ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
というか、本スレの方を参照しなければ何が何だかわかりません。
※知り合いなのもあって、霊亀さんはスロースタート想定です。
【修羅道】も【強者の矜持】も持ってないので、そんなもんだと思ってくれると助かります。
※多分【霊亀】さんが本スレに比べて弱体化してるように見えると思います。
32将級の戦力なんてそんな在野で用意できる訳ないだろ!(すぱーん)
※03/31現在、前提条件が違いました。
生前亀さんの価値観(国=自己の命NOT自己の命>>>国)だったのと。
ちょっとガチで国精鋭級戦力用意しないと、殴り込めず棒で殴られるので。
この話は完全に妄言として受け取ってくれると幸いです。
それは在り得るかもしれない未来の話。
『聖錬北部:大国ナポレオン』
『象徴:ナポレオン城』
空気は殺伐としていた、その空気は凍り付き、かつて存在していた華やかな空気とは程遠い。
そこに人の気配はない。"彼女が遠ざけたからだ"。
【傀儡術】【操霊術Lv3】【妖精術Lv3】
しかし、その城には彼女の研鑽の粋を込めた傀儡―――頼もしき絆の妖精達が兵力として配置されていた。
物々しい戦支度。
そう、『聖錬』時世は彼女達が巻き起こした『革命戦争』の初期である。
【知識の収集者】
凍り付いた城。
幾多もの旅人の往来を歓待した、国を象徴する栄光たるそれは、今はただその主たる一人の戦乙女の殻である。
氷結の具現たる女皇は物想いに耽っていた。
「不味いですね―――想定より戦力が集まりませんか」
【カリスマ!】【戦術眼】【政治知識Lv4】
氷細工のチェス盤に駒を、その柔らかな指で動かし、そこでぽつりと呟いた。
この戦争の便乗し主体は別であるが、根回しは十分なハズだった。
理を振りまいた。不満の種は撒いた、栄光の餌は振りかざした。新鋭たる最強の『ユグドラ』に、己の築き上げた信仰に至るまでの威光は、『聖錬』を二分する求心力に十分な引力である。
「―――北部の
もちろん他にも彼女に同調する戦力は、勢力はある。
聖錬武力の象徴三十二将、戦姫の存在もあった。
しかし、女帝が信用に足りると判断する駒はそれだけだ。
それが軋み綻びあげたのは、とある冒険者一団の活躍による暴露である。
次期Sランク候補『鬼人八部衆』、その一人たる"百花繚乱"『ジータ』という名の少女。
その声を中心に早い内から動いた中には、聖錬という枠組みの中で"三強"と唄われる『聞仲』が誇る幹部たる"四聖"。『聖錬』武力の象徴"三十二将"が複数。
それがすでに、連動するように己を暗殺するが、動いているという情報を掴んでいた。
明確な遠隔情報伝達を持たぬこの世界において、その動き出しは破格に速い。
それにかつての己の不肖弟子が関わっているというのも、彼女にとっては忌々しい話だった。
”かつて己が、研究していた遺物たる蒼の少女”。
理論値だけ測定し、利用法は在れど取るに足らないと放棄した。
それを自身の末端手足に委ねた後、『聖錬』中に"永遠"の他の可能性を模索して、人材・魔道具問わず手段を収集したのは事実だった。
それをきっかけにして、芋づる式にその手足の壊滅し、所業を暴かれたロジックは理解できない。
そもそも女帝は、"蒼の少女"など眼中になかったのだから。
「まだ動きが分からない"三強"の存在もあります。万一にも"永遠戦姫"が動かないとも限らない。早々に凍らせてしまいましょう」
己の城から眼下に冷たい絶対零度の目を向けた。嗚呼、関わる事すらただ無駄である。
くだらない弾劾だが、早々に蹴散らしてしまおう。
政治知識を先行する女帝にとって、"正義"は理論武装の武器であるが、それ自体に何の価値があるというのか。
「―――なんとでも言いなさい。全てはこの国と私から続く永遠安寧の為に」
目的が全てである。
忌々しく、永遠を生きるハズだった『人魔身』、時に羨み時に衝突した"同格"である『応竜』は死んだ。
詳細は風聞でしかないが、当時の自身が信じられない程にあっさりとだ。
【不老の聖女】【戦術眼】
それからだろうか、自身を蝕む寿命を、天敵たる時に更に追われている己を自覚している。
故に、孤独の女帝は誰の手も取らない。それが例え―――。
【陰陽術:熱感知】【誰も傷つかない世界:領域凍結】
―――ぴくり。
女帝は、その卓越した研鑽にて構成される、城覆う自身の氷結領域に入り込む侵入者を熱にて感知した。
「はぁ…、本当にあの子は……」
手慣れた様に、己の氷霊を蹴散らして突き進む。そんな気配に溜息をついた。
その歩調も剣も見慣れたものである。己が技氷を叩き込み、磨き上げようとした宝石の一つなのだから。
そして。瞬き閃光たる魔法剣の一閃。
―――グルオオオオオオン!!
『バハムートウェポン・ノヴル』【魔法剣Lv3:レギンレイブ】【武具万能】【闘気の才】
其れは鋭利に研ぎ澄まされた竜の剣。
氷城の壁を突き破り、迸る紫撃の極光、本来マナに対する破邪の性質を持つ純粋な”竜属性”。
基本的に設計された魔法にて属性値を付与する、魔法剣という体系技術において、生命として適応した者と同じように、生態磁場と織り交ぜ感応された"龍闘気"として放つ、さらに洗練された絶技である。
幼馴染である少女、本来四属性から魂の絆を得て発展した
森属性の単色属性から成される、"生体武具への感応特性"である。
「―――で?」
【オルギア・フリーズ】【氷の担い手】
それをやすやすと塵々の氷結結晶に散らす如く、減衰して凍り付かせ無効化する。
それは間合いにして数十メートル、全くその懐に届くこともなく歯牙にもかけない。
聖錬における戦姫筆頭"四端"『霊亀』……、同じ竜属性を扱う者としても、明らか過ぎるその連度の差である。
しかし、その壁を突き破り亀裂から現れたのは、幾多の戦士の影。
『黒騎士』めいた意匠に身を包んだ。かつての弟子。
「フォレストレンジャー、ただ今参上!!さぁ悪の女王よ覚悟しろ!」
【フォレストレンジャー】【想いは友と共に】【天秤の定め】
古くからの朋、ただ在り方として滅びゆく風習を背負い、天秤たる心をもって眼前を脅威を心の強さ、信じる弓によって撃ち払うもう一人のヒーロー、『ウェルダー』。
「グランの敵、私の敵」
【超重炎刀】
具足の様にまとった鎧姿、その殻らに見合わぬ白髪紅眼の少女。
桜皇にて、ヨロイと呼ばれた隕鉄と陰陽技術の申し子たる決戦兵器。現代にいたるまでの灼熱地獄を圧縮し続け妄執と再誕に至った
「お前が、戦の元凶か、皆が空を見上げる平穏の為に、貴様を打ち倒す!!」
【剛腕城塞】【鉄壁の守護者】【狂羅輪廻】
黒き瘴気を纏った、巨大な二振りの斧を構えた、巨漢の戦士。
「怖いけど、きっと誰かがやらないといけないと思うから…っ」
『ヤッチマイナー!』
如何にも魔女然とした帽子に、野暮ったい装束に身を纏い、箒を掲げた少女。
己の覆う古来の森を殻にて、連れ出してくれる手を待ち望んだ、古代技術を継承し続けた少女『アンナ』。
そして。
「止めどない流れなどない。剣をもって今度こそ悲劇を切り裂き食い止めん!!」
【蒼天の剣士】【全動疾駆】【修羅道】
純白の翼を湛える美麗の聖騎士。
『鬼人八人衆』が一人、過去の事変において、侵略する波を追いその脅威を振り払った英雄の一人である"蒼天"『バルムンク』。
それを己を囲むように、闘志をたぎらせる有志を視界に収め。
「ぞろぞろと有象無象を引き連れて、今更何の用ですか、かつての不肖弟子よ。私は忙しいのです」
【四端・霊亀】【カリスマ!】【超絶魔力】
女帝は凍り付きそうな冷たい瞳と言葉を、乱入者に向けた。
魂を屈服させるような、その鋭利な冷気の声に思わず慄くが、己の意思を振り絞り、少年は声を振り絞る。
「その言葉を意思を確かめに、未だに信じられないから、直接己の目で確かめに来ました」
【万霊を継ぐ者】【純朴少年】【ヒーロー】
少年の師匠である『霊亀』、その意思を引き留める言葉である。
彼らの意思は聖錬の体制側と連動している訳でもなく、革命戦争の初期も初期をもって殴り込んだのだ。
その情報の速さは、"女帝の企み"と言われる聖錬に伸びる中の暗躍を、砕いた在野の集団に、時にこの少年も居たからである。
「貴方は、本当に未来を憂いてこの国を愛してた、【無窮の守護者】と呼ばれた師匠が―――」
「すでにその問答に意味はありません」
ゴオ!!
不肖弟子の言葉を空間に、奔る様に走る冷気が否定する。
すでに己の威光は城を満たし、その吐息一つをもって全てを凍り付かせるに十分な戦闘態勢である。
「何かを選択したと思えばこの始末、事態は動いています。散々教えたでしょう。何かを捨てねば、何かを得る事はできないのです」
【親和する天使】【政治知識Lv4】【カリスマ!】
女帝は、己が得意とする弁舌をもって、芯が揺らぐ様なは少年では無い事を理解している。
いや、語弊がある。彼女が専攻する一流の先を行く【政治知識】は、大局の為に小さな布石を積み重ねるものである。
【英雄への情景】
いずれ罅と、布石となるかもしれないが、故に無意識に虚を愚弄さない事を彼女は気が付かない。
―――その愚かさを、夢を想う力を■■■■■のだから。
ヒュン。
「む」
ピシっ。
その冷気を引き裂いて放たれる鏑矢が、凍り付いて落ちる。
しかし、それと共にして矢に付属して炸裂して放たれる轟音が、周囲を震わせた。
「あぁ!なら教えの通り、剣をもって問わせてもらいます!」
「やっぱり説得は無駄みたいだ、知ってたぜ!!」
『音爆弾』【フォレストレンジャー:アンブッシュ】【ファストアクション】【天秤の定め】
呼吸の隙間を縫う絶技が放たれ、意識すらしない女帝の領域に落とされ、地に落ちる。
それに合わせて、一団はすでに弾ける様に動き出していた。
「―—―うおおおおおおお!!」
「潰す」
襲い掛かる二つの剛剣、空間を震わせて圧迫するまさしく重戦士の本領たる破竹の突撃。
質量と速度の暴力、原始的単純故に、抵抗手段も限られる。並みの戦姫であっても後退一択であろうその連携を…っ!
「はぁ、なんて―――取るに足らない」
【オルギア・フリーズ】
『霊亀』たる侵略する氷絶壁は、微塵も怯まずに一目を向けたのみで、"ただ当たり前のように対処する"。
パキン。
空白に競り上がる氷壁。それが進撃する破竹・闘炎を触れただけで、その意思が持って凍結させた。
「なっ、私の炎が…っ」
驚きながらも、もとよりマナより作り出した超重長刀である『闘炎少女』は、その投影を廃棄して炎属性のマナとしてばらまいた。
それでいて少女は、己の役割を履行して飛びのいた。
「凍る痛みなどっ…!オレは……今度こそ……護るために!!」
【奥義・
元より力の差に自覚し、この初撃に闇の障壁を纏いながら、渾身を込めた大男が孤独の氷原を進撃する。
大男は【狂羅輪廻】…、獣の如く狂気にて、敵対者の最悪を取る狂戦士である。
両斧という異質なスタイルをとり、それでいながらその豪腕の猛威を、微塵と陰らせることもなく、己を壊しながらも気合で振るうそれは……。
「なるほど、少し凍らせずらいですが、それだけです」
しかしその数歩、踏み込んだ所で、完全な氷像となった。
対策は取った。【陰陽術】による符札の生体防護。氷属性・水属性の染色に対抗する【超重炎刀】の火属性のマナの拡散。それを突っ切るだけの頑強性を持ち合わせた狂戦士である『ザザ』の突貫。
―――【闘気の才】【レイジⅢ:生命活性付与】
更に、『グラン』と呼ばれた青年の御業、事前の呪術的契約により、生命活性を全員に付与している。
「火・炎属性のマナに混合して、氷結現象を妨害する……、ええ、ありきたりな発想ですわ」
【水の集い手】
しかし、その布石のすべては『霊亀』の前により、無意味に化した。
環境放射さえ自身が手繰る水に取り込み、溶かしたマナ染色による
ただそれを可能にするのは、圧倒的な研鑽である。
―――妄壊の狂戦士『ザザ』、脱落。
「ザザのおっさん!うへぇ!?なんだそれ滅茶苦茶だぁ!」
「予想はしてたけど…っ!怯まないで、足を止めたらすぐ凍らされます!」
『ルーンナイフ:爆炎』【武具万能:投擲術】【万霊継し者:アサシン】
【フォレストヒーロー】【狩人の心得】【デュアルアロー】
しかし、理不尽に立ちすくむ様な半端者はここにはいない。
一呼吸の間に、その隙間を縫うように、降り注ぐ投擲ナイフと矢の嵐が殺到する。
「あら、反応は早いですのね」
起爆して暴威を巻き散らすはずのそれも、半端な形にして 凍り続けてその軌跡を誘導して逸らす。
それはまるで”ダイアモンドダスト”、花咲く様に落ちる塵り払う。
更に、紛れて。
「―――シィイイィィ!!」
【月衣:蒼天力翼】【全動疾走】【超俊足】【修羅道】
本来の二の矢たる"剛と鋭剣”が女帝に、凍結する領域を引き裂いて迫る。
その身は収束し一つの弾丸の如く、『蒼天』たる過去の奥義は滑空距離にて威力を増すが、それを用いらずとも瞬間的に、剣威を収束させる修練を積んだのだ。
【魔法剣Lv3】【聖剣抜刀:北斗骨砕打】【力翼制御:ヒット&ウェイ】
接近、瞬間的に炸裂して凍結する刀身を無理やり稼働して、その氷結を散弾に瞬間的に放ち薙ぎ払う。
少ない接触だが、すでに手の感覚はない。
しかしそれでもその反動で翼を翻し後退し、例え聖剣が防がれようと、次に繋げて駆け続けるだろう。
「噂に聞こえた『蒼天』が力、この程度ですか。殺意は十分、しかし技巧が足りません」
「なっ、に」
【氷紋剣:仙境神山】
その聖剣と称される魔法剣の連続起爆、収束した抜刀剣尖。
それをただの手振りにて、迎撃した精霊宿りし傀儡の氷擬剣が、そのままの形に凍らせて、後退する"蒼天"『バルムンク』に追いすがった。
「―――させるか!」
『バハムート・ノヴル:変幻武具』【武具共鳴:龍闘気】【万霊を継し者:ミゼラブルミスト・アローレイン】
それを全体を遮る様に、竜武具の変形した弓にて放たれる仮想の矢の雨。
戦姫筆頭『霊亀』に見出され師とし、その原理を多少教授されているからこその、奇跡の様な相殺である。
竜属性にマナで対抗するならば竜属性を用いるのが、一番早いのである。
……一部の修羅を除いてだが。
―――しばしの場の空白、仕切り直し。
「くそ、すまない助けられた。戦姫筆頭、"四端・霊亀"まさかこれほどまでとはな…っ」
この一連の連携は、彼ら冒険者の奥義を用いた間違いなく全霊である。
彼等は事前情報にて、”さらなる隠し手”がある事を知っている。
故に最初から全力をもって、畳みかけたのだが……。
「本当に冗談みたいな、奴」
「クソォ!汗の一つでもかいてみろってんだ。涼しい顔してよ!」
【天秤の定め】・【阿修羅姫】
その全てが無駄になった。
全てが凍り付き停止する。まるでかつての神話の侵略する魔王の如く、圧倒的絶望である。
「ダメ…全然魔力が集まらない」
【古代魔女】【呪印術】【幻影の繰り手】【弱者の足掻き】
その後ろでサポートに徹していた、小さな魔女が涙目で呟いた。
『霊亀』が誇るこの氷結領域では、少女が用いる古来魔術の類は、いや"詠唱を伴う魔術自体が発動しない"。
空間に紋を刻みマナを利用するそれは全てにおいて、彼女の氷結の浸食されている。
【カースドブレイズ:不発】
これでは彼女の本領である”失調”させる炎は放てない。ならば―—―。
さて彼らの勝率はいかほどか、気の遠くなる程の地獄絵図だった。
「わからない、わからない。師匠の考えていることが」
その中で、一団を牽引する少年、グランが呟いた。
この剣を重ねれば、少しは何かが見えてくると思っていた。実際そうやって心の内を照らして、分かり合えた経験もある。
彼女が国を民を確かに慈しんでいる事は、彼は知っていた。
故に一連の騒動の影に師の姿を聞いた時は人一倍にショックを受けたものだ。
日々蘇る、鋭利な氷、叩き潰す氷、火を巻く氷、全て日々身に叩き込まれて対処法を絞り出し。
ついでに、その己の頑強さから試作の魔剣の実験台にされたりとかして。
【超頑強】【英才教育:虐待ですか?いいえ愛です】
(あれ?ろくな想い出がなくないか???)
そんな想いが一瞬よぎるが、振りほどいて、さておき。
「『ジータ』を一度殺して!『ルリア』を散々傷つけて!!今度は『聖錬』を敵に回してまで、一体何がなしたいんだ、師匠、いや神山
【純朴青年:兄の矜持】【ヒーロー】
「はて、一体何の話です??」
その弟子の慟哭に、きょとんとした表情を一瞬と呆けて。
「あぁ、"蒼の少女"に"百花繚乱"の事ですか。知りませんよ。棄てた後に興味などありませんでしたから、手元に在れば利用法は考えますが、わざわざ追うなものでなし、『黒のセプター』と勘違いしてません?」
【不老の聖女】
それは本音である。『霊亀』は我が永遠安寧の為に自身の足元以外など、至ってどうでもいいのだ。
あくる日の自身の深奥を暴いた、弟子との決別の原因。
永遠を、安寧を、かつての『応竜』が死んだその日から、”刻”は女帝を確かに追い詰めるのだから、もう遠回りなどできはしない。
「外道が…っ」
「永遠を生きる
【蒼天の剣】【力翼制御】【修羅道】
高潔に澄み渡る"蒼天"たるバルムンクが吐き捨てて再び、構える。
「それでも師匠は……っ、あの時に!」
【万霊を継し者】【純朴青年】
それでも、かつてともにあった時に語った展望を。
あの時ぶつかり合い決別の時に、微かに見せたその気性が、積み上げた刻が己の師の本質であると、信じている。
「今ならまだ間に合う。"希望の灯"を消させるもんか」
【ヒーロー】【鑑定眼(偽)】【修羅道】
修羅道に至るまでに戦い続けた少年は知っている。
かつての"事変"にて『応竜』は死んだ。
かつての目の前の師と、同格と詠われた"四端"…その名声を反転させて怨敵、『邪神具』の象徴として。
災害に対する『雷光襲撃者』と振る舞い、確かに人類を愛して、ただ一つに悪意に狂わされて堕ちた。
『蒼炎』は滅びた。才はあれど出生は普通の少年でしかなく、仕組まれた
この世界は、こんなはずじゃなかった事ばかりだ。
誰よりも理不尽に戦い続けた者が、何故これだけ苦しまねばならないのか、目の前の師とて選択の結果とはいえ、苦しんでいたのを彼は知っていたのに。
人並みの幸福を日常を、ただ愛する青年は、時にそれを振り返り絶望する。
「"それでも"」
【ヒーロー】
何度足を折ろうと立ち上がり。
"それでも"と掬えぬ隙間に手を伸ばし続ける、その心を持つのがヒーローの心の在り方だった。
負けられないのだ。己を支えてくれた者たちの為にも。
そう自信を鼓舞して竜具に匹敵する、変幻武具を構え、自身の肉体を隆起させ、腑に活を入れた。
生態由来の武具に魔具に繋がり、揺り動かし稼働させる。
しかし、これを稼働させられる時間は長くはない。
「あぁ、チャンスは一度きりだ」
【武器万能】【純地単色】【闘気の才】
詩人は語る。その奥義は純属性の澄み切った大空から地に影を落とす様に。
しかしその影はきっちり自身を追随し、自身の道筋を示す様に変幻自在であるという。
彼のまるで黒騎士の様な、漆黒の鎧のフル装備から。
『バハムートウェポン・ノヴル』+【武具万能】+【万霊を継し者】=
幾多もの竜の爪、竜の牙。これは彼の本命本気の武双形態である。
影が伸びる、いや形どられる澄み切った"蒼"の様に、自身と共鳴した【龍闘気】で作られた。
これは少年が扱いうるの情報残留特性により、付き従う幾多の武器の影である。
これを持ち、影のように付き添うそれを万全に振るうのが、グランと呼ばれた少年の全力全霊だ。
―――かつての【蒼炎舞・百花繚乱】。
それはかつてのグランが知る、最も短く苛烈に生きた舞の参考である。
勿論、少年とはオド属性も体質も歩んできた道も全く違う。
故にその中身は、実態自体は別物だった。
"精霊に好かれる程度の才"にて、自己を拡張する
それに比べて、少年が生命力を織り交ぜ、空から落とす
湛える巨
焼き尽くす天、鋭く駆ける閃光の剣たる『蒼天』。
咲き枯れる炎、疾く重くを求め相反する双剣たる『蒼炎』。
そしてここに立つ彼は、それぞれ"蒼の銘"をもって呼ばれた者達の中で、間違いなく最強の戦士である。
―—―しかし、それを目にしても"女帝"は微塵もその零度の目を動かさずに。
【超絶魔力】【戦術眼】
ただ弩級の竜具であろうと、当然の様に自身が凌駕すると試算し、それを実現させる為の布石を稼働させる。
周囲を覆う、凍結現象の鋭さが一段と増した。
「―――消える、ですか。そもそも私が負けるとでも?心外だわ、その身に散々と叩き込んであげましたのに」
氷の人形の如く彼女には珍しく、不満げな表情を見せた。
それは強者の傲慢か、それとも"女帝"の師匠としての矜持なのか。
「お馬鹿な弟子に再び教えてあげましょう。北部の一柱、四端が『霊亀』は防衛戦にて最強だという事を―――例え『聖錬』を敵にしたとて負けはしません」
未だに彼女にとって敵など幾らでもいる。この戯れを終わらせよう。
手を触れたそれは、大国ナポレオンが秘宝たる髪飾り、『竜具』に匹敵する、彼女のもう一つのとっておきである。
それは大気の水を集める。"龍闘気"の誘因特性を、自在に手繰り
それをもって"女帝"の姿が変性する。
氷で形取られた鳥の如く硬質の翼。髪飾りの完全稼働、光の円環を背負った美しき異形の姿だった。
それを取り囲むように、その技氷で形作られた氷霊武具が、女帝の号令を待ちて浮遊している。
【巡狂座】【誰も傷つかない世界】【全傀儡制御】
それをもって成される、かの勇名高き『永遠戦姫』の同様に
彼女はその異名たる【親和する天使】の如く、しかしその実態は絶対領域の孤独なる氷結女王である。
誰が信じるだろうか、魔の象徴【超絶魔力】を持ちながら、未だ"純人種"の範囲なのである。
研鑽に研鑽を重ねて、故に孤独でしかいられない女帝。
『聖錬』を代表する精鋭で構成された討伐者であろうと、圧倒しうる可能性だった。
―――そして、衝突。
「―――うラあアぁぁぁ!!」
「ああ、別の技法が見えますが、やっと私の真似事ができる様になりましたか」
【蒼空万装:竜武具化身】【万霊継し者:操霊術・妖精術】【気配察知】【超俊足】
【氷紋剣:仙境神山】【操霊術:模倣権技】【氷の担い手】
ガガガガキッ!!
初めて、突撃・撃ち合い。凍り付いた地面も武具で踏み、正面から『霊亀』と硬質に剣を撃ち合わされる。
錬度は異なるが、互いに竜属性の使い手であり、それを適合し使いこなす彼は、女帝に正面から対抗できる。
それを以っても生体放射から、少年の腕は冷気に侵食されるがそれを気合と根性に、師匠を、または"三爪"を模倣して己の重ねた武具にて迎撃する。
それでも果たして、それでもグラン、単独で何十秒稼げるのだろうか。
対して女帝は、余裕の表情で他所にも目を配る。霜と凍り付く己の吐息を、身体の芯を自覚しながら打ち合い続ける。
しかし、それでも諦めない。
なぜなら、二重起動の直後に生じる微かな隙を、グランは知っていた。
故に、少年は、彼らは、その隙間を縫うようにその動きを鼓動するのだ。
グランが披露した全霊とて、あるいは見せ札でしかない。
―—―意識のリソースが正面に割かれ、力の開放による硬直のわずかな空白に、漆黒の影が走りぬけた。
【影を駆け抜ける者:隠密行動】【ファストアクション】【ダブルストライド】【死中闊歩】
それは、今の今までに勝利の為に、体温を下げてその身を隠していた。
もう一人の仲間、桁違いの弩級の修羅。一段と圧倒的な雰囲気を放つ、マントを纏った怪しげな男。
『道化』の理不尽抗った聖騎士、記憶を喪い放浪し、かつての願いから死を奪われた理外の戦士『アデュー』。
【想いは流星となって:気合・凍結軽減】
勿論、彼とて"女帝"の氷結領域を無視できる訳ではなく、その手足を身を凍らせながら、斬り払い刹那の瞬間を疾駆するのだ。要は気合である。
「なっ」
「―――……ッ!!」
【無窮の武錬】【両手利き:右手に剣を、左手に銃を】【致■の一撃】【夢幻修羅】
―—―ガガガガガっ、斬ッ!ザンッ!!
夢幻・本能に魂に染み付いた記憶により、至近に近づき牽制の銃撃から繋いで繰り出される。
その不意を突いた、絶技たる連撃によって。
「そんな、私の、領域が?!」
砕け散る彼女を覆う氷結装甲。
それは彼女が誇る"絶対防御"をも亀裂を入れ、綻びを入れた。
そして初めて"女帝"が後退する。竜具の稼働を軋ませて、水の如く満たされた凍結に、自身だけはその中を自在に泳ぎながら、氷結の傀儡の軍隊を嵐の様に指揮して、取り囲み振り払おうとする。
―――そう、ここからが初めて"女帝"にとって、初めての闘いと呼べるものになる。
それに畳みかける様に。
「お願い…っ!カシマール」
『チャント、カラダツクリナオシテクレヨー』
『呪術人形・カシマール』【古代魔女】【呪印術:半身憑依】【魔力譲渡】
「―――顕現せよ、わが
『化身・闘炎のヨロイ』【超重炎刀】
闘炎の少女が、小さな魔女の力を借りて、彼女の器であった巨人の投影して再現する。
そこ放たれる巨刀、【次元斬】大仰に名付けられたそれ、陰陽術で障壁を纏いそれを局所的に破裂させる事による、疑似質量の"絶対切断"である。
それを断続的に、継続的に引き起こす事により、凍結をちりじりとなる事で伝播を避ける。"女帝"の傀儡軍勢を叩き割り、蹴散らすのだ。
しかし。
「―――ここまでして"闘炎"が凍る、か。本当に、滅茶苦茶な、奴」
【オルギア・フリーズ】【アリスティア・ハーツ】
しかし、それで防げるほど『霊亀』の"絶対防御"は甘くはない。
砕けた欠片であっても、傀儡より凍結を伝わり未だに熱を放ちながら、その投影された巨体の儘にその動きを停止させ、時すら忘れさせて凍り付いた。
―――『闘炎少女』脱落。
幾多の魔剣を、時には呪いのと付け加えられたそれを、回収し探求し研鑽した。
その浸食のメカリズムは、どこまでも現実的で不可侵である。
「うっとおしい…っ」
拓かれた道に正面から迫る。不肖弟子に、推定Sランク級の弩級修羅、猛攻を全てを軍勢を指揮し凍結させながら。
"女帝"は後退して逃れる、その退路にも牙が迫るのだった。
「さぁこいつにぶったまげろ!!」
「"命脈無常にして惜しむべからず"…っ!穿て我が剣…っ!!」
【フォレストレンジャー】【ホロウショット】
【蒼天の剣:
その凍った巨体に紛れて正面から、"葉の一枚さえあれば行動を認識させない"、あるいは不意打ちの極致が襲い。
かつて"剛燕の一撃"と言われたそれを、それを磨き上げ尾を引き竜とまで評されるまで至った。その脚と月衣により地に反発し加速し続ける回転聖剣が迫りくる。
現在の"蒼天"は空より、大地の方が早く疾走するのだ。
包囲して迫る十年ぶりだろうか、殺到する、己の命の瀬戸際に。
「―――仕方ありません。そこまで練り上げた己を、"見せ札"にするなんて」
【無窮の守護者:迎撃態勢】【戦術眼】
彼女は、聖錬北部にて、常に脅威に理不尽に対峙し続け、当たり前の様に対処した『四端・霊亀』である。
故に、その全体の流れを把握し、当然の様な理性で己の”損耗を許容した”。
「少し見ないうちに成長しましたのね。―――やはり刻は、残酷です」
ほんの少しだけ、その頬を微笑みに歪ませて。
既に逃れるのを止めて、異形の翼を広げ『迎撃態勢』を取る。
【オルギア・フリーズ】【アギオアルカディア】【全傀儡制御】
タップするように地を踏み、後輪を輝かせ構え、干渉する。
その一挙動で、周囲に一斉に水を接ぐった柱の如く"地形破壊"に隆起させ得る。
圧倒的地形攻撃、しかし頭は回転し冷静に測る量る。
これで稼げるのは何秒か、その間に敵対者の牙が届くのは分かり切っているのだ。
しかし、例えその隙間に喉元を咬まれようとも。
【旋律詠唱】
「”流れる涙すらも巻き戻り”
”眠れる生者と死者は何も変わらない”
”夢から覚めて”
”追われる時間を巻き戻し”
”私は永久の幸福を夢掴む”」
聖女は奏で謡う。
世界に訴えかける。己を、柱を、永遠を絶やす事は容易にできはしないのだと。
「さぁ魅なさい。これが『霊亀』の誇る―――我が永久の
『水属性による凝固点の低下
氷属性のよる氷結点の低下』
マナの干渉原理、その究極である。その言葉の通りに世界が凍る。
比喩ではなく世界が止まる。
『霊亀』が奥義、その具現を、この世界の究極の一つを彼等は見るのだった。
適当に整理。
グラン君がやたら強いのは大体、先だけ曖昧に決めているプロット過程をキングクリムゾンしてるからです。割と唐突だなぁ・・・。
バルムンクも成長しており、大体が将来で習得予定のスキルです。
参戦キャラが少ないのはキャラシート作るのが間に合わないからです。
すみません。
想定戦力値。
『グラン』:才能と環境と装備と努力と精神が揃ったやべー奴、短時間のみ、精鋭戦姫級を想定(13)。
『闘炎の少女』:元ボス、この時間軸では簡単に化身出せないだけで性能ダウンほぼ無し、素だと七本槍級より下想定(11)。
『ウェルダー』:銃じゃなくて弓使ってる。想定された最終奥義の
『ザザ』:本当だったら一番厄介な壁兼狂戦士、【狂羅輪廻】のせいで退けないので、真っ先に脱落、重両斧を業怪力で殴れば敵は死ぬ。王国騎士団級を想定(11)。
『アンナ』:古代魔女、呪印術とか憑依術とか使える代わりにあまり汎用性はない。
正直、ここにいるのは力不足(8)。
『バルムンク』:鬼人八門衆、聖剣技使える人魔身で奥義持ち、この時間軸だと七本槍級を想定(12)。
『アデュー』:割と何でもできるから困るマリー枠。Sランクから六神武貴党首級の間を想定(13)。
なお、亀さんは双武級から王様の間を想定です(16??)。
亀さん死にたくないし、【戦術眼】と【政治知識】持ってるから勝てると確信してしか、参戦しようと思わないと思いますが、どう考えても戦力足りないし。
テイルレッドの証言通りに、想定より戦力が集まらなかったの解釈してます。
もしかして参戦動機もまだわかりませんし、別の要因があるかもしれませんが、単純に【戦術眼】持ってるキャラで、チェス盤動かしてる描写がやりたかっただけです(ロマン)。
生えてきたゲストキャラ【夢幻修羅】【英傑殺し】【無窮の武錬】アデュ―君はおそらくテイルレッドを除けば、終始作中で味方ユニットで一番強いです。
Sランク級、六神武貴級一歩手前のつもり(割と、何でもできる中身を見ながら)。
囮アンブッシュしかけたのは、過去話で、パーサーナックスを埋めた時の対応(マンチ)で、【影を駆け抜ける者】持ってるし、やるならそういう殺意で殴るかなぁと。
記憶に関する幕間はやれませんので、SR級にSSRをちょっと混ざっている感じで投入しています(おい)。
文章カラテ不足でリコリス(.hack)にすら喋らせた作者には、無口で鉄仮面を持った、中身が重い主人公系のは表現するに荷が重いです(カラテ雑魚並み感)。
なお、【応竜】と同じように、カイト君は(プロット通りなら)死んでいませんが、出張ってこれない様な状況です。ちょっと、当初の想定より舞台が大仰になって試練も大きくなりましたので未定ですが。名前残ってないだろうし、本編軸にあまり影響を及ぼさない様に考えてます。
絶対グッドルートにはいきます(意地)。幸せにするために書いてます。
これらはあくまでIFです。進行次第で変わります。