魔法少女リリカルなのは~転生者達の波瀾万丈な物語~   作:白銀の勇者

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転生回です


序章2

「……あれ?」

 

少女は、何も無い、真っ白な部屋で目を覚ました。いや、部屋というには余りにもこざっぱりしている

 

寝転がされてた体を起こして、何かあったような……と思いながら自分の体を触り始める

 

頭も、背中も、どこにも傷らしき傷は無い。それどころか、火傷や切り傷の跡すら残っていなかった。服の中を見てみたが、アザも残っていなかった

 

久々に傷一つ無い自分の体を見ながら、チラリと部屋を見る

 

机も何も無い。寂しい部屋だった

 

そして、誰も居ない……かと思ったが、自分のすぐ傍に、誰か居る

 

真っ白の髪で、真っ白な服を着た状態で土下座してるのだ。最初は保護色で分からなかった

 

「あ、あの~……」

「すんまっせんでしたァァァ!!!」

 

いきなり大声で謝られてその場でビクリと跳ねる

 

「ほんっとうにすんませんでしたァァァ!!!」

「え?え?え?」

 

いきなり真っ白な服を着た真っ白な人に土下座されて謝られたのだ。テンプレだと分かっている人間でもなければ普通に驚く

 

「あの~……何が……」

 

ちょっと引きながらも、少女は尋ねた

 

「自分のせいで貴女は死んでしまったんです!!ほんっとうにすんませんでしたァァ!!!」

「へ?死んだ?」

 

少女は少し考え込んだ後自分が窓から頭から落ちたことを思い出した

 

「そうだった……死んじゃったんだ……わたし……」

「こちらの部下が貴女の未来に関する書類を誤ってシュレッダーにかけてしまいまして……」

「シュレッダー!?よりにもよって!!?」

 

そりゃあ、人の未来を決める紙をシュレッダーにかけたとなれば、誰だって驚く。ましてや、それが自分のものだったら余計驚く

 

「そ、それは置いておいて……わたしは天国に行くの?それとも地獄?」

「いえ、貴女には他の世界に転生……生まれ変わって頂きます。生まれ変わってください。あのロリ閻魔に説教されるので……」

 

と、再びその場で土下座をする青年

 

説教するロリ閻魔が彼はどうも苦手らしい

 

「え?閻魔様じゃないの?」

「えぇ、私は言うならば、神です。地球のですけど」

「えぇぇぇ!!?神様!!?」

「はい、それで、転生の件ですけど……今なら特典……じゃなかった。願い事を何でも三つ叶えますから」

 

彼は転生や特典なんて、彼女には分からないだろうと思い、なるべく誰でも分かるように話している

 

ようするに、特典三つ付けるから転生してくださいとの事だ

 

「超能力でも魔法でも一国を自分の物でもいいですよ」

「そ、そんなに要りませんよ!」

 

と、彼女は首を横に振りながら否定する

 

それに、彼女には超能力や魔法よりも、もっと欲しいものがあった。丁度三つ

 

「超能力や魔法じゃなくて、優しい家族と健康な体、それと親友が欲しいです」

 

彼女の欲しいもの。それは、当たり前のような事なのだが、彼女にとっては、何よりも欲しい物だった

 

が、神は焦っていた

 

転生したら、それは当たり前のように付けるような物である。家族は転生する人物が転生先でも家族と暮らしたいと思っているならば、家族と共に暮らす事になる。そう思ってない場合はご都合主義が発動する

 

親友も、それなりに機会は多くする位は当たり前だった

 

「えっと……もっと他の……」

「駄目……ですか?」

 

神はうっと短く呻いた後、口を開いた

 

「分かりました。特典はそれにしておきます」

「はい!!」

 

そうと決まれば後は早い。彼女の背後に扉を作り出す

 

テンプレ通りに落とすのは少しだけ気が引けたからだ

 

「そのドアを潜れば、貴女の新しい人生が幕を開けます。年齢は三歳からになりますが」

「はい」

「そして、貴女が行く世界は『魔法少女リリカルなのは』というとあるアニメの世界です……とは言っても分かりませんね。取り合えず、魔法がある。とだけ言っておきます」

「魔法少女……?」

「魔法の力を手にするか。手にしないか。それは貴女の自由です。それでは、よい人生を」

「はい、ありがとうございました!」

 

彼女は礼をすると、扉を開け、そこを潜った

 

ドアは彼女が通ると、すーっと消えていった

 

その後、彼は一枚の、テープで無理矢理くっつけた書類を取りだし、目を通す

 

恐らく、シュレッダーの中から無理矢理救出したのだろう。もう手遅れだが

 

「名前……絵空祈梨(えそらいのり)。死亡年齢……十歳」

 

神が呟いた彼女の歳。それは、彼女が……祈梨がシュレッダーにかけられた書類通りに生きていった時に死亡する歳だった

 

彼女は二年後に、死んでいた

 

「九歳の頃、とある研究所に売られる。そして、散々人体実験をされた後、廃人となり、用済みの為処分される……か」

 

余りにも残酷な未来だった

 

彼は、その紙をぐしゃぐしゃに丸めて捨てた

 

そして、新たな紙を取り出す

 

「こっちが、彼女の新しい未来」

 

その紙には、祈梨の名前と顔写真しか写されていなかった

 

特典と書かれた欄も何も書いていない

 

「未来は自分で作り出していってくださいね」

 

そう言って、彼は一本のペンを取り出す。いや、作り出した

 

I・Eとイニシャルが書かれているペンだった

 

「貴女専用の力……実体化ペンです。インクも無限にしておきました。何に使うも、貴女の自由です」

 

彼はもう一度ドアを作り出し、実体化ペンと呼ばれたペンを投げ入れた

 

「神様の……ちょっとした計らいです。ついでに、特典も三つとも空きにしておきました。どうしても叶えたい望みは特典として三つまで叶えますよ。とは言っても、聞こえないし、秘密ですけどね」

 

神は少し微笑むと部屋を去った

 

部屋の外には一人の少女が立っていた

 

「や、閻魔様。奇遇ですね」

「貴女の部下は既に説教しておきました。次は、勝手に力を与えた貴方への説教です」

 

実は、ロリ閻魔に説教されると言ったのは嘘だった。優しい祈梨に転生してもらうための

 

だが、今は嘘が真に換わった

 

「はは、お厳しい。でも、後少し待ってください。後六人居るんですから」

「はぁ……人の未来が書かれた紙を七枚もシュレッダーにかけるなんて聞いたことありませんよ」

「元はといえば、閻魔様が後ろから彼にぶつかったからでは?」

「うっ……」

 

緑色の髪の少女は図星を突かれた

 

まぁ、シュレッダーをかけるときに大事な書類を持ってるのも悪いかと思われるが

 

そのため、書類をシュレッダーにかけた部下は小一時間程度の説教ですんだのだ

 

「ですが、勝手に力を……」

「いいじゃないですか。実体化ペン位」

「……まぁいいです。とっとと終わらせてください。説教はそれからです」

「はいはい」

「後……」

 

少女はその場で回転し……

 

「チェイサー!」

 

見事に彼の腹に回し蹴りを入れた

 

「ごふっ!?」

「私はロリではありません」

 

そう言うと、彼女は若干すっきりした顔をした

 

この回し蹴りは閻魔としてでは無く、彼女自信の怒りによるものだろう

 

「では、頑張ってくださいね。私はあのサボっている死神とお話ししてきます」

 

そう言うと、彼女は去っていった

 

「さ、さて……後六回土下座するか……そうだな。一回くらい入室と共にジャンピング土下座をやってみよう。夢だったんだ」

 

彼は腹を押さえながら、再び部屋に入った

 

残りの六人を転生させるために

 

 

 

 

最初の転生者、絵空祈梨はふかふかのベッドの上で目を覚ました

 

あのネタを知ってる人間なら確実に知らない天井だと言うのだが、生憎、彼女はアニメ等を見たことは無かった

 

起き上がって、自分の体をチェックする。あれは夢だったのか、そうでなかったのか

 

何処にもアザも傷も無い。部屋も孤児院の物では無い

 

ベッドから降りようとすると、何やらペンらしき物が枕元に手紙と共に置いてあった

 

そのペンにはI・E……絵空祈梨のイニシャルが書いてあったが、彼女はアルファベットが読めないため、13?と声を出した

 

3とEは形が逆だが、触れてあげないで欲しい。まだ八歳だ

 

次は手紙を手に取り、丁寧にシールを剥がして中の紙に目を通した

 

全部ひらがなだったが、漢字がそこまで読めない彼女にとっては一番読みやすい文だった

 

中身はこうだった

 

『おはようございます。貴女の名前は前世と同じ、絵空祈梨となっています。そして、この手紙と共に置いてあるペンは実体化ペンといい、書いたものを実体化させる効果を持っています。永遠に使えますが、貴女でないと使えません。せめてもの贈り物です。捨てるなり酷使するなり好きにしてください。尚、この手紙は読んだ後、無限に紙が出てくるメモ帳となります』

 

尚、祈梨が読んだ手紙は上記の文が全てひらがなである

 

祈梨が手紙を読み終えると、その手紙はポンっと音をたてて一つのメモ帳になった

 

試しに一枚取ってみたが、本当に無限なのかはよく分からなかった

 

祈梨は実体化ペンを試そうと、紙に三角二つと触覚だけの蝶を書いた

 

その蝶は浮かび上がると、ひらひらと舞って、開いていた窓から外に出ていった

 

「す、すごい……」

 

思わず声に出てしまった

 

数日後、新種の蝶が発見されたとニュースになるのはまた別の話だ

 

そして数分経った後、誰かが部屋に入ってきた

 

「あら、祈梨。おはよう」

「へっ!?あ、おはよう……」

 

それは若い女性だった

 

祈梨は少し躊躇したが、その女性に声をかけた

 

「お母……さん?」

「うん?どうしたの?」

 

女性は転生先での祈梨の母親だった

 

祈梨は分からないが、実は祈梨の顔と女性の顔は少なからず似ていた

 

祈梨は涙目になった後、ベッドを降りて母親に向かって走り、抱き付いた

 

そして、泣き出した

 

「あらあら、どうしたの?怖い夢でもみたの?」

 

少し間を空けて、うんと答えた後、そのまま母親に抱き付いたまま、泣いた

 

祈梨の人生は、今、新しく始まった

 

この先、奇妙な仲間達と奇妙な事件に立ち向かう事などいざ知らず……

 

 

 

 

「ほぉ、こいつは地獄行きか」

 

先程の神とは違う神がとある人間の紙を見ていた

 

シュレッダーにはかけられてはいない

 

「女に対する性的暴行、万引き、飲酒運転、盗み、殺し、麻薬、その他諸々……ここまでやるやつは逆に珍しいねぇ。普通は捕まって反省すると思うんだが」

 

その神はにやりと顔を歪めると、その男を目の前に召喚した

 

「うっ……ここは……」

「どうだい?死後の世界はよぉ」

「ハァ!?死後!?頭イカれてるんじゃねぇのか?おっさん」

「威勢があっていいねぇ。踏みつけたくなってきたぜ」

「寝言は寝て……」

 

その瞬間、その神は一瞬でその男の足を払い、顔の上に足を乗せた

 

「がっ!?」

「テメェ……少しは理解しろや」

 

さらにその神は男の顔をぐりぐりと踏みつける

 

「お前さん、地獄行きだってなぁ。しかも最後が暴行未遂だぁ?呆れるねぇ」

「んだと……この糞カスが!!」

 

男は足を振りほどき、すぐに立ち上がって拳を振るう

 

が、それは空振りに終わり、神は男の顔をアイアンクローで持ち上げる

 

「格の違いが分かんない?」

「いでぇ!!離しやがれ!!」

 

神は舌打ちをした後、壁に向かって男を投げつける

 

「ぐはっ!」

「ちょっと話聞けや」

 

座り込んだ男の腹に蹴りを入れ、そのまま踏みつける

 

「おめぇさんが最後に襲った女、あいつ、ほんとは生き残るはずだったんだぜ?」

「何言って……」

「聞けよ」

 

神は踏みつけていた足を上に上げて顎を蹴りあげた後、再び腹を踏みつける

 

「でよぉ、テメェは男の象徴蹴られて逃げられた後、上から降ってきた鉄骨に下敷きにされてジエンド」

「あの女のせいじゃねぇか!!」

「ほぉ……何故?」

「あの女さえこの世に居なければ俺は好き勝手出来たんだ!全てあの女が存在したことが悪いだろうが!!」

 

何とも無茶苦茶な理由である

 

だが、それを聞いた神はにやりと口元を歪めた

 

「いいねぇ……気に入ったぜ。テメェは転生させてやる」

「転生だぁ?」

「そこで好きにやるがいい。力だってくれてやる。ちなみに、転生先は『魔法少女リリカルなのは』の世界な」

 

神はもう一度力強く男を踏みつけた後、男から離れる

 

「んじゃ、頑張るこったな。カス野郎」

 

そう言うと、神はナイフを取りだし、男の頭を串刺しにした

 

男の体は段々と透けていった

 

「転生完了っと。さて、適当に特典でも付けますかねぇ」

 

神は新しい書類に色々と書いた後、放り投げた

 

「さて……どんな死に様か、見届けてやるよ」

 

神はさらににやりと笑った




ケロロ軍曹から、実体化ペンです

インクが無限になってます
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