魔法少女リリカルなのは~転生者達の波瀾万丈な物語~ 作:白銀の勇者
「すみません、わざわざこちらのわがままを……」
「なに、困った時はお互い様だ」
ザフィーラとシャロとアリサは管理外世界で出会った住民の方々の魔力を分けてもらっていた
ちなみに、百人程居たのだが、全員一行程度で、埋まったのは五ページ程だった
だが、楽して稼げたのだから、これはかなりの前進だった
「では、ありがとうございました」
「気をつけなされ。この時間帯は中々危険だからな」
住民の方々にお礼を言った後、来た道をそのまま戻っていった
暫く歩いてから転移で帰るつもりだ
「あんだけいて五ページねぇ……」
「なのはさんは才能の塊ですし、ひなたさんはただの異常ですし……祈梨さんは……なんでしょう?たまたま?」
「あれだけ魔力を持っているものは珍しいからな。訓練をしていない魔力持ちの人間は皆あんな物だ」
「う~ん……そこは割り切るしかないのね……後丁度二百ページね。まぁ、こんな短期間で六十六ページ埋まったのだから、この調子なら夏休み中には終わりそうね」
「この調子を維持できたら……ですけどね」
「そうだな。管理局の妨害があった場合は長期戦も覚悟せねばな」
そんなこんなで住民の方々から目の届かない場所までたどり着いた
ちなみに、アリサは疲れるという理由でザフィーラの上に乗っているかシャロにおぶってもらっている
本人いわく、自分は軍師だから体力はいらないとかなんとか。ちなみに、アリサは並程度に体力はあります
「それじゃ、帰りましょ。管理局に見つかったら厄介なのでしょ?」
パタン。と闇の書を閉じるアリサ
「……いえ、もう厄介になってるみたいです」
シャロが悟ったような顔をしてちょいちょいと指先を自分の横に向ける
そこには、シャロがアースラの中で見た武装隊のバリアジャケットを羽織った青年が……
「……管理局?」
「管理局員です」
「我は暫くただの狼だ。何を聞かれても喋らん」
ザフィーラは自分が闇の書の守護騎士の一人だと発覚しないように黙るようだ
「君達、ここは管理外世界だぞ。何をしている?」
「いや~、適当に転移したらここに着いてしまって……」
シャロが話を合わせてくれとアイコンタクトをアリサに送る
アリサはウインクを一回した
「えぇ。でも、もう転移して帰るから気にしないで」
「だが、何か事故が起きて何処か別の世界に行ってしまったら大変だろう。僕が送っていこう」
「えっ……お、お構いなく。帰れますから」
「気にしないでいい。こう見えても、転移は得意分野だ」
「で、でも……」
アリサがどんな言い訳をしようか考えていると、パサッと何かが落ちた
闇の書だった
マズッ!とアリサが声を出しそうになるがこらえ、サッと闇の書を隠す
「ん?今の本……何かの資料で見たような」
「(ア、アリサさんんんん?!?何しちゃってんですか!?)」
「(わ、わざとじゃないわよ!?ここは気付かないことを……)」
「確か……闇の書か何かの資料で……」
二人は外面は笑顔で取り繕ってるが、内心はドッキドキのバクバクである
「……すまないけど、少し見せてもらってもいいかい?場合によっては……」
「いいいいいえ!あ、あれ、古本屋で見つけたただの古臭い本ですよ!」
明らかに動揺しまくりである
「そんな本を持ち歩くなんて……」
「き、今日はこれを買った帰りだったのよ!シャロは古本マニアだもんね!」
「だが、念のため、見せてもらってもいいかい?もしかしたらそれがロスロトギアである可能性も無いわけじゃないから」
「そそそそ、そんな!ロスロトギアなんて!」
「そ、そうよ!古本屋で売ってたただの古めかしい本よ!」
アリサも少しどもりながらも言い訳をなんとか絞り出す
シャロは少し落ち着け
「いや、ロスロトギアだったら管理局員としては見過ごせないんだ。それに、僕はロスロトギア関係の資料でその金色の十字が装飾された本を見たことがあるかもしれないんだ」
「そんな本、闇の書位しか……」
「馬鹿!シャロ!」
「……あっ」
「闇の書……?そうだ!闇の書だ!」
ここでシャロ、痛恨の自爆
「悪いけど、その本を管理局に持って行って調べさせてもらうよ。闇の書の可能性が出てきた。レプリカだったらすぐに返すよ」
「れ、レプリカに決まってるじゃないですか!」
「そうよ!最近のレプリカは凄いものね!ほんと外装もしっかりしてるし、触り心地もいいし」
「だったら尚更だ。それがレプリカと証明するために、来て欲しい」
どうやら、言い逃れは完全にできないようだ
二人の顔が真っ青になり、冷や汗がダラダラと出てくる
「大丈夫。ちゃんと君達は家に送り届けるから」
シャロが真っ青な顔でアリサを見る。アリサも真っ青な顔でシャロを見返すと、goと言った
「そ、その……」
「うん?」
「ごめんなさい!!」
シャロがトイズを発動。一瞬で距離を詰めて青年に腹パン
腹パンは綺麗に決まって青年は小さくうめき声を上げると気絶した
「……どうしましょう?」
「……Run away」
「ザッフィー!」
「わ、分かった。転移」
三人はそのままはやて宅に戻った
「……と、言うわけなんです!ごめんなさい!」
「すいまっせんした!」
「すまない。我が気付いていれば……」
「いや、構わない。いずれバレるかも知れなかったのだ」
三人(ザフィーラは人間形態)が皆に向かって頭を下げる
だが、皆は攻めることは何一つ言わずに、気にするなと言った
「そうなると、これからは誰かがここに居なくてはならないな。万が一、主はやての事がバレた時に、誰もいなかったらその時点で終わりだ」
「だが、本格的に管理局が介入してきたら、はやての事がバレないようにヴォルケンリッターと俺達は仮拠点を作ってそこを拠点に活動しなくちゃならないな」
「え?別にここからでもええやろ?」
「そうともいかないわ。私はちょっと聞いただけだけど、相手は転移を追跡できる。コンピュータが追跡できない程の早さで連続転移をしたのなら逃げれるかもしれないけど。もし、相手が転移の痕跡やらでここを特定したら、私達は迂闊に蒐集が出来なくなるわ。だから、バレても差し支えのない仮拠点を作ってそこをあたかも本拠点のように見せて行動する必要があるわ」
アリサが管理局や魔法関連について聞いたことを自分なりにまとめ、意見を言う
その言葉にヴォルケンリッターと祈梨を除く転生者達が首を縦に振る
「で、次からは仮拠点を作るまでの間、シャマルさんと祈梨、ひなたはここで待機よ」
「なんで?」
「シャマルさんは補助系の魔法が得意と聞いたから、咄嗟の転移で逃げる事が可能だからよ」
「なるほど」
「で、仮拠点は誰が作る?出来れば、地球からそう遠くない場所が好ましいわ。もしはやてに何かあったらすぐに駆けつけれるようにね」
「なら、俺が用意しよう。スカさんに頼めばあれを……」
一人でうんうんと首を縦に降っている玲音
「まぁ、宛があるのなら頼むわ。今日は全員ここで夕方まで待機。さっきの管理局員が追ってくるかもしれないわ。まぁ、ここに来たら素巻きにしてから記憶消して管理局本部にでも送ればいいわ」
サラッと酷いことを言うアリサであった
その日は蒐集は止めてはやての家でわいわいがやがやと遊ぶことになった
数時間後。皆は自身の家に帰ることになった
アリサは帰り道が少し違うため、一人で夕方の道を帰ることになった
(仮拠点が出来たらなるべくそこに注意を引き付ける方がいいわね……そうした方がはやての危険はなくなるし……いっそ、私を偽の闇の書の主にしてみるのはどうかしら?そうしたらさらにはやてへの危険は減る。私は皆に守ってもらえるし……大丈夫ね)
アリサはこれからの事を考えながらも、ちゃんと前は見て歩いていた
その瞬間だった。空の色が変わったのは
(空の色が!?これは……結界だったかしら?もしかして、私が闇の書に関連してる事がバレて、一人でいるところを狙われた!?)
「おい、そこの小娘」
後ろから声がした
そこには、仮面を着けた男が二人、電柱の上に立っていた
「なによ、変態さん。警察呼ぶわよ?」
携帯電話を取り出して、警察に電話出来るようにして画面を見せる
「出来る物ならな」
「なら呼んであげるわ」
発信ボタンを押して耳に携帯を当てる。が、聞こえる音はプー、プーという音だけで電話は繋がらなかった
「え?」
画面を見ると、圏外になっていた
「無駄だ」
「……チッ」
携帯電話をしまって、誘拐された日の後から護身用に携帯しているスタンガンをポケットの中で確認する
気休め程度の護身具だが、無いよりはマシだと、買ったものだ
(こんなところで出番があるなんて……)
だが、バッテリーはせいぜい持って五分ほど。全く使う機会がなかったため、バッテリーは日に日に減ってくばかりだった
「単刀直入にいう。八神はやてに二度と近付くな」
「あんたに友達選べって言われる義理はないけど?」
「痛い目みたく無ければ素直に言う事に従う事だ」
「嫌よ。私は友達は大事にする人間なのよ。こう見えてもね」
助けは来ない。相手は魔法使い。自分はただの小学生。武器はロクに使った事もないしバッテリーも殆どないスタンガンだけ。絶望的な状況だった
「ならば、痛い目をみてもらおうか!」
男の内一人がアリサに向けて突っ込む
アリサはみてもらおうの所で既にバックステップをし、腕を顔の前で組んでいた
先程までアリサが居た場所に男が突撃し、大きなクレーターができ、アスファルトの破片がアリサに何度も直撃する
腕を顔の前に持ってきていなければ、今頃顔は傷だらけだろう。破片に何度も当たった衝撃でアリサの小さな体は浮いて後ろに向かって吹っ飛ぶ
「かはっ……!」
アニメのように受身なんて取れるわけなく、そのままの勢いで地面に背中から着地し、肺の中の空気が問答無用で外に出る
悶絶したくなる痛みに耐えなから、胸に手を当てて片手と両足で後ろに飛ぶ
また、アリサが居た場所に男が突撃した
破片を顔に当たらないようにしながら、すぐ横の路地に転がり込む
「ぐっ……はぁ……はぁ……」
痛む胸に手を当て、切れた息を何とかして整える
「私はシャロみたいに地面に叩きつけられて無傷とはいかないのよ……腕も破片で切っちゃったし……」
傷一つ無かったアリサの両手には無数の傷が出来ていた
アリサは逆によくこれだけで済んだな。とホッとしていた。が、視認してから腕の痛みが襲ってきた
「いたたた……さぁ、どうする?アリサ・ローウェル。この状況、明らかに最悪よ……」
路地のすぐ横に居るだろう仮面の男にどうやって勝とうか……それを考える
「不意打ちしかないわね……ここから飛び出して、スタンガンで……」
「ほう、ならばやってみるといい」
第三者の声が聞こえた瞬間、路地を奥に奥にと走り出す
「泳がされてる!どうにかして形勢を!」
「ならば、その策を実行に移したらどうだ?小娘」
「くそっ!」
アリサはポケットのスタンガンを握り込み、電源を入れる。バチバチッとスタンガン特有の音を聞きながら、自分の真後ろに向けてそれを突き出す
スタンガンは当たった。仮面の男の服に
「しまっ!」
スタンガンは肌に当てれば電気が流れ、かなり痛い。が、服の上からは機能しないとも言っていい。せいぜい、熱い、痛い程度だ。首筋に当て、スイッチを入れる事でやっと相手を気絶させることができる
しかも、相手はバリアジャケット。ダメージは殆ど無かった
「くっ!」
「チェックメイトだな」
振り返り、また逃げるために走ろうとする。が、目の前は壁だった
(つ、詰んだ……?)
目の前の壁を見た瞬間、クラっとしたが、なんとか踏みとどまる
「さて、痛い目にあってもらおうか」
男の手が伸びてくる。アリサはしゃがみながら、体勢を低くして走る
そして、男のすぐ横に飛び込み、手をつけた瞬間、前転。これも背中を打ってかなり痛いが、そんなの構ってられない。そのまま駆け出す
が、駆け出そうと踏み出した足はすぐに止まった
もう一人の仮面の男がそこにいた
ここでもう一度ローリングで横を通り抜ければ可能性はあった。が、足を止めてしまったことで完全に退路は塞がれた
「おい、後は頼んだ」
「分かった」
自分の後ろの男が屋根の上に飛び乗り、何処かに行く
だが、危機的状況なのは変わりない。体術で挑んだとしても、子供である自分と大人の相手では体格が違いすぎる。さらに、アリサは体術なんてやってない
なら、逃げるしかない
そのための隙を作らなくてはならない
「ふん。そのスタンガンは昔の強姦未遂からの物か?」
「えぇ、そうよ?でも、乙女のプライベートは覗かないで欲しいわ……ね!」
アリサはスタンガンを男の顔面に向かって投げた。それと同時に走り出す
男はスタンガンを片手で払う。が、そこがチャンス
「このぉ!!」
助走を付けた飛び膝蹴りを男の腹に決める
幾ら子供だろうと、鳩尾に膝が入れば誰だって悶絶する
(入った!)
後は逃げるだけ。だった
「子供にしては中々の策だ」
「……え?」
が、男は倒れるどころか微動だにしなかった
そして、アリサの頭を片手でつかみ、持ち上げる
「いっだ!このっ!離しなさいよ!」
「威勢のいい小娘だ」
アリサは男の手に爪を食い込ませる。が、男は痛がる様子すら見せない
爪が食い込めば誰だって少しは怯む
(嘘でしょ……?これが騎士甲冑ってやつなの……?)
「そんな小娘にはお仕置きが必要だな」
アリサが何とか手を緩めようとするが、抵抗はなんの意も介さない
男の拳が何の躊躇いもなく、アリサの腹に食い込む
「ぐっ……!?」
「所詮、子供だ」
そのままアリサをすぐ横の壁に投げ付ける
「い゛っ……げほっ!」
「トドメだ」
さらに、アリサを砲撃魔法が襲った
「非殺傷だ。死にはしない。バリアジャケットがなければ死ぬほど痛いがな」
アリサの服はところどころが破れ、全身が傷だらけだった
「今度八神はやてに近付けば、これよりも長くじっくりと痛めつけてやる。聞こえてるか分からんがな」
男は路地から去ろうと、大通りの方を向く
その瞬間、もう一人の仮面の男が路地の前を凄い速さで吹っ飛んでいき、すぐにコンクリートの壁に激突する音が響いた
「な、なんだ!?」
「……そこのあんた」
路地に一人の少女が入ってくる
少しくせっ毛の、長く青い髪の毛をストレートにした少女が
「アリサさんに何をした!」
その少女……シャロン・ランフォードは明確な敵意と怒気を纏い、何時もの雰囲気とは180度違う雰囲気を纏い、その拳をコンクリートの壁に叩きつけた
コンクリートの壁はあっさりと叩き割られた
「言う事を聞かないのでな。痛めつけてさせてもらった」
「……いい度胸ね。あたしの友達に手ェ出すなんて」
シャロの言葉は敬語ではなかった
ずっと昔、喋ることを止めた素の喋り方。もう、使う事が無いだろうと思っていた喋り方
「貴様もこの小娘と同じ目に合いたいか?」
「こっちの台詞よ。今、あんたはあたしの怒りを買った……それを後悔させてやる。あたしの全力を持って!」
シャロはPKを発動。男をそのまま壁に向けて叩きつける
悲鳴を上げさせる間もなく、肉薄。胸倉を掴んでさらに3度叩きつけ、大通りに向かって投げつけた
「……アリサさん」
シャロはアリサの容体を確認した
命に別状はなかった
だが、ここまでアリサをボロボロにしたこと。それが一番許せなかった
自分がもうちょっと早く自分の予感を信じてここに来ていれば……そう思う度に怒りがさらに積みあがる
「……ねぇ、たったあれだけで気絶したとか冗談よね?今からあんたらアリサさんの受けた傷の数かける百位にしてかえすんだしさ」
シャロはアリサを寝かせると、男の吹っ飛んだ場所に向かって歩き始めた
「くっ……レアスキルか……?」
仮面の男が粉塵を払い除けて立ち上がった
「スティンガースナイプ!」
そして、魔力弾をシャロに向けて放つ
それが当たる瞬間、魔力弾を殴り、打ち消す。すぐにお返しと言わんばかりに小石をコイントスのように男に向けて弾いた
クジラすら何100メートルと投げ飛ばす怪力で弾かれた小石は男の仮面の一部を砕いた
「ぐぉぉ!?」
「かったい仮面……壊しがいがありそう」
不敵な笑みを浮かべながら、右手を顔の横につける
そのすぐ後にもう一人の仮面の男がシャロに突っ込んだ。シャロはあらかじめ防御のために動かしていた右手でガード。そのままPKで先程の男の場所に投げ飛ばす
すぐにバウンドのトイズで目の前に何時もよりも何倍も大きな光の盾を作り出す。さらに、アローのトイズ発動。いつもより何倍も大きく、さらに強く光っている弓を構え、青色の光で出来た矢を手に、弦にかける。そして、すぐにそれを射る
今までのアローのトイズで射った矢よりも何倍も早く、大きな矢が光の盾のエネルギーも吸収し、今までの何倍もの速さを得て男二人に突っ込んでいく
プロテクションすら張る暇を与えず、二人の男に矢が直撃。男二人は大きな音と共に吹っ飛んでいった
何故シャロのトイズがここまで急に威力や早さが増したのか。それは感情により、ほとんどのトイズが半暴走状態になっているからだ
何がトリガーとなり、トイズが暴走するのかは人しだいだが、暴走したトイズは例外なく、攻撃系なら威力や速さが、肉体強化系なら何倍も、防御系だったら防御力が何倍にも膨れ上がる
今のシャロのPKは直径何キロもの巨大な岩盤を宇宙にまで持っていくことだって可能だ。暴走してないトイズは落とし穴、分身、人形化のトイズ程度だ
「まだ終わらないけど?」
遠くでよろよろと立ち上がろうとする男二人を見ながら、幻惑のトイズを使う
幻惑のトイズは例えそれが現実だろうと、干渉することが出来る
シャロが手を握り込み、拳を作り、その場で振り上げる。それと連動するかのように空中に巨大な紫色の手が現れ、握り拳を握り、振り上げる
そして、シャロが拳を振り下げると同時に、紫の拳が二人の男に直撃する
それを二度、三度と続ける
「……これ以上やったら死ぬか」
流石にこんなところで殺しはやりたくない。シャロは幻惑のトイズを解除する
段々と心の中が冷静になっていく。それと同時にトイズの暴走は収まった
「……アリサさん!」
気持ちの高まりが収まったのを確認してアリサに駆け寄る
「早く治療しないと……」
シャロはアリサを抱き上げる、側に落ちていたスタンガンを拾い上げると、全力でアリサの家に走っていった
アリサの家は孤児院だった。それは前から聞いていたから分かっていた
そして、軽く孤立してることも
シャロはアリサの部屋の窓から中に侵入。ベッドに寝かせる前に自分のハンカチで出血してる部分を優しく拭いて、スタンガンを机の上に置くと片っ端から医療器具を探し始めた
「えっと……バンドエイド……それと消毒液だけですか!?ま、まぁ普通はこんな大怪我しませんし……」
シャロは数秒考えると、窓からフライアウェイ。そのまま薬局に飛んでいき、ガーゼやら包帯やら必要なものを大急ぎで買って大急ぎでアリサの部屋に転がり込んだ
「えっと……一番ひどいのは腕ですね……最初に消毒して……」
消毒液をティッシュに浸してアリサの腕の傷口に当てる
「ッ……」
消毒液がしみたのか、寝ているアリサが小さく声を漏らす
シャロは一通り傷口を消毒すると、PKも使いながら傷口にガーゼを当て、取れないようにテープをはり、その上から包帯を巻く
傷の手当はあまりした事が無かったが、なんとかやり終えることが出来てホッと息を漏らす
余った治療具はアリサの部屋に置いておくことにした。シャロは近くにあった椅子をアリサのベッドの横に持っていくと、そこに座った
しばらくすると、アリサが目を覚ました
「ここは……?」
「あ、アリサさん。気付きました?」
「……シャロ?」
「はい。シャロンですよ」
「……って事はシャロの家?」
「いいえ、アリサさんの部屋ですよ」
「何で……いたた」
「まだ寝てた方がいいですよ。全身傷だらけみたいですし」
アリサの肩に手を添え、起き上がろうとしたアリサをもう一度寝かせる
「たしか……あの変態共にいきなり襲われて……」
「……すみません。あたしもあいつらに何度か襲われたんですけど……アリサさんの所に行くなんて……」
膝の上に置いた手に無意識に力が入り、握り込む
「気にしないで。逃げきれなかった私が悪いんだし」
「でも、あたしが感づいていればアリサさんにこんなに怪我をさせる事もなかったのに……」
さらに手に力が入り、血が滲みでる
「でも、シャロは来てくれた。それだけでいいわ」
「でも!……間に合わなくって…………」
「ちょっとだけ覚えてるのよ。いえ、思い出したのよ。気絶する前にシャロが来てくれて、すごい怒ってたこと」
アリサは血が滲みでてるシャロの手の上に優しく自分の手を置いた
「だから、ありがとう。私のためにあんなに怒ってくれて」
「アリサさん……」
アリサが微笑むが、シャロは照れくさくなって頬をかきながらそっぽを向く
「……シャロ、こっち向いて」
「はい?」
アリサの言葉にシャロが視線を戻す。すると、アリサはシャロの両頬に手をおいて、そのまま自分の唇をシャロの唇につけた
「…………!!?」
いきなりの事に固まるシャロ。数秒経ち、アリサが唇を離す
「アアアアアアリサさん!?いいいいいきなり何を!!?」
赤面して椅子を倒しながら向かいの壁まで後ずさるシャロ
「そりゃ……キスよ」
「わ、分かってますけど!な、なんで!?」
「……言わなきゃダメ?」
「うっ……」
アリサの言葉にすぐ言葉を返せない
「冗談よ。言ってあげるわ」
クスッと笑いながらも、軽く顔を赤くしながら、アリサは痛む体で無理矢理起き上がる
シャロはまださっきのキスのせいで冷静に物事が把握できていない。心臓の音がかなりうるさい
「私はね……あなたが好きよ。シャロ」
「………………………………へ?」
何秒かの後にシャロが声を漏らした
「えっと……友人として……ですよね?」
「恋愛対象……としてよ」
シャロの顔がまたまた真っ赤になり、口が閉じたり開いたりを繰り返す
アリサも布団で顔の半分ほどを隠してるが、耳まで真っ赤だ
そして、無言の状態が数分続いたあと……
「えっと……考えさせてください!」
シャロは窓から逃走した
「あっ……そりゃそうよね……女の子同士なんて……」
アリサは暫くして布団の中に潜った
「う~……明日からどんな顔して会えばいいんですか……」
シャロは真っ赤な顔をしたまま帰り道を歩いていた
転生前に告白された事なんて一度もない。ましてや、同性からなんてもってのほかだ
転生前はただの半引きこもりのオタク中学生でしかなかった彼女には色恋沙汰なんて夢のまた夢とも言っても良かった
そんな彼女が告白。しかも同性からされたのならその場から逃走するのは仕方のないことだろう
「……ここは年長の方に聞くのがいいですね」
シャロは玲音、夢咲、ひなたの年長者にメールを送ることにした。佑真は戦闘民族で色恋沙汰には無縁だろうかと思ったからだ
本文に転生前でも転生後でもいいから告白された事はありますか?と打ち、送信
すぐに返信は来た
まずひなた
『ないけど?いきなりどしたの?』
次に夢咲
『ないわね。昔は生きるので必死だったし』
ひなたに関してはちょっと意外だったが、夢咲の返信に至っては、何があったんだと頭を抱えたくなった
続いて玲音も返ってきた
『あるが?まぁ、ホモからだったが……昔は結構モテたんだぜ?ホモに…………やべ、泣きてぇ』
玲音には丹精込めて謝ろうと誓った
ひなたと夢咲にはなんでもありません。気になっただけです。と返信して、玲音に返事を送った
以後の会話はメール上でのやりとりだ
『実は……告白されてしまいまして……』
『ほぅ。めでたいな。誰からだ?』
『それがその……アリサさんからで……』
『アリサ?お前が言うアリサって事は……ローウェルの方か?』
『はい……だから年長者に何かアドバイスを……と思いまして』
『なるほどね。まぁ、アドバイスなんて立派なものじゃないけど、言えることはお前がどうしたいかだ。好きなら好き。付き合いたくないなら付き合いたくない。ちゃんと言ってやれ。告白してきた方も同性だし、かなり勇気が必要だったろうけどな』
『それはそうですけど……』
『じっくり考えろ。無責任な答えは返って相手を傷つける。それだけだ』
『……ありがとうございます。玲音さん』
『気にすんな。人の相談を聞くのもウルトラマンの仕事だ』
そして、メール上でのやり取りは終わった
「……よし!明日ちゃんと話そう!」
シャロは携帯をポケットにしまって家に向けて走り出した
「テメェら!とっとと携帯返せ!何勝手にやりとりしてんだよ!」
「いや~、シャロが面白いことになってたから助言しただけだよ」
「それにしても……あの子がねぇ。そんな雰囲気はあったけど」
「分かったから携帯を返せ!夢咲、ひなた!」
「はいはい」
実は先程までのやり取り、最初こそは玲音だったが途中から夢咲とひなたがニヤニヤしながらメールを打っていた
三人が偶然同じ場所に居たのが運の尽きだった
「おい!俺はこんなキャラじゃねぇぞ!」
「まぁ、あっちが気付いてないみたいだしいいんじゃない?」
「さて、シャンパンでも買ってこよっかな」
「んじゃ、私はお酒でも」
「……せめてウィスキーボンボンにしとけ」
「あら、お酒はいいの?」
「久々に飲みたいんだよ」
『えっ……』
「……一応誕生日まで残り1ヶ月の所で死んだ人間だからな?魔が刺すことだってあらぁ」
「……取り敢えずお祝いのためにクラッカーでも買ってきましょうか」
「そうだね」
「聞けゴルァ!」
愉快な所は変わらない三人組だった
翌日。蒐集も早目に終わり、解散となった
管理局の手はまだ伸びてはこなかった
長時間の蒐集活動は管理局にバレてしまう恐れがあるため、早期解散となった。本日の成果は1ページだった
そして、アリサは終わってからダッシュで帰ってしまった。ちなみに、蒐集活動中はシャロと目を合わせると、顔を真っ赤にしてそっぽを向き、話ができなかった
シャロは一度家に帰って心の準備をしようとしていた
「昨日の夜ろくに寝ないでちゃんと気持ちの整理はしました……流石に恥ずかしいですけど……」
シャロの顔はほのかに赤い
そして、シャロが歩いていると昨日と同じ嫌な感じが
「これ……昨日と同じ……もしたしたらアリサさんが!」
シャロは駆け出し、飛んだ。アリサを助けるために
「ったく、二日連続って……」
「懲りないやつだ。今日も痛めつけてくれる」
「こっちだってそれなりに用意はしているのよ」
「ほう。ならばやってみるといい!」
仮面の男がアリサに向けて突っ込む
アリサはポケットの中のこっそりと持ち出したバタフライナイフを握り込む
そして、バックステップでよけた後、それを手首をスナップさせ、展開。刃を出して投げつけた
(直撃コース!)
これなら幾ら魔法使いでもダウンする。しかも相手はよけられない
そして、バタフライナイフは男に直撃した。が、弾かれた
「な、なんで!?」
「今日も邪魔が入るかもしれなかったからな。防刃機能もバリアジャケットに搭載しただけだ」
そんなアホなと思わず口にしそうになったが、男がさらに突っ込んでくる
今度は蹴り。それを腕で防御する。が、あまりの勢いにアリサの体が吹っ飛ばされる
「い゛っ…………ぁ……」
「どうした?さっきまでの勢いはどこにいった?」
「くっ……」
ポケットからスタンガンを取り出し、電源を入れる
が、電源がつかない
「そ、そんな……なんで……」
原因には心当たりがあった。先日思いっきりぶん投げて叩き落とされた時だ
買ってから二年。しかもまともに手入れすらしていなければほんと些細な事で壊れてしまうのは目に見えたことだ
「どうした?もう手札切れか?」
カチッカチッと何度も電源を入れるが、スタンガンは全く機能しない
近寄ってきた男にスタンガンを蹴り飛ばされた
なおもジリジリと寄ってくる男から逃げようと後ろに下がろうとするが、すぐに壁に背中が当たる
そして、男の手が振り上げられる。アリサは目を固く閉じた。そして、人体が殴られる音がした。が、アリサに痛みはない
「あたしの大切な人に手を上げようとしたこと……後悔させてあげますよ」
男とアリサの間にいたのはシャロだった
シャロは自分の額に当たった拳を払い除けると、ボディーに肘鉄を送り込み、一歩下がって回転しながら左足の踵をこめかみにぶち込み、さらに右足のつま先をもう一度ぶち込んで吹っ飛ばした
「シャ……ロ?」
「すみません、遅くなりました」
拳を構え、後ろのアリサに声をかける
「なんで……?」
「大切な人は何があっても守り通したいものなんですよ」
シャロは左に目を配ると、右に飛ぶ
そこにもう一人の男が突っ込んできた。その男の足を掴んで踏ん張り、無理矢理ぶん投げる
「ちょっと加減が出来そうにありません!離れててください!」
「え、えぇ!」
アリサがシャロから離れる
シャロは息を整え、拳を構える
「また貴様か……邪魔をするな!」
「しますよ!あなた達が何を考えてるか……そんなの知りません!けど、あたしの大切な人を手にかけようとするんなら、そこが宇宙だろうと地獄だろうと追いかけ回してぶん殴る!それがあたしのやり方です!」
「ならば貴様も叩きのめしてくれる!」
男二人がシャロを前後で挟む
前後の男に交互に目を配る。その直後、二人が同時にシャロに向かって突撃した
シャロは片方の男に向けて手から白色の鎖を伸ばし、雁字搦めにする。そのまま鎖を掴んでグルングルンとぶんまわし、もう片方の男に投げつけた
「ぐっ!?何をしている!」
「貴様こそあの程度よけろ!」
「ダイレクトハッキング!」
シャロは相手が軽く仲間割れをしている中、二の腕の金属製のベラを電柱に突き刺す
すると、電流は形と大きさを変え、シャロの親指にくっつく
そして、懐から十円玉を取り出す
「何処ぞのアニメの技ですけど……」
ピーンと十円玉をコイントスのように弾く
「電磁誘導で撃ち出す!レールガン!!」
その十円玉が落ちてきた所で今度は男達に向けて撃ち出す
レールガン。電磁誘導により弾丸を加速させ撃ち出す銃の事だ。別名、電磁投射砲
シャロが真似たのは某学園都市第三位の方が使っているレールガンだ
コイントスする必要は無かったのだが、カッコつけである
『ぐぉぉ!!?』
マッハで飛んでいったそれは男達の横を通り過ぎた。が、男二人はソニックブームで怯んだ
そして、シャロは一瞬で距離を詰める
「めり込み……」
拳を握り込み、振りかぶる。そして、
「パンチ!!」
一人をぶん殴った
ぶん殴られた男は回転しながら飛んでいき、壁にめり込んだ
「もう一発!!」
もう一人の男にもめり込みパンチをプレゼント。その男も見事にめり込んだ
流石何処ぞの子持ち番長が使っていた技である
「あたしだって暇じゃないんですよ……」
額に手を当てながら、ため息をついた
数秒経ってシャロはアリサの元に走っていった
「アリサさん」
「シャロ……」
「何もされてませんか?」
「うん。されかけたけどね」
「されてないのなら良かったです」
シャロは微笑んだ
「アリサさん、昨日の事の答えですが」
「ッ……」
アリサは俯いた
シャロはポリポリと顔を少し赤くしながら頬を掻いた
「アリサさん、こっち向いてください」
アリサが視線を低くしながらシャロの方を向いた
それを確認するとすぐに肩に手を置いて、シャロは自分の唇をアリサの唇につけた
「……!?」
二秒ほどたって離した
「こ、これがあたしの答えです」
顔を真っ赤にしてそっぽ向きながらシャロが答えた
「……え?」
「た、だから……その……あ、あたしでよかったらよろしくお願いします!」
シャロがヤケクソ気味に叫んだ
結界の中だから誰にも気付かれることはない
「……本当に?」
「アリサさんだから……です。って、恥ずかしいんですよ!?これ!」
確かに、シャロの顔は茹でだこのように耳まで真っ赤だ
「女の子同士なのよ……?」
「性別の境界なんてクソ喰らえですよ!」
最早ヤケクソだが、シャロはちゃんと答える
「……じゃあ」
「はい?」
「抱きしめて。ぎゅーって」
「よろこんで」
シャロはアリサに近付き、アリサを抱きしめた
アリサもすぐに抱きしめ返した
「私達……恋人なのよね?」
「そうですよ。結婚は出来ませんけど」
「……初恋は実らないって……嘘だったわね」
「あんなの迷信ですよ」
「……これからよろしくね。シャロ」
「はい。よろしくです。アリサさん」
結界が解けた後も二人は暫く抱きしめ合ったままだった
『リア充爆発しろ!』
「んな事言うなよ……サーチャーで覗き見してさ……」
「玲音く~ん、何も見えないし聞こえないよ~?」
「あと一年くらいお前には早い」
「リアルキマシタワーなんて初めて見たわ……ええもんやな~眼福眼福」
「はやてちゃん?なんでわたしの目と耳を塞いでるのかな?」
「祈梨ちゃんはもうちょい経ったら分かるようになるからな~」
「ねぇねぇ!お祝いした方がいいかしら!?」
「いや、ここは見守るだけにしよう。そしてシャマル。台所に行くな行くんじゃない行かないでくださいおねがいします」
「シグナム、何も見えねぇし聞こえねぇぞ」
「お前にはまだ早い」
「アタシはお前らと同い年だ!子供扱いするんじゃねぇ!!」
シャロとアリサの事は皆に見られてましたとさ。ちゃんちゃん
管理局に闇の書の事がバレたとほぼ同時にシャロとアリサが付き合いました
そして、シャロの口調ですが、感情の爆発による持っているトイズの半分以上の暴走がトリガーで敬語じゃなくなります。この設定は前からあったけど中々出せませんでした
猫姉妹にはちょっと悪役を買ってもらいました。GOD編ではいいキャラとして立回らせたいものです
次回がどうなるかはまだ決めてませんが、おそらくストーリーが進むと思います
そして書いてて思ったことを一つ。恋愛描写って難しい