俺がジャンゴに憑依した時の話   作:月夜鴉

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長らくお待たせ致しました。
前後半にしようかとも考えたのですが、変に区切ると矛盾してしまいそうだったので遅くなりました。文章量もこれまでのと比べてほぼ3倍の約7000文字です。

今回の箇所は原作の四巻をご覧ください。
あ、シロップ村自体は三巻から始まります。

今回のように遅くなることはあっても完結自体はさせようと思っています。

改稿箇所
20190820
・サブタイトルの遠し番号を1つ減らしました。


06 開幕

 一度大きく揺れて海賊船が海岸に停泊する。ルフィさんたちがいるということもない。原作通り南の海岸にいるってことでいいんだよな。

 

 

「上陸だ! よしてめぇら、村を適当に荒らして屋敷へ向かうぜ!」

 

「「おぉーっ!!」」

 

 これまで待機状態だったらしい船員たちはようやく暴れられると血気盛んに坂を駆け上がっている。そんな様子を見ながら俺も歩みを進める。

 

 

 少しして坂を上る先頭の集団が何かを食らったように飛ばされ始める。坂の上を見上げた船員が坂の上に誰かいるとの声が聞こえる。

 

「おれの名はキャプテン・ウソップ!! お前らをずーーっとここで待っていた!!」

 

 だから戦いの準備は万端で、死にたくなければ引き返せとウソップさんは言う。呼吸を乱れさせながら。

 

「計画を聞いてたガキじゃねぇか。たった一人で何の用だ?」

 

 ウソップさんが続ける。引き返さないと一億人の部下が俺たちをつぶすと。

 

「何!? 一億人!? すげぇ!」

 

 と、狼狽えた振りをする。ジャンゴさんは信じやすい人。俺、知ってる。

 船員に嘘に決まってると言われ、よくも騙したなと言うことも忘れない。

 

 そこからも原作の流れだった。小舟に宝があったこと、それをやるから引き返してくれと言われたこと、宝をもらうからと引き返す理由はないということ。

 俺は懐から紐付きのチャクラムを取り出す。

 

「わかったならワン・ツー・ジャンゴで俺たちの前から消えろ。ワン・ツー……」

 

「バカなこと言ってんじゃないわよ!!」

 

「ジャンゴ!」

 

 チャクラムを左右に揺らしながら見ないように帽子を下げた時そんな声が聞こえた。見るとナミさんがウソップさんを棒で殴っていた。結構がっつり入ったんじゃないか、あれ。

 

 ナミさんがウソップさんに話しながら俺を指差す。

 

「言い忘れたけどあいつのリングを最後まで見ちゃダメ。あいつは催眠術師なの!」

 

 その後も二人は何やら話している。

 

「あんなのには構わず踏みつぶして村へ向かえ野郎ども!」

 

 俺の一言で船員たちが坂へ向かっていく。

 

 

 

 ついに戦いが始まった。二人はまきびしを蒔き、ウソップさんが鉛玉を船員に打ち込み抵抗している。

 それでも多勢に無勢、船員たちを防ぐことは出来ずウソップさんが斧で殴られた。頭から血を流しながらも先へ進もうとする船員の足を掴んでウソップさんが言う。

 

 

 海賊が来るというのは嘘で、村ではいつも通りの一日が始まるのだと。

 

 

 そんなウソップさんが止めを刺されそうになっているのをナミさんが止めるも、船員に飛ばされ崖に叩きつけられてしまう。

 

 邪魔をされた船員がナミさんに標的を変える。

 

「おいてめぇら! そいつらは放っておいて村を襲え! これがキャプテン・クロの計画だってことを忘れたか! あの男の計画を狂わせるようなことがあったら、俺たち全員殺されちまうんだぞ!!」

 

 声を張り上げ船員たちの意識を村へ向ける。これ以上は二人が危ない。

 

 船員たちはキャプテン・クロを脳裏に描いたのか、いくらか固まった後、急いで坂を上がろうとした。

 だが坂を上がりきろうというところで吹き飛ばされる。

 

 

「ナミ、てめェ!! よくもおれを足蹴にしやがったな!!」

 

「ウソップこの野郎!! 北ってどっちかちゃんと言っとけぇ!!」

 

 

 ゾロさんとルフィさんが坂の上に居た。

 

 合流した四人は何やら話しているのでそちらを見ながらも船員たちに問いかける。

 

「おい、てめぇら大丈夫か? 俺たちはこんなところで足止め食ってるわけにはいかねぇんだ」

 

 船員たちの方へ振り返り、チャクラムを左右に揺らす。

 

「よし、お前らこの輪をじっと見ろ。ワン・ツー・ジャンゴでお前らは強くなる。傷は完全に回復する。ワン・ツー・ジャンゴ!」

 

 正直彼らを酷使するのは気が引ける。それも本物のジャンゴではなく偽物の俺が命令するなんて。けど、やるしかない。今更止めるなんて出来ないんだから。

 

「行け! 邪魔する奴らはぶっつぶせ!」

 

 催眠術がかかった船員たちが大声を上げ、ある者は近くの崖を砕き再び坂を駆け上がる。

 

 思い込みの力で強くなった船員たちを見てナミさんたちが驚いているのが見える。

 船員たちに続いて俺も先へ進む。

 

「行くぞゾロ!」

 

 ナミさんとウソップさんは坂の上へ避難し、ルフィさんとゾロさんがこちらへ向かってくる。

 

 

 あれ、ルフィさんにかかってない? 何で……いや、いい。こっからもやることは変わらない。倒されることもなく、村へ行くこともなく、拮抗状態の維持だ。船員に怪しまれることなくっていう条件付きで。

 何それハード。いや、分かってたことだろ。同じようにやったつもりでも原作通りに進めるとは限らない。どうしたって微妙な差異が生まれるんだから。

 

 無強化状態とは言えルフィさんは強い。そもそも間合いが違う。それにゾロさんもいる。催眠状態の船員たちでも厳しい。

 実際、二人に船員たちが押されている。せめてルフィさんをどうにかしないと。

 

 しかしルフィさんは催眠状態になっておらずゾロさんと二人で戦っているためか、原作での船首をもぎ取ろうとするという単独行動を起こさない。

 

「くそ、仕方ねぇ。下りてこいニャーバン・ブラザーズ!」

 

 少し早いが温存出来ない状況だ。

 船までやや距離があるので声を上げ二人を呼ぶ。

 

「あいつら強ぇ……」

 

 聞こえる泣言に振り返ると船員たちはルフィさんたち二人に押しやられ、俺の近くまで来て戦々恐々としていた。

 追い討ちをかけてこないのがまだ救いか。

 

 ブチさんとシャムさんはまだかと視線を船に戻すと二人が船の上から顔を出しているところだった。

 

「早く下りてこいってんだ!! 邪魔が入った、てめぇらも手伝え!」

 

「わ、わかりましたから、そう怒鳴らないでください!」

 

 シャムさんが先に甲板から下りる。

 が、原作とは違って下り方も危なっかしいし、着地にも失敗しよろけてこけている。ブチさんも同じように下りてきたが、よろけるだけでこけなかった。

 

 被ってる猫が大きくなってやいませんか。

 

「俺たちはどうあってもこの坂を抜けなきゃならねぇ。麦わらのガキは俺が相手をする。てめぇらはもう一人の邪魔者をやれ」

 

 坂のど真ん中に居るゾロさんを親指で示しながら告げる。

 

 俺のいる位置は船の近くではなかったけど、そこからは原作で見たような流れだった。自分たちはただの船番で戦うなんて無理、ゾロさんが強そうでおっかないと。

 なので俺も早く行けと怒鳴る。

 

「わかりましたよ。行けばいいんでしょ! おいそこのハラマキ! おれが相手だ!」

 

 涙目になり自棄糞かと思えるようにドタドタとゾロさんたちの方へ向かっていくシャムさん。 

 

「てなわけだ。麦わら、てめぇの相手は俺だ」

 

 前に歩み出るとルフィさんに向かってそう告げる。モーフィアスのように手の平を上にして手招きしてみるのもかっこいいが、やる気を出されては困るので止めておこう。

 

 こうやって一対一に持ち込めば紳士的なルフィさんもそれに答えてくれるはず。

 

 俺の側を通り過ぎゾロさんへ向かっていたシャムさんが加速しゾロさんを切り裂きにかかる。

 金属同士のぶつかる音を響かせ、ゾロさんはシャムさんの爪を防いでいた。そして無くなっているゾロさんの二本の刀。

 

「あれを受け止めたか。流石だな。さて、こっちも始めるか」

 

 受け止めてくれて良かった。

 一言話して時間を稼ぐ。こういう地道さが実を結ぶんだ。

 

「俺の武器はこれだ」

 

 紐付きのチャクラムを取り出し、左右に振る。

 

「よーくこのワッカを見てろよ」

 

 頼むからかかってくれ。

 

「ワン・ツー・ジャンゴでお前は眠くなる。ワン・ツー・ジャンゴ!」

 

 帽子で視界を塞ぎ、暗示の言葉を言って帽子を上げると前のめりに倒れるルフィさんの姿が見えた。

 倒れる前に駆け寄り支えかつぎ上げる。

 崖から落ちても眠ってはいたんだからこのまま倒れたって大丈夫だろうが、念のためだ。それに倒れたのを抱えるより、寄っ掛かってきたのを抱える方が楽だ。

 

 そして飛んできた二本の刀が俺の横を過ぎ後方に落ちた。切られたと見せかけて服だけを切らせたシャムさんが、刀を取りに行こうとするゾロさんを後ろから捕まえ、ブチさんの上空からの一撃、キャット・ザ・フンジャッタを食らわせようとする。

 しかしゾロさんはその直前でシャムさんを振りほどいてかわした。

 

 

「てめぇら、この麦わらに耳栓や目隠しでもして、起こされねぇよう船の近くまで運んで寝かせておけ」

 

 近くの船員に担いだルフィさんを渡して指示を出す。もちろん、大きな声を出さないように。

 

 聞こえる剣戟の音に振り返るとブチさんとシャムさんの二人が刀一本のゾロさんと戦っていた。

 

 次に崖の上を確認するとウソップさんがパチンコを構えて掩護射撃をしようとしているところだった。

 

「おいてめぇら、何しようとしてる! そっちを狙わせることも出来るんだぜ?」

 

「死にてェのか! 手ェ出すな」

 

 俺の忠告にゾロさんもウソップさんが何をしようとしていたのか気付いて言う。

 視界の端にナミさんが崖から下りてくるのが見えた。彼女が刀へ向かって駆けてくる。

 

 

 船員たちに見られないようギリギリまでチャクラムを懐に隠しつつ、刀への最短ルートに立ち塞がり近づいてくるナミを注視する。

 

「刀に何の用だ?」

 

 懐から取り出したチャクラムでナミの肩をこする。ナミが小さく悲鳴を上げ倒れる。

 もちろん切れないチャクラムだ。切れたりはしなくても打撃にはなるから痛いのは痛いだろう。このチャクラムにはケチャップがついているのでナミの肩は赤くなっている。

 

 そう、ケチャップである。飯屋で仕入れた袋にケチャップを入れて、そこへチャクラムを半分ほどつけて赤くする。

 原作通り切れるチャクラムをかすらせることも考えたが、人に刃物を振り翳すなんて出来る気がしなかった。ビビって躊躇ってるところを見せるくらいなら誤魔化すことにした。

 

 見られないようすぐに持っていたチャクラムを交換する。船員たちからの指摘もない。

 ホッと一息つこうと思いながらゾロさんたちの方を見るも黒い人影が映った。

 

 

 坂の上にはクロの姿があった。

 

 

「あ、いや、これはその……事情があって……」

 

「何だこのザマはァ!!!」

 

 クロの怒鳴り声が辺りに響く。空気が張りつめ肌がビリビリし体が震える。

 

「まさかこんなガキ共に足留めくってるとはな。クロネコ海賊団も落ちたもんだな。えェ!!? ジャンゴ!!!」

 

 マジこえぇっ!! この距離でもビビるわ!

 何だよあの迫力! ヤクザかよ! 元海賊だったわ!

 

「待ってくれ! あんたあの時その小僧は放っておいて問題ねぇって言ったぜ!」

 

「言ったがどうした。問題はないはずだ。こいつがおれ達に立ち向かってくることくらい容易に予想できていた。ただてめェらの軟弱さは計算外だ。言い訳は聞く気はない」 

 

「おれ達が軟弱?」

 

「落ち着け」

 

 船で話したこともあって二人はクロに反旗を翻したりはしないが、抑えが効くのも時間の問題そうだ。

 

「まだ巻き返せる! 一人落としたんだ、後はあのハラマキさえやりゃいい!」

 

 クロが俺を見ながら無言になる。

 

 

「5分だ。5分でこの場を片付けられねェようなら、てめェら一人残らずおれの手で殺してやる」

 

 死にたくないと狼狽える船員たち、気合を入れなおしている様子のブチさんとシャムさん。

 くそ、もらえる時間は変わらないのか。だからといってここでもうひと声! という勇気は俺にはない。

 

「5分ありゃなんとかなる!」

 

 不安しかないけどな!

 

「あいつさえ倒せればこの坂道を抜けられる! 頼んだぞニャーバン・ブラザーズ!」

 

 第二ラウンド開始か。カヤさんが来るまで耐えきらないといけない。ブチさんとシャムさんが反抗しなかった分、原作より前倒しになっているはず。

 

 

「ゾロ、刀!」

 

 声が聞こえた瞬間、ナミさんが蹴り上げたであろう二本の刀がゾロさんへ飛んでいくのが見えた。

 

 俺はそのうちの一本目掛けてチャクラムを投げた。それは見事に命中し刀を弾き飛ばした。結果、ゾロさんが受け取れたのは一本のみ。もう一本は地面に落ちている。

 

 刀を弾いたためか思い切りゾロさんには睨まれたが、彼はナミさんにお礼を言って刀を受け取る。その一本を抜いて二本の刀で一閃、ブチさんとシャムさんが切られて倒れた。

 くそ、二本でも駄目か。

 

 ゾロさんは俺が弾いた刀を拾うとクロに刀の先を向け、5分待たずとも俺たち全員潰すと宣言した。クロは右手の平で眼鏡を押し上げやってみろ。と返答する。

 

 倒れたブチたちに目を向ける。良かった。原作同様、苦しそうにしながらもブチさんは体を起こしているところだ。シャムさんの方も意識はあるらしく動いているのが見えて一安心。

 

「ジャンゴ、船長、催眠術をかけてくれ!」

 

 俺は船員たちにかけた時と同じように二人に催眠術をかけた。

 催眠術をかけている時に背後からタッタッタッという地面を蹴る音が聞こえてくる。催眠術をかけ終わるとすぐに振り返る。ルフィさんに向かって駆けていくナミさんの背中が見えた。

 

「今度は何する気だ。大人しくしやがれ!」

 

 アニメで見たような紐付きチャクラムをグルグル回してからのスタイリッシュチャクラム投げはしない。カッコいいけど、この土壇場でやって失敗するわけにはいかないからな。

 

 普通に投げるチャクラムももちろん刃先が丸くなっているものを使う。チャクラムを懐から取り出す前に刃先を触って確認も済ませた。ナミさんに当たった時にはナミさんが凄く硬かったってことにしよう。ルフィさんがゴム人間だってことがわかればナミさんも何かしらの能力者かもと勘違いしてくれるかもしれない。

 

「ナミ! 伏せろ!」

 

 ナミさんがルフィさんを踏み、後ろからはゾロさんの声がする。ナミさんはその声に反応してすぐさま伏せた。

 

 投げたチャクラムは伏せたナミさんの頭上を越え、入れ替わりに体を起こしたルフィさんに当たった。

 

 痛みの雄叫びを上げ、ルフィさんが完全に目を覚ます。

 

 

「ブチ、シャム、いけるか? 引き続きあの剣士を頼む」

 

 二人は頷きゾロさんに向かっていく。

 ルフィさんも船員たちの間を歩いてこちらへ来る。あれ、手に俺の投げたチャクラムを持ってませんか? 何する気だよ。原作と違う行動取らないでくれよ。俺? 自分は棚上げに決まってんだろ!

 

 しかもカヤさんが来ない! 原作じゃこのタイミングで来たはずだ。

 俺的にはカヤさんが来るまで時間を稼ぎたいが、立場的にはクロの言った時間までにルフィさんとゾロさんをどうにかしなきゃならない。

 やりたいこととやらなきゃいけないことが真逆じゃねーか!

 

 ルフィさんと戦うなんてどうすりゃいい。

 催眠術をかける。これは決まりだろ。どんな催眠術だ。眠らせる? ナミさんがいるからすぐ起こされそうだな。

 

 だったら……。

 

「俺たちには時間がねぇんだ。邪魔をするな麦わら」

 

「嫌だ。お前らこそ帰れよ」

 

 ルフィさんは動かない。俺に先手を譲ってくれるらしい。

 

 

「お前、何がしたいんだ?」

 

 

 それは静かな問いかけだった。ルフィさんはじっとこちらを見ている。睨まれているわけでもないのに、まるで己の内側まで覗かれているような真っ直ぐな視線だった。その視線から目を反らすことが出来ず射すくめられる。

 

「……さてな。事が終わって俺が生きていたら答えてやるよ」

 

 背後から聞こえる金属と金属のぶつかる音で我に返ると船員たちに聞こえないよう静かにその問いに答える。

 

 チャクラムを鏡のように使い背後のブチさんたちの様子を伺う。

 シャムさんは再び切られたのか倒れてしまっていた。

 

「おいてめぇら! そこの女が妙なことをしないよう押さえてろ!」

 

「やだ、こっち来ないでよ!」

 

「逃げろナミ!」

 

 肩を押さえながらナミさんは素早く逃げる。

 

「ちっ……おい麦わら、この輪を見ろ」

 

「見ちゃダメよルフィ!」

 

「ワン・ツー・ジャンゴで輪から目が離せなくなる! ワン・ツー・ジャンゴ!」

 

 あっぶねー! 俺も危うく見るところだった。

 

「もういっちょいくぜ。ワン・ツー・ジャンゴであのハラマキと無性に戦いたくなる! ワン・ツー・ジャンゴ!」

 

「うおおおぉッ! ゾローーーっ!」

 

「あのバカっ!」

 

 持っていたチャクラムを手放しゾロさんに向かっていくルフィさん。悲鳴に近い声を上げルフィさんを追いかけるナミさん。

 ブチさんの爪を防いでいるゾロさんに向かって拳を握って延びていくルフィさんの腕。

 

「いい加減どきやがれ!」

「”山葵(わさび)星”っ!」

 

 ゾロさんに切られて倒れるブチさん。ゾロさんはその場を飛び退きルフィさんの攻撃をかわした。その拳が崖に当たり皹を入れる。それと同時にルフィさんの口に吸い込まれるように入っていったウソップさんの山葵星。

 

「カレえぇーーっ!」

 

 止まって辛そうに叫ぶルフィさん。

 

 

「落ち着いたか」

 

「あぁ、サンキューなウソップ!」

 

 呆れた様子ながらもルフィさんの返答を聞き警戒を解くゾロさん。

 眠らせる方が良かったか? けどその場合、誰がルフィさんを起こすんだよ。

 

「俺が催眠術師の相手をする」

 

「悪執事は任せろ!」

 

 ゾロさんが俺の前に来る。

 どうしろってんだよ。ゾロさんに催眠術なんてかかるわけないし、戦うとかさらに無理だ。泣きたくなってきた。

 

 ふと坂道の頂上を見ると、クロは腕時計を確認して上げていた手を下ろした。嫌な予感しかしねぇ。

 

「皆殺しの時間だ」

 

 マジかよ!?

 あぁほんと、自業自得とはいえ誰でもいいから助けて欲しい。

 くそ、どうする。

 

 

「クラハドール!」

 

 

 犠牲者が出る覚悟で撤退するべきかと考えていた時、辺りに少女の声が響いた。




原作との違いとその理由(考察)

〈ルフィにかからない催眠術〉
 ルフィに催眠術がかからなかった理由は単に声量不足でルフィに聞こえていなかったからです。

 船長歴のあるジャンゴ(本物)の声の出し方と一般人(憑依主)の声の出し方は違うでしょうから。

〈シャムが気絶しなかった理由〉
 ゾロの刀が二本で威力が落ちていたからです。

 そしてその時、ゾロの手に刀が二本とも戻っていれば憑依主はブチたちに催眠術をかけるのは困難だったでしょう。
 原作だとブチたちはクロに向かっていきます。そして実力差を実感した後にゾロと戦おうとして三本の刀が戻ったゾロにやられて吹き飛びジャンゴの前に倒れます。
 なので今回の場合、三本だったらブチたちはクロ側へぶっ飛ぶので、間にゾロを挟んでの催眠術は困難になるということです。

原作での位置
ジャンゴ  ゾロ  ←ブチたち  クロ

今回の位置
ジャンゴ  ブチたち→  ゾロ  クロ


 二本でもぶっ飛ぶ? ……そこはまぁご都合主義ということで


〈ナミが憑依主のチャクラムをかわせた理由〉
 これは憑依主がゾロの刀をチャクラムで弾いているのを見たため、警戒していたからです。

 掩護射撃をしようとしているウソップに警告の意味合いでチャクラムを投げるパターンも考えていましたが、ナミが刀を取りに来にくくなりそうなので声だけの警告になりました。その辺りは憑依主も考えています。
 その場合でもウソップに掩護してもらいながらナミは刀を取りに行きそうですね
 ブチたちの位置? 憑依主はそこまで考えていないので偶然ですね

〈ケチャップに付け込んだチャクラムの袋〉
 紙や布ではケチャップが染み込んで大変なことになるので袋の材質はポリエステルに似たもの(水分が漏れない)を想定しています。ワンピースの世界にそういう素材はあるのだろうかと考えたのですが、ミス・バレンタインとペローナは傘を持っていますし、カルーの首元のタルにはストローが刺さっているのでそれらしい材質のものはあると仮定しての使用です。

〈山葵(わさび)星〉
 オリジナルです。タバスコ星の前身のつもりです。
 火薬を玉にする前にこういうものは作っていたのでは? という考察からです。

 タバスコという液体を玉にするよりわさびといった固形物の方が狙いもぶれなさそうと思ったのもあります。液体も玉一杯に詰めたら変わらなそうではありますがどうなんでしょうね。
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