弧美都学園は基本的に高等部から寮生活となっている。基本的には男女で別れるのは当然として、ゼノ・マスター・プラチナ、ゴールド、シルバー・ブロンズ、フリーという感じで寮が分けられている。
高原「私はフリークラスなので寮は別ですね。」
美遊「そうらしいな。まぁ、正直言って私は個室ならそっちの寮でも問題ないんだけどな……。」
フリークラスは木造2階建てで〇〇荘と名の付きそうな見た目に対して、プラチナランクが入る量は高級ホテルと言っても可笑しくない豪華な寮だった。希望すれば友人同士で同室になれるが基本的には1人部屋である。ただ、洋風と和風が選べる事から美遊は和風を選択するのだった。
管理人A「お荷物は明日届きますので、必ず立ち会ってください。女性で無くても1人でやるには難しいですからね。ただ、親御さんに連絡しなくてもよろしいですか?」
美遊「問題ない。私は家に引き籠もっていたかったのにここに通わせたのは両親だし。」
管理人A「そうなのですか……。ではこちらにサインを。しかし試験直後に荷物の納入依頼も済ませる人は少ないんですけどね……。一部の編入生は合格が決まってもランクが確定しない場合もありますから。」
管理人Aから部屋の鍵を受け取った美遊は自分の部屋へと向かおうとする。だがロビーで仁王立ちする巨乳の少女が美遊の前に立ち塞がっていた。
美遊「……誰ですか?」
千春「野風 千春、高等部2年のマスターランクよ。……現実ではそんな顔なのね……『Killer Machine』。」
美遊「それ、個人情報じゃあ……それと何の用なんですか?」
千春「……簡単に言えば妹の仇討ちよ。アンタ、私の妹……『雪風』から【ブリザード・プリンセス】をアンティルールで奪ったじゃ無い!それを取り替えさせて貰うわ!……そして私が妹にこれを返して……グフフ、グフフフフフフフ!!」
千春が気持ち悪い空気を出している事に唖然としながら美遊はVizOn-lineの中でそんなニックネームの少女と闘い、一方的に渡された事を思い出していた。ただ、その時に使っていたデッキはガチデッキだったのだが、面倒な為、ネタデッキで勝負する事を決めたのだった。
美遊「しかしなんて邪悪なオーラ……なんでこんな事に……。」
吹田「それは千春さんが重度のシスコンだからですね。まぁ、この様に暴走している方が強いので厄介ですよ~。あっ、私は高等部1年ゴールドクラスの吹田 集と言います。集と書いて「つのり」と読みます。新聞部なので情報が欲しいときは遠慮無くメッセージを~。」
吹田は明らかに諜報活動に向いていない巨乳を揺らしながら少し下がり、ギャラリーの1人としてデュエルを見学する意思を見せるのだった。
美遊「……まぁ、このロビーもデュエルスペースなんだろうけど……気にしたら負け。取り敢えず……」
美遊・千春「「デュエル!」」
美遊 LP 4000
千春 LP 4000 ★
千春「先攻ね!私は【
【夏梟 アカギレ】 ★4 AT 1500
千春「そして【アカギレ】の3つの効果の内1つを発動。レベル4の鳥獣族モンスターをデッキから特殊召喚する。私は【夏梟 ノミター】を選択して特殊召喚!」
【夏梟 ノミター】 ★4 AT 1000
千春「私はレベル4の鳥獣族モンスター2体でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!現れろ、【夏梟 テルペチア】!」
【夏梟 テルペチア】 ☆4-o2 AT 2400
千春「さらに私は【テルペチア】のオーバーレイネットワークとなっている【アカギレ】を墓地に送り、効果発動!次の私のターンまで【テルペチア】は魔法・罠・モンスター効果の効果を受けない。さらにオーバーレイネットワークとなっている【ノミター】の効果発動。オーバーレイネットワークとして存在しているのがこのカード1枚である限り、【テルペチア】は攻撃対象に指定できなくなる。」
吹田「ここで鉄板コンボですか……。」
美遊「……成るほど、そんな避け方があるのか…。」
千春「私はカードを2枚伏せてターンエンド。」
千春 LP 4000
【夏梟 テルペチア】 AT 2400
伏せカード 2枚
手札 2枚
美遊「私のターン、ドロー。……私は【
【和景扇・桔梗】 ★2 AT 1000
【和景扇・紅葉】 ★2 AT 1100
千春「私はここでトラップカード{激流葬}を発動するわ。ただ、【テルペチア】は自らの効果で対象とならない。よって貴方のフィールドモンスターのみ破壊されるわ!」
破壊されていく2枚の扇を見送った後、美遊は手札を確認し、再び動き出した。それを見てそう来なくてはと千春は彼女を挑発していた。
美遊「【和景扇・紅葉】の効果発動。このカードが破壊された時、デッキトップから3枚のカードを墓地へ送る。私が墓地に贈るのは【和景扇・山桜】、【和景扇・金雲】、【和景扇・渋柿】の3枚。」
千春「墓地肥やし……?でもメリットが分からない……?」
美遊「これから分かる…ネタの力……私の墓地に5枚以上の【和景扇】が存在する時、手札から【和景扇・芍薬】を特殊召喚出来る。」
【和景扇・芍薬】 ★2 AT 2500
美遊「【芍薬】の効果発動。このカードが召喚に成功した時、デッキから墓地に存在する【和景扇】と名の付くカードの同名カードを可能な限り特殊召喚する。私は【金雲】、【山桜】、【渋柿】、【紅葉】を選択して特殊召喚。」
【和景扇・金雲】 ★2 AT 3000
【和景扇・山桜】 ★2 AT 2000
【和景扇・渋柿】 ★2 AT 1500
【和景扇・紅葉】 ★2 AT 1100
千春「レベル2のモンスターが5体……それにレベル2とは思えない攻撃力なんだけど……。」
美遊「……私はチューナーである【金雲】で【芍薬】【山桜】【渋柿】【紅葉】をチューニング。」
千春「……これ、かなりヤバいんじゃあ……」
★2 + 2 + 2 + 2 + 2 = 10
美遊「現れろ、レベル10、【花札衛ー五光ー】。」
【花札衛ー五光ー】 ★10 AT 5000
千春「……ここで【五光】かぁ…。でも【ノミター】の効果で攻撃対象には出来ないから大した問題じゃ無いような……。」
美遊「……シンクロ素材とした【金雲】の効果発動。このカードがシンクロ素材となった時、シンクロ召喚されたモンスターの攻撃力を素材としたカード全ての攻撃力分アップする。」
千春「……これ、永続効果なの?」
美遊「そうなる。効果により10500攻撃力アップする。」
【花札衛ー五光ー】 AT 5000 →15500
美遊「さらに【山桜】の効果発動。このカードがシンクロ素材として使われた時、シンクロ召喚されたモンスターはプレイヤーに直接攻撃が出来る。【五光】でダイレクトアタック。」
千春「と、トラップ発動!【威嚇する咆哮】でバトルフェイズを強制終了させる!」
美遊「【五光】の効果で発動を無効にして【威嚇する咆哮】を破壊。」
千春「その効果の発動前に私は【幽鬼うさぎ】の効果発動!【五光】の効果を無効化して破壊する!」
吹田「……鳥獣族オンリーじゃないんですね……。」
攻撃力が軽く1万を越えた【五光】があっさりとやられてしまったが美遊は全く同じていない。しかし千春はかなり焦っていた。【幽鬼うさぎ】の効果をもっと早く使っていれば化け物並の攻撃力を持った【五光】と対面せずに済んだのだ。ただ、エクシーズ主体で闘う彼女は美遊もエクシーズを使うのでは?と疑っていた。その結果この様な事態になるまで【幽鬼うさぎ】を使わなかったのである。
美遊「……破壊された【五光】の効果発動。エクストラデッキから【花札衛ー雨四光ー】を特殊召喚。」
【花札衛ー雨四光ー】 ★8 AT 3000
千春「……【雨四光】?それってかなり不味いカードね……特に今の私にとっては。」
【幽鬼うさぎ】を使用した事で手札が1枚しか無い事からドローフェイズをスキップする訳にもいかない為、1500のダメージを受ける事は確定していた。
美遊「……私はこれでターンエンド。」
美遊 LP 4000
【花札衛ー雨四光ー】 AT 3000
手札 3枚
千春「私のターン、ドロー。」
美遊「この瞬間、【雨四光】の効果で1500のダメージを与える。」
千春 LP 4000 - 1500 = 2500
千春「……ぐっ……。私は手札から【巨大化】を発動して【テルペチオ】に装備させる。ライフは私の方が下だから攻撃力は倍になるわ。」
【夏梟 テルペチオ】 AT 2400 → 4800
千春「私は【テルペチオ】で【雨四光】を攻撃。」
【テルペチオ】が滑空しながら突っ込んでいき【雨四光】が爆散した。だが、ライフが美遊を上回ってしまった為【巨大化】の効果により【テルペチオ】の攻撃力が下がってしまう。
美遊 LP 4000 - 1800 = 2200
【夏梟 テルペチオ】 AT 4800 → 1200
千春「私は手札から速効魔法〖アーマー×アップロード〗を発動。【テルペチオ】に装備されている〖巨大化〗をオーバーレイネットワークに変換する。〖巨大化〗が外れた事で【テルペチオ】の攻撃力は元に戻るわ。」
【夏梟 テルペチオ】 AT 1200 → 2400
千春「そして私はオーバーレイネットワークとなった〖巨大化〗を使用して次の私のターンまで【テルペチオ】は魔法、罠、モンスター効果の対象にならなくなる。私はこれでターンエンドよ!」
千春 LP 2500
【夏梟 テルペチオ】 AT 2400
手札 0枚
美遊「…私のターン、ドロー。」
手札 3 → 4
美遊「墓地に存在するシンクロモンスターを2枚エクストラデッキに戻すことで【和景扇・火車】を特殊召喚出来る。」
手札 4 → 3
【和景扇・火車】 ★2 AT 4000
美遊「そして私は手札から【和景扇・銀狐】を捨てて効果発動。フィールドに存在する【和景扇・火車】を破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手プレイヤーに与える。」
手札 3 → 2
千春「……ぐっ、追い詰められてしまったわね…。」
千春 LP 2500 - 2000 = 500
美遊「そして破壊された【和景扇・火車】の効果発動。デッキからカードを7枚めくり、魔法、罠、ペンデュラムカードを全て手札に加える。ただ、モンスターカードは全て墓地へ行く。……私が引いたのはこの7枚。」
【和景扇・寒椿】
【和景扇・柏木】
【和景扇・柚木】
【和景扇・雷雲】
【和景扇・渋柿】
【和景扇・剣舞】
【和景扇・神楽】
美遊「……私はこの7枚を墓地に送る。そしてここからネタの力の真骨頂。私は墓地に存在する全ての和景扇を使いオーバーレイネットワークを構築する。」
千春「墓地からオーバーレイ!?そんな掟破りなカードなんて……。」
美遊「だからこそ、このカードを呼ぶ価値がある。いでよ、扇の主たる者……【九尾扇・禍月ノ命】。」
そこから現れたのはもふもふとした九つの尻尾を携えた美少女であった。ただ、その幼くも美しい顔をした彼女に千春はクラッときていた。ただ、逆にこのモンスターに勝てるのか?と思うのだった。
【九尾扇・禍月ノ命】 ☆2-o19 AT ???
美遊「このカードの元々の攻撃力と守備力はオーバーレイ素材となった【和景扇】の数×500ポイントとなる。よって【禍月ノ命】の攻撃力は9500となる。」
千春「で、でも攻撃は出来ないわよね?」
美遊「【テルペチオ】には攻撃できない。けど直接攻撃なら可能。私は手札から【山桜】を墓地に送り効果発動。レベル2またはランク2以下のモンスターにプレイヤーへの直接攻撃の効果を加える。」
手札 2 → 1
美遊「……【禍月ノ命】の効果発動。墓地に送られた【和景扇】と名の付くモンスターを1ターンに1度、自分のオーバーレイ素材として吸収する。オーバーレイ素材が増えた事により【禍月ノ命】の攻撃力、守備力は500ポイントアップする。」
【九尾扇・禍月ノ命】 AT 9500 → 10000
美遊「私は【禍月ノ命】でダイレクトアタック。」
千春「いやいやいや!完全にオーバーキルじゃないのぉぉぉぉぉぉぉ!!」
千春 LP 500 - 10000 = -9500
勝者 美遊
千春「……うぅ、勝てなかった。でもこれで終わりじゃ無いわ!妹の為なら何度でも……。」
美遊「必要ない、このカードは返すから。」
美遊はそう言いながら【ブリザード・プリンセス】を千春に渡していた。千春は流れでそれを受け取ってしまったが、デュエル開始前までの様に暴走する事は無かった。いくら相手のデッキを知らなかったとは言え【激流葬】や【幽鬼うさぎ】の発動タイミングをミスしていたりしていた為、納得がいかなかった。
美遊「強引なアンティで強引に渡されたカードだから返しておく。」
千春「……分かったわ。でも次は負けないわよ。」
吹田「いや~良い闘いでしたね~。でも公式戦では無いのでポイントや勝率には響いてませんね……。」
千春「あぁ、そういえば特殊な形で編入クラスがアップしたのよね……?つまり明日からダウンロードされるシステムの恩恵も無いと……?」
吹田「……取り敢えず新聞部権限でこのカード渡しておきますね。【No.11 ビッグ・アイ】と【No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース】です。この2枚は新聞部で配布している物ですが、指導に使うこともできるでしょう。」
千春「で、私は吹田にDPを払えば良いのね。」
その後、2人と別れて自分の部屋で寝転んだ美遊は、明日からも面倒になりそうだなと思いながら夜の支度を始めるのであった……。