朝の登校時の話を皆でしていたら相澤先生が入ってきた。
相澤「おはようお前ら。体育祭お疲れさん。早速だが今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ。」
なんだろう。テストだろうか。
相澤「コードネーム‼️ヒーローネームの考案だ。」
『胸ふくらむヤツ来たぁぁぁぁぁぁぁ‼️』
騒ぐ僕らは相澤先生の眼力で鎮圧される。
相澤「というのも、体育祭の指名にかかわってくる。指名が本格化するのは経験を積み即戦力として判断される2・3年から。
つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い。興味が削がれたら一方的にキャンセルとかよくある話だ。」
成程、頂いた指名が自分へのハードルになるのか。
相澤「逆にお前達からキャンセルしても構わない。お前達は緑谷や操真と触れあってることで、“ヒーローの本質”を1年ながら理解している。これはやはり“仮面ライダーという存在”が大きい。本当のヒーローの在り方を知っているお前達は、指名を受けたヒーロー事務所の理念に疑問を持つ部分が出るはずだ。その疑問をそのままにせず、“あるべき形”にすることがお前らにはある。ヒーロー事務所に行って、違うと思ったら迷わず指摘しろ。それでヒーローから否定され、キャンセルされたら構わん。こっちから今後拒否する。最も“ヒーローの本質”に触れているお前達の言葉を否定するようなヤツのもとでは、今後成長は見込めないからな。」
体育祭のトーナメント後から、相澤先生は観戦に来ていたヒーロー達を観察していたらしい。ヒーローの本質を理解していない人達に僕達を任せることはしたくないからだそうだ。クラスメイトの皆と同じく、“仮面ライダー”に触れているだけでなく、非戦闘向きの個性であるからこそ分かる“個性の優劣”に先生自身、思うところがあるんだろう。
相澤「お前達も指名ヒーローをしっかり観ておけ。そして来た指名の数が、これだ。例年はもっとバラけるんだが、三人に注目が偏った。」
音声読み上げ機能により、数字が読み上げられる。
緑谷出久 2423
操真晴希 2225
爆豪勝己 1528
轟焦凍 360
飯田天哉 301
上鳴電気 285
八百万百 108
切島鋭治郎 74
麗日お茶子 24
尾白猿夫 14
瀬呂範太 9
峰田「やっぱりトップスリーか。」
麗日「デクくんすごいやん‼️」
出久「ありがとう。でも麗日さんにも指名来てるじゃないか。」
相澤「あとはB組の寝黒が二千超えだったらしい。……これを踏まえ、指名の有無関係なく、いわゆる職場体験に行って貰う。」
成程、それでコードネーム。
相澤「まあ仮にとはいえ、適当な名前は…」
MN「つけたら後悔しちゃうわよ‼️」
出久「ミッドナイト先生。」
MN「この時の名が、世に浸透してヒーローネームになってるヒーローが多いからね。」
確かに、“ヒーローネーム”とは今後ヒーローとして活躍する上で必ず必要になっていくもの。その名が知れ渡れば、一般人からは安心の、敵からは恐怖の対象として多くの影響を与えることになる。
出久(…なら、僕のヒーロー名は…)
ヒーロー名が決まった人から発表する形になり、僕も決まったヒーロー名を皆の前で発表することにした。
出久「僕のヒーロー名は
『仮面ライダーゴースト』です。」
相澤先生を含め、クラスメイトは納得した表情を浮かべているが、仮面ライダーという存在を知らないミッドナイト先生は少し難しい顔をしていた。
MN「仮面ライダー?ゴーストは緑谷君の個性から来ていることは分かるけど、その仮面ライダーっていうのはどういうこと?」
当然仮面ライダーを知らないミッドナイト先生なら疑問に思うことだろう。
出久「僕の個性は変身することで発動します。その際顔は顔を含めて全体がスーツやアーマー、仮面で覆われます。マスクヒーローだと少し締まりがないので仮面、バイクの免許を取得してるので颯爽と現れるように出来ることからです。それに…」
MN「それに?」
出久「仮面ライダーはヒーローの本来在るべき姿なんです。様々な理由でライダーになった人達がいますけど、共通して言えることは、“平和を守るため”なんです。地位や名声、報酬等を求めずただひたすらに人々の平和を守ることを指命とした“最高のお人好し”です。このヒーロー名も僕に力をくれた人のものですけど、そんな人達の想いや願いを一緒に背負って行きたい。そう思ったんです。」
“仮面ライダー”に少なからず触れている相澤を含めたクラスメイト達は、出久の話を聞いて更に納得できた。勉強会で聞かされた“ヒーローの質の低下”。
これを理解していないもの達は、強さに固執し、地位や名声を上げることだけに執着し、高い報酬で救助を優先する。
ヒーローとは本来“困っている人を助ける存在”のはずなのに、ヒーローが職業となったことでその本質が失われつつある。
ある世界線に生まれたライダーも、会社の社員として地位やランクを気にするばかりに、人命救助が疎かになっていたが、“ある破壊者”によりその理念が破壊された。
だからこそ、出久は叶えたいのだ。自分を救い、世界を救うために今も戦い続ける“師匠”や“新たな正義”が目指している平和な世界を作ることを。
MN(彼は一体どんな経験をしてきたのかしら。相澤君は知っているようだから聞いてみましょう。私も耳が痛くなることを言っていた訳だし、なにより何故か彼の言葉には強い信念と覚悟、信頼を感じるわ。)
出久のヒーロー名の由来を聞いて、“ヒーローの質の低下”を自分も影響を与えていることに罪悪感を覚えながら、ミッドナイトは次の生徒のヒーロー名の発表を促した。
またずいぶんとお待たせしました