⑨が⑨じゃなくなった日 作:monochrome vision
朝、なのだろう。体を揺らされる感覚と瞼の上から感じられる朝日の眩しさに、次第に意識が覚醒していく。それでもまだ寝足りないかのように少しだけ身体が怠い……。
ゆっくりと眼を開ければ、そこには珍しいことに霊香が俺を揺らし起こしていた。
「兄さん、起きて。もうお昼よ」
「……なに? 昼?」
「ええ。夏休みだからって寝過ぎなんだから」
朝日だと思っていた日差しはどうやら違っていたらしく、昼の暑い日差しだったようだ。この部屋も結構な暑さになっているが、カーテンが開けられ、窓が開いて風が少しばかり入り込んできていた。
ぼんやりとした思考でこっちを見ている霊香を眺める。こいつも夏休みのようで友達と遊びに行ったり、部活に行ったり、はたまた家でのんびりしたりと夏を謳歌しているようだ。
暑いからなのか、薄いTシャツと短パン姿であり、真っ白で健康的な太ももや母親譲りの大きな胸の谷間を家の中だからと惜しげもなく晒している。髪も後ろで纏めて項をだしていた。
告白も絶えないくらいの人気らしいし、男子がこんな姿を見たら発狂ものだろう。こいつも恋人の一人でも作ればいいものを…。
何の反応もない俺を心配してなのか、怪訝に思ったのか、表情を少しばかり歪めて話かけてくる。
「ねぇ、大丈夫なの? ボーッとしてるけど…夏風邪?」
「いや、大丈夫だ。寝起きでな……それよりも、リビングに誰か来ているんじゃないか?」
「そうだけど、よくわかったわね。友達が数人来てて、部屋にスマホ取りに行くついでに、兄さんを見たら寝てたから起こした」
「そうか…悪いな」
「いいのよ。………ねぇ」
俺の部屋を出る直前に少しだけ振り向いてそう問いかけてくる。リビングに入るなとか? 友達とやらにも悪いが、喉が渇いたから絶対に入るぞ。
「なんだ?」
「その服…知らない女の人の匂いがするけど、誰の?」
そう言われて急激に思考が覚醒し、昨日会った出来事が鮮明に思い出される。見てみると、俺が来ているのは八意さんに貰ったワイシャツだ。道理で俺の匂いではなくいい香りがすると思った。
「……貰い物だ。ほら、早く出てくれ、悪いが喉乾いたからリビングに行きたいんだ」
「…………友達居るから静かにしてね」
「はいよ」
霊香が出ていくのを見ながら、部屋の窓を締めてスマホや財布だけズボンのポケットに入れて部屋を出る。吉田達と遊ぶ約束があったのに完全に遅刻だろう……あと三十分しかない。風呂に入りたかったし、着替えもしたかったが仕方ない…。下着とズボンだけ履き替えておくか。
暑いのでワイシャツのボタンを2つほど外しておく。階段を降りてリビングに入れば、クーラーに冷やされた涼しい空気と普段とは違う香水や日焼け止めの匂いがする。霊香の友達のだろう。
テーブルの周りで課題だろうテキストを広げて、談笑しながら進めている。4人ほどの女子高生達は誰もが薄い格好をして肌を惜しげもなく露出させているが、流石にこのままの格好できたわけじゃないだろう。車で送ってもらったか、来てから脱いだか。黒髪の清楚っぽい美少女もラフな格好になるくらい暑いのだ。
注視しても変態扱いされるだろうから、さっさと視線をそらして冷蔵庫へ。中にはジュースやお茶が冷やされていたが、恐らくあの子達に出すやつに違いない。となると、飲めるものが水道水か霊香の飲んでいたやつだろう、500mlペットボトルのレモンティーくらいだ。
半分くらい減っているレモンティーを取り出して、丁度こちらを見ていた霊香に掲げると飲んでもいいと許しが出たので飲むことにする。キャップを親指だけで開けながら片方の手で冷蔵庫を閉め、飛んだキャップをキャッチする。
素の身体能力も強化されたのでこんな芸当も出来るのだ。
レモンティーを飲めば冷たい感覚が喉から胃まで伝わり、思っていた以上に水分を体が求めていたのか、心なしか身体に力が入りやすくなった。
一気に飲み干して、ペットボトルを置きながら汗を拭っていると先程から静かになっているのに気づく。見れば霊香の友人全員がこちらを呆けたように見ていた。一体何が……あぁ、思えば俺は白髪だ。そして顔立ちも霊香とは似ても似つかない。物珍しさから俺のことを見ているのだろう。
そして、一人の女の子が突然叫んだ。
「あー!? 思い出した!」
「ど、どうしたの? 薫ちゃん…そんな叫んで…霊香ちゃんのお兄さんに失礼だよ?」
「あんただって見惚れてたくせに……そうじゃないの。あの人、心霊番組で出てた人だよ! ほら、あのアイドルの出てた!」
「あ、本当だ! うそ、霊香のお兄さん!? ネットや雑誌で有名になってる!?」
おい待て、ネットも雑誌も知らんぞ? え? マジで? テレビに出てたんだから仕方ないと言えば仕方ないが、雑誌は知らんぞ。
意味が分からないとばかりに考えていると、黒髪ショートの可愛い子が雑誌を持って近づいてくる。
「あの、よければどうぞ。このページとかあのトンネルのことが書かれてて、お兄さんのことも沢山書かれてるんです。女子学生の間では人気ですよ?」
「あ、ああ、すまん……」
……見てみればなにやら恥ずかしいことが大量に書かれている。別に俺はイケメンでもなければあいつの恋人でもない。それでも根も葉もない噂とばかりに色々書かれており……髪は変質したが地毛だ。今は真っ白だが。
「えっと、どうですか…?」
「……髪は変質したけど地毛だ。後は全部適当だから放っておけ。あいつの彼女でもなければ格好良くもない」
「いえ、き、綺麗な白髪ですし……その、わ、私はか、格好いいと思います……」
「……そうかい。嘘でも嬉しいぞ」
「「「「あっ!?」」」」
俺を落ち込ませないために言ったとは言え、恥ずかしかったのか顔を赤くしてしまったこの子に無意識的に撫でてしまう。更に赤くなって俯いてしまったが、流石に不味いと思って即座に手を離す。
これ以上ここにいても邪魔になるだけだろうと考えて、さっさと退散することにした。
吉田達との待ち合わせ場所としては近くのコンビニなのだが、如何せん暑い。外に出て少し歩いただけで太陽が俺を焼き殺そうとしてくる。これはフランじゃなくても焼けますわ。
◇ ◇ ◇
昼は吉田たちと遊んでからメリーの家の近くで降ろしてもらう。春賀とかに白髪のことを誤魔化すのが疲れたが、まぁなんとかなってよかった。
いつもの様にメリーのマンションに入って部屋の前でインターホンを鳴らす。スピーカーからメリーの声が聞こえてくる。
『総司? 遅かったわね。蓮子はとっくに来てるわよ』
「悪い。友達と遊んでた」
『ちょっと待ってね、直ぐに鍵開けるから』
それから十秒もしない内に鍵とドアが開けられた。早すぎだろう。部屋着だろうか、ラフな格好をしたメリーが出迎えてくれた。
「いらっしゃい、総司。暑かったでしょう? もう少しで夕飯も出来るし、ゆっくりしてて」
「お言葉に甘えさせてもらおうか」
そう言われれば何やらいい匂いがしている。これは…キムチだろうか。なぜここまでキムチの匂いがしているのか…メリーについてリビングに入れば直ぐにわかった。
クーラーの効いた部屋でグツグツと煮込まれている音がする。なんとまぁ、夏にキムチ鍋をしようというのだ。暑くならないのだろうか。
俺がそんな疑問を抱いていると、その疑問に答えるかのようにメリーが教えてくれる。
「蓮子がね、夏なのにキムチ鍋食べようとか言って出汁を買ってきたのよ。こんなに暑いのに鍋だなんて……」
「いいじゃんいいじゃん。暑い日にクーラーが効いた涼しい部屋で熱い物を食べる……楽しそうじゃない?」
「ね? こんな調子なのよ…全く、思い立ったが吉日を地で行く子なんだから」
「メリーは後先のことを考えすぎなのよ~。もっと気楽に行かなくちゃ」
やはりというかなんというか、蓮子の思いつきだったか。メリーだったら逆に冷しゃぶとかにキムチを乗せそうだけど、蓮子は熱い物に暑くなる物をプラスしやがった。キムチ鍋は好きだから問題ないが、ここでトマトとかだったら帰ってたわ。まぁ、メリーが俺がトマトが嫌いなのを知っているし、大丈夫だと思うがな。
キッチンの方にメリーが行き、俺は蓮子の隣に座ることにする。雑誌を読んでいた蓮子だったが、俺が座った瞬間、何を感じ取ったのか鼻を鳴らしながら俺の服の匂いを嗅いでくる。別に運動をしたわけじゃないが、夏の日を一日過ごしたのだから流石に汗臭かっただろうか。
そう言えば、風呂にも入ってなかった。シャワーだけでいいから浴びさせてもらおう。
「ねぇ、総司……あんた、この服…」
「ん? あぁ、悪い、汗臭かったか……昨日風呂にも入り損ねたからな……メリー、シャワー浴びさせてもらってもいいか?」
「ええ、いいわよー」
俺からしてもちょっと匂うと思ったのでメリーにそう告げてシャワーを借りることにする。服は以前置いていったやつを洗濯してあると思うので、それを着ればいいだろう。
なにやら思案顔の蓮子に不思議に思いながらリビングを出て脱衣所へ行く。扉を締めてから八意さんに貰ったワイシャツを脱ぎ、籠に掛ける。下着やズボンは流石に入ってきてしまったときのメリー達も見るのは嫌だろうから、ズボンの中に隠しておく。配慮も怠らない。
そう言えば腹の傷はどうなっただろうか。
視線を下に向けて見てみると、そこには少しばかり血の滲んだ包帯が巻かれている。八意さんが何を塗ったかは分からないが、もう痛みは全く無いと言ってもいいくらいだ。
包帯を取り、ガーゼを捲ってみると、少しばかり痕はあるものの傷口はすっかり塞がっており、血も出ていない。触ってみても多少の擽ったさがあるが、痛みは感じられなかった。治ったと見ていいだろう。
人間状態の俺でこの治癒力…八意さんは一体どれだけ効果の高い塗り薬を塗ったのか……知るのがちょっとばかり怖い気がする。
包帯とガーゼを脱衣所の隅に置かれているゴミ箱に捨て、浴室に入る。少しばかり温めのお湯を出して浴びることにした。身体を洗っていると、どうもメリーが脱衣所の方に入ってきたらしい。
「総司、洗濯しておいたシャツ持ってきたから、このワイシャツは洗濯しておくわね」
「悪い。サンキュ」
「いいのよ。………………なるほど」
泡を流すためのシャワーの音で聞こえなかったが、恐らくメリーが返事をしたのだろう。頭もさっさと洗って出て、着替えてリビングに戻ると、既に鍋の用意ができていたのか、ガスコンロの上に鍋を置いていた。
それと、なにやら俺の席だけ酒がやたらと置かれている。冷酒にビールにワインにウィスキー……それに加えて二人の前にはビールと酎ハイが2本程、あとは冷酒が一瓶。メリーと蓮子はなにやらニコニコしている。
「……言っておくが、俺は鬼のように酒に強いし飲めるから、酔わせて何かさせようとしても無駄だ」
「あら、本当? でも、別にそういうわけじゃないし、いいわよ」
「そうそう。もともと飲もうと思ってただけだし、あ、このお酒は貰い物だからじゃんじゃん飲んじゃって。メリーもそこまで飲まないし」
「そういうことにしておこう」
二人の前に座ると、早速メリーが俺の皿に具を乗せてくる。豆腐に白菜、鶏肉やつみれなど様々な具を入れているようで、赤くなっているとは言え色鮮やかに配置されている。きっと、メリーはいいお嫁さんになるだろう。チャンスがあるなら俺が貰いたいくらいである。
蓮子もメリーも自分の分を入れてビールを開ける。
「かんぱーい!」
「乾杯」
「ああ、乾杯。遠慮せず飲むぞ?」
「「どうぞどうぞ」」
何を企んでいるのかは分からないが、取り敢えずビールを一気に飲み干して一本空ける。それから食べることにする。今日は昼から何も食べていなかったから、結構腹が空いていて辛かったのもある。
キムチの色がよく染み込んだ豆腐を、小さく箸で切って食べる。噛むと同時に中から熱い出汁が出てきて、よく味が染み込んでいるとわかる。
「夏だろうと鍋は美味いな」
「でしょ? たまにはいいものよ。美味しー」
「まぁ、悪いものじゃないわね。そう言えば、総司は今日何してたの? 遊んでたと言ってたけど…」
「別に大したことじゃないぞ? いつもの奴らとゲームしてただけだ」
そう答えながらワインを開けてグラスに注ぐ。鮮やかな赤とフルーティーな香りがする。安物じゃないな…少し値が張る物だろうがこんなものをもらえるとは…蓮子の人脈恐るべき、と言ったところか。
飲んでみれば芳香な味わいと少しばかりの甘みが感じ取れる。味を楽しみながらもグラスを飲み干して、注ぎ足す。蓮子がこっちを見ていたのでボトルの注ぎ口を見せてみる。「少しだけ…」と自分のグラスを出してきたので三分の一程注いでやめる。
テレビをBGMに三人で暫く飲み食いしていたが、なんというかまぁ……やはり俺は酒を飲み干してしまった。アルコールは多少回っているだろうが、それでもまだ身体が少しだけ熱いという感じだけで、キムチのものか酒のものかはわからない。
「本当に飲み干すなんて……そ、総司、身体は大丈夫なの?」
「別になんともないぞ? なんなら飲み足りないくらいだ」
「ええー……どんだけ飲むのよ。もうお酒私達の分しかないわよ?」
「いや、お前らのはお前らで飲め。俺は別のがある」
「別の?」
「ああ」
瓢箪君と盃君のことである。
メリーも蓮子も霊的存在のことを知っているのだ、今更付喪神が出たところで問題ないだろう。
「今からとあるものを取り出すんだが、驚くなよ…とは言わないが、騒ぐなよ?」
「なになに? なんか面白いもの!?」
「蓮子、落ち着きなさいな。ちょっと酔ってるわよ」
「メリーもじゃん。顔紅いよ? 忘れてないわよね?」
「当たり前でしょ?」
何のことかは俺には分からないが、大丈夫だと言ったので大丈夫だと信じよう。俺の中から瓢箪と盃を具現化させると、2体は煙が形を成すようにしてテーブルの上に現れる。小さな目で俺を見つけると、トテトテと走り寄ってきて酒を注いでくる。
まぁ、こいつらを呼ぶなんて飲むとき以外ないし、こいつらも飲んでもらうか遊ぶ以外にすることはないしな。
そんな2体を目にした蓮子とメリーは目を大きく見開いて固まっている。蓮子の持った缶から酎ハイが溢れており、それに気づいたのか慌てて缶を置いて拭く。
「そ、総司……そ、それは……?」
「付喪神。霊的存在が居るんだ、妖怪や付喪神と言った奴がいてもおかしくはない。こいつらはいつの間にか俺に取り憑いていた付喪神だ」
「す、凄い!! 凄いよ総司!! ほ、本当に付喪神なんて居たんだ!!」
幻想がまさに現実となり、蓮子は大はしゃぎで瓢箪君を見たり触ったりしており、メリーは呆けたように俺と付喪神達を見ている。
「……なんで、私達に見せてくれたの?」
「……さぁな。酒の勢いかもしれん。お前らのことは信用も信頼もしてるから、見せてもいいと思ったんだよ」
「そう…なの……」
「さすが総司! 私も総司のこと好きよ!」
「はいはい。酒臭いから離れろ」
やたらとテンションの高い蓮子が抱きついてくるが、薄い格好のためダイレクトにその柔らかさが伝わってくる。今はちょっとほろ酔い気分だが、理性は簡単に崩れそうなので近づかないで欲しい。
それから教えてもらったのだが、どうやら二人も能力というものを所持しているとのことだ。蓮子が「星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力」であり、メリーが「結界の境目が見える程度の能力」を持つという。
「……蓮子は能力か? 引き算……」
「メリーにも同じこと言われたわ…」
ということであり、メリーは能力からかは分からないが夢の中で妖怪に追われたことがあるそうだ。……まるで俺と同じような体験をしているが、そう頻繁には夢を見ていないそうだ。
……つまり、俺だけが特別なのかもしれない。気づけば、無意識に腹の傷を撫でていた。
それからも付喪神や妖怪の話に花咲かせ、鍋もおじやにしていたが底をつき、酒も結構飲んだため二人は結構酔っている。俺は俺で瓢箪君の酒を結構飲んでいるので酔っているだろう。だが、それでもまだいけると直感的にわかる。
「んにゃ~…お腹いっぱいだ~」
「ん~……」
「お前ら、ベッドで寝ろ。ほら、立て」
「そーじ、運んで~」
ぐでぐでの蓮子…の前にメリーをため息を吐きながら立たせ、肩を貸しながらベッドの運ぶ。ゆっくりとベッドに降ろして、手を離そうとした瞬間、メリーにいきなり引っ張られて倒れ込む。
「蓮子、今よ!」
「うい! とう!」
「な…ッ!?」
倒れ込んだ俺の上から酔った蓮子はダイブしてくる。体重と衝撃をそのまま食らうが、下がベッドなこともあって苦しくはない。だが、こいつらが何をしているのかわからなくて固まってしまう。
そんな俺に追撃をかけるように仰向けにさせられ、気づいたときには遅くて……
「ん……」
「ッ!?」
蓮子にキスをされていた。咄嗟に押そうかとしたが、メリーが俺の腕を持っており、力任せに離すことを躊躇ってしまう。しっとり温かな蓮子の唇が俺の唇を捉えて離さない。顔を手で挟まれて動けないようにされ、一度少しだけ唇を離した時に口を開けてしまい……その隙きににゅるりと舌が侵入してくる。
「んん……んはぁ……」
蓮子のぬるりとした熱い舌が俺の舌を絡め取り、歯茎や頬の裏を舐め、唾液を送り込んできて、逆に啜られ……貪るようなキスに何も出来ない。ごくりと喉を鳴らして蓮子の唾液を飲んでしまう。味なんてないはずなのにどこか甘く、あの蓮子が俺にキスをしているという事実だけでもやばいのに、蓮子の唇や舌、接している身体の柔らかさに意識が朦朧とする。
「ぷはぁっ…はぁ…はぁ…」
蓮子の舌と俺の舌を繋ぐような銀の橋、そして普段からは考えられない赤く蕩けたような艶めかしい表情に何も言えなくなる。
呆然と蓮子を見ていたが、今度はメリーに顔を挟まれて視線を逸らされる。その艶めかしい唇を小さく開けたメリーが迫ってきて…
「ん~……」
またしてもキスをされる。それも、蓮子よりも激しく。
つまり、そういうことでいいのだろう。二人で示し合わせたように行為にうつってきたということは、事前に話し合っていたはず。
俺が抵抗せずにメリーに好き勝手やられている間に、蓮子が服を脱いでいる。理性など既に吹き飛んでいる。
今夜は長くなりそうだ⋯。
いけるいける、いけるって!タブンネ