他の皆もヒーロー名が決まり、そろそろ指名ヒーローの元へ行く職場体験する場所を決めようと考えていると相澤先生が待ったをかけた。
相澤「そうだお前ら。職場体験場所は今日の放課後までに決めておいてもらうとして、もう1つ大事な知らせがある。」
大事な知らせと言われ、誰もが疑問を浮かべていた。
相澤「体育祭前にも話したと思うが、入学から時間が経ち、頭角を表す生徒がいると言ったのは覚えているな?」
確かに体育祭前に、相澤先生はそんな事を言っていた。
雄英を受験する上での実技試験のなかに、仮想敵を倒すものがあり、特定のポイントを手に入れた生徒が重点的にヒーロー科に入れるものだ。しかし、これは“戦闘向きの個性”を有してる者が特に有利となり、“非戦闘向きの個性”を有してる者が不利な状況になっている。
相澤「入試の実技試験でふるいにかけられて、普通科に行った生徒は多い。入学してから数ヶ月経ち、“ヒーロー科への編入”を求める生徒もいる。だが体育祭の最中、“ヒーロー科へ編入するに値する生徒”を教師側で決めることがある。職員会議を通し、過半数の教師の賛同を経て普通科からヒーロー科へ移ることができる。」
上鳴「なぁ緑谷。なんで編入するだけで職員の半分以上の賛成がいるんだ?担任だけじゃダメなのか?」
瀨呂「確かにな。」
上鳴君と瀨呂君が編入の規定に疑問をもっている。口には出さないけど、他にも同じように思っている人達がいるのか目線がこちらに集まっている。
出久「普通科からヒーロー科に移るってことは、“よりヒーローになる可能性が近くなる”ってことなんだ。」
峰田「それはわかっけど、なんで回りくどくやるんだ。その生徒に“次からお前はヒーロー科だ”ってだけじゃダメなのか?」
晴希「ヒーローになる可能性が近くなるってことは、“命の危険が高くなる”ってことなんだ。今まで普通科にいて、体育祭での活躍でヒーロー科へ移るようになるのは他の高校とは訳が変わってくるんだ。」
普通の高校ならば、様々な理由で編入するにあたって生活面や勉学面を考慮すればそれで終わる。しかし、普通科からヒーロー科への編入は、ヒーローになる可能性が近くなると同時に、“ヒーローとして戦う覚悟”と“ヒーローになって命を落とす”ことに直結する。
相澤「緑谷や操真が言っていることは間違いじゃない。一言で“ヒーローになる”と言うが、これはもっと言ってしまえば“命を懸ける程の覚悟がある”ということにもなる。警察や消防も犯人逮捕や火災における人命救助で命を落とす可能性がある。警察と消防の特性をあわせもっているヒーローは、その分命を落とす危険性が高くなるということだ。」
“警察が犯人逮捕”、“消防が火災における人命救助”といった特色を両方持っ“ヒーロー”はその分命を落とすリスクが高くなる。ヒーロー科で学ぶことは、“ヒーローになること”だけでなく、“自分の命を懸ける覚悟”を理解し学ばなければならないのである。
相澤「お前達は、緑谷と操真の影響もあってその事について理解し始めている。だが改めて言うが、ヒーローは有名人でも芸能人でもない。“常に命の危険にさらされ、他者の命を守る者”だ。憧れや夢だけでヒーローになろうとするな。お前達は“ヒーローの本質”を理解した上でヒーローを目指せ。」
相澤先生の話を聞いて、1-Aの生徒全員が改めてヒーローになるということを理解した。
相澤「さて、前置きが長くなったが体育祭の活躍によるものと、教師過半数の同意によりこのクラスに編入することが決まったものがいる。入れ。」
心操「失礼します。」ガラッ
教室に入ってきたのは、体育祭で唯一トーナメントに進み、準々決勝まで残った心操君だった。
心操「普通科から編入してきた心操人使です。改めてよろしくお願いします。」
相澤「心操にも職場体験から参加してもらい、夏休みの合宿から本格的にヒーロー科として編入する。普通科から来た心操に追い抜かれないように、お前らもこれからのヒーロー雑学の励め。」
1-A『はい‼️』
相澤「それと緑谷と操真、お前ら2人は放課後残ってくれ。少し用事がある。」
新たな仲間が加わり、クラスは更に盛り上がってきた。
でも、僕と晴君に用事ってなんだろう?
心操には、早速体育祭の活躍で編入してもらいました。キリがよかったのであげました