異世界にレオパルドンを持ち込むのは反則ですか? 作:塩田多弾砲
「……疲れたわ」
報告が終わり、私室にて。ミリアは安堵の溜息をついた。
王室に帰還したは良いものの、ミリアは休む間もなく『報告』する事に。それがようやく終わったミリアは、解放され、部屋にてベッドに倒れ込んでいた。
「……お疲れ様でした」
と、ツクミは紅茶を淹れ、ベッドサイドテーブルに置く。
「……ツクミ、あなたは大丈夫? マコト様は?」
「ええ。ご心配なく、ですよ。マコトさんは、夜食を取られたのちに、イブキ様と…『女神の手のひら』へ行かれたようです」
「もう行かれたの? ……マコト様、後で後悔する事でしょうね。イブキは厳しいですから」
「ふふっ、そうですね」
にっこり笑うツクミの笑顔を見て、ミリアも安堵の微笑みを浮かべる。……このところ、彼女が見て『心より信頼し、安堵できる』人間の笑顔。
会議室での報告は、疲れるものだった。
大臣たちが指摘し、非難していたのは、兵士と家臣、それに『クイーン・スミア』を墜落させた事。
確かに、王室専用の飛行空船と、その乗組員を全員失った件に関しては、自分に責任がある。その事に異議は無い。
しかし彼らは、ミリアの指摘する『異常事態』に関しては、ほとんど関心を寄せていない。それどころか、『そんな事を言い出して、自分の不甲斐なさをゴマかすつもりだろう』と言い出す者も。
その事が、悔しかった。確かにミリア自身も、現時点では『なんとなく怪しい』程度にしか感じておらず、その確証も、物証も無い状況だが。
だからこそ、ミリアは調査が必要だと考えて、ファーグ市へと向かったのだ。
今回ミリアが、クリスを伴ってファーグ市に赴いたのは、イマジン王国内で最近頻発している、
『闇霧など出ていない平穏な場所に、いきなり霧獣が発生』
……という、一連の事件に関連した調査目的があった。
「……本当に、『違和感』があるわよね。一体何なのかしら、この『突然発生する霧獣』は」
『闇霧』はまず発生し、それが凝縮する事で『霧獣』と化す。
しかし、闇霧が発生したからと言って、いきなり霧獣になるわけではない。闇霧は多少出たところで、大抵は自然に霧散する。風や嵐で吹き飛ばされる事も少なくない。
そして、霧獣と化すまでにはある程度の時間が必要であり、なおかつ霧獣の身体自体を構成させるだけの量もまた必要。人間よりも小さな、小型犬や猫程度の大きさの小型霧獣といえども、闇霧が大量に発生し続け、なおかつ凝縮するための時間が一日以上は必要。
大型ならばなおのこと。『熊獅子』も一体が実体化するならば、十分に噴出する闇霧の艦橋が整ったうえで、少なくとも一週間以上の時間を要する。
ましてや、今回出現し、交戦した巨大霧獣たち。……『マンティコア』、『リンドブルム』、『ジャイアント・デスワーム』。
あれだけ強力かつ巨体な霧獣が出現するためには『闇霧が発生し続ける環境』と、『数か月から数年の時間』が必要になる。
そんな環境は、ファーグ市近辺には無い。少なくともファーグ市の先には、隣国であるガリアン帝国の国境があるのみで、そちらの方でも闇霧や霧獣が大量発生したという目撃例や報告は無い。
そして、二週間前。ミリアがファーグに視察に赴いた時には、闇霧が発生する兆候は、全くと言っていいほど見られなかった。
闇霧は、採取も保存も出来ない。過去においてそういった試みは、全て失敗していた。
「ファーグ市周辺のどこかが、いきなり闇霧を吹きだすようになったのでしょうか?」
ツクミの言葉に、ミリアはかぶりを振る。
「……闇霧がいきなり発生したとしても……それが霧獣に変化するまでの『時間』があまりに早すぎるわ。あれだけ巨大なマンティコアや、大量のリンドブルムの群れ、それに……ジャイアント・デスワームまで発生したのは、どう考えても『不自然』よ」
それ以前に……と、ミリアは言葉を続ける。
「大量に闇霧が発生したとしたら、すぐ近く……境界線の向こうの、ガリアン帝国が先に動き出すはずよ。イマジン王国より規模も、軍事力も、闇霧や霧獣に関する研究もはるかに上なのだから、私達より先に発見し動き出すでしょうし。加えて昨今の状況から、これを『国防のため』と理由を付けて、侵攻してくるはず」
「……ならば、誰かが『霧獣』そのものを捕獲し、連れてきたのでは?」
ツクミの言葉に、再びかぶりを振るミリア。
「確かに、ガリアン帝国では軍事目的でそういう研究をしている……という噂は聞いているけど。でも……実際に捕獲を試みても、それはかなり困難。成功しても、拘束し続けるのもまた困難。熊獅子クラスを捕獲し、研究しようとした事例は聞いたことがあるけど、すぐに活動停止して霧散したというから……」
霧獣を、『捕獲』し『拘束』。そして『任意の場所に放つ』という事は、ほぼ実行不可能。それが巨大だったり、大量にというのも、同時に不可能。
誰かがクリエイテッドを使って実行したとしても、誰が、どんなクリエイテッドを、どう使ったのか。見当もつかない。
健康な人間が、病魔に侵されつつあるのに、それに気づいてないような……何か、良くは無い事が発生し……それが徐々に進行している。そんな漠然たる不安が、ミリアを苛む。
「……気になるわ。理由が、欲しい。『納得』できる理由を……」
「まあ、姫様。今はゆっくり休まれて、鋭気を……」
そこまで言ったツクミは、ミリアがベッドに突っ伏したまま……寝息を立てている事に気付いた。
「……お休みなさいませ」
ミリアをベッドに横にさせ、毛布を掛け、魔灯具の灯を消して外に出ると、
「……ツクミ?」
クリスが、そこにいた。
「クリスさん。姫様は、お休みになりました」
「そうか……ご苦労だった」
そう言って、クリスはツクミを抱きしめる。
「あっ……だ、だめですよ、こんなところで……」
「大丈夫……誰も見ている者はいないよ……」
クリスの声にも、若干の『疲労』があった。
「……焼却した『クイーン・スミア』の残骸の確認作業は完了した。全て焼却され、消滅している。乗組員の葬儀は、明日から行われる予定だ。不幸中の幸いと言うべきか……『
姫様の『フィア・ファイア』が、ほとんどすべてを燃やしてしまったからね。歩ける死体どころか、埋葬できる死体も残ってはいなかったよ……と、自嘲するかのように、クリスは付け加えた。
ツクミは感じていた。自分を抱きしめるクリスの腕に、若干の『震え』がある事を。
「……お疲れ様、でした」
「……騎士団長とはいえ、こういう事にはやはり、慣れないものだな……」
クリスの言葉は、やや弱々しかった。騎士団長で、戦いに身を置く彼女だが……、人の『死』に対し、非情になり切れない面も持つ。
それは、ツクミと二人きりの時にだけ、彼女が見せる表情であり仕草。
「……お部屋へ。今日は、休みましょう」
ツクミに促され、ツクミとともに、クリスは……自分の私室へと向かっていった。
「……乗り心地は、いかがでス?」
そう尋ねるイブキの姿は、ローブをゆるく引っかけ、フードをかぶり、顔にマフラーを緩く巻いているといったもの。
「……ちょっと揺れるけど、慣れれば結構悪くない、かもです」
真も同じ姿になり、二人は、それぞれ『バンブ』……鞍と手綱を付けた乗用鳥に跨って進んでいた。
といっても、真は操れないので、イブキが手綱を手にして引っ張っているのだが。
こうして近くで見ると、バンブは本当にエミューに似ている。それより少し筋肉質だが、十分に乗用になるだけの力が、鞍越しに伝わってくる。
周囲は暗くなり始めたが、光源といえば、バンブの首から下がったランタンのみ。少々心もとないが、致し方ない。
やがて、しばらく進んで行くと……王宮の裏口に。
そこには、二人の兵士、そして、二つの大柄な人型が、見張りとして立っていた。
「あの大きいのは……」
真の目を引いたのは『人型』。……『
それらの身長は大体3~4m……霧獣『熊獅子』が直立した時と同じくらいの大きさで、武器として長柄のハンマーを手にしていた。太くずんぐりした手足は、いかにも力強そうだが、頭部には、顔が無く……まん丸の眼窩が二つ、穿たれているのみ。まるで、手抜きしたデザインのぬいぐるみのようでもある。
「あれらは『
だろうなあ。いうなればあれ、動力源が魔力石のロボットだろうし。
「クリエイテッドを使えない人間たちにとっては、あの機械兵が主戦力となりまス。精度の高い魔動石から
「……ふーん、ちょっと面白そうですね。もっと詳しく知りたいな」
「それに関しては、検討させていただきまスね。差し当たっては……」
あの機械兵が守る門より、外に出なくてはならない。
門に近づくと、
「止まれ! この時間に何用か!」
人間の兵士二人に、呼び止められた。
「騎上より失礼。特別任務で、この者とともに、これより外出しまス」
バンブに乗ったまま、イブキは。
胸元から首飾りを出して、それを兵士らに見せた。
「……失礼しました。どうぞ」
機械兵により、重々しい門扉が開かれると、
イブキと真を乗せた二羽のバンブは、塀の外へと歩を進めた。
「……ここならば、大丈夫と思われまス」」
イブキはバンブをトンネルの中へと走らせ、そのまましばらく進み……、
開けた場所へと、真を導いていた。
「ここは……」
「『女神の手の平』と呼ばれている、王室関係者のクリエイテッド練習場でス。ここで実際にクリエイテッドを出して、訓練するための場所なのでスが……最近は王国でもクリエイテッド使いが出ておらず、ほとんど使われていないのでス」
そこは、ゆるい丘陵地の底に位置する、広い空き地だった。周囲を見渡すと、ゆるく広がったすり鉢のように、丘陵が囲み、木々が空き地の周囲を囲っている。さらに、この丘陵地を隠すように、周囲には白い霧が立ち込めていた。
……なんとなくだけど、王宮の近くじゃなさそうだな。あのトンネルの中……通った時に、普通じゃない違和感を覚えたけど……。
真が周囲を見つめていると、
「……では、さっそく出してくださいでス。あなたのクリエイテッドを」
地面に降り立ったイブキが問いかけた。続き、真も降りた。
杖を突きつつ、空き地の中心部へ赴いた真は、
「では、いきます。……クリエイション!『レオパルドン』!」
その場に、『レオパルドン』を顕現させた。
「……ほう、これが。思ったよりも、はっきり形をたもっていまスね」
そびえ立つレオパルドンを見て、イブキは驚いたかのように目を見張ったが、すぐにいつもの調子に戻った。
「……では、ワタシも行きまス。……クリエイション!」
真とレオパルドンから距離を置き、離れた位置に立ったイブキは、
まるで闇霧を思わせる、大量の『黒い気体』を周囲に出現させた。
「!? あれは……?」
『黒い気体』は『霧』、もしくは『煙』のよう。その中心部に立っていたイブキは。
それを纏わせ、視界から消えた。
「……一体、何を……」
『気体』は、そのままイブキを包み込んだまま『膨らみ』、何かの『形』を取り始めた。
「……って、これって!」
『気体』は、徐々に固まりはじめ、その細部が明らかに。黒一色だったのが、色も付き始め……、
そして、完全な『形』と『色彩』とを得て、変形を完了させた。
真は、イブキのクリエイテッドの姿に、見覚えがあった。
「これって、ミリアさんのクリエイテッドじゃないか!」
彼の目前に立っているのは、『フィア・ファイア』。
ミリア王女のクリエイテッド、恐怖を纏うドラゴンの姿に他ならなかった。
「……まずは、『この姿から』行きまス。そちらの準備ができたなら、さっそく訓練を開始しまス。いつでもどうぞでス」
更に、その『フィア・ファイア』からは、イブキの声が聞こえてきた。まちがいない、あれはイブキさんのクリエイテッドだ。
よくわからん相手だが、わかるためには実際に交戦してみなければ。
レオパルドンに乗り込み、そのコックピットに座った真は、
「こちらも準備が出来ました。では……いきます!」
自身の巨大ロボを、動かした。
「……あのバンブたちは……あそこか。踏まないようにしなくてはね」
乗ってきたバンブが繋がれている位置を確認し、改めて目前のクリエイテッドを見据える。
複製か、偽物か。よくわからないが、今は対戦相手。ならば、戦わねば。
まずは、レオパルドンを歩かせて接近した真。しかし、フィア・ファイアは翼を広げ、宙に舞った。
そのまま、レオパルドンの周囲を飛び回る。後ろに回り込まれた真は、
「……くっ、素早い、な……」
そのスピードに翻弄され、相手の位置の特定ができずにいた。
『どうしましたでスか? この程度の動きも、さばけないんでスか?』
フィア・ファイアから、挑発めいた口調のイブキの声が。が、レオパルドンの動きを見透かしたように、ドラゴンのクリエイテッド……またはその複製は、素早く動いては真を翻弄する。
「……くそっ! ヘタな鉄砲もなんとやらだ! 『アークターン』!」
額からのブーメラン。しかし、それはかすりもしない。
やがて空中で向きを変えたフィア・ファイアは、レオパルドンの正面から、体当たりするかのように、直線で突撃を。
「これなら! 『アームロケッター』!」
ソードビッカーは、強力すぎるだろう。まずは小手調べ的に、アームロケッターを放ったのだが……、
『甘いでス』
空中で体をひねったフィア・ファイアの尻尾が、飛んできたレオパルドンの両拳を打ち据え、そのまま逆にレオパルドン自身へと跳ね返したのだ。
「うわーっ!」
自分の武器を、自分で受け、レオパルドンは地面へ倒れ込む。
「……あ、あぶなかった。もしもソードビッカーをハネ返されてたら……」
いや、ひょっとしたらソードビッカーを最初に放ってたら、倒せてたかもしれない。
が、なんとなくだが、『倒せてたかもしれない』は、『ない』……という予感の方が強かった。アームロケッターを跳ね返したという事は、アームロケッターと同等、もしくはそれ以上の威力を持つ事に他ならない。
両拳を元に戻し、レオパルドンを再び立ち上がらせるが……、
『……遅い、でス』
敵クリエイテッドの体当たりで、再び地面に転がされた。
「ええい、だったらこれだ! チェンジ・マーベラー!」
倒れた状態で、真はレオパルドンの足裏からロケットを噴射し、飛行すると……、
マーベラーへ変形させた。
『……これは……なるほど、こういうギミックも持つのでスか』
フィア・ファイアから、イブキの感心したような声が。
空中を舞うマーベラーは、フィア・ファイアを追うが……、
『しかし……遅い、でス』
やはり、追いつけない。
再び空中で反転したフィア・ファイアは、まるでチキンレースを挑むかのように、正面から突っ込んでくる。
「……ここからなら! マーベラー、カノン発射!」
正面からなら、カノンが当たる。当てさえすれば……、
『……当たれば勝っていたでスが、今のあなたには当てられませんでス。よって……』
ワタシの勝ちでス。そう呟いたイブキは、
そのまま、フィア・ファイアの翼をいきなり畳み、いきなり落下する事で……カノンの火線上から消えた。
「なっ!?」
そのまま、マーベラーの後方に現れ、恐怖の名を持つドラゴンの爪が引き裂く。
バランスを失ったマーベラーは、落下。そして、
『……終わりでス。「ブレス・オブ・ドームフレイム」』
止めとばかりに放たれた、フィア・ファイアの火炎ブレスに包み込まれ、引導を渡された。
「……まさか、ここまで一方的とは……」
マーベラーが消え、真は衝撃から冷めやらぬといった状態で、倒れていた。
倒れたまま、仰向けになり……空へと視線を向けている。夜の空、曇っているためか星明りは見えないが……雲の切れ間から、月が照らしていた。
この世界にも、『月』はあるんだな。そんな事を現実逃避的に考えていたら、
「……初めてにしては、なかなかスゴかったでス」
ぬっと、イブキが視界に入ってきた。
「クリエイテッドは、『コツ』が要るのでス。『出す事』にも、『操る事』にも、そしてそれを用い『戦う事』にも……それらの『コツ』をマスターできた時点で、クリエイテッド使いとして一人前になるのでス」
「……『コツ』、ですか」
上半身を起こし、真は問う事で返答した。
「その『コツ』は、どうすれば身に付きますか?」
問いに対し、
「それは、人によって違いまス。ただ、共通する事は……クリエイテッドを繰り返し出して動かし、その存在に『慣れる』事、そして……そうする事でクリエイテッドを、より『自分のモノ』にするしかないでス」
イブキは、そう答えた。
「……『自分のモノ』に?」
「そうでス。ストレンジャーの皆様も例外なくそうでしたが、ここ……クリエイタニア生まれの人間もそうでス。そもそもが、クリエイテッドなるものを自分から出し、それを自在に動かす……という事を、いきなり言われて『はいそーでスか』と簡単に適応できる人間など、そうそうおりませんでス。故に……クリエイテッドそのものを『出す』事、それを『操る』事。それらが『普通に行える』事。そういった事を繰り返し行い、『慣れる』事が、重要なのでス」
「……そういえば、さっき王室の人たちの前で『マシーンGP7』を出した時。なんとなく『車が空飛べるわけがない』って思ったら、飛ぶことができなかったのも、やっぱり俺が『慣れ』てなかったからですか?」
問われ、イブキは頷いた。
「そうでス。クリエイテッドの『形状』と『能力』は、本体の『思い入れのある、原型となる存在』を再現するものなのでスが。『実際にはこんな事は出来ない』『自分にはこんなものは動かせない』と思ってしまったら、『原型の存在』が空を飛べたとしても飛べず、泳げたとしても泳げませんでス」
ちなみに、その『逆』はできないらしい。例えば、クリエイテッドの『原型の存在』……平たく言えば『元ネタ』のキャラが、空を飛べなかったとしたら、いくら『飛びたい』『飛べる』と強く思い願っても、飛行するように変化・進化はしないという事だ。『元ネタ』自体に、そのように変化する物語が付いていたり、そういう設定だったりすれば、その限りではないらしいが。
「……あくまでも、クリエイテッドの『元ネタ』が最初から持ってる、能力の範疇内って事か」
「そういうわけでス。ただし、クリエイテッドそのものの力を使いこなせれば、有している能力は元ネタ以上に強く、優れたものになりまス。例えば、元の物語では『見習いの未熟な剣士』として描かれていた人物を、クリエイテッドとして出した場合。当初は剣の腕が元の通りに未熟であっても、本体が修練を積む事で『手練の剣士』にさせる事ができます。あくまでも『有している能力』に限りますが、能力そのものの成長は可能でス」
なるほど。つまりは……、
:『能力』に関して。スタンドで例えると、スタープラチナが成長したところで、マジシャンズレッドの『火炎』や、ハーミットパープルの『念写』などが身に付かないのと同じ。ただし、能力そのものを元ネタ以上に成長させる事は可能。
:『成長』に関して。モビルスーツで例えると、旧ザクやボールであっても、本人が修行して強くなる事で、サザビーやシナンジュ、デビルガンダムにも勝てるほど強くなる『可能性』がある。
……ってなところか。
イブキの言葉を噛みしめ、自分なりに理解した真は、
傍らの杖を用い、立ち上がった。
「……では、一休みはここまででス。もう一回戦、いきまスよ」
と、イブキが再び身構えるが、
「その前に、もう一つだけ聞きたいんですが……。イブキさんの『クリエイテッド』は、なんなんですか?」
先刻からの疑問を、真はぶつけてみた。
イブキはそれに、
「……それは、ワタシに一撃でも当てられたら、お教えいたしましょうでス。では、いきまスよ!」
僅かに笑みを浮かべながら、再びあの『黒い気体』を出し始めた。