最凶と呼ばれた敵のたった一つの愛 作:|EGOIST《対人恐怖症》
とある山中、死火山ですら無い山ではありえない黒煙が上がっており、煙の麓には原型を留めてはいないが飛行機と思われる残骸が散らばっている
瓦礫の中から一人の男が立ち上がり辺りを見渡す
「これじゃあ誰も助からないな、こんなジャングルの深くなら自分で歩いた方が早いか?…あった、中身も…無事だな」
乗っていた飛行機が墜落したと言うのに彼は無傷だった。荷物を探し終えた彼は後の面倒事に巻き込まれたくないのか早々に立ち去ろうとする。
「ん?」
ふと、声が聞こえた。意識しなければ聴き逃してしまいそうな、か細い鳴き声が。
しかし彼はヒーローでもなくその声の主を探す必要はな無い、そのまま通り過ぎればよかった。だが、彼はその元を探した。
「…っぐす…お母様ぁ起きてぇ…お父様ぁ…どこぉ?」
育ちのよさそうな子供が1人泣いていた。様子からして両親が共に子を庇い父親は原型を留めず消し飛んだのだろう。
『邪魔になる』そう心に言い聞かせる
自分が連れて行くよりも数日中には来る政府に任せた方が多少はましだろう。そう思い彼は立ち去ろうとする。
「剣…崎さん…ですよね?」
少女が揺すっていた女性、母親だと思われる女性に声をかけられる。
「違う、人違いだ」
嘘をついた。剣崎 玲慈それが彼の本名、過去に他者に一部を除きその名を語ることは無かった、故に彼の本名を知っているのはごく少数に限られてくる…要するに彼はその女性を知っていた。だからこそ無責任に子供や助からない彼女に無責任な希望は持たせたくなかったのだ。
「…昔貴方に・・・救われて・・から忘れたことは・・・・ありません・・・でした、間違え・・・る筈ありま・・・せん。お願い・・・です、この子を・・百(もも)を・・お願いします。」
悲痛な叫びに彼は耳を塞ぎたくなる
「お願いじます!・・・・どうが、どうか百を・・・!」
「分かった!分かったからもう喋るな!!君の娘を助ける!」
母親の命を振り絞った懇願に彼は断る事が出来なかった。そればかりか希望を持たせないという意思を自ら捻じ曲げてしまった。だから彼はその言葉を嘘にしないよう必死に応急処置を施す。
「も…も」
「喋るな!今は少しでm…!」
「ダメ、自分の命・・だから。最後だって・・分かるの」
母親は自身が生きられないと気付いていた
「百、このお兄ぃ・・さんの、言う・・・ことをしっかり聞くのよ」
「は…い」
「迷惑・・掛けては・いけませんよ」
「はい」
「幸せになって・・・・ね」
彼の言葉を、応急処置のを遮り最後の力を振り絞り娘に想いを伝え、母親はこの世を去った。少女は母親の亡骸に抱き着き泣き叫んだ。彼はその間に攻めてもの弔いとして瓦礫をどかし遺体を全て発見しやすいように寝かせて置いた。
「君、行くよ?」
彼は少女に言う
「君ではありませんわ、わたくちにはちゃんと名前がありますわ」
子供特有の舌っ足らずな言葉で少女は言う
「すまない、さっきは取り乱していてしっかり覚えていないんだ。だから君の名を教えてくれ」
「百…、八百万 百ですわ」
「そうか…、八百万ty「百ですわ」…百ちゃん行くよ?」
これは彼と彼の養女との数年間の物語
~おまけ~
「・・・百ちゃん行くよ?」
「何故ですの?」
「ここに居ても直ぐに来るのは火事場泥棒ぐらいだ近くの都市を目指そう」
「それでちたら救助隊を待った方がいいですわ?」
「彼等がいつここに来るか分からないから成る可く早くここは出た方がいい」
「ですが迷子になるかも」
「こんな所迷子と変わらない、それよりもここは不衛生だ、それに何が出るかも分からなくてあぶないから」
「なら・・・・」
(ダメだ子供苦手)
彼は早くも挫折しかけた