魔法少女リリカルなのは~転生者達の波瀾万丈な物語~ 作:白銀の勇者
後はシャロ回とネタがあれば祈梨回の後に無印編の始まりです
今回は夢咲に視点が合う
既に一学期と夏休みは終了し、二学期の後半となり、少しだけ寒くなってきた
そんな中、夢咲は図書館に居た
理由としては、暇潰し。ただそれだけだ
「さて、今日は何を読もうかしら」
よく読むのはファンタジー物の小説だ。夢咲は借りていた本をカウンターに返してファンタジー物のある本棚に出向く
魔法使い物の物はよく読む
自分の魔法も、所詮はコピーした物だ
だから、自分のオリジナルの魔法を編み出すのに、ファンタジー魔法使い物の小説はそれなりに役に立つのだ
炎や雷等は無理だが
「……これとこれかしら」
と、適当に小説を二冊抜き取る
すると、反対側の本棚が見えた
そこには、車椅子に座った自分と同じくらいの子供が本を取ろうと一生懸命に手を伸ばしていた
面倒だから放っておこうかと思ったが、ここで何もしなかったら後味が悪いので、手伝うことにした。溜め息を吐きながら
少女の横に行き、取りたいのであろう本を取る
「あっ……」
「はい。読みたかったんでしょ?」
取られたと思ったのか、少し残念な声を漏らしたが、夢咲が本を手渡すと、パァっと明るくなった
「んじゃ」
夢咲は特に何も言わず、椅子がある場所まで歩き、適当に座って取ってきた本を読み始めた
頬杖をつき、本を机の上に置いて、首を下に向けてパラパラと本を読んでいく
端から見ると、数秒で一ページ読んでるように見えるが、彼女は速度低下の魔法を使い、周りの時間を遅くして、読んでるため、数秒で一ページ読んでるように見えるのだ
実際は人より少し早いくらいのペースだ
魔力が持つ限り、彼女は図書館に来るとこの方法で本を読んでいる
夢咲は淡々と本を読んでいると、後ろから誰かが近付いてくる気配がした
ここで未来予知を使った。未来予知の結果は、自分が先程の少女と話している場面だった
彼女は速度低下の魔法を解いて、後ろを振り向く
「何か用かしら?」
「へぁっ!?」
いきなり振り向かれて声をかけられて驚いたのか、奇声を上げて車椅子の上で少し跳ねる
「え、えっと……隣、ええかな?」
「ええ、構わないわよ」
彼女はそう言うと、速度低下の魔法は使わず、本を読み始めた
が、横からの視線が気になった
「……あによ」
「え?えっと……難しい本読んどるんやな~……って」
「そう難しくないわよ」
「せ、せやな……」
会話は長続きせず、二人は黙り込んで本を読み始めた
(転生前から付き添ってくるこのコミュ障……どうにか出来ないかしらね)
まぁ、夢咲がぶっきらぼうに答えたりしてるからなのだが……
暫く本を読んでると、車椅子の少女の方から話しかけてきた
「えっと……さっきはおおきにな」
「別に……無視したら気分悪かったからやっただけよ。今度は親と来なさい」
「……わたし、親おらへんから」
(地雷踏んだ!?いや、地雷源全裸で走り回った!?そんでもって多数の地雷踏み抜いた!?)
外からはかなりクールな感じだが、中身は滅茶苦茶焦っていた
冷や汗一つかいて、夢咲は話を続ける
「そ、そう……わたしと同じね」
「へ?」
「わたしも一人暮らしよ。援助だけしてもらってるの」
「何か……わたしと同じやな」
「その点に関しては似た者同士ね」
夢咲は微笑みながら、少女との会話を続ける
内心では安堵の息を吐いていた
「あ、わたし、八神はやてや」
「如月夢咲。夢が咲くって書いて夢咲よ」
「夢咲ちゃんな。よろしゅうな」
「えぇ、八神さん」
「名前で呼んでな。友達になったんやし」
「そう?じゃあ名前で呼ばせてもらうわ。はやて」
あれ?何時の間に友達になったんだろうと思いながらも、夢咲は彼女……はやての名前を呼んだ
まぁ、友達ならたくさん居た方が楽しいからいいやと思っていたのも追加しておこう
「はやては何時もここに来てるの?」
「学校行っとらんし……」
確かに、この足なら仕方がないだろう。歩けないのなら、バリアフリーの学校でもない限り、ろくに過ごせやしないだろう
「なら、何歳なの?」
「えっと……七歳や」
「あら、同い年なのね」
「へ!?同い年!?」
「……そんな驚くこと?」
はやては夢咲の大人びた雰囲気に、自分より二、三歳は歳上だろうと思っていた
実際は十年近く歳上だから、はやての推測は強ち間違ってはいない
その他にも、色んな事を話ながら、夢咲は一つ疑問が浮かんだ
はやての足。自分の魔法で治すことが出来ないだろうか
夢咲の魔法の中には回復魔法が幾つかある。その中で、原作キャラ、巴マミは『繋げる』魔法。美樹さやかと千歳ゆまは『回復』魔法を主な固有魔法としている。この二つを使えば、はやての足は治すことが出来るのではないだろうか
「少し、足を触ってもいいかしら?」
「え?フェチなん?」
「どこで覚えたのかしら?そんな愉快な言葉」
「ネットや」
「でしょうね」
はやてのとんでも発言は置いておくとして、夢咲は指輪をソウルジェムと呼ばれる宝石にかえた
彼女の魔力その物であり、魔法を使うための道具でもある
それを見つからないように持って、ソウルジェムを持った手の指で、はやての足をつーっとなぞっていく
その際に、ソウルジェムを光らせ、魔法を発動させる
まず発動させるのは巴マミの繋げる魔法
こういう場合は大抵、神経が断裂している。そして、神経の断裂なら、これで探ってから治すことが出来る
結果は、外れ
神経は繋がっていた
ここで一つの疑問が浮かび上がった
何故、神経は繋がっているのに足が動かない
ならばと思い、美樹さやかと千歳ゆまの魔法を発動させる
異変があれば、すぐに察知が出来るし、すぐに治すことだって出来る
全治三ヶ月の一撃を一瞬で治せる魔法だ。さらに、全身が傷だらけになっても一瞬で治すことだって出来る
これなら、どんな怪我でも治すことが出来る
が、結果は外れ
足は健康そのものだった
(何故……何故動かないの!?)
夢咲は手を離し、ソウルジェムを指輪に戻した
「何で動かないの?」
「なんか麻痺してるみたいなんや……」
(麻痺……?こんな健康そのものの状態で?)
「昔、何か怪我をしたの?」
「特にしてないと思うんやけど……」
だが、麻痺なら自分の魔法は通用しないかもしれない
そう思ったが、もう一度はやての足に触れた
麻痺の原因を探るためだ
原因は見つかった
はやての、丁度胸の部分に当たる場所にある、謎の器官だった
(何よこれ…………待って、これ、魔力がある……?)
その器官は、魔力を帯びていた。いや、魔力の固まりだった
さらに限界まで集中する
結果、その魔力の固まりが何かに浸食されているのが分かった
(な、何よこれ!何かがはやての魔力を浸食している……?)
「どないしたん?」
「な、何でもないわ」
原因は分かった
足の麻痺の原因は、彼女の魔力その物が、何かに浸食されている事だった
だが、一つだけ手段はあった
それは、自身の魔力をはやての肩代わりさせることだ
彼女はすぐに実行した
彼女の魔力を『幻惑』の魔法で自分の物と錯覚させ、自分のソウルジェムにはその逆の事をした
結果
「ッ!?」
魔力が、何かに浸食され、その分、使用不可能になった
(これが……はやての足を……)
だが、自分の魔力は言わば、外付けのHDDだ。幾ら浸食されようが、関係はない。筈だった
すぐに、異変が起こった
(これは……まさか、気付かれた!?)
幻惑が、一瞬で見破られたのだ
浸食は、はやてに再び移った
(そんな……私の幻惑が……)
「ど、どないしたん?さっきから……」
「えぇ……問題ないわ」
自分では無理。そう思うと、悔しさがこみ上げてきた
そして、はやては時計を見た
「あかん、もう閉館時間や」
「あら……」
はやては楽しい時間は早く過ぎると言うけど、本当だったんだと思い、車椅子を机から離した
「ほな、またな」
「……送ってくわ」
「へ?」
「一人だと、大変でしょ?だから、送ってくわ」
「でも、そんなにしてもらっても……」
「なら勝手にやるわ」
と、夢咲ははやての車椅子の取っての部分を掴む
「まずは借りるわよね?ほら、カウンターまで行くわよ」
「え?ちょっ!」
たまには、こんな面倒も悪くない
そう思った夢咲だった
そして、夢咲には一つの目的が生まれた
(はやての足は……必ず治して見せる。転生者以外の……初めての友達なのだから)
夢咲が、生涯で初めて見つけた目的だった
そして、夢にもなった
自分の力で、この子を助ける
自分の名前のように、この夢を、例え極寒の冬の中でさえ、咲かせてみせる……と
「ほら、暗くなる前に帰るわよ!」
笑顔を作って、彼女は車椅子を押しながら走った
はやての顔も、笑っていた
が、数分後、溝につまづいて、二人仲良く空に放り出されて地面との熱いファーストキスを決めるのだった
「……せめてファーストキスは有機物としたかったわ……」
「……せやな」
二人のファーストキスは無機物で終わった
だが、まだ夢咲の面倒は終わらなかった
はやてを家に送り、夢咲はそのまま帰路についた
その途中、背後から魔力を感じた
「魔力!?」
夢咲が振り返った瞬間、空の色が一気に変わった
そして、自分の周りが薄い魔力で囲まれて、結界のようになってるのが分かった
「何よこれ……」
舌打ちを一つだけして、ソウルジェムを具現化させ、握り込む
魔力がまだ回復してないため、半分程、ソウルジェムが濁っている
彼女は、1日に一度だけ、グリーフシードで魔力を回復できる
「おい、そこの小娘」
前方から声がした
声の主は仮面をかぶって民家の屋根の上に立っていた
背丈や体格から見るに、男だった
「何よ、誘拐でもするつもりかしら?」
「警告だ。二度と八神はやてに近づくな」
はっきり言って、気に入らなかった
何故、折角出来た友人と離れなければいけないのか
「嫌よ」
「ならば、腕づくで!!」
男はそう叫ぶと、こちらへと『飛んできた』
「ッ!?」
驚きながらも、バックステップでその場から離脱する
が、男は着地し、ラグを殆ど出さずに飛び膝蹴りを夢咲の腹に当てた
受身も出来ず、そのまま吹っ飛ぶ
「げほっ!!」
咳き込みながら、何とか立ち上がる
ここはやらねばならない。そう思い、手からこぼれ落ちたソウルジェムを拾う
「分かったか。二度と近づくな」
「お断りよ……変身!」
夢咲はソウルジェムを掲げて魔法少女の衣装に変身する
左手にはバックラーと槍、右手にサーベルと爪
背中に弓とマスケット銃、さらに水晶玉
腰にハンマー。まさにフル装備だった
「貴様……魔導士だったのか!」
「魔導士……?私はどっちかと言ったら魔法少女よ」
夢咲はそう言うと、サーベルを構える
「宝石型のデバイスか何かか?……だが、容赦はしない!!」
男はそう叫ぶと、突っ込んできた
「……時は止まる」
カチッと左手のバックラーが作動した
その瞬間世界が灰色になり、動けるのは夢咲だけとなった
何もせず後ろに回り込み、背中のマスケット銃と槍を交換して、マスケット銃を頭に突き付ける
そして、時間停止を解除する
「動いたら撃つわ」
「ッ!?」
後ろから夢咲の声が聞こえ、振り返ろうとするが、さらに強くマスケット銃を突き付ける
「マスケット銃よ。単発だけど……痛いわよ?」
頭にマスケット銃を突き付けたまま、話を続ける
「貴方……目的は?はきなさい」
「誰が……」
「チッ」
夢咲は躊躇なくマスケット銃を撃った
「ぐぁっ!?」
が、血が吹き出すことは無かった
どうやら、非殺傷設定に出来るらしい
倒れた男の背を足で踏んでもう一丁マスケット銃を出し、もう一度頭に突き付ける
「悪いけど……手加減はしないわ」
マスケット銃で顔と地面を押し付ける
「もう一度聞くわ。目的は?」
仮面叩き割ってやろうかと思った瞬間、後ろから魔力を感じた
一発仮面の男の真横に撃って、その場から離れる
「大丈夫か!」
「すまない。油断した」
全く同じ格好をした男がもう一人出てきた
どうやら、仲間らしい
舌打ち一つしてマスケット銃を背中の槍とかえ、ろくに確認もせず、水晶玉を発射する
が、その水晶玉は避けられる
相手はかなり場慣れしてると判断し、一つの魔法を自分にかける
「アレグロ。そして、クロックアップ」
加速魔法。自分の動きを加速させる
そのまま敵に向かって一気に突っ込む
「なっ!?」
「速い!!?」
槍を多節棍に切り替えて横薙に攻撃をする
それは飛ばれてかわされたが、それは既に分かっている
槍を投げ捨ててサーベルを突くように構えて刀身を発射する
「刀身をとばした!?」
それも避けられたが、既に次の一手は撃たれている
「刀身爆破」
避けたはずの刀身が爆破し、仮面の男の一人が吹っ飛ばされる
「ぐぉぉ!!」
吹っ飛んでる最中の仮面の男を水晶玉て追撃し、さらに吹っ飛ばす
今度は髪を結んでいるリボンを解いてそれを横に振るう
リボンの軌跡に合わせてマスケット銃が六丁召還される
それを手に持ち、もう一人の男に向けて撃ち始める
「くっ!」
五丁撃ち尽くしたが、それは全てはずれた
また召還しようとリボンを振るうが、その間に接近されてしまう
「終わりだ!」
振るわれた拳を左手で受ける
「レガーレ」
レガーレと呼ばれるリボンでの捕縛魔法で捕縛する
「なっ!?」
そのままバックステップで距離をとって、空に飛ぶ
「バインドブレイク出来ないだと!?」
「これで終わらせるわ」
持ってたリボンがクルクルと伸び、形と成す
それは、巨大なマスケット銃のような砲台になった
「ティロ・フィナーレ!」
銃の口から出た砲撃が男をリボンごと飲み込んだ
リボンは解け、それで夢咲はもう一度髪を結んで、仮面の男の居る場所へと向かった
が、
「逃げられたわ……」
既に逃げられてしまっていた
「……面倒ごとが増えそうね」
溜息一つ吐いて、その日は帰った
魔法少女まどか☆マギカから、幻惑魔法、グリーフシード、アレグロ、クロックアップ、武器各種、レガーレ、ティロ・フィナーレ、時間停止でした
ちょっとフライングしてきたお二人さんでした
アレグロ、クロックアップはまどポで使われた名前です