仮面ライダー響鬼のその後   作:いしかわらいだー

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12話

身を構えながら岩礁を注意深く歩く轟鬼。

いきなり浅瀬から化けガニが飛び出した!飛び出すやいなや左のハサミで攻撃する。轟鬼は素早く身をかわし、音錠を鳴らす。

雷とともに変身する轟鬼。

再びハサミで襲いかかる化けガニ。轟鬼は音撃弦で弾き、腹下に潜り込んだ。甲羅には体を溶かす溶解液を出すフジツボのような口があるからだ。

節の柔らかいところに音撃弦を突き刺し、それを蹴ることでてこの力でひっくり返す。これは以前、響鬼がやっていたのを参考にした。轟鬼はもう化けガニは何十体も倒しているため、慣れた対応である。

音撃弦を突き刺したまま化けガニの体をひっくり返したところで、そのまま自らも腹に飛び乗り、音撃震をセットする。

「音撃斬・雷電激震!!」

激しく音を鳴らす轟鬼。しばらくして化けガニは四散した。

気をゆるめずすぐに再び身を構えて童子と姫を探す。

数十秒後、姫を見つけた。

姫は轟鬼に目を向け、ふっと微笑した。

その容姿に、轟鬼は呆然と立ち尽くした。

「な、な、なんで!?」

その顔は、姫というより少女の顔で、彼のよく知った顔だった。彼の従妹と同じ顔だったのだ。

その少女は一瞬表情を冷たくし、轟鬼に手の平を向けた。すると、轟鬼は体が凍るように麻痺し、動かなくなるのを感じた。

姫は再び微笑し、霧のように姿を消した。

轟鬼は体の麻痺がとけても、呆然と立ち尽くしていた。

 

次の日、学校で。

「おっはよう、天美さん!」

明日夢は今日も元気だ。

「おはようございます。」

笑顔で応えるあきら。だが、心はいつもよりも暗かった。ひとみのことが気になっていたのだ。

無言で並んで歩く二人。ここで何か違和感を感じる明日夢。

「天美さん、どうかした?何かあったの?」

「い、いえ。何もないですよ。」

あきらは目を合わせずに否定した。

「二人とも~、おはよう!」

ひとみも明日夢と同様にいつものように元気なあいさつだった。あきらはその声に後ろめたさを感じた。

「おはようございます。」

「おはよう持田。土日は何してたんだよ?」

「んー、ちょっとね。奈良に行ってたんだ!はい、これ二人にお土産!」

そういって二人に、鹿のキャラクターのキーホルダーを渡した。

「これね、三人でお揃いなの!」

「ありがとう。なんでお揃い?」

笑いながら明日夢が尋ねる。こういうところに無頓着なのが明日夢の特徴だ。あきらは自分ももらえたことに対する喜びと、二人の恋路を邪魔するような申し訳なさを感じた。

「ありがとうございます。大切にしますね。」

あきらは心から大切にしようと思った。

 

その日の昼休み。

いつものように二人でベンチに座る二人の所に、いつもはいない人物がやってきた。

「やあ、明日夢。天美さんも。相変わらずふたりとも呑気そうだね。」

いきなりこんなことを言ってくるのはこの学校に一人しかいない、桐谷京介である。

ちなみに京介も、文系であるため二人とは別のクラスである。文理2クラスずつあり、ひとみとも違うクラスだ。

「おー京介。学校来てるなんて久しぶりじゃないか。どうしたんだよ。」

「別に。たまの気分転換に来ただけさ。鬼になるには学校なんて必要ないと思ってるんだけどね。響鬼さんたちが時間あるんなら行けってうるさいからさ。」

あきらははっとした。自分も昔は同じ考え方だったからだ。今思えばもっと学校に来ていればよかったと思う。自分の生き方や鬼になることについて、もっとはやくから多面的に考えることができていたと思う。

人との出会いに感謝すること、人との関わりの中で成長すること、人のために自分のできることをすることの意義、様々なことを鬼の修行をやめた後の学校生活で学んだ。そのため、学校生活も大切にしながらという威吹鬼の意図が、今ならわかる。

あきらは二人の会話を微笑みながら聞いていた。

 

たちばなでは、轟鬼が報告に訪れていた。

「どうしたんだい、そんなひどい顔して。」

冗談っぽく言う勢地朗。轟鬼の表情はかなり暗かった。昨夜はほとんど寝ていないのか、目の下にはクマがあった。

「ちょっとこれを見てください。」

そう言ってディスクアニマルを差し出した。昨日自分が見たものが、それに記録されている。

「ん、わかったよ。」

そう言って勢地朗はパソコンを起動し、ディスクを読み込んだ。

「これは…。」

「一体どうなってるんでしょうか。」

「ちょっとこれは…。童子と姫の姿は何百年も前から変わっていないんだ。だからこれは大変なことだよ。」

勢地朗は深刻な表情をしていた。

 

響鬼は今日は香須美と魔化魍退治に赴いていた。

京介が弟子になってからは、香須美が響鬼のフォローに入る回数は減っている。

響鬼の専用バンである不知火を運転する香須美。

「久しぶりね、響鬼さんと山に来るの。」

「そうだな。京介とのときと違って運転しないでいいから助かるよ。」

京介と魔化魍退治に来る際には、響鬼が専用バイク・凱火を運転し、タンデムシートの後部座席に京介が乗る。やはり山中などへの移動は、バンの方が肉体的に負担が少ない。

「京介くんもがんばってるみたいね。」

「あいつは根性あるからね。期待してるよ。」

「明日夢くんやあきらちゃんはこれからどうしてくつもりなの?」

「うーん、そうだねぇ。明日夢はともかく、あきらはもう少し自分で考える時間が必要かもしれないな。」

真剣な表情で語る響鬼には普段とは違う圧がある。それを感じた香須美は、そこで口を塞いだ。

 

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