ポンコツ世界異聞=【終幕を切り刻む者達《ハッカーズ》】 作:きちきちきち
―――『脈動する大豊の森』
その小高き丘の上で、風のままに、煌めく光の輪郭が流れていく。
砲撃に撃ち放たれたそれは、輝矢の軌跡に、流尾を引いてかすかに残っているだろう。
その派手な花火に引き寄せられるが如く、モンスターが丘に殺到する。
人類という種族敵対存在、それがモンスターである。故に人の痕跡に強い興味を寄せるものだ。
【世界樹の方程式】
しかし、主に押し寄せるのは小型、蟲畜生によっている。
明らかな生態系の偏りである。
【虐殺の主】
先に大暴れした"翡翠の天使"の虐殺の結果か。
大して生と死に、
それが
その押し寄せるモンスター群れを、そこに陣取る冒険者が対処する。
【タックル】
【一斉突撃】【軍隊ハチ】【貫徹針】【連携行動】
【必殺前歯】【森ネズミ】【はやあし】
丘の頂点を中心に囲うように北に陣取るは二人。
「―――へへ、大漁大漁。中型以上が少ないのが不満だが、派手にヤれるなら目的がなんだろうと大歓迎だぜぇ!!」
「自重しろよ。"ケネス"後が閊えるぞ」
【カオスソード】【変幻太刀】【■侠:戦闘狂】
【ウォーリーダー】【偽・神鳴流】【サムライ魂】
『邪剣士』の男が、だらしなくと笑いながら、その蛇腹剣の結合を解き風切り音を鳴り響かせて、その感触を手ごたえを確認する。
侍被れの男が、戦闘狂を窘めながらも太刀を抜き肩に構える。
また、南に構えるのも冒険者が二人。
「あぁもう!うじゃうじゃとどっから湧いて来たのよ此奴ら!」
「それこそここら一帯から、だろう。諦めなさいモンスターとはそういうものよ」
【アマゾネス】【闘牙剣】【練気法:ビートルスキン・マッスルベアー】
【元奉納巫女】【陰陽術Lv3:符術】【固有術:木伴装】
重剣士が腰を上げて、その重量剣を呼吸を深く、より強靭に肉体を活性させ。
槍舞師が機工槍を大地に突き刺す、それを合図として丘の上から事前に仕込んだ木々が成長し突きあがる。
印を組む。
槍舞師の女は事前に符を仕込んでいた。物理的に糸で繋げたそれを引き抜いて。
がががガガガガガッ
「さて」
【陣地作成】
丘を中心に形成される、簡易的な"逆茂木"だった。
"森属性"に溢れているこの場所であれば、この程度の環境誘導による干渉は容易に可能であった。
彼等の目的はあくまで"救助"だ。
これは実質、遠距離に向け“狙撃の可能”な魔術師を護る防衛戦である。
故に、前衛の枚数はいくらいても困ることはない。
それを乗り越えて、散発的に襲い来る畏れ知らずのモンスターを。
それぞれの刃がはためき、血飛沫の華が咲く。
その背後で、その杖の穂先に光源が集い、硝子が擦り合うような音を鳴り響かせる。
快活な掛け声とともに、その巨大に光輪を纏った矢が
「―――どんどんいくよー!」
キィィン!!
『オウム貝の杖:デュアルキャスト』【魔術知識Lv2】【森眼:鷹の眼】
その杖の先、ミスリル糸が剥がれて、空間に紋を描いて疑似的な光が収束する。
巨大な光の矢、空力フィンまで計算された"狙撃用術式"である。
【無縫の祈り:感応】
砲撃に散らされたマナが、彼女の想いに、無垢なる祈りに再度応えて集まる。
この辺りに漂う"陽属性"も相まってその熱量は、普段より増しているようにも感じられるだろう。
描かれた紋の中で、マナが集い、先の鼓動が再現される。
これが魔術師、ミストラルが得意とする。魔道具の重ね技による
"石槌の杖"の『新緑の閃光』とは違い。
彼女のこれは純粋なマナ現象による疑似のものである為、光の速度には遠く及ばないが……。
「さぁ、二発目いくよー!!
砲撃の、反動に土煙が舞う。
故に性質は物理現象に留まらない。火属性の息吹に、この光矢は確かな質量を纏う。
マナ現象と化学現象の違い。それを明らかに認識しているこの世界の魔術師は多くはない。
より重力の影響を受けて落ちる。そして杖を振るい、再度、投擲された。
―――ドォン!!
果たしてそれは、再度命中し、その"石槌の杖"の纏う不可視装甲を貫いて。
その硬き表皮を焼いた。
それを狙う撃つは彼女にとっては割と容易の事、死神とは違う。アレは機動力がない。
銀砂の波の勢いも弱く、反撃の手段を持たない、死の畏れを纏わない。
その程度ならば経験を重ねた彼女ならば十分に中てられる。
精霊は彼女に寄り添う、風の音は感じ取れる、自身の想いに対して祈り続ける事の集中力は飛びぬけて高い。
そして距離は"たった"3㎞程度である。
それを容易な事と思えるのが、今のミストラルという魔術師である。
「さて、ミストラルさん、どれくらい持つっすか?」
「んーマナ再利用して、あと3発なら絞り出せるかな、それでぎりぎりなんだよー」
「十分、大したものです」
マナを再利用したとして、在野の術師に四章級の魔法の負担は大きい。
最適化が十分でない為、肉体にも負担が大きい。そういう意味ではやはり連射は無理が出るだろう。
それでは数を打ち込めば。
「あの枝木のバケモノ見たいなの撃墜できれば、ひとっ跳びで拾ってこれる方法あるっすから」
『マギスフィア』【エクスマキナ】【SAVウェポン:エアリアルクラスター】
エクスマキナとして、己に残された数少ない拡張パーツの一つである。
それは宙を翔け、距離を無視し、救助対象を攫ってくることも可能だろう。
その最中に撃墜されてしまったら敵わない。
文字通りの光の速度である、『エース』と呼ばれる機巧繰りの生ものは除いて。
デカブツに避けれる道理はないのだから。
「さて、後は頑張り次第っすよ。カイトさん」
機械仕掛けの少女は想う。
その基礎設計に彼女の感情は隔離されている、安定した不安定、容易く己を変革し己が様を客観視する。
その機能が、あの少年に初めて会った時から、何処かそれに揺らぎを覚えていた。
『ギルドナイト』として、職務に定めて変革した身を埋める中にも。
何処か、関係ない。取るに足らない少年の関わる話を耳に追ってしまう事もあった。
(このままだと、ずっとモヤモヤすることになるっすから)
遠征帰り、久方ぶりに顔を合わせて、この『合同調査』に誘った際に。
彼が、己が同類たるに足を踏み外したのをその眼に観察して、己がどう想ったか。
それは自身でも理解でいていないのだから。
●●●
――― 一方、変わって遭難地、輝矢が指した爆心地。
その前線では。
不気味な石槌が、その葉の端末の両翅は天を覆い、陽の輝きを剥奪しながら浮遊する。
まるで、移動する尺取の枝、現実を疑うオブジェクトである。
それは突如、砲撃した巨大なる輝矢に焼かれようが、いまだ健在であった。
【碑文八相:■末】【新緑の閃光】【センスオーラ】
槌に付随する
本来のこれはまさしく光の速度であり到底、躱せるものではない。
そう、狙う相手がこのトンチキでなければ、だが。
「くふ、はは、アハハハハハ」
【記憶喪失】【苦痛耐性】
そんな中、光の網を潜り抜け、色抜けた少女が笑う笑う。
染みついた『応竜』としての残滓が。
命の危機に今を最高に生きているという実感を噛み締めながら。
「変わらず己が何者かも、訳もないがどうにも滾る。なァそう思わないか"双剣"の!!」
【魔術知識Lv3】【迫真■応】【高機■適性(偽)】
それに対峙するのは二人の戦士である。
腕の裂傷など気にも留めず、風を掴んで、木々を蹴り、引き伸ばしたコイルを引き戻す慣性のままに。
まるで、空虚を転がる様に修羅場を翻弄する、色抜けた少女がいた。
「
【呪印】【精霊術Lv2:
残り少ない、オドに馴染む塗料を振り回して、苦し紛れに己が色に燃やしてデコイに。
本人も大地を駆け抜けて、
丸きり無視するには、余りにこざかしく立ち回る、若葉の双剣士である。
(さっき斬り裂いた感触、肉はあるけど精霊の類ッ、なら)
度重なる連なる同じ系統樹の技術に編まれた"侵略者"の襲撃に、普段に児戯であろうとこういう熱やオドにより誤魔化しが有効であることを知っている。
言ってしまえば、"死神"を例外に、独自の感覚器故に視覚情報に疎い傾向があった。
肌が焼かれる、光撃に躱しきれぬまでも、幻影に緩急を織りませて潜り込んだ。
『絆の双刃Lv2/3』
独自のスナップを効かせて双剣を大気に打ち合わせる、火花が散る。
まるで火打石に着火するが如く。環境のマナを利用する精霊剣士としての方法論、である。
鍛えなおしたこの剣ならば、最低限のオドの種火さえあれば、剣を振るう動作に擦り合わせてマナを食わせて魔法剣は灯せる。
走る。
節約せねば尽きる、必死に追いすがる。立ち回り続ける。
「先のは遠距離からの砲撃か!これは知っているものか、双剣のッ」
「僕の仲間の魔法だ。
「なるほどなるほど、アイ分かった!」
若葉の双剣士の単極な言葉に、互いに状況を共有しながら。
彼は知っている。『専用魔具』を用いたミストラルの再詠唱時間はおおよそ一分であることを。
その来るであろう援護に併せて、距離を測りタイミングを併せて。
―――シュウウンン!!
「いいな、あの威力の狙撃を連続する魔法使いっ」
【記憶喪失】【光■■姫】
その目が輝く彼方の煌めきに、彼女の本能が反応する。
―――ズガァン!!
果たしてその予測通りに飛来した。
狙撃に減衰するとはいえ、四章級であるそれは正確に命中し、その身に纏う仮想の装甲を焼き貫いて。
がッ
【【狂羅輪廻】】
同じ系統樹たる彼等はその一拍子遅れて、至近に踏み込む。
「仕掛けますっ!」
「おうさ、"応えて"見せろよ双剣のッ」
片や内から本能に溢れる喜悦に身を任せて、片や歯を食いしばって。
健脚が大地を蹴る。呼吸と共に二つの切っ先が互いに、己が属性を尖鋭化させて空を彩った。
『ザ・スラッシャー:20%』
びぃん
その小さな手に廻るのは、小さなコイルの環、不完全なかつてが『応竜』の愛剣。
空手ながらまるで架空の剣を持つが如く腕を振るう、派生して、遠心力に幾筋ものコイルが奔るだろう。
【夢幻操舞】【魔法剣Lv2:爆竜双刃】【超俊足】
【迫■反応】【魔術知識Lv■:
そして、彼の背を追い越して交錯する。
遠心力に引き伸ばされるコイルを中心に、形成された風刃が辺りを空間ごと刻みに掛かる。
風刃に続き、炎の剣跡がダメ押しに疵を拡げる。
そして双剣士は数舜、一歩でも遅れれば呑み込まれるそれを踏みこんでネジいれた。
それは確かに成功し 精鋭化した炎は頑強な石槌に削り取った。
損壊、クロス字の裂傷となる。
しかし。
(遅、かった?!なんて反応が早い)
単純に言えば、出遅れた。
損壊した細きを狙った、完全に併せられていれば深く砕けていたはずだった。
タイミングをものにできなかった事に、内心苛立ちを吐き捨てながら。
色抜けた少女は信じられない事に、砲撃のタイミングをおおよそ推測しえた彼より、明らかに手が早かったのである。
すれ違い様に斬り抜けて、剣を振るい呼吸に脈を上ずり使い切った魔法剣を再付与しながら思う。
頭のおかしい反応速度である。
先の風刃は少しでも歩みを躊躇すれば己が刻まれていただろう。
その可能性を。この初見の共闘者はまるでこちらを考慮していないように感じる。
おそらく己の一歩踏み出す間に、この色抜けた少女は斬り捨て、残身まで終えているのだろう。
この場において、己はもしかして足手纏いなのかもしれない。
だが、それでも言いたくもなる。
「―――さっきから、僕ごと殺す気ですかっ!?」
「失敬な、信じているとも”双剣”の、この程度斬り抜けるのだろう?」
「何を勝手な、大体信じるって都合のいい免罪符じゃな―――」
その返答は調子よく歌うようにつげる言葉だった。
確かに信頼は連携の基本である。
冒険者においても相手が
しかし、初見の相手に何を言っているのだ、何を知っているのだ、と。
前方の敵対者を警戒しながら。
そんな常識的な突っ込みを、最後まで言葉にする余裕もない。
【適応進化思考】【飛翔】【増殖の波動】【領域環境:禍々シキ波】
若葉の双剣士は突如巻き上がった砂嵐の衝撃に、飛ばされた。
その本来荷重撃に利用される機能を、上昇による反作用を空間に押し付けて、周囲の羽虫を吹き飛ばしたのである。
「ふは、不格好な割りに器用じゃないか」
【空の■い手】・【舞武:重心操作】
ズザザッ!
色抜けた少女の声が遠くなる。あちらはその砂嵐を流したか。
対して目を庇う。カイトは姿勢を低く、地を砕き土煙を上げながら、地に四駆を突き立てて堪える。
(っく、距離を取られた)
見れば、その不格好な石杖は揚力にまた上空を浮かんでいた。
あの"新緑の閃光"は、まさしく物理的な光速だ。
己にとっては距離に関係なく、致死の確率は等しいだろう。
故にただ得意な距離にと未だ地を踏みしめた反動に滲む身体を、ふらりと傾けて、踏み出した。
『侵略者』の飛翔した空を初めてその全貌を眼を向けて。
そこに、天に浮かぶ幾多の
「まず……っ」
そこには、その不格好な石槌に追随していた葉の端末の群れが分離し、宙に等間隔に並べられていた。
若葉の双剣士は直感する。既に囲まれているに等しいと。
元々にこちらに追随していた葉の端末が少なかったのは、ここに、この状況を準備する為だったのだろうと。
それぞれに葉に描かれた幾何学文様が偏向場を形成している。
不気味な石杖が、その葉の多翅は天を覆い、陽の輝きを剥奪しながら浮遊していた。
それはまるで、移動する黒蝕点、現実を疑うオブジェクトである。
【碑文八相:■末】【円環魔術】【苛烈なる萌芽】=
―――キュウン―――
そして上空から、先より一線を画した熱量の光柱が一斉に降り注いだ……!
交戦中に蓄えた陽の光を剥奪し蓄え、それが制圧する廻る。『石杖』を中心に、公転する衛星が如く。
ジュアァア!
陽属性に増幅した熱量で大地が砕ける、硝子化する。
幾重ものミステリーサークルが如く、辺りを広範囲を薙ぎ払っていく。
逃げ場はない。
しかもそれが本命ではない。おそらく、逃げ場を無くした上の―――。
(っ、壁になるか、彼女の方が可能性がッ)
その思考は刹那を飛ばし、敵対者の最悪たるに及ぶ。狂羅の輪廻に墜ちた者たちの習性である。
しかし、色抜けた少女はその最悪の想像を超える事など容易いと宣言する。
「―――それは見飽きたぞ?つまりはただの大掛かりなレンズというわけだろう」
【星属性】【錬金知識Lv■】【旋律詠唱】
指をこきと、周囲を満たす幾重もの光の柱にも、色抜けた少女は動じない。
ここに護る者はない。故に全てを防ぐ必要もない。
この程度の理不尽、この世界には有り触れた事である事を、彼女の体は覚えているのだから。
大地に片手を付いて、ばちりと波長が奔る。
自身の血液と大地に多く含まれる珪素を集積して練成した、錬金術である。
「"陽を受け輝くのは星が理、芯は尽きぬ該ならず廻れ、廻れ、廻れ、結実しろ――――――"」
その詠唱と共に、地から宝石が競りあがる。『錬金術』と呼ばれる技術。
あぁ、それはかつて"可能性の翼"を纏っていた時の得手である。
不調とはいえ彼女は装備の力など二割程度、故に自力にて製錬など容易い事なのだから。
そして、事前準備も合さって形成されるは、中を伽藍洞にした"星属性"を纏った魔石円輪である。
確かにそれは光柱を受けて、閉じ込めて、纏い、拡散して反射した。
かつて『応竜』と呼ばれる以前の戦乙女が、才なき身にて天上たるに手を伸ばした。
無才故に、武芸のみではすぐに頭打ちに至った。
それでも狂気に"輝き"を希求する彼女が積み上げた体系技術の一欠片……ッ!
天に掲げられ、傘の如く圧倒的な裁きをまるで虹の如く掃う。
プリズム、光柱の制圧に確かな虹色に光輝を映し出すその光景に、歩みの最中に引き込まれる。
そして。
片手間に、色抜けた少女は呆気にとられるが如く少年を一瞥して。
「にしても咄嗟に駆け寄るとは、いい心がけだ"双剣"の」
「は?」
色抜けた少女は、ねっとりとした湿度にその眼を見開き魅入る様に、畳み掛けてくる。
それは"悪癖"だ。
カイトは呆気に取られていたのもあって、その勢いに困惑の声しか出ない。
「先からよく踏み込んでくる。なぁ?なぁ?なァ!言わなくても分かっている。アレを仕留める自信があるから踏み込んできたんだろう」
「いや、壁になるかとそんな事言われても……」
否定する、違う。
修羅場の中に歩みを止めれば死ぬ、ただ強迫観念に突き動かされていただけだ。
故に、算段など付いていない。
利すら遠い、彼は互いに薄氷を踏み抜くまでの踊り続けるだけの剣士である。
「だが相手はあの空だ。だが心配するな、さぁその刃を届けてやろう」
【魔術知識Lv■】【空の■い手】
時折会話が通じない、有無を言わさぬ勢いにおいて、自己の中で完結しているがあった。
ちょいちょいと印が結ばれる。
その言葉と共に、足元より暴風が巻き上がり、その身体は宙へと煽られて舞い上がる。
「なっ、あっ?!」
「―――遠慮することはないさ、さぁ存分に魅せておくれ!―――」
【腕輪の担い手】
強烈な浮遊感、再び遠くなる声、とっさに、天に右腕を掲げた。
そのマナに投影される仮想の電子装甲を展開し、まるで空気抵抗にグライダーの様に落下の勢いを殺して、体制を引き戻す。
(だぁ、もうっ!!)
【ダンシングヒーロー】【狂羅輪廻】
こうなればヤケだった。確かに乱暴に言えばこの刃の届く距離に届いたと言える。
眼下に写るは、あの石槌を中心に廻る
【舞武】【精霊術Lv2】【蒼■】
このままでは堕ちると、己が炎に精霊細工に燃やして。
二刀を振り回し、空に引っ掛けて落下軌道を引き戻して、見定めた目的地に突き立てる。
ダッ
着地した。そして
ダッ!
頭の中で、進むカウントダウン、それに間に合わせる様に。
浮舟渡りの如く歩みの中で加速する、周回する葉を足場を渡りついで、目的の憎き『侵略者』の欠片へと。
―――
ズドン!!
期待した、それは果たして寸分の狂いもなく、着弾を目視にて確認する。
四章級が砲撃に崩れた構成の
漸ッ、
その呼吸は譜調を刻んで。
剣技・体技・術技を同一化した未だ数舜たる
●●●
対して迫る小物に対して。
『―――ゴーン―――』
それは迫るそれを無視して、墜落しようとしていた。
今優先するのは、不完全な修復に不調であるだろうあの"翡翠の天使"に外ならない。
幾多の
しかし、それで十分ではない。
【適応進化思考】
先に『翡翠の天使』を捕獲せんと仕掛けた時に、"新緑の閃光"は対策されるを学習していた。
むしろその錬金術のままに、あのヤバいのはより洗練された結晶にて乱反射して"増殖"の形成した生態系を焼き尽くしていたのだ。
故に、これは制圧し行動を制限する為のものでしかない。
本命は先に繰り返した墜落による、荷重撃であった。
【衝撃の杖】【増殖の波動】【領域環境:禍々シキ波】
環境に纏う
なによりそれは"響く"、大地も空も関係なくだ。
地属性も合わせたそれは、森の植生さえ傾け、クレーターの様な衝撃跡を残す程の破壊力である。
逃げ場のない状況で、物理的に押しつぶせば、この"翡翠の天使"もひとたまりもないだろうと、これは判断したのである。
その若葉の双剣士は、所詮は独力では、己の仮想の装甲を貫くに精一杯の小物と高をくくって。
それは間違いであると知るだろう。
「―――砕けて墜ちろ、不格好なオブジェクト風情がっ!!」
『絆の双刃Lv2/3』【魔法剣:
体技と重なり合う歪曲の剣、彼が唯一所持するオリジナルとなる魔法剣である。
刻み込む同時の三斬撃が、繋がり燃え続ける性質がそれぞれに干渉しあう事で斥力に引き互い同時に内から焼き尽くす斬撃を成すだろう。
それは果たして、その石槌が纏う不可視のフィールドを斬り裂いて。
独自の方程式に廻るその月衣を刻み込まれて……。
しかし、
使い手も認識していないことだがこの痕は、互いの繋がり故に捻じ曲がりながら三爪を保とうとする。
その墜落せんとした螺子曲げる。伝播しようとした衝撃を含めてそれを捻じ曲げる。
ぴしっ……ッ!
石杖に罅のはいる音、亀裂の拡がる音、破綻たるそれが内側に響いた。
度重なる攻撃に、ダメージ自体は積み重なり入っていたのだ。
ビキ、ガッシャァ…ッ!!
折れる、破砕する。
がらがらと、浮力を喪ったその残骸は大地に惹かれて突き刺さっていく。
今の今まで、彼等を追い立てた設定された破壊の機能を存分に振りまいた。
その落下する骸も、無常に形を砕かれれば何の力も宿していない。
眼下に、色抜けた少女はそれを軽く躱しながら。
「よくやった。双剣の!」
【鑑■眼(真贋)】【光■渇姫】
色抜けた少女は、賛美の言葉を高らかに。
打ち砕かれたそれに微塵も興味も向けず、それに喜色を滲ませて、歓迎するが如く両手を拡げて。
彼女の本能が求めるのは、"輝き"という得難き可能性である。
目に映ったそれは、あるいは彼女の胸を高鳴らせるに十分なもので……。
「だぁあああああ、どいてっ!!危ない!!」
「お、おぅ?」
だから、注視して。
全霊を尽くしたそれが、余力を残しているか?とは考えなかった。
辛うじて細工籠手越しに、木々の枝を掴んで、なお減速しきれずに。
ドォオン!!
すべて吐き出した若葉の双剣士は。
どうにもならずに自由落下に身を任せて、そのまま墜落するのだった。
暴れ過ぎじゃない???一応聖錬のAランク相当に考えて動かしてます。
たーちゃんは自分の原案では才能勢で想定してたのですが。
GM様の監修で無才勢寄りだと判明しましたので、割と手が広く、牙の塔の一部と交流がある感じに想定しています。