ベルセルク・ストラトス   作:山猫大将

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ほとんど初めて書いた戦闘描写。
自信がありません!が、どうか生優しい目で見てください……


第2話

「大人しく投降すれば危害は加えない。武器の類を持っているのならば捨てろ!」

 と、私こと織斑千冬は目の前の黒尽くめの男に叫んだ。

 

 唐突に学園敷地内に現れた侵入者を、IS学園のセキュリティーシステムはしっかりとキャッチしていた。

 

 何かあってはいけないと、一要量産型IS、打鉄を身に纏い先行してきたのだが、どうやら相手は生身、油断するつもりもないが、警戒する必要もそこまでないと踏む。

 

 インフィニット・ストラトス、通称ISに、生身で勝てる人間などいない。これは世の常識だ、覆しようのない。

 

 私が近接用ブレード『葵』を男に向けて構える。

 

 すると男の雰囲気が変わった。

 

 まるで獲物を見つけた肉食獣かのような眼差しに、私は戦慄した。

 

 

 なにかやばい。

 私の本能がそう告げている。

 

 慌てて私は首を何度か横に振った。そして思い直す。

 

 だが所詮はISを持たない生身の人間。

 どうあがこうが私には勝てない。

 むしろ注意すべきはこの男を殺さずに連行する事だ。

 

 力加減を間違えたらコイツを殺してしまうかもしれない。

 

 もし暴れるようなら慎重に、気絶させよう、と自分に言い聞かせた。だからもう一度男に言う。

 

「大人しくしてくれれば私も楽なんだが」

 

 その言葉に、目の前の男はあからさまに不機嫌な顔になった。

 そしてゆっくりと男が口を開いた。

 

「おいおいふざけんなよ?こちとらなんにもしてねえのにいきなり捕まえるってか?」

 

 その吸い込まれるような黒い瞳で私を睨みつけた。

 その瞳に私の背中がゾクゾクとなるが、それをなんとか無視する。

 

「不法侵入しといて訳の分からんことを……

 貴様、ここにどうやって入ってきたのだ?」

「知るかそんなこと。オレはここにいきなり放り出されたんだよ。そもそもここはどこなんだ?」

「はあ?」

 

 ますます訳が分からない。いきなり放り出された?ここがどこか分からん?おかしい。おかしすぎる。

 不法侵入の言い訳にしてはあまりに突拍子すぎる。

 

 だが、深く考えても仕方がない。

 この男がほらを吹いているかどうかは尋問すれば分かることだ。

 ならば、この男を捕まえることに専念しよう。

 

「……言い訳は後で聞く。いいから大人しく投降しろ」

「断る」

 

 男が即答する。

 

「悪ぃがこちとら急いでんだ。お前なんぞに捕まってるヒマはねーんだよ」

「なんだと……」

「そんなに出て行ってほしいなら、ここがどこか教えろ。場所さえわかりゃあなんとでもなるからな……」

「ふ、ふざけるな!!」

 

 男の物言いに我慢できず、私は怒鳴り散らした。

 

「き、貴様!自分が何をしているのか分からないのか!?このIS学園に不法侵入しといて、ただで帰れると思っているのか!?」

「……別にいいじゃねーか、出て行ってやるっつってんだぜこちとら」

「そういう問題ではない!!」

 

 私はブレードを思い切り横に薙ぐ。

 それだけで突風が吹き、白い砂が巻き起こる。

 だが黒づくめの男はその光景を見ても、腰を抜かすどころか顔の表情一つ変わらない。

 

「出て行く出て行かないの問題ではない!貴様のような不審者を放っておく訳にはいかんということだ!いいからケガしたくなければさっさと投降しろ!」

「…………」

 

 男が黙り、場が静かになる。

 数秒の沈黙の後、へっ、と感心したかのように口角を上げた。

 

「なかなかいいタンカきるじゃねーか、嫌いじゃねーぜ?ーーーーだがな」

 

 その瞬間、男の笑みが、獲物を喰らう肉食獣のそれに変わる。

 先ほどとは比べものにならない悪寒、いや、恐怖が私を襲う。

 

「さっきも言ったがこちとら急いでんだ。そんなにオレを捕まえてぇならーーーー力ずくでやってみな……!」

「……!」

 

 分かる。この男は普通ではない。

 ここで捕まえなければならないと、私の本能が告げている。

 仕方ない。少々手荒だが、やるしかない。

 

「……投降するつもりはないと?」

「ああ」

「そうか……なら、貴様の希望に添ってやる」

 

 私はスッ、と静かにブレードを構えた。

 

「……そこまで言うのなら、少々痛い目みてもらわんとな」

「…………」

 

 男は一言も発さない。

 だが、白い歯を剥き出しにして、ニタァア、と笑った。

 どうやら向こうもやる気のようだ。

 

「……最後にもう一度だけ言う。

ーーーー投降しろ」

「……断る」

「そうか、なら仕方ないな……」

 

 辺りが静寂で包まれる。

 

 男はダラン、と力を抜いた自然体だ。

 だが、そこから油断の類は見て取れない。

 私の動きを静かに、冷静に観察している。

 

 フウゥゥゥ……

 

 お互いの呼吸の音が聞こえる。

 

 ガサガサ!

 

 そのとき。

 

 林の方から葉同士がこすれる音が鳴り響いた。

 

 

「ーーーー!」

 

 それを合図に私は男に向かって飛び出した!

 

 ISの機動力を使って、一瞬で男との間合いを詰める。

 男はまだ、動かない。

 

「ィィいやあアアアァァ!」

 

 かけ声と共に、ブレードを持ち上げ、狙いを定める。

 

 狙うは剥き出しの首筋。峰で強く打てば、かなりのダメージを与えることが出来る。

 

 その段になっても、男の姿勢は変わらない。

 

「ヤアアアァァァアア!」

 

 私はブレードを振り下ろした。

 ブレードが男の首筋めがけ吸い込まれていく。

 

 そのときになってようやく男が動いた。

 背中から生えている、剣の柄、らしきものを右手で握りしめた。

 その腕の筋肉が膨張する。

 

 だが、もうダメだ。

 私は、この男がISの機動力に追いついていないと確信する。

 

(遅い!!)

 

 私が心の中で叫び、あと数センチでブレードが男の首に当たる、そのときだった。

 

 ゴっ、と何かが風を切る音がして、私の目の前に『とてつもなく大きい影』、が降り注いだ。

 

「ーーーー!?!!?」

 

 ガッッッ!!

 

 私は反射的にその影をブレードで受け止めた。

 

 ブレードと、その巨大な何かがお互いにこすれ、チャキチャキと音を立てる。

 

「な、なんだこれは……!」

 

 

 私が驚いている内に、男はその巨大なものを、そのまま力尽くで押し込んできた。

 

 私もたまらず刀で押し返すが、男のそれはビクともせず、それどころかさらに力強く押し返してきた。

 

(ISが……私が、力負けしているだと……!?)

 

 このままでは押し潰される。

 私は無理やり地面を蹴り、ISの機動力の助けも借りて、5メートル程、男から離れた。

 

 そして改めて、男の握っている『ソレ』を見た。

 

 

 

 

それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた。

 

 

大きく分厚く重くーーーそして大雑把すぎた。

 

 

 

ーーーーそれは正に鉄塊だった。

 

 

 男の握っている剣(と呼んでいいのだろうか)は、私の持つ170センチメートルはある近接ブレードよりも、遥かに大きかった。

 

 二メートルは身長がありそうなその男よりもさらに長く、横幅は50センチメートルはありそうだ。

 

 大きさ、分厚さからしても、その重さは100、いや、200キロをゆうに越しているだろう。

 

(あんなもの、生身の人間が振れるわけが……!?)

 

 だが、黒づくめの男はそれをやってのけた。

 私よりもはるかに遅く剣を抜いたのに!

 それなのに私より速い、だと……!?

 

 

 目の前の現実を受け入れきれずに、私の脳はほんの一瞬固まってしまった。

 

 その『一瞬』がまずかった。

 

 ザザっ!!

 

 ハッと気付いた時には、男が砂を踏みしめて、私の目の前に迫っていた。

 

 そのまま男が大剣を横薙ぎに振るう。

 

「っ!!」

 

 一瞬遅れてなんとかブレードで大剣を受け止めた。

 体をひねり、大剣をいなす。

 

 男の剣が下にさがり、胴ががら空きになった。

 

「もらった!!」

 

 そこ目掛けて思い切りブレードを振り落とす!

 

 ガキィン!

 

 聞こえてきた音は、金属同士がぶつかる音。

 

 男の黒い左手がブレードを受け止めていた。

 

(コイツ、義手なのか……!)

 

「チッ!!」

 

 男は舌を打ちながら、左手でブレードをそらした。

 

 今度は私の身体ががら空きになる。

 

「シッ!」

 

 男の大剣が下から迫る。

 

(まずい!)

 

 とっさに身体をひねり、なんとかよけるが、左肩の装甲がかすってしまう。

 それだけなのに、装甲には大きな切り口が開いてしまった。

 

(かすっただけで……!)

 

 とんでもない破壊力だ。いくら絶対防御があるとはいえ、マトモに受けれる威力ではない。

 

 無理矢理体制を立て直し、ブレードを振り下ろす。男もそれにあわせて大剣をかち当ててきた。

 

「はああ!」

「オオ!」

 

 そのままお互い打ち合いになる。

 

 何度も剣同士がぶつかり合い、大きな音を立て、火花が飛び散る。

 激しい打ち合いのうちに、だんだんと、男の頬にかすり傷がつけられていく。

 

(いける………か!?)

 

 だが、こちらも少しずつシールドエネルギーが削られ、いつの間にか全体の30パーセントのエネルギーが消し飛んでいた。

 

まずいな、と少しあせったときだった。

 

ボキャリと、大剣と打ち合わせた私のブレードが、真っ二つに折れた。

 

「………は?」

 

 私は目の前で起きている光景が信じられず、動きをとめてしまった。

 それが致命傷となった。

 

 ボッ!!

 

 風を切り、大剣が凄まじいスピードで襲いかかってきた。

 

 死に物狂いで腕で大剣から身を守る。

 

 次の瞬間、とてつもない衝撃が、私の体を貫いた。

 

 そして後ろに思い切り吹き飛ばされた。

 5メートルくらいとばされて、その間に纏っていたISが強制解除されてしまう。

 男の一撃は、残っていたシールドエネルギーを全部食いつぶしたのだ。

 ISスーツのみになった体が砂浜に激突した。

 

「がああ!」

 

 あまりの痛みに思わず叫んでしまった。

 息をすることすら苦しい。

 

 そんな私の体に、黒く大きい影が覆い被さる。

 なんとか首を回し、上を見上げると、

 

 その馬鹿げた鉄塊を振り上げた、真っ黒の悪魔が

 

「……!」

 

 私は死を覚悟し、ギュッと目をつむった。

 

「イデッ」

 

 降ってきたのは大剣ではなく、その男の間抜けな声だった。

 

 

  私は何事か、と目を開ける。そこには、

 

おでこにいがぐりが刺さり、涙目になっている男がいた。

 

 いきなり現れた間抜けな絵図等に、私がキョトンとしていると、男が大剣を地面に突き刺し、いがぐりを引き抜いた。でこをさすりながら男は、

 

「……いきなりなにしやがる」

 

 と、『なにもいない空間』に向かって、非難めいた声を上げた。

 

 私が訳が分からぬ内に、男はひとりで何か言い争いでもしてるかのようなセリフを連発し始めた。

 

 私は、男がみている空間に向かって目を凝らした。すると何かボヤーーとした小さな影が見えだした。

 なんなんだ、と思いながら、更によく目をこらすと、こんどははっきり見えた、

 

 

 大きさ15センチくらいの、背中に羽を生やした、光る小人が。

 

「ななな!?なんだそいつ!!」

 

 私は驚いて、大きな声で叫んでしまった。

 私の声に二人?が振り向く。すると小人の方が、申し訳無さそうな顔をしながら、私に近づいてきた。

 

「いや~ごめんなさいね、お嬢さん、うちの無愛想人間兵器、暴れ出すと見境なくなっちゃうもんで~、あっオレパックって言うんだ!よろしk」

「わわわいきなり近づくな私は美味しくないぞ!?」

「ううなんかこの反応デジャビュ!大丈夫だって!とって食ったりしないから!むしろあの怪獣のほうがやばいから!オラオラ女の子泣かせやがって!くらえアルバトロス殺法!」

「テメーはちょっと黙ってろ」

 

 元気に挑みかかるパックと名乗った妖精は、男の大きな手に掴まれ、ひねられでもしたのだろうか、きゃふ、と変な声を出し、沈黙した

 すると男は、さっきとは違う、落ち着いた瞳で私を見据えながら口を開いた。

 

「ったく、興醒めだな……まだ、やるかい?」

 

 その一言に私はとんでもないと、フルフルと首をヨコに振る。

 

「参ったよ……降参だ」

 

 私は、戦う意志が無いことを示すために、待機状態になった打鉄のブレスレットを、手首から外し、放り投げた。

 だが男は怪訝な顔をしながら、私に文句をつけてきた。

 

「おいおい、降参するってんならよ、武器を捨てるのが道理だろ~が。さっきテメーが着てた鎧、さっさとだしやがれ、つーかあんなでけえもん、どこに隠したってんだ?」

「?……ISなら捨てたぞ?」

 

 言いながら私は打鉄のブレスレットを指差す。

 するとなにいってやがんだコイツと、呆れた顔で言ってきた。

 

「ビビりすぎて頭イったのかお前?鎧がこんなちっちぇえ腕飾りになるわけねーだろーが。いいからとっと武器を……」

「待て!少し待ってくれ!……まさかとは思うがお前……」

 

 そんなはずはない、と思いながらも、男のセリフから、そうとしか考えられなかった。

 

「お前……ISを知らない……のか?」

「あい……なんだって?」

「ISーーーインフィニットストラトスだ。」

「長えーーー悪ぃがインフィニットうんたらかんたらなんざ聞いたことねえよ」

 

 おいパック、と男が、自分の右手に握っている栗型小人に訪ねる。

 

「お前は知ってっか?インフィニット……うんたらかんたらのこと」

 

 妖精は男の腕の中で、う~ん、と腕を組ながら記憶をあさりだすも

 

「ううん、オレもインフィニットウンタラカンタラなんて聞いたことないよ?」

「……悪ぃが少なくともオレらはその、インフィニット……なんちゃらかんちゃらについては何も知らねえな」

「そんなバカな!?ISを知らないなんて……」

 

 だが、二人が嘘を言ってるようには見えなかった。

 

 私はもう何もかもがわからなくなってしまった。

 いきなりIS学園に現れ、非常識な大剣を、小枝のように振り回し、世界最強、ブリュンヒルデと謳われた私、織斑千冬が、手も足も出ない強さを誇り、ISのことを『知らねえ』、と言う目の前の男(ついでに栗の妖精)は、何もかもが私の常識からはずれていた。

 

「まあ別に興味ねえけどな。んなことよりもさっさとさっきの鎧をだしやがれ」

 

 

「あの、よろしいですか?」

 

 どこからか、目の前の男とは別の声が聞こえてきた。

 見るとそこには、スーツを着た初老の男性が、柔らかい笑みを浮かべ、一人で立っていた。

 私はその人に見覚えがあった。

「り、理事長!?」

「なにもんだ?」

「私は轡木十蔵という、ここの、まあトップ、ですかね」

 私のよく知ったその男性は、黒い大男をじっと見据え、

 

「剣を、おろしてください。私はあなたに聞きたいことがあるだけなんです」

 轡木は微笑みながら、男に語りかけた。

 

「『黒い剣士』さん?」

 

to be continue

 

 

 




今回千冬視線なのは、IS世界の住民からみたガッツさんのヤバさを伝えるつもりだったからです。
なので次回以降からは常に第三者視点です。
(素人がいきなりこんなことして大丈夫なのか、ものすごく不安ですが)
あと、轡木さんのキャラクターは私のイメージですので、ほとんどオリキャラに近いです。

次回もお楽しみに。
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