個性:『ゴースト』   作:ゲイツ幻夢アーマー

40 / 65
今回はウィザード説明回です


初代と次代のウィザード誕生秘話【1】

相澤先生の計らいで、勉強会メンバー全員が晴君の話を聞くことになった。でも…、仮面ライダーウィザード誕生は、他の平成ライダーの中でも数少ない残酷な部分がある。

 

 

晴希「まず、俺の父さん“初代仮面ライダーウィザード”の話からするね。」

 

 

梅雨「さっきの話だと、操真ちゃんは緑谷ちゃんと違って、受け継いだ訳じゃないのよね?」

 

 

出久の場合も少し特殊だが、眼魂をタケルから受け継いだため、ゴーストの力を受け継いだと言えばあながち間違いではない。

 

 

晴希「父さんが“ウィザード”として誕生したのは、偶然と奇跡だったんだ。

 

 

父さんが“ウィザード”になるきっかけになったのは、ある日起きた大量失踪事件。老若男女問わず、失踪した人達の共通点もなく、日本全土で同時に起きたことなんだ。その失踪した人の中に俺の父さんも含まれてたんだ。」

 

 

全員晴君の話を真剣に聞いているなか、1人疑問に持つものがいた。

 

 

相澤「まて操真。ここ十数年で、そんな大量失踪事件なんてものは起きてないぞ。」

 

 

相澤先生がそういうのも無理はない。晴君が話しているのは、“ライダーワールド”の1つ“ウィザードの世界”で起きた事件のことだ。相澤先生は、晴君とマミさんが“異世界の住人”であることと僕が“ライダーワールド”に行っていたことを知らない。だから…

 

 

出久「相澤先生、実はですね…」

 

 

僕は相澤先生に話すことにした。

 

 

数分後…

 

 

相澤「…成る程な。“個性のない世界”、“ヒーローとは職業ではなく、仮面ライダーのこと”そして操真と音黒はその“ライダーワールドの住人”ってことか。更に緑谷は、その世界に飛ばされ、元の世界に帰る方法を探して旅をしながら、仮面ライダーの力を受け継いだと…。

俄に信じがたいが、緑谷の卓越した戦闘力と冷静な判断力のことを考えると合理的に説明がつく。

異世界のことに興味があるが、今は操真の話を聞くほうがいいか。悪いな操真、話の腰を折っちまって。」

 

 

相澤先生は、戸惑いを見せるけど信じてくれた。

頭ごなしに否定しないことから見ると、やっぱり相澤先生はヒーローとして人を救う素質を持っている。

そして相澤先生が謝罪してから、晴君の話は再開された。

 

 

晴希「大丈夫です、それじゃあ続きを話すね。

大量失踪事件には共通点がないって言ったけど、実は唯一共通点があったんだ。」

 

 

飯田「その共通点とは一体なんなんだい?」

 

 

晴希「全員が体の中に“ファントム”を持っていたんだ。」

 

 

一同『ファントム?』

 

 

相澤「確か、“幽霊”や“亡霊”の意味を持っていたな。操真、その“ファントム”ってのはなんなんだ?」

 

 

聞き慣れた単語に一同反応し、相澤が教師として無難に和訳を行う。確かに、“ファントム”とは幽霊や亡霊という意味があるが、“ウィザードの世界”の“ファントム”は違う…。

 

 

晴希「ファントムは体の中にあれば魔力の源で、外に出ればこちらの世界でいう敵(ヴィラン)のことですが、亡霊というのは合っているんです。皆に質問するけど、どうしてヴィランは生まれるんだと思う?」

 

 

ヴィランが生まれる理由など誰も考えたことがなかった…3人を除いて。

 

 

心操「それは育った環境やどんな“個性”を持ったかで決まる。俺の個性は“洗脳”でな、小学校の頃から“ヴィラン向きの個性”って周りから言われてきたんだ。子供の間は悪ふざけで周りは言うが、言われたこっちはかなり辛い。」

 

 

出久「僕は“無個性”って理由でよくいじめられたよ。僕は“ライダーワールド”に行ったお陰で力を手に入れた。希望を持つことができた。でも世の中は理不尽だ。“ヴィラン向きの個性”や“無個性”は理由の1つにすぎないけど、苛めや差別で相手を妬み、羨み、そして憎む。これがヴィランが生まれる理由で、同じ境遇を味わった人達が集まっていく。それが“ヴィラン”連合なんだよ。」

 

 

心操と緑谷の言葉に、一同納得してしまった。2人は実際に体験したことなのだ。ヒーローを目指すものとして“恵まれた個性”を持っているものには、わからない苦労である。

 

 

晴希「周囲の環境によって“ヴィラン”は生まれる。それでも、“自分”という存在があるだけまだいい。」

 

 

轟「どういうことだ?」

 

 

晴希「さっきも言ったけど、ファントムは体内にあるなら魔力の源、外に出ればヴィランになるんだ。」

 

 

勝己「もっとかみ砕いて話せ‼️」

 

 

晴希「体内に存在するファントムを外に出すには、ファントムの持ち主を“絶望”させる、“生きている理由”を無くさせることなんだ。」

 

晴希はそういうと視線をマミに向け、マミが頷き指をならすと、どこかの海辺の映像が写り出した。突然景色が変わったことに相澤先生は驚いたが、出久が説明していた。

 

 

障子「絶望させるとは、どういうことだ?」

 

 

晴希「例えば、“夢を完全否定”したり、“信じてた人に裏切られたり”、“宝物や形見を持ち主の目の前で破壊したり”方法は様々だよ。でも、それを1人1人やるには時間が掛かる。だから、もっと簡単な方法をとったんだ。」

 

 

すると海辺の映像では、先程まで晴れていたのに突然暗くなり、太陽が金環日食のような状態になっていた。すると突然、

 

 

『あぁぁぁぁぁッ⁉️』

 

『いやぁぁぁぁぁッ⁉️』

 

 

周りにいた人達が苦しみだし、身体中に罅が入り始めた。

 

 

切島「おいおい、何がどうなってんだよ⁉️」

 

 

八百万「何が起きているんですか⁉️」

 

 

晴希「…あるファントムに連れてこられた人達は、全員が体内にファントムを持っている“ゲート”と呼ばれる存在なんだ。ファントムを表に出すには、持ち主を“絶望”させる必要がある。だから敵の力で周りは、“強制的に絶望”させられたんだ。これを“サバトの儀式”って言うんだ。そして絶望が大きくなればファントムは、自らの意志で表に出ようとする。絶望し始めた人達は、強大になったファントムの力に堪えられず…」

 

 

晴希が今の状況を説明していた刹那、絶望していた人達の身体が弾け、その場には新たに異形の化け物が存在していた。映像を見ていた全員が驚愕と恐怖に襲われた。

 

 

晴希「身体が爆散して、身体の中のファントムが具現化する。そして、ファントムを生み出した人達は死に、生まれたファントム達は、自分を生み出した人間の姿になって街の生活に溶け込む。新たな同胞を生み出すために…」

 

 

次々と人は爆発し、そこから新たに異形の化け物が誕生していく。しかし、1人だけ抗う者がいた。

晴希の父“操真晴人”である。それでも、晴人の背中からはファントムの一部である“ドラゴンの翼”が出てきていた。

 

 

晴人『あぁぁぁぁぁッ、はぁ、はぁ、…お、俺は…絶望なんて…しない‼️』

 

 

晴人は太陽に手を伸ばしながら叫んだ。すると、金環日食のような状態が終わり、周りにいたファントム達も姿を消したが、晴人は海辺の岩場に座っていた。

 

 

晴希「父さんは、まだ子供の頃に両親を事故でなくしたんだ。それが父さんの絶望だったんだけど、死ぬ前に“お前は最後の希望だ”って言われたらしい。その言葉を思い出して、父さんは完全に絶望せずに済んだんだ。そして父さんは自分の中にファントムを抑え込んだんだ。」

 

 

呆然としていた晴人の後ろから、一体のファントムが近付いてきていた。ファントムは晴人に襲い掛かろうとするが、何者かの攻撃でファントムは吹き飛ばされた。

 

そこには、“白い魔法使い”と呼ぶに相応しい姿をした者が、1人の女性を抱えて晴人を見ていた。

 

 

白い魔法使い『よく希望を捨てず、絶望に打ち勝った。お前は、魔法使いになる資格を得た。』

 

晴人にそう告げた白い魔法使いは、“ウィザードライバー”と“ウィザードリング”、そして気を失っている女性“コヨミ”を託した。

 

 

白い魔法使い『お前が最後の希望だ。』

 

 

その言葉を残し、白い魔法使いは姿を消した。

暫くしてコヨミは目を覚ますが、全ての記憶を無くしていた。自分が何者なのかも分からず、あの“サバトの儀式”から何故生きていたのかも分からず、コヨミは一度海に身を投げようとした。

しかしそれを晴人が止め、

 

 

晴人『俺がお前の“最後の希望”になってやる。』

 

 

コヨミに自分が希望になると言ったのだ。

 

こうして、“指輪の魔法使い”仮面ライダーウィザードが誕生した。

 

 

 

 

晴希「それから父さんは、白い魔法使いの言葉に従って、指輪の製作者である輪島のおじさんのところに居候して、ファントムから多くの人達を守ってきたんだ。」

 

 

“最後の希望”

 

この言葉に話を聞いていた全員が思った。

 

“自分も人々の希望になれるようなヒーローになりたい”と…

 

 

相澤(やはり操真の話を聞かせることは、コイツらのためになったか。まだ“自分のなりたいヒーロー像”が定まっていない今だからこそ、改めて“自分がどんなヒーローになりたいか”考えることができる。俺も…)

 

相澤先生も晴希の話を聞いて、自分がどんな志でヒーローを目指したのか、改めて考えさせられていた。

 

 

 

次に始まるのは、“二代目ウィザード”晴希の話。

彼はどのようにして力を得たのか、それは話を聞いていた全員が想像を絶するほど悲惨なものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




時々ランキングを確認すると自分の作品があるときがあります。これを読んでくれている皆様、心より感謝いたします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。