魔法少女リリカルなのは~転生者達の波瀾万丈な物語~   作:白銀の勇者

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まさかの10000字越えの35話です

それと、みすちーさん作、『魔法少女リリカルなのは?ああ、転生者がホイホイ来るアレね』とのクロス話があちらで投稿されたので、よければ僕の書く祈梨達と違う祈梨達をご覧下さい

あ、学校のテストは赤点二つでなんとかなりました。心へのダメージは深刻でしたけど


第35話

六月四日

 

夢咲は本の沢山入った鞄を片手にはやての家に向かっていた

 

本には丁寧にラッピングがされている

 

今日ははやての誕生日。本は全てはやてへの誕生日プレゼントだった

 

ついでにもう片方の手にはケーキの材料と焼肉の材料が別々に入った二つのビニール袋

 

出来ることならはやての家で作って二人で食べようと思い買ってきたものだ

 

金も使いきれないほどあるので、こういうお祝いごとの時に使わないと金が有りすぎて逆に心配になってくるのだ

 

そして、そうこうしてる間にはやての家に到着した

 

夢咲は本の入った鞄の持つところにリボンを巻き付け落とさないように固定してインターホンを鳴らした

 

ドタバタと何故か騒がしい音がしたあと、ドアが開いた

 

「あ、夢咲ちゃん?」

 

はやてが車椅子に乗ったまま出てきた

 

「なんや今日は一杯持ってきたんやね」

「えぇ。ちょっとね。入っていいかしら?」

「構わへんけど……そんな驚かないで欲しいかな……」

 

車椅子で豪快に転んで服でも散乱してるのだろうかと思うと、くすっと笑ってしまった

 

夢咲は何時も通りに玄関で靴を脱いだところで気が付いた

 

靴が多い。四つも

 

お客さん……そういえばギル・グレアムという人物がはやてを保護してて、金とかを送ってもらってるんだっけ。もしかしたらその人が家族と来てるのかも。そう思うと場違いな気がしたが、はやてが入ってと言っているため、はやてについて行った

 

そして、居間には……

 

「……どなた?」

 

赤色の髪を二つの三つ編みにしたはやてと同じくらいの女の子、ピンクの髪をポニーテールにした女の人、金色の髪をショートにした女の人、ムキムキマッチョなのに犬耳という誰得だよと思わず言ってしまいそうになる男の人

 

「魔導師……!?」

 

赤色の髪の女の子とピンクの髪の女の人がガタっと立ち上がる

 

そこで気が付いた。こいつら、魔導師だと

 

何時でも動けるように身構える夢咲

 

「ちょっ、皆落ち着いて!わたしの友達やから!」

 

それをはやてが手を出して座らせようとする

 

夢咲は既にリボンに魔力を通し、自在に動かせるようにしている

 

「え、えっとな……この人達はわたしの親戚で……その……」

 

親戚。そんな事ははやての口から一度も聞いたことはなかった

 

ましてや、犬耳マッチョの親戚なんて居たら面白半分で話してくれる筈だ

 

「主。下がってください」

「シグナム!」

「おいテメェ。何が目的だ」

「ヴィータも!」

 

シグナムと呼ばれた女の人とヴィータと呼ばれた女の子が剣とハンマーを何処からか取り出した

 

おそらく、あれがデバイスだろう

 

「ったく……誕生日祝いに来たらミンチになったって……笑えないわよ……?」

 

夢咲は壁際に荷物を置くと、ソウルジェムを具現化させた

 

「夢咲ちゃん!何とかして!」

 

はやてが困った表情で助けを求める

 

いや、こっちが助けを求めたいんですがと思った矢先、ヴィータが突っ込んできた

 

「話を聞きなさいよ!」

 

その思い一撃を両手をクロスさせて防御する

 

バキッ!!と骨から音がした

 

そして、その痛みを消して胴を蹴り飛ばした

 

「いっ……普通なら折れてるっての……」

 

ヒビの入った腕の骨を魔法で完治させる

 

はやての前で魔法なんて使えない。それを考えると、素手で武器を持ってる二人をどうにかしなければならない

 

夢咲の魔法は殆どが武器依存。拳を使う魔法は全くと言っていいほど無かった

 

肉体強化なら出来るが、それだけで太刀打ちできるか……

 

武器さえ握れれば、夢咲の神様からのおまけでどうにでもなる

 

「こいつ!」

「ヴィータ!!」

 

さらにヴィータが突っ込もうとした瞬間、はやてがヴィータの頭に拳骨を落とした

 

「いだっ!!?」

「夢咲ちゃんはわたしの友達やって言っとるやろ!?」

 

はやてが怒ってますといった表情をヴィータとシグナムに向ける

 

「ですが、あやつは魔導師……」

「それは後で尋問するからええんや!わたしは止めろって言ったやろ!?」

「……すいません。主」

 

シグナムが剣を消して座った

 

「ヴィータも。謝って」

「で、でも……」

「ええから!」

 

さながらお母さんね。と苦笑している夢咲にヴィータが小さくごめんと呟いた

 

「ごめんな?夢咲ちゃん。腕、大丈夫?バキッて音がしたけど……」

「えぇ。平気よ」

 

夢咲は涼しげな顔で荷物をもう一度持った

 

さっきまで全然大丈夫じゃない状態だったのは言えなかった

 

そして、夢咲ははやてに出された椅子に座った

 

初対面の四人とは少し険悪な雰囲気が流れる

 

そして、はやてがその四人に自己紹介をしてと言った

 

「烈火の将、シグナムだ」

「シャマルよ。よろしくね」

「ザフィーラだ」

「……ヴィータ」

「如月夢咲よ」

 

ヴィータは完全に不機嫌だったが、夢咲は気にしないことにした

 

その雰囲気にはやてがあははは……と苦笑する

 

流石にこの雰囲気でははやてに誕生日プレゼントを渡せなかった

 

「あ、そういえば夢咲ちゃんが魔導師って……」

 

シグナムが言ったことを、はやては夢咲に聞いた

 

ここで言い逃れしてもその内バレるだろう。そう思い、夢咲は話す事にした

 

「えぇ。私は魔法使い。言うならば魔法少女ね」

 

夢咲はそれをあっさりと肯定した

 

「ごめんなさい。黙ってて」

「ええんよ。夢咲ちゃんは夢咲ちゃんやし」

 

そう言われて、気持ちが幾分楽になった

 

「……お前、管理局の回し者か?」

 

ヴィータが不機嫌そうな表情で夢咲に聞いてきた

 

「あんな子供すら働かせるブラック企業、就職するわけないでしょ?」

 

管理局という単語にイラッときたが、何時も通り、冷静な口調で答えた

 

なのはは九歳で命懸けのボランティアをさせられ、十四歳のクロノが執務官として働かされている

 

夢咲はそんな子供を働かせる管理局が気に食わなかった

 

「と、いう事は接触はしたんだな?」

 

シグナムが警戒心丸出しで聞いてきた

 

「えぇ、残念ながら。もう二度と関わりたくないわよ。あんな組織」

 

全部本心からの言葉だった

 

「はやてちゃんと友達になった切っ掛けは?」

 

シャマルが初めて口を聞いた

 

多分、遠回しに接触した理由を言えと言ったのだろう

 

「はやてが図書館で本を取れなかった所を通りかかって代わりに取ってあげたのよ。今はもう届くわよね?」

「身長も伸びたし届くで?」

「取れないのがあったらちゃんというのよ?」

 

何時ものような会話をして夢咲の心が少し和んだ

 

「あ、夢咲ちゃんはどんな魔法が使えるん?シグナム達の魔法はなんかこう……想像と違って攻撃的というか……」

 

おそらく、テレビとかでよく出るキラキラした魔法や杖を振るうと光が出たり……そんな魔法を想像してたのだろう

 

身近に桜色のビームを撃ちまくる魔法使いがいるからその気持ちはよく分かった

 

「分かったわ。見せてあげるけど、期待しちゃ駄目よ?」

 

自分の魔法も見せようによってはマジカルな感じだが、武器を見たらフィジカルである

 

夢咲ははやての想像してるだろう可愛い系の衣装にしようと思ったが、流石に恥ずかしいため、スズネの衣装を採用した

 

服が変わると共に、髪の毛の色も変わる

 

「あとはこんな感じかしら?」

 

夢咲はリボンを編んで一本の杖を作り出した

 

なんの用途もないが、はやてを喜ばせる位は出来るだろうと考えた結果だ

 

「……なんかこう……可愛い系の衣装かと思ったんやけど……」

「は、恥ずかしいのよ!」

 

顔を赤くして叫ぶ夢咲だったが、シグナム達四人は夢咲が敵ではないだろうと思っていた

 

敵ならば自分達に手札は見せないだろう

 

さらに、はやては見切れなかったようだが、杖がリボンのような物が固まって出来た所を見ていた

 

魔力でリボンを生み出し、それを固める事で武器を作り出す

 

そして、ヒビの入った骨を瞬時に治せる回復魔法

 

そんな魔法を敵の目の前で見せるような馬鹿は居ないだろう。そう考えた結果だった

 

「もう!分かったわよ!」

 

夢咲が吹っ切れたように叫んだ

 

はやてが可愛い方の衣装を見てみたいとずっと言った結果だった

 

夢咲は顔を真っ赤にしながらピンク色の魔力を纏った

 

そこでも魔導師である三人と守護獣である一匹は驚いた

 

さっきの魔力光は灰色がかった赤。が、今度はピンク色

 

本来、魔力光は一人一色。例外としてベルカの聖王の遺伝子を持つものは赤と翠のオッドアイと、七色の魔力光を持つが、こうもあからさまに魔力光が変わるのは見たことがなかった

 

そして、衣装チェンジが終わった

 

何故か髪型はツインテールになり、衣装はふりふりのフリルのスカートのついたワンピースのような服。首には赤色のチョーカーと、首元に形の変わったソウルジェム

 

そして色はピンクと白が基調

 

「は、恥ずかしい……」

 

プルプルと顔を俯かせながらも真っ赤にして震える夢咲。何時もの冷静な夢咲からは想像のできない様子だった

 

カシャッ。そんな機械音がした

 

それにハッとして機械音のした方を向いた

 

「貴重な1枚貰いました~」

 

はやての手にはカメラが一台。そして、さっきの機械音。明らかに写真を撮った音だった

 

それ即ち、

 

「け、消しなさい!!」

 

顔を真っ赤にしながらはやてに叫ぶ夢咲

 

はやては永久保存もんやな~と言いながらさっき撮った写真を眺める

 

夢咲は左手に菱形の盾を召喚し、時間停止をした

 

「ザ・ワールド。私だけの時間よ……ってね」

 

夢咲ははやての手からカメラを奪取して衣装も暁美ほむらの衣装に変えて時間停止を解除した

 

「……あれ?」

「削除!」

「あ~!!」

 

なんで消したんや~!と憤慨してポカポカと殴ろうとするはやての額に手を置いて手が届かないようにしてそりゃ消すわよ!あんな黒歴史!と言い返す夢咲

 

そんな二人を置いて、さらに三人と一匹は驚いていた

 

一瞬ではやてのカメラを奪い、衣装を変えた

 

瞬間移動?超能力?いや、それでは一連の現象を説明できない

 

そして、三人と一匹の頭に一つの可能性が浮かんだ

 

時間停止。それならはやてのカメラを奪い、衣装を変えるなんて容易い

 

もしもそれが本当で、敵ならば、夢咲はこの家に入った瞬間、台所にでも行って刃物を入手してはやてを抹殺し、自分達も同時に抹殺する事なんて容易い筈だ

 

しかも、さっき時間停止をしたのに、自分たちにはなにもされていない

 

時間停止を使えば、隙なんて幾らでも作れる

 

瞬間移動でもそう。瞬間移動しながらはやてを抹殺。自分達もついでに抹殺だって出来る

 

超能力……あそこから考えられるのはテレポートでも、テレポートで刃物を入手。後は戻って抹殺。衣装を変えて返り血を消して刃物を持って帰るなりして証拠隠滅

 

それをしないという事は本当に敵意がないと見てもいい

 

だが、表面上はうまく取り繕って、完全に心を許したところで何か仕掛けてくる可能性があるため、完全に敵ではないと認めた訳では無かった

 

「そうそう。はやて。誕生日おめでとうって訳ではいこれ」

 

夢咲はあたかも自然にはやてに本の入った鞄を渡した

 

はやてはそれを受け取るが、

 

「重っ!?」

 

想像以上の重さに落としそうになる

 

なにせ、ハードカバーが十冊ほど入っているのだ。大人であっても少し重いと感じる程の重さだ

 

「これ、片手で持ってきたん?」

「ちょっと魔力で体を強化したのよ。二百キロ程度の物なら持てると思うわ」

 

はやてはチート過ぎじゃない?と聞いたが、使えるものを使って面倒をなくすのが自分の志だと言い張り、はやてが苦笑した

 

「中身見てええか?」

「いいわよ」

 

そこでシグナムが先に自分が見て安全確認をすると言おうとしたが、はやてがすっごいいい(怖い)笑顔で見てきたため、座らざるを得なくなった

 

そして、はやてが鞄の中身を取り出す

 

「この形……本?」

「えぇ」

 

はやてがラッピングを丁寧に外していく

 

十冊の本が重なっているため、少し手間だったが、外し終えた

 

「あ、これ……」

 

はやてが中から現れた本を見て、思わず呟く

 

「この間はやてが本屋に行った時に興味津々で見てた本よ」

「でもこれ、高くて買うの断念したやつやのに……ホンマにええの?」

「気にしないでいいわよ。私からの誕生日プレゼントだから」

 

ちなみに、一冊二千円とか五千円とかするかなり高い本だったりする

 

三万円程使ったのだが、お財布はまだポッカポカの春のままだ。いや、夏とも言っていいだろう

 

冬や秋が訪れることはこの先無さそうだが

 

「ありがとう。夢咲ちゃん」

「どう致しまして。はやて」

 

二人が笑い合う

 

「あ、そういえばパーティー用に焼肉とケーキの材料を買ってきたのだけど……」

 

ガサっとビニール袋を机の上に置く

 

シグナムがまた先に安全確認を……と言おうとした所でまたはやてがいい笑顔を見せてきたので大人しく着席した

「ケーキはホールで作ろうとしたから材料は足りるだろうけど……焼肉は二人分しか買ってきてないのよね……」

 

少し困ったような顔をする夢咲

 

「なら買いに行かへんか?ヴォルケンリッターの皆の服も買いに行かへんとあかんかったし」

 

今のシグナム達……ヴォルケンリッターの服装は真っ黒のインナーのような服だけだ

 

「ヴォルケンリッター?」

「闇の書の主を守ったり補助したり代わりに蒐集をしたりするシステムらしいけど……そんな事はどうでもええんや。今日から家族なんやし」

「で、その家族の服が無いから買いに行きたいと」

「せや。ヴィータはわたしの服がギリギリ合うとは思うんやけど……シグナムとシャマルのサイズはあらへんし、ザフィーラのような男物の服なんて一着もあらへんから」

 

夢咲は両親の服だったら合うんじゃないかと言いそうになったが、そんな古傷を抉った後に塩を塗りたくるような真似はしたくないため、そう。と一言だけ話した

 

「主。私達の事はお構いなく……」

「もう……家族なんやしはやてって呼んでと……」

「ですが、主を名前で呼ぶなんて……」

「なら主からの命令!わたしを名前で呼んで!」

 

夢咲はそんな様子を見て微笑んでいた

 

結果、シグナムは主はやて。ヴィータははやて。シャマルははやてちゃん。ザフィーラは主と呼ぶようになった

 

シグナムとザフィーラは慣れないのか、主とどうしても呼んでしまうそうだ

 

はやてはまぁええわ。と言っていたから別にいいだろう

 

「ほな行こか」

 

と、ヴォルケンリッターを連れて家を出ていこうとするはやてを夢咲は呼び止めた

 

「流石にその格好で外に出すわけにも行かないでしょ?」

「でも服ないし……」

「まぁ、待ってなさい」

 

夢咲はヴォルケンリッターに合いそうな服装を想像すると、目測だが、サイズを決め、服をリボンで作った

 

「お~」

「実はティーカップとか作れちゃうのよ?紅茶も出せるし」

「まさに魔法って感じやね!」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。ほら、着なさい」

 

夢咲が服を手渡していく

 

そして、女三人組は居間で、ザフィーラは脱衣所で着替える事になった

 

「あら、ピッタリ」

「この服……中々動きやすいな」

「なぁ、なんでアタシだけこんなふりふりの服なんだ?」

 

シャマルは緑のワンピース、シグナムは紫色のジャージ、ヴィータは何故かゴスロリ服だった。黒色の

 

「うんうん。似合っとるな~特にヴィータ」

「私の目に狂いは無かったわね。キツそうな雰囲気してるのにゴスロリってのがまた……」

「おい、二人まとめて光にすっぞ」

 

ヴィータがハンマー……グラーフアイゼンを片手に威圧する

 

が、夢咲がかかってこいやと茶化して、ヴィータがグラーフアイゼンを一閃

 

それを夢咲が猫ハンマーで弾き返し、二人のハンマーでの打ち合いが始まった

 

「怪我せんようにするんやで~」

「光に、なぁれぇぇぇぇぇぇ!!」

「また戦争がしたいのか!あんたたちは!」

 

途中からネタの言い合いになってる打ち合いはザフィーラがそろそろ出てもいいか?と声を出したところで止まった

 

だが、その打ち合いを見てシグナムがウズウズとしてたのは誰も気が付かなかった

 

 

 

 

そして、時と場所は移って近くのデパート

 

シグナム、シャマル、ザフィーラははやてと共に服のお買い物

 

夢咲とヴィータは焼肉の食材を買っていた

 

「えっと、肉は……これでいいかしら?」

(これ……この店で一番高いやつだよな……それをホイホイと……)

 

夢咲は財力にモノを言わせて一番高い肉をホイホイとカゴに入れる

 

祝い事なら高級な物でやった方がいいだろうと思った結果だった

 

「ヴィータ。あなた、大体どれくらい食べるの?」

「結構食べるが……」

「ならもう一つ買ってもいいわね」

 

夢咲はさらに肉をカゴに投入

 

そして、カゴを乗せたカートを押していく

 

それを見て少しウズウズしてるヴィータ

 

「……押す?」

「お、押したくねぇし!子供じゃねぇんだから」

「じゃあ疲れたからパス」

「えっ、ちょっ!」

 

半ば無理矢理ヴィータにカートを渡す夢咲

 

ヴィータは渋々、といった感じでカートを押し始めてたが、嬉しそうだった

 

子供ね。なんて思いながら食材をポポイとカゴに入れていく

 

「……なぁ、お前、本当に目的があってはやてに接触したわけじゃねぇんだな」

「当たり前じゃない。目的があったら直接にやってるわ。回りくどい事は嫌いだもの」

 

野菜を見ながら夢咲はヴィータにそう返した

 

「……なら、信用してもいいんだな」

「何に信用するのか分からないけど、私は何があってもはやての味方。例外としては犯罪の加担や世界を滅ぼそうとする位ね」

 

夢咲は特に何も考えず、そう返した

 

「それ、何があってもじゃねぇだろ」

「それもそうね。でも、はやてに何か起こるのだったら……私は持てる力の全てを使ってはやてを守る。因果への反逆、時間遡行、殺人……なんだってやってやるわ」

 

夢咲はポイッと野菜をカゴに入れた

 

「だって、はやては私の友達だもの。何があってもね」

 

夢咲は一度ヴィータを見て、すぐに一つの野菜を手にとった

 

「で、ピーマン食べれるかしら?」

「食える」

「なら購入っと」

 

手にとったピーマンをポイッとカゴの中に入れた

 

「さ、とっとと買って合流するわよ」

「あぁ」

 

二人はレジに向かって歩き始めた

 

ちなみに、ヴィータは黒のゴスロリのままだったりする

 

そして、諭吉さんを何枚か財布から失った後、二人は合流場所に向かって歩いていた

 

その途中

 

「あっ……」

「のろいうさぎ……欲しいの?」

「い、いや、別に欲しくはねぇよ!」

 

ヴィータが小学生の間では結構人気のあるのろいうさぎのぬいぐるみを見て小さく声をあげた

 

欲しくないと言った割にはのろいうさぎに夢中だった

 

夢咲は溜め息一つ、自分の持ってた袋をヴィータに渡してのろいうさぎのぬいぐるみを一つ手に取ると、そのままレジで購入。それを自分の持ってた袋とヴィータの持ってた袋と交換でヴィータに渡した

 

「プレゼントよ」

 

そして、何事もなかったかのようにほら、行くわよと言って合流場所に向かった

 

ヴィータは笑顔だった

 

途中、ヴィータは微笑ましい視線を受けた気がしたが、気の所為だろうと思って特に気にはしなかった

 

 

 

 

「夢咲ちゃ~ん、お待たせ~」

「はやて。遅かったわね」

「そりゃあ服から下着まで全部買ってきたから。ごめんな?」

 

そう言うはやての車椅子とザフィーラの手には大量の紙袋があった

 

そして、はやての目にのろいうさぎのぬいぐるみを抱いて笑顔のヴィータが写った

 

「ヴィータ?なんでのろいうさぎ?」

「気に入ったらしいから買ってあげたのよ。ゴスロリにのろいうさぎ……中々様になってると思わない?」

「うさみみがあれば完璧やな……じゃなくて、何円やったん?お金払うよ?」

「私からのプレゼントだから気にしないで」

「でも……」

「ほんと、お金だけはあるから気にしないで。お金だけはあるから」

 

のろいうさぎのぬいぐるみ程度なら何百個でも買えちゃうほどのお金があるため、お金だけはの部分だけを強調して、さらに二回言った

 

はやては渋々了承した

 

その後は特に何もなく、ザフィーラが夢咲の手にある袋を紳士的に持ってそのまま帰宅した

 

が、夕食までの時間が余ったため、友情崩壊ゲーと名高いエア○イドを六人で交代でやる事になった

 

ちなみに、コントローラーが足りないため、二人ずつだ

 

「うわっ、なんだよこれ!曲がれねぇじゃん!」

「滑る~~」

 

初心者であるヴォルケンリッターは手探りでプレイしていた

 

その中、シグナムが夢咲に話しかけた

 

「如月」

「ん?どうかした?」

 

夢咲ははやての髪を弄っていた手を止めてシグナムの方にむく

 

ちなみに、はやての髪型は何故かツインテールに変わっている

 

「すまないが、私と模擬戦をしてくれないか?」

 

と、シグナムがネックレスのようになっているレヴァンティン片手に聞いてきた

 

あ、拒否権無いのね。なんて思いながら、

 

「拒否権は?」

 

と、聞いてみた

 

結果、

 

「無い」

「ですよね~」

 

本人は面倒でやりたくないのだが、はやてがこっちを向いてかっこいいところ見てみたい!って顔をしている

 

夢咲は溜め息一つつきながら、頭を少し掻いて

 

「分かったわよ。庭でいいかしら?」

「あぁ。すまないな」

「拒否権無いって言ったのは誰よ……」

 

夢咲は立ち上がると、周りを見渡す

 

と、何故か木の棒がポツンと部屋の端に置かれていた

 

「あ、それな、昔高いところの物を取るために買ってきたもんなんやけど、棒一本でどないせいゆうねんって事で結局放置してあるやつなんよ」

 

そういえばはやての手の届かないところにあるものを取ってあげた事もあったっけ。なんて思いながらその棒を手にする

 

「……これ、使うわね」

「え?構わへんけど」

 

重さを確認しながらはやてに言うと、シグナムに連れられ庭に出た

 

そして、夢咲はソウルジェムを構え、変身。衣装は赤色のノースリーブのスカート付きの上着、黒のインナーのようなもの、紫のスカート、黒のブーツに変わった

 

なるべく露出の少ない接近戦ようの服装だ

 

今回の武器を使うにはその衣装は大分ピッタリだったからだ

 

「え~、ピンクのやないの~?」

「恥ずかしいからよ!」

 

顔を赤らめながら、棒にリボンを巻き付け、丸くする

 

そして、それをブンブンと振り回し、構える

 

「主はやて。私の騎士甲冑をお願いします」

「きし……かっちゅう?」

「えっと……私が戦うときに纏う衣装です。主はやてが思い浮かべてくれれば、後はこちらでやります」

「う~ん……分かった」

 

はやてが考えること数秒、もうええで~とシグナムに呼びかけた

 

「レヴァンティン!」

『Jawohl!』

 

ミニチュアサイズのレヴァンティンのサイズが元の大きさに戻り、シグナムがそれと同時に騎士甲冑を纏う

 

「……ありがとうございます、主はやて」

 

シグナムの衣装は原作と全く同じ格好なのだが、夢咲にはそれは分からない

 

シグナムはすぐに結界を張り、剣を構える

 

「さぁ……行くぞ!」

「最初は小手調べよ」

 

夢咲が棍となった棒を振り、加速魔法、アレグロで一気にシグナムに接近する

 

(速い!?)

「フッ!」

 

夢咲が棍を横凪に振るう

 

シグナムはそれを冷静にバックステップで避けるが、夢咲は距離を取ることを許さず、今度は上段で振るう

 

シグナムはそれをレヴァンティンで弾く。が、夢咲は弾かれた部分を握り、バックステップしながら、両手で棍を構えなおす

 

「中々慣れてるな」

「そうでもないわ。棍なんて使うの、初めてだもの」

「……なに?」

「昔から、私は武器を握ると、その使い方が自然とわかってくるのよ。銃火器も、剣も槍も。だから、初めて使う武器でも、ある程度は使えるのよ。まぁ、慣れてる武器の方が扱いやすいのだけど」

 

これが、夢咲の神からのおまけであった。本人は自覚してないが

 

夢咲は武器を握れば、その使い方等が自然と頭の中に入ってくるのだ

 

それ故に、時の庭園での銃火器の数々、操作の困難な多節棍等。転生前で触れる機会の全くなかった物をいとも容易く使う事が出来たのだ

 

今回の棍も、どこをどう握って、どう振ればいいのか、それが自然に頭の中に入ってきて、その通りに棍を振るっただけだ

 

夢咲は棍を投げ捨て、槍を魔力で作り出す

 

「こっからは本気よ。来なさい」

 

槍の先端をシグナムに向ける

 

「槍か……面白い!」

 

シグナムが駆けた。レヴァンティンを炎が纏う

 

(ひなたやフェイト、プレシアさんと同じ……魔力の変換!)

「ハァァ!!」

 

シグナムが懐に潜り込み、レヴァンティンを振るう

 

夢咲はそれを槍の中心で防御、ガキン!と音がすると同時に槍を多節棍に分解。レヴァンティンをそのまま掴み、シグナムごと投げ飛ばした

 

「ぐっ!?」

「くらいなさい!」

 

投げ飛ばしたシグナムに向けて多節棍を槍に戻して突撃する

 

シグナムはそれをレヴァンティンの鞘で軸を逸らして避わす

 

そして、空中で姿勢を整え、地面に着地

 

「レヴァンティン!」

 

追撃をさせるまもなく、レヴァンティンの名を呼ぶ

 

レヴァンティンはそれに応える

 

『Schlangeform!』

 

ガチャッ、とギミックが作動し、レヴァンティンが多節剣に変わる

 

「ッ!?」

「シュランゲバイセン!」

 

そして、幾つにも別れた剣がまるで意志を持ったかのように夢咲に襲いかかる

 

「くっ、このっ!」

 

夢咲はその一つ一つを槍でさばいていくが、とうとう槍を打ち上げられる

 

「しまっ……!」

「そこッ!」

 

その隙を狙われ、腹部に魔力の乗った重い一撃が食い込む

 

「あぐっ……!」

 

そのまま多節剣が振るわれ、夢咲の小さな体が吹っ飛ぶ

 

吹っ飛びながら、地面に槍を突き刺し、衝撃を殺す

 

「いっ……重い一撃ね……」

 

鳩尾にモロに入ったため、悶絶したくなるほどの痛みに駆られるが、それを痛覚遮断で耐え凌ぐ

 

「ほう、まだ動けるか」

「当然よ」

「ならば、もう一度行くぞ!」

 

再び、多節剣が夢咲に向かう

 

(ちょっとチート技だけど、はやての前で情けない負け方は出来ないから……使わせてもらうわよ!)

 

夢咲の槍がジャラッと音を立てて多節棍に早変わりする

 

そして、一瞬目を閉じ、すぐに目を開く

 

目の色は変わって青色になっていた

 

(目の色が変わった?)

 

シグナムは疑問に思ったが、攻撃の手は緩めない

 

「こっからは独壇場よ!」

 

夢咲は多節棍を振り回し、その場で回転しながら多節棍の操作をはじめる

 

右、前、左、上。次々と迫る一撃を全て多節棍で受け流し、シグナムに向けて多節棍の先端、槍の部分をつきたてる

 

(動きが読まれている!?)

なるべく夢咲の不意を突くように剣を動かしているのだが、夢咲は全てを見通していると言わんばかりに全てを受け流していく。さらにはこちらに攻撃を加えてくる

 

(未来予知……使いたくなかったけど、使わないと勝てないのよね……)

 

未来予知。夢咲は目を閉じた一瞬で発動したのだ

 

今、夢咲の目には次にレヴァンティンの刃が迫ってくる場所が写っている

 

夢咲はそこに多節棍の一部が来るように操作。操作の終わった瞬間、多節棍は多節剣を受け流す

 

そして、その間に槍をシグナムに向けてすすめる

 

多節棍となっている槍は自分が握りやすいように細くしてある。そのため、弾き返すよりも受け流す方が体力をあまり使用しないのだ

 

自分の周りに展開している多節棍の一部を時には引っ張り、時には押し出してから一気に引っ張ったり、足元の物を踏みつけ、目の前の部分を一気に引っ張ったりと、全身を使って多節棍を操作する

 

そして、

 

「ぐっ!」

 

シグナムの手元にあるレヴァンティンを打ち上げた

 

「貰った!」

 

夢咲は多節棍の先端をグイッと引っ張り、展開していた多節棍を連結、槍へと変える

 

その間にも未来予知は忘れない

 

未来にはシグナムが自分の攻撃をよけて、落ちてきたレヴァンティンを上手く掴みとり、自分の槍を打ち上げ喉元に剣先を突きつける。そこまでの過程が全て写っていた

 

だが、槍をよけた場所に向けて槍を振るったなら?それは簡単

 

「チェックメイトよ」

 

突き出した槍を、シグナムがよけた先に振るう。シグナムはこうもあっさり読まれるとは思ってもおらず、首元に槍の刃が突きつけられた。ちなみに、槍の刃はちゃんと落としてある

 

ザクッ!とシグナムの後ろでレヴァンティンが地面に刺さった音がした

 

「……詰み、か」

「えぇ。まだやる?」

「いや、参った。降参だ」

 

その声を聞いて槍を消し、胸元にある形の変わったソウルジェムを元の形に戻し、服を元に戻す

 

シグナムもレヴァンティンを待機モードにし、騎士甲冑を解いた

 

「まさかあんなにあっさりと読まれるとはな」

「まぁ……負けたくないから反則気味な技を使ったのだけど……」

 

頬を掻きながら夢咲が小声で言った

 

どんな技だ?とシグナムが聞いてきたので、白状することにした

 

「未来予知よ。お腹に一発貰った後から使ってたわ」

 

痛覚遮断は槍を消すとともに解いてある

 

「未来予知か……なるほど。それならあの読みも納得できる」

「ちなみに、私が見た未来だと私が突っ込んだ後、あなたは剣を掴みとって私の槍を打ち上げ、喉元に突き付けチェックメイトだったわ」

 

そうか。とシグナムは一言だけ返事をした

 

「ならば、今度は未来を見てもどうしようもない攻撃をしなくてはな」

「えっ……次もあるの?」

「当たり前だ。勝ち逃げはゆるさん」

「あ、あはは……(め、面倒な事になったわ……はぁ)」

 

どうやら、夢咲は面倒な事から逃げられない因果を背負っているようだった

 

 

 

 

「夢咲ちゃん、かっこよかったで」

「そうかしら?」

「だって、多節棍やで!?あんなロマン武器を使ってくれるなんて思っとらんかったわ」

「多節剣の方がロマンあると思うのだけど……?」

「だが、多節棍をあれだけ自由自在に使えるのは誇ってもいい事だと思うぞ。常人ならまともに使えん」

 

おだててもリボンか紅茶しかない出ないわよと言って、庭から今に戻る

 

そこには、

 

「なんでザフィーラがそんなに強ぇんだよ……」

「飛んでたら打ち落とされた……」

 

疲れた様子でぐったりとしているヴィータとシャマル、ソファに座って腕を組んで目を閉じてるザフィーラがいた

 

「とりあえず、ご飯にしよか」

 

はやてはその様子に特に何も言わず、焼肉の用意をしだした

 

その後は皆で焼肉、暫く談笑して夢咲は時間だからと帰った

 

余談だが、はやてが肉の値段を見て意識を失いそうになってたらしい




魔法少女まどか☆マギカより、まどかの衣装でした

学校で祈梨達を描いて挿絵として投稿しようと思ったけど、あまりの酷さに止めました

誰か描いてくれないかな(チラッチラッ

なんてのは置いておいて、次回は……また日常回か、キングクリムゾンか……

それでは、また次回、お会いしましょう
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