ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
※致命的な点がありましたら修正しますので…申し訳ありません。
それは『蜃気楼の侵略』と言われた、その事象から数週間後。
噂を匂いを嗅ぎつけた傍に観測されない、それは放浪する災害の話である。
―――『高山都市:ドゥナ・ロリヤック』
その近郊。夜昏く更けた時間帯の事である。
暗黒のフードの何かが歩く、歩く。その歩みの後に草木を腐らせながら。
禍々しき男は進む。
「グフフ…、カハハハ。匂う、匂うぞ。心地よい頽廃の風だ……!」
地の底から響き渡る如く、禍々しき擦れた声が鳴り渡った。
その姿は、黒く禍々しきフードに全身を隠して、焼け果てた皮膚を包帯に全身を覆い。
継ぎ接ぎに縫われた部位に、焼け爛れた皮膚を覗かせながら。
過剰な生命反応に熱を、生命反応一つで蒸気を吹き、膨大な魔力を循環させる。
その姿は常人に在らず、その姿は文字通りただ人の部位を形を縫い合わせた、怪人でしかない。
人類種に真人と呼ばれる位階がある。
手に入れるほど生命が活動が力を増すことから、生きる活動に属するマナの一種と言われている。
生けるものには身近でありながら、完全には解明されていない未開拓の神秘。
それが引き起こす現象は、感情に荒立て、練気の延長に燃やし、瞬発力を嵩増するローズ、
それを効率よい燃料に、桁外れの魔法剣を放つ"蒼天"のバルムンク。
生命力を啜り収奪する、【暗黒剣】マーロー・ディアスが、その現象の代表に上げられるだろう。
それを過剰に、収奪した生物的の強靭な進化。
その成りの果てが
生命活動が活発になるとすれば、食欲・性欲は狂暴に増大し、その欲求を狂暴に外へと向ける。
ただひたすら強大な個をもって犯し、喰らう。
およそ500年前、過去の魔王領からの魔族の大侵攻時などを代表して、歴史の荒れる折り目に顕れては猛威を振るった存在である。
例え"英雄"であっても、
そんな生態系、人類社会に対する大敵である。
「ああ、希望の匂いがするなぁ、ぐふふ。勝利を乗り越えた葵いの匂い……、こういうものこそ、再び奪えば良い種が育つものだ」
【怪人】【蔓延させる者】【悪飽賛歌】
在り来たりな言葉であるが光が強くなれば闇も強くなる。
人倫麗しく生き、道開く修羅が闊歩するこの世界、それに根差す災いの影だ。
いや、もしかして。この世界の開闢、
それが強くなる程、淵の輪郭を増す。その修羅達の方が、付き添う影と言えるかもしれない。
道化が、試練が、災厄が、理不尽が強大になる程に、だからこそ人類は抗う者は輝くのだから。
歩んで迫る。その欲望が昂る度に、吐息が余りに高熱に。
高すぎる生命体温により汗が"オド"と共に揮発し、辺りを禍々しく彩る。
それは
これは呼称される。野生の災害、未熟な情報社会の中で偽装された”変装する怪物共”の呼称。
自己意志でのみ災害たりえる被害を齎す存在、活動者である。
その同類には、【悪竜の具現の如き宝狂い】、【獄にて利己の美に塗り潰す極彩色】が上げられるだろう。
【蔓延させる者】【精神汚染】
そしてこの男は、自身が信じる"人らしさ"のままに、他者が悪逆を振る舞う様を愉しむ。
負の感情を愛して、悪逆の種を育てて飽くまで雑食に喰らう破綻者。
自身でも食らい犯すが、それを眺めるそれを美酒に悦に浸るがこの災害の討伐が遅れる理由である。
「さぁ喰らい尽くすとしよう、その希望を"人間"らしく」
しかし、継ぎ接ぎの男は
こうして勝手に熟成された勝利の希望、安息の美酒をぶちまける事を我慢できる程に、その欲は浅くない。
「グフフ…さぁどう蹂躙をしようか。人の悪逆のままに振るうとしよう、一皮むけば人は皆獣だ。精々私を愉しませてくれ」
乱暴に進む、進む。その荒ぶる生物強度に世界が揺れる。
しかし、それに反応する野生の掟、自身の縄張りを侵された怒りが向けられた。
『―――シャアアアアア!!』
【縄張りの王】
現れたのは軽く、三メートルは在ろうかという人狼。
幾ら怪しかろうが、確かに人型である男に、人間に仇名せ、人類を例外に殺戮せよと。
殺戮性のルールに縛られた獣である、人類敵である"モンスター"が襲い掛かった。
軟な人型など、容易く砕く暴力をその身に向けられて。
「おや、何かしたかね?」
"継ぎ接ぎの男"は、気にも留めずに目線すら無視して。
血濡れになりながらの中、怪人は普段通りの進み続ける。
【飽食の一撃】
それは魔具を由来とする生命力の暴走現象、
耐えられぬ器を、根腐れさせ内部から破裂される能力である。
それの干渉化に在れば生けるものは死ぬ、伝説の"生体武具"『竜具』だろうと破裂して壊れうるだろう。
「むふ、やはり、獣の血を不味い…くはは、貪るなら人の物に限る……」
その後も行く手を現れ襲うモンスターを気にも留めずに、血飛沫に破裂させながら。
焼け焦げた目元に昏い輝きを宿して、目的に猛進する。
これが、騒乱に荒れた『高山都市』に到着すれば、甚大な被害を齎す事は間違えない。
【指名災害 人在】とは名の如く、単体で街を亡ぼすことも可能な存在である。
対抗するには『英雄』が必要だ『聖錬』英雄の代表を"戦姫"の様に、"五傑"の様に。
または、在野の存在、『聖錬』に高名轟かす"Sランク冒険者"の様に。
「ふむ……おやおや?」
|『五虹の■槍』【生体過敏】【迎撃態勢:蔓延させる者】
先まで我関せずと歩いていた男が、鋭利な空気の変質に足をとどめた。
そして、ローブに隠された包帯塗れの顔を昏き空へと目を向ける。
そこには。また異質な気配が月夜に、その白き翼を輝かせていた。
「―――『竜魔神』を打倒する可能性、あの鮮烈な光のぶつかり合いの出所を噂の限り探ってみれば、この暗い影……、さて貴様は何者だろうな?」
『バエル・ザ・メイル』
特殊な塗料を塗りつけた純白の鎧を身に纏い、双剣に金色の輝きを月明りに輝かせながら。
空より尊大に腕を組みながら、
極度の属戦汚染地、【魔王領】を由来に持つ珍しい【災害信仰】という。
これに頼っては生き残れぬはずの、この世界ではごく例外的な宗教団体の一つだ。
信仰対象の、災害に抗う事こそを讃歌とする、鎧の男も所属する"タカ派"。
災害に膝付き教順し、あろう事か時折災害を自ら生み出す"ハト派"に分類され。
生贄などを捧げて、災害などを人工的に作り出した性質悪い輩は、過去の歴史において。
当時の魔王達により、ほぼ駆逐された細々と残る残骸と呼べる存在である。
その残骸であるこの世界の絶対悪である『竜魔神信奉者』達をまとめ、組織化した上級魔人の一人であり、
この男は"六魔将"と呼ばれる組織の最高幹部であるのだ。
黄金の剣を向けて。
「醜いな、力を求める為の人体改造を悪とは言うつもりはないが、こうも行き過ぎればな。貴様の様な昏い目をした類に碌な奴がいた試しはなし、それに貴様……、
「ぐふふ、ふふ、そういう貴様は、心に宿す
【生命過敏:直感】
互いに認識して、活性化する闘気、対峙する二つの影。
しかも並々ならぬ修練積んだであろう存在、鍛錬によりその肉体は”出来上がっている”。
純人種と魔人種の、性能差は身体能力・内在魔力供に隔絶している。
その上位血統となる"上級魔人"となれば、その差はさらに歴然であり、聖錬にて遭遇するは稀である。
それが単独で、目の前で対峙している。"継ぎ接ぎ男"は生きの良い餌・いや代替え"部位"であると。
高揚に息を荒立てながら、禍々しく笑う。
【ツインソードマスタリー】【防具習熟:バエル】【天座は揺らがない:修羅道】
互いに。
包帯巻きの腕を上げて、その五指を拡げて空中の
両手の黄金の剣を抜いて、背後の翼に呼応するように扇に広げて対峙する。
常識外れに高まるオドに、闘気に木々に大地が周辺が揺れる。
これもまた生物上位同士のぶつかり合い。
「決まっているだろう。ここで撃滅するのさ」
「たまらぬ言葉と魔力で誘うものだ、精々無残な絶望を愉しみたまえよ」
―――どぉん!
『五虹の■槍』【魔弾の射手】【魔力放出:
継ぎ接ぎの男が呼吸の一動作、その五肢の指が敵対者に、それぞれに光の槍を放った。
一つ一つが容易に大地を抉り溶かす膨大な熱量。
原理的には五つのオドを寄り合わせ、結われた混ざりすぎて黒く染まった極光である。
―――広範囲を塗りつぶす極光に、優雅に滞空する白亜の鎧の男に迫る。
それは何より、速度に勝る。
五つに分散した極光は、手の平を握る様に収束し、逃げ場を塗りつぶすに十分なもの。
「―――なるほど、一呼吸でこの暴力的な熱量を練り上げる。
【魔力放出:至天の翼】【見切り:返される死】【高機動戦闘適合】
対して白亜の翼に魔力を放出し、上空への退避した。
それを、芸術的な軽く最低限の動作で避け、そのままの勢いにて斬りかかった。
重力加速度を乗せた黄金の双剣が返す刀で、継ぎ接ぎ男を襲いかかる。
その剣は収束の甘い障壁を透過する。竜属性を帯びた双剣に更に精密機動を極めた刹那の剣閃である。
それは確かに、敵対者の間合いへと届き。
ぶるぉん。
撓み歪み。接触に、気味の悪い音を響かせた。
「んふぅ、実にいい反応をするじゃないか」
「ぐっ?!」
【継ぎ接ぎ男】【生命過敏:直感】【
しかし、その万物障壁ごと斬り裂く剣は、継ぎ接ぎ男の周囲に止められて留まっていた。
敵対者の纏うその黒色の衣の如く力場に、黄金の双剣が"掴まれている"。
それを既に鍛錬にて、双剣と同一化した感覚にて理解した。
「と、ら、え、た♡」
動きを止められた白亜の鎧に、超反応にて繰り出される黒色光に包帯塗れの腕が迫る。
空気の弾ける音がする、剛怪力にて振るわれるそれは空気の破裂を伴って、直撃すれば鎧ごと砕き剣士を屠り去るだろう。
「それはどうかな、大いなる翼を簡単に捉えられるものか」
しかし、空ごと破壊するその拳甲は通り去る。
鎧の男は、虚属性の魔法剣にて焼き払って、白亜の翼に魔力を吹かし加速して振り切った。
そしてそこで止まらない。重心操作、独楽が回る様に。
ィイイン!!
【ツインソードマスタリー】【防具習熟:バエル】【全駆動把握】
出力を吹かせて、抵抗を軸に回転し周囲を旋回、機動力に任せた連続の斬撃を繰り出した。
精密動作は健在、何重と周囲の地形ごと斬り裂いて、斬閃に地形は吹き飛ばされる。
かつての魔王領、地獄と言われた【天魔柱】が支配した地、そこに吹き荒れる嵐さえ裂いた剣の体現である。
しかしその芸術品の如く斬撃痕は……。
伴った魔力跡を残して"継ぎ接ぎの男"の周囲に掴まれ、滞空して残っている。
「ぐふふ、無駄無駄無駄ぁ……、私を犯そうとするなら、真っ直ぐに突っ込んで来るがいい。貪りつくすがなぁ」
とある『魔具』に由来する、"継ぎ接ぎの男"が纏う障壁、
ここでいう生命エネルギーというのは、高い代謝に蒸気の如く発生する汗などの代謝を中心に、周囲に感化し強制化に形を成すマナである。
斬撃痕が手放され、その痕を溶かす。
故に、それは障壁ではない、もはや躯体延長の力場ともいえるだろう。
『継ぎ接ぎの男』はその拡張された生体反射が感知する範囲に、マナを自身の手の延長の様に掴み取る事ができる。
ガキィン!!シュー…。
「ふん、まずは一太刀、噂に聞く
【天座は揺るがない:修羅道・不動心】
一時離脱し"鎧の男"は宙を舞う。白亜の鎧を、黄金の双剣を構えなおし、対峙する。
対して、"継ぎ接ぎの男"は欲望を露わに、禍々しき笑みを浮かべ、興奮に周囲の環境を歪ませ、染め上げる。
一進一退、戦場は仕切り直され、少しの空虚と共に。
―――バヒュユン!!
翼からの閃光の魔力放出、どちらともなく、距離が詰められ再開される。
断続して響く、剣戦に月衣に弾ける雷の嵐、周囲の全てが焼ける音。
―――さぁ、鎧の男こと、『マクギリス・
【竜王六魔将:死神騎士】【失墜楽園の王】
発生由来こそ異なるが、近くに『高山都市』の空を駆けた
しかし、単独にて
竜素材で組み上げた白亜の鎧に、龍属性を纏った双剣と一流以上の装備を纏い。
数百年単位に及ぶ練り上げた双剣は、数ミリの誤差も無く正確無比な斬撃を叩き込むことができる。
上級魔人の身体能力に、王国の武貴をも越える武技を誇っているのである。
長く鍛錬を積む生物上位、一部例外たる純人種意外に、届かぬ絶壁。
過去の偉大なる魔王
かつての『聖錬』英雄の一人。戦姫筆頭『応竜』
つまりは総合すると文句なしの【魔王級】である。
【魔弾の射手:黒色の魔弾】【生命過敏:直感】【飽食の一撃】
【駆動騎士】【見切り】【高機動適正】
"継ぎ接ぎ男"の両手より、今度は両腕十指の黒魔弾が撃ち放たれて。
それは魔弾の名の通りに"白亜の鎧"を追跡して、捻じれて高機動軌跡のサーカスを展開する。
「愉しみだなァ、あぁ、見て感じるほどいい身体だ。その脚が欲しい、その腕が欲しい。その肺が、心臓が実に優秀に役に立ってくれるだろう。それに正義を汚すはァ」
「黙れ耳障りだ」
繰り返される一瞬の擦れ違いに双剣と、極光纏いの拳の鍔迫音が響き、飛散する極光が白鎧に弾かれる。
その尋常ならざる使い手たる"鎧の男"を以て対峙しようと、"継ぎ接ぎ男"の禍々しき笑みは崩れない。
彼が先から振るう伝説の槍の名を冠した上級魔具は、
肉体情報を複写し、オドの情報を複写し、そこから均一な四属性を調整し、人間という情報を周囲に転写して人間という情報に染め上げる。
これにてこの"継ぎ接ぎ男"は、"所有魔力、保有生命力、周囲感応魔力"を自身の疑似的な
現在、この"生属性"の使い手は、現在にて唯一無二の『魔王殺しの魔王』……。
またの名を七色の札の天敵である『クシナダ』と呼ばれた存在が、唯一可能性を接いでいる人類の"未開拓技能"である。
ぼろり……。
しかし、激戦の中、唐突に指が崩れ落ちた。
「おっと、この腕もそろそろ限界かね」
【朽ちる肉体】
ただし、そこまで都合のいいだけの話はない。これの使い手は亡ぶ。
純粋に自身の肉体をフィルターとして通していない、その
過去のこの"上級魔具"の使い手は、この過ぎたる力に例外なく自滅した。
膨大な熱の代替えに、短時間であっても身は腐り崩れ去る。
故にこれは失敗作、
放逐された悪趣味に最強を約束する幻想魔具。
その隙を狙うが様に。
ザン!
荒れ狂う風の隙間を縫う音すら発生させない高速斬撃が、生体の力場を切り裂いて。
その崩れた腕を唐竹に割いて、継ぎ接ぎ男に疵を残した。
「これはいけない取り替えなくては、ぐふ。幸い代わりは目の前に、さて"上級魔人"の腕はどの程度耐えてくれるか」
「もう勝ったつもりか、辛抱の無い男だ」
故に"継ぎ接ぎ男"は、崩壊した部位を他者の部位を奪って縫い合わせて代替えする。
本来、発狂する様な耐えがたい苦痛を伴う、慎ましい行為であっても、狂気の輪廻を堕ちた者には、今更の話である。
それは欲望を肯定するもの、精神にまで至る発狂によって冒涜行為を快楽として処理される、痛みすらも彼に絶頂を与え、あらゆる苦痛さえも貪るだろう。
「ぐふ、それは失礼した。確かに御馳走を前にして辛抱たまらんのだよ」
後退する、追いすがる。
"継ぎ接ぎの男"は、黒き極光を纏った片腕を大地に突き立てて。
[―――砕かれる希望こそが美しい。心を壊して、むき出しになった心に巣食う種こそが人の本性、幾万の獣と化して大地を汚さん―――」
【黄昏の支配者】【ライフキング】【死霊術Lv4】=
"継ぎ接ぎの男"が号令と共に悍ましい死霊の群が呼応して、大地より湧き出した。
戦士がいた、術師がいた、獣がいた、怪物がいた。
いずれも不揃いな部位にえずいて、世界に生まれたこと自体を呪うような断末魔をあげる。
それは彼が犠牲にした死者・死獣の情報群、疑似生命力に活性化され形をとって地獄の窯より溢れ出した。
生体情報を転写し、保存し調合する。元式魔装具『五虹の神槍』の応用である。
過去に継ぎ接いだ者の肉体・魂の情報を保存している。
この者に殺されたものは魂を囚われ、地獄の窯の混沌の一部と成り果てるだろう、そんな地獄の如く悪夢である。
「さぁ、この全ての絶望を飲み干すことができるというのかね?モテモテの色男よぉ」
【悪飽讃歌】【精神汚染】
生そのもの冒涜した悍ましき軍勢形成、それはまさしく"継ぎ接ぎ男"切り札であり、理想具現。
人間を作る、獣を作る、そして剥き出しになった悪性、"奪う者・殺す者・貪る者・忘れる者"であると。
自身で染め上げていながら、人間の本質であると信じて悦に浸る破綻者である。
「やれやれ、何処までも悪趣味で、醜すぎるなその力は、
【語りたがり】
白亜の鎧の彼は、目に分かりやすいバケモノを見下ろして溜息をつく。
世界を敵にするような光景に、かつての友人であった誇り高き、黒騎士『アルトリウス』の姿を連想する。
単独にて、魔人に属性災害の闊歩する『魔王領』を剣技を頼りに、幾多の魔人・魔王を膾斬りに踏破し、当時の『大魔王』の喉元一歩にまで、突き立てた唯一の人類である。
―――白き鎧『バエル・ザ・メイル』の瞳に強き光が宿る。
『竜王六魔将』が一人、マクギリス・ファリドは、本来の意味の修羅であり、"災害信奉者"である。
逆境が災害が強大であるほどに、その打倒せんとする鼓動は力強さを増すのだ。
ただひたすら、かつて見た、古い古い伝説として風化した伝説、純粋な力を夢見て。
そして、その輝きすら飲み干した、この世界の"絶対悪"である竜魔神『アジ=ダハーカ』を打倒せんが可能性を追い求める。
「―――ならば貴様に魅せてやろう。未だ及ばぬが、これが俺がかつて見た純粋な力のみが成立させる、世界というものを!!」
【全集中】と呼ばれる境地、"隊長"と呼ばれた男が鋼色の人生の果てに、唯一辿り着いた境地。
"白亜の鎧"のソレはもはや、大きく上回り完成しており、吹き込む呼吸すら必要としない。
自身に対する集中からその認識を広げて、周囲全ての流れを掌握する。
膨大な集中力から成せるものと、己の肌そのものである『バエル・ザ・メイル』の触感や聴覚、
それからなせる情報処理を、無意識に呑み込み、集中限界がくるたった五分間のみ彼のスペックは
悍ましき、生誕した地獄の軍勢に、極光を塗れの男がさらに染め上げて。
純白の鎧が自身が嵐溶かすような軌道をもって、一刀に軍勢を斬り捨て、その世界の王たる男に刃を突き立てんと躍動する。
丸一晩続いたこの単独同士の戦争、観測者のないこれの結末を知る者は『道化』以外にいない。
その後には悍ましく汚染された大地だけが残ったという。
これは聖錬における、上位者、英雄、災害。その歴史に関わる本流の話である。
―――所変わって『パリス同盟』。
闘争都市『ルミナ・クロス』にて。
突き破られた病棟。
『聖錬』英雄の具現たる厳重な警備に、完治まで脱走防止の監視の目。
要塞めいた警戒態勢を敷かれたそこは、密かに呪魔の理にて末端が焼き切られて、制御が奪われていた。
なお、自身が干渉できぬ心臓部や、人の目は陽炎の如く姿を誤魔化して、すり抜けた。
"戦姫筆頭"、四方の守護の柱たる"四端"、数少なき
それが大人げなく本気出した脱走劇。結果残るは、ぽっかり空いた空虚な病室である。
そこに、ぽつりと置かれた手紙を手に、特徴的な二筋の赤毛をわなわなと震わせる紅の少女が一人いた。
「あ、あ、あのバカ師匠ー!まだ重傷だってのにほんと何してんのさー?!」
【紅魔皇】【陰陽術師】【刃石楠花】
叫んで、投げ捨てる。
弟子である"紅宮皇"がその術式を一部組んでいた故に、真っ先に気が付き駆けつけた時には。
すでにこの有様で、手遅れになる程にその鳳凰の翼は遠方に羽ばたいていた。
【不死鳥転生:内腑衰弱】
彼女の容態は未だに、一流の医者の診断であっても、何故動けているか首を傾げる重症判定だった。
余りに輝かしい光輝、英雄具現である彼女には、比例して敵も多い。
故にそれを護る為の厳戒態勢であったのだが、それを当の本人が台無しにしてしまったのである。
残された手紙に書かれた内容は……。
『―――不肖弟子へ、やっぱオレ心配だから、ちょっとあの阿保、直接しばき倒しに行ってくるわー。後の事は頼んだ、頭の固い爺共には誤魔化してくれると嬉しいぞ☆』
この一文だけである。
まるで散歩に行くような軽い感覚で、敬愛する師はそうのたまっていた。
友人とは、供に空を燃やし尽くして、相打ちに近い形で決着した。
『聖錬』本国に反旗を翻して追われている。"四端"に数えられる戦姫『応竜』の事だろう。
「これじゃあつまり、渦中に首を突っ込む気満々だって、言ってるようなもんじゃないか」
紅の少女は、頭痛を伴いながらも頭を悩ませる。
既に『応竜』に対する誅伐、討伐隊は動いている。それほどに百年もの時を、聖錬南部を守護し続けた。
その『英雄』の反乱の影響力は大きく、密かに早急に処理しようとする意思が働いていた。
己の師匠の事は信頼している、これ以上なくだ。それと同時に心の底からその身を心配するのもあって。
自身が、どう動くべきかが決められない。
才に恵まれ、伝説の足元に届きかねる刀舞をものにし、
まだ彼女は若く、未熟な少女の一面を持ち合わせているのである。
そうして、しばらく悩んで。
「―――決めた、追っかけてやる。絶対に最初から、私を頼ればよかったって後悔させてやるからなー!」
【努力の才能】【負けず嫌い】【阿修羅姫】
大人しくするつもりはない、戦士は全て骨太であるべしと、"紅の少女"は決意を抱いた。
考えてみれば、己の師の助けとなり、力を証明するいい機会である。
「そう決まったなら、しばらく闘技場の方を休業の届を、それに
『闘争都市:ルミナ・クロス』における看板闘士、変わり者の同僚を思い浮かべて算段を立てる。
最強である『竜賢皇』"悪魔の義娘"と呼ばれる、次代宮皇の後継者である。
【雷鳴剣士】【鉄面妃】【嘆きの一角獣】
とある目的から、一つに留まる機会が短く、こちらに出場する回数から目立った異名を持たないが、その実力は"宮皇"に匹敵する。
しかし、"紅宮皇"は知らない。
彼女が頼りにしようとした、
『応竜討伐隊』の方に助力を尽力しており、いつまでも連絡がつかないという事を。
【超絶美形】
流石に、安定地『聖錬』とはいえ、いや安定地だからこそ、美少女の一人旅の危険性は知っている。
幾ら強くとも、場所を固定して、興行ばかりを行う故に特に旅のノウハウが不足していた。
他に頼りになる知人もいない。故に、決意に反して動けない。
焦れる想いを抑えつけながら、"紅の少女"が本流に参加するにはまだしばらくの時間が掛かる様だった。
本スレを参照に、一か月程度でテイルレッド復帰。
どうしようかなぁ(ガチ)!
野生の災害。
使い手が歴史上二人(時系列だと唯一)の超レア技能なので、やろうと思えば別の手段で再現も出来るので、変更の可能性大。
肉体の崩壊がそのままデメリット。死霊術と屍操術で代替え、クラウ・ソラスは予定済み。
【指定災害人在】、奏護の仙人(ハイランダー)系統の出身を想定。
原作、四騎士二人内定済み。
ゲストキャラの対抗の為、強めに設定。反面カラテは最低限で差別化。