ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
―――『高山都市・先鋭』
ブォン……っ!
粉砕。
圧倒的な蒸気の圧力、鬼の如く風貌、各部位が鋭利に肥大化した巨大な鎧。
爆発的な熱と蒸気をもって、周囲を薙ぎ払い進撃する巨人だ。
巨大な質量というのはそれだけで脅威である。
蒸圧、自身の稼働し続ける生み出される膨大な熱量を、爆発的な圧に内包した。
それを流動的に放出し、疑似の血潮に脈を武威の形と共に回転させ続ける。
山岳地の地形を粉砕され続けて、暴威とは何かを体現する兵器の申し子である。
それを…。
見据え対峙し続ける小人たちが躍る。
戦士たちの並みの魔物を容易に殺傷しうる呪いを籠めた矢が殺到する。特に見張るのは…。
「へへ、一斉射だ!通るまで矢を通し続けるぜぇ!」
【フォレストレンジャー:狩人の目】【精霊術Lv2:マナペイント】【アローシュート】
"緑の青年"の放つ矢は、空削く色付く制御節を籠めて、的確に撃ち込まれる剛矢である。
武術を問わず人の技術は指向性を持つ物だ、人の手に掴める物が限られる故に効率化を目指す。
"闘炎の鎧"が、蒸圧に指向性を持たせ四肢を強引にぶん回し続けるその流れを、観察眼に見ぬき。
ダメージは勿論狙う。それと同時に色付けて、前衛に動きの余波の流れを伝えるのだ。
「よし!うまくいってる、動きが見えるウェルダー!」
対して前衛を張るのは、二人のフィジカルに優れた戦士が"色"を詠み合いながら暴威を降しあう。
【魔法剣Lv3】【御業の継承】【狩人の心得:気配察知】
微かに竜の息吹を纏った剣はマナ現象を切り裂き、余波を喰らい散らし。
屈強たる呪魔の戦士が壁として、豪斧により物理現象を打ち払う。
「符を取りつかせられないか。正直、魔法の撃ち合いは苦手なんだけど…っ」
ビィイン、ブォン!
『呪いの仮面:
更にそれを援護するのはこの面子の中では、中衛たる仮面の女である。
光属性の二章級魔法の連続生成である。
符を展開して属性を調律、そのレイピアを指揮棒の様に奮い立て、驚異的な速度で魔法を連続して放つ。
【へクスナイト】
依頼によって参戦した冒険者である彼女は、近接技能と中距離技能を高い水準で両立した戦士だ。
呪われた魔具、忌まわしき仮面によって。二重の思考を動かし続け独自の符を回す。
高い火力、それでも鉄壁の如く防御性。
戦場は、要塞の攻城戦染みた様相を呈してその状況は、徐々に抗う者達に傾きつつあった。
蒸気圧を、熱を放ちながら動くそれは、武術に影が見える故に予兆がある。
その機先を押し留めるだけの火力、色付けされた圧力の流れを"見て"、屈強な戦士が武具をもって凌いだ。
貫通性に優れた光の弾丸が、地道にその装甲を焼き刻む。
その中で特に有効になるのは、"竜属性"の武具である。
巨人が持つ【闘炎】の性質は"浄解"というマナ結合を妨害する性質を持つ。
それはマナ結合の類を通電し、結果励起から消滅させる特徴を持つ"竜属性"と似通う所がある。
しかし、その生態磁気の延長であるそれは、透過性も破邪性質も上回っていた。
『バハムートウェポン』【闘気の才】
つまり少年が振るう剣は、同質の炎を上回り物理現象を伴う以外では打ち勝ちうる可能性を持つのだ。
生命力と竜属性を感応させた生物上位、"龍闘気"を放つ魔法剣の猛威である。
「そこだいけえェっ!!」
【魔法剣Lv3:レギンレイヴ】
―――紫色の極光。
竜属性の剣が蒸気の揺らぐ色を見抜き振り下ろされる。
その炎を蒸気圧を輝きを放ち、
確かに重層甲は砕き焦がしたのである。
ぶしゅうううう…!
【超重炎刀】【怪力】【阿修羅姫】
巨人の巨鎧は膝をつき、大地に巨剣を突き立て損傷に踏ん張る。
しかし、巨人とてただで転ばない。
炎で形取られた巨剣を突き立て大地を揺し炎を巻き散らして、周囲を吹き飛ばしたのだ。
「よっしゃ、ダメージ通ったこのままいけるぜぇ!」
「……なるほどこれが"竜属性"か、凄まじい物ね」
【アクロバット】・【■■式符術:陸踏符】
一人はその身軽さで、一人は"腕輪の担い手"の少年の如くに符で作り出した足場を利用して跳ね。
射撃態勢を維持して、後退する前衛を援護しながら抗戦を続ける。
このままであれば順当に防衛側が競り勝つだろう。
強大な個と、数の理。
巨大な重量出力を誇る兵器、隕鉄の申し子であるそれとて、精鋭と数が揃えば抗いうる。
理不尽も理不尽に塗りつぶされるこんな世界の法則だ。
『―――ブォン』
しかし、暗く淀んだ鋼色の眼光が奔る。
【陰陽・炎熱機関:オーバーヒート】【怪力→剛怪力】
グおおおおおおん、弩度々…っ!!
途端に、青天井に上昇しつつある。
唸り叫ぶ声、巨大な鎧の出力が、巡り放たれる熱量の圧力が一段階強化される。
それはその誕生により埋め込まれた外部機関、臓器の過稼働による暴走モードである。
【炎熱地獄を越えて】
その巨鎧は本能で稼働している、存在しない天よりの糸に求め手を伸ばし、何処までも進撃する巨人だ。
それを妨害する小人の存在を明確には認識していない。それは盲目であるのだから。
障害があるのならより強い力で踏みつぶすと、自身の損耗を顧みずに稼働を上げ続ける。
【炎の担い手】
ズシン、ズシンと。
その進撃の後に、全ての矢を叩き落す、大地は燃え立ち不毛の灰と化し。
更に溢れ出すその炎の余波で蛇の様に巡りだすのだ。
更に巡る蒸気圧の強化により、強化された剛腕により勢いを増して大剣が振り下ろされる。
男がその豪斧で援護を受けそれを凌ぎながら、明らかな脅威の上昇に…。
「っ不味い。このまま暴れ続けられれば、我らが故郷が亡ぶ…っ!」
部落の筆頭戦士である男が、焦りの儘に声を上げた。
迎撃する面子の中で一番切羽詰まっているのが、この筆頭の男と率いる戦士達である。
彼等にとって必死にもなる。
『高山都市』と呼ばれる程に象徴となる母なる風と恵みの山々である。
それが不毛に亡れば、彼等の後に続く者達の糧がなくなるのだ。
【ストロングアーム】
「ならば、活路を拓くのみ。皆の者!我らが意地を見せるときである!」
故に焦り、決着を急ごうと風巻きの斧をうねらせて、乾坤一擲を成そうとする。
その土地に馴染んだ塗布を常に纏いマナの適合性を共にして、精霊の風を全力その身に纏う彼は、短時間であればその炎熱地獄での生存を可能にするのだ。
活路を拓く為に部落の戦士としての当然の選択に、その力を込めて…
「違う。エシオさんこれは我慢比べだ!こんなの長く持つ訳がない!!」
「なら、どうすればいいんだよグラン!」
【鑑■眼(偽)】
しかし、それに対して"青の少年"は、叫んで止めた。
彼は損傷に、欠けた部位に、溢れ出す様にその炎熱は発生している事を観測していた。
損傷を前提にして、内圧を惜しみなく放出しているゆえに、それには限界が訪れるだろう。
そう話している間にも巨人の剣は、その出力は猛威を増していく。
「なら変わらず、ここで食い止めるのが最善です!ウェルダーは仕込み矢を、エシオは暴れ風を、ロザミアさんは―――」
【剛怪力】
鱗の如く、自身の障壁精製能力を刃に転じて炎を閉じ込めて転化、【次元断】大仰に名付けられた。陰陽術で障壁を纏いそれを局所的に破裂させる事による、疑似質量の"絶対切断"だ。
それが自身を阻む何かに対して、一網打尽にしようと振り下ろされる。
その刀身自体の破壊力も勿論だが、もしまともに許せば、砕けた欠片は内包した闘炎に取り巻き。
糧に燃やす様に辺りに飛び這い、周囲を蹂躙する光景を成しただろう。
その巨人が戦略兵器として誇る、その巨剣の斬撃を……。
―――シュキィイイイン!!
甲高く鳴り響いた魔力細工の壁が塞いだ。
両端の属性に先鋭化した衝突である。
「実戦では初めてだけど、いいいっけえええええ!!」
【バッカーLv2:仕込み盾】【御業の継承:ファランクス】
【■地■色:ラーニング】
冒険者の女が携える怨霊染みた霊体を持つ『呪いの仮面』もある種、魂宿った"生態武器"と呼べるだろう。
【■■式符術】、同一の札を、連鎖させ反射・反響・干渉させて大きな力とする技法。
それに感応して汲み出して、故郷の謎のBBAの教練をパズルの如く組み入れ、アレンジした技能である。
既に盾の裏に彼の持ち竜属性武具はセットされている。生体"磁気"である森属性を盾内で反響させ内部で共鳴させる方向性を固定、"竜闘気"を嵩増す。
勿論、竜の理の儘その盾の機構も"龍闘気"に溶け落ちるが、そのタイミングを動きと合わせれば
その一度限りにおいて広範囲の"龍闘気"の盾を形成する、身を仲間を護るための切り札だった。
「おっしゃあ!やってやるぜ。これ位がなんだ!オレはフォレストレンジャーだ!」
「勝算があるのだな…っ!ならば我らの風を任せよう!」
『クロスボウ:巨大化』【フォレストレンジャー】【アローシュート】
【アックスマスタリー】【ストロングアーム】【魔力撃】=【ミスティックハリケーン】
更に特殊な弓。魔力を込めることで変形し、城壁を破壊するほどの大型の石弓の矢が襲い。
大地を叩き、罅割れ瓦礫の如く散弾も併せ、精霊の加護を得て吹き荒れる暴風が、
併せてその竜闘気の盾を後押し炎を搔き散らした。
『―――グおおおおん!!』
【次元断】【オーバーヒート】【阿修羅姫:夢幻羅道】
それでもその斬撃は完全には止まらない。
纏った衣を罅入り剥がされ、内包した炎を吹き散らそうとも物理的な現象のまま、"青の少年"に重力に惹かれて落ちてくる。
破格のマナに対する特効性を持つ"竜属性"であるが、その対抗策の一つが質量攻撃である。
既に受肉して"竜属性"をおいても焼ききれない程の質量に、剛怪力が宿りて振り下ろされる。
目標を少しずらしたが余波でも、小人を砕くのは十分なものだろう。
「―――それだけは。さ、させない!」
『ヨッシャー!キアイイレテケー』
【古代魔女】【呪印術】【幻影の操り手】
しかし切裂いた地点には、既に"青の少年"はいない、そこに揺らいで消えた幻影である。
それを成したのは巨大な帽子に、呪具を備えた古典的な魔女装束を纏った少女。
『呪術人形カシマール:背を押す勇気』
本来、彼女は戦うに向いていない。ただ見ても居られず震えながら、隠れていた。
自身の魂を模倣した、理想の
人並みに災害に怯え、臆病で世界を知らない。ただ小さな小さな魔女である。
「っく…、仮面は長くは頼りたくないのだけど。さて、見立てが正しいかお手並み拝見といきましょうか」
『呪いの仮面:操霊術』【魔術師Lv3】【■■式符術:連重符】
レイピアを指揮棒の様に振るいたて。
その合間に集団を牽引する少年の言葉通りに、"傭兵の女"は、仮面を纏いその独自の符を展開して備える。
しかし、いつもの通りに自身の周囲に展開するのではなく、大鎧の周囲に連鎖して大量に展開させた。
大鎧は蒸気と共に"浄解"の性質を持つ"闘炎"を放つ、故にそれを纏った攻撃時には己の
【オーバーヒート:過負荷】
故に、全身全霊の攻撃の後には、その符を吹き飛ばす余裕もないと判断しての行動である。
そして、以前吹き飛ばした蒸気圧は発生しない。その予想は当たっていたのだ。
「さて、貴様自身は巡るその灼熱に耐えられるかしら?……焼き尽くせ!」
【多重操作】【陰陽術Lv2】【■■式符術:光環符】
その号令と共に、符が円形に整列し、熱を反射する簡易結界が展開される。
冒険者"仮面の女"のオドは、生来の空と天の混合である"光属性"と。
とある事情でその手にある呪器の魔具『呪いの仮面』の肉体改造による、後天的な
この"冥属性"により、周囲のマナや光源を吸収して威力に変えるのを得意としていた。
そして、その効果はすぐに顕れる。
鎧が崩れ、崩落していく。その中心で、少女が頭を抱えてうずくまっている。
『―――いや、いや、いや。乾いてこの暗くて暑いのはもういや、もういや……!』
【熱暴走】【炎熱地獄を越えて:トラウマ】
それは予想以上によく効果を表した。彼女…、『闘炎の大鎧』の化身の死因に酷似していたのだ。
生き埋めになり、それでも死にきれない自身の"ドワーフ"故の適応性と生命力。
鎧中でモガキ苦しみ、届かぬ天にその腕を伸ばして、徐々に渇き渇き化石となり滅んだのである。
彼女は盲目であった。今回の進撃とて、再現された際に聞いた"詩"に促され。
モガキ苦しみ、鎧の中では決して届かぬ天の光の糸に、腕を伸ばしただけでしかない。
『―――私は、私は。ただただ光を浴びて…』
"灼熱地獄"に堕ち徐々に乾いてた頃も、兵器として生まれ、兵器として扱われた過去も。
役割に徹しながら彼女はずっと、ずっと心の奥底で求めていた。
己の殻である鎧を砕き、光の届く世界に連れ出してくれる誰かを、その手の存在を…。
「これで終わりだ、どおおりゃああああああ!!」
ザっ。
【御業の継承:アーマーブレイク】【バランス感覚:ライトウェイト】【超頑強】
大鎧の振り下ろされた大剣を、"青の青年"が独自のバランス感覚をもって蹴り登り上って。
取り巻く熱からも、持ち前の頑強性から無視して。空より、重力を乗せた歪裂く剛剣が襲い掛かる。
そして、その剣は既に脆く崩れかけていた鎧を確かに砕いて…。
その切れ間から、太陽の光の糸が降り注ぎ。少女を顔を照らした。
「なんだ、中に女の、子?」
「あ……」
【純朴少年】【ヒーロー】
しかし、そして互いにその目が合い、攻撃の手を緩めて硬直した。
情報に溶かされ、万有の投影札に再現されたその鎧は拘束であり、自身では脱ぐ事ができなかった。
求め求めた光の糸。生前にすら敵わなかった自身を役割から、この殻から、炎熱地獄から引っ張りだしてくれる、そんな想いと重なるその手に…。
だきっ。
「―――…ッ!!」
「な、え?えええ!?」
【炎熱地獄を越えて】【超絶美形】
思わず、身を乗り出して目の前の男に抱き着いた。
"青の少年"は、そのいきなりの出来事に目を白黒させて困惑するしかない。
―――そして巨人は砕け堕ちて終結する。
鎧の繰り手事少女は、本人の意思もあり一団に秘密裏に保護されることとなった。
それは彼女にとって、鎧の少女にとって正解であった。
この少女は無残な心の穴に光が差し込み続けて、やっと正しい呼吸をしていられるのだから。
大鎧の進撃はこれにて終幕する。
その一方で…。
―――"高山都市"上空では。
【禍々シキ波】
『—――サァ、ワレヲ見ヨ。我は先導スルモノ」
【碑文八相】【惑乱ノ飛翔】
侵略する波、八柱の柱の一つたる
それは先に街を襲った『死神』の如く固定された速度はないが、まるで泳ぐ様な気儘さをもって天を泳ぎ回っている。
【惑乱ノ蜃気楼】
「不覚ッ、この巨体、なぜ今まで接近に気が付かなかった…っ!」
「おそらく光を曲げた"迷彩"という奴。既に先ほどの『黄金』がその機能を見せています!」
【迎撃態勢:怨敵覚悟】
突然な降臨に反応したのは、高い機動力を持ち。周囲警戒を欠かさず待ち構えた二人の戦士である。
その推測は半分当たっていた。同じく光を偏光させての視覚からの隠蔽。その機能"も"備えている。
【魔法剣Lv3:デリウランス】【風の担い手】【月衣:マニガンス】
『レールガン』
男が月衣とその白亜の翼を展開して、直線状に迫り得意とする剥離する槍が如く魔法剣を放ち。
追随して、影に抉る様な角度より電磁誘導で弾かれた弾丸が襲い掛かる。
その殺意は牽制には十分、躱すか受けるか、そのどちらでも修羅はそれぞれの経験に対応させるだろう。
しかし…。
ブォン。
「―――な、に?透過して…、っ幻術の類か!」
【修羅道】
その風槍も、飛来する弾丸もその現身を透過して過ぎ去っていった。
"蒼天"は白亜の翼を翻し、その空戦軌道を切り替える。
手応えの無さから、修羅場を踏破した経験がオアシスの様に湧き出し正体を看破させる。
【禍々シキ波】【円環魔術】【惑乱の波動:忘我轟雷】
その予測通りに、幻惑の釣り餌に釣られた二つの機先に四章級の落雷の魔法が襲い掛かった。
警戒していながら先ほどまで、『八相』本体は彼等の視覚に捉えられていなかったのである。
そこに在ったのは、"幻属性"によって己の姿を投影した
その正確さは半物質化してるのもあって特殊な探知手段または、高度な観察眼がなければ見破れない。
「くぅ…!範囲が、広い」
【ハイパーセンサー:不発】
仮想の雲を空に展開してでの落雷、反応が遅れたのは機巧の騎士である。
領域作成の抵抗もあり、落雷を機巧に掠り受けて少し高度を落した。
鋼の装甲越しに世界を感じる"機巧操り"は、どうしても世界に対する感覚が鈍くなるのである。
無機質なセンサーの探知はまた別のメリットを持つが、同系樹の存在に今回も逆効果となっていた。
「『死神』と同様に相性が悪い。しかし、承知の上…っです!」
【鋼の■仰】【射撃姫】
改めてそれが『死神』延長上の存在と認識して。
今の彼女の翼は折れていない。だからこそ変わらず、闘志を燃やすのである。
仇である、鋼の流星がが証明し一度は打ち払った脅威。再び払う事など訳ないと引き金に力を籠める。
出力を細かく吹かす。抵抗に
キッィイイン!!
己が信じる、貯め討つ弾丸を撃ち放つ…っ!
【両具:両尖投射】
【蒼天の剣】
人魚も宙にて泳ぎ、幻影を形取りながらその両腕の鋭き針にて反撃、小人を中々捉えられずにいた。
そして前衛に"蒼天"が空を舞い、その剛剣によって時に幻影ごと、斬り裂き回るのである。
「フン、二度も襲われれば対策もする。併せて
天泳ぐローレライを睨み付けて、"蒼天"は吠える。
思い返せば、先に襲撃した『死神』は攻撃性に特化していた。
隠密性と、固定軌道の速さにより、頑強な機巧にとってすら、直撃すれば必墜一撃を叩き込んだのだ。
それに比べてこの敵の個々の挙動の威力は、随分と抑えめに見えるのである。
【円環魔術】【幻惑の波動:鬼火乱舞・忘我轟雷】【惑乱の蜃気楼:投影体】
いや、それには語弊がある。
"仮想の雲"、マナ原理による大気を擦り合わせた落雷は、街を覆い尽くす様に広範囲だ。
更に本体を周回するように巡り鬼火と敵対者を焼く炎は、時に幻影"蜃気楼"の種となる。
そんな対人に十分すぎる"四章級"の大魔法を、広範囲に展開しているのである。
更に、その魔法はまるで霊体干渉するかの如く、真面に防げば状態を誤認し直撃し、焼かれたと誤認する。
それと同時に並行して"蒼天"、及び機巧騎士の女と空中戦を繰り広げるのは凄まじい。
だが『魔王級』と呼ばれる程の、理不尽の片鱗はまだ見えない。
「油断しないでください『蒼天』、確実に隠し手があります。アレはそういう類の理不尽です!!」
「そんな事はわかっている騎士の女!何か、気が付いた事はないか!」
「まだ何も、相変わらずセンサーが殺されて…、いや。何故か極端な周波が……?」
機械はタップ踊り、白亜の燕は舞う。
その光景は町全体に届き踊らされる者達に勇気を、抗う者達に恐慌を与えて。
再び、『高山都市』における混沌のバランスを恐慌に傾かせ…。
―――彼方から光が形取られて、輝き飛来する。
「さっきから何だか知らないけど!ここから出て言ってよ
【精霊術Lv3】【魔術師Lv2】【理性蒸発】・【アローシュート】
そんな空気知らない!とばかりに、横槍を寄越す類も確かにいるのである。
空を駆ける自由を持たない勇気を持つ者達は、誰かは宙を見上げて、誰かは遠距離に射かけた。
しかしその光を矢は、時に"蜃気楼"を貫き、纏う力場に弾かれた。
『八相』と呼ばれる存在が纏う防性月衣、通称【プロテクト】はそれぞれに性質が異なる。
一芸一辺倒では招くべき英雄に失礼だろうと、それぞれに嗜好を凝らしており。
この存在は音場・光場による拡散により、"魔法"などに強い耐性を誇っているのである。
しかし、その光矢は反応で"蜃気楼"の真贋を示して。
「そこか、全砲門解放…撃ち貫く!!」
『化学式ミサイル・レールガン・マシンキャノン』【精神戦術:狙撃・集中】【射撃姫】
機巧『リオン』の装備である武装を展開させて、一斉射にて火力を叩き込んだ。
天泳ぐ人魚に直撃し、ローレライの肉が削られて霧散する。
しかし…。
『―――我ハ不滅、真二価値アル存在ヲ招来セシ……』
「大精霊でも吹き飛ばす量、これでも回復しますか『死神』より疵が入るのは楽ですが…っ」
【円環魔術:超再生】
その疵跡はしばらくの時間を経て、だんだんと塞がりゆく。
前回の解析を経て、この存在がマナで編まれた化身の様な存在だというのは確認した。
故に、貴重な科学的な炸裂を引き起こす爆薬を用いて吹き飛ばしたのだが、この侵略する波にはそこまでの効果は見込めないようだ。
「しかし多少手品が見えました。このセンサーに響く極端な高周波と低周波…"音を、振動を操ります"!この霊体干渉するような魔法は、おそらくその産物です」
「やはり幻術の類か、物理は通るがとにかく火力を足らん、撃墜しなければ始まらないか」
【偏光偏音板】
空舞う、切り返す。『蒼天』は回避のみに傾注する。生身では掠りでもしても致命傷となるだろう。
全力稼働に、身体は軋みあげる。逆に鋼鉄の鎧をまとった機巧操りは、幻術の影響を受けずらい為にアタッカーとしてそれを援護する。
局地迎撃を成した彼等二人の火力では、空に映える巨体を持つ。
この"禍々しき波"を滅するには厳しい。
更に"魔法"に対する高度な耐性は、併せて機動力を持つこの存在への対抗手段の選択肢を、大きく制限していた。
「何処まで有効か手は在ります。準備が整うまでは足止めする!」
現在、この高山都市は
このように前回の襲撃からの教訓は活きていた。世迷言の様な在野の冒険者に予言に備えて。
再来するかも知れない、その領域を剥がす用意は整えているのである。
【領域作成:禍々シキ波】【両具・両尖投射】【惑乱の飛翔:高機動適性】
その存在は変わらず、その空を搔き尾をもって叩き、巨体に似合わない機動性をもって泳ぐ。
変わらず、投影された巨大な両尖の針をもって突き貫き、排除しようとする。
しかし先からの交戦で、その存在は考える、模索、結論付けた。
自身を留める二つの星は容易に屠る事はできないと。
この"第二相"『惑乱の蜃気楼』は先の"第一相"『死の恐怖』に比べて、更に都市堕としの機能に寄っている。
自身の周囲に空舞う羽虫は所詮は人間である、いつかその精魂は尽きて堕ちるだろう。
しかし、波とてそれを待つつもりは毛頭ない。
『黄昏の碑文』【無形の人形:無効化】
自身が再現した兵器、桜皇にて兵器と謳われた巨兵が敗れた事を認識し、演算能力が空いたのを確認した。
天魚は自身の身体を楽器として振動させて歌う、詠う。
都市堕としは都市堕としらしく、圧倒的な異能、権能をもって水底に沈めんと自身の機能を稼働させる…っ!
『—――♬♩♬♩♪♬♫―――サァ、光二満チタ水底二沈ミナサイ』
【超絶魔力】【領域作成:禍々シキ波】【偏光偏音板】=
それは澄んだ空にて疑似的に再現される"海界"である。
音を奏で上げる事による
薄く呼吸は可能だ、だが出来ても錯覚により取り込まれていないと認識し、過呼吸にて沈める。
「ガボ…っ?!なんだ空が…!」
更に、その間にも"四章級魔法"は展開される。
特に情報過多で我を忘却させる『忘我轟雷』は自身がここにいる由来さえも忘れさせて、空にて溺れさせるのだ。
翼を持たぬ者は、その仮想の水底から浮かぶことも出来ずに死ぬしかない。
そんな明るき水底の地獄だ。
『ソウ、ワレヲ見上ゲナサイ、魅入リナサイ捧ゲナサイ。我二価値アル夢ノ全テヲ』
人魚は語る、自身の意義を定められた演役を。
それは群衆の行き先を惑わし、誘導し、破滅の断崖たる崖に導く悪悦な"蜃気楼"だ。
抗う者を全て折り、自身を中心とした信仰地域を拡大せんがために。
意味を乗せた言葉を折り重ねて騙り掛けるのである。
騒乱は終わらない。
ファランクスの理屈は、グラン君が森属性の単属性なので生体磁気を反射させる性質の金属(リアルには存在しない)と空間を内部に仕込んだ盾に、竜属性を感応させて"龍闘気"に反射増幅。焼け落ちるタイミングで前方に押し出す事(バッシュ)による竜闘気の壁及び、盾を作り出す予定です。
原作性能だと強すぎるので、仕込み盾を消耗してでの一度きりの設定です。
グラン君の体質は、ジータちゃんの設定を受けて。
グラン君は仲間と知り合いが増えると原作スキル開放します。
最終的には殆どすべて使えるようになる予定。