ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
―――【聖練南部:パリス同盟】
『死神』と”腕輪の担い手”の交戦との同瞬間の事だ。
時間は夕方、暗夜の帳が降り始めて、人の営みの動と静が入れ替わるような斜陽の刻である。
例えば、冒険者たちも基本的に引き上げ始める頃だろう。
「――――ふんふふんふん♪」
聖錬【パリス同盟】とある町の一角から、街の上方から、眺める真紅のが一つ。
真紅の燃える瞳を湛え、同じようにすらりと伸びた美麗な
その特異技能で魔導具を再現して幻影を纏って変装している、”ソーラ・ミートゥカ”。
永遠に朽ちぬ太陽
【偶像少女】【超絶キューティクル】【燃える心】
彼女は現在、ライフワークともいえる美しいツインテール探し”ツインテールウォッチ”の最中だった。
”マナフレア”、炎属性マナの塊ともいえ、
故に
そんな貴重な彼女の楽しい一時である。
「今日もまた平穏無事、よきかなっと」
その見た目では華奢な両足をプラプラとさせながら。
それに穏やかな街の営みは燃え続ける人の炎だ。それを目に焼き付ける、それが心を燃やす薪に成るのだから。
この世界に満ちる理不尽に対峙し続ける彼女の
ぴくり。
「ん……?」
そんな街の郊外にて、突然強力な魔力反応が巻き起こる。それはまるで挑発的に明滅して……。
【魔法剣Lv4:
極めて綿密な術式による、か細く連なる連鎖が、街の
”永遠戦姫”の周囲に空の亀裂を作って、斬り裂き吞み込もうとする…ッ!。
「いきなり物騒だなぁ、悪ふざけにも程があるぞ」
【迎撃態勢:永遠戦姫】【魔器呪印:
パチン!
だが、その理外の魔法剣をいとも容易く、指でパチンと砕いた。
そして見覚えのあるその気配に、いの一番の反応する”永遠戦姫”ことテイルレッド。
その腰を上げて、自身の特異技能である、肉体改造で魔具を再現する
緋色の軌跡が空を翔けて。
ズザァ!!
すぐ様に下手人と推測される、少女の元に飛翔し着地する。
到着してから、変装に纏っていた幻影が溶けるように形を喪って、中から真紅の幼女が現れる。
お灸を据えるにしても、すぐさま攻撃はしない。それ相手の思う壺だと言う事は理解しているが故に。
「―――来たか、”永遠戦姫”ふふ、待っていたぞ。お前なら真っ先に反応してくれると信じてたよ」
「そりゃ、あんな挑発的に誘われたらなー、一体どうしたんだよ
【人類愛】【常時破顔】【人情不解】
ボサボソの髪、遠眼には普通の村娘にみえるだろう、しかしその唇は妖しい笑みに彩られて。
背に覆う、毒々しい紫尾色結晶の翅。白すぎる肌、ぼさぼさのツインテール、そして毒々しく倒錯した双眼を湛えた”緑色の少女”であった。
”選抜血統”と、伝説級の竜由来の魔具の結晶である戦姫の中で、極めて珍しいといえる当代の”空”を打倒して、冒険者の上がりから伸し上がった戦姫である。
”永遠戦姫”には知名度では劣るがその中でも、長く【魔法の如く】努力を積み重ね。
証明はされていないが実質、筆頭たる一人だった。
―――聖錬七界の誇る”空”の戦姫、【応竜】と呼ばれる
「何度も言ってるが、こんな事しても
「あぁ、それも魅力的だがな、今日はオマエを誘いに来たんだ。テイルレッド」
「は、誘い?」
普通なら致死の先制奇襲を仕掛けたとは思えない親しげさで、話しかける。
彼女等も百年代の付き合い…、”タツキ”が冒険者でありながら”当代の空の戦姫”を公式に打ち破った際に。
特記戦力である戦姫ことひいては『聖錬』の権威を護る為に、当時も最強であった”永遠戦姫”に続いての対決を命じられ。
その際に、破れて当の本人たるテイルレッドの助命嘆願もあり、取り成されてからの付き合いである。
つまりは同僚であり、友人であり、
彼女は何でもない様に、世話話の様に切り出した。
「―――あぁ、踏ん切りがついたんだ。戦を起し”預験帝”を打ち壊し解体し、しかるべき元に、輝かしき人類に還元する!私の同志になれ!!」
「……は?」
”永遠戦姫”は余りに突拍子の無い妄言に思わず惚ける。
大陸中にテロと理不尽をばら撒き、世界中から殺意を集めて、何時かぶっ殺してやると半ば共通敵化している【預験帝】だが、それでも存続しているのには理由がある。
現行の人類では想像もつかない超技術による、広域バリアによって成される引き籠りである。
……あのバリアを破る手段は、現行の人類は持っていない。それがなければ人ならざる『聖錬』に坐する国の闇、”真に律神と呼ばれる超越者”ですら、可能であれば「うぜぇ」と一言で吹き飛ばすくらいである。
「あぁ今まで何故、見たくない物など見なくていいと目を塞いで、諦めていたのか、可能性が無ければ見つけ見出す、不可能だと最初から諦めるなど私らしくもないことだろうに…っ!」
「何を言っているんだ。そんな冗談”夢の様な事を”、ついに頭が茹ったか?」
【政治知識Lv2】
本来、それがわからない少女でもない。
周囲を尊重し、無駄に真摯に向き合う事で獲得した政治知識は、素面でこんな事を言わせる物ではない。
元々狂ってはいたが、どこかおかしい。
しかし、普段の調子の語り口に”永遠戦姫”はやっと様子に気が付いた。
「くくく、私が狂っているのは元からだろう?しかし、ワタシは可能性を見た。人類が見果てぬ”四つの最先端”。外界を覆う”断崖領域”の先……、植物の絡み合い形成された
それは一般のこの大陸の人類が、断崖領域の外、知りえない知識である。
とある
その強靭な精神力に何とか疵を入れる為にインストールされただけの、概要と映像だけの知識である。
あぁ、しかしそれは結果的に、”黒幕”の思う通りに、その干渉も伴なって暴走させていた。
……ただし、当の”黒幕”にも制御も出来ていないが。”応竜”に憑りつかせて無間を再現する、植えつけた
「預験の技術が、前に進もうとする善き人達に担われれば、”人類最終試練”、”絶対覇者”、あの竜魔神【アジ=ダハーカ】すらも人の”耀き”にて、踏破して飲み乾すだろうさ!人類はその”四端”を制して更なる”耀き”に至る!黄金時代の幕上げだ!!あぁワクワクしないか、伴に謳いあげようじゃないか!?」
【人類愛】【心命狂化】【光輝渇姫】
一呼吸おいて、この世界における”応竜”も一度交戦した”絶対悪”を上げる。
その声色はまるで恋する乙女の様に高鳴り跳ね回り、呼応して瞳の倒錯が混迷を深めて。
まるで正気に思えない。日常から、人の”耀き”を求める彼女であったが、それでも人類社会に適合して理不尽を伴に殴り付け、傍で”耀き”を求める【雷光の襲撃者】として、振る舞っていた。
間違ってもこの様に憑りつかれた様に、無惨残骸の夢を、こうも高らかに語りあげる様な姫ではなかった。
「待てよ!オレも
「わかっている。しかし、それでも私は、もうアレの存在を許容できそうにない。あの檻の腐臭に塗れた中身を知っているか。七欲の名の元に染め上げられた”家畜”、預験に座する連中は”生存本能”ですら腐らせて堕ちている。それが贅沢にのうのうといる事に
『竜具認定邪神具:応竜』【破損ギアス】【人類愛:人間の如く】
”応竜”の精神に亀裂を入れる為、埋め込まれた映像は一つの事実であるが、偏っていた。
その背景から、彼女は人類に対する肯定者として、”耀き”という可能性を求めてギリギリ無茶ぶる様な少女だったが、『預験帝』のそれは何一つ許容できる要素が無い。
彼女が信じる”人間の如く”を是とする彼女にとって、生物としての機能すら腐らせたそれは、到底許せるものではないのである。
現実の【預験帝】にも抗う者はいるし、その深淵と言うべき【三賢者】と言う道化の闇を知らない。
それでも彼女は、元々の狂気から精神の根底に埋め込まれたそれが、彼女の心を常に掻き毟り蝕んで、手遅れとばかりに深まった狂気故に止まる事ができない。
例えてカイトの如く【狂羅輪廻】の
そう、一般にとっては暗黒世界であるそれが、”永遠戦姫”に理解出来る筈もない。
「ッチ…、訳わかんねぇめんどくさい事言いやがって、それは本気なんだな…?」
「勿論だ。アレは腐った牢獄だが、その技術は”最先端”を行くには必用だろう。そしてそれを踏破した人類が、よりよき未来を、”耀き”を示す事を私は”心から望んでいる”!!」
「だから何度も言ってるが、あんなトコ、オレも滅ぼせるならとっくに滅ぼしてんだよ(ゲキオコ)」
そして、長く『聖練』に守護者として君臨し続けた彼女にとっては、今更な話である。
散々ちょっかいを駆けてくる怨敵と言うべきそれに、ブッ転がしてやると言う殺意は人一倍強い。
それでも、現実と折り合いを付けて、守護者として自身の背後の重みを抱えてなお、故に致死の理不尽を殴り倒すのが彼女だ。
「何を言う。不可能ならば、可能性を探すまでだろう!人類に出来ない事はないのだから!!あぁ、埋もれたそれを探し出す為の戦だ。人類は愛と勇気で限界を突破し続けるのだから!!」
会話が繋がっている様で繋がっていない。狂いに狂った”応竜”はその足元が見れない。
故に、幾多の血を戦乱を踏破して、”魔法の如く”無理を無謀を全てに押し付けていくだろう。
実質、戦姫筆頭である”永遠戦姫”と同格の”応竜”がそう振る舞えば、どれだけの血が流れるかもわからない。
「答えは当然ノーだ。そんな妄言に付き合ってられるかよ。まずは足元を見ろよ”タツキ”」
自身の武器である、
燃える瞳を更に熱量に輝き、宝石の如く彼女は炎の波たる化身の双剣を手に取り、鶴翼に構えた双剣は”鳳凰”の構えの如く。
【燃える心:ヒーロー】
心が火が付き、燃え上がる。
故にこれは意地でも止めねばならない。自身が信じる世界の為にも、そして古くの友人の為にもである。
「―――あぁ、ああ!オマエならそう答えるだろうよ!だが、それでこそだ!!」
【人類愛】【鑑定眼(真贋)】【魔法の如く】
しかし、その拒絶に予想通りだと言わんばかりに”応竜”は歓喜する。
一度は敗北し、その魂に焼き付いた”英雄”。それに魅せられ、越えんが為”魔法の如く”努力を積み上げた。
彼女の髪型である”ツインテール”とて、彼女にその強さの根源を訪ねた際の答え、「ツインテール愛だ!!」と言う答えを鵜呑みにしての事である。
あの日、敗れてから焦がれた、真性英雄の人類の”耀き”。
正気であっても狂気であっても彼女が胸に焼き付ける想いは同じだろう。
この身枯れ果てるまでこの耀きに満ち果て、それ故に勝敗がどうなろうと”信じて逝ける”。
「ならば、私に人間賛歌を謳わせてくれ!!その”耀き”にて私を殺して止めてみせろ!!打倒し、私の信じる可能性を示せ”永遠戦姫”ェえええ!!」
『邪神具:応竜』【魔法剣Lv4】【蒼穹の奏方】【光耀渇姫】
”応竜”の姿が変性する、ライダースーツの様な装備を身に纏った。
これが『竜具』のデットコピーと言われる【邪神具】から、担い手の技量によりその力を示し”当代の空の戦姫”逆説的に、代替わりを成した。
その実態は”魔導時代の遺物”である『IS』のより、その”天使”として兵器として堕ち、偶然亜竜の苗床を苗床に暴れたバケモノ、冒険者時代の彼女がそれを打倒し単純に剥ぎ取った代物である。
故に既存の『竜具』としては素材としては劣る。精神性と鍛錬にて成される例外存在。
開幕となる一振り。
形成された緑色のマナの結晶帯……、冒険者時代から彼女が頼りにする『ザ・スラッシャー』が振るわれる。
【チェーンソマスタリー】【魔法剣Lv4:有頂天外】【錬金知識Lv3】
ギュイイイン!!
響き渡る甲高い音、斬線に沿って甲高い音が響き渡り。、
【錬金知識】も活かされ、それに誘因された待機中の空属性が励起、発破衝撃を起こし斬り裂いた。
威力は単純な緻密な技術にて、【王国】の六神武貴の槍たる、【割断】と呼ばれるに匹敵するほどの物、空間中のマナを斬り裂き、真っ二つに割断する。在野の魔法剣士ならば、”秘奥”と呼べるようなそれは。
彼女等の領域にとって、見せ札程度の挨拶でしかなく…。
「おう、前に増して早いな。だが甘えよ、”タツキ”!!」
【魔法剣】【二刀流】【壮美の舞】
当然の如く、無傷に食い破って、その両手に握られた剣にて斬りかかる。
空気抵抗を無視し、自在に舞う双手の炎鞭が円弧を描いて、焼き刻んで、流れる様に反撃に移り。
「ああ、そうだろうな!この程度、私たちの仲では見せ札にすぎんさ!!」
【チェーンソマスタリー】【迫身反応:リベンジ】
その舞闘の完成系たる、なだらかな反撃に所為に対し、『ザ・スラッシャー』を鳴り響かせて、魔法剣の余波と伴に、肢体の発条を弾けさせるように迎撃する。
「―――よう、ぶっとばしてさっさと正気にしてやるぜ!!」
「―――ふふふふ、合ハハハはあ刃はは!!愉しいなぁ!愉しいぞ”永遠戦姫”ェ!!」
【魔器呪印:
【空の担い手】【高速機動適正(偽)】
ガガ、ガガガガ!!
肉薄衝突・それは何秒たる刹那だろうか、もはや音が遅れて聞こえてくる領域の舞踏。
元よりお互いの出力は大きい。火と空がせめぎ合い、その余波反動が互いの身体を浮かし、自然に空に舞い上がる。
それでも互いの技術を持って適応して、寸分の隙もなく斬り合った。
「どうした!!”永遠戦姫”、まるで足らん温いぞ!オマエの”輝き”はその程度ではないはずだ!!」
「うるせぇ!素直に名前で呼べよムズ痒いな!!」
変形機能を持つとはいえ、一刀の魔導時代由来の魔杭のみで対決する”応竜”に対し。
十二全に二刀いや四刀を振るう”永遠戦姫”が、手数の上では圧倒しているハズだった。
しかしそれでも同格である彼女が圧されている。それには二つの要因がある。
【蒼穹の彼方:
”星属性”……重力波の影響を受けて、自律的に円を描くように稼動する宇宙図から。
その効率化を【魔法の如く】と、基礎を只管に積み上げて効率化の究極を廻し続ける事によって。
その実、出力自体は最低限な彼女が”純粋な技術によって、【領域作成】の真似事をする”。
―――【一騎当千】【虐殺の主】。
”高度に発展した技術は魔法と区別がつかない”、それが”応竜”が誇る技能。旋律と伴に一挙動で空間に波紋を津波起こして、端まで衝撃が刃の如く割断を行い。
または、津波の如き突風が生み出されるのである。
【魔法剣Lv4】
一般的に刃凱魔郷《ソードアート》などや魔術等の体系技術は、Lv3もあれば一流と呼ばれる。
しかし、その一流の先を行く”応竜”が領域である。
ガガガガガガガガ!!
【双尾の舞】【四手流/マナの手】【魔器呪印:
加速する激しく空中で閃光が奔り、既にツインテールの四刀流まで動員して、互いが互いを足場に蹴り自由自在の角度で互いに致命一斬を飛ばし合う。
(―――やっべぇ、反応が想定以上に早ええなぁ…!あれか、更に気グルった影響か…?)
更に、”永遠戦姫”追い詰めるのが、以前にも比べて獣の如く尖鋭化された狂気から繰り出される、超反応と捨身である。それは捨て身でありながら、白鳥を越えて基礎を積み重ねた”応竜”は、自らのテンションに応じて失敗《ファンブル》確率を低減させていく。
時に愚かさ選びながらも踏み倒し、それを光への、愛と謳う幻覚を求めて走る輝きの修羅羅刹が彼女だ。
なお、先からテイルレッドに対する、”永遠戦姫”呼びも、挑発的な意味合いが強い。
それがテイルレッドの底力を引き出すだろうという底意地の悪さも狂化されている。
”永遠戦姫”はその闘炎で空間を焼き潰しながら、対抗し。
「ちいいいい!」
「ふふふあはははは!!」
【壮美の舞】【陽炎の化身】【魔器呪印:
突然、”永遠戦姫”姿が搔き消える。【呪印】も併せた例えての”色即是空”。
竜属性が旋律領域を焼く、バラして接触したマナを己の属性へと変質させ、一切の魔力性防壁を無効化し、透過する。”永遠戦姫”の奥義の一つである。
それを…。
「その程度、”観えて”いるぞ」
【魔法剣:
その不可視の奥義を、”応竜”はその毒々しい深淵の双眼を見開いて確かに予測線として捉える。
速度も十分、例え修羅であって彼女等の領域を認識する事なく死ぬだろう。
しかし、その揺るがぬ愛から、”耀き”を見逃さぬように、刹那の羅刹を見つめ続ける彼女にとって。
旋律が乱れた。散々に脅威を浴び続け、本能の領域で稼働する彼女にとって反応するに十分だ。
双剣と、緑色結晶の魔杭がぶつかり合い炸裂する、互いの竜闘気に弾かれ合って。
「まだだ!!」
「だろうなぁあああ!!」
【魔器呪印:
【魔法剣:
互いに追撃にて殺すべしと放たれた”付録”が炸裂する。
”永遠戦姫”は肉体改造にて固有魔法を再現した、掌からの
”応竜”は砕けた自身の魔杭の欠片を、肌に突き刺さった破片を、精霊として引き裂く
互いの身を引き裂き軽減する為の派手な受け身に、大地に叩きつけられ砂煙を上げる!!
理外の戦場に、一時の静寂が訪れる。
「ああ愉しいなぁ…っ!こうやって、オマエと全力でやり合うのは何十年ぶりだ?人種や立場に縛られず、ただただ戦う。何と心地よい―――だがその程度ではないのだろう?」
【魔法知識Lv3】【錬金知識Lv3:結晶修復】【錬魂装甲】
最初に復帰したのは、反応速度と認識能力そして愛と気合に利がある”応竜”の方であった。
破損した翅や肉体、魔杭の”魔力結晶”を修復して、悠然に構える。
その卓越した体系技術で精製される結晶は、本人の属性とオドに合わせた最上級の魔石に等しい。”黄の札”の連中が見たら発狂しかねない代物……。
そう、これ自力修復だ。装備の力なぞ二割程度、後は全身努力と気合しかない。その他の選抜血統・戦姫の常識からも発狂モノの”光の亡者”である。
【魔器呪印:
―――その返答とばかりに奔る、閃光・炸裂。
煙を晴らす、先の呪印による”レーザー”の軌跡に引き続いて、マナの手を這わせて放たれる”二重の塵燃”である。
【迫真反応】【観察眼(真贋)】【光輝渇姫:夢惨輪廻・夢幻修羅】
ニィ。
視界を塞がれた奇襲、呪印によって目に見えぬ隠蔽を伴ったその軌跡を、。
”応竜”は予測と超反応で流しながら、その”耀き”に満面の笑みを瞳の混濁を深く深淵に堕とす。
「―――そっちも強くなったな”タツキ”、おかげでしんどくてたまらないぜ」
だが対峙するのは英雄の化身、永遠に朽ちぬ太陽。
痴女めいた艶姿を真紅の鎧で覆い隠し、その流麗な二房の髪を更に煌々と燃え上がらせて、その実体はヒトガタの古龍のその物である、その程度で折る事などできはしない。
この形態は速度に特化しており、竜具である
闘技場の際にすら、見せなかった”永遠戦姫”の最上位生物としての
その得難い”耀き”に目を焦がし、文字通りに魂に焼き付ける。
「ああ、美しいなぁ!惚れ惚れする様だ!!その”耀き”目が焼けてしまいそうだなぁ……、だがそれでこそだ!それが”永遠戦姫”の全力ならば!その礼儀に応えねばな!!」
その”耀き”に呼応するように、戦姫”応竜”の姿も変性する。
彼女の便宜上『竜具』は、古龍素材のものではなく、格で劣る亜竜由来のものだ。故に彼女は戦姫でありながら、本来の
「私が何の見込みもなく、『預験』を廃する等と妄言を吐くと思うか?私は信じ築きあげる、愛と勇気で限界など廃してくれよう!!」
【化身化:仮想碑文展開=
その姿は重装甲化した”永遠戦姫”とは対極にその髪は解かれて舞い、その白すぎる肌の露出は極端に多くなり、より脅威に肌で反応できるように痴女めいている。
緑の結晶帯が身に纏った”戦闘形態”。両肩の四対の曲線装甲板はカウンターウェイトに、背後に翅の様に構える八対の”放星属性板”は、深淵の宇宙を示す暗き煌めきを湛え、両手の巨大過ぎる三対六基もの
『黄昏の碑文:電制設計』【限界突破(馬鹿)】
信じられるだろうか強奪した『黄昏の碑文』による
”魔法の如く”基礎を積み上げる彼女が、いつかは彼女が辿りつく可能性でしかない。
それは円環で締められ、その
その美しさに目を奪われた者は、刹那のうちに吞み込まれてあの世に屠殺されるだろう。
「”タツキ”テメェ!なんかまた変なモン拾いやがったなッ!?いいからそんなモン棄ててこい、この大馬鹿!!」
「くくく、憑りついたバケモノを撲殺して剥ぎ取ったのだ。使えそうなら何でも使う。いつも通りの事だろう?こうでもしなければオマエに、届きもしないだろうからなァ!」
【スカーレットヒーロー】【双尾の舞】【光化炎翔】【修羅双乱姫:夢幻修羅・阿修羅姫】
【人類愛】【魔法剣:
”永遠戦姫”は友人の悪癖を知って、突っ込みを上げながら、空気すら焼き尽す閃光を纏い翔走する。
対して、”応竜”は染色により目に捉えられず、マナ感知も気配探知も無効にするその翔走を、その眼力と期待に高まり、胸に溢れる愛で予測される軌道を捕えて、狂いなく殴り返した。
便宜上竜具である『IS・応竜』であるが、これを手に入れた時にも、集団で殴り倒したドラゴンゾンビの寄生した
明らかに危険で無謀なリサイクルであるが、暴走したら自殺するか介錯してくれればいいだろうとって気楽に言っていた。普段の彼女もそんな馬鹿なのである。
狂気に満たされながらも、”応竜”は人を愛し周囲を尊重する為にそれは、確かにうまく回っていた。
そんな魔具自体にも、意地と気合と努力で適合して。
―――魔導文明由来のネットワーク由来の”脆弱性”を突かれるまでは。
彼女は確かに堕ちた獣でなく、間違えなく『聖錬』の英雄の一人であったのだ。
「だがまだ足りん!オマエの”輝き”はこんなものでないはずだ!!―――信じているよ、愛しているよ!だから、魅せてくれぇぇぇぇええ!!」
【蒼穹の彼方】【高速機動適性(偽)】
【夢惨輪廻】、残骸の夢に、自身の業に、逃れ得ぬ欲求に、完全に支配されて獣の様に空間を鳴り響かせて、蒼穹を自由自在に舞い続ける。
魔法剣の獄地を振るう。空属性の戦姫である、複雑な機動戦闘を難なく熟し、文字通りの閃光と化した”永遠戦姫”に追従するのである。
そして互いに機先が交差し、また肉薄して。
ガキィイイン!!
「あぁ”タツキ”、オレも一つ言いたい事があるんだ」
「”耀き”とかどうでもいいから、そのツインテールを解くなぁぁぁああああああ!!」
【ツインテール愛】【焔劇舞踏】
そして”永遠戦姫”自身も、割とそれ寄りの馬鹿であった。
”応竜”のぼさぼさであるが、素朴な魅力があったツインテールが解かれ吹飛ばされ、思わずプッツン。
欲求のままに翔き尽くし斬り付けて、互いに一撃離脱を繰り替えす。
暗闇の夜空をその軌跡で覆い付くす暴威。
それでも近くの町を余波に吹き飛ばさぬようにか、段々と上空へと戦場は翔けあがっていく。
それは【パリス同盟】中の住む住民たちの目に移り、その鮮烈さに誰もが空を見上げた。
この日、一つの伝説が生まれたのだった。
戦いはまだ終わらない。
こいつら頭オカシイ(真顔)
特にタツキ!オマエ闘技場から出禁だ!テンションで(おそらく)狂羅系のデメリット軽減して殴ってくんじゃねぇYO!
ドラグーンモードと殴り合う為に出した
ライザーチェイン見た事ないって言ってるけど、実際は知らぬ!