。あるいは"爆弾"であるかもしれない。
それは変わっていない。望むべきは指示があるまで"保留”の状態だろう。
しかし、それは既に爆発した"爆弾"をよりも、突如あふれ出した”悪人”たちより優先されるかといえばそうでないだけである。
そう決まった。なら。
「リコ」
「ん」
リィン♪
【円環精霊】【Call My name】【
儚紅の幼子を呼んだ。
待ち侘びた様に焔の花が咲き、薄紅色ワンピース揺らして人形の如く幼子が現れる。
『セレクティブ』をよく知っている友達を助けてほしいとお願いしたら―――
すっと自然に増えて驚いたが
そのまま少年の肩にふよふよと座って。
「みんなは、どこにいる?」
儚紅の幼子は久しぶりの人見知りを発生させ言葉少なく、指刺す先は。
「あれはお茶会で聞いた。融和コンサートの『海上ドーム』、か」
幸運にな事に、先のお茶会で知ることができた導火線、平和の祭典の舞台―――。
しかしとして、500年前の『対魔戦争』の負の遺産が燻る導火線の一つであるらしい。
自然に結びつく、冒険者だ、あんな所にいるのは依頼だろう。
つまりきっと仲間は、護衛対象の
その会場の上には、どうやら海上で襲撃された
特に奪って優位性の見えないあんな所を制圧したのだ。
何をしでかすつもりか検討つかない。
ただ―――
「……ん?」
『腕輪の担い手:電制感覚』
『ゲルググマリーネ改』【情報支援】【広域多目的センサー】
先の海の襲撃で見かけた、異質な円盤の如く背負い物をした
それがコンサートドームに向かっている。
指揮官か?観測手か?それとも何かしらの魔術の仲介か?
戦術、戦略、そのどちらにも馴染ない冒険者あがりの知識では判断つかない。
しかし
「うん、手出しが決まった。行こうかリコ」
「ん—――♪」
【聖錬冒険者】【狂羅輪廻】
だがしかし、あの特殊な
きっと、おしゃべりである必要があるなら―――
「ミズキ君」
「なに?冒険者」
「あの包囲の先、ぼくたちが空白作る。それを、そっち仲間に伝えてくれればいい。
やることは決まったようなものだ。
「信じるかは、そっちで判断してうまく動いて」
邪魔をしてやる。
彼が見える考え得る。敵対者の最悪手に向かって、足は止まらない。
積み木積まなきゃ。
妖刀らしさと、外道に手を出したリスク落しこまなきゃと錯誤したけど、うまく書けない。
経歴ないから格上相手は、全部何か拾わなくちゃいけなくてめんどくさい、文章が無駄にかさむ。
全然うまく書けないけど、積み木積まなきゃ。