遊戯王Mixes    作:夜鹿

2 / 12
第2話 熱血教官・龍昭寺 剛壱

 

 話を要約すると海橋の兄は教官Aの教え子であり、卒業後にプロデュエリストとなった。だが、プロになってから数ヶ月程で病魔に襲われ、この世から去って行った。ただ、海橋と兄は非常に仲が悪かった……というのも神童だと呼ばれた海橋にとって、努力してなんとかプラチナランクかつ卒業後にプロデュエリストとして内定を勝ち取った彼を嫌っていた。

 

 だが、病気で入院していた兄を教官Aが見舞いに来た時、何故か彼の愛用していたデッキがディスクに入っていなかった。少なくとも過去に存在した偉大なるデュエリストをリスペクトしていた彼がデッキを誰かに譲るとは考えていなかった教官Aは兄のデッキで無双する海橋を見て、コイツが奪ったのか……と呆れたのだった。

 

 ちなみに海橋はデッキを自分の都合の良いように組み立て直すため、必要ないと思うカードを抜いていた。そのカードは売却して新しいカードを買っていたのであった。それに余計に憤慨した教官Aは警備Bに指示を出して海橋を会場から連れ出させたのだった。

 

教官A「さて……そういえば警備Aから聞いたんだが、誰もが本気で望む筈の試験でネタデッキを使うと豪語したそうだが……それは本当なのか?」

 

美遊「本当です。少なくともプラチナランク未満のデュエリストにはネタデッキで充分かと思いまして。」

 

 美遊がしれっとそう言うと教官Aの眉間に青筋が浮かんでいた。彼はデュエルは真剣勝負でやる物だという信念が強く根付いている。その為美遊の方にも苛立っていたのだ。

 

教官A「……ならばここでデュエルを始めよう。真剣勝負とは何かを教えてやる。」

 

 教官Aはそう言いながらジャケットスーツを脱ぎ捨ててジャージ姿になる。この早着替えについては深く触れずに美遊はデッキを構えた。

 

教官A「ゴールドランク教官、龍昭寺 剛壱、いざ、真剣勝負だ!」

 

龍昭寺・美遊「「デュエル!」」

 

 龍昭寺 LP4000

 

 美遊 LP4000  ★

 

美遊「今回は先攻……私は手札から魔法カード〖おジャマッピング〗を発動。デッキトップ3枚を【おジャマ】と名の付くカードに並べ替える事が出来る。私は【おジャマ・イエロー】【おジャマ・グリーン】【おジャマ・ブラック】の順番に入れ替える。」

 

龍昭寺「デッキトップ操作カードか……」

 

美遊「そして私はペンデュラムゾーンにスケール1の【おジャマぜガール】とスケール4の【おジャマンモス】でペンデュラムスケールをセッティング。そして【おジャマぜガール】の効果を発動。このカードはもう一つのペンデュラムスケールにあるのが同じ【おジャマ】モンスターである時、デッキトップ3枚をめくる。そしてそのカードを使い〖融合〗カード無しで融合召喚が出来る。その代わり、融合召喚に使わなかったカードはデッキに戻る。」

 

龍昭寺「……デッキトップ3枚は確か〖おジャマッピング〗で操作されている……と言う事は……。」

 

美遊「めくられたカードは【おジャマ・イエロー】【おジャマ・グリーン】【おジャマ・ブラック】。私はこの3枚を使い融合召喚。現れろ、【おジャマ・キング】。」

 

【おジャマ・キング】 ★6 DF 3000

 

 

 現れた白い巨体に龍昭寺は驚いていた。だが【おジャマ・キング】が済のスタンプを押していくのを見て自分がどんな状況となっているのかを想像し、冷や汗をかいていた。

 

美遊「【おジャマ・キング】の効果で未使用のフィールドを3つ封じる。……まぁ、ここからが本格的なネタの力……私は【おジャマンモス】のペンデュラム効果発動!もう一つのペンデュラムゾーンに存在するカードが【おジャマ】である時、そのカードを破壊する。破壊された事により【おジャマぜガール】はエクストラデッキに加わる。この時に【おジャマぜガール】のペンデュラム効果発動。このカードが破壊される時、墓地に存在する魔法カードを手札に加える。私は〖おジャマッピング〗を手札に加えて発動。デッキトップを【おジャマ・レモン】【おジャマ・メロン】【おジャマ・グレープ】へと変更する。」

 

 龍昭寺はそれを聞いて嫌な予感がした。彼女の残している手札はまだ2枚もある。だが、その中の1枚が【おジャマぜガール】でない保証は無いのだ。

 

 

美遊「私はスケール8の【おジャマタドール】をペンデュラムゾーンにセッティング。そして【おジャマンモス】の効果発動。ペンデュラムゾーンの【おジャマタドール】を破壊。そして【おジャマタドール】の効果発動。このカードがペンデュラムゾーンから離れる時、エクストラデッキに存在する【おジャマ】と名の付くペンデュラムモンスターをペンデュラムゾーンにセッティングする。私は当然【おジャマぜガール】を選択し効果発動。」

 

 龍昭寺は自分が何も出来なくなる感覚に陥っていた。先程のデュエルで先程デッキトップ操作されたモンスター達は【おジャマ・キング】の素材である3体と同じ扱いとなる。つまり、モンスターゾーンが使えないのだ。それに加え今回は現実世界でのデュエルである為、当然エクストラモンスターゾーンは存在しない。モンスター召喚が展開開始の合図である龍昭寺は自分の手札を確認する。少なくとも次のドロー次第でどうにかなる手札だった為、彼はサレンダーを選択しない事を心に決めたのだった。

 

 

美遊「私がめくったのは【おジャマ・レモン】【おジャマ・メロン】【おジャマ・グレープ】。私はこの3体で融合召喚。現れよ、レベル6【おジャマ・クイーン】」

 

【おジャマ・クイーン】 ★6 DF3000

 

 現れたモンスターは銀髪ロングヘアの美人だった。しかし【おジャマ・キング】とお揃いにしたかったのか唐草模様のワイシャツに赤いもんぺと残念な服装である。そんな彼女は【おジャマ・キング】の上にちょこんと座るのだった。

 

美遊「このカードは相手プレイヤーのモンスターゾーンを3つ使用不可とする。さらにこのカードと【おジャマ・キング】がいる時、このカードは相手の魔法、罠の効果を受けない。」

 

 

龍昭寺「……これ本当にネタデッキなのか?1ターンでフィールド殆ど使えなくなったんだが?」

 

美遊「現実でのデュエルだからどうにかなっているだけ。Viz空間だとこのコンボは使えない。」

 

龍昭寺「まぁ2体とも融合モンスターだもんな…。」

 

美遊「だからこそネタデッキ。私はカードを1枚伏せてターンエンド。」

 

美遊 【おジャマ・キング】 DF3000

   【おジャマ・クイーン】 DF3000

 

手札 0枚 

 

 

龍昭寺「俺のターン、ドロー!」

 

 龍昭寺はドローの最中、今後の展開について考えていた。モンスター効果で展開するタイプのデッキを使用している彼は展開が難しい。しかし自分がダメージを受ける可能性が低い事も分かっていた。

 

龍昭寺(先程と同じデッキなら主なダメージソースは{おジャマ・デルタ・メテオバーン}と〖おジャマッスル〗だ……。基本的におジャマモンスターは攻撃力0のモンスターという事だ。……つまり、魔法や罠を封じれば最低でも引き分けに持って行ける……が、今回は無理だ。せめてあのデッキのダメージソースだけでも確認しなければ……。)

 

龍昭寺「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ。」

 

龍昭寺(伏せたカードは{聖なるバリアミラーフォース}だ。まぁ、これ1枚で防げる可能性は低いが…)

 

美遊「……では、私のターン、ドロー。私はドローした魔法カード〖おジャマイムマイム〗を発動。このカードは【おジャマ・キング】と【おジャマ・クイーン】がフィールドに存在する時に発動できる。墓地のおジャマと名の付くカードの枚数×400ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。私の墓地には該当カードが7枚存在する。よって2800のダメージとなる。」

 

龍昭寺 LP 4000 - 2800 = 1200

 

龍昭寺「グハッ!そ、そんな一見のどかにも見える光景でここまでダメージを……。」

 

 実際、【おジャマ・キング】と【おジャマ・クイーン】が両手を繋いでグルグル回っているだけである事から龍昭寺は精神的なダメージも受けていた。ただ、これがフォークダンスだったのならば龍昭寺は過去のトラウマから壊れていただろう。

 

 

美遊「私は【おジャマンモス】の効果で【おジャマぜガール】を破壊。【おジャマぜガール】はエクストラデッキへと行くが、その前に効果発動。墓地の〖おジャマイムマイム〗を手札に加え、そのまま発動。」

 

龍昭寺「グワァァァァァ!!!」

 

 

龍昭寺 LP 1200 - 2800 = -1600

 

勝者 暗樹 美遊

 

 今回は龍昭寺のトラウマを読み取ったのか、サイズ違いではある物のフォークダンス風となり、龍昭寺は吐血しながらライフを削りきった。そんな彼の頭の中では、彼が高校時代の頃の体育祭での出来事が思い出されていた。

 

 簡単に言うと、彼は思い人とダンスを踊る直前に曲が終わってしまったのだ。その事で半泣きになっていた時、前で踊っていた男子が思い人と熱い抱擁を交わし、そのまま卒業後に結婚したらしい。……そんな感じで思い人に告白すら出来なかった事やその時に受けたWショックから彼はフォークダンスにトラウマがあったのだ。

 

 一応彼はその後別の女性と両想いとなり結婚し、今では双子の父であるのだが、今日帰った時にはかなり心配されるだろう。そんな事を思いながらデュエルが終了したので美遊が帰ろうとすると……学園長である赤星 流星が龍昭寺を医務室へ連れて行くように指示していた。

 

 

赤星「……まぁ、編入生がいきなりゴールドクラスの生徒とゴールドクラス教官を倒してしまうとは…私が学園長になってからは初めての事だな。」

 

美遊「……は、はぁ……。」

 

赤星「取り敢えずプレートはプラチナランクの物を渡さないといけなくなったから伝えておくよ。あんな勝ち方でも一応ゴールドクラスの教官を倒した訳だからね。」

 

 

 紅の様な髪をオールバックにしている赤星はそう告げた。その後、編入希望者同士で最後のデュエルをしていた2人が声を掛けてくる。

 

佐倉「すまない。俺は佐倉 晋太郎という者だが……臨時講師として貴方の名前が表示されたんだが……。」

 

高原「高原 初奈なのです。私も彼と同じで……」

 

美遊「どういう事だ?学園長?」

 

赤星「プラチナランクの義務だね。フリークラス2名をシルバーランクにまで引き上げるまでコーチとして面倒を見るってシステムさ。まぁ、高等部1年の間だけなんだけど。同級生というのは意外だけど2人も色々と事情があるから頑張って教えてやってくれ。」

 

 

 赤星が去った後、美遊は2人を盾にして他に駆け寄ろうとした者達を押し退けてから試験会場の外で2人の事情を聞いた。まず、インテリ眼鏡の様な容姿の佐倉は元々決闘者では無く、公務員になる為に進学校へと行こうとしていた。しかし本命校の受験日に熱を出してしまう。ただ浪人は出来ないと唯一試験をやっていたこの、学園を受験したのだ。しかし初心者である為、エクシーズ召喚で何度もエラーを起こしていた。

 

 高原は紫色の髪が天然パーマでヒツジみたくなっている少女であった。彼女は年長の頃にデュエルモンスターズでトラウマになる出来事があり、デュエル・マスターズというこの世界ではマイナーなカードゲームをしていたのだ。だが、母親に無理矢理持たされた【DDD】デッキを使いこなせず、契約書系のカードのデメリット効果により自爆したのだった。

 

 

美遊「……取り敢えず初心者用のデッキを渡しておくよ。少なくとも初心者同然の知識で【DDD】は辛いでしょ。」

 

高原「……そうですね。年長の頃に私が使っていたデッキを勝手に【ギミックパペット】にすり替えられ……うぅ、あの時の阿鼻叫喚は思い出したくないです…。」

 

美遊「……なんとなく事情は分かった。今回は試験が終わった後だし、アドレスだけ交換して解散。取り敢えずデッキは渡しておく。使い方付きだからどうにかなると思う。」

 

 

 美遊はそう言いながら高原に【ジェムナイト】のデッキを渡し、佐倉にはスタンダードデッキの回し方とデュエルのルールに関してのデータを渡した後、ディスクに来たメールを見た後、この学園の編入生が住む事になる寮へと向かうのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。