ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
かなり前の基準で評価して、出力併せて15(双武級)?
場合によっては魔王級2~3に囲まれても普通に殴り返せる位っすかね?
これで変身一回残してるんですよねこの人。
あれから少しだけ時間が流れて。
件の最強を背負う者同士の伝説の
【聖錬】中の戦士問わず、一般人が羨むその当日が訪れていた。
―――闘争都市【ルミナ・クロス】
その会場となる”竜賢宮”の
ここは彼等が冒険者程度の試合が行われていた【紅魔宮】とは異なる。
上品さを取り繕い、闘争の闘士自体の互いの技巧を、更に付加価値を演出する”闘争都市”の商業スタイルの真髄である。
強力な陰陽術を用いた結界の発振媒体を取り付けており。
万が一にも観客に事故が起こらぬ様、配慮されているそうだった。
「はえー!豪華だし凄い盛り上がりね。どこもかしこもぎちぎちだわ」
「そりゃね、前にも言ったけど、”最強”同士のしかも片方は生ける伝説だよ。そんな試合なんて滅多にないから」
そこに彼等は隣通しの席に座りながら、話していた。
その腰に武器はなく、防具も最低限に、衣服も目立たない様に出先で購入した普段着であった。
観戦者は初動で手に入れた幸運な一般人も混ざってはいるが、チケットの価値から、大概は札束で殴って獲得したような上流階級達が大半だ。
「にしても良かったの?新品の服買ってもらったりしてさ、そりゃあたしは嬉しいけどさ!」
「うん仕方ないよ。使い込んだ防具を着たりしたら、目立って仕方ない」
他に大会にて観戦券獲得した
(流石に、ボロ着てたからって追い出される事はないだろうけど…、痛い出費だ)
仮にそんな事をしたら、直々に提案した”永遠戦姫”の顏に泥を塗ると同義であるのだから。
割と痛い出費に、彼の貧乏性が悲鳴を上げているのだが。
しかし、念を入れて損はないだろう。
「あ、ぴろしさんだ」
「ホントだわ。こんなに人いても、やたら目立つわねーアイツ」
だがそんなこと関係ねぇ!と言わんばかりに、目立つ。
対角の観客席の後方から、こちらにぶんぶんと全力で手を振りまわす巨漢が見えた。
なお、彼は武器や防具を外して座してなお巨体であった為、流石に後方の客の観戦の邪魔になると。
観客席の後方に誘導されていったので、離れての観戦になったのである。
「他は、もし
「ふーん。そんなもんか。鍛えてさ、追いついて共に闘ってやるって気概はないのかしら」
「ふふ、そんな事できるやついたら、そいつが例外と言うか英雄だよ」
その脳筋スタイルで前向きな考えに、少しおかしくてくすっと笑う。
確かに英雄の具現たる
志半ばに息絶える確率の方が高いだろうし、仮に辿りついた奴は一般人カウントしていい物ではない。
『―――会場にお越しの皆々様、お待たせしました!この世紀の一戦、両陣営の準備が整ったとの報告がありました!』
会場のざわめきがいよいよかと一層と高まる。
「おっと、そろそろ始まる時間みたいだね」
「あいよー、静かにするわ」
●●●
『―――それでは入場と、そんな一辺に済ましてしまうのは勿体ない!まず一人一人の紹介と参りましょう!皆さま盛大な拍手でお迎えお願いします』
流石の声量である。演出に慣れているのか、観客を煽る様に段々と声の調子を上げて行く司会。
『東の
東の入場口から、立派な巫女装束ととも見える衣装の美少女剣士が姿を見せた。
「よしやるぞ!
―――【紅宮皇】【双剣士】【炎神楽】【阿修羅姫】
その様子は堂々とした物であり、観客に媚びる様子は全くない。威風堂々宮皇の風格を放っていた。
【刃石楠花:揺れる手鞠胸】
観客席から野太い歓声が上がった。華のある美少女であるは勿論だが、激しく舞い刃を奔らせる度に脈動するアレに惹かれてのファン層がやたら多かったりする。
『―――続いて、強さを求め続ける孤高なる狼!その圧倒的なフィジカルから放たれる拳と蹴りは大地を斬り裂く”耀きの拳”と讃えられ、真正面から敵対者を打倒し続けた事から”天拳飢狼”と評される”【碧聖皇・天狼】”--!!』
続いて現れたのは巨漢であるが、すらりと引き締められた筋肉を持つ獣人の男。
「伝説に挑むか、三対一というのが気に入らぬが致し方あるまい」
―――【碧聖皇】【拳術師】【天拳蹴撃】【修羅道】
腕を組んで佇むその姿は、覇者そのものであり、獣人の一種族である
『―――そして最後にこの男、闘争都市ルミナ・クロス最強を誇る!長年チャンピオンを護り、対峙するすべての挑戦者を解体する様に封殺してきた事から”解体紳士”の異名を持つ、更に多くの知識を専攻する医者でもある男!竜そのものに匹敵する【竜賢皇・大白】だーーっ!!』
そして最後に登場したのは、落ち着いた雰囲気を纏った壮年の白髪黒肌の紳士。
「さて、この老骨がどの程度、最強に通じますかな」
―――【竜賢皇】【銃剣士】【治験予賢】【夢幻修羅】
片陣の最強がここに降り立った。
特にその頂点たる【竜賢皇】は、一般的に言われる実力は【聖錬】の歴史に深く根を残す、まさしく超越者であった【竜人】、それに打ち勝ち互する者であると言われる由来を持つ。
延長として、選抜血統と”竜具”を持って竜に至るという、聖錬武力の象徴たる戦姫にさえ匹敵する。
聖錬南部【パリス同盟】においても有数の”特記戦力”であった。
また他の
『―――さぁ、対しますのは”一人”、パリス同盟…、いや【聖錬】と言う国が誇る生きる伝説たる【永遠戦姫】、幾多の八罪十罰を屠り続けた
その言葉に特大の演出の後に西から入場したのは。
先に向かってすらりと伸び燈み揺らいだ、炎の様な
【偶像少女】【正義の心】
その見た目は美幼女。しかし、その瞳に宿る意思の強さは、他者の存在を圧倒し、その優名を示す。
―――【永遠戦姫】【双剣士】【舞闘】【修羅双乱姫】
「おいーっす!今日はかわいい弟子のツインテールのために頑張るぜー!」
笑顔でニコニコ余裕を示すように、悠然と中央に歩みを進めていく。
なお、ツインテール発言は本気で言っているのだが、一般人である観客は余裕の顕れとして認識し、一瞬笑いが巻き起こった。
「ちょ、ちょっと。あたしだって成長したんだぞ、もう勝てる気でいるのか、少しは興味持ちなさいよ!」
「ふん、ツインテールの為だと、舐めおって…っ!」
その様子に憤る、”宮皇”達。
自身のペースを貫ける事も、この世界では一つの強みではあるのだが、まだ若い彼等には挑発として受け取ったとしてもしかたない。
「さてでは、お手柔らかにお願いしますよ。私ももう年です。かの名高い
「そういう事抜かす爺に、生易しいの居た試しがないんだよなー、いつもなー」
【鑑定眼(真)】
そう言いながら瞳に剣呑な色を宿らせ所為を観察していく、闘争都市最強たる【竜賢皇】。
彼の天性の観察眼は、何気ない所為からその対象の戦力を測り、癖を見抜いていくのだ。
『さぁそれではお互い配置に付いてください。
とにかく役者は揃った。互いに武器を構えて臨戦態勢に入る。
双剣を、拳を、機械型の銃を手に持ち抱え。
天上の舞闘の準備を。
傍人から見れば、三対一は卑怯に思う得るかもしれない。
しかし、相手は”永遠戦姫”、生物的に格上である上に、四年毎の
故に、彼女と相対するには
「まぁどっからどこでも掛かってこいよ。受けて立つぜ」
「必ず後悔させてやるぞ」
多少の緊張、空白の時間が流れて。
『―――では、試合開始ィ!!』
そのアナウンスの掛け声と伴に、両陣弾かれるように動き出しぶつかり合う。
「―――さぁいくぜぇー、まずは小手調べだ!」
【魔法剣】
初手を取ったのは”永遠戦姫”だ。予備動作もなく彼女の
|魔器呪印とは、戦姫”テイルレッド”が持つ技法。刻印技術と呼ばれる魔術である。
本来魔力を充填することによって発動する。外的依存型魔道具の活用方法であるのだが。
彼女の場合、竜具である
具体的にいえば炎のオドに可能であるなら、”
自己の肉体を弄って、自在に自己に付与できるという事である。
『うおおおおお!?』
いきなりのホットスタートに会場が盛り上がる。
それは一時的に
その魔法剣の威力は、武力に鳴らす【王国】六神武貴の聖剣、それの足元に届きかねない。
こと炎に関する人類の知見の範囲で出来ない事はないのが、”テイルレッド”と言う戦姫である。
言うまでもなく、この世界でも最上級に頭オカシイ類だ。
普通の戦士ならば二桁を越え灰にしてしまうであろうその圧倒的暴虐。
「させませんよ」
「ハハッ!そう来なくてはな!”碧聖皇・天狼”、いざ尋常に参る!!」
【乾坤一滴】【錬気法:マッスルベアー・トロールバイタル】【修羅道】
それに一切恐れずに立ち向かうのが、彼等”最強”を背負う者の領域である。
事前に持ち込んでいた、”炎属性を練り込んだ”丸薬”を一噛み、炎属性を取り込み適応。
迫る炎に呼吸を持って身体を向上させ、独自の構えを取って。
「覇ァ嗚呼アアアア!!」
【天拳蹴撃:仁王槌】・【治験予賢】【タクティカルガンナー:支援射撃】【鑑定眼(真)】
ズガァァ!!
彼は文字通り踏込みと拳を持って、その聖剣に匹敵する一撃を食い破った。
ただし、これは彼の力だけではなく、それに併せて、薬品の銃撃を撃ち込んだ銃剣士がいてこそだが。
そもそも試合開始直後の臨界状態でなければ、容易に予測し横弾で防げたのが”竜賢皇”の領域である。
更に。
シュン!
「へぇ、避けると思ったけど、食い破って隙を捻じ込むか。やるじゃん」
「……っ!?傷一つ通らないか!」
【二刀流】【神楽舞:破裏剣舞】【陽炎】【阿修羅姫】
続いて剣戟の炸裂音が響く。
そして初めから食い破る事を想定して、その破裂せんばかりの炎のオドに身を隠して。
密かに奇襲し斬りかかったのが”紅宮皇・揺光”が炎の如く双剣である。
もはや精人の
”揺光”の火属性は攻撃に対する多少の耐性になり、障壁を張って無理を通しているのである。
「永遠戦姫ッ!今日こそアタシはあんたにこの舞を、刃を届かせるッ!!」
「そういうノリは嫌いじゃないぜー、さぁ踊ろうか!」
【双尾の舞】【炎の担い手】【修羅双乱姫】
ガガガガガガ!
そのままの勢いで一瞬の隙なく流れ回転する様に斬り合う、二人の美麗の戦士達。
”永遠戦姫の”身体自体は幼いが、その
既に人類の範囲を逸脱しており、舞いの力強さも完成度も、例え”紅魔皇・揺光”であろうと大きく劣る。
だがそれでも、この例外相手にに数秒でも保たせている理由は……。
「たとえ、伝説だろうと負けるか…!っつ!」
【炎神楽:炎の呼吸】【鍔受け】【努力の才能】
一重に彼女の強い憧れと意地である。見切れぬまでも鍔で斬線を流し続ける。
完成に至った”永遠戦姫”の武舞の美しさ自体が彼女を、
「独り占めしやがって、どけ”小豆娘”ッ!」
「ふん、アンタが併せろ”電柱狼”!!」
【天拳蹴撃:獅子連撃】【錬気法:ダイヤモンドアーム】
その舞に数秒遅れて、”碧聖皇・天狼”が殴り込みをかける。
ドガガガガガガガッ!!
彼等は無名時代からのライバルである。
罵り合いながらも、互いが攻略する為に読み取り合った呼吸を合わせ、妨害せず連携を成していた。
「―――さて、私は若い二人を尊重させてもらうとしますか」
「っ厄介だなぁ!その弾丸。的確にオドを散らされるな」
【治験予験】【調合知識:中和弾丸】【タクティカルガンナー:援護射撃】
更に、合間を縫って撃ち込まれる、調合薬品の弾丸が彼女の行動の出先を妨害し続けるのである。
そして、その三方を持って長くの激しい絢爛たる武闘を鳴り響かせ続ける。
「いいねぇ、若いって言うのは、さぁオレもギア上げて行くぜー!」
反して、”永遠戦姫”の方はまだまだ余裕の表情だ。
更に既に闘技場には、彼女の炎オドは、多くばら撒かれていた。
【壮美の舞:轟炎の鞭】
「っち、きゃあ!?」
「グお、何だ髪かこれは!?」
闘技場に陽炎のように”呪印”が描かれ、巨大な轟炎の鞭が顕現する。
そして不意を突くように、それを先程からピコピコ揺れていた
ここからが彼女の戦姫としての本領の舞である。
―――【美双にて舞い踊れ永遠戦姫】
【双尾の舞】と【壮美の舞】。この二つの舞が合わさり彼女の舞いの鋭利さが合わさった時に。
彼女の全ての行動はリズムに併せ、
―――そう、一度舞い始めたら小人に抗う術はない。
「おっと、させませんよ?」
「―――んあ!?ちょっおま!だからホントこう言う爺に碌な奴いないんだー!」
【予見:見切り】【タクティカルガンナー:インタラプト】【観察眼(真)】
鼻っ柱に強い刺激臭を伴った弾丸が破裂する。そう一度舞い始めたら、である。
炎の鞭を躱し、追撃を出先の呼吸のリズムを弾丸にて殺し続ける”竜賢皇”太白が居なければ。
後は蹂躙劇となっただろう。
勿論”永遠戦姫”クラスともなれば、銃弾だろうと自在に防ぎ躱すし、ただの弾丸はそもそも効かない。
だが”竜賢皇・太白”の扱う銃は、
【調合知識】【火薬知識】
今回の場合は純粋な調合した弾丸や、科学爆発を起す弾丸を装填し、適度に出先に撃ちこんで、マナたる肉体の”永遠戦姫”を牽制していた。
これを成す事ができたのは【観察眼(真)】による、真贋、フェイントを見抜く天性の眼力。
医者として
そしてたゆまぬ鍛練と、幾多の闘士を封殺してきた対人戦闘経験がなせる。
その文武両道それぞれ極めた、”竜賢皇”太白にのみに許された
「くそこっちを、アタシ見ろォ”テイルレッド”!」
「まだだ、まだ終わってないッ!」
【炎神楽:削三連】【阿修羅姫】・【戦闘続行:プライド】【修羅道】
そして復帰した、前衛二人に挟まれて、斬撃と爪の一撃を舞いで躱して受け止める。
彼等は先の轟炎の炎鞭によりダメージは負っているが、その程度で止まる程に安いプライドはしていない。
そして相変わらず、太白が放つ出先で飛んでくる銃撃はウザったい。
「んー、となると
「なっ!」
【陽炎の化身】
そう呟いた次の瞬間、”永遠戦姫”の姿は文字通り搔き消えた。
自身の全てを透明なる陽炎へと変質させる。本来は接触したマナを己の属性へと変質させ、一切の魔力性防壁を無効化し、透過する攻撃的な技能である。
しかし、周囲にばら撒かれたオドは精人の上位種たる彼女の延長であり、
「チィ、後ろだ”小豆娘”!」
「おー、流石は
―――ザン!
空間が揺らぎ、そこからする剣の軌跡だけが辺りを斬り裂いたのを、嗅覚だけで殴りつけた。
先程、叩きつけられた刺激臭のする弾丸も追跡に一躍買っている。
「なるほど確かに、これは厄介ですね」
この陽炎で”賢竜皇・太白”の【治験予賢】による弾丸の牽制も、翳り崩し始めた。
対して姿が見えずともその剣舞は衰えず、確かに刻み続ける。
【壮美の舞:模倣邪神具】【マナの手/四刀流】
大気中に描かれる真紅を基調とする優美な色彩が陽炎に身を潜らせ、隠しながら。
しかも”露骨”に最初に見せた以外は虚実を織り交ぜて、揺らり揺らり四本の軌跡が縦横無尽に舞う。
”明らかに最初の一撃は魅せて試されている”そんな動き。
「っだー!なんだそれアタシの舞の上位互換じゃないか!?」
「ふははは、弟子にできてオレにできない訳ないだろー!」
【火神楽:揺らぎの炎の呼吸】【鍔受け:マジックカット】
それを知る揺光が両刀を円を描く様に、防御に費やして身を焼かれながらも凌いだ。
”紅魔皇”揺光が基本にする立ち回りは重心制御を極め、炎の揺らぎの様な掴み所のない呼吸と舞いに。
火が付く様な靱性を持って、如何なる姿勢からでも斬撃を潜り込ませる技法である。
その呼吸だけを上位互換に使いこなされ、陽炎の虚実、呪印の模様を分身の様に伴に斬り込まれるそれは、既に別の技術として完成していた。
「っぐ、カッハ!」
【錬気法:トロールバイタル】【超頑強】【戦闘続行:プライド】
それを伴に凌ぎ焼かれるそれを【錬気】で傷を抑えながら、殴り続ける”碧聖皇”である天狼だが。
実は
”錬気法”を収め、身体の部位を一呼吸でオドを活性させ変化させる事の出来る彼だが、その呼吸が時を経る程に苦しくなる。
事前に炎に特化した護符も十分用意したが、辺りは炎のマナに満たされ吸い込めば喉を焼き、肺を崩すしていく。
それが”永遠戦姫”の熱量、既に唇焼けた爛れて戻らず、戻したくなるほどに痛めていた。
故に。
「―――ふん、ならばやるか」
【牙装:武獣覚醒】
あの陽炎を追い切れるのは嗅覚に優れた自分だけだろう、自身の切札を費やす事に、躊躇いはなかった。
それは聖錬の中央より北部に存在する獣人の国【メルマック】、数は多くないがそこで開発された雑種の獣人でも使える様に製造された魔具を
「は嗚呼あぁぁァアアア!!」
自己の力に拘る彼が持つそれは、
そして、元々高い獣人である彼の身体の出力が極端に強化される。
外部器官の増設、純然たる獣への回帰。
三分間だけの肉体、いや種族そのものの枠の限界突破である。
「ふむ、ここで切りますか、良いでしょう、確かにだらだら引き伸ばしても勝機はない」
「アタシが組んだんだぞこの試合!あたしより目立つなよ”電柱狼”!あーもう、仕方ないなぁ!!」
それの詳細を知っている
―――この試合ここより三分以内に、全ての決着がつくのだ。
「参るぞ
「おー、来いよ、ただのこけおどしだったら薙いで捨てるぜ!」
【天拳蹴撃:武獣覚醒】【練気法:シャープクロウ・マッスルベアー】【戦闘続行】【修羅道】
その獣人として鍛え抜かれ、練気を併用したフィジカルは、一部において戦姫を凌ぐ程である。
牙装を解放した”天狼”は焔を跳躍し、時に爪を用いて轟炎の鞭を掻き分けて前進する。
焼けただれながら、先程まで前衛二人の皇で圧倒されていた”永遠戦姫”に。
「さて援護しますよ。天狼」
【治験予験】【タクティカルガンナー:援護射撃】
太白の弾丸の援護を受けながら、単独でを持って肉薄し…。
一打、右腕の渾身を舞を持って躱される。
二打、左腕を牽制に盾に、瞬発力で肉薄し。
三打、本命である
彼が誇る体技である【天拳蹴撃】は自身の”圏境”を敵対者の点に絞り、自身の五体如何なる手段を使ってでもそれを砕く様に修練を続けた我流武術。彼は拳も、蹴りも、練気法による爪も、その全てが潰えたら牙ですら用いるだろう。
ただ最強を目指す為に、自身の獣人としても恵まれた体躯全てを鍛え上げるのが彼だ。
”永遠戦姫”はそれに応じる。陽炎は鼻で捉えられる、追われるようになった今は意味がない。
”永遠戦姫”は既に”陽炎の舞”を終了させ、その肉体を高速稼動に更に適応させていた。
「―――はァアアアぁらアアア!!」
【双尾の舞】【四手流/マナの手】
それに舞応じ、剣と伴に炎の残滓を狂い咲かせた。
先と違い届く、掠ってはいる。だが直撃はない。
”碧聖皇”たる天狼の【獣牙:武獣覚醒】をもってしても押し切れぬ領域が伝説である。
「ッフ!」
【陰陽術:煙符】
”紅宮皇・揺光”に投擲される【陰陽術】によって練り上げられた鋲が、視界を遮る煙が発生する。
”碧聖皇・天狼”嗅覚で追う為に問題ないと判断されたそれ。
しかし、”永遠戦姫”が放つ熱量にあっという間に吹き飛ばされて、ほぼ意味を持たない。
だが、その少しの足止めで十分だった。
「だから!あたしを見ろよ、”テイルレッド”!!」
【炎神楽】【陰陽術】【阿修羅姫】
そこに現れるもう一つの双剣の星。 ”紅宮皇”たる揺光も自身の隠し札を用いて、それに介入する。
本来の彼女は”魔術”も”魔法剣”も用いた手広い手段を持つ双剣士である。
だが、自身が火属性な事もあって、
だが、伝説を越える為に一番意識した修練を積んだのが彼女だ。
「―――さぁ、これでぶったまげろ!」
【魔法剣:Lv3】【陰陽術】
双刀『墜式・護来怨』、彼女の操る双剣は来るこの戦いに備え修練した魔具の一種である。
冥属性を生み出し、感応させて編み込んで魔法剣に落し込む。マナを自体を焼ききってしまうダクスフレアを作り出し、撃ちだす魔法剣である。
【オンリーアーツ:破邪燕剣】
マナ由来の障壁を無効化し炎すら焼き焦がす魔法剣、計らずもこの世界の脅威の一つである。
【竜魔神】のそれとは似通っただけの破邪の炎。
ジュグワ、ザン!
「―――ッグ!?」
その邪炎の斬撃は永遠戦姫を覆う炎の殻を食い破り、その右腕を裂き初めて有効打を与えた。
炎が通らないという、”永遠戦姫”自身の侮りも”警戒対象が他に居た”という優先順位の問題もあっただろうが。
単純に炎の特性と隠すように潜り込ませた、彼女の燕の如き斬撃の技量も大きい。
「良くやった”小豆娘”ェ!畳みかけるッっ!!」
【天拳蹴撃:金剛発破掌】【練気法:ダイアモンドアーム】【修羅道】
それに呼応して”天狼”が最後の力を振り絞り、斬撃に怯むであろう”永遠戦姫”に。
岩さえ粉砕する発破の一打を喰らわせようと、予測点に拳を打ち出すのだが。
「良い一撃だったぜ」
だが、限界が拡張されたとはいえ、単純である彼の武術は既に見慣れていた。
―――”碧聖皇・天狼”その渾身一打を。
今まであえて、受けて立ったのは相手の隠し手を釣り出す為のプラフである。
「―――だけど、連携が足りない」
ギュギュルヒュウウウン!!
【魔法剣:轟炎の鞭】【壮美の舞】【修羅双乱姫:夢幻修羅】
”動きを制限する者”がいなくなった為の万全の舞にて、追い込むつもりで前のめりであった”宮皇”。
その二人を薙ぎ払って叩き付け、一撃で戦闘不能に追い込む。
元より【牙装:獣王覚醒】を解放した”天狼”に追随できる者は
鍛え上げた獣人に”獣牙”の組み合わせと、純人種の差その位にフィジカルの差が現れるのである。
故に”紅宮皇”妖光は切札とはいえ、魔法剣で介入せざるを得なかったのだ。
そして、幾らフィジカルが追い越したとはいえ、この”永遠戦姫”相手に単独で相手するにはカラテが足りない。
「く、っそ。まだいけっ―――ッ!!!?」
【炎の担い手:炎耐性】【戦闘続行:不発】
グシャあ
火属性の防御壁にて軽減した”紅宮皇”揺光が立ち上がろうとするが、無慈悲な追撃で叩き潰した。
死んでないよな?と会場に疑わせる程に容赦ない蹴りであり、更に頑強であるはずの
「いやーびっくりびっくり、オレを炎で斬るとはなぁ、露骨だったら避けていたけどさー」
彼女は片腕を庇いながら、からから笑って。
『―――ブォン!』
【治験予賢:虚空瞬撃】
しかし”竜賢皇”の眼力が奔る、背後に奔る影にあの”永遠戦姫”が反応できない。
それは意識の空白に滑り込む術でありながら魔法ではない。前衛が稼いだ時間にて、天性の観察眼と経験から読み取った”呼吸”の反射の裏に潜り込む。
闘争都市の最強が”竜賢皇・太白”、全てはこの一瞬の為に全力稼動して吼え猛った。
「―――シィィイイ!!」
【巧剣:魔殺しの斬撃】【人体理解】【鑑定眼(真)】【夢幻修羅】
竜賢皇が炎の揺らぎ隠れ、今まで後衛の援護に徹していた、長い観察にて読み取った。
呼吸の隙間に斬り込んだのである。
その手に握られているのは、先程から彼の片腕に装備されていた蒸気銃と酷似した大剣。
変形機構を持つ『魔銃/剣・マクスウェル』である。この”銃/剣”は魔導時代に作られた機械によるマナ発振隆起機能を持っており、銃として使えばマナによる蒸気と伴に電磁レールに”保護された弾丸”を放ち、変形させ剣として扱えば電磁パルスのより硬質化した蒸気圧で、内部の弾丸を起爆、純粋な科学的爆発を電磁で誘導しマナを喰らい散らす斬撃を成す”魔殺しの斬撃”、その二つの機能を持つ”科学的な魔剣”である。
現行技術で再現できないと言う基準で評価すれば、Sランク相当の魔具であった。
その刃は確かに戦姫”テイルレッド”のみに届き、その身を斬り裂いて。
「―――なる、ほど、それが本命か」
「ぐ、おなんですと!?」
【迎撃態勢:永遠戦姫】
ドォン!
それは単純な魔力の炸裂。身を裂いた刃は途中で弾かれ、刃の主は後退を余儀なくされる。
それは
”反応”出来ないまでも、事前にこのタイミングに何かが来る事を予測していた”永遠戦姫”が。
反応式の”呪印”により乱雑にオドを解放して、その刃が貫く前に弾き飛ばしたのだ。
来るとわかっているからこそ、隙を生む空間をわざと作る事で迎撃したのである。
本来、彼女の釣りたかった魚は、本命は闘争都市最強たる”竜賢皇”の彼なのだから…っ!
「いやー、オレもビビったねーどんな手段で来るかまでは分んないから、五分五分だったけど成功して良かったぜ」
【戦闘続行:ヒーロー】
だが、永遠戦姫の方も代償なしとはいかない。
流石に”竜賢皇”太白も、こんな場で彼女を殺すつもりはなく本気の致命症は避ける位置は狙っていたが。
それ以外は理想的な、下半身を吹き飛ばすつもりで放った斬撃だったのだ。
「驚きましたね。剣を使える事も徹底的に隠していたのですが、どうして援護に徹していた私が仕掛けてくると?」
「じりじりと距離詰めて来てたのは見えたし、ある境に厄介な銃撃がやんだからな。職業柄、オレは戦場の空気の移り変わりには敏感なつもりだぜ」
【修羅双乱姫:夢幻修羅】
”竜賢皇”はほぼ無傷、対して”永遠戦姫”は右腕を裂かれ、どてっぱらに穴負開いており、血は傷口を焼きとめているが、痛々しい。
【正義の心:燃える心】
しかし振る舞いに耀きに、全く陰りを見せない。
むしろその美しさを、輝きすらを増しているような錯覚が移るだろう。
「全く喰えない爺だよ。若者を建てるような事言ってさ、全部自分の為だったんだろ?」
「さてどうですやら」
【治験予賢】【鑑定眼(真)】
惚ける”竜賢皇”、彼は他の
彼の固有技能は人体の稼働や魔具の機能に対しては、既に予知の域に片足を突っ込んでいたが。
純人種の延長とは言え、魔具の効果を自己改造で生み出す
「いえ、しかしまだ終わっていません。彼等も本当によく時間を稼いでくれました。私もこれで伝説に失礼の無いように、
「こっちは満身創痍なんだけどなー」
「ハハッ御冗談を」
【技剣】【治験預賢:マクスウェルの悪魔】【人体理解】【夢幻修羅】
彼は慢心しない。彼の固有技能が”永遠戦姫”の可能性を導き出すが、この状態ですら分が悪いと結論を出す。
しかし観察は済んだ。後は”悪魔”がその絶望の予想を覆すだけだ。
「では……、闘争都市最強【竜賢皇】太白、いざ、伝説をもてなしに参りましょうッ!!」
「さぁ?なんでもいいや。オレはただ”ツインテール”の為に踊るだけだぜ」
ちょっと閉まらない言葉も、彼女の彼女らしい振る舞い呼べるだろう。
―――【美双にて舞い踊れ永遠戦姫】
瀕死であっても【燃える魂】が彼女を最高潮に導き、既に最高の舞闘を縫い止める弾丸はない。
故に、ここから先は完全に
故に、それを打ち勝たんとするならば、太白も最前手を取り続けるしかないのは道理である。
言葉はいらず、互いに全霊を駆けぶつかりあう。
【双美の舞】の轟炎鞭を”魔殺しの魔剣”にて斬り開き、【双尾の舞】の実体剣の舞を見切り続け。
負傷し、三本の腕に稼動を制限されている事をも最善手で利用する。
尋常ではない人体駆動予測を完済させる”竜賢皇・太白”。
その彼の、彼個人をさす異名が【マクスウェルの悪魔】古くなった仮想の量子理論の悪魔だ。
既に否定されてなお具現とまで畏れられた、彼のみに許された武闘である。
その十、百撃もの剣戟を響かせ合う”最強”と”最強”の競り合い。
科学の悪魔と称される幻想と、永遠戦姫と称される永遠翳らぬ姫の伝説。
【マクスウェルの悪魔:夢幻修羅】
【修羅双乱姫】
その決着は……。
―――――斬ッ!――――
「―――はぁ…はぁ……っ!これで、オレの勝ちだな!!」
「ここまでやって、届き、ませんでしたか、やはり、伝説は重い物です、ね」
【正義の心:燃える心】【戦闘続行:食いしばり】
焼けただれ、倒れ伏したのは【竜賢皇】たる太白であった。
勝敗の差は単純に言えば底力の差である、”テイルレッド”に軍配が上がった。
追い詰められれば追い詰められる程輝く、英雄の具現たる太陽の如く熱量、それが彼女の力の本質でもあるのだから。
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それを見ていた。カイトはそれを食い入る様に見ていた。
「―――ッ」
もはや溜息しか、でない。
理解出来る事なんてほとんどなくて、その”絶界”に魅せられ同時に■望する。
隣のローズが何かを言っている様だが、耳にも入らず、人類の最上位に今日、彼は心に焼き付けたのだった。
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ちょっと魔具データが参照が難しかったんで、変な名前付けて複合アクティベート能力としてます。すみません…。