晴希はどのような経緯でウィザードとなり、どのようにして出久と出会ったのか
ではどうぞ。
常闇「“サバトの儀式”で操真の父親が“ウィザード”になったということは、操真も“サバトの儀式”を体験したということか?」
砂藤「そうか!“ウィザード”になるってことはそういうことになるのか。」
常闇と砂藤の言葉に、“自分のなりたいヒーロー像”を考えていた全員が、晴希に目を向けた。
晴希「いや、俺は儀式を体験してない。俺にはそもそも体内にファントムはいなかったし、“サバト”をやるファントムもやる理由もなかったからね。」
そう、“サバトの儀式”の本来の目的は違い、大量のファントムを生み出すものではなかったのだ。大量のファントムが生まれたのは、儀式の副産物であったのだ。
これについては、また別の機会に…
峰田「じゃあ、どうやって操真は“ウィザード”になったんだよ?」
ウィザードになるには、“体内にファントムがいること”、そして“ファントムを抑え込むための絶望に打ち勝つための精神力”が必要がある。
しかし、晴希は前提とした“体内にファントム”が存在しない。
別の方法でも、“魔法使い”にはなれるが今は割愛します。
晴希「父さんは俺の体内にファントムがいないことを喜んでいた。“自分と同じような道を歩ませなくてすむ”って。
でも俺は、“仮面ライダーウィザードの息子”として敵から目をつけられていたんだ。父さんが戦っている間に、俺は“ショッカー軍団”に拐われたんだ。」
一同『拐われた⁉️』
勝己「弱ぇからそうなったんだろ。」
一同驚くなか、勝己だけがとんでもない発言をしてしまった。
切島「おい爆豪‼️」
上鳴「いくらなんでもそりゃねぇだろ⁉️」
瀬呂「言葉考えろよ⁉️」
飯田「酷すぎるぞ爆豪君‼️」
轟「やっぱ発言も酷いもんだな。」
八百万「貴方には人の心がないのですか⁉️」
耳郎「少しはデリカシーってもんを学べ‼️」
勝己の発言に、クラス中が勝己を批難したがそれを止めたのは以外な人物であった。
晴希「いいんだよ皆。爆豪の言うとおり、俺が弱かった結果なんだから。」
一番否定したいはずの晴希が止めたのだ。
芦戸「操真はいいかもしれないけど…」
蛙吹「そうよ。操真ちゃんが良くても、爆豪ちゃんの発言は不適切だわ。」
葉隠「そうだよ。」
晴希が止めても、やはり勝己の発言には問題があったのだ。
出久「待ってみんな‼️かっちゃんはあんなこと言ったけど、別に晴君を見下してる訳じゃないんだ‼️
かっちゃんもヴィランに捕まって、自分の個性を使われたから…」
一同『ッ‼️』
確かに勝己の発言は不適切だった。しかしそれは、晴希を見下した結果ではなく、“自分も同じような経験をした者”としての発言だった。
晴希「話を続けるよ。拐われた俺は、実験体としてショッカーの生み出した“人工ファントム”を体の中に埋め込まれたんだ。しかもそのファントムは、父さんと仁藤さん、父さんと同じ魔法使いの人のデータを元に作られた“ウィザードラゴン”と“ビーストキマイラ”だったんだ。」
“仁藤攻介”
考古学者を目指していた彼は、ある遺跡から奇妙なベルトを発見した。それを腰に着けた途端、彼は自分の精神世界に入ってしまった。そしてそこには、機械の身体を持ったライオンがおり、左翼が鷲、右翼がイルカ、胴体にバッファロー、尻尾にカメレオンといった動物を合わせたキメラ型ファントム“ビーストキマイラ”がベルトを通じて、彼の身体の中へ入っていたのだ。
“魔力を喰わねば死ぬ”
キマイラが身体の中に入ったことによって、攻介はほぼ毎日を空腹に襲われた。
ファントムと闘い、ファントムを喰らう。
古の魔法使い“仮面ライダービースト”はこうして誕生した。
晴希「ショッカーの実験で強制的に魔法使いになった俺は、まず力に堪えきれず暴走を始めた。ショッカー戦闘員と実験場を破壊した俺は、ファントムに身体を乗っ取られて“ドラゴキマイラファントム”として父さん達と戦ったんだ。その時のことは何も覚えてない。
でも、時々主導権を奪い返したときがあってその時にいずっくん達と出会ったんだ。
暴走したことで記憶を無くした俺をいずっくんは、“ずっと昔から遊んでた友達”のように親身になってくれた。
そんな時に、父さんが俺を見つけたんだ。父さんを見た瞬間、身体が言うことを聞かなくなって、ファントムに主導権を取られそうになったんだ。
その瞬間、記憶を思い出した。身体がファントムに乗っ取られる前に、父さん達に今の状況を説明したんだ。
説明が終わった後、主導権が完全に奪われる前に父さん達にお願いをしたんだ。“俺を殺してくれ”って。
記憶が戻ったとき、ファントム体で何をしてたかも頭の中に流れてきた。街を壊して、人を傷付けて…。
もう自分が自分で無くなるのが嫌になって、殺されたほうが楽だと思ったんだ。」
晴希の話を聞いて、女性陣は涙目に、男性陣は顔を青くしていた。あの勝己でさえ、自分が受けた境遇がかわいいものだと思ってしまうくらいに…。
晴希「俺は殺してほしかった、また自分を失うことがないように。でも、いずっくんがそれを止めたんだ。身体を乗っ取られたけど、いずっくんの言葉は今でも覚えてる。」
暴走した晴希をなんとか止めようとする“仮面ライダーウィザード”と“仮面ライダービースト”。
しかし、自分の息子であり、弟のように可愛がっていた晴人と攻介は戸惑うあまり本気を出せず、一方的にファントムと化した晴希に倒されてしまった。タケルも戦おうとしたが、その前に晴希の前に出たものがいた。
出久である。しかし、出久はまだこの時変身できなかった。
タケル『出久君、下がるんだ‼️』
出久『今僕の目の前で、僕の友達が苦しんでるんです‼️晴君は今も僕の目の前で戦ってます。助けを求めてるのに、ただ見てるだけなんて僕にはできない‼️』
しかし、出久の叫びは届かず、出久はドラゴキマイラファントムに凪ぎ払われてしまう。
出久『がっ⁉️』
タケル『出久君‼️』
タケルもゴーストとなって戦うが、晴人同様一方的にやられてしまった。
出久『ぼ、僕は…諦めない。友達のために…。友達の家族のために…。助けるって決めた僕自身のために‼️』
出久が叫んだ瞬間、出久の腰が輝き始めた。その光は、タケルのゴーストドライバーにあたり、光が徐々に強くなっていく。
あまりの強さに全員が目を瞑り、ドラゴキマイラファントムは光に弾き飛ばされた。
光が止み、出久が目を開けると自分の腰に“タケルと同じゴーストドライバー”、右手には“オレ眼魂”が握られていた。
ライダーワールドにきた出久は、環境に触れたことで“無個性”という存在が、出久の“友を救いたい覚悟”に反応して、出久に力を与えたのだ。
出久は無言で立ち上がり、ドラゴキマイラファントムを見据える。
そして、オレ眼魂を押してゴーストドライバーにセットした。
GD『アーイ‼️』
『バッチリミナー‼️バッチリミナー‼️バッチリミナー‼️バッチリミナー‼️』
出久『晴君、絶対に助けてあげる。この命燃やして。
変身‼️』
GD『開眼‼️』
晴希「その後俺は、いずっくんと戦って倒された。でも、ファントム2体が身体に入ってた俺は、それで死ななくて人間体に戻ったんだ。それで、身体を直した俺は、体内のファントムを制御すべく、いずっくん達と一緒に旅に出たんだ。
ドライバーは、輪島のおじさんのところで修行していた俊平さんが作ってくれたものなんだ。ウィザードリングを作るために輪島のおじさんに弟子入りしたんだけど、リング作りはいまいちなのに、ドライバーを作ることができるようになったみたいで、俺専用のウィザードライバーを作ってくれたんだ。」
その後晴希は、ドライバーとリングを使い、“仮面ライダーウィザード”に変身することができた。ウィザードになったことで、晴希は“自分の命を懸けて助けてくれた”出久を助けるために、自分の中にいるウィザードラゴンとビーストキマイラを制御できるように、出久達と一緒に旅に出た。
彼自身、誰かの希望になれるように…。
出久が“晴希の希望になったように…”
晴希「これが、俺がウィザードになるまでの誕生秘話ってやつだよ。」
晴希の話を聞いた全員は、晴希を命懸けで助けた出久に称賛をあげていた。
飯田「緑谷君、君ってやつは…ウウッ」
切島「緑谷ぁぁぁぁぁッ、やっぱお前漢だぜ‼️」
徹鐵「同感だぁぁぁぁぁッ‼️」
耳郎「暑苦しいわ‼️」
障子「緑谷はやはり強いな。」
瀬呂「そりゃ友達助けるためにやったんだから、強ぇだろ。」
常闇「障子が言いたいのは、そういうことではない。」
砂藤「どういうことだ?」
尾白「心の強さってことだよ。」
目の前で誰かが困っていたとき、自然と手が出るだろうか?
答は否だ。
人間とは、本能的に自分を守ろうとする自己防衛が先に働く。危険なことに自分から進んでいくものはそうそういるものではない。
だが出久は違う。危険を顧みず、友達を助けるために前に進んだのだ。これはヒーローとして、とても重要なものなのである。出久はヒーローになる素質があると相澤先生は感じ取った。
相澤(やはり操真の話を聞かせて正解だったな。もしかしたらコイツらにいい刺激になると思ったが…。それに、緑谷の行動はヒーローとして必要な“命を懸けて助ける”だ。自分より友を、他人を優先したコイツはヒーローに最も近いかもしれないな。)
相澤「よしお前ら。操真の話を聞いてどう思ったかは個人の自由だ。だが、お前らの個性はヒーローになる切欠に過ぎない。もう一度、“自分がどんなヒーローになりたいか”それをよく考えておけ。今回の話は、お前らを含めて俺にもいい刺激になった。ヒーローってのは、いったいどういうものなのかもしっかり考えておけ。
それでは、授業はこれまでとする。」
こうしてウィザード誕生秘話は終わった。
次はいよいよ、体育祭である
峰田「かわいいねぇちゃんとか色気話がないのはなんかなぁー。」
蛙吹「峰田ちゃん、ぶれなすぎよ。」
八百万「呆れを通り越して尊敬しますわ。」
一同『うんうん。』
峰田「やだな~みんな、褒めんなよ。」テレッ
一同『褒めてねぇよ。』
相澤「…峰田、お前除籍にするか?」
峰田「納得できねぇっす‼️」
ドラゴキマイラファントム
晴希の身体の中にいる人工ファントム“ウィザードラゴン”と“ビーストキマイラ”が晴希の身体を使って具現化したファントム。
右肩にライオン、左肩にバッファローの顔が付いており、左翼が鷲の翼、右翼がイルカのヒレの形状をしている。また、尻尾はカメレオンの舌がモチーフになっている。
人工ファントムとして身体に入れられたため、宿主である晴希の身体を使わなければ、ファントム態にはなれない。
また、暴走した要因は、勝手に作り出され、無理矢理知らない晴希の身体に入れられた嫌悪感からくるものだった。